結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2021300644 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第5511327号商標(以下「本件商標」という。)は、「JUICE」の欧文字を横書きしてなり、平成23年1月31日登録出願され、第9類「充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,携帯電話用充電器,その他の電気通信器具,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル」を指定商品として、同24年8月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和3年9月8日である。
また、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年(2018年)9月8日ないし令和3年(2021年)9月7日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,携帯電話用充電器,その他の電気通信器具,電子応用機械器具及びその部品,電線及びケーブル」(以下「請求に係る指定商品」という。)について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
なお、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)のうち、乙第5号証について「(5)-1」(括弧は○囲みを示す。)のように記載した証拠については枝番であると認め、枝番のある乙号証については、それぞれ以下「乙第5号証の1」又は「乙5の1」のように表す。また、枝番号を全て引用するときは枝番号は省略する。
本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)乙第1号証について
ア 乙第1号証の左下部に「充電器「JUICE」の広告」と称して表示された「JUICEの販売についてお知らせ」を標題とする文面(以下「充電器の広告」という場合がある。)には、「RechargeableJUICEの充電には当社充電器JUICEをご使用ください。」「当社充電器JUICEの販売日をメールにてお知らせさせていただきます。」と記載されている。
しかしながら、これは被請求人の取り扱う商品である電池を充電するための手段とそれを実現する商品が将来販売された際に知らせることを単に告知・説明しているにすぎず、この文面に「充電器JUICE」の表記はあるものの、当該商品に関する具体的な情報は皆無であるから、この文面をもって、商標法第2条第3項第8号の「広告」とはいえない。
また、商標法第2条第3項第8号の頒布とは、標章を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれることをいい(知財高判平成24年12月15日(平成22(行ケ)10013)、乙第1号証の写真等からは、この充電器の広告が広告にあたるとしても、これが一般公衆による閲覧可能な状態に置かれているとは到底いえないものであるから、商標法第2条第3項第8号の「頒布」がなされたとは認められない。
イ 使用時期について
乙第1号証に表示された写真や文面からは本件商標が使用された時期が不明であるから、「要証期間に」本件商標が使用されたことを証明できない。
ウ 商標としての使用について
乙第1号証の充電器の広告は、被請求人の取り扱う商品である電池を充電するための手段と、それを実現する商品が将来販売された際に知らせることを単に告知・説明しているにすぎず、いわば商品名を羅列したにすぎないものであるから、商品「充電器」の出所識別標識としての機能を果たしているものではない。
したがって、形式的に本件商標が表示されているとしても、商標としての使用であるとは認められない以上、商標法が規定する「使用」の事実があったとはいえない。
エ 小括
以上のように乙第1号証は商標法第2条第3項第8号の使用の事実があったとは認められない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、電池の充電器の取扱説明書と思しきものの写真が複数表示されているところ、これが商標法第2条第3項第8号の「取引書類」にあたるとしても、被請求人が「展示し、若しくは頒布し・・・標章を付して電磁的方法により提供」したことは証明されていない。
また、乙第2号証の写真が撮られた時期は不明であり、充電器の取扱説明書と思しきものがいつから存在していたかも不明であるから、商法標第50条第2項に規定する要件を具備することを証明できるとはいえない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、Yahoo!ショッピングにおいて、被請求人が運営していると推測される「NOBIL Y!SHOP」のページが表示されており、当該ページの中央部に、乙第1号証の電池と思しき商品と同様の画像が二つ表示されており、その下には、「RechargeableJUICE 単3形2400mAH ニッケル水素電池」及び「RechargeableJUICE 単4形750mAH ニッケル水素電池」の文字が表示されている。
乙第3号証に表された商品は「電池」であるとしても「充電器」とは異なる商品であるから、前提として失当である。
また、この時点の「電池」の包装箱に、乙第1号証の充電池の広告が同梱されていたことを示す客観的な証拠はない。さらに、乙第3号証の印刷日は「2021.12.9」であり、要証期間外である。
すなわち乙第3号証は、要証期間外である被請求人のオンラインショップの運営状況を表すものにすぎない。
(4)乙第4号証について
ア 乙第4号証は左側に商品を配送するための梱包封筒、右側には、ア「充電器JUICE」の広告、イ「充電器JUICE」の取扱説明書、ウ「RechargeableJUICE 単3形2400mAH ニッケル水素電池(日本製)×4本セット」と称したものがビニールパックでまとめられたものの写真が表示されており、おそらく電池について注文があった際には、右側のビニールパックでまとめられたものを左側の梱包封筒に入れて、購入者に発送していると予想される。
しかしながら、上述の発送方法が真実であったとしても、この写真の撮影時期は不明であるから、要証期間に、同様の発送方法がなされていたと認めることはできない。また、乙第1号証の「充電器の広告」、乙第2号証の「取扱説明書」が要証期間に存在していたことを示す客観的な証拠もない。
そもそもの前提として、電池の購入者に充電器の取扱説明書を送付しているのがおかしい。通常、取扱説明書は「充電器」自体の商品の包装箱の中に同梱したり、充電器自体の購入者に発送するものである。電池の購入者に充電器の取扱説明書だけを併せて送付しても購入者には意味がない。
なお、被請求人のウェブサイトによれば現時点においては充電器「JUICE」なる商品が存在していることが見受けられる(甲3)。
イ 甲3号証は、被請求人が代表取締役であるノービル・インストルメント株式会社(以下「ノービル・インストルメント社」という場合がある。)のウェブサイトの写しであるところ、3ページ目には、2017年8月20日付けで「MIXJUICE ミックスジュース UP0051B-05PA」交換品発送の遅延についてお知らせ」の記事があり、2017年時点において、販売していたのは商標「MIXJUICE(ミックスジュース)」を使用した充電器である。4ページには2017年1月18日付けで「MIXJUICE ミックスジュース UP0051B-05PA」の予防交換(無償)について」の記事があり、この充電器は2017年頃より商品の重大な不具合を生じており、交換の対象となっていたことが分かる。
そして、2022年1月1日付けの記事には、「JUICE(UP012P51B-05PA)小さく美しい複合充電器が、さらに進化しました。」とあり、充電時の新商品のリリースが告知されている。
以上によれば、ノービル・インストルメント社は、2017年時点においては商標「MIXJUICE(ミックスジュース)」を使用した充電器を販売していたところ、不具合が発覚し商品交換を行っていた。2022年になって、「MIXJUICE(ミックスジュース)」の不具合を解消して改良した充電器「JUICE」がリリースされたと考えられる。
そうすると、少なくとも2022年までは商標「MIXJUICE(ミックスジュース)」を使用した充電器は存在していたといえるものの、商標「JUICE」が使用された充電器は存在していなかったと考えるのが自然である。すなわち要証期間に充電器に使用した商標は社会通念上の同一性が認められない「MIXJUICE(ミックスジュース)」であるといわざるをえない。
ウ 以上のように、乙第4号証の写真が撮影された時期は不明であり、乙第5号証の2021年5月24日に、これと同様の発送方法がなされていた事実を客観的に立証できる証拠もない。
(5)乙第5号証について
ア 請求に係る指定商品との相違について
乙第5号証は「ニッケル水素電池」の取引に関するものであり、請求に係る指定商品には含まれない商品である。
また、乙第5号証の「2021年5月24日」で乙第4号証と同様の発送方法がなされていたという事実を客観的に立証できる証拠はない。
イ 証拠資料の信憑性について
(ア)注文IDに関する疑義
本件商標に関する本件審判事件より先の審判事件(取消2021-300303、以下「先の取消審判」という。)において提出された証拠(先の審判の乙5)には、注文ID「nobil―store―10000031」、注文日時は「2018年6月1日2時4分34秒」とある(甲4)。
本件の証拠(乙5)の注文IDは「nobil―store―10000032」であるから、先の取消審判の取引後に本件審判の取引があったと考えられるところ、本件審判の注文日時は「2021年5月22日20時22分16秒」であるのに対し、先の取消審判の注文日時は、「2018年6月1日2時4分34秒」であり、先の取消審判の取引があってから約3年後に本件審判の乙第5号証で表された取引があったということになる。
被請求人が販売しているとされる商品は、ニッケル水素電池であり価格が特段高いわけでなく、一般の人々になじみのある消耗品といえるものである。
そうすると、被請求人が販売しているニッケル水素電池は、約3年もの間、一度も取引実績がないのは信じがたいといわざるを得ない。
そもそも時期の異なる審判事件で提出された証拠資料において注文IDが連番になっている点も偶然とは考えがたく、不自然である。
以上によれば、当該証拠資料は、被請求人よって「作られた可能性」が否定できない。
(イ)取引相手に関する疑義
「お届け先情報」の項目に取引相手の個人の住所、氏名(以下、個人名を「S」氏という。)、電話番号及び「注文者情報」の項目にメールアドレスが表示されている。
昨今、個人情報保護の徹底が求められている中、堂々と開示しているのは極めて不自然であるから、被請求人とこの取引相手である個人(S氏)は何らかの協力関係があると思わざるを得ない。
上述のように、被請求人のオンラインショップは約3年もの間、取引実績がなかったにもかかわらず、本件商標に関する先の取消審判の答弁書の提出が被請求人よってなされたわずか2日後に、S氏と取引実績ができたというのは極めて不自然であり偶然とは考えがたい。
以上によれば、当該証拠資料は、S氏の協力を得た上で被請求人によって「作られた可能性」が否定できない。
(ウ)取引相手とのアンケートメールに関する疑義
乙第5号証の8及び同号証の9のメールの送信日は「2021年12月6日」であり、この日付は要証期間外である。
S氏との取引における注文日は「2021年5月22日」であるところ、なぜその約7ヶ月後に唐突にアンケートメールが送信されたのかが不明である。これらの証拠資料には、「印刷日2021.12.9」(2021年12月9日)と表示されていることを考慮すれば、証拠資料として提出するためにこれらのEメールのやりとりが行われたことがうかがえる。
さらに、被請求人がアンケートメールを送信してから、S氏が返信するまでにわずか50分しか要しておらず、このようなダイレクトメールに、7ヵ月も前に購入した商品に関するアンケートにわずか50分で返信がなされていることは社会通念に照らしても極めて不自然である。
以上によれば、当該証拠資料はS氏の協力を得た上で被請求人によって「作られた可能性」はより一層高まるといわざるを得ない。
ウ 以上のとおり、乙第5号証はニッケル水素電池の取引に関すものであり、請求に係る指定商品には含まれない商品であり、不自然な点が確認されるから、被請求人によって「作られた可能性」が高い。
また、アンケートメールが送信されたのは要証期間外である。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、答弁書を提出した時点で存在しているものであり、要証期間において同様の現物が存在していたという事実を客観的に立証できる証拠ではない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
被請求人は、本件商標を付している商品を、被請求人が代表取締役であるノービル・インストルメント社が、充電器「JUICE」の広告及び取扱説明書を作成し、日本国内向けネット通販サイトで継続して3年以上販売している電池に同梱して頒布していることから、本件審判請求は成り立たない。
被請求人の主張及び同人並びに請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、左上に「Rechargeable JUICE」及び「JUICE」の文字が付された、4本の電池画像の写し、その右側には4本の電池が入った包装箱の写真があり、包装箱には「ご購入ありがとうございます」の記載があり、「JUICEの販売についてお知らせ」の標題が付された被請求人が充電器の広告と主張する用紙が電池の包装箱に同封されている写真及び左下部には充電器の広告の拡大画像が表されている。そして、電池の包装箱の裏側には「充電式ニッケル水素電池 1.2V 日本製 HR6SL-4 単3形・4個入り」「充電には当社充電器JUICEを使用し、充電器の取扱説明書に従って正しく充電してください。」「ノービル・インストルメント株式会社」の記載がある。
充電器の広告には、「Rechargeable JUICEの充電には当社充電器JUICEをご使用ください。」「当社販売サイトからRechargeableJUICEをご購入いただきましたお客様には、当社充電器JUICEの販売日をメールにてお知らせさせていただきます。」の記載がある。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人が充電器JUICEの取扱説明書と主張するものであり、当該取扱説明書の表紙及び1葉目と2葉目と思われる写真である。表紙には「JUICE」「START GUIDE & WARRANTY」の文字が記載されており、両側面から電池をはめる形状の商品の図形が掲載されている。同説明書の2葉目には「電池の出し入れ」の標題で、充電器JUICEという商品(以下「使用商品」という。)の両側面からの電池の入れ方が説明されている。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、「YAHOO!JAPANショッピング」の通販サイトの写しとされるもので、中央部に「ニッケル水素電池」の見出しの下、「くり返し使えるグリーンなニッケル水素電池です。」の記載があり、その下には、「Rechargeable JUICE」の文字が付された4本の電池が2つ並んでいる画像がある。それぞれの商品説明として、「RechargeableJUICE 単3形 2400mAh ニッケル水素電池・・・1,936円」「RechargeableJUICE 単4形 750mAh ニッケル水素電池・・・1,630円」と記載されている。また、下部に「ストア情報」の見出しの下、「NoBIL NOBIL Y!SHOP」、「会社概要」及び「NOBIL Y!SHOP:ノービル公式直販サイト。」の記載があり、右上部に「印刷日:2021.12.09」との記載がある。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、被請求人によれば、ア 包装箱に入ったニッケル水素電池4本、イ 充電器の広告、ウ 充電器の取扱説明書の同梱画像とされるもので、右側にはビニール袋に上記アないしウが封入された画像、左側に茶色い封筒の画像がある。
(5)請求人提出の甲3号証(被請求人のホームページの写し)
被請求人のホームページの写しによれば、「2022―01-01 JUICE(UP012P51B-05PA) 小さく美しい複合充電器が、さらに進化しました。」の記載の下に、「JUICE」「mobile multirole charger」と表示されたパッケージに入れられた両側面に電池がはめ込まれた商品写真が掲載されている。そして、商品写真の下部には、「持ち物を減らせるユニークなモバイルバッテリーです。ご使用に合わせて、電池式のモバイルバッテリー、ACコンセントにさしてスマホ・タブレット、単3・単4ニッケル水素電池の充電器に早変わり。」との説明がある。
さらに、4葉目には「2017年8月20日 ノービル・インストルメント株式会社 代表取締役 田中宏明」の記載がある。
(6)乙第5号証について
ア 乙第5号証の1について
乙第5号証の1は、販売取引実績を示す証拠の1つとして提出されたもので、その1葉目の左上に「YAHOO!JAPAN」、「ストアクリエイターPro」及び「注文管理-注文詳細」の記載があり、その下の「注文基本情報」の項に「注文ID」として「nobil-store-10000032」の記載、「注文日時」として「2021年5月22日20時22分16秒」の記載がある。中央部の「お届け先情報」の項に「住所」として「東京都清瀬市・・・」、「氏名」として「(個人名)」(「S」氏)の記載がある。
また、同号証の2葉目の上部の「入金ステータス」の項に「入金済み」の記載、「お支払方法」の項に「ソフトバンクまとめて支払い」の記載があり、その下の「明細情報」の項に「商品名/商品オプション」として「Rechargeable JUICE 単3形 2400mAh ニッケル水素電池(日本製)×4本セット」、「商品コード/サブコード」として「hr6sl」、「価格(税込)」として「1,936円」の記載がある。
さらに、同号証の3葉目の中央部に「ストア内メモ」の見出しの下「2021 05 25 06:15:完了とマーク(担当:田中 宏明)」の記載がある。
イ 乙第5号証の5について
乙第5号証の5は、注文確認メールの写しとするもので、上部の「Yahoo!ショッピング」の見出しの下「注文確認:nobil-store-10000032」及び「2021年5月22日20:32」の記載、その下に「こんにちは、NOBIL Y!SHOPさん」、「注文を受け付けました。」及び「注文情報詳細で注文内容をご確認ください。」の記載がある。そして、「注文情報」の項に、「注文ID」、「注文日時」、「支払方法」、「商品情報」の項目があり、上記アの「注文ID」、「注文日時」、「お支払方法」、「明細情報」と同一の記載がある。
さらに、下部に「このメールはシステムによりYahoo!JAPANから自動送信されています。」の記載がある。
ウ 乙第5号証の6について
乙第5号証の6は、注文承諾メールの写しとするもので、上部の「NOBIL Y!SHOP」の見出しの下「【ノービル公式ストア:NOBIL Y!SHOP】 ご注文ありがとうございます:nobil-store-10000032」、「2021年5月22日20:38」の記載があり、その下に、「S様」、「下記内容でご注文を承りました・・・。」の記載及び「商品名・・・」の下に、上記イと同一の商品情報の記載がある。
そして、さらにその下部に、「連絡先」の項に「[販売業者]ノービル・インストルメント株式会社」、「[販売責任者]田中 宏明」、「[所在地]・・・東京都豊島区北大塚・・・」の記載がある。
エ 乙第5号証の7について
乙第5号証の7は、出荷通知メールの写しとするもので、上部の「NOBIL Y!SHOP」の見出しの下に、「【ノービル公式ストア:NOBIL Y!SHOP】での出荷通知:nobil-store-10000032」、「2021年5月24日16:02」の記載があり、その下に、「S様」、「ご注文いただきました商品は、本日発送いたしました。」、「お届け方法:日本郵便(ポスト投函)」、「出荷日:2021/05/24」及び「ご注文番号:nobil-store-10000032」の記載がある。そして、その下部に、「連絡先」の項に、[販売業者]、[販売責任者]、[所在地]として、上記ウと同一の記載がある。
オ 乙第5号証の8及び乙第5号証の9について
乙第5号証の8及び乙第5号証の9は、購入者アンケート送信メール及び返信メールとするもので、「NOBIL Y!SHOP」の見出しの下、「RechargeableJUICEのご購入者 S様にアンケートのお願い。2021年12月6日16:39」の記載があり、「S様」宛てに「包装・印刷物に関するアンケートにお答えいただければ幸いです。」の記載、設問3に「お届けした、RechargeableJUICEに同梱した、「充電池JUICEの取扱説明書」について、記載内容は分かりやすかったでしょうか。」の記載がある。これに対し、2021年12月6日17:29の返信メールで、「ご回答の番号 1 (はい)」としている。
(7)乙第6号証について
商品「電池」4本とその包装箱、被請求人が主張する「ご購入ありがとうございます」等を標題とした充電器の広告及び被請求人が主張する充電器「JUICE」の取扱説明書の現物が提出されている。
包装箱には、上記(1)の乙第1号証と同じ記載がある。取扱説明書には、3葉目の「JUICEの多彩な機能」という標題の下、「01 Ni―MH電池充電 単3形/単4形のNi―MH電池1~2本を個別に制御して充電。」、4葉目には「03 モバイルバッテリー」等の記載があり、14葉目には「ノービル・インストルメント株式会社」の記載がある。
上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
乙第2号証及び乙第6号証によれば、使用商品の取扱説明書には、表紙に「JUICE」の記載及び両側面から電池をはめる形状の商品の図が掲載されており、2葉目の「電池の出し入れ」の記載の他に、3葉目に「01 Ni―MH電池充電 単3形/単4形のNi―MH電池1~2本を個別に制御して充電。」、4葉目に「03 モバイルバッテリー」等の記載がある。甲3号証には、上記取扱説明書の表紙の図形と同一視できる商品のパッケージに「JUICE」「mobile multirole charger」(合議体訳:持ち運び容易な複数の機能や役割を持つ充電器)の記載があり、その下に両側面から電池をはめる形状の商品が確認でき、JUICEの説明として「小さく美しい複合充電器」「モバイルバッテリーです。」と記載されている。
以上よりすれば、JUICEと記載された取扱説明書の使用商品及び被請求人ホームページでJUICEとして紹介されている商品は、両側面から電池をはめる形状やその商品説明等から同一視できるものであって、その説明によれば使用商品は電池を充電する機能を有する、複合充電器といえるものであるから、使用商品は本件審判請求に係る指定商品中の第9類「充電器」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(2)使用商標について
乙第2号証及び乙第6号証の取扱説明書の表紙に表された「JUICE」(以下「使用商標」という。)は、上記第1の本件商標と同じつづりからなり、同一の称呼及び観念を生ずるものであるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。
(3)使用者について
乙第6号証の取扱説明書の14葉目には、ノービル・インストルメント社の記載があり、甲3号証によれば、商標権者(田中宏明)は、ノービル・インストルメント社の代表取締役であると認められる。
そうすると、商標権者は、ノービル・インストルメント社に本件商標の黙示の使用許諾を与えているものと推認できる。
したがって、使用商品における使用商標の使用者は、ノービル・インストルメント社であり、本件商標の通常使用権者であると認められる。
(4)使用時期及び使用行為について
乙第5号証の1、乙第5号証の5ないし乙第5号証の7は、YAHOO(Yahoo)!ショッピングの通販サイトにおいて、注文番号が「nobil-store-10000032」の一連の2021年5月22日から同月24日にかけての取引である。なお、乙第5号証の6及び乙第5号証の7には、販売業者として、ノービル・インストルメント社の記載があるから、乙第5号証に係る「NOBIL Y!SHOP」のウェブサイトは、通常使用権者に係るウェブサイトと認められるものである。
そして、まず、2021年5月22日に単3形ニッケル水素電池の注文(乙5の1)があり、同日に通販サイトから自動的に、NOBIL Y!SHOPに注文の確認メールが送られている(乙5の5)。これには、注文ID、注文日時、支払方法及び商品情報(商品名、商品コード及び金額を含む。)が記載され、これらの内容は注文詳細の情報(乙5の1)と一致している。
次に、2021年5月22日20時38分に通常使用権者は、取引したS氏に注文内容の確認依頼メールを送っている(乙5の6)。これには、商品名、商品コード及び金額が記載され、これらは、注文詳細の情報(乙5の1)の商品名、商品コード及び合計金額と一致している。
さらに、2021年5月24日16時02分に通常使用権者は、取引したS氏に注文の商品を本日発送したことをメールで連絡している(乙5の7)。これには、「ご注文番号」として注文IDが記載され、お届け方法として「日本郵便(ポスト投函)」を使用し、同月24日に出荷したことが記載されている。
そして、乙第1号証には、単3形ニッケル水素電池の商品コードとして「HR6SL」の記載がある。
そうすると、乙第5号証の1、乙第5号証の5ないし乙第5号証の7の一連の取引において、取引された商品は、商品コードが「HR6SL(hr6sl)」であり、これは乙第1号証に掲載された画像の単3形ニッケル水素電池と同じ商品コードであり、この取引で譲渡され引き渡された商品はこの単3形ニッケル水素電池であると推認できる。
そして、乙第5号証の8及び乙第5号証の9によれば、単3形ニッケル水素電池の包装に、充電器JUICEの取扱説明書が同梱されていたことが推認される。
(5)小括
以上のことから、通常使用権者は、要証期間である2021年(令和3年)5月24日に、本件商標と同一又は社会通念上同一の使用商標を付した使用商品(充電器)の取扱説明書を単3形ニッケル水素電池と共に、頒布したと推認されるものである。
通常使用権者の上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
請求人は、要証期間に乙第4号証と同様の発送方法がなされていたと認めることはできず、乙第1号証の充電器の広告、乙第2号証の取扱説明書が要証期間に存在していたことを示す客観的な証拠はないこと、電池の購入者に充電器の取扱説明書を送付しているのはおかしいこと、甲3号証によれば2022年までは商標「MIXJUICE」を使用した充電器は存在していたものの、商標「JUICE」が使用された充電器は存在していなかったと考えられること、乙第5号証の取引については、先の取消審判の注文IDと連番であり、約3年もの間一度も取引実績がないのは信じがたいこと、乙第5号証のS氏からの注文は2021年5月22日であり、その7ヶ月後にアンケートメールが送信されていることが不明であること、アンケートメールが送信されたのは要証期間外であることなどから、被請求人が提出した証拠は不自然な点が確認されるものであり、本件商標が請求に係る指定商品に、要証期間に使用された事実を証明する証拠は一切提出していない旨主張する。
しかしながら、上記2のとおり、乙第2号証及び乙第6号証から、使用商標を付した使用商品に係る取扱説明書が確認でき、乙第5号証から要証期間である2021年5月24日に単3形ニッケル水素電池と共に当該取扱説明書が送付されたことが推認できる。
また、乙第1号証の電池の包装箱には、被請求人の取り扱いに係るニッケル水素電池に被請求人の充電器JUICEの使用を推奨することや取扱説明書に従って充電するように記載されており、ニッケル水素電池を送付する際に充電器の取扱説明書を同封することが特段不自然とまではいえないものである。また、充電器の広告内容で充電器JUICEの販売時期はメール連絡する旨記載されており、乙第5号証の取引の際には充電器JUICEが存在していなかったものであるから、甲3号証の記載と齟齬はないといえる。さらに、請求人は乙第5号証における一連の取引について注文ID番号等の不自然な点や、乙第5号証の8及び9のアンケートメールの送付時期や返信メールについても不自然である旨主張するが、当該証拠においてそれが不自然であることについては請求人の主張のみで客観的な証拠はなく、取引があったことが認められないとはいえないものであるうえに、アンケートメールについても単3形ニッケル水素電池と共に取扱説明書が要証期間に送付されていないことを認めるに足る特別な事情も見いだすことはできない。
よって、請求人の上記主張は採用することができない。
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が本件審判請求に係る指定商品中の第9類「充電器」の範ちゅうに属する商品に本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。