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Trademark Appeal Case

特許訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025700825
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7632566号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。
特許第7632566号の請求項1、3~10に係る特許を維持する。
特許第7632566号の請求項2に係る発明についての特許異議の申立てを却下する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7632566号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和5年11月2日(以下「本件出願日という。」)にされたものであって、令和7年2月10日にその特許権の設定登録がされ、同年同月19日に特許掲載公報が発行された。その後の特許異議の申立ての手続の経緯は、次のとおりである。

令和7年 8月18日 特許異議申立人 河原田 隆(以下「申立人」という。)による全請求項に係る特許に対する特許異議の申立て

同年10月 7日付け 取消理由通知書

同年12月 9日 意見書及び訂正請求書(特許権者)

その後、当審において令和7年12月18日付けで、申立人に対して意見書提出の期間を指定して、訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行ったが、当該期間内に申立人から意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否

1 訂正の内容

令和7年12月9日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次の訂正事項1~3からなるものである。訂正箇所に下線を付した。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを含み、前記ポリオール主剤(A)が、ポリオール(C)、リン酸系化合物(D)およびモノアルコール(E)を含み、・・・前記ポリオール(C)が数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)と、数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)とを含む、」と記載されているのを、「ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを含み、前記ポリオール主剤(A)が、ポリオール(C)、リン酸系化合物(D)およびモノアルコール(E)を含み、・・・前記ポリオール(C)が数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)と、数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)とを含

み、前記モノアルコール(E)が、芳香環を有するモノアルコールを含有し、接着剤100質量% 中の前記リン酸系化合物(D)の含有率が0.03質量%以上3.32質量% 以下である、

」に訂正する(請求項1の記載を直接または間接的に引用する請求項3~10についても同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項9の引用請求項を「請求項1~8いずれか一項記載の」から「請求項1、3~8のいずれか一項記載の」に訂正する。

2 一群の請求項

本件訂正前の請求項1~10において、請求項2~10は、請求項1を直接または間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正後の請求項1~10は一群の請求項である。

3 訂正の適否についての当審の判断

(1)訂正事項1

ア 訂正の目的

訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1において、接着剤が「リン酸系化合物(D)」および「モノアルコール(E)」を含むことが規定されているのを、「前記モノアルコール(E)が、芳香環を有するモノアルコールを含有し」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における「モノアルコール(E)」の種類を具体的に特定し、限定するものであり、「接着剤100質量%中の前記リン酸系化合物(D)の含有率が0.03質量%以上3.32質量% 以下である」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における「リン酸系化合物(D)」の含有量の数値範囲を特定し、限定するものである。

したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項1は、上記アのとおり、モノアルコール(E)の種類およびリン酸系化合物( D ) の含有量を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであるといえる。

ウ 新規事項の有無

訂正事項1は、設定登録時の特許請求の範囲の請求項2及び明細書の段落【0042】、【0043】、【0071】、【0072】、【0086】、【0087】を根拠にモノアルコール(E)の種類を限定するとともに、明細書の段落【0086】、【0087】を根拠にリン酸系化合物(D)の含有量を限定するものである。

したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(2)訂正事項2

訂正事項2は請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

そして、訂正事項2は、請求項を削除することにより特許請求の範囲を減縮するものであって、本件特許の特許請求の範囲又は明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び同第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3

ア 訂正の目的

訂正事項3は、訂正前の請求項9が訂正前の請求項1~8のいずれか一項の記載を引用する記載であるところ、訂正事項2において訂正前の請求項2が削除されたため、訂正前の請求項9が引用する請求項を削除するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当すると共に、訂正事項1及び2に伴って生じた引用する請求項の不整合を解消するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正かについての判断

訂正事項3は、引用関係を整合させる訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ 新規事項の有無

訂正事項3は、引用関係を整合させる訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

4 独立特許要件についての判断

本件訂正においては、訂正前の請求項1~10の全てに対して特許異議の申立がされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の規定は課されない。

5 小括

以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明

本件訂正は前記第2のとおり認められたので、本件特許の請求項1~10に係る発明は、令和7年12月9日の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件訂正発明1」等、まとめて「本件訂正発明」ともいう。)である。

「【請求項1】ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを含み、前記ポリオール主剤(A)が、ポリオール(C)、リン酸系化合物(D)およびモノアルコール(E)を含み、前記ポリオール(C)がポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールおよびポリウレタンポリオールのうち少なくとも一種を含有し、かつ、前記ポリオール(C)が数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)と、数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)とを含み、前記モノアルコール(E)が、芳香環を有するモノアルコールを含有し、接着剤100質量% 中の前記リン酸系化合物(D)の含有率が0.03質量%以上3.32質量% 以下である、接着剤。

【請求項2】

(削除)

【請求項3】ポリオール(C)100質量%に対して、モノアルコール(E)を1~50質量%含有する、請求項1に記載の接着剤。

【請求項4】前記ポリオール(C)がポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールのうち少なくとも一方を含有する、請求項1に記載の接着剤。

【請求項5】前記ポリオール(C)がポリエステルポリオールを含まない、請求項1に記載の接着剤。

【請求項6】前記ポリオール(C1)とポリオール(C2)との合計質量に対するポリオール(C1)の質量割合が、10~70質量%である、請求項1に記載の接着剤。

【請求項7】前記ポリイソシアネート硬化剤(B)が、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環式ポリイソシアネート、並びに、これらの変性体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の接着剤。

【請求項8】前記ポリイソシアネート硬化剤(B)が、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートおよびカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の接着剤。

【請求項9】請求項1、3~8のいずれか一項記載の接着剤を硬化してなる硬化物。

【請求項10】第一基材と第二基材との間に接着剤層を備える構造体であって、前記接着剤層が、請求項9に記載の硬化物である構造体。」

第4 特許異議の申立ての理由と証拠方法

1 特許異議の申立ての理由

申立人は、下記(1)~(4)の申立理由を主張し、その証拠方法として後記2の甲第1号証~甲第9号証(以下「甲1」等という。)を提出した。

なお、甲1~甲9については、本件特許の出願日前に公開されたものであり、甲3~甲5は、下記の申立理由(1)において、ポリウレタン作製に用いられる組成物の分野において、リン酸系化合物を用いることが周知技術であることを示す文献として提示されたものであり、甲6~甲8は、下記の申立理由(2)において、ポリウレタン樹脂を作製するための組成物を合成皮革等の接着剤として用いることが周知技術であることを示す文献として提示されたものであり、甲9は、申立理由(3)において、イソシアネートの骨格の違いがポリウレタン特性に影響を与えることを示す文献として提示されたものである。

(1)申立理由1(甲1を主引例とした本件発明の進歩性欠如)

本件発明1~10は、本件出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記2の甲1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~10に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

(2)申立理由2(甲2を主引例とした本件発明の進歩性欠如)

本件発明1~10は、本件出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記2の甲2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~10に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

(3)申立理由3-1(サポート要件性欠如)

本件発明1~10の「ポリイソシアネート硬化剤(B)」なる構成要件について、種類が規定されていないので、本件発明1~10は、特定の課題解決手段が反映されたものに限られず、本件発明の課題を解決できない態様が含まれるから、本件発明1~10についての特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(4)申立理由3-2(サポート要件性欠如)

本件発明1~10の「リン酸系化合物(D)」なる構成要件について、含有量が規定されていないので、本件発明1~10は、特定の課題解決手段が反映されたものに限られず、本件発明の課題を解決できない態様が含まれるから、本件発明1~10についての特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

2 証拠方法

甲1:特許第7348211号公報

甲2:中国特許出願公開第102875774号明細書

甲2の2:甲2の和訳(申立人作成)

甲3:特許第4546708号公報

甲4:特許第6700195号公報

甲5:特許第7111746号公報

甲6:国際公開2023/080134号

甲7:特許第5992246号公報

甲8:特許第5731086号公報

甲9:The Role of Diisocyanate Structure to Modify Properties of Segmented Polyurethanes,Materials,16,第1~16頁

甲9の2:甲第9号証の和訳(申立人作成)

第5 取消理由についての当審の判断

1 令和7年10月7日付けの取消理由の概要

令和7年10月7日付けの取消理由通知書で通知した取消理由は、前記第4の申立理由のうち、「甲1を主引例とした進歩性欠如」(申立理由1)、「甲2を主引例とした進歩性欠如」(申立理由2)、及び「リン酸系化合物(D)の含有量の規定に関するサポート要件違反」(申立理由3-2)である。

2 甲号証に記載された事項(以下、原文にない下線は、合議体による。)

(1)甲1に記載された事項

「【請求項1】

ポリオール成分とイソシアネート成分とを有する二液型ポリウレタン接着剤組成物であって、

前記ポリオール成分が、

a)それぞれが少なくとも2の公称ヒドロキシル官能基数、a)2~4の平均公称ヒドロキシル官能基数、及び400~2000のヒドロキシル当量を有し、それぞれがプロピレンオキシドのホモポリマー及び70~99重量%のプロピレンオキシドと1~30重量%のエチレンオキシドとのコポリマーから選択される1種以上のポリエーテルポリオールを前記ポリオール成分の重量を基準として少なくとも15重量%;

b)それぞれが100~399のヒドロキシル当量を有し、少なくとも4の平均公称官能基数を有する1種以上のポリエーテルポリオールを前記ポリオール成分の重量を基準として

2

~10重量%;

c)少なくとも2のヒドロキシル官能基数及び100未満のヒドロキシル当量を有するポリオールを前記ポリオール成分の重量を基準として0~10重量%;

d)100~2000の分子量を有するモノオールを前記ポリオール成分の重量を基準として2~40重量%;

e)少なくとも2つの一級及び/又は二級脂肪族アミン基を有する少なくとも1種の化合物を100重量部のa)あたり0~3重量部;

f)触媒有効量の少なくとも1種のウレタン触媒;並びに

g)1種以上の粒子状充填材をポリオール成分の重量を基準として5~60重量%;

含み、

前記ポリイソシアネート成分が、少なくとも1種の有機ポリイソシアネートと、前記ポリイソシアネート成分の総重量を基準として0~50重量%の少なくとも1種の粒子状充填材とを含む、

二液型ポリウレタン接着剤組成物。」

「【0001】

本発明は、ポリプロピレンの接合に有用な二液型ポリウレタン接着剤に関する。」

「【0006】

プライマーを予め塗布する必要なしにポリプロピレンによく接合する接着剤が大いに望まれるであろう。」

「【0011】

接着剤のポリオール成分の成分a)は、それぞれが少なくとも2の公称ヒドロキシル官能基数及び400~2000のヒドロキシル当量を有し、それぞれがプロピレンオキシドのホモポリマー及び70~99重量%のプロピレンオキシドと1~30重量%のエチレンオキシドとのコポリマーから選択される、1種以上のポリエーテルポリオールである。

【0012】

成分a)内のポリエーテルポリオールは、それぞれ2~4の公称官能基数を有していてもよい。成分a)を構成する各ポリエーテルポリオールのヒドロキシル当量は、いくつかの実施形態では少なくとも500、少なくとも800、又は少なくとも1000であり、いくつかの実施形態では最大1800、最大1500、又は最大1200である。本明細書における全てのヒドロキシル当量は、ASTM E222などの滴定法を使用してヒドロキシル数を測定し、そのようにして得たヒドロキシル数(mgKOH/グラム)を式当量=56,100÷ヒドロキシル数を使用して当量に変換することによって得られる。

【0013】

ポリエーテルポリオール(又はそれらの混合物)の「公称官能基数」とは、ポリエーテルポリオールを形成するためにアルコキシル化された開始剤化合物上のオキシアルキル化可能な水素原子の平均数を意味する。ポリエーテルポリオールの実際の官能基数は、アルコキシル化プロセス中に生じる副反応のために、公称官能基数よりも若干小さくなる可能性がある。

【0014】

成分a)は、ポリオール成分の重量の少なくとも15%を構成する。これは、ポリオール成分の重量の少なくとも18%、20%、少なくとも25%を構成していてもよく、またその最大80%、最大65%、最大50%、最大40%、又は最大30%を構成していてもよい

【0015】

いくつかの実施形態では、成分a)ポリエーテルポリオールのヒドロキシル基の50%以上が一級であり、残りが二級である。その成分a)のヒドロキシル基のヒドロキシル基の70%以上が一級であってもよい。

【0016】

ポリオール成分の成分b)は、100~399のヒドロキシル当量及び少なくとも4の公称官能基数を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールである。公称官能基数は、好ましくは少なくとも6であり、少なくとも6.5であってもよい。公称官能基数は、最大12、最大10、又は最大8であってもよい。成分b)を構成する各ポリエーテルポリオールの当量は、例えば、少なくとも125又は少なくとも150であってもよく、また例えば最大350、最大350、最大275、又は最大250であってもよい。

【0017】

ポリオール成分の成分b)は任意選択的であり、省略することができる

。好ましくは、これは、ポリオール成分の重量を基準として少なくとも2重量パーセントの量で存在する。これは、その少なくとも3又は少なくとも4重量パーセントを構成していてもよく、

またその最大30%、最大20%、最大15%、最大10%、最大8%、又は最大6%を構成していてもよい。

【0018】

ポリオール成分の成分a)とb)は、それぞれ、プロピレンオキシドのホモポリマー及び70~99重量%のプロピレンオキシドと1~30重量%のエチレンオキシドとのコポリマー(それぞれの場合で、そのような成分を生成するために重合されるプロピレンオキシドとエチレンオキシドの合計重量基準である)から選択される。コポリマーの場合、プロピレンオキシドとエチレンオキシドは、ランダム共重合されていてもよく、ブロック共重合されていてもよく、又はその両方であってもよい。

【0019】

ポリオール成分の原料c)は、少なくとも2のヒドロキシル官能基数及び100未満のヒドロキシル当量を有する1種以上のポリオールである。これらには、少なくとも25且つ最大99、好ましくは最大90、より好ましくは最大75、更に好ましくは最大60のヒドロキシル当量と、1分子あたり厳密に2個の脂肪族ヒドロキシル基とを有する脂肪族ジオール鎖延長剤が含まれる。これらの例は、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,3-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、

1,6-ヘキサンジオール

、及び最大約6個の炭素原子を有する他の直鎖又は分岐アルキレンジオールである。脂肪族ジオール鎖延長剤は、好ましくは、モノエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、又はこれらの混合物を含む。また、グリセリン、

トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、マンニトール、スクロース、ソルビトール

などの架橋剤、及びヒドロキシル当量が100未満であるこれらのいずれか1つ以上のアルコキシレートも含まれる。

【0020】

成分c)は任意選択的であり、省略することができる。存在する場合、これはポリオール成分の総重量の10パーセントを構成していてもよい。

成分c)は、例えば、ポリオール成分の重量の少なくとも0.25%又は少なくとも0.5%、及び例えばその重量の最大5%、最大3%、又は最大1.5%を構成していてもよい。

【0021】

成分d)は、100~2000の分子量を有する1種以上のモノオールである。「モノオール」は、厳密に1つのヒドロキシル基を有する化合物である。」

「【0021】

成分d)は、100~2000の分子量を有する1種以上のモノオールである。「モノオール」は、厳密に1つのヒドロキシル基を有する化合物である

【0022】

モノオールは、好ましくは、少なくとも250、少なくとも500、又は少なくとも700の分子量を有する。モノオールの分子量は、最大1750、最大1500、最大1200、又は最大1000であってもよい。

【0023】

モノオールは好ましくは直鎖である

。「直鎖」とは、モノオールが4個より多い、特には2個より多い炭素原子を有する側鎖を持たないことを意味する。

【0024】

モノオールは、4個以上の炭素原子、特には少なくとも10個の炭素原子のヒドロカルビル鎖を含んでいてもよい。ヒドロカルビル鎖は、最大50個、最大30個、又は最大20個の炭素原子を含んでいてもよい。

ヒドロカルビル鎖は好ましくは脂肪族である

【0025】

モノオールはポリエーテル鎖を含んでいてもよい。ポリエーテル鎖は、ポリマーであってもよく、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、又はテトラヒドロフランのうちの1つ以上のポリマーであってもよい。重合したエチレンオキシドが存在する場合、これは、好ましくは、モノオールの総重量の50%以下を構成する。

【0026】

モノオールは、構造A-B-OHによって表されるものであってもよく、この中のAはヒドロカルビル基を表し、Bはポリエーテル鎖を表し

、AとBの長さは、モノオールが上述した分子量を有するようなものである。Aは、例えば、2~50個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族基を表していてもよい。基Aは、好ましくは4~30、4~30、又は4若しくは20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、Aは、飽和若しくは不飽和であってもよいC4~20直鎖脂肪族ヒドロカルビル基であるが、好ましくは飽和のものである。「ヒドロカルビル」は、場合によっては、炭素原子と水素原子のみを含む分子又は基を指す。」

「【0046】

いくつかの実施形態におけるポリオール成分は、フタル酸エステル、テレフタル酸エステル、メリット酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステルなどの可塑剤、又は他のエステル系可塑剤、スルホンアミド可塑剤、

リン酸エステル可塑剤、又はポリエーテルジ(カルボキシレート)可塑剤を10重量パーセント以下、より好ましくは5重量パーセント以下、更に好ましくは1重量パーセント以下含む

。そのような可塑剤は、最も好ましくはポリオール成分に存在しない。」

「【0047】

ポリイソシアネート成分は、少なくとも1種の有機ポリイソシアネートを含む。

【0048】

有機ポリイソシアネートの全部又は一部は、80~250、80~200、又は80~180などの、最大350のイソシアネート当量を有する1種以上の有機ポリイソシアネートから構成されていてもよい。そのようなポリイソシアネート化合物の混合物が存在する場合、混合物は、例えば、1分子あたり平均2~4個又は2.3~3.5個のイソシアネート基を有していてもよい。そのようなポリイソシアネート化合物の中でも、m-フェニレンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、

ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート

、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4-4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、及び4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。ウレタン、尿素、ビウレット、

カルボジイミド

、ウレトンイミン、アロフォネート、又はイソシアナート基の反応によって形成される他の基を含む

変性芳香族ポリイソシアネートも有用である。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、MDI又はPMDI(又は一般に「ポリメリックMDI」と呼ばれるそれらの混合物)、並びにMDIと、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、及び/又はアロフォネート結合を有するMDI誘導体との混合物であるいわゆる「液状MDI」製品である

。」

「【0058】

ポリイソシアネート成分は、ポリイソシアネート化合物に関して上述したものなどの1種以上の他の追加の原料も含んでいてもよい。ポリオール成分と同様に、ポリイソシアネート成分は、好ましくは沸点が80°C以下の有機化合物を0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下含み、水及び/又は硬化反応の条件下でガスを生成する他の化学発泡剤を0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下含む。いくつかの実施形態におけるポリイソシアネート成分は、フタル酸エステル、テレフタル酸エステル、メリット酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステルなどの可塑剤、又は他のエステル系可塑剤、スルホンアミド可塑剤、

リン酸エステル可塑剤、又はポリエーテルジ(カルボキシレート)可塑剤を30重量パーセント以下、より好ましくは20重量パーセント以下含む

。そのような可塑剤は、ポリイソシアネート成分に存在しなくてもよい。」

「【0066】

基材は限定されない。それらは、例えば金属

、金属合金、有機ポリマー、リグノセルロース材料(木材、ボール紙、又は紙など)、セラミック材料、様々なタイプの複合材料、又はその他の材料であってもよい。炭素繊維強化プラスチックが特に興味深い基材である。いくつかの実施形態における基材は、本発明の硬化した接着剤組成物と一体に接着される車両部品又は車両の部分組立体である。別の実施形態における基材は、本発明の接着剤を使用して一体に接着されて多層積層体を形成する個々のプライである。別の実施形態における基材は建築部材である。」

「【実施例】

【0071】

以下の実施例は、本発明を説明するために提供されているが、その範囲を限定することを意図するものではない。全ての部及び百分率は、特に明記しない限り重量による。以下の例において:

【0072】

ポリオールAは、約4800g/モルの分子量と約1600のヒドロキシル当量を有する、エチレンオキシドでキャップされた公称官能基数が3のポリ(プロピレンオキシド)である

【0073】

ポリオールBは、スクロースとグリセリンとの混合物をアルコキシル化することにより製造された、分子量が1400であり公称官能基数が7.0のポリ(プロピレンオキシド)である

【0074】

ポリアミンは、1分子あたり3個の末端一級アミン基を名目上有する分子量400のアミン末端ポリプロピレンオキシドである。

【0075】

触媒Aは市販のジオクチルスズチオグリコレートである。

【0076】

触媒Bは市販のジオクチルスズジカルボキシレートである。

【0077】

触媒Cは、フェノールでブロックされた1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンである。

【0078】

充填材混合物は、45μm未満の粒子サイズを有する粉砕CaCO

3

;ステアレートコーティングを有し全ての粒子が200nm未満の沈降CaCO

3

;並びに3.2μmの平均粒子サイズ、8.5m

2

/gのBET表面積、及び5.5のpHを有する焼成カオリン;の混合物である。

【0079】

乾燥剤は、ヒュームドシリカとモレキュラーシーブとの混合物である。

【0080】

ポリイソシアネートは、イソシアネート含有量が4.4%のトルエンジイソシアネートプレポリマー(Covestro AGからDesmodur(登録商標)E15として入手可能)78部と、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート(Covestro AGからDesmodur(登録商標)N3400として入手可能)2部と、粒子状カーボンブラック18部との混合物である。

【0081】

エポキシシランは、Momentive Performance MaterialsからSilquest(登録商標)A187として市販されている。

【0082】

モノオール1は、プロピレンオキシドとブチレンオキシドとの50/50混合物をドデシルアルコールに重合することによって製造された分子量750のポリエーテルである

【0083】

モノオール2は、C12~C15のn-アルカノールの混合物にプロピレンオキシドを重合することによって製造された分子量935のポリエーテルである

【0084】

モノオール3は、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの50/50混合物を1-ブタノール上に重合することによって製造された分子量1020のポリエーテルである

【0085】

モノオール4は、プロピレンオキシドとブチレンオキシドとの50/50混合物をC12~C15のn-アルカノールの混合物に重合することによって製造された分子量950のポリエーテルである

。」

「【0086】

実施例1~5及び比較サンプルA~B

比較サンプルAは以下の配合物から製造した:

【0087】

【表1】

67

145

0001435202000001.jpg

【0088】

ポリオール成分は、記載されている原料を室温で混合し、十分に混合することによって製造する。

【0089】

比較サンプルBは、2部のエポキシシランがポリイソシアネート成分に添加されることを除いては比較サンプルAと同じ組成を有する。

【0090】

実施例1は、表2に示されているように、7部のポリオールAが等しい重量のモノオール1で置き換えられることを除いては比較サンプルAと同じ組成を有する。

【0091】

実施例2~5は、表2に示されるように、様々な量のポリオールAが等しい重量のモノオール1で置き換えられることを除いては比較サンプルBと同じ組成を有する。

【0092】

比較サンプルA及びB並びに実施例1~5のそれぞれを、火炎処理されたタルク充填材入りポリプロピレン及び火炎処理されたガラス繊維充填材入りポリプロピレン用の接着剤として評価する。タルク充填材入りポリプロピレンは、製品の総重量基準で30~40%のタルクを含む射出成形グレードのポリプロピレンである。ガラス充填材入りポリプロピレンは、製品の総重量基準で30%のガラス繊維を含む長繊維ガラス入りの射出成形グレードのポリプロピレンである。いずれの場合も、ポリプロピレンを厚さ2mmの箔に成形し、空気:プロパン比25:1;コンベヤベルト速度600mm/s;火炎から基材までの距離60mm;プロパン流量2L/分;の条件下で箔をArcotec Arcogas FTS101D火炎処理ユニットに通すことで火炎処理する。この処理により、装置の供給業者から提供されたアルコール系のISO 8296試験インクを塗布することによって決定されるポリプロピレンサンプルの表面エネルギーが、28~30mN/mから40~60mN/mに上昇する。

【0093】

重ねせん断試験片は

、8~10mmのスタティックミキサーユニットを備えたデュアルカートリッジ分注ガンに取り付けられた別々のカートリッジにポリオール成分とポリイソシアネート成分を充填することにより準備する。

接着剤を、一対の火炎処理されたタルク充填材入りポリプロピレン試験片又は火炎処理されたガラス繊維充填材入りポリプロピレン試験片のうちの一方に塗布し、15×25×1.5mmの層に形成する。接着剤層を形成する前に基材にプライマーを塗布しない。接着剤を、室温(22~24°C)及び周囲湿度で3日間硬化する。

その後、FHM860.00.00又は8606.04.00取り付け装置を備えたZwick1435引張試験機を使用して、DIN EN 1465(2009)に従って重ねせん断強度を測定する。いずれの場合も、接着剤は火炎処理から15~240分後に塗布する。サンプルを破損モードについて視覚的に評価する。片方又は

両方の基材

から接着剤が剥離することは接着破壊を示し、基材層から接着剤が分離せずに接着剤層が引き裂かれることは凝集破壊を示す。

【0094】

結果は表2に示す通りである。

【0095】

【表2】

112

145

0001435202000002.jpg

【0096】

比較サンプルAは、特にガラス充填材入りポリプロピレン基材において、対照の接着剤がどのように望ましくない接着破壊モードで破損するかを示している。比較サンプルBは、カップリング剤(エポキシシラン)を添加すると、接着破壊モードが減少して望ましい凝集破壊モードが優先されるようになることを示している。しかしながら、ガラス充填材入りポリプロピレン基材での望ましくない破壊モードは50%近い。

【0097】

実施例1は、ポリオールAの一部をモノオールに置き換えることの効果を示している。エポキシシランカップリング剤が存在しない場合であっても、ガラス充填材入りポリプロピレン基材でさえ本質的に100%の凝集破壊モードが得られる。

【0098】

実施例2~5は、エポキシシランカップリング剤がポリイソシアネート成分の中に含まれている場合の両方の基材での100%の凝集破壊を示している。これらの結果は、ポリオール成分の3.5重量%から15重量%までの様々なモノオール1の量にわたってみられる。ポリオール成分中のイソシアネート反応性材料の平均ヒドロキシル官能基数が少ないことに起因して予想されるように、重ねせん断強度の若干の低下がみられる。これにより、硬化した接着剤の架橋密度が低下する。」

「【0099】

実施例6及び実施例7

実施例6及び7は、前述した実施例と同じ方法で製造及び試験する

。接着剤の処方及び試験結果は表3に示す通りである。

【0100】

【表3】

127

145

0001435202000003.jpg

【0101】

表3のデータが示すように、ガラス充填材入りポリプロピレンの接着剤であっても、実施例6と実施例7の両方で望ましい凝集破壊モードがみられる

【0102】

実施例8及び実施例9

実施例8及び9は、前述した実施例と同じ方法で製造及び試験する。接着剤の処方及び試験結果は表4に示す通りである。

【0103】

【表4】

131

145

0001435202000004.jpg

【0104】

表4のデータが示すように、ガラス充填材入りポリプロピレンの接着剤であっても、実施例8と実施例9の両方で望ましい凝集破壊モードがみられる

。」

(2)甲2に記載された事項

甲2には、以下の事項が記載されている。甲2は中国語のため、日本語訳として申立人の提出した甲2の2を採用した。

ア 第2頁請求項1

67

145

0001435202000005.jpg

(訳)

「【請求項1】

原料構成は、

イソシアネート、

ポリオール化合物、

ジオール系鎖延長剤、

使用量がポリオール化合物の質量の0.001~ 0,05%である有機スズ系または有機ビスマス、

添加量が原料総質量の0~ 0,001%である負の触媒としてのリン酸、

添加量が原料総質量の0,005~ 0.015%である反応停止剤としてのメタノール、

界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐加水分解剤、離型剤から選択される1種又は複数種であり、合計添加量が原料総質量の0.1~2%である助剤であり、

前記イソシアネート中のイソシアネート基とヒドロキシル基のモル比が1~0,90:1であり、

ヒドロキシル基がポリオール化合物中とジオール系鎖延長剤中のヒドロキシル基の合計であり、

前記ポリオール化合物と前記ジオール系鎖延長剤のモル比が1:3~ 5であることを特徴とする高剥離強度・耐加水分解性湿式ポリウレタン樹脂。」

イ 第4頁段落0001

17

145

0001435202000006.jpg

(訳)

技術分野

「[0001]本発明は、合成皮革用熱可塑性ポリウレタン樹脂及びその製造方法に関し、特に、高剥離強度・耐加水分解性湿式ポリウレタン樹脂及びその製造方法に関する。」

ウ 第4頁段落0003~0016

122

145

0001435202000007.jpg

(訳)

「[0003]本発明は、高剥離強度・耐加水分解性湿式ポリウレタン樹脂及びその製造方法を提供することを目的とし、解決しようとする課題は、ポリウレタン樹脂の剥離強度及び耐加水分解性を向上させることである。

[0004]本発明は下記の発明により課題を解決する。

[0005]

本発明の高剥離強度・耐加水分解性湿式ポリウレタン樹脂の原料構成は

[0006]

イソシアネート

[0007]

ポリオール化合物

[0008]

ジオール系鎖延長剤

[0009]使用量がポリオール化合物の質量の0.001~0.05%である有機スズ系または有機ビスマス系触媒、

[0010]

反応速度を低下させて反応を安定化させ、添加量が原料総質量の0~0.001%である負の触媒としてのリン酸

[0011]

添加量が原料総質量の0.005~0.015%である反応停止剤としてのメタノール

[0012]界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐加水分解剤、離型剤から選択される1種又は複数種であり、合計添加量が原料総質量の0.1~2%である助剤であり、

[0013]前記イソシアネート中のイソシアネート基とヒドロキシル基のモル比が1~0.90:1であり、前記ヒドロキシル基がポリオール化合物中とジオール系鎖延長剤中のヒドロキシル基の合計であり、

[0014]前記ポリオール化合物と前記ジオール系鎖延長剤のモル比が1:3~5であり、前記ジオール系鎖延長剤の添加量が原料総重量の1~10%である。

[0015]

前記イソシアネートが4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)であり

[0016]

前記ポリオール化合物がポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから醒択され

、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの質量比が1.3~2:1であり、

より高い耐加水分解性を確保する観点から、前記ポリオール化合物における耐加水分解性ポリオールの質量百分率が20%以上であり、前記ポリエステルポリオールが一般的なポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールから選択される1種又は複数種であり、前記ポリエーテルポリオールがポリテトラヒドロフランポリオール及び/又はポリオキシプロピレンポリオールから選択され、前記耐加水分解性ポリオールがポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオールから選択される1種又は複数種である;」

エ 第5頁段落0017~0020

39

145

0001435202000008.jpg

(訳)

「[0017]前記一般的なポリエステルポリオールは主に、例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール等のアジピン酸系ポリエステルポリオールを指す。このような一般的なポリエステルポリオールの耐加水分解性は、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリオール化合物に比べて明らかに劣っている。

[0018]前記ジオール系鎖延長剤がエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールから選択されるいずれか1種又は2種である。2種である場合、両者のモル比が0.1:1~10:1である。

[0019]

前記ポリオール化合物の数平均分子量が500~ 4000である

[0020]

前記ポリオール化合物の数平均分子量が1000~ 2000である

。」

オ 第5頁段落0032~第6頁段落0043

6

145

0001435202000009.jpg

100

145

0001435202000010.jpg

(訳)

「[0032]本発明を実現させるための手段、創作特徴、達成目的及び効果を容易に理解させるために、以下、実施の形態により本発明をさらに説明する。

[0033]SP-2は分子量が2000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合は、アジピン酸8000kg、エチレングリコール2500kg、1,4-ブタンジオール2000kgである。製造方法は、『ポリウレタン樹脂とその応用』(化学工業出版社、出版日:2011年11月、劉益軍)p62の「ポリエステルポリオールの製造方法と材料計算」を参照。

[0034]SP-4は分子量が4000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合比はアジピン酸4000kg、1,4-ブタンジオール800kg、1,6-ヘキサンジオール2660kgである。製造方法は、『ポリウレタン樹脂とその応用』(化学工業出版社、出版日:2011年11月、劉益軍)p62の「ポリエステルポリオールの製造方法と材料計算」を参照。

[0035]EGはエチレングリコールである。

[0036]PPG-1、PPG-2はそれぞれ分子量が1000、2000のポリオキシプロピレンジオールである。

[0037]PTMG-1、PTMG-2はそれぞれ分子量が1000、2000のポリテトラヒドロフランジオールである。

[0038] PCDL-1、PCDL-2はそれぞれ分子量が1000、2000のポリカーボネートジオールである。

[0039] PCL-1、PCL-2はそれぞれ分子量が1000、2000のポリカプロラクトンジオールである。

[0040]I-1010は市販の酸化防止剤であり、正式名称がペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]である。

[0041]MDIは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである。

[0042]有機ビスマス、リン酸はそれぞれ反応の正の触媒、負の触媒であり、有機ビスマスは有機スズよりも優れた環境適合性を有することは業界公知のことである。

[0043]DMFは溶媒としてのジメチルホルムアミドであり、メタノールは反応停止剤である。」

カ 第6頁段落0044~第7頁段落0050 実施例1

94

145

0001435202000011.jpg

44

145

0001435202000012.jpg

(訳)

「[0044] 実施例1

[0045]a.イソシアネート10~ 20%、ポリオール化合物80~ 90%、及び酸化防止剤をDMFに加え、75~ 85°Cで1~2時間反応させ、反応液の固形分を40~ 50%に制御した。‐NCO/‐ OHのモル比は0.8~0.9:1とした。

[0046]b.反応液にポリオール化合物5~ 15%及びジオール系鎖延長剤15~ 30%を加え、さらにイソシアネートを15~20%追加してプレポリマー反応を行い、有機ビスマス触媒0.1~0.5kgの存在下で75~ 85°C で1~ 3時間反応させてプレポリマーを得た。反応過程において、DMFを加えてプレポリマーの固形分を調整して45~ 60%に制御し、粘度を30,000~ 70,000cps/75°C に制御した。

[0047]c.プレポリマーに残量のポリオール化合物、残量のジオール系鎖延長剤及び残量のイソシアネートを加え、均―に攪拌した後、75~ 85°C

で2~ 5時間反応し続けた。反応過程において、系の粘度が安定して増加するよう、反応の進行度合いに応じて、系にDMFを2回から3回に分けて加えて希釈し、最終回の希釈後、系の固形分を35~ 40%に調整した。反応完了後、メタノール1~ 2kg、リン酸5~20ml及びほかの助剤を加え、均―に撹拌した後、ポリウレタン樹脂製品を得、粘度を200,000~ 300,000cps/25°C に制御した。

[0048]助剤は界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐加水分解剤、離型剤のうちの一種又は複数種であり、合成皮革製品の機能要求に応じて選択的に添加し、添加量は原料総質量の0.1~2%であり、助剤は一般的な市販品である。

[0049]本実施例では、各工程で用いられた原料及び添加量は以下のとおりである(単位:kg)。

[0050]

26

145

0001435202000013.jpg

キ 第7頁段落0051~0053 実施例2

61

145

0001435202000014.jpg

(訳)

「[0051]実施例2

[0052]本実施例の製造方法は実施例1と同一であり、各工程で用いられた原料及び添加量は以下のとおりである。

30

145

0001435202000015.jpg

ク 第7頁段落0054~0057 実施例3

70

145

0001435202000016.jpg

(訳)

「[0054]実施例3

[0055]本実施例の製造方法は実施例1と同一であり、各工程で用いられた原料及び添加量は以下のとおりである。

30

145

0001435202000017.jpg

[0057]処方では、耐加水分解性ポリオールとしてPPGポリオキシプロピレンジオール、PTMGポリテトラヒドロフランジオール、PCDLポリカーボネートジオール、PCLポリカプロラクトンジオールは、例えば実施例4~ 6のように、同一分子量の条件下で互いに置き換えたり組み合わせたりすることができる。」

ケ 第7頁段落0058~第8頁段落0060 実施例4

16

145

0001435202000018.jpg

53

145

0001435202000019.jpg

(訳)

「[0058] 実施例4

[0059]本実施例の製造方法は実施例1と同一であり、各工程で用いられた原料及び添加量は以下のとおりである。

32

145

0001435202000020.jpg

6

145

0001435202000021.jpg

コ 第8頁段落0061~0063 実施例5

67

145

0001435202000022.jpg

(訳)

「[0061]実施例5

[0062]本実施例の製造方法は実施例1と同一であり、各工程で用いられた原料及び添加量は以下のとおりである。

[0063]

36

145

0001435202000023.jpg

サ 第8頁段落0064~0066 実施例6

67

145

0001435202000024.jpg

(訳)

「[0064] 実施例6

[0065]本実施例の製造方法は実施例1と同一であり、各工程で用いられた原料及び添加量は以下のとおりである。

[0066]

30

145

0001435202000025.jpg

シ 第8頁段落0067

27

145

0001435202000026.jpg

(訳)

「[0067]本発明の実施例で製造された樹脂を合成皮革業界の常法に従ってサンプルを作製し、剥離強度及び耐加水分解性を測定した(詳細は合成皮革工芸学、曲建波ら編著、化学工業出版社、出版日:2010.3、P127‐ 158:皮革加工プロセス、P368:剥離強度測定方法、P369:耐加水分解試験方法を参照。アルカリ加速試験法により剥離強度を測定)。その剥離強度が200N/3cm(17kg/2.5cm)より高く、耐加水分解試験後、剥離強度保持率が90%より高かったから、本発明の優位性がさらに確認された。」

(3)甲3に記載された事項

「【請求項1】

ヒマシ油系ポリオールと、全炭素数が12以上の酸性リン酸エステル化合物とを含有し、

上記酸性リン酸エステル化合物は、エポキシ基を有する化合物と、

オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタンホスホン酸、ベンゼンホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、ホスフィン酸から選ばれる少なくとも1種のリン酸化合物と、の反応により生成した酸性リン酸エステル化合物であることを特徴とするポリイソシアネート反応用ポリオール組成物。」

「【0041】

実施例1~11及び比較例1~7

合成例1のヒマシ油系ポリオール、合成例2、合成例3及び比較合成例1の酸性リン酸エステル化合物、並びに表1(実施例1~11)、表2(比較例1~7)に記載の各種の化合物を、表1、表2に記載の組成となるように配合した。また、粗MDIを、イソシアネートインデックスが1.05となるように配合し、接着剤組成物を調製した。

【0042】

【表1】

上記ヒマシ油系ポリオールは合成例1のものであり、上記炭素数18(C数18)の酸性リン酸エステル化合物は合成例2のものであり、上記炭素数12(C数12)の酸性リン酸エステル化合物は合成例3のものである。また、上記炭素数3(C数3)のリン酸エステル化合物はリン酸トリメチルであり、希釈剤として作用するものである。更に、上記AA/MPDはポリエステルポリオールである。

【0043】

【表2】

上記ヒマシ油系ポリオールは合成例1のものである。また、上記炭素数10(C数10)の酸性リン酸エステル化合物はイソデシルアシッドフォスフェート(モノエステルとジエステルの混合物であり、平均分子量は308である。)であり、上記炭素数6(C数6)の酸性リン酸エステル化合物は、比較例5ではジブチルフォスフェート、比較例6では比較合成例1のものである。更に、上記COFAは酸価180のヒマシ油系脂肪酸である。

尚、表1及び2においてテルペンフェノール類としては、ヤスハラケミカル社製、商品名「YS-85」を用いた。

【0044】

表1、表2に記載の接着剤組成物の接着強度を以下の方法による引張せん断接着強度として評価した。

長さ100mm×幅25mm×厚さ2mmの2枚のアルミニウムシートのうちの一方のシートの一端部から12.5mmの長さの領域に各々の接着剤組成物を塗布して厚さ0.2mmの塗膜を形成した。その後、他方のシートの一端側を塗膜上に積層し、次いで、25°Cで24時間、更に40°Cで48時間静置して接着剤組成物を硬化させた。このようにして作製した試片を用いて引張試験機(島津製作所製、型式「AGS-10KNG」)により引張速度50mm/分で引張せん断接着強度を測定した。

また、それぞれの試片を40°Cの温水に48時間浸漬した後、同様にして引張せん断接着強度を測定し、温水浸漬後の強度の保持率を評価した。

引張せん断接着強度の保持率(%)=(温水浸漬前の引張せん断接着強度/温水浸漬後の引張せん断接着強度)×100

実施例1~10の結果を表3に、比較例1~7の結果を表4にそれぞれ示す。

尚、表3、表4における可使時間は、25°Cで静置した接着剤組成物の粘度を前記と同様にして測定し、測定開始から粘度が100,000mPa・sに到達するまで時間によって評価したものである。

・・・

【0047】

表3の結果によれば、特定のヒマシ油系ポリオールと酸性リン酸エステル化合物とを含有する接着剤組成物では、温水浸漬前の引張せん断接着強度は7.4MPa以上であり、十分な接着強度を有する。また、テルペンフェノールを含有する場合は、引張せん断接着強度がより大きくなる傾向があり、表2及び表4に参考例として載せたエポキシ系接着剤と比べても何ら遜色ない。更に、温水浸漬後は、いずれの実施例においても引張せん断接着強度が低下しているが、保持率は74%以上であり、温水浸漬による大きな強度低下はないことが分かる。また、実施例1~11のいずれの接着剤組成物も6~13分と適度な可使時間を有している。

【0048】

一方、表4の結果によれば、各比較例は本発明における特定の酸性リン酸エステル化合物を含有しないため、引張せん断接着強度はそれぞれ4.9MPa以下であり、強度が小さいことが分かる。また、炭素数の少ないリン酸エステル化合物を含有する比較例5~7では、それらを含有することで却って強度がより低下している。更に、温水浸漬前の強度が極端に低い場合を除いて、温水浸漬後の強度低下も実施例に比べて大きいことが分かる。」

(4)甲4に記載された事項

「【請求項1】

1つ以上のポリイソシアネートと、下記構造Iを含有する1つ以上のポリリン酸官能性ポリオールと、を含む、接着剤組成物

であって、前記リン酸官能性ポリオールは、前駆体ポリオールのリン酸エステルであり、並びに前記前駆体ポリオールは、アルキルトリオールまたはアルコキシル化アルキルトリオールのいずれかである接着剤組成物

【化1】

46

145

0001435202000027.jpg

「【0061】

好ましくは、本発明の接着剤組成物は、硬化性である。好ましくは、本発明の接着剤組成物は、望ましくは、組成物の特性を改善するために、組成物の分子量の増加をもたらす、かつ/または組成物の架橋をもたらす1つ以上の化学反応を受ける。好ましくは、硬化の化学反応は、ウレタン結合を形成するためのヒドロキシル基とイソシアネート基の反応を伴う。」

(5)甲5に記載された事項

「【請求項1】

二成分無溶剤接着剤組成物であって、

イソシアネート末端プレポリマーを含むイソシアネート成分と、

イソシアネート反応性成分と、を含み、前記イソシアネート反応性成分が、

ヒドロキシ末端ポリウレタン樹脂、

ポリエーテルポリオール、

リン酸エステル

ポリオール

、および

任意で、バイオベースのポリオールを含

み、

前記リン酸エステルポリオールが、三官能性または二官能性プロピレングリコール、ポリリン酸、およびポリイソシアネートから作製され、

前記リン酸エステルポリオールが、前記リン酸エステルポリオールの重量に基づいて、4重量パーセント未満のリン酸含有量を有する、

二成分無溶剤接着剤組成物。」

「【0002】

本開示は、無溶剤接着剤組成物に関する。より詳細には、本開示は、積層された構造体で使用するための二成分無溶剤ポリウレタン接着剤組成物に関する。開示された接着剤組成物は、イソシアネート末端プレポリマーを含むイソシアネート成分と、ヒドロキシ末端ポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリオール、リン酸エステル接着促進剤、および任意で、バイオベースのポリオールを含むイソシアネート反応性成分と、を含む。開示された接着剤組成物は、現在の無溶剤接着剤システムよりも改善された特性、例えば、現在のシステムよりも速い硬化、より速い第一級芳香族アミン(「PAA」)崩壊、改善されたインク汚れ耐性、金属化フィルムへのより良い接着などを示す。」

(6)甲6に記載された事項

「【0078】

<合成皮革の製造方法>

本実施形態のポリエステルポリカーボネートポリオールを使用してポリウレタンを製造する方法を応用して、合成皮革を製造することができる。本実施形態のポリエステルポリカーボネートポリオールを使用して合成皮革を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態のポリエステルポリカーボネートポリオールを使用して製造したポリウレタンを、基材(基布)に塗布又は含浸して湿式凝固させる湿式法、本実施形態のポリエステルポリカーボネートポリオールを使用して製造したポリウレタンを、離型紙又は基材(基布)に塗布し乾燥させる乾式法等が挙げられる。

さらに、合成皮革を製造する方法としては、離型紙に、本実施形態のポリエステルポリカーボネートポリオールを使用して製造したポリウレタンを塗布し表皮材を形成させた後、その上に、本実施形態の

ポリエステルポリカーボネートポリオールを使用して製造したポリウレタンを、接着層として使用し、基材(基布)とを貼り合わせ

た後に離型紙を除去するトランスファーコーティング法(乾式法の一種)を用いることもできる。」

「【0143】[実施例33]

(合成皮革の製造)

図2に示した装置と同様の装置を使用し、絞模様を有する離型紙(リンテック株式会社製、R-8)を用い、実施例23と同様の組成比である組成物(

イソシアネートとポリエステルポリカーボネートポリオールとを反応させて得たプレポリマーと、鎖延長剤との2成分を直前に

、70°Cの温度で、連続的にミキシングヘッドで混合)を、離型紙上に連続的に流下し、塗布ロールにて厚み50μmに調整した。120°Cの乾燥機を通過させ、

表皮層となるウレタン層を形成し

た。なお、このように本実施形態では、ポリウレタンとして合成皮革を製造する際に使用する溶剤の量を削減し、無溶剤にて製造することができる。

次いで、実施例12と同様の組成比である組成物(

イソシアネートとポリエステルポリカーボネートポリオールとを反応させた得たプレポリマーと、鎖延長剤との2成分を直前に

、40°Cの温度で、連続的にミキシングヘッドで混合)を、離型紙上に連続的に流下し、塗布ロールにて厚み250μmに調整した。120°Cの乾燥機を通過させ、

接着層となるウレタン層を形成した

次いで、接着層を、厚さ500μmの基布(ポリエステル繊維からなる不織布)と圧着ロールを用いて張り合わせ、巻取りロールを用いて巻取り、

ポリウレタンの積層体からなる合成皮革

を得た。得られた合成皮革を評価し、結果を表4に示した。」

(7)甲7に記載された事項

「【請求項1】

車両用シートの表面材として用いられる合成皮革であって、

繊維基材の少なくとも片面に、ポリウレタン接着剤層を介してポリウレタン表皮層を設けたものであり、

ポリウレタン接着剤層とポリウレタン表皮層を構成するポリウレタンが、いずれもポリカーボネート系ポリウレタンであり、

ポリウレタン接着剤層に、分子量が330以上

かつ600未満

でかつ酸価が0.1 KOHmg/g以下のリン酸エステル系難燃可塑剤を、ポリウレタン接着剤層に対して5重量%以上の配合比率で含有させたことを特徴とする合成皮革。

【請求項2】

車両用シートの表面材として用いられる合成皮革であって、

繊維基材の少なくとも片面に、ポリウレタン接着剤層を介してポリウレタン表皮層を設けたものであり、

ポリウレタン接着剤層とポリウレタン表皮層を構成するポリウレタンが、いずれもポリカーボネート系ポリウレタンであり、

ポリウレタン接着剤層に、分子量が330以上でかつ酸価が0.1 KOHmg/g以下のリン酸エステル系難燃可塑剤を、ポリウレタン接着剤層に対して5重量%以上の配合比率で含有させたものであり、

リン酸エステル系難燃可塑剤が、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2-ナフチルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、及びレゾルシノールビスジフェニルホスフェートからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする合成皮革。」

「【0024】

ポリウレタン接着剤層3は、繊維基材2の片面に形成されている。ポリウレタン接着剤層3は、ポリカーボネート系ポリウレタンで構成されている。当該ポリカーボネート系ポリウレタンは、例えば、一般に2液型ポリウレタン樹脂と呼ばれるものを採用することができる

。例えば、ポリカーボネートポリオールと、芳香族ジイソシアネート・脂肪族ジイソシアネート・脂環族ジイソシアネート、及び低分子鎖伸長剤を反応させて得られた、末端に水酸基を有する分子量1万~5万の比較的低分子量のものである。当該ポリカーボネート系ポリウレタンは、溶剤系、エマルジョン系を問わず、多官能イソシアネートと反応触媒を配合して用いるものである。」

(8)甲8に記載された事項

「【0039】

接着剤層を形成する接着剤は、表皮層との接着力を考慮すると、表皮層を形成する合成樹脂と同種の樹脂からなるものが好ましく、表皮層としてポリウレタン系樹脂を用いる場合にはポリウレタン系接着剤を用いるのが好ましい。ポリウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン接着剤、ポリエステル系ポリウレタン接着剤、ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤

、又は、これらの複合型が挙げられる。なお、接着剤層を形成する接着剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を同時に用いてもよい。」

3 取消理由1-1(甲1を主引例とした進歩性の欠如(申立理由1))

(1)甲1に記載された発明

甲1の【0072】、【0073】、【0080】、【0082】~【0085】、【表3】、【表4】の、実施例6~9の記載から、甲1には次の、接着剤の発明(以下、実施例番号順に、「甲1発明6」~「甲1発明9」という。)が記載されている。

(甲1発明6)

「ポリオール成分100重量部として、

約4800g/モルの分子量と約1600のヒドロキシル当量を有する、エチレンオキシドでキャップされた公称官能基数が3のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールAを25.1重量部

スクロースとグリセリンとの混合物をアルコキシル化することにより製造された、分子量が1400であり公称官能基数が7.0のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールBを3.5重量部

C12~C15のn-アルカノールの混合物にプロピレンオキシドを重合することによって製造された分子量935のポリエーテルである

モノオール2を7重量部

1分子あたり3個の末端一級アミン基を名目上有する分子量400のアミン末端ポリプロピレンオキシドである

ポリアミンを0.5重量部

市販のジオクチルスズチオグリコレートである

触媒Aを0.15重量部

フェノールでブロックされた1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンである

触媒Cを0.25重量部

45μm未満の粒子サイズを有する粉砕CaCO

3

;ステアレートコーティングを有し全ての粒子が200nm未満の沈降CaCO

3

;並びに3.2μmの平均粒子サイズ、8.5m

2

/gのBET表面積、及び5.5のpHを有する焼成カオリン;の混合物である

充填材混合物を58重量部

ヒュームドシリカとモレキュラーシーブとの混合物である

乾燥剤を5.5重量部

ポリイソシアネート成分100重量部として、

イソシアネート含有量が4.4%のトルエンジイソシアネートプレポリマー(Covestro AGからDesmodur(登録商標)E15として入手可能)78部と、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート(Covestro AGからDesmodur(登録商標)N3400として入手可能)2部と、粒子状カーボンブラック18部との混合物である

ポリイソシアネートを98重量部

Momentive Performance MaterialsからSilquest(登録商標)A187として市販されている

エポキシシランを2重量部

含む接着剤。」

(甲1発明7)

「ポリオール成分100重量部として、

約4800g/モルの分子量と約1600のヒドロキシル当量を有する、エチレンオキシドでキャップされた公称官能基数が3のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールAを25.1重量部

スクロースとグリセリンとの混合物をアルコキシル化することにより製造された、分子量が1400であり公称官能基数が7.0のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールBを3.5重量部

プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの50/50混合物を1-ブタノール上に重合することによって製造された分子量1020のポリエーテルである

モノオール3を7重量部

1分子あたり3個の末端一級アミン基を名目上有する分子量400のアミン末端ポリプロピレンオキシドである

ポリアミンを0.5重量部

市販のジオクチルスズチオグリコレートである

触媒Aを0.15重量部

フェノールでブロックされた1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンである

触媒Cを0.25重量部

45μm未満の粒子サイズを有する粉砕CaCO

3

;ステアレートコーティングを有し全ての粒子が200nm未満の沈降CaCO

3

;並びに3.2μmの平均粒子サイズ、8.5m

2

/gのBET表面積、及び5.5のpHを有する焼成カオリン;の混合物である

充填材混合物を58重量部

ヒュームドシリカとモレキュラーシーブとの混合物である

乾燥剤を5.5重量部

ポリイソシアネート成分100重量部として、

イソシアネート含有量が4.4%のトルエンジイソシアネートプレポリマー(Covestro AGからDesmodur(登録商標)E15として入手可能)78部と、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート(Covestro AGからDesmodur(登録商標)N3400として入手可能)2部と、粒子状カーボンブラック18部との混合物である

ポリイソシアネートを98重量部

Momentive Performance MaterialsからSilquest(登録商標)A187として市販されている

エポキシシランを2重量部

含む接着剤。」

(甲1発明8)

「ポリオール成分100重量部として、

約4800g/モルの分子量と約1600のヒドロキシル当量を有する、エチレンオキシドでキャップされた公称官能基数が3のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールAを28重量部

スクロースとグリセリンとの混合物をアルコキシル化することにより製造された、分子量が1400であり公称官能基数が7.0のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールBを2.5重量部

プロピレンオキシドとブチレンオキシドとの50/50混合物をC12~C15のn-アルカノールの混合物に重合することによって製造された分子量950のポリエーテルである

モノオール4を5重量部

1,4-ブタンジオールを0.5重量部

市販のジオクチルスズジカルボキシレートである

触媒Bを0.25重量部

フェノールでブロックされた1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンである

触媒Cを0.25重量部

45μm未満の粒子サイズを有する粉砕CaCO

3

;ステアレートコーティングを有し全ての粒子が200nm未満の沈降CaCO

3

;並びに3.2μmの平均粒子サイズ、8.5m

2

/gのBET表面積、及び5.5のpHを有する焼成カオリン;の混合物である

充填材混合物を58重量部

ヒュームドシリカとモレキュラーシーブとの混合物である

乾燥剤を5.5重量部

ポリイソシアネート成分100重量部として、

イソシアネート含有量が4.4%のトルエンジイソシアネートプレポリマー(Covestro AGからDesmodur(登録商標)E15として入手可能)78部と、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート(Covestro AGからDesmodur(登録商標)N3400として入手可能)2部と、粒子状カーボンブラック18部との混合物である

ポリイソシアネートを98重量部

Momentive Performance MaterialsからSilquest(登録商標)A187として市販されている

エポキシシランを2重量部

含む接着剤。」

(甲1発明9)

「ポリオール成分100重量部として、

約4800g/モルの分子量と約1600のヒドロキシル当量を有する、エチレンオキシドでキャップされた公称官能基数が3のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールAを24.07重量部

スクロースとグリセリンとの混合物をアルコキシル化することにより製造された、分子量が1400であり公称官能基数が7.0のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールBを4重量部

プロピレンオキシドとブチレンオキシドとの50/50混合物をドデシルアルコールに重合することによって製造された分子量750のポリエーテルである

モノオール1を7重量部

市販のジオクチルスズチオグリコレートである

触媒Aを0.18重量部

フェノールでブロックされた1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンである

触媒Cを0.25重量部

45μm未満の粒子サイズを有する粉砕CaCO

3

;ステアレートコーティングを有し全ての粒子が200nm未満の沈降CaCO

3

;並びに3.2μmの平均粒子サイズ、8.5m

2

/gのBET表面積、及び5.5のpHを有する焼成カオリン;の混合物である

充填材混合物を59重量部

ヒュームドシリカとモレキュラーシーブとの混合物である

乾燥剤を5.5重量部

ポリイソシアネート成分100重量部として、

イソシアネート含有量が4.4%のトルエンジイソシアネートプレポリマー(Covestro AGからDesmodur(登録商標)E15として入手可能)78部と、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート(Covestro AGからDesmodur(登録商標)N3400として入手可能)2部と、粒子状カーボンブラック18部との混合物である

ポリイソシアネートを98重量部

Momentive Performance MaterialsからSilquest(登録商標)A187として市販されている

エポキシシランを2重量部

含む接着剤。」

(2)対比・判断

ア 本件訂正発明1

(ア)対比

本件訂正発明1と甲1発明6~9とを対比する。

まず、甲1発明6について検討すると、甲1発明6の「約4800g/モルの分子量と約1600のヒドロキシル当量を有する、エチレンオキシドでキャップされた公称官能基数が3のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールA

」は、本件訂正発明1の「ポリオール(C)」に相当する、ポリエーテルポリオールである。

そして、約4,800g/molの分子量から概算される

ポリオールAの

数平均分子量は2000以上であると認められるから、ポリオールAは数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)に相当する。

甲1発明6の「スクロースとグリセリンとの混合物をアルコキシル化することにより製造された、分子量が1400であり公称官能基数が7.0のポリ(プロピレンオキシド)である

ポリオールB

」も、ポリエーテルポリオールであり、約1,400g/molの分子量から概算される

ポリオールBの

数平均分子量は100以上であると認められ、1400以下であるから、ポリオールBは数平均分子量100以上2000未満のポリオール(C2)に相当する。

甲1発明6の「C12~C15のn-アルカノールの混合物にプロピレンオキシドを重合することによって製造された分子量935のポリエーテルである

モノオール2

」は、アルキレンオキシドとアルキルアルコールとのポリエーテルであり、分子内に水酸基を1つ有する化合物であるから、本件訂正発明1の「モノアルコール(E)」とは、モノアルコールである点で共通する。

そうすると、甲1発明6の「ポリオール成分」は、これらのポリオール(C1)、ポリオール(C2)、モノアルコール(E)を含むから、本件訂正発明1の「ポリオール主剤(A)」とは、ポリオール(C)とモノアルコール(E)を含む成分である点で共通する。

甲1発明6の「イソシアネート含有量が4.4%のトルエンジイソシアネートプレポリマー(Covestro AGからDesmodur(登録商標)E15として入手可能)78部と、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート(Covestro AGからDesmodur(登録商標)N3400として入手可能)2部と、粒子状カーボンブラック18部との混合物である

ポリイソシアネート

」は、本件訂正発明1の「ポリイソシアネート硬化剤(B)」に相当する。

また、本件訂正発明1と甲1発明7~9についても、同様に対比すると、甲1発明6における「

モノオール2

」が、順に、「

モノオール3

」「

モノオール4

」、「

モノオール1

」であるが、いずれも、アルキレンオキシドとアルキルアルコールとのポリエーテルであり、分子内に水酸基を1つ有する化合物であるから、本件訂正発明1の「モノアルコール(E)」とは、モノアルコールである点で共通する。

そうすると、甲1発明6~9の「接着剤」は、本件訂正発明1の「接着剤」とは、「ポリイソシアネート硬化剤(B)と、「ポリオール(C)およびモノアルコール(E)を含む成分」を含み、

前記ポリオール(C)がポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールおよびポリウレタンポリオールのうち少なくとも一種を含有し、かつ、前記ポリオール(C)が数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)と、数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)とを含む、接着剤」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1-1>

「ポリオール主剤(A)」について、

本件訂正発明1の接着剤は、「ポリオール主剤(A)」が「

接着剤100質量% 中の、含有率が0.03質量%以上3.32質量% 以下である

、リン酸系化合物(D)」を含むのに対し、

甲1発明6~9の接着剤は、「ポリオール成分」がリン酸系化合物を含まない点。

<相違点1-2>

「モノアルコール(E)」について、

本件訂正発明1の接着剤は、

モノアルコール(E)が、芳香環を有するモノアルコールを含有

するのに対し、

甲1発明6~9の接着剤は、

モノアルコールに相当する成分が、

アルキレンオキシドとアルキルアルコールとのポリエーテルであるモノオール2~4及び1であって、

芳香環を有するモノアルコールを含有

しない点。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み、まず、<相違点1-2>について検討する。

甲1発明6~8及び9の接着剤におけるモノアルコールに相当する成分は、いずれもアルキレンオキシドとアルキルアルコールとのポリエーテルである、それぞれモノオール2~4及び1であり、甲1における「厳密に1つのヒドロキシル基を有する化合物である」、「モノオール」について、段落0021~0026に、「直鎖」であり、「脂肪族」であることが好ましいと記載され、芳香環を有するモノアルコールについては、例示もなされておらず、甲1には、「モノアルコール」を、「

芳香環を有するモノアルコールを含有する

」ものとする動機付けとなる記載があるとはいえない。

また、甲2~甲9のいずれにも、甲1発明6~9における「

モノアルコール

」について、「

芳香環を有する

」化学構造のものを選択することを動機付ける記載はない。

(ウ)効果について

本件特許明細書の実施例からみて、本件訂正発明1は、芳香環を有するモノアルコールを含有する接着剤により、アルミニウム基材への接着強度及び凝集破壊、長期耐湿熱性を両立するという効果を奏するものである。

(エ)小括

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明、並びに甲1、甲3~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明3~10

本件訂正発明3~8は、本件訂正発明1の記載を引用する形式で記載されたものであって、前記ア(ア)の<相違点1-2>に係る特定事項を全て含むものである。

また、本件訂正発明9は、本件訂正発明1~8のいずれかの「接着剤」を「硬化してなる硬化物」であり、本件訂正発明10は、本件訂正発明9の硬化物である「接着剤層」を「第一基材と第二基材との間に」「備える構造体」であって、いずれも、前記(2)の<相違点1-2>に係る特定事項を全て含むものである。

そうすると、本件訂正発明3~10は、前記アと同じ理由により、甲1に記載された発明、並びに甲1、甲3~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 取消理由1-2(甲2を主引例とした進歩性の欠如(申立理由2))

(1)甲2に記載された発明

甲2の【0032】~【0067】の、実施例1~6の記載から、甲2には次の高剥離強度・耐加水分解性湿式ポリウレタン樹脂の発明(以下、実施例番号順に、「甲2発明1」~「甲2発明6」という。)が記載されている。

(甲2発明1)

「DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

SP-4(分子量が4000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合比はアジピン酸4000kg、1,4-ブタンジオール800kg、1,6-ヘキサンジオール2660kgである)560kg

SP-2(分子量が2000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合は、アジピン酸8000kg、エチレングリコール2500kg、1,4-ブタンジオール2000kgである)650kg

PPG-2(分子量が2000のポリオキシプロピレンジオール)550kg

I-1010(酸化防止剤ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])4kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)150~165kgを反応させ固形分を40~50%に制御した反応液に、

EG(エチレングリコール)35kg

PPG-1(分子量が1000のポリオキシプロピレンジオール)140kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)195~210kgを追加してプレポリマー反応を行い、有機ビスマス(正の触媒)0.1~0.5kgの存在下で反応させ、DMFを加えて固形分を45~60%、粘度3~7万cps/75°Cに制御したプレポリマーに、

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

EG(エチレングリコール)175kg

PPG-1(分子量が1000のポリオキシプロピレンジオール)70kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)725kg

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)1500kg

を加え、最終回の希釈後、系の固形分を35~40%に調整し、

反応完了後、メタノール(反応停止剤)1~2kg、リン酸(負の触媒)5~20ml及びほかの助剤を加え、均―に撹拌した後、粘度を200,000~ 300,000cps/25°Cに制御したポリウレタン樹脂。」

(甲2発明2)

「DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

SP-4(分子量が4000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合比はアジピン酸4000kg、1,4-ブタンジオール800kg、1,6-ヘキサンジオール2660kgである)560kg

SP-2(分子量が2000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合は、アジピン酸8000kg、エチレングリコール2500kg、1,4-ブタンジオール2000kgである)650kg

PCDL-2(分子量が2000のポリカーボネートジオール)550kg

I-1010(酸化防止剤ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])4kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)150~165kgを反応させ固形分を40~50%に制御した反応液に、

EG(エチレングリコール)35kg

PCDL-1(分子量が1000のポリカーボネートジオール)140kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)195~210kgを追加してプレポリマー反応を行い、有機ビスマス(正の触媒)0.1~0.5kgの存在下で反応させ、DMFを加えて固形分を45~60%、粘度3~7万cps/75°Cに制御したプレポリマーに、

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

EG(エチレングリコール)175kg

PCDL-1(分子量が1000のポリカーボネートジオール)70kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)725kg

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)1500kg

をDMFを分けて加え、最終回の希釈後、系の固形分を35~40%に調整し、反応完了後、メタノール(反応停止剤)1~2kg、リン酸(負の触媒)5~20ml及びほかの助剤を加え、均―に撹拌した後、粘度を200,000~ 300,000cps/25°Cに制御したポリウレタン樹脂。」

(甲2発明3)

「DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

SP-4(分子量が4000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合比はアジピン酸4000kg、1,4-ブタンジオール800kg、1,6-ヘキサンジオール2660kgである)560kg

SP-2(分子量が2000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合は、アジピン酸8000kg、エチレングリコール2500kg、1,4-ブタンジオール2000kgである)650kg

PCL-2(分子量が2000のポリカプロラクトンジオール)550kg

I-1010(酸化防止剤ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])4kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)150~165kgを反応させ固形分を40~50%に制御した反応液に、

EG(エチレングリコール)35kg

PCL-1(分子量が1000のポリカプロラクトンジオール)140kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)195~210kgを追加してプレポリマー反応を行い、有機ビスマス(正の触媒)0.1~0.5kgの存在下で反応させ、DMFを加えて固形分を45~60%、粘度3~7万cps/75°Cに制御したプレポリマーに、

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

EG(エチレングリコール)175kg

PCL-1(分子量が1000のポリカプロラクトンジオール)70kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)725kg

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)1500kg

をDMFを分けて加え、最終回の希釈後、系の固形分を35~40%に調整し、反応完了後、メタノール(反応停止剤)1~2kg、リン酸(負の触媒)5~20ml及びほかの助剤を加え、均―に撹拌した後、粘度を200,000~ 300,000cps/25°Cに制御したポリウレタン樹脂。」

(甲2発明4)

「DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

SP-4(分子量が4000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合比はアジピン酸4000kg、1,4-ブタンジオール800kg、1,6-ヘキサンジオール2660kgである)560kg

SP-2(分子量が2000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合は、アジピン酸8000kg、エチレングリコール2500kg、1,4-ブタンジオール2000kgである)650kg

PPG-2(分子量が2000のポリオキシプロピレンジオール)300kg

PTMG-2(分子量が2000のポリテトラヒドロフランジオール)250kg

I-1010(酸化防止剤ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])4kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)150~165kgを反応させ固形分を40~50%に制御した反応液に、

EG(エチレングリコール)35kg

PPG-1(分子量が1000のポリオキシプロピレンジオール)100kg

PTMG-1(分子量が1000のポリテトラヒドロフランジオール)40kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)195~210kgを追加してプレポリマー反応を行い、有機ビスマス(正の触媒)0.1~0.5kgの存在下で反応させ、DMFを加えて固形分を45~60%、粘度3~7万cps/75°Cに制御したプレポリマーに、

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

EG(エチレングリコール)175kg

PPG-1(分子量が1000のポリオキシプロピレンジオール)30kg

PTMG-1(分子量が1000のポリテトラヒドロフランジオール)40kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)725kg

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)1500kg

を加え、最終回の希釈後、系の固形分を35~40%に調整し、

反応完了後、メタノール(反応停止剤)1~2kg、リン酸(負の触媒)5~20ml及びほかの助剤を加え、均―に撹拌した後、粘度を200,000~ 300,000cps/25°Cに制御したポリウレタン樹脂。」

(甲2発明5)

「DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

SP-4(分子量が4000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合比はアジピン酸4000kg、1,4-ブタンジオール800kg、1,6-ヘキサンジオール2660kgである)560kg

SP-2(分子量が2000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合は、アジピン酸8000kg、エチレングリコール2500kg、1,4-ブタンジオール2000kgである)650kg

PCDL-2(分子量が2000のポリカーボネートジオール)300kg

PCL-2(分子量が2000のポリカプロラクトンジオール)250kg

I-1010(酸化防止剤ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])4kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)150~165kgを反応させ固形分を40~50%に制御した反応液に、

EG(エチレングリコール)35kg

PCDL-1(分子量が1000のポリカーボネートジオール)100kg

PCL-1(分子量が1000のポリカプロラクトンジオール)40kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)195~210kgを追加してプレポリマー反応を行い、有機ビスマス(正の触媒)0.1~0.5kgの存在下で反応させ、DMFを加えて固形分を45~60%、粘度3~7万cps/75°Cに制御したプレポリマーに、

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

EG(エチレングリコール)175kg

PCDL-1(分子量が1000のポリカーボネートジオール)30kg

PCL-1(分子量が1000のポリカプロラクトンジオール)40kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)725kg

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)1500kg

をDMFを分けて加え、最終回の希釈後、系の固形分を35~40%に調整し、反応完了後、メタノール(反応停止剤)1~2kg、リン酸(負の触媒)5~20ml及びほかの助剤を加え、均―に撹拌した後、粘度を200,000~ 300,000cps/25°Cに制御したポリウレタン樹脂。」

(甲2発明6)

「DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

SP-4(分子量が4000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合比はアジピン酸4000kg、1,4-ブタンジオール800kg、1,6-ヘキサンジオール2660kgである)560kg

SP-2(分子量が2000の自作ポリエステルポリオールであり、原料及び配合は、アジピン酸8000kg、エチレングリコール2500kg、1,4-ブタンジオール2000kgである)650kg

PCDL-2(分子量が2000のポリカーボネートジオール)225kg

PCL-2(分子量が2000のポリカプロラクトンジオール)225g

I-1010(酸化防止剤ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])4kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)150~165kgを反応させ固形分を40~50%に制御した反応液に、

EG(エチレングリコール)35kg

PCDL-1(分子量が1000のポリカーボネートジオール)110kg

PCL-1(分子量が1000のポリカプロラクトンジオール)30kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)195~210kgを追加してプレポリマー反応を行い、有機ビスマス(正の触媒)0.1~0.5kgの存在下で反応させ、DMFを加えて固形分を45~60%、粘度3~7万cps/75°Cに制御したプレポリマーに、

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)2500kg

EG(エチレングリコール)175kg

PCDL-1(分子量が1000のポリカーボネートジオール)20kg

PCL-1(分子量が1000のポリカプロラクトンジオール)50kg

MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)725kg

DMF(溶媒としてのジメチルホルムアミド)1500kg

をDMFを分けて加え、最終回の希釈後、系の固形分を35~40%に調整し、反応完了後、メタノール(反応停止剤)1~2kg、リン酸(負の触媒)5~20ml及びほかの助剤を加え、均―に撹拌した後、粘度を200,000~ 300,000cps/25°Cに制御したポリウレタン樹脂。」

(2)対比・判断

ア 本件訂正発明1

(ア)対比

本件訂正発明1と甲2発明1とを対比する。

甲2発明1の「SP-4」、「SP-2」、「PPG-2」について、甲2には数平均分子量が記載されていると認められ(段落[0019]、[0020])、本件訂正発明1の「数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)」に相当し、「SP-4」、「SP-2」、「PPG-2」はいずれもポリエーテルポリオールである。

甲2発明1の「PPG-1」は、本件訂正発明1の「数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)」に相当する、ポリエーテルポリオールである。

したがって、甲2発明1の「ポリウレタン樹脂製品」は、ポリオール成分を含む。

甲2発明1の「MDI」は、本件訂正発明1の「ポリイソシアネート硬化剤(B)」に相当し、甲2発明1の「ポリウレタン樹脂製品」は、ポリイソシアネート成分を含む。

甲2発明1の「リン酸」は、本件訂正発明1の「リン酸系化合物(D)」に相当する。

甲2発明1の「メタノール」は、分子内に水酸基を1つ有する化合物であるから、本件訂正発明1の「モノアルコール(E)」とは、モノアルコールである点で共通する。

そして、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアナートとポリオールの重付加で作られるウレタン結合-NHC(O)O-をもつ重合体であるから、甲2発明1は、本件訂正発明1のポリオールとポリイソシアナートを含む「接着剤」とは、「ポリウレタン組成物」である点で、共通する。

本件訂正発明1と甲2発明2~6についても、同様に対比すると、甲2発明2、5、6に含まれる「PCDL-2」は、本件訂正発明1の「数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)」に相当するポリカーボネートポリオールである。甲2発明2、5、6に含まれる「PCDL-1」は、本件訂正発明1の「数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)」に相当する、ポリカーボネートポリオールである。

また、甲2発明3、5、6に含まれる「PCL-2」は、本件訂正発明1の「数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)」に相当するポリエステルポリオールである。甲2発明3、5、6に含まれる「PCL-1」は、本件訂正発明1の「数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)」に相当する、ポリエステルポリオールである。

甲2発明4に含まれる「PTMG-2」は、本件訂正発明1の「数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)」に相当するポリエーテルポリオールである。甲2発明4に含まれる「PTMG-1」は、本件訂正発明1の「数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)」に相当する、ポリエーテルポリオールである。

そうすると、甲2発明1~6の「ポリウレタン樹脂」は、本件訂正発明1の「接着剤」とは、

「ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含み、ポリイソシアネート硬化剤(B)と、ポリオール(C)、リン酸系化合物(D)およびモノアルコール(E)を含み、

前記ポリオール(C)がポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールおよびポリウレタンポリオールのうち少なくとも一種を含有し、

かつ、前記ポリオール(C)が数平均分子量2,000以上のポリオール(C1)と、数平均分子量100以上2,000未満のポリオール(C2)とを含む、ポリウレタン組成物」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2-1>

ポリウレタン組成物が、本件訂正発明1では「接着剤」であり、「

接着剤100質量%中の前記リン酸系化合物(D)の含有率が0.03質量%以上3.32質量% 以下である」

のに対し、甲2発明1~6は「接着剤」ではなく、ポリウレタン樹脂であり、製品中のリン酸の質量%は不明である点。

<相違点2-2>

ポリウレタン組成物について、本件訂正発明1のポリオール成分は、「ポリオール主剤(A)」であり「ポリオール(C)、リン酸系化合物(D)およびモノアルコール(E)を含」むと特定されるのに対し、甲2発明1~6のポリオール成分は、「ポリオール主剤(A)」であるとも、「ポリオール(C)、リン酸系化合物(D)およびモノアルコール(E)を含」むとも特定されていない点。

<相違点2-3>

「モノアルコール(E)」について、

本件訂正発明1は、

芳香環を有するモノアルコールを含有

するのに対し、

甲2発明1~6は、メタノールを含有し、

芳香環を有するモノアルコールを含有

しない点。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み、まず、<相違点2-3>について検討する。

甲2発明1~6において、メタノールは反応完了後に添加される反応停止剤であり、甲2の段落0043にも、「メタノールは反応停止剤である」と記載されており、甲2には、何らかの目的でメタノール以外の「モノアルコール」を添加することは、記載も示唆もなされていない。

また、芳香環を有するモノアルコールが「反応停止剤」として周知のものであったともいえず、甲1、甲3~甲9のいずれにも、甲2発明1~6における「反応停止剤」として、「

芳香環を有する

モノアルコール」を選択することを動機付ける記載はない。

(ウ)効果について

本件特許明細書の実施例からみて、本件訂正発明1は、芳香環を有するモノアルコールを含有する接着剤とすることにより、アルミニウム基材への接着強度及び凝集破壊、長期耐湿熱性を両立するという効果を奏するものである。

(エ)小括

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明、及び甲1~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明3~10

本件訂正発明3~8は、本件訂正発明1の記載を引用する形式で記載されたものであって、前記ア(ア)の<相違点2-3>に係る特定事項を全て含むものである。

また、本件訂正発明9は、本件訂正発明1~8のいずれかの「接着剤」を「硬化してなる硬化物」であり、本件訂正発明10は、本件訂正発明9の硬化物である「接着剤層」を「第一基材と第二基材との間に」「備える構造体」であって、いずれも、前記(2)の<相違点2-3>に係る特定事項を全て含むものである。

そうすると、本件訂正発明3~10は、前記アと同じ理由により、甲2に記載された発明、及び甲1~8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 取消理由2(リン酸系化合物(D)の含有量の規定に関するサポート要件違反(申立理由3-2))

(1)前提

特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する、いわゆるサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)発明の課題

本件訂正発明が解決しようとする課題は、本件明細書の【0008】の記載から、「アルミニウム基材と他基材との貼り合わせに好適な、プライマーレスで高い接着強度および接着剤の凝集破壊、長期耐湿熱性を両立する接着剤を提供すること」であると認められる。

(3)判断

「リン酸系化合物」について、表4~5の実施例1~26には、「無溶剤型接着剤100質量%中のリン酸系化合物(D)の含有量(質量%)」が最も低い0.03質量%のポリリン酸である実施例22(ホリオール主剤A19)から、最も高い4.48質量%のポリリン酸である実施例23(ホリオール主剤A20)までの具体的な配合量が記載されているものの、最も高い4.48質量%の実施例23(ホリオール主剤A20)では、上記課題である長期耐湿熱性が「使用不可」の評価Cであり、課題を解決し得ないことが開示されている。

そして、「無溶剤型接着剤100質量%中のリン酸系化合物(D)の含有量(質量%)」が3.32質量%のポリリン酸である実施例19や、3.28質量%のポリリン酸である実施例16(ホリオール主剤A16)は、長期耐湿熱性の課題を解決し得たことが開示され、リン酸系化合物(D)としては、リン酸もホリオール主剤A3~7及び10において、0.31~0.63質量%の範囲で用いられている。

そうすると、本件明細書の実施例等の記載から、リン酸系化合物が、

接着剤100質量%中0.03質量%以上3.32質量% 以下の含有率である

ことにより、接着強度および接着剤の凝集破壊、長期耐湿熱性を得られることは理解できるから、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

また、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明3~8と、本件訂正発明1~8のいずれかの「接着剤」を「硬化してなる硬化物」である本件訂正発明9、本件訂正発明9の硬化物である「接着剤層」を「第一基材と第二基材との間に」「備える構造体」である本件訂正発明10についても、同様の理由により、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

(4)小括

以上で検討したとおり、前記第4の1の申立理由3-2(サポート要件違反)には理由がない。

第6 取消理由で採用しなかった申立理由3-1(サポート要件違反)についての当審の判断

1 前提と発明の課題は、上記第5の5(1)及び(2)のとおりである。

2 申立人の主張

本件訂正発明1及び本件明細書において、ポリイソシアネート硬化剤(B)は限定されていない一方で、本件特許明細書の実施例において用いられているイソシアネート硬化剤(B)は全て4,4‘-MDIを含む芳香族を含んだイソシアネートのみである。そして、イソシアネート骨格の違いがポリウレタンの特性に影響与えることは周知の事実であって、イソシアネートの骨格構造(芳香族、脂肪族、脂環式)と、得られるポリウレタンの力学物性(強度や伸度)にあたえる影響が、甲第9号証の第3頁表1、第12頁図5、第13頁表8における以下の5種のイソシアネートのデータにより示されている。

TODI、MDI:対称な芳香族イソシアネート

MDIi:非対称性芳香族イソシアネート(混合物)

IPDI:非対称性脂環式イソシアネート

HDI:直鎖脂肪族イソシアネート

本件発明の課題である接着強度と凝集破壊には、ウレタン強度と伸度は重要な因子となるところ、「(i)強度(破断強度)が低すぎると、伸度によらず力をかけた際に接着剤での破壊(凝集破壊)は起きやすい傾向になるが、小さな力で破壊が起きるため十分な接着強度が発現しにくくなると考えられ」、「(ii)伸び(破断伸度)が大きくかつウレタン強度が高い場合、引張時の変形に耐えやすく凝集破壊を起こしにくく、基材の密着力が不十分な場合は界面剥離を起こしやすい」ことから、「対称な芳香族イソシアネート」である4,4‘-MDIしか使用されていない本件明細書の実施例の記載から、本件特許出願時の技術常識に照らしても、非対称の環式あるいは直鎖脂肪族のイソシアネートを使用した場合を包含する、本件訂正発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できない。

3 判断

本件明細書の段落【0025】には、本件訂正発明の効果のメカニズムとして、「リン酸系化合物(D)により、良好な室温硬化での初期強度と金属への密着性を向上させ、プライマーレスでアルミニウム基材と他基材への密着性が確保され、接着強度が向上する。また、モノアルコール(E)により、塗膜の架橋度を調整することで接着剤の凝集破壊の起点を作ることで安定した接着強度を発揮することができる。」との記載がある。

そうすると、上記記載より、必須の添加剤である「リン酸系化合物(D)」と「モノアルコール(E)」の接着強度と凝集破壊に対する寄与について理解できるから、本件訂正発明1が、接着剤を凝集破壊させつつ安定した接着強度を両立させていることにより、上記発明の課題を解決できるものであることが一応理解できる。

そして、同段落【0073】~【0020】、【表3】~【表5】には、実施例として、本件訂正発明の特定事項を満たす接着剤が、上記発明の課題を解決できることが具体的に示されている。

また、上記甲9に記載される5種のイソシアネートのデータから読み取ることができるのは、イソシアネートの化学構造により、ウレタンの強度と伸度に差異が生じるという傾向にとどまり、具体的に本件明細書で用いられた「対称な芳香族イソシアネート」以外のものについては、接着強度や凝集破壊の観点から不具合を生じる程のものであるという合理的な疑いが裏付けられるものでもない。

仮に、ポリイソシアネート硬化剤(B)が、本件特許明細書の実施例において用いられたMDI以外である場合に、上記十分な接着強度と凝集破壊が発現しにくくなるとしても、接着強度が発現できないか、または、界面剥離を起こすとまでは認められず、課題が解決し得ない態様が包含されていることが明らかであるとまではいえない。

してみれば、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

また、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明3~8と、本件訂正発明1~8のいずれかの「接着剤」を「硬化してなる硬化物」である本件訂正発明9、本件訂正発明9の硬化物である「接着剤層」を「第一基材と第二基材との間に」「備える構造体」である本件訂正発明10についても、同様の理由により、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

4 小括

以上で検討したとおり、前記第4の1の申立理由3-1(サポート要件違反)には理由がない。

第7 むすび

以上のとおりであるから、令和7年10月7日付け取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立ての理由によっては、本件訂正後の請求項1、3~10に係る特許を取り消すことはできず、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。

また、請求項2は訂正の請求により削除され、当該請求項に係る特許についての特許異議の申立ては申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

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