結論テキスト
特許第7378205号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~2〕、3、4について訂正することを認める。
特許第7378205号の請求項1~4に係る特許を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024700449 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許第7378205号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成30年11月28日に出願され、令和5年11月2日にその特許権の設定登録がされ、同年11月13日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人矢野直樹(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。
本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 5月13日 :特許異議の申立(全請求項)
同年 8月19日付け:取消理由通知書
同年10月21日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年11月27日 :特許権者による訂正請求書に対する手続補正
書(方式)の提出
令和7年 1月 7日 :申立人による意見書の提出
同年 2月28日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 4月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 6月13日 :申立人による意見書の提出
同年 8月28日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年10月15日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年12月 9日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年10月21日提出の訂正請求、及び令和7年4月30日提出の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
令和7年10月15日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は、訂正箇所を示す。また、特許請求の範囲の訂正から先に記載した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆う透光性の外郭とを有する灯具と」と記載されているのを、「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆
い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の
透光性の外郭とを有する灯具と」に訂正する。
また、特許請求の範囲の請求項1に「前記灯具の長手方向における両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部、及び、前記灯具にネジ止めにより固定される固定部を有する連結具と、を備え、前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている」と記載されているのを、「
前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具と、を備え、一対の前記連結具のそれぞれは、
前記灯具の長手方向における
前記
両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部
と、
前記灯具にネジ止めにより固定される固定部
と、
を有する
ものであり、
前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている」に訂正する。
そして、請求項1を引用する請求項2も同様に訂正する。
(2)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記連結具は、長尺状に形成された前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における両端部よりも外側に前記連結部が配置される第1連結具と、長尺状に形成された前記灯具の長手方向における両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における両端部よりも内側で前記吊ボルトと連結する前記連結部を有する長尺状の第2連結具と、を有し、前記第1連結具の前記連結部を第1連結部とし、前記2連結具の前記連結部を第2連結部とした場合に、前記第1連結具は、前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられており、前記第2連結部は、前記灯具の長手方向における両端部に取り付けられた状態で、連結用固定具によって前記第1連結部と連結されて前記第1連結具を支持すると共に、前記第2連結部が前記吊ボルトと連結する」と記載されているのを、「前記連結具は、長尺状に形成された前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における
前記
両端部よりも外側
となる位置に第1連結部
が配置される
一対の
第1連結具と、
前記連結部を有し、長尺状を成すものであって、一対の前記第1連結具を介して
前記灯具の長手方向における
前記
両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における
前記
両端部よりも内側
となる位置
で
前記連結部が
前記吊ボルトと連結す
る第
2連結具と、を有し、
前
記第2連結具の前記連結部を第2連結部とした場合に、
前記第2連結具
は、
一対の前記第1連結具を介して
前記灯具の長手方向における
前記
両端部に取り付けられた状態で、連結用固定具によって前記第1連結部と連結されて前記第1連結具を支持すると共に、前記第2連結部が前記吊ボルトと連結する」に訂正する。
(3)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトとナットにより連結される連結部を有し、」と記載されているのを、「前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトとナットにより連結される連結部
と
、」に訂正する。
また、特許請求の範囲の請求項4に「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源及び少なくとも前記光源を覆う透光性の外郭を有する灯具の長手方向における両端部よりも外側に配置されるように前記灯具にネジ止めにより固定される照明装置用の連結具」と記載されているのを、「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源及び少なくとも前記光源を覆う
筒形状の
透光性の外郭を有する灯具の長手方向における
前記外郭の
両端部よりも外側に配置されるように
、前記連結部における前記外郭の側の端部から屈曲しており、
前記灯具
の長手方向における端面部
に
対して
ネジ止めにより固定される
固定部と、を有する一対の端部連結具であり、前記灯具の長手方向における前記両端部にそれぞれ取り付けられる
照明装置用の連結具」に訂正する。
(4)訂正事項2
明細書の段落【0006】に「本発明に係る照明装置は、造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置であって、少なくとも造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも光源を覆う透光性の外郭とを有する灯具と、灯具の長手方向における両端部よりも外側に配置され、吊ボルトとナットにより連結される連結部、及び、灯具にネジ止めにより固定される固定部を有する連結具と、を備え、連結部には、吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている。」と記載されているのを、「本発明に係る照明装置は、造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置であって、少なくとも造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも光源を覆
い、光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の
透光性の外郭とを有する灯具と、
灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具と、を備え、一対の連結具のそれぞれは、
灯具の長手方向における両端部よりも外側に配置され、吊ボルトとナットにより連結される連結部
と、
灯具にネジ止めにより固定される固定部
と、
を有する
ものであり、
連結部には、吊ボルトが挿通されるボルトト挿通孔が形成されている。」に訂正する。
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1のうち、「少なくとも光源を覆い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性の外郭」との記載は、本件訂正前の請求項1の「透光性の外郭」が「前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容」するものであり、その形状が「筒形状」であることを特定するものである。
また、訂正事項1のうち、「前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具と、を備え、一対の前記連結具のそれぞれは、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、前記灯具にネジ止めにより固定される固定部と、を有するものであり、前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている」との記載は、本件訂正前の請求項1における「連結具」に関して、当該「連結具」が「前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の」ものであり、当該「一対の連結具のそれぞれが、」「連結部」と「固定部」とを有することを特定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1のうち「少なくとも光源を覆い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性の外郭」との特定は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)の段落【0016】、【0080】、及び図4に基づくものである。
また、訂正事項1のうち「前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具」「を備え」ること、及び「一対の前記連結具のそれぞれは、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、前記灯具にネジ止めにより固定される固定部と、を有する」ことは、明細書等の段落【0082】、【0083】、及び図1、2、5に基づくものである。
そうすると、訂正事項1は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3における「第1連結具」の「連結部」と「第2連結具」の「連結部」に関して、両者の関係を明確にするものである。
また、訂正事項3は、本件訂正前の請求項3における「第1連結具」に関して、「第1連結具」の「第1連結部」が「前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側となる位置に」「配置される」こと、「第1連結具」が「一対の」ものであることを特定し、本件訂正前の請求項3における「第2連結具」に関して、「第2連結具」が「前記吊りボルトと連結される連結部」「を有」すること、「第2連結具」が「長尺状をなすものであって、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の長手方向における前記両端部に取り付けられ」ること、「前記灯具の長手方向における両端部よりも内側となる位置で前記連結部が前記吊りボルトと連結する」ことを特定するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明、及び特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3は、明細書等の段落【0116】~【0118】、【0121】~【0122】、【0145】、及び図10、12、15に基づくものであり、訂正事項3は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、明瞭でない記載を明確化するものであり、また、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4のうち「筒形状の透光性の外郭」との記載は、本件訂正前の請求項4の「透光性の外郭」の形状が「筒形状」であることを特定するものである。
また、訂正事項4のうち「前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、」「灯具の長手方向における前記外郭の両端部よりも外側に配置されるように、前記連結部における前記外郭の側の端部から屈曲しており、前記灯具の長手方向における端面部に対してネジ止めにより固定される固定部と、を有する一対の端部連結具であり、前記灯具の長手方向における前記両端部にそれぞれ取り付けられる照明装置用の連結具」との記載は、本件訂正前の請求項4の「連結具」に関して、当該「連結具」が「連結部」と「固定部と、を有する一対の端部連結具であり、前記灯具の長手方向における前記両端部にそれぞれ取り付けられ」て、「前記外郭の両端部よりも外側に配置される」こと、及び「固定部」が「前記連結部における前記外郭の側の端部から屈曲しており、前記灯具の長手方向における端面部に対してネジ止めにより固定される」ことを特定するものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4は、前記(1)イで述べたと同様に、明細書等の段落【0016】、【0082】、【0083】、及び図1、2、5に基づくものであり、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正事項1に係る本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書との整合性を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである
イ 新規事項の有無
前記(1)イで述べたのと同じ理由から、訂正事項2は、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、明瞭でない記載を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
本件訂正前の請求項1~2について、請求項2は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~2に対応する訂正後の請求項1~2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、明細書の訂正に係る訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に係る課題解決手段が記載された段落【0006】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2は、請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。
以上のとおり、訂正事項1~4に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合し、訂正事項2に係る本件訂正は、同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~2〕、3、4について訂正することを認める。
前記第2で説示したように本件訂正は認められるから本件訂正後の請求項1~4に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置であって、
少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性の外郭とを有する灯具と、
前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具と、を備え、
一対の前記連結具のそれぞれは、
前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、
前記灯具にネジ止めにより固定される固定部と、を有するものであり、
前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている照明装置。
【請求項2】
前記ボルト挿通孔は、
前記ボルト挿通孔に挿通された前記吊ボルトが前記灯具の長手方向に沿って滑動自在となるように、前記灯具の長手方向に沿って長孔形状に形成されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置であって、
少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆う透光性の外郭とを有する灯具と、
前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトと連結される連結部を有し、前記灯具と前記造営部との間に配置されるように前記灯具に取り付けられる連結具と、
を備え、
前記連結具は、
長尺状に形成された前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側となる位置に第1連結部が配置される一対の第1連結具と、
前記連結部を有し、長尺状を成すものであって、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の長手方向における前記両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも内側となる位置で前記連結部が前記吊ボルトと連結する第2連結具と、を有し、
前記第2連結具の前記連結部を第2連結部とした場合に、
前記第2連結具は、
一対の前記第1連結具を介して前記灯具の長手方向における前記両端部に取り付けられた状態で、連結用固定具によって前記第1連結部と連結されて前記第1連結具を支持すると共に、前記第2連結部が前記吊ボルトと連結する照明装置。
【請求項4】
造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置用の連結具であって、
前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、
少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源及び少なくとも前記光源を覆う筒形状の透光性の外郭を有する灯具の長手方向における前記外郭の両端部よりも外側に配置されるように、前記連結部における前記外郭の側の端部から屈曲しており、前記灯具の長手方向における端面部に対してネジ止めにより固定される固定部と、
を有する一対の端部連結具であり、前記灯具の長手方向における前記両端部にそれぞれ取り付けられる照明装置用の連結具。」
本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審において令和7年8月28日付け取消理由通知(決定の予告)で、特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由:(進歩性)本件特許の請求項1、2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<引用文献一覧>
甲第1号証:Panasonic 低温用LEDベースライト 品番NNFJ(H)46800 施工説明書 取扱説明書
甲第4号証:パナソニック電工株式会社 品番低温用NNFJ46800
甲第6号証:Panasonic 2013-2014 施設・屋外・店舗照明総合カタログ,2013年4月,特殊環境用 低温用照明器具 NFFJ46800,表紙,B146,奥付
甲第7号証:特開2018-18765号公報
以下、甲第○号証を甲○といいう。
(1)甲1について
甲1には、Panasonic低温用LEDベースライト(品番NNFJ(H)46800)の施工説明書及び取扱説明書として、以下のことが示されている。なお、以下、「Panasonic低温用LEDベースライト」は、甲6を参酌して「低温用照明器具」といい、また、「品番NNFJ(H)46800」の(H)は加工品番であり、甲4、甲6を参酌して、省略する。
ア
「
80
151
0001435154000001.jpg
」
イ
「
26
151
0001435154000002.jpg
」
ウ 「施工説明 工事店様へ、この説明書は保守のためお客様に必ずお渡しください。」
(2)甲4について
甲4には、パナソニック電工株式会社 品番低温用NNFJ46800の図面として、以下のことが示されている。
ア
「
58
151
0001435154000003.jpg
」
イ 前記アから、甲4には、M10ボルト用の穴が、本体の長手方向に延びる長穴であることが記載されている。
ウ
「
31
151
0001435154000004.jpg
」
エ 前記ア及びウから、甲4には、電源ユニットが本体の内部にあることが記載されている。
(3)甲6について
甲6は、Panasonic 2013-2014 施設・屋外・店舗照明総合カタログであるところ、その記載から、品番NFFJ46800の低温用照明器具が2013年4月時点で、販売されていたと認められる。
(4)公然実施発明
ア 前記(1)~(3)に示すように、甲1、甲4、甲6において示される低温用照明器具の品番が全て符合していることから、本件特許出願前において、品番NFFJ46800の低温用照明器具の製品が販売され、甲1の施工説明書及び甲4の図面どおりの施工が実施されていたと認められる。
イ 前記(1)~(3)及びアから、以下の事項が認められる。
(ア)品番NFFJ46800の低温用照明器具が、レースウェイに設けられたレースウェイ用M10取付ボルトに取り付けられる こと。
(イ)品番NFFJ46800の低温用照明器具が、LEDユニットと反射板が設けられた本体と、一対の取付部を備えること。
(ウ)本体にLEDユニットと反射板が設けられ、LEDユニットは、レースウェイの側とは反対側に向かって発光すること。
(エ)一対の取付部が本体の長手方向における両端部を含む両端側の部分にそれぞれ取り付けられること。
(オ)一対の取付部のそれぞれは、本体の長手方向の両端部よりも外側に配置される突出部と、本体の両端部を含む両端側の部分に固定される固定部を有すること。
(カ)突出部にレースウェイ用M10取付ボルトが挿通する貫通孔が形成されていること。
(キ)突出部がレースウェイ用M10取付ボルトとナットにより連結されること。
(ク)電源ユニットは、本体の内部にあること。
ウ したがって、以下の発明(以下「公然実施発明1」という。)が本件特許出願前に公然実施をされていたといえる。
[公然実施発明1]
「レースウェイに設けられたレースウェイ用M10取付ボルトに取り付けられる品番NFFJ46800の低温用照明器具であって、
前記レースウェイの側とは反対側に向かって発光するLEDユニットと反射板が設けられた本体と、
前記本体の長手方向における両端部を含む両端側の部分にそれぞれ取り付けられる一対の取付部と、
前記本体の内部にある電源ユニットと、
を備え、
前記一対の取付部のそれぞれは、
前記本体の長手方向の両端部よりも外側に配置される突出部と、前記本体の両端部を含む両端側の部分に固定される固定部を有し、
前記突出部に前記レースウェイ用M10取付ボルトが挿通する貫通孔が形成され、前記貫通孔が前記本体の長手方向に延びる長穴であり、
前記突出部は、前記レースウェイ用M10取付ボルトとナットにより連結される品番NFFJ46800の低温用照明器具。」
甲7の段落【0015】~【0017】、【0030】、【0033】、【0049】~【0066】、及び図1、2、9~12から、甲7には、以下の事項(以下「甲7記載事項」という。)が示されていると認められる。
「光源部20と前記光源部20が取り付けられる取付部材21を備えた光源ユニット2において、前記光源部20は、LEDモジュール22と、LEDモジュール22を内部に収容する長手方向の両端が開口した長尺の円筒形状又は半円筒形状の透光性を有するカバー23と、一対のカバーエンド24を有し、前記カバー23の長手方向の両端は、一対の前記カバーエンド24によって塞がれて、前記カバー23の内部空間を閉塞する性能(虫の進入を阻止する性能)の向上を図ること。」
(1)対比
ア 本件発明1と公然実施発明1とを対比すると、後者の「レースウェイ」が前者の「造営部」に相当し、以下同様に、後者の「レースウェイ用M10取付ボルト」が前者の「吊ボルト」に、後者の「品番NFFJ46800の低温用照明器具」が前者の「照明装置」に、後者の「LEDユニット」が前者の「光源」に、後者の「LEDユニットと反射板が設けられた本体」が前者の「灯具」に、後者の「ナット」が前者の「ナット」に、後者の「一対の取付部」が前者の「一対の連結具」に、後者の「貫通孔」が前者の「ボルト挿通孔」に、相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
イ 後者の「レースウェイに設けられたレースウェイ用M10取付ボルトに取り付けられる品番NFFJ46800の低温用照明器具」は、前者の「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置」に相当する。
ウ 後者の「前記レースウェイの側とは反対側に向かって発光するLEDユニット」は、前者の「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源」に相当する。
また、後者の「電源ユニット」は、LEDユニットに電力を供給することは明らかなので、前者の「前記光源に電力を供給する制御部」に相当する。
そうすると、後者の「前記レースウェイの側とは反対側に向かって発光するLEDユニットと反射板が設けられた本体」であり、「内部に」「電源ユニット」が「ある」「本体」と、前者の「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性の外郭とを有する灯具」は、「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、前記光源に電力を供給する制御部を有する灯具」で共通する。
エ 後者の「前記本体の長手方向における両端部を含む両端側の部分」は、前者の「前記灯具の長手方向における両端部」に相当するので、後者の「前記本体の長手方向における両端部を含む両端側の部分にそれぞれ取り付けられる一対の取付部」は、前者の「前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具」に相当する。
オ 後者の「LEDユニットと反射板が設けられた本体と、」「一対の取付部、を備え」ることは、前者の「灯具と、」「一対の連結具と、を備え」ることに相当する。
カ 後者の「前記レースウェイ用M10取付ボルトとナットにより連結される」ことは、前者の「前記吊ボルトとナットにより連結される」ことに相当するので、後者の「前記レースウェイ用M10取付ボルトとナットにより連結される」「前記突出部」は、前者の「前記吊ボルトとナットにより連結される連結部」に相当する。
そうすると、後者の「前記本体の長手方向の両端部よりも外側に配置される突出部」は、前者の「前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側に配置され」る「連結部」に相当する。
キ 後者の「前記本体の両端部を含む両端側の部分に固定される固定部」と前者の「前記灯具にネジ止めにより固定される固定部」は、「前記灯具に固定される固定部」の点で共通する。
そうすると、後者の「前記一対の取付部のそれぞれは、」「前記本体の両端部を含む両端側の部分に固定される固定部を有」することと、前者の「一対の前記連結具のそれぞれは、」「前記灯具にネジ止めにより固定される固定部」「を有する」ことは、「一対の前記連結具のそれぞれは、」「前記灯具に固定される固定部」「を有する」ことで共通する。
ク 前記カから、後者の「前記一対の取付部のそれぞれは、」「突出部と、」「固定部を有」することは、前者の「一対の前記連結具のそれぞれは、」「連結部と、」「固定部と、を有するものであ」ることに相当する。
ケ 後者の「前記レースウェイ用M10取付ボルトが挿通する貫通孔」は、前者の「前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔」に相当する。
そして、前記カから、後者の「前記突出部に前記レースウェイ用M10取付ボルトが挿通する貫通孔が形成され」ることは、前者の「前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている」ことに相当する。
そうすると、本件発明1と公然実施発明1とは、
「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置であって、
少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、前記光源に電力を供給する制御部を有する灯具を有する灯具と、
前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具と、を備え、
一対の前記連結具のそれぞれは、
前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、
前記灯具に固定される固定部と、を有するものであり、
前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている照明装置。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]
灯具に関して、本件発明1は、「少なくとも前記光源を覆い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性の外郭」を「有する灯具」であるのに対して、公然実施発明1は、かかる外郭を有していることが特定されておらず、また、電源ユニットは、本体の内部にある点。
[相違点1-2]
灯具に固定される固定部に関して、前者は、灯具に「ネジ止めにより」固定される固定部であるのに対して、公然実施発明1は、固定部にかかる特定がされていない点。
(2)相違点についての検討
相違点1-1について検討する。
ア 公然実施発明1は、電源ユニットが本体内にあるものとして既に製品化されたものであり、そのことにより何らかの不都合が生じることについて直ちに把握できず、電源ユニットとLEDユニットを筒形状の透光性の外郭内に収容しようとする動機付けは認められない。
そして、公然実施発明1において、電源ユニットをLEDユニットとともに、筒形状の透光性の外郭内に収容しようとすると、LEDユニットと反射板が設けられた本体自体を外郭内に収容する必要があると認められるが、この場合、本体又は外郭の長手方向における両端部を含む両端側の部分に、一対の取付部がそれぞれどのように取り付けられるのかが定かではなく、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることが容易であるとはいえない。
イ また、前記2(7)で示したように、甲7には、甲7記載事項として、「光源部20と前記光源部20が取り付けられる取付部材21を備えた光源ユニット2において、前記光源部20は、LEDモジュール22と、LEDモジュール22を内部に収容する長手方向の両端が開口した長尺の円筒形状又は半円筒形状の透光性を有するカバー23と、一対のカバーエンド24を有し、前記カバー23の長手方向の両端は、一対の前記カバーエンド24によって塞がれて、前記カバー23の内部空間を閉塞する性能(虫の進入を阻止する性能)の向上を図ること。」が記載されているが、甲7において、電源装置4は、取付部材21における底板210のLEDモジュール22が配置される面とは反対側に配置されるものであり、カバー23によって電源装置4を収容することについては記載されていない(甲7の段落【0023】、【0024】、及び図2)。
ウ そして、申立人がこれまでに提出した他の甲号証(甲2、甲3、甲5、及び甲8)においても、その長手方向の両端部に連結部が配置される灯具において、光源と光源に電力を供給する制御部を筒形状の透光性の外郭に収容することについては、記載されていない。
エ そうすると、公然実施発明1において、甲7記載事項を踏まえ、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、公然実施発明1及び甲7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記3(2)と同様の理由により、本件発明2は、公然実施発明1及び甲7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
令和7年12月9日提出の意見書における本件発明1の進歩性に関する主張の概要は、要するに、円筒形状の外郭で光源を覆うことは、甲7に示されるように周知技術であり、新たに追加した甲9(特開2015-146264号公報)、甲10(特開2017-10632号公報)には、光源に電力を供給する電源装置を内部に収容した筒形状の透光性のケースが記載されており、公然実施発明1において、周知技術を適用し、外郭を光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性のものとすることは、当業者が容易になし得たことであるというものである。
しかしながら、甲9に記載された技術、甲10に記載された技術を参酌しても、前記3(2)で述べたように、公然実施発明1において、電源ユニットとLEDユニットを筒形状の透光性の外郭内に収容しようとする動機付けは認められず、また、そのようにすることが容易であるとはいえないので、申立人の主張を採用することはできない。
以上のとおり、本件発明1及び2は、公然実施発明1及び甲7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、取消理由によって、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
申立人は、特許異議申立書において、前記第4の引用文献一覧で示した証拠以外に、次の証拠を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
甲2:特開2009-224156号公報
甲3:特開2018-186031号公報
甲5:特開2018-166124号公報
(1)本件発明1及び2は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)本件発明1及び2は、甲2に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)本件発明3は、甲5に記載された発明及び甲1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)本件発明4は、甲1に記載された発明、及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(5)本件特許は、特許請求の範囲の請求項3の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである、。
(1)申立理由(1)について
ア 甲3記載事項
甲3の段落【0016】、【0031】、【0033】、【0034】、及び図5、6から、甲3には、以下の事項(以下「甲3記載事項」)という。)が記載されていると認められる。
「灯具本体210aと、灯具本体210bと、取付器具100を備えた照明器具200において、取付器具100は、開口112が形成され、開口112に灯具本体210a、210bを通過させて取り付ける取付部材110a、110bと、一対の縦枠部品(縦枠部品120aおよび縦枠部品120b)と、一対の横枠部品(横枠部品130aおよび横枠部品130b)と、接続部材(接続部材140a、接続部材140b、接続部材140cおよび接続部材140d)と、取付器具100を天井裏の上面に固定する取付部160とを備え、取付部160は、吊りボルトが挿入される2つの貫通孔166が形成された天板164と、一方の端部が縦枠部品120a、120bにネジで固定され、他方の端部が天板164にネジで固定される側板162a、162bを備えること。」
イ 本件発明1について
(ア)対比
前記第5の3(1)で述べたとおり、本件発明1と公然実施発明1(甲1、甲4、甲6)は、前述の相違点1-1及び相違点1-2で相違する。
(イ)相違点についての検討
相違点1-1について検討するに、公然実施発明1については、前記第5の3(2)アで述べたとおりである。
そして、前記第5の3(2)ウで述べたとおり、甲3には、その長手方向の両端部に連結部が配置される灯具において、光源と光源に電力を供給する制御部を筒形状の透光性の外郭に収容することについては、記載されていない。
そうすると、公然実施発明1において、甲3記載事項を踏まえ、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、公然実施発明1及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記イ(イ)と同様の理由により、本件発明2は、公然実施発明1及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 小括
以上から、本件発明1及び2は、公然実施発明1及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないので、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(1)によって、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(2)申立理由(2)について
ア 甲2発明
甲2の段落【0015】、【0017】、【0018】、【0025】、【0027】、及び図1、2から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内に根拠箇所を示した。以下同様。)。
「照明器具は、レースウェイ12に取り付けるための取付片5を左右方向両端部に具備した器具本体1と、直管型のランプ4と、前記器具本体1に取着され、前記ランプ4に点灯電力を供給するための安定器11が収納される給電ユニット2と、前記ランプ4からの照射光を反射させるための反射板3とを備え(【0015】、【0018】及び図1)、
前記器具本体1は、ケース本体1aを有し、前記ケース本体1aの左右方向両端部にはコ字状に折曲形成された前記取付片5がそれぞれ左右方向に前記給電ユニット2の長手方向における両端部よりも外側に延設されており、前記各取付片5は、器具本体1に固定される部分と、前記レースウェイ12に取り付けるための固定ねじ15を挿通させるねじ挿通孔5aが貫設された部分を有し(【0017】及び図1、2)、
前記レースウェイ12に保持された前記各固定ねじ15のねじ部15aを対応する前記取付片5の前記ねじ挿通孔5aに挿通し、蝶ナットを螺合させて、前記レースウェイ12に固定される(【0027】)
照明器具。」
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
a 後者の「レースウェイ12」は、前者の「造営部」に相当し、後者の「前記レースウェイ12に取り付けるための固定ねじ15」及び「前記レースウェイ12に保持された前記各固定ねじ15」は、前者の「吊りボルト」に相当する。
そうすると、「前記レースウェイ12に保持された前記各固定ねじ15のねじ部15a」に「蝶ナット(図示せず)を螺合させて、前記レースウェイ12に固定される照明器具」は、前者の「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置」に相当する。
b 後者の「レースウェイ12に取り付けるための取付片5を左右方向両端部に具備した器具本体1と、直管型のランプ4と、前記器具本体1に取着され、前記ランプ4に点灯電力を供給するための安定器11が収納される給電ユニット2と、前記ランプ4からの照射光を反射させるための反射板3とを備え」たものにおいて、後者の「直管型のランプ4」は、少なくともレースウェイの側とは反対側に向かって発光するものであるから、前者の「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源」に相当し、後者の「前記器具本体1に取着され、前記ランプ4に点灯電力を供給するための安定器11が収納される給電ユニット2」は、前者の「前記光源に電力を供給する制御部」に相当する。
そうすると、後者の「レースウェイ12に取り付けるための取付片5を左右方向両端部に具備した器具本体1と、直管型のランプ4と、前記器具本体1に取着され、前記ランプ4に点灯電力を供給するための安定器11が収納される給電ユニット2と、前記ランプ4からの照射光を反射させるための反射板3とを備え」たものと、前者の「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性の外郭とを有する灯具」とは、「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、前記光源に電力を供給する制御部とを有する灯具」で共通する。
c 前記bから、後者の「レースウェイ12に取り付けるための取付片5」であり、「前記器具本体1」の「ケース本体1aの左右方向両端部に」「それぞれ左右方向に前記給電ユニット2の長手方向における両端部よりも外側に延設され」た「コ字状に折曲形成された前記取付片5」は、前者の「前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具」に相当する。
d 前記cから、後者の「前記各取付片5は、器具本体1に固定される部分」「を有」することと、前者の「一対の前記連結具のそれぞれは、」「前記灯具にネジ止めにより固定される固定部」「を有する」ことは、「一対の前記連結具のそれぞれは、」「前記灯具に固定される固定部」「を有する」ことで共通する。
e 前記a及びcから、後者の「前記各取付片5は」「前記レースウェイ12に取り付けるための固定ねじ15を挿通させるねじ挿通孔5aが貫設される部分を有し、前記レースウェイ12に保持された前記各固定ねじ15のねじ部15aを対応する前記取付片5の前記ねじ挿通孔5aに挿通し、蝶ナットを螺合させて、前記レースウェイ12に固定される」ことは、「挿通孔5aが貫設される部分」が、「それぞれ左右方向に前記給電ユニット2の長手方向における両端部よりも外側」にあることは明らかなので、前者の「一対の前記連結具のそれぞれは、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部」「を有するものであり、前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている」ことに相当する。
そうすると、本件発明1と甲2発明は、
「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置であって、
少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、前記光源に電力を供給する制御部とを有する灯具と、
前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる一対の連結具と、を備え、
一対の前記連結具のそれぞれは、
前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側に配置され、前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、
前記灯具に固定される固定部と、を有するものであり、
前記連結部には、前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されている照明装置。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2-1]
灯具について、本件発明1は、少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、「少なくとも前記光源を覆い、前記光源に電力を供給する制御部を内部に収容した筒形状の透光性の外郭」とを有する灯具であるのに対して、甲2発明は、かかる「外郭」を有していない点。
[相違点2-2]
連結具の固定部に関して、本件発明1は、灯具に「ネジ止めにより」固定される固定部であるのに対して、甲2発明は、取付片5を器具本体1に固定するための固定手段が定かではない点。
(イ)相違点についての検討
相違点2-1について検討する。
甲2には、器具本体1、直管型のランプ4、給電ユニット2、及び反射板3からなるものを筒形状の透光性の外郭内に収容することについては、記載も示唆もされていない。
そして、甲3にも、照明器具において、直管型のランプ及び該ランプが接続される器具本体を筒形状の透光性の外郭内に収容することは、記載も示唆もされていない。
さらにいえば、甲2発明において、ランプ4や給電ユニット2を筒形状の透光性の外郭で覆う動機付けはなく、また、そのようにした場合、器具本体1又は外郭と取付片5との取付構造は定かでないので、そのような外郭を適用することは、当業者が容易になし得ることとはいえない。
そうすると、甲2発明において、甲3記載事項を踏まえ、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記イ(イ)と同様の理由により、本件発明2は、甲2発明及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 小括
以上から、本件発明1及び2は、甲2発明及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないので、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(2)によって、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(3)申立理由(3)について
ア 甲5発明
甲5の段落【請求項1】、【請求項8】、段落【0012】、【0024】、【0025】、【0035】、及び図2から、甲5には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「下端31と上端32が開口した筒状の本体3と、前記本体3の前記下端31に取り付けられた光源2と、前記本体3の前記上端32に取り付けられた天板6と、前記本体3の上部で照明器具1を天井の取付面に設置する取付部45と、を備え(【請求項1】、段落【0012】、【0034】、【0035】)、
前記取付部45は、照明器具1を天井に取り付ける取付アーム5と、前記取付アーム5を前記天板6から離れた位置に固定する固定アーム4とを有し(【請求項8】、段落【0035】、図2)、
前記光源2は、発光面の前面に設けられる平面または曲面を有した光透過性カバー部29を有し(段落【0024】、【0025】)、
前記取付アーム5の両端に前記固定アーム4の上端がねじ止めされ、前記固定アーム4の下方は、前記本体3の側面33にねじ止めされ(段落【0035】、図2)、
前記取付アーム5の中央および中央周辺には、天井からの吊ボルトを通す貫通孔が形成されている(段落【0035】)、
照明器具1」
イ 本件発明3について
(ア)対比
本件発明3と甲5発明を対比する。
a 後者の「照明器具1を天井に取り付ける取付アーム5」を「有」する「取付部45」「を備え、」「前記取付アーム5の中央および中央周辺には、天井からの吊ボルトを通す貫通孔が形成されている照明器具1」は、前者の「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置」に相当する。
b 後者において、「照明器具1」は、「前記本体3の上部で」「天井の取付面に設置」されるので、後者の「前記本体3の前記下端31に取り付けられた光源2」は、前者の「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源」に相当する。
そうすると、後者の「下端31と上端32が開口した」「本体3と、前記本体3の前記下端31に取り付けられた光源2」であって「発光面の前面に設けられる平面または曲面を有した光透過性カバー部29有」する「前記光源2」と、「前記本体3の前記上端32に取り付けられた天板6」からなるものは、前者の「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆う透光性の外郭とを有する灯具」に相当する。
c 後者の「照明器具1を天井に取り付ける取付アーム5」であって、「中央および中央周辺には、天井からの吊ボルトを通す貫通孔が形成されている」「前記取付アーム5」は、前者の「前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトと連結される連結部」に相当する。
また、後者の「取付部45」が「前記本体3の上部で照明器具1を天井の取付面に設置」し、「前記取付部45」が「照明器具1を天井に取り付ける取付アーム5と、前記取付アーム5を前記天板6から離れた位置に固定する固定アーム4とを有し、」「前記取付アーム5の両端に前記固定アーム4の上端がねじ止めされ、前記固定アーム4の下方は、前記本体3の側面33にねじ止めされ」ることにおいて、「取付部45」が「天井」と「前記本体3」の間に配置されること、及び「取付部45」が「前記本体3」に取り付けられることは明らかである。
そして、前記bを踏まえると、後者の「前記本体3の上部で照明器具1を天井の取付面に設置する取付部45」「を備え、」「前記取付部45は、照明器具1を天井に取り付ける取付アーム5と、前記取付アーム5を前記天板6から離れた位置に固定する固定アーム4とを有し、」「前記取付アーム5の両端に前記固定アーム4の上端がねじ止めされ、前記固定アーム4の下方は、前記本体3の側面33にねじ止めされ、前記取付アーム5の中央および中央周辺には、天井からの吊ボルトを通す貫通孔が形成されている」ことは、前者の「前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトと連結される連結部を有し、前記灯具と前記造営部との間に配置されるように前記灯具に取り付けられる連結具」「を備え」ることに相当する。
d 前記cから、後者の「前記取付アーム5の両端に」「上端がねじ止めされ、」「下方」が「前記本体3の側面33にねじ止めされ」る「前記固定アーム4」は、甲5の図2及び4から、「本体3」の「側面33」よりも外側となる位置で「前記取付アーム5の両端に」「ねじ止めされていると看て取れるので、前者の「長尺状に形成された前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側となる位置に第1連結部が配置される一対の第1連結具」とは、「前記灯具の両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の前記両端部よりも外側となる位置に第1連結部が配置される一対の第1連結具」で共通する。
e 前記c及びdから、後者の「照明器具1を天井に取り付ける取付アーム5」であって、「中央および中央周辺には、天井からの吊ボルトを通す貫通孔が形成され」、「両端に前記固定アーム4の上端がねじ止めされ」る「前記取付アーム5」と、前者の「前記連結部を有し、長尺状を成すものであって、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の長手方向における前記両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも内側となる位置で前記連結部が前記吊ボルトと連結する第2連結具」は、「前記連結部を有し、長尺状を成すものであって、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の前記両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の前記両端部よりも内側となる位置で前記連結部が前記吊ボルトと連結する第2連結具」で共通する。
f 前記d及びeの限りにおいて、後者の「前記取付部45は、」「取付アーム5と、」「固定アーム4とを有」することは、前者の「前記連結具は、」「一対の第1連結具と、」「第2連結具と、を有」することに相当する。
g 前記c~eから、後者の「前記取付アーム5の両端に前記固定アーム4の上端の側面がねじ止めされ、」「前記取付アーム5の中央および中央周辺には、天井からの吊ボルトを通す貫通孔が形成されている」ことと、前者の「前記第2連結具の前記連結部を第2連結部とした場合に、前記第2連結具は、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の長手方向における前記両端部に取り付けられた状態で、連結用固定具によって前記第1連結部と連結されて前記第1連結具を支持すると共に、前記第2連結部が前記吊ボルトと連結する」ことは、「前記第2連結具の前記連結部を第2連結部とした場合に、前記第2連結具は、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の前記両端部に取り付けられた状態で、連結用固定具によって前記第1連結部と連結されて前記第1連結具を支持すると共に、前記第2連結部が前記吊ボルトと連結する」ことで共通する。
そうすると、本件発明3と甲5発明は、
「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置であって、
少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源と、少なくとも前記光源を覆う透光性の外郭とを有する灯具と、
前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトと連結される連結部を有し、前記灯具と前記造営部との間に配置されるように前記灯具に取り付けられる連結具と、
を備え、
前記連結具は、
前記灯具の両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の前記両端部よりも外側となる位置に第1連結部が配置される一対の第1連結具と、
前記連結部を有し、長尺状を成すものであって、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の前記両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の前記両端部よりも内側となる位置で前記連結部が前記吊ボルトと連結する第2連結具と、を有し、
前記第2連結具の前記連結部を第2連結部とした場合に、
前記第2連結具は、
一対の前記第1連結具を介して前記灯具の前記両端部に取り付けられた状態で、連結用固定具によって前記第1連結部と連結されて前記第1連結具を支持すると共に、前記第2連結部が前記吊ボルトと連結する照明装置。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点5-1]
灯具に関して、本件発明3は、「長尺状に形成された」灯具であり、それゆえに、一対の第1連結具は、灯具の「長手方向における」両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の「長手方向における」前記両端部よりも外側となる位置に第1連結部が配置され、第2連結部は、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の「長手方向における」前記両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の「長手方向における」前記両端部よりも内側となる位置で前記連結部が前記吊ボルトと連結するのに対して、甲5発明は、灯具を構成する本体3が「筒状」である点。
(イ)相違点についての検討
甲5には、本体3の形状を長尺状に形成することについては、記載も示唆もされておらず、甲5発明において、本体3を長尺状に形成することには、動機付けはない。
また、甲1、甲4、及び甲6から把握される公然実施発明1において、LEDユニットと反射板が設けられた本体は長尺状のものであることは認められるものの、これによって、甲5発明における本体3を長尺状に形成することの理由は見当たらない。
さらにいえば、仮に甲5発明における本体3を長尺状に形成したとしても、取付部45の取付アーム5を長手方向における両端部に取り付けるかは定かでなく、そのようにすることが容易であるともいえない。
そうすると、甲5発明において、公然実施発明1を踏まえて、相違点5-1に係る本件発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではないと認められる。
したがって、本件発明3は、甲5発明及び公然実施発明1(甲1、甲4、甲6)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 小括
以上から、本件発明3は、甲5発明及び公然実施発明1(甲1、甲4、甲6)に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないので、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(3)によって、請求項3に係る特許を取り消すことはできない。
(4)申立理由(4)について
ア 公然実施発明4
前記第5の1(1)~(3)に示すように、甲1、甲4、甲6において示される低温用照明器具の品番が全て符合していることから、本件特許出願前において、品番NFFJ46800の低温用照明器具の製品が販売され、甲1の施工説明書及び甲4の図面どおりの施工が実施されていたと認められる。
したがって、以下の発明(以下「公然実施発明4」という。)が本件特許出願前に公然実施されていたといえる。
「レースウェイに設けられたレースウェイ用M10取付ボルトに取り付けられる品番NFFJ46800の低温用照明器具用の一対の取付部であって、
前記一対の取付部のそれぞれは、
前記レースウェイ用M10取付ボルトが挿通される貫通孔が形成され、前記貫通孔が前記本体の長手方向に延びる長穴であり、前記レースウェイ用M10取付ボルトとナットにより連結される突出部と、
前記レースウェイの側とは反対側に向かって発光するLEDユニットと反射板が設けられた本体の長手方向における両端よりも外側に前記突出部が配置されるように前記本体に固定される固定部を有し、
前記一対の取付部のそれぞれは、前記本体の長手方向の両端側の部分に固定される品番NFFJ46800の低温用照明器具用の一対の取付部。」
イ 本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と公然実施発明4を対比する。
a 後者の「レースウェイ」が前者の「造営部」に相当し、後者の「レースウェイ用M10取付ボルト」が前者の「吊ボルト」に相当し、後者の「品番NFFJ46800の低温用照明器具」が前者の「照明装置」する。
そうすると、後者の「レースウェイに設けられたレースウェイ用M10取付ボルトに取り付けられる品番NFFJ46800の低温用照明器具用の一対の取付部」は、前者の「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置用の連結具」に相当する。
b 前記aから、後者の「前記レースウェイ用M10取付ボルトが挿通される貫通孔が形成され、前記貫通孔が前記本体の長手方向に延びる長穴であり、前記レースウェイ用M10取付ボルトとナットにより連結される突出部」は、前者の「前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトとナットにより連結される連結部」に相当する。
c 後者の「前記レースウェイの側とは反対側に向かって発光するLEDユニットと反射板が設けられた本体」は、前者の「少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源」「を有する灯具」に相当する。
そして、後者の「前記一対の取付部のそれぞれは、」「本体の長手方向における両端よりも外側に前記突出部が配置されるように前記本体に固定される固定部を有し、前記一対の取付部のそれぞれは、前記本体の長手方向の両端側の部分に固定される」ことと、前者の「灯具の長手方向における前記外郭の両端部よりも外側に配置されるように、前記連結部における前記外郭の側の端部から屈曲しており、前記灯具の長手方向における端面部に対してネジ止めにより固定される固定部と、を有する照明装置用の一対の端部連結具であ」ることは、「灯具の長手方向における両端部よりも外側に配置されるように、前記灯具の長手方向における端部に対して固定される固定部と、を有する照明装置用の一対の端部連結具であ」ることで共通する。
d 前記cの限りおいて、後者の「前記本体の長手方向の両端側の部分に固定される品番NFFJ46800の低温用照明器具用の一対の取付部」は、前者の「前記灯具の長手方向における前記両端部にそれぞれ取り付けられる照明装置用の連結具」に相当する。
そうすると、本件発明4と公然実施発明4は、
「造営部に設けられた吊ボルトに取り付けられる照明装置用の連結具であって、
前記吊ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されており、前記吊ボルトに対応した位置に配置された前記吊ボルトとナットにより連結される連結部と、
少なくとも前記造営部の側とは反対側に向かって発光する光源を有する灯具の長手方向における両端部よりも外側に配置されるように、前記灯具の長手方向における端部に対して固定される固定部と、
を有する一対の端部連結具であり、前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられる照明装置用の連結具。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点4-1]
灯具及び端部連結具に関して、本件発明4は、光源「及び少なくとも前記光源を覆う筒形状の透光性の外郭」を有する灯具であり、それゆえに、端部連結具は、灯具の長手方向における「前記外郭の」両端部よりも外側に配置されるように、「前記連結部における前記外郭の側の端部から屈曲しており、」前記灯具の長手方向における「端面部」に対して「ネジ止めにより」固定される固定部を有するのに対して、公然実施発明4は、かかる外郭を有することが特定されておらず、一対の取付部のそれぞれは、本体(灯具)の長手方向の「両端側の部分」に固定される点。
(イ)相違点についての検討
公然実施発明4は、既に製品化されている低温用照明器具に付随する一対の取付部であり、そのことにより何らかの不都合が生じることについて直ちに把握できないので、LEDユニットを筒形状の透光性の外郭で覆った上で、更に、取付部が外郭の両端部よりも外側に配置されるように、取付部の外郭の側の端部を屈曲させて、本体の長手方向における端面部に対してネジ止めにより固定する固定部を形成することに、動機付けは認められない。
また、甲3にも、照明装置の光源を覆う筒形状の透光性の外郭、及び外郭の両端部よりも外側に配置されるように、外郭の側の端部を屈曲させて、本体の長手方向における端面部に対してネジ止めにより固定する固定部を有する造営部との連結具については記載されていない。
そうすると、公然実施発明4において、甲3記載事項を踏まえ、相違点4-1に係る本件発明4の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
したがって、本件発明4は、公然実施発明4及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
以上から、本件発明4は、公然実施発明4(甲1、甲4、甲6)及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないので、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立理由(4)によって、請求項4に係る特許を取り消すことはできない。
(5)申立理由(5)について
ア 申立理由(5)の概要
特許異議申立書における申立理由(5)の概要は、要するに、請求項3の記載において、「吊りボルトと連結される連結部」、「第1連結具」の「前記連結部」、及び「第2連結具」の「前記連結部」の関係が不明であり、本件発明3が明確でないというものである。
イ 申立理由(5)の検討
本件訂正後の請求項3には、「前記吊ボルトと連結される連結部を有し、前記灯具と前記造営部との間に配置されるように前記灯具に取り付けられる連結具」、「長尺状に形成された前記灯具の長手方向における両端部にそれぞれ取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側となる位置に第1連結部が配置される一対の第1連結具」、及び「前記連結部を有し、長尺状を成すものであって、一対の前記第1連結具を介して前記灯具の長手方向における前記両端部に取り付けられた状態で、前記灯具の長手方向における前記両端部よりも内側となる位置で前記連結部が前記吊ボルトと連結する第2連結具と、を有し、前記第2連結具の前記連結部を第2連結部とした」、「前記第2連結具は」「連結用固定具によって前記第1連結部と連結されて前記第1連結具を支持する」との記載がある。
そして、これらの記載から、「第1連結具」の「第1連結部」は、「前記灯具の長手方向における前記両端部よりも外側となる位置に」「配置され」、「第2連結具」と連結されるものであること、及び「第2の連結具」の「前記連結部」は、「前記吊ボルトと連結される連結部」であり、「前記灯具の長手方向における前記両端部よりも内側となる位置で」「前記吊ボルトと連結する」ものであり、これを「第2連結部」ということが明確である。
したがって、本件発明3は、明確である。
ウ 小括
以上から、本件発明3は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
したがって、申立理由(5)によって、請求項3に係る特許を取り消すことはできない。
令和7年12月9日提出の意見書において、申立人は、新たに甲8(特開2009-224155号公報)及び甲11(特開2014-22139号公報)を提出し、本件発明3は、公然実施発明(甲1、甲4、甲6)、甲8に記載された事項、及び甲11に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであることを主張する。
しかしながら、特許異議申立書における本件発明3に対する申立理由は、前記1(3)で示したように、本件発明3は、甲5に記載された発明及び甲1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるというものであり、前記意見書における主張は、実質的に新たな理由及び証拠に基づくものであるので、これを採用することはできない。
なお、付言するに、公然実施発明1は、レースウェイを介した品番NFFJ46800の低温用照明器具の取り付け態様が既に製品化されたものであり、そのことにより何らかの不都合が生じることについて直ちに把握できないことから、他の技術事項を採用する動機付けはない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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