結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2021300645 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第5511327号商標(以下「本件商標」という。)は、「JUICE」の欧文字を横書きしてなり、平成23年1月31日登録出願され、第9類「充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,携帯電話用充電器,その他の電気通信器具,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル」を指定商品として、同24年8月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和3年9月8日である。
また、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年(2018年)9月8日ないし令和3年(2021年)9月7日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電池」(以下「請求に係る指定商品」という。)について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
なお、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)のうち、乙第3号証について「(3)-1」(括弧は○囲みを示す。)のように記載した証拠については枝番であると認め、枝番のある乙号証については、それぞれ以下「乙第3号証の1」又は「乙3の1」のように表す。又、枝番号を全て引用するときは枝番号は省略する。
本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証には、「商品画像」と称して、電池と思しき商品の表面に「Rechargeable JUICE」の文字が薄く表された画像、また、「包装箱画像」と称して、当該商品の包装箱と思しき物の前面部中央に、「Rechargeable JUICE」の文字が大きく表された画像が表示されている。
ア 本件商標との同一性について
(ア)本件商標は、「JUICE」の欧文字をサンセリフ体により横書きで表してなるものである。
ここで、「JUICE」の語は、「ジュース、果汁」を意味する英単語として、我が国において広く一般に知られているものである。
したがって、本件商標からは、「ジュース」の称呼が生じ、「ジュース、果汁」の観念が生じる。
一方、使用証拠とされる上述の「商品画像」及び「包装箱画像」には、「Rechargeable JUICE」の文字が同書、同大、等間隔にまとまりよく表されているものである。
ここで、「Rechargeable」には、「充電可能な」の意味があるところ(甲3)、「Rechargeable JUICE」全体よりは特定の意味合いが生じるものではない。
また、これより生じる「リチャージアブルジュース」の称呼も、格別冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、当該文字は、その構成全体をもって一連一体の造語として認識・把握されるべきものであり、これが商標として使用された場合であっても、「Rechargeable」又は「JUICE」の一方の文字のみが、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。
したがって、当該文字からは、「リチャージアブルジュース」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
以上によれば、本件商標「JUICE」と当該証拠に表された文字「Rechargeable JUICE」とは、外観、称呼及び観念の比較において全て異なるものであり、それらの同一性は認められない。すなわち、乙第1号証からは、「本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用」であることを証明できないことから、商標法第50条第2項に規定する各要件を具備するとは認められないものである。
(イ)本件商標に関する先の審判事件(取消2021-300303、以下「先の取消審判」という 。)においては、使用商標「Rechargeable JUICE」について、「Rechargeable」の文字は「再充電可能な」の意味を有する語であって、これを電池に使用した場合、「くり返し使える電池」を意味するものであるから、使用商標において自他商品識別力を有する要部は「JUICE」の文字であると判断されて、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標であると認められている。
たしかに、「Rechargeable」の文字に「充電可能な」といった意味合いがあり、これが商品「電池」との関係においては一般的に、自他商品識別力が弱いと考えられる点は否定できないものである。
しかしながら、「充電式ニッケル水素電池」についての一般的かつ現実的な「Rechargeable」の文字の使用状況や取引の実情を踏まえると、当該証拠に表された「Rechargeable JUICE」を構成する「Rechargeable」の文字は、その商品の品質等を意味するために用いられているというよりは、むしろ商品名たる商標の一部を意図したものとして需要者及び取引者に認識・把握されるべきものである。
(ウ)a オンラインショッピングサイト「Amazon」において販売されている、被請求人の商品以外の「充電式ニッケル水素電池」の商品の一部(甲4)には、商標とは別に付記的に「Rechargeable Battery」(商品例1)、「Rechargeable Nickel-Metal Hydride Battery」(商品例2)、「Low Self Discharge Rechargeable Battery」(商品例3)、「RECHARGEABLE Ni-MH BATTERY」(商品例4)と表されており、これらによれば、「充電式ニッケル水素電池」の商品において、「Rechargeable」の文字は電池を意味する「BATTERY」の文字と共に用いられるのが一般的と考えられる。また、その他にも、商標とは別に異なる書体で小さく付記的に「Rechargeable(RECHARGEABLE)」と表されているもの(商品例5及び6)、「Rechargeable」の文字は用いずに「Recharge」や「充電式」の文字が表されているもの(商品例7及び8)を確認することができる。
b これら以外の同様の商品群を見ても、「充電式ニッケル水素電池」についての「Rechargeable」の文字の使用は、これらのいずれかの態様となっているのが現状であり、当該証拠に表された「Rechargeable JUICE」のように、「Rechargeable」の語が商標となる文字と同書、同大、等間隔にまとまりよく表されている例は皆無である。
c このような「充電式ニッケル水素電池」についての一般的かつ現実的な「Rechargeable」の文字の使用状況や取引の実情を鑑みれば、当該証拠に表された「Rechargeable JUICE」に接した需要者及び取引者は、これを構成する「Rechargeable」の文字が商品の品質等を意味するために用いられているものではなく、あくまで全体として一体不可分の商品名たる商標を意図していると容易に認識・把握するものである。
そうであれば、「Rechargeable JUICE」のうち、「JUICE」の文字のみが要部になるということはないといわざるを得ない。
d したがって、本件商標「JUICE」と当該証拠に表された「Rechargeable JUICE」が社会通念上同一の商標であるとは認められるべきではなく、本件商標に関する先の審判事件でなされた判断は、誤りといわざるを得ない。
なお、当該主張は、決して請求人独自のものではなく、同旨の判決例がある(平成25年(行ケ)第10164号審決取消請求事件)から、本事件においても、これと同様の判断がなされるべきものである。
(エ)被請求人が代表取締役であるとする「ノービル・インストルメント株式会社」(以下「ノービル・インストルメント社」という。)のウェブサイトのメニューを見ると、「JUICE」と「Rechargeable JUICE」の項目がそれぞれ独立して存在していることが確認できる(甲5)。この点からも、「JUICE」と「Rechargeable JUICE」は、そもそも別のブランドとして被請求人自身も取り扱っているといえるし、両者は商標としても異なるものであることの証左といえる。
イ 使用時期について
乙第1号証に表示された、「商品画像」及び「包装箱画像」、その他の記載からは、本件商標が使用された時期がそもそも不明である。
ウ 小括
以上のように、乙第1号証に表された「Rechargeable JUICE」は、本件商標と同一ではなく、また、社会通念上の同一性も認められない。また、乙第1号証からはそもそも本件商標が使用された時期が不明であり、これより「要証期間に」本件商標が使用されたことを証明できない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、オンラインショッピングサイト「Yahoo!ショッピング」において、被請求人が運営していると推測されるオンラインショップ「NOBIL Y!SHOP」のページが表示されている。
当該ページの中央部には、乙第1号証において「商品画像」と称して表された電池と思しき商品と同様の画像が二つ並んで表示されており、その下にはそれぞれ「Rechargeable JUICE 単3形 2400mAh ニッケル水素電池」及び「Rechargeable JUICE 単4形 750mAh ニッケル水素電池」の文字が表示されている。
なお、これらの二つの画像からは、乙第1号証における「商品画像」に表された電池と思しき商品の表面にある「Rechargeable JUICE」の文字を視覚上、認識することはできない。
乙第2号証の「印刷日」は「2021.12.09」(2021年12月9日)とされているところ、この日付は要証期間外である。
そうすると、当該証拠からは、要証期間において、当該ページにおける画像・文字と同じ画像・文字が表示されていた事実を証明することはできない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、オンラインショッピングサイト「Yahoo!ショッピング」において、被請求人が運営していると推測されるオンラインショップの取引履歴を記録したと思われるページ(乙3の1~乙3の3)、当該オンラインショップの運営者である企業情報を掲載したと見受けられるページ(乙3の4)、顧客である商品の購入者との取引に関連したEメールと思われる文章(乙3の5~乙3の9)について表示されている。
ア 本件商標との同一性について
乙第3号証を見ると、「乙第3号証の1 注文管理-注文詳細」にある「明細情報」の「商品名\商品オプション」の項目に「Rechargeable JUICE 単3形 2400mAh ニッケル水素電池(日本製)×4本セット」の文字が確認できる。
また、「乙第3号証の5 注文確認メール」、「乙第3号証の6 注文承諾メール」、「乙第3号証の8 購入者アンケート送信メール」、「乙第3号証の9 購入者アンケート返信メール」に表された文章中には、それぞれ同様に「Rechargeable JUICE 単3形 2400mAh ニッケル水素電池(日本製)×4本セット」の文字が確認できる。
しかしながら、ここで使用されているのは「Rechargeable JUICE」であり、上記(1)アでも述べたように、全体として一体不可分の商品名たる商標を意図していると容易に認識・把握するものであるから、「JUICE」の文字のみが要部になるということはなく、「Rechargeable JUICE」が、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められるものではない。
以上によれば、乙第3号証からは、たとえ要証期間である「2021年5月25日」に被請求人と商品の購入者との間で何らかの取引があったことが推認できるとしても、これよりは「本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用」がなされたとはいえないことから、商標法第50条第2項に規定する各要件を具備するとは認められないものである。
イ 証拠資料の信憑性について
(ア)注文IDに関する疑義
本件商標に関する先の取消審判において、被請求人により提出された同様の証拠資料(先の取消審判の乙5)には、注文ID「nobil―store―10000031」、注文日時は「2018年6月1日2時4分34秒」とある(甲6)。
本件の証拠(乙3)の注文IDは「nobil―store―10000032」であるから、先の取消審判の取引後に本件審判の取引があったと考えられるところ、本件審判の注文日時は「2021年5月22日20時22分16秒」であるのに対し、先の取消審判の注文日時は、「2018年6月1日2時4分34秒」であり、先の取消審判の取引があってから約3年後に本件審判の乙第3号証で表された取引があったということになる。
被請求人が販売しているとされる商品は「充電式ニッケル水素電池」であり、その価格が特段高いわけではなく、一般の人々にも馴染みのある消耗品たる商品といえるものである。
そうすると、被請求人が販売している充電式ニッケル水素電池が、約3年もの間、一度も取引の実績がないというのは、信じがたいといわざるを得ない。
そもそも、時期の異なる審判事件で提出された証拠資料において、「注文ID」が連番になっているという点も、偶然とは考え難く、不自然である。
以上によれば、当該証拠資料は、被請求人によって「作られた可能性」が否定できない。
(イ)取引相手に関する疑義
「お届け先情報」の項目に、取引相手の個人の住所、氏名(以下、個人名を「S」氏という。)、電話番号及び「注文者情報」の項目に、メールアドレスが表示されている。
昨今、個人情報保護の徹底が求められている中、堂々と開示しているのは、極めて不自然であるから、被請求人とこの取引相手である個人(S氏)は、何らかの協力関係があると思わざるを得ない。
上述のように、被請求人の運営するオンラインショップは約3年もの間取引の実績がなかったにもかかわらず、本件商標に関する先の取消審判の答弁書提出が被請求人によってなされたわずか2日後に、S氏との取引実績ができたというのは極めて不自然であり、偶然とは考え難い。
以上によれば、当該証拠資料は、S氏の協力を得た上で被請求人によって「作られた可能性」がやはり否定できない。
(ウ)取引相手とのアンケートメールに関する疑義
乙第3号証の8及び同号証の9のメールの送信日は「2021年12月6日」であり、この日付は要証期間外である。
S氏との取引における注文日は「2021年5月22日」であるところ、なぜその約7か月後に唐突にアンケートメールが送信されたのかが不明である。これらの証拠資料には「印刷日:2021.12.9」(2021年12月9日)と表示されていることを考慮すれば、証拠資料として提出するために、これらのEメールのやり取りが行われたことがうかがわれる。さらに、被請求人がアンケートメールを送信してからS氏が返信するまでにわずか50分しか要しておらず、このようなダイレクトメールに、7か月も前に購入した商品に関するアンケートに、わずか50分で返信がなされていることは、社会通念に照らしても極めて不自然である。
以上によれば、当該証拠資料が、S氏の協力を得た上で被請求人によって「作られた可能性」は、より一層高まるといわざるを得ない。
(エ)まとめ
以上のように、乙第3号証に表された「注文ID」、「取引相手」、「取引相手とのメール」の内容には、社会通念に照らして極めて不自然な点が確認されるものである。そして、これらの疑義を踏まえると、当該証拠資料は、本件審判の請求後に被請求人によって「作られた可能性」が高いといわざるを得ない。
そして、当該証拠資料の真偽が審理に与える影響は大きいと考えられることから、請求人は、これらの疑義がある点について、審尋または答弁により被請求人の詳細な説明を求める。
ウ 小括
以上のように、乙第3号証に表された「Rechargeable JUICE」は、本件商標と同一ではなく、また、社会通念上の同一性も認められないことから、これより「本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用」であることを証明できない。
したがって、乙第3号証によっては、商標法第50条第2項に規定する各要件を具備するとは到底認められないものである。
また、乙第3号証に表された「注文ID」、「取引相手」、「取引相手とのメール」の内容には、社会通念に照らして極めて不自然な点が確認されるものであり、当該証拠資料が、本件審判の請求後に被請求人によって「作られた可能性」が高いといわざるを得ない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
被請求人は、本件商標を付している電池を、被請求人が代表取締役であるノービル・インストルメント社が開設している日本国内向けネット通販サイトで継続して3年以上販売しており、審判請求の登録前3年以内に日本国内で販売した取引実績もあることから、本件審判請求は成り立たない。
被請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、商品画像として、「Rechargeable JUICE」及び「JUICE」の文字が付された4本の電池画像の写し、そして、包装箱画像として、電池の包装箱の表面と裏面の画像があり、表面には「Rechargeable JUICE」の記載、裏面には「充電式ニッケル水素電池 1.2V 日本製 HR6SL-4 単3形・4個入り」「充電には当社充電器JUICEを使用し、充電器の取扱説明書に従って正しく充電してください。」「ノービル・インストルメント株式会社」の記載がある。
(2)乙第2証について
乙第2号証は、「YAHOO!JAPANショッピング」の通販サイトの写しとされるもので、中央部に「ニッケル水素電池」の見出しの下、「くり返し使えるグリーンなニッケル水素電池です。」の記載があり、その下には、「Rechargeable JUICE」の文字が付された4本の電池が2つ並んでいる画像がある。それぞれの商品説明として、「RechargeableJUICE 単3形 2400mAh ニッケル水素電池・・・1,936円」「RechargeableJUICE 単4形 750mAh ニッケル水素電池・・・1,630円」と記載されている。また、下部に「ストア情報」の見出しの下、「NoBIL NOBIL Y!SHOP」、「会社概要」及び「NOBIL Y!SHOP:ノービル公式直販サイト。」の記載があり、右上部に「印刷日:2021.12.09」との記載がある。
(3)乙第3号証について
ア 乙第3号証の1について
乙第3号証の1は、販売取引実績を示す証拠の1つとして提出されたもので、その1葉目の左上に「YAHOO!JAPAN」、「ストアクリエイターPro」及び「注文管理-注文詳細」の記載があり、その下の「注文基本情報」の項に「注文ID」として「nobil-store-10000032」の記載、「注文日時」として「2021年5月22日20時22分16秒」の記載がある。中央部の「お届け情報」の項に「住所」として「東京都清瀬市・・・」、「氏名」として「(個人名)」(「S」氏)の記載がある。
また、同号証の2葉目の上部の「入金ステータス」の項に「入金済み」の記載、「お支払方法」の項に「ソフトバンクまとめて支払い」の記載があり、その下の「明細情報」の項に「商品名/商品オプション」として「Rechargeable JUICE 単3形 2400mAh ニッケル水素電池(日本製)×4本セット」、「商品コード/サブコード」として「hr6sl」、「価格(税込)」として「1,936円」の記載がある。
さらに、同号証の3葉目の中央部に「ストア内メモ」の見出しの下「2021 05 25 06:15:完了とマーク(担当:田中 宏明)」の記載がある。
イ 乙第3号証の5について
乙第3号証の5は、注文確認メールの写しとするもので、上部の「Yahoo!ショッピング」の見出しの下「注文確認:nobil-store-10000032」及び「2021年5月22日20:32」の記載、その下に「こんにちは、NOBIL Y!SHOPさん」、「注文を受け付けました。」及び「注文情報詳細で注文内容をご確認ください。」の記載がある。そして、「注文情報」の項に、「注文ID」、「注文日時」、「支払方法」、「商品情報」(商品情報には「hr6sl」の記載が含まれている。)の項目があり、上記アの「注文ID」、「注文日時」、「お支払方法」、「明細情報」と同一の記載がある。
さらに、下部に「このメールはシステムによりYahoo!JAPANから自動送信されています。」の記載がある。
ウ 乙第3号証の6について
乙第3号証の6は、注文承諾メールの写しとするもので、上部の「NOBIL Y!SHOP」の見出しの下「【ノービル公式ストア:NOBIL Y!SHOP】 ご注文ありがとうございます:nobil-store-10000032」、「2021年5月22日20:38」の記載があり、その下に、「S様」、「下記内容でご注文を承りました・・・。」の記載及び「商品名・・・」の下に、上記イと同一の商品情報の記載がある。
そして、さらにその下部に、「連絡先」の項に「[販売業者]ノービル・インストルメント株式会社」、「[販売責任者]田中 宏明」、「[所在地]・・・東京都豊島区北大塚・・・」の記載がある。
エ 乙第3号証の7について
乙第3号証の7は、出荷通知メールの写しとするもので、上部の「NOBIL Y!SHOP」の見出しの下に、「【ノービル公式ストア:NOBIL Y!SHOP】での出荷通知:nobil-store-10000032」、「2021年5月24日16:02」の記載があり、その下に、「S様」、「ご注文いただきました商品は、本日発送いたしました。」、「お届け方法:日本郵便(ポスト投函)」、「出荷日:2021/05/24」及び「ご注文番号:nobil-store-10000032」の記載がある。そして、その下部に、「連絡先」の項に、[販売業者]、[販売責任者]、[所在地]として、上記ウと同一の記載がある。
上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
乙第1号証には、「Rechargeable JUICE」の文字(以下「使用商標」という。)が付された4本並んだ単3形電池(以下「Rechargeable JUICE」の文字が付された単3電池を「使用商品」という。)の画像が確認でき、また、YAHOO!ショッピングのノービル・インストルメント社の運営しているウェブサイト(乙2)にも、乙第1号証の単3形電池と同一視できる画像の商品が二つ並べて表示されており、そこには「単3形ニッケル水素電池」と記載され、「くり返し使えるグリーンなニッケル水素電池です。」と記載されている。
乙第1号証及び乙第2号証によれば、使用商品には「Rechargeable JUICE」の記載があり、職権調査によれば「Rechargeable」の文字は、「再充電可能な」(Weblio辞書より)の意味を有する語であり、これを電池に使用した場合、「くり返し使える電池」を意味するものであって、商品の品質等を表すものであり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものといえるから、使用商標において自他商品識別力を有する要部は「JUICE」の文字部分であるといえる。
したがって、使用商標の要部は、「JUICE」の文字部分であり、その構成文字より「ジュース」の称呼を生じ、「(果物・野菜・肉などの)ジュース, 汁[出典:新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典 株式会社研究社]の観念を生じるものである。
また、本件商標は、上記第1のとおり、「JUICE」の文字よりなり、使用商標とつづりを同じくするものであるから、本件商標と使用商標とは称呼及び観念において同一であることが明らかである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用商品について
乙第1号証及び乙第2号証によれば、「単3形ニッケル水素電池」、「くり返し使えるグリーンなニッケル水素電池です。」の記載があることから、これは本件審判請求に係る指定商品中の第9類「電池」の範ちゅうに属する商品であると認められる。
(3)使用者について
YAHOO!ショッピングのウェブサイト(乙2)には、使用商標が付された単3形ニッケル水素電池(使用商品)の画像が表示されており、当該ウェブサイトの「ストア情報」には「NOBIL Y!SHOP」の記載、「会社概要」には「NOBIL Y!SHOP:ノービル公式直販サイト。」の記載があり、乙第3号証の1の3葉目には「ストア内メモ」に「担当 田中宏明」の記載、乙第3号証の6及び同号証の7には、「販売業者 ノービル・インストルメント株式会社」及び「販売責任者 田中宏明」と記載されている。
上記のことから、「NOBIL Y!SHOP」は、ノービル・インストルメント社に係るウェブサイトであり、当該サイトで商標権者(田中宏明)は販売責任者等であることよりすれば、商標権者である田中宏明氏は、ノービル・インストルメント社に本件商標の黙示の使用許諾を与えているものと推認できる。
したがって、使用商品における使用商標の使用者は、ノービル・インストルメント社であり、本件商標の通常使用権者であると認められる。
(4)使用時期及び使用行為について
乙第3号証の1、乙第3号証の5ないし乙第3号証の7は、YAHOO(Yahoo)!ショッピングの通販サイトにおいて、注文番号が「nobil-store-10000032」の一連の2021年5月22日から同月24日にかけての取引である。
そして、まず、2021年5月22日に単3形ニッケル水素電池の注文(乙3の1)があり、同日に通販サイトから自動的に、NOBIL Y!SHOPに注文の確認メールが送られている(乙3の5)。これには、注文ID、注文日時、支払方法及び商品情報(商品名、商品コード及び金額を含む。)が記載され、これらの内容は注文詳細の情報(乙3の1)と一致している。
次に、2021年5月22日20時38分に通常使用権者は、取引したS氏に注文の内容の確認依頼のメールを送っている(乙3の6)。これには、商品名、商品コード及び金額が記載され、これらは、注文詳細の情報(乙3の1)の商品名、商品コード及び合計金額と一致している。
さらに、2021年5月24日16時02分に通常使用権者は、取引したS氏に注文の商品を本日発送したことをメールで連絡している(乙3の7)。これには、「ご注文番号」として注文IDが記載され、お届け方法として「日本郵便(ポスト投函)」を使用し、同月24日に出荷したことが記載されている。
そして、乙第1号証には、単3形ニッケル水素電池の商品コードとして「HR6SL」の記載がある。
そうすると、乙第3号証の1、乙第3号証の5ないし乙第3号証の7の一連の取引において、取引された商品は、商品コードが「HR6SL(hr6sl)」であり、これは乙第1号証に掲載された画像の使用商品(単3形ニッケル水素電池)と同じ商品コードであり、この取引で譲渡され引き渡された商品はこの単3形ニッケル水素電池であると推認できる。
(5)小括
以上のことから、通常使用権者は、要証期間である2021年(令和3年)5月24日に、本件商標と同一又は社会通念上同一の使用商標を付した使用商品(単3形ニッケル水素電池)を譲渡し、引き渡したものであり、すなわち、商標法第2条第3項第2号に規定する行為がなされたことが認められる。
(1)請求人は、「充電式ニッケル水素電池」の商品において、「Rechargeable」は電池を意味する「BATTERY」の文字と共に用いられるのが一般的であり、また、小さく付記的に「Rechargeable(RECHARGEABLE)」や「Recharge」、「充電式」の文字が表されている現状であるから、使用商標に接する需要者及び取引者は、「Rechargeable」の文字が商品の品質等を意味するために用いられているものではなく、全体として一体不可分の商品名たる商標と認識・把握するものであり、「JUICE」の文字のみが要部になるということはなく、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない旨主張している。
しかしながら、「充電式ニッケル水素電池」の商品に、「Rechargeable」の文字が「再充電可能な」[新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典株式会社研究社]の意味合いを表す語として使用されていることは請求人が提出した証拠のとおりであるから、「充電式ニッケル水素電池」という商品との関係からは、当該文字は、商品の品質等を表すものといえ、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものといえる。そして、使用商標を構成する「Rechargeable」と「JUICE」の文字は間隔を空けて配されているから、視覚上、分離して看取し得るものであり、その文字全体から一体的な意味合いを生じるものでもないから、不可分一体の商標として判断すべき事情は見いだせない。
そうすると、使用商標は「JUICE」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有する要部として認識、理解されるというのが相当である。
(2)請求人は、乙第3号証の取引については、先の取消審判の注文IDと連番であり、約3年もの間一度も取引実績がないのは信じがたいこと、個人情報保護の徹底が求められている中、乙第3号証で取引相手である個人(S氏)について堂々と開示しているのは、きわめて不自然であるから、被請求人とS氏は何らかの協力関係があり、S氏の協力を得た上で当該証拠資料が作られた可能性が高い旨主張する。
しかしながら、乙第3号証の注文から商品の発送までの経緯等に不自然な点はなく、要証期間である2021年5月24日に単3形ニッケル水素電池が販売されたことが認められるものである。また、請求人は証拠が作られたものである旨主張するが、請求人の主張のみで、疑義があることの具体的な証拠はなく、当該取引の存在自体を否定する理由はない。さらに、請求人は、当該証拠資料の真偽について審尋又は答弁において詳細な説明を求める旨主張しているが、合議体では、疑うべき具体的な証拠はなく、これら証拠自体の信ぴょう性が否定されるほどの不自然な点はないものと判断した。
よって、請求人の上記主張は採用することができない。
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が本件審判請求に係る指定商品中の第9類「電池」の範ちゅうに属する商品に本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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