sokuhyo

Trademark Appeal Case

訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024701036
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7475510号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。
特許第7475510号の請求項1~3に係る特許を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7475510号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成31年2月27日に出願された特願2019-34212号の一部を令和5年3月8日に新たな特許出願としたものであって、令和6年4月18日に特許権の設定登録がされ、同年4月26日に特許掲載公報が発行された。

その後、特許異議申立人宮崎周子(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。

本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和6年10月21日 :特許異議の申立て(全請求項)

同年11月21日 :手続補正書(方式)

令和7年 3月 3日付け:取消理由通知書

同年 5月12日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出

同年 6月12日 :申立人より意見書の提出

同年 8月21日付け:取消理由通知書(決定の予告)

同年10月15日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出

同年12月 2日 :申立人より意見書の提出

なお、令和7年5月12日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否

1 訂正の内容

令和7年10月15日に提出された訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1

請求項1に

「被取付部に設けられた固定具が挿入される取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

前記固定具が挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と前記取付穴とが重なるように前記被取付部と前記照明器具との間に配置される接続ユニットと、」

とあるのを、

取付開口が形成された

被取付部に設けられた

複数の

固定具が挿入される

複数の

取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

複数の

前記固定具の

何れか

が挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と

複数の

前記取付穴と

それぞれ

重なるように

前記照明器具に対して位置決めされ、

前記被取付部と前記照明器具との間に配置される

複数の枠ブラケット部を有し、前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる

接続ユニットと、」

に訂正する。

請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する。

(2)訂正事項2

願書に添付した明細書の段落【0006】に

「本発明に係る照明装置は、被取付部に設けられた固定具が挿入される取付穴が形成された底部を有する照明器具と、固定具が挿入される固定穴が形成され、固定具の挿入方向に視て、固定穴と取付穴とが重なるように被取付部と照明器具との間に配置される接続ユニットと、」

とあるのを

「本発明に係る照明装置は、

取付開口が形成された

被取付部に設けられた

複数の

固定具が挿入される

複数の

取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

複数の

固定具

の何れか

が挿入される固定穴が形成され、固定具の挿入方向に視て、固定穴と

複数の

取付穴と

それぞれ

重なるように

照明器具に対して位置決めされ、

被取付部と照明器具との間に配置される

複数の枠ブラケット部を有し、前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる

接続ユニットと、」

に訂正する。

2 訂正の適否

(1)訂正事項1について

訂正事項1は、請求項1において、「被取付部」を「取付開口が形成された被取付部」とするとともに、「固定具」と「照明器具」の「取付穴」を、共に「複数の固定具」と「複数の取付穴」に特定するとともに、さらに、「接続ユニット」が、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される複数の枠ブラケット部を有し、前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる」ことを特定するものであるから、「固定具」と「照明器具」と「接続ユニット」の構成及び固定関係をより具体的に特定し、限定するものである。

したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項との関係を検討すると、【0071】「・・・

接続ユニット700は

、一対の枠側部720と、

枠ブラケット部710

と、枠端部730と

を有している

。」(下線は当審で付した。以下同様。)、【0074】「・・・

枠ブラケット部710は

、接続ユニット700の長手方向(X軸方向)において

2個設けられており

、・・・ブラケット本体部711には、

被取付部10に設けられているボルト等の固定具800が挿入されるブラケット固定穴711aが形成されている

。・・・」、【0075】「・・・

照明器具100

の底部111に形成された

第1の取付穴115

及び第2の取付穴116について説明する。図20に示すように、

第1の取付穴115は、被取付部10に設けられた固定具800が挿入され

、第2の取付穴116は、ブラケット突設部711bが挿入される。・・・」、【0076】「

枠ブラケット部710は

、照明器具100の底部111に載置された状態で、

ブラケット固定穴711aと第1の取付穴115とが重なり

、ブラケット突設部711bが第2の取付穴116に挿入される。・・・なお、

ブラケット固定穴711a及び第1の取付穴115には、被取付部10に設けられた固定具800が挿入される

。」との記載、及び【図14】、【図15】をみると、枠ブラケット部710が2つあることが図示されている。

また、【0079】「・・・次に、天井等の

被取付部10に照明装置1が埋め込まれる

場合の取り付けについて説明する。・・・そして、図23に示すように、接続ユニット700のブラケット固定穴711a及び

照明器具100が、被取付部10の取付開口10aに挿入される

。そして、

被取付部10に設けられた固定具800が、接続ユニット700のブラケット固定穴711a及び照明器具100の第1の取付穴115に挿入

され、ナット等の固定受け具801によって締め込まれる。・・・」との記載、及び【図22】、【図23】をみると、被取付部10に形成された取付開口10aに照明装置1が埋め込まれていることが図示されている。

そうすると、「固定具」と「取付穴」が「複数」あること、及び「複数の枠ブラケッ卜部」は、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ものであること、及び「被取付部」に「取付開口が形成され」、「接続ユニット」は「前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる」ものであることが、本件明細書等に記載されていると認められる。

したがって、訂正事項1は、本件明細書等の記載により導かれる事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。

そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について

訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴う、特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

また、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 一群の請求項について

訂正前の請求項1~3は、請求項2及び3が請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は一群の請求項〔1~3〕について請求されたものである。

4 訂正の請求についてのむすび

以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正後の発明

上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。

「【請求項1】

取付開口が形成された被取付部に設けられた複数の固定具が挿入される複数の取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される複数の枠ブラケット部を有し、前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる接続ユニットと、

前記照明器具に取り付けられ、光を照射する光源ユニットと、

前記固定具の前記挿入方向に視て、前記取付穴と重ならないように前記底部と前記光源ユニットとの間に配置される電源装置と、を備え、

前記照明器具及び前記接続ユニットは、

前記取付穴及び前記固定穴に挿入された前記固定具によって前記被取付部に固定される

照明装置。

【請求項2】

前記照明器具及び前記接続ユニットは、

前記取付穴及び前記固定穴に挿入された前記固定具に、固定受け具が締め込まれることによって前記被取付部に固定される

請求項1記載の照明装置。

【請求項3】

前記照明器具及び前記接続ユニットは、

一体化された状態で前記被取付部に固定される

請求項1又は2記載の照明装置。」

第4 取消理由通知の概要

令和7年8月21日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

取消理由2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

取消理由3(明確性要件)本件特許の請求項1~3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。

取消理由と請求項及び引用文献について

(1)引用文献等一覧

甲第1号証:特開2011-113658号公報

以下、甲第1号証等を「甲1」等という。

(2)取消理由2

主引例:甲1

請求項1~3

(3)取消理由3

請求項1には、「枠ブラケッ卜部」と記載されているところ、「枠」について、その形状、大きさ、配置、数等が何ら特定されていないことから、本件発明1の「照明装置」において、「枠」の構成や果たす機能が不明であるため、「枠ブラケッ卜部」がブラケットとしてどのようなものであるのか具体的に特定できず、請求項1の「枠ブラケッ卜部」は明確でない。

よって、請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2及び3に係る発明は、明確でない。

第5 当審の判断

1 取消理由3(明確性要件)について

事案に鑑み、取消理由3(明確性要件)から検討する。

請求項1の記載によれば、「枠ブラケット部」は、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され」ており、「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」て、「前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ものであれば足りるものであることが理解できるから、本件発明1は、明確である。

したがって、本件発明1、本件発明1を引用する本件発明2及び3は明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合するから、取消理由3によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。

2 取消理由2(進歩性)について

(1)甲1について

ア 甲1の記載事項

甲1には、以下の記載がある(なお、括弧内に主な参照箇所を示す。以下同様。)。

(ア)照明器具10は、照明ユニット部11と、非常灯ユニット部12と、補強板部材14を備えている(段落【0017】)。

(イ)照明ユニット部11は、器具本体15と、2本の直管型の蛍光ランプ(ランプ)16と、安定器17を備えている(段落【0017】)。

(ウ)器具本体15は電気部品収容部24を有し、電気部品収容部24の天部の下面に、安定器17が取り付けられている(段落【0018】)。

(エ)電気部品収容部24の天部には、一対の取付ボルト孔26が設けられている(段落【0018】)。

(オ)取付ボルト孔26には、天井施工面1から床面に向けて突出設置されている一対の取付ボルト2が挿通され、取付ボルト2に座金3を介してナット4がそれぞれねじ込まれる(段落【0018】)。

(カ)補強板部材14の天板32には、取付ボルト孔34が形成されている(段落【0022】)。

(キ)補強板部材14の上面から、器具本体15の電気部品収容部24の天部および非常灯ボックス19の電気部品収容部29の天部にネジ50がそれぞれネジ込まれる。そして、補強板部材14の取付ボルト孔34、器具本体15の取付ボルト孔26が一方の取付ボルト2に挿通され、座金3を介してナット4が取付ボルト2にねじ込まれることにより、結合された器具本体16(当審注:「器具本体15」の誤記と認める。)および非常灯ボックス19が天井施工面1に取り付けられる(段落【0029】)。

(ク)【図2】には以下の内容が示されている。

137

86

0001435167000001.jpg

(ケ)照明器具10は、補強板部材14により照明ユニット部11と非常灯ユニット部12とを一体に結合して天井施工面1に直接取り付けられる(段落【0017】)。

イ 甲1の認定事項

上記アによれば、甲1の記載から以下の事項が認定できる。

(ア)器具本体15は、その電気部品収容部24の天部に2つの取付ボルト孔26が形成されており、2つの取付ボルト孔26には、天井施工面1に設けられた2本の取付ボルト2が挿通される(上記ア(エ)(オ))。

(イ)補強板部材14には、2本の取付ボルト2の一方が挿入される取付ボルト孔34が形成されており、【図2】によれば、補強板部材14は、取付ボルト2の挿通方向に視ると、取付ボルト孔34と2つの取付ボルト孔26の一方とが重なるように天井施工面1と器具本体15との間に配置されることが看取される(上記ア(カ)~(ク))。

(ウ)蛍光ランプ16は、器具本体15に取り付けられている(上記ア(イ)(ク))。蛍光ランプ16が光を照射するものであることは自明である。

(エ)【図2】によれば、安定器17は、取付ボルト2の挿通方向に視ると、取付ボルト孔26と重ならないように、電気部品収容部24の天部と、ランプソケット28に装着される蛍光ランプ16との間に配置されていることが看取される(上記ア(イ)(ク))。

(オ)器具本体15及び補強板部材14は、取付ボルト孔26及び取付ボルト孔34に挿通された取付ボルト2に、ナット4がねじ込まれることによって天井施工面1に固定される(上記ア(キ))。

(カ)器具本体15と補強板部材14は、補強板部材14の上面からネジ50がネジ込まれて一体に結合された状態で、天井施工面1に固定される(上記ア(キ)(ケ))。

(キ)補強板部材14は、器具本体15を有する照明ユニット部11と非常灯ボックス19を有する非常灯ユニット部12を一体に結合して天井施工面1に取り付ける(上記ア(キ)~(ケ))。

ウ 甲1に記載された発明

上記ア及びイを踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「天井施工面1に設けられた2本の取付ボルト2が挿通される2つの取付ボルト孔26が形成された電気部品収容部24の天部を有する器具本体15と、

2本の取付ボルト2の一方が挿通される取付ボルト孔34が形成され、取付ボルト2の挿通方向に視て、取付ボルト孔34と2つの取付ボルト孔26の一方とが重なるように天井施工面1と器具本体15との間に配置され、器具本体15を有する照明ユニット部11と非常灯ボックス19を有する非常灯ユニット部12を一体に結合して天井施工面1に取り付ける補強板部材14と、

器具本体15に取り付けられ、光を照射する蛍光ランプ16と、

取付ボルト2の挿通方向に視て、取付ボルト孔26と重ならないように電気部品収容部24の天部と蛍光ランプ16との間に配置される安定器17と、を備え、

器具本体15及び補強板部材14は、

取付ボルト孔26及び取付ボルト孔34に挿通された取付ボルト2によって天井施工面1に固定されるものであり、

器具本体15及び補強板部材14は、

取付ボルト孔26及び取付ボルト孔34に挿通された取付ボルト2に、ナット4がねじ込まれることによって天井施工面1に固定され、

器具本体15及び補強板部材14は、

一体に結合された状態で天井施工面1に固定される、

照明器具10。」

(2)本件発明1について

ア 対比

(ア)本件発明1と甲1発明を対比すると、後者の「天井施工面1」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、「取付ボルト2」は「固定具」に、「挿通」は「挿入」に、「取付ボルト孔26」は「取付穴」に、「電気部品収容部24の天部」は「底部」に、「取付ボルト孔34」は「固定穴」に、「蛍光ランプ16」は「光源ユニット」に、「安定器17」は「電源装置」に、それぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、後者の「器具本体15」は、前者の「照明器具」に相当する。

(ウ)後者の「補強板部材14」は、「器具本体15」と共に「天井施工面1」に固定されるものであるから、上記(ア)及び(イ)を踏まえると、前者の「接続ユニット」に相当する。

(エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえると、後者の「照明器具10」は、前者の「照明装置」に相当する。

(オ)後者の「取付ボルト2」が「2本」であることは、前者の「固定具」が「複数」であることに相当する。

(カ)後者の「取付ボルト孔26」が「2つ」であることは、前者の「取付穴」が「複数」であることに相当する。

(キ)後者の「補強板部材14」は、「取付ボルト2の挿通方向に視て、取付ボルト孔34と2つの取付ボルト孔26の一方とが重なるように天井施工面1と器具本体15との間に配置される」ものであるから、「補強板部材14」が「器具本体15」に対して位置決めされていることは明らかである。

そうすると、後者の「2本の取付ボルト2の一方が挿通される取付ボルト孔34が形成され、取付ボルト2の挿通方向に視て、取付ボルト孔34と2つの取付ボルト孔26の一方とが重なるように天井施工面1と器具本体15との間に配置され」る態様と、前者の「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれが重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」態様とは、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とが重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」態様の点で共通する。

(ク)上記1で説示したとおり、本件発明1の「枠ブラケット部」は、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され」ており、「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」て、「前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ものであれば足りるものである。

そうすると、後者の「補強板部材14」は、「2本の取付ボルト2の一方が挿通される取付ボルト孔34が形成され」ており、「取付ボルト2の挿通方向に視て、取付ボルト孔34と2つの取付ボルト孔26の一方とが重なるように天井施工面1と器具本体15との間に配置され」ているから、上記(キ)を踏まえると、前者の「枠ブラケッ卜部」に相当するといえる。

(ケ)したがって両者は、

「被取付部に設けられた複数の固定具が挿入される複数の取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴と重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される枠ブラケット部を有する接続ユニットと、

前記照明器具に取り付けられ、光を照射する光源ユニットと、

前記固定具の前記挿入方向に視て、前記取付穴と重ならないように前記底部と前記光源ユニットとの間に配置される電源装置と、を備え、

前記照明器具及び前記接続ユニットは、

前記取付穴及び前記固定穴に挿入された前記固定具によって前記被取付部に固定される

照明装置。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1-1>

枠ブラケッ卜部に関し、本件発明1は、「複数」であり、それゆえ、前記固定穴と複数の前記取付穴と「それぞれ」重なるように前記照明器具に対して位置決めされるのに対して、甲1発明は、1つである点。

<相違点1-2>

被取付部に関し、本件発明1は、「取付開口が形成された」ものであり、それゆえ、前記照明器具を「前記取付開口に埋め込ませる」ものであるのに対して、甲1発明は、「天井施工面1」であり、それゆえ、「器具本体15」を「天井施工面1に取り付ける」ことで「天井施工面1に固定される」ものである点。

イ 判断

事案に鑑み、相違点1-2から検討する。

甲1発明は、「本発明は、例えば住宅や工場等の

天井施工面に直接取り付けられる照明器具

に関し、特に非常灯を装備した照明器具に関する。」(段落【0001】)ものであって、本件発明1の「器具本体15及び補強板部材14は、取付ボルト孔26及び取付ボルト孔34に挿通された取付ボルト2によって天井施工面1に固定されるものであり、器具本体15及び補強板部材14は、取付ボルト孔26及び取付ボルト孔34に挿通された取付ボルト2に、ナット4がねじ込まれることによって天井施工面1に固定され、器具本体15及び補強板部材14は、一体に結合された状態で天井施工面1に固定される」との構成により、「本発明において、天井施工面に有する取付ボルトに挿通された補強板は、取付ボルトへのネジ込みに伴うモーメントにより湾曲し、補強板の湾曲に伴い、ダボを介して

器具本体および非常灯ボックスが天井施工面に密着されるために、器具本体および非常灯ボックスと天井施工面との間に無駄な隙間ができない

。」(段落【0012】)という特有の効果を発揮するものであるから、取付開口が形成された被取付部に照明器具を埋め込ませるような取り付け形態に変更すると、その特有の効果を失うものとなる。

そうすると、甲1発明は、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることの阻害事由があるといえる。

したがって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

ウ 小括

以上のとおりであるから、相違点1-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)本件発明2及び3について

本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(4)取消理由2のまとめ

以上のとおり、本件発明1~3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1~3は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、取消理由2によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。

3 まとめ

以上のとおりであるから、令和7年8月21日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことができない。

第6 取消理由通知(予告)において採用しなかった特許異議申立理由

申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。

甲2:特開2002-15617号公報

甲3:特開2006-351475号公報

甲4:特開2019-3748号公報

申立理由1(特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号):新規性)

1-1(甲1を主引例とした場合)

本件特許発明1~3は、甲1に記載の発明と同一である。

1-2(甲2を主引例とした場合)

本件特許発明1~3は、甲2に記載の発明と同一である。

1-3(甲3を主引例とした場合)

本件特許発明1及び2は、甲3に記載の発明と同一である。

1-4(甲4を主引例とした場合)

本件特許発明1は、甲4に記載の発明と同一である。

申立理由2(特許法第29条第2項(同法第113条第2号):進歩性)

2-2(甲2を主引例とした場合)

本件特許発明1~3は、甲2に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

2-3(甲3を主引例とした場合)

本件特許発明1及び2は、甲3に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

2-4(甲4を主引例とした場合)

本件特許発明1は、甲4に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

申立理由3(特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号):サポート要件)

請求項1は、照明器具の底部が光源ユニットよりも被取付部側に配置される構成と、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成(すなわち、照明器具の底部が光源ユニットよりも、被取付部と反対側に配置される構成)とを含むといえるのに対し、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成が開示されていないから、本件特許発明1は、明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、サポート要件を満たしていない。

本件特許発明1に従属する本件特許発明2及び3も、サポート要件を満たしていない。

申立理由4(特許法第36条第6項第4号(同法第113条第4号):明確性要件)

請求項1は、照明器具の底部が光源ユニットよりも被取付部側に配置される構成と、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成(すなわち、照明器具の底部が光源ユニットよりも、被取付部と反対側に配置される構成)とを含むといえるのに対し、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成が開示されていないから、本件特許発明1は、明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、明確性要件を満たしていない。

本件特許発明1に従属する本件特許発明2及び3も、明確性要件を満たしていない。

第7 取消理由通知(予告)において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断

事案に鑑み、申立理由3及び4から検討する。

1 申立理由3(サポート要件)について

本件発明1は、「取付開口が形成された被取付部」に対して、「前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる」ものである。

そして、「前記照明器具に取り付けられ、光を照射する光源ユニット」は、埋め込まれた照明器具よりも被取付部側にあると光を照射することができなくなることが自明である。

そうすると、本件発明1は、照明器具の底部が光源ユニットよりも被取付部側に配置される構成に実質的に特定されているのであり、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成を含むものではないことが理解できる。

したがって、申立理由3は、その前提である「請求項1は、照明器具の底部が光源ユニットがよりも被取付部側に配置される構成と、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成(すなわち、照明器具の底部が光源ユニットよりも、被取付部と反対側に配置される構成)とを含むといえる」ことに誤りがある。

そして、本件特許の発明の詳細な説明には、段落【0079】~【0080】、【図22】~【図24】に、照明器具の底部が光源ユニットよりも被取付部側に配置されることが記載されている。

したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものである。

本件発明1を引用する本件発明2及び3も同様である。

以上のとおり、本件発明1~3は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合するから、申立理由31によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。

2 申立理由4(明確性要件)について

上記1で説示したとおり、本件発明1は、照明器具の底部が光源ユニットよりも被取付部側に配置される構成に実質的に特定されているのであり、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成を含むものではないことが理解できるから、申立理由4は、その前提である「請求項1は、照明器具の底部が光源ユニットがよりも被取付部側に配置される構成と、光源ユニットが照明器具の底部よりも被取付部側に配置される構成(すなわち、照明器具の底部が光源ユニットよりも、被取付部と反対側に配置される構成)とを含むといえる」ことに誤りがある。

そして、本件発明1は、照明器具の底部が光源ユニットよりも被取付部側に配置される構成に実質的に特定されているから、明確である。

本件発明1を引用する本件発明2及び3も同様である。

したがって、本件発明1~3は明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合するから、申立理由4によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。

3 申立理由1-1(甲1を主引例とした場合の新規性)について

(1)甲1について

上記第5の2(1)のとおり、甲1には、甲1発明が記載されていると認められる。

(2)本件発明1について

ア 対比

上記第5の2(2)アのとおり、本件発明1と甲1発明を対比すると、相違点1-1及び相違点1-2で相違する。

イ 判断

相違点1-1及び相違点1-2は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明ではない。

(3)本件発明2及び3について

本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲1発明ではない。

(4)申立理由1-1のまとめ

以上のとおり、本件発明1~3は、甲1発明ではないから、本件発明1~3は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、申立理由1-1によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。

4 申立理由1-2及び申立理由2-2(甲2を主引例とした場合の新規性・進歩性)について

(1)甲2について

ア 甲2の記載事項

甲2には、以下の記載がある。

(ア)照明器具は、給電部品台2を器具本体1に設けている(段落【0023】)。

(イ)器具本体1は、天井材の背面側となる天井裏に、建物側から垂下された設置ボルト17を介して固定される(段落【0041】)。

(ウ)器具本体1には、設置ボルト17を貫通させる固定孔1jが形成されている(段落【0041】)。

(エ)給電部品台2は、平板部の略中央位置に安定器3が取り付けられ、安定器3より外側位置には、器具本体1の固定孔1jに貫通された設置ボルト17に装着される、器具本体1の取付具となるナット18及び座金19を取付面側に露出させる小開口2gが穿設されている(段落【0043】)。

(オ)給電部品台2に設けられた光源ランプ用ソケット4c、4dに、蛍光ランプ14を取り付ける(段落【0041】、【0043】)。

(カ)【図4】には以下の内容が示されている。

108

57

0001435167000002.jpg

(キ)照明器具は、まず、ツマミネジ15を介して給電部品台2の固定された器具本体1を、給電部品台2の小開口2gから設置ボルト17を露出させて、座金19、及びナット18を用いて設置ボルト17に取り付ける(段落【0044】)。

イ 甲2の認定事項

上記アによれば、甲2の記載から以下の事項が認定できる。

(ア)給電部品台2の平板部には、天井裏に建物側から垂下された2本の設置ボルト17に装着されるナット18及び座金19を取付面側に露出させる2つの小開口2gが穿設されている(上記ア(イ)(ウ)(カ))。

(イ)器具本体1には、2本の設置ボルト17を貫通させる2つの固定孔1jが形成されている(上記ア(エ)(カ))。

(ウ)上記(ア)(イ)(カ)によれば、2つの固定孔1jと2つの小開口2gに2本の設置ボルト17が貫通するのだから、設置ボルト17の貫通方向に視れば、2つの固定孔1jと2つの小開口2gとが重なるように配置されているといえる。また、器具本体1は、天井裏と給電部品台2との間に配置される。

(エ)蛍光ランプ14は、給電部品台2に取り付けられる(上記ア(オ))。蛍光ランプ14が光を照射するものであることは自明である。

(オ)給電部品台2の小開口2gは、安定器3より外側位置に穿設されているのだから、設置ボルト17の貫通方向に視れば、安定器3は、小開口2gと重ならないように配置されている(上記ア(イ))。

(カ)上記ア(オ)を踏まえて【図4】をみると、安定器3は、給電部品台2の平板部と、光源ランプ用ソケット4c、4dに取り付けられた蛍光ランプ14との間に配置されていることが看取される。

(キ)上記(ア)~(カ)によれば、給電部品台2及び器具本体1は、2つの固定孔1jと2つの小開口2gを貫通した2本の設置ボルト17に、ナット18が装着されることによって天井裏に固定される(上記ア(イ)(カ))。

(ク)給電部品台2及び器具本体1は、器具本体1に給電部品台2を固定した状態で天井裏に固定される(上記ア(キ))。

ウ 甲2に記載された発明

上記ア及びイを踏まえると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「天井裏に建物側から垂下された2本の設置ボルト17が貫通する2つの小開口2gが穿設された平板部を有する給電部品台2と、

2本の設置ボルト17を貫通させる2つの固定孔1jが形成され、設置ボルト17の貫通方向に視て、2つの固定孔1jと2つの小開口2gとが重なるように天井裏と給電部品台2との間に配置される器具本体1と、

給電部品台2に取り付けられ、光を照射する蛍光ランプ14と、

設置ボルト17の貫通方向に視て、小開口2gと重ならないように平板部と蛍光ランプ14との間に配置される安定器3と、を備え、

給電部品台2及び器具本体1は、

固定孔1jと小開口2gを貫通した設置ボルト17によって天井裏に固定されるものであり、

給電部品台2及び器具本体1は、

小開口2g及び固定孔1jを貫通した設置ボルト17に、ナット18が装着されることによって天井裏に固定され、

給電部品台2及び器具本体1は、

器具本体1に給電部品台2を固定した状態で天井裏に固定される

照明器具。」

(2)本件発明1について

ア 対比

(ア)本件発明1と甲2発明を対比すると、後者の「天井裏」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、「設置ボルト17」は「固定具」に、「貫通」は「挿入」に、「小開口2g」は「取付穴」に、「穿設された」は「形成された」に、「平板部」は「底部」に、「固定孔1j」は「固定穴」に、それぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、後者の「設置ボルト17」が「天井裏に建物側から垂下された」ものであることは、前者の「固定具」が「被取付部に設けられた」ものであることに相当する。

そして、後者の「設置ボルト17」が「2本」であることは、前者の「固定具」が「複数」であることに相当する。

また、後者の「天井裏」は、【図4】によれば、下方にある天井開口部の上方に位置することが看取できる。

そうすると、後者の「天井裏」の下方に天井開口部がある態様は、前者の「被取付部」に「取付開口が形成された」態様に相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、後者の「給電部品台2」は、前者の「照明器具」に相当する。

そして、後者の「給電部品台2」の「小開口2g」が「2つ」であることは、前者の「照明器具」の「取付穴」が「複数」であることに相当する。

(エ)後者の「器具本体1」は、「給電部品台2」と共に「天井裏」に固定されるものであるから、上記(ア)~(ウ)を踏まえると、前者の「接続ユニット」に相当する。

(オ)後者の「2つの固定孔1j」に「2本の設置ボルト17を貫通させ」ることと、前者の「固定穴」に「複数の前記固定具の何れかが挿入される」こととは、「固定穴」に「前記固定具の何れかが挿入される」ことの点で共通する。

(カ)後者の「器具本体1」は、取り付けのために「給電部品台2」に対して位置決めされることが明らかである。

そうすると、後者の「器具本体1」が、「設置ボルト17の貫通方向に視て、2つの固定孔1jと2つの小開口2gとが重なるように天井裏と給電部品台2との間に配置される」ことと、前者の「複数の枠ブラケット部」が「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」こととは、「枠ブラケット部」が「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と前記取付穴とが重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ことの点で共通する。

そして、上記第5の1で説示したとおり、本件発明1の「枠ブラケット部」は、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され」ており、「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」て、「前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ものであれば足りるものである。

そうすると、上記の限りにおいて、後者の「器具本体1」は、前者の「枠ブラケット部」に相当する。

(キ)上記(イ)を踏まえると、後者の「給電部品台2及び器具本体1」が「天井裏に固定される」ものであることは、前者の「前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる」ことに相当する。

(ク)上記(ア)~(キ)を踏まえると、後者の「照明器具」は、前者の「照明装置」に相当する。

(ケ)そうすると両者は、

「取付開口が形成された被取付部に設けられた複数の固定具が挿入される複数の取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

前記固定具が挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と前記取付穴が重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される枠ブラケット部を有し、前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる接続ユニットと、

前記照明器具に取り付けられ、光を照射する光源ユニットと、

前記固定具の前記挿入方向に視て、前記取付穴と重ならないように前記底部と前記光源ユニットとの間に配置される電源装置と、を備え、

前記照明器具及び前記接続ユニットは、

前記取付穴及び前記固定穴に挿入された前記固定具によって前記被取付部に固定される

照明装置。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2-1>

枠ブラケット部に関し、本件発明1は、「複数の」枠ブラケット部であり、それゆえ、「複数の前記固定具の何れか」が挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と「複数の前記取付穴とそれぞれ」重なるように前記照明器具に対して位置決めされるものであるのに対して、甲2発明の「器具本体1」は1つであり、それゆえ、2本の設置ボルト17を貫通させる2つの固定孔1jが形成され、設置ボルト17の貫通方向に視て、2つの固定孔1jと2つの小開口2gとが重なるように天井裏と給電部品台2との間に配置されるものである点。

イ 判断

相違点2-1は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲2発明ではない。

甲2発明の「器具本体1」は、それ1つで給電部品台2を含む全ての部品を取り付けできる本体を構成するものであるから、これを複数とすることの阻害事由がある。

また仮に、甲2発明の「器具本体1」を複数にしたとしても、複数の「器具本体1」のそれぞれについて、2本の設置ボルト17を貫通させる2つの固定孔1jが形成され、設置ボルト17の貫通方向に視て、2つの固定孔1jと2つの小開口2gとが重なるように天井裏と給電部品台2との間に配置されるものとなるだけであるから、相違点2-1に係る本件考案1の発明特定事項に到達しない。

したがって、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

ウ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明ではなく、また、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)本件発明2及び3について

本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲2発明ではなく、また、本件発明2及び3は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(4)申立理由1-2及び2-2のまとめ

以上のとおり、本件発明1~3は、甲2発明ではないから、本件発明1~3は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものということはできない。

また、本件発明1~3は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1~3は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、申立理由1-2及び2-2によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。

5 申立理由1-3及び申立理由2-3(甲3を主引例とした場合の新規性・進歩性)について

(1)甲3について

ア 甲3の記載事項

甲3には、以下の記載がある。

(ア)照明器具は、外本体1と、内本体2を有する(段落【0010】)。

(イ)取付個所は天井5である(段落【0011】)。

(ウ)外本体1は、細長板形状で、天井5より突出した取付ボルト6に挿通する挿通孔7を有する(段落【0011】)。

(エ)内本体2は、外本体1と相似で、取付ボルト6を通すための孔21が形成されている(段落【0012】)。

(オ)内本体2には、安定器14、制御部17、直管ランプ29が取り付けられる(段落【0012】)。

(カ)取付ボルト6には、座金27が挿通され、ナット28がねじ込まれる(段落【0012】)。

(キ)【図1】には以下の内容が示されている。

72

62

0001435167000003.jpg

(ク)内本体2には、外本体1の連結孔9に通す連結ねじ32を通す被連結孔22が形成されている(段落【0012】)。

(ケ)挿通孔7の一方をシールするシール部材10、及び挿通孔7の残りをシールするシール部材11が、外本体1の外側に配置されている(段落【0011】)。

イ 甲3の認定事項

上記アによれば、甲3の記載から以下の事項が認定できる。

(ア)内本体2は外本体1と相似であり(上記ア(エ))、外本体1は細長板形状である(上記ア(ウ))のだから、内本体2も細長板形状である。

(イ)上記(ア)を踏まえて【図1】をみると、天井5より突出した2本の取付ボルト6を通す孔21は、内本体2の細長板形状部分に形成されていることが看取される。

(ウ)外本体1は、2本の取付ボルト6に挿通する2つの挿通孔7を有している(上記ア(ウ)(キ))ところ、内本体2の孔21と外本体1の挿通孔7に取付ボルト6が挿通する(上記ア(ウ)(エ))ことを踏まえ、【図1】において取付ボルト6の挿入方向に視れば、外本体1は、2つの挿通孔7と2つの孔21とが重なるように天井5と内本体2との間に配置されることが看取できる。また、挿通孔7の一方をシールするシール部材10、及び挿通孔7の残りをシールするシール部材11が、外本体1の外側に配置されている(上記ア(ケ))。

(エ)直管ランプ29が光を照射するものであることは自明である。

(オ)【図1】から、取付ボルト6の挿入方向に視れば、安定器14及び制御部17は、孔21と重ならないように細長板形状部分と直管ランプ29との間に配置されることが看取できる。

(カ)内本体2及び外本体1は、2つの孔21及び2つの挿通孔7に挿通された2本の取付ボルト6によって天井5に固定される(上記ア(ウ)(エ)(カ))。

(キ)内本体2及び外本体1は、孔21及び挿通孔7に挿通された取付ボルト6にナット28がねじ込まれることで天井5に固定される(上記ア(ウ)(エ)(カ))。

(ク)上記ア(ク)の連結ねじ32による内本体2と外本体1の連結について、【図1】をみると、連結ねじ32は外本体1の天井5側から通しているため、外本体1を天井5に固定する前に、内本体2と外本体1を連結ねじ32により連結した状態としてから天井5に固定することが明らかである。

ウ 甲3発明

上記ア及びイを踏まえると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「天井5より突出した2本の取付ボルト6を通す孔21が形成された細長板形状部分を有する内本体2と、

2本の取付ボルト6に挿通する2つの挿通孔7を有し、取付ボルト6の挿入方向に視て、2つの挿通孔7と2つの孔21とが重なるように天井5と内本体2との間に配置される外本体1と、

内本体2に取り付けられ、光を照射する直管ランプ29と、

取付ボルト6の挿入方向に視て、孔21と重ならないように細長板形状部分と直管ランプ29との間に配置される安定器14及び制御部17と、を備え、

内本体2及び外本体1は、

2つの孔21及び2つの挿通孔7に挿通された2本の取付ボルト6によって天井5に固定されるものであり、

内本体2及び外本体1は、

孔21及び挿通孔7に挿通された取付ボルト6にナット28がねじ込まれることで天井5に固定され、

内本体2及び外本体1は、

連結した状態で天井5に固定され、

挿通孔7の一方をシールするシール部材10、及び挿通孔7の残りをシールするシール部材11が、外本体1の外側に配置されている、

照明器具。」

(2)本件発明1について

ア 対比

(ア)本件発明1と甲3発明を対比すると、後者の「天井5」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、「取付ボルト6」は「固定具」に、「孔21」は「取付穴」に、「細長板形状部分」は「底部」に、「挿通孔7」は「固定穴」に、「直管ランプ29」は「光源ユニット」に、「安定器14及び制御部17」は「電源装置」に、それぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、後者の「取付ボルト6」が「天井5より突出した」ものであることは、前者の「固定具」が「被取付部に設けられた」ものであることに相当し、後者の「孔21」が「取付ボルト6を通す」ものであることは、前者の「取付穴」が「固定具が挿入される」ものであることに相当する。

また、後者の「取付ボルト6」が「2本」であることは、前者の「固定具」が「複数」であることに相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、後者の「内本体2」は、前者の「照明器具」に相当する。

(エ)上記(ア)を踏まえると、後者の「挿通孔7」が「取付ボルト6に挿通する」ものであることは、前者の「固定穴」が「前記固定具が挿入される」ものであることに相当し、後者の「挿通孔7を有」することは、前者の「固定穴が形成され」ることに相当する。

(オ)後者の「外本体1」は、「内本体2」と共に「天井5」に固定されるものであるから、上記(ア)~(エ)を踏まえると、前者の「接続ユニット」に相当する。

後者の「外本体1の外側に配置されている」「シール部材10」及び「シール部材11」は、それぞれ「挿通孔7の一方をシール」し「挿通孔7の残りをシール」するものであり、【図1】によれば、「外本体1」の「2つの挿通孔7」と重なって、「2本の取付ボルト6」がそれぞれ挿通される孔を備えていることが看取される。

ここで、上記第5の1で説示したとおり、本件発明1の「枠ブラケット部」は、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され」ており、「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」て、「前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ものであれば足りるものである。

そうすると、後者の「シール部材10」と「シール部材11」に、「2本の取付ボルト6」がそれぞれ挿通される孔を備えていることは、前者の「複数の枠ブラケット部」に「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され」ていることに相当する。

また、後者の「シール部材10」と「シール部材11」、「外本体1」の「2つの挿通孔7」と重なって、「2本の取付ボルト6」がそれぞれ挿通される孔を備えていることは、前者の「複数の枠ブラケット部」が、「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」ることに相当する。

そして、後者の「シール部材10」と「シール部材11」が、「外本体1の外側に配置されている」ことは、前者の「複数の枠ブラケット部」が、「前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ことに相当する。

以上の限りにおいて、後者の「シール部材10」及び「シール部材11」は、前者の「複数の枠ブラケット部」に相当するといえる。

(カ)上記(ア)~(オ)を踏まえると、後者の「照明器具」は、前者の「照明装置」に相当する。

(キ)そうすると両者は、

「被取付部に設けられた複数の固定具が挿入される複数の取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される複数の枠ブラケット部を有し、接続ユニットと、

前記照明器具に取り付けられ、光を照射する光源ユニットと、

前記固定具の前記挿入方向に視て、前記取付穴と重ならないように前記底部と前記光源ユニットとの間に配置される電源装置と、を備え、

前記照明器具及び前記接続ユニットは、

前記取付穴及び前記固定穴に挿入された前記固定具によって前記被取付部に固定される

照明装置。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点3-1>

被取付部に関し、本件発明1は、「取付開口が形成された」ものであり、それゆえ、前記照明器具を「前記取付開口に埋め込ませる」ものであるのに対して、甲3発明は、「天井5」であり、それゆえ、内本体2及び外本体1は、「天井5に固定されるもの」である点。

イ 判断

相違点3-1は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲3発明ではない。

甲3発明の「シール部材10」及び「シール部材11」は、「外本体1の外側に配置」されて、天井5との間に挟まれることで、「シール部材10」が「外本体1」の「挿通孔7の一方をシール」し、「シール部材11」が「外本体1」の「挿通孔7の残りをシール」するという特有の効果を発揮するものであるから、取付開口が形成された被取付部に照明器具を埋め込ませるような取り付け形態に変更すると、その特有の効果を失うものとなる。

そうすると、甲3発明は、相違点3-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることの阻害事由があるといえる。

したがって、本件発明1は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

ウ 申立人の主張について

申立人は、令和7年12月2日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、概略、以下のような主張をしている。

(4~5ページ)甲3発明に、甲2に記載された「取付開口が形成された被取付部」と「前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる接続ユニット」を適用することは、容易になし得るものである。

上記主張について検討する。

上記イで説示したとおり、本件発明1の「複数の枠ブラケット部」に対応する甲3発明の「シール部材10」及び「シール部材11」は、天井5との間に挟まれることでシール機能を発揮するものであるから、甲2に記載されているような取付開口に取り付けると、天井との間で挟まれなくなり、シール機能が損なわれることとなるため、甲2に記載された「取付開口が形成された被取付部」と「前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる接続ユニット」を適用することの阻害事由がある。

したがって、上記主張を採用することはできない。

エ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3発明ではなく、また、本件発明1は、甲3発明及び甲2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2は、甲3発明ではなく、また、本件発明2は、甲3発明及び甲2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(4)申立理由1-3及び2-3のまとめ

以上のとおり、本件発明1及び2は、甲3発明ではないから、本件発明1及び2は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものということはできない。

また、本件発明1及び2は、甲3発明及び甲2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、申立理由1-3及び2-3によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

6 申立理由1-4及び申立理由2-4(甲4を主引例とした場合の新規性・進歩性)について

(1)甲4について

ア 甲4の記載事項

甲4には、以下の記載がある。

(ア)照明器具500は、本体ユニット100と、光源ユニット200を備える(段落【0015】)。

(イ)本体ユニット100は本体部110を備え(段落【0016】)、本体部110は、本体パッキン111と、本体パッキン111が取り付けられる筐体112と、筐体112 に取り付けられ、光源ユニット200が取り付けられる光源ユニット取付部113とを有する(段落【0017】)。

(ウ)筐体112は、底部117を有する(段落【0018】)。

(エ)本体パッキン111と底部117には、天井等の被取付部にねじ等の固定具によって照明器具500を取り付けるための固定穴115が、本体パッキン111、底部117間で連通するように形成される(段落【0020】)。

(オ)常用点灯装置120は、光源モジュール220に電気的に接続されている。常用点灯装置120は、商用電源から電力が供給されると、光源モジュール220に電力を供給し、光源モジュール220を点灯させる(段落【0022】)。

(カ)【図4】には以下の内容が示されている。

103

62

0001435167000004.jpg

(キ)【図7】には以下の内容が示されている。

102

69

0001435167000005.jpg

イ 甲4の認定事項

上記アによれば、甲4の記載から以下の事項が認定できる。

(ア)照明器具500は、天井等の被取付部に、ねじ等の固定具によって固定されるものである(上記ア(エ))。

(イ)筐体112の底部117には、ねじ等の固定具が挿入される固定穴115が2つ形成されている(上記ア(ウ)(エ)(カ)(キ))。

(ウ)本体パッキン111には、ねじ等の固定具が挿入される固定穴115が2つ形成されている(上記ア(ウ)(エ)(カ)(キ))。

(エ)筐体112の固定穴115と本体パッキン111の固定穴115は、連通するように形成される(上記ア(エ))ものであることを踏まえ、【図4】及び【図7】から、ねじ等の固定具の挿入方向に視れば、本体パッキン111は、筐体112の固定穴115と本体パッキン111の固定穴115とが連通するように天井等の被取付部と筐体112との間に配置されることが看取される。

(オ)光源ユニット200は、筐体112 に取り付けられている(上記ア(イ))。光源ユニット200が光を照射するものであることは自明である。

(カ)【図7】から、ねじ等の固定具の挿入方向に視れば、常用点灯装置120は、筐体112の固定穴115と重ならないように底部117と光源ユニット200との間に配置されることが看取される。

(キ)筐体112及び本体パッキン111は、筐体112の2つ固定穴115及び本体パッキン111の2つ固定穴115に挿入されたねじ等の固定具によって天井等の被取付部に固定される(上記ア(エ))。

ウ 甲4発明

上記ア及びイを踏まえると、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

「ねじ等の固定具が挿入される固定穴115が2つ形成された底部117を有する筐体112と、

ねじ等の固定具が挿入される固定穴115が2つ形成され、ねじ等の固定具の挿入方向に視て、筐体112の固定穴115と本体パッキン111の固定穴115とが連通するように天井等の被取付部と筐体112との間に配置される本体パッキン111と、

筐体112に取り付けられ、光を照射する光源ユニット200と、

ねじ等の固定具の挿入方向に視て、筐体112の固定穴115と重ならないように底部117と光源ユニット200との間に配置される常用点灯装置120と、を備え、

筐体112及び本体パッキン111は、

筐体112の2つの固定穴115及び本体パッキン111の2つの固定穴115に挿入されたねじ等の固定具によって天井等の被取付部に固定される

照明器具500。」

(2)本件発明1について

ア 対比

(ア)本件発明1と甲4発明を対比すると、後者の「天井等の被取付部」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、「ねじ等の固定具」は「固定具」に、「筐体112」の「固定穴115」は「取付穴」に、「底部117」は「底部」に、「本体パッキン111」の「固定穴115」は「固定穴」に、「光源ユニット200」は「光源ユニット」に、「常用点灯装置120」は「電源装置」に、それぞれ相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、後者の「筐体112」は、前者の「照明器具」に相当し、後者の「照明器具500」は、前者の「照明装置」に相当する。

(ウ)後者の「ねじ等の固定具」は、「2つ形成された」「固定穴115」に「挿入される」ものであるから、2つあることが明らかである。

そうすると、後者の「照明器具500」が、2つある「ねじ等の固定具によって天井等の被取付部に固定される」態様と、前者の「取付開口が形成された被取付部に設けられた複数の固定具」によって「前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる」態様とは、「被取付部」に対し「複数の固定具」によって「前記照明器具を取り付ける」態様の点で共通する。

(エ)上記(ウ)を踏まえると、後者の「本体パッキン111」の「固定穴115」に2つある「ねじ等の固定具が挿入される」態様は、前者の「固定穴」に「複数の前記固定具の何れかが挿入される」態様に相当する。

(オ)後者の「本体パッキン111」が「ねじ等の固定具の挿入方向に視て、筐体112の固定穴115と本体パッキン111の固定穴115とが連通するように天井等の被取付部と筐体112との間に配置される」態様は、「本体パッキン111」が「筐体112」に対して位置決めされているといえるから、前者の「枠ブラケット部」が「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」る態様と、「枠ブラケット部」が「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴と重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」る態様で共通する。

ここで、上記第5の1で説示したとおり、本件発明1の「枠ブラケット部」は、「複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され」ており、「前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴とそれぞれ重なるように前記照明器具に対して位置決めされ」て、「前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」ものであれば足りるものである。

そして、後者の「本体パッキン111」が「天井等の被取付部と筐体112との間に配置される」態様は、前者の「枠ブラケット部」が「前記被取付部と前記照明器具との間に配置される」態様に相当する。

そうすると、以上の限りにおいて、後者の「本体パッキン111」は、前者の「枠ブラケット部」に相当するといえる。

(カ)上記(オ)を踏まえると、「本体パッキン111」は、前者の「接続ユニット」にも相当するといえる。

(キ)そうすると両者は、

「複数の固定具が挿入される複数の取付穴が形成された底部を有する照明器具と、

複数の前記固定具の何れかが挿入される固定穴が形成され、前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴と重なるように前記照明器具に対して位置決めされ、前記被取付部と前記照明器具との間に配置される枠ブラケット部を有する接続ユニットと、

前記照明器具に取り付けられ、光を照射する光源ユニットと、

前記固定具の前記挿入方向に視て、前記取付穴と重ならないように前記底部と前記光源ユニットとの間に配置される電源装置と、を備え、

前記照明器具及び前記接続ユニットは、

前記取付穴及び前記固定穴に挿入された前記固定具によって前記被取付部に固定される

照明装置。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4-1>

本件発明1は、「取付開口が形成された被取付部に設けられた」複数の固定具であり、「前記照明器具を前記取付開口に埋め込ませる」のに対して、甲4発明は、そのように特定されていない点。

<相違点4-2>

本件発明1は、「複数の」枠ブラケット部であり、それゆえ「枠ブラケット部」が前記固定具の前記挿入方向に視て、前記固定穴と複数の前記取付穴と「それぞれ」重なるように前記照明器具に対して位置決めされるのに対して、甲4発明の本体パッキン111は1つである点。

イ 判断

事案に鑑み、相違点4-2から検討する。

相違点4-2は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲4発明ではない。

甲4発明の「本体パッキン111」は、【図4】、【図5】、【図7】、【図8】から看取されるように、筐体112の底部117と同じ形状、大きさを備えていることにより、「本体パッキン111」と底部117がぴったり重なって防湿、防水効果を発揮するものであるから、これを複数とすることの阻害事由があるといえるし、少なくとも、その動機付けがない。

したがって、本件発明1は、甲4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

ウ 小括

以上のとおりであるから、相違点4-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明ではなく、また、本件発明1は、甲4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)申立理由1-4及び2-4のまとめ

以上のとおり、本件発明1は、甲4発明ではないから、本件発明1は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものということはできない。

また、本件発明1は、甲4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、申立理由1-4及び2-4によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

第8 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知書(予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。

そして、他に本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。