結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2022300801 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第4112694号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「リナセンス」の片仮名と「RENASCENCE」の欧文字を上下二段に書してなるものであり、平成8年4月9日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,つや出し紙,靴クリーム,靴墨」(以下「本件指定商品」という。)を指定商品として、同10年2月13日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年9月12日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和元年9月12日から同4年9月11日までを、以下「要証期間」という。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由として、本件商標は、本件指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標の使用をした事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合がある。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を令和4年11月21日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)及び同6年7月19日付け審尋に対する同年9月6日付け回答書(以下「回答書」という。)において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙20を提出した。
(1)使用者について
本件商標の使用者(通常使用権者)である株式会社イナータス(乙13。以下「本件使用者」という。)と、本件商標の商標権者である有限会社オービット(被請求人。以下「本件商標権者」という場合がある。)とは同族会社の関係にある。また、本件商標権者の代表取締役A(以下「A」という。)と本件使用者の代表取締役B(以下「B」という。)とは親子関係にある。そして、両者は一時期両会社の共同代表取締役を務めていた。さらに、本件商標権者の代表取締役Aは、本件使用者の本店所在地に居住している(乙12、乙13)。
両会社のかかる事情を考慮するなら、商標登録原簿に登録した通常使用権者でもなく、また、本件商標権者との間で文書による使用許諾に関する契約を締結していないとしても、本件使用者は、本件商標の通常使用権者と認められることは明らかである(乙10、乙12、乙13)。
(2)使用商標について
本件商標は、欧文字「RENASCENCE」の上段に、音表示である「リナセンス」の片仮名を配した構成からなる(乙1)。
一方、使用商標は「RENASCENCE」の欧文字からなる。
本件商標と使用商標との相違は、書体の相違のほか、上段に音表示である「リナセンス」の片仮名文字が付いているか否かの相違であるにすぎない(乙1~乙3、乙5~乙8、乙11、乙14)。
(3)使用に係る商品について
本件使用者による使用商標の使用は、「化粧品(クリーム)」(以下「本件使用商品」という。)の商標として使用したものである(乙2、乙3、乙5~乙8、乙11、乙14)。
(4)使用の時期について
本件商標は、平成8年8月9日に、株式会社イナータスによる本件使用商品の発売によりその使用が開始され(乙4)、以後継続的に使用され現在に至る(乙2、乙3、乙5~乙8、乙11、乙14)。
(5)使用の場所について
本件商標は、通常使用権者である本件使用者の本店所在地及び支社所在地(乙9)のほか、同社が同社商品の販売を委託している販売事業者の所在地において使用されている(乙10)。
(6)商標の使用について
本件使用者による本件商標の使用行為は、提出した書証(乙2、乙3、乙5~乙8、乙11、乙14)から明らかなように、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号の使用行為に該当する。
(1)商標の使用時期(要証期間)について
乙15(商品カタログ)の4葉目及び5葉目の最下段行には「※掲載の内容は2020年3月現在のものとなります」と表記されており、乙16(Iris-TPPICS)の1葉目表紙右上には「AUTUMN&WINTER2021→2022」との表記のほか、4葉目左上に「研修旅行が2021.5.16→18に行われた」との記事や5葉目に「オンラインショップが、2021年の春にリニューアルしました。」との記事が掲載されている。
乙17(Iris/SPRING AND SUMMER Vol.47)の1葉目表紙中央及び最下段ページ行には「SPRING AND SUMMER 2020」との表記のほか、4葉目下欄には「イベントスケジュール2020年3月~9月」との記事が掲載されている。
これら乙15ないし乙17の表記や掲載記事からして本件商標(又は同一性ある商標)が要証期間内に使用されていたことについて疑問の余地はない。
そもそも、不使用による取消審判における商標の使用時期については、過去の審決例において、印刷日や配布日が明記されていない証拠についても、その使用が要証期間内のものであることが推認されている。
ネット情報出力日が要証期間後の証拠(乙2、乙3、乙4、乙5、乙6、乙7、乙8、乙11、乙14)についても、1996年8月に本件商品を発売した日(乙4)以後、ネット情報の出力日までの間に、本件商標を本件商品に使用していたと考えるのが自然というべきである。
例えば、乙14(イナータス公式オンラインストアの商品カタログ)のネット出力資料は、要証期間(~令和4年9月11日)の約2ヶ月後に出力した資料ではあるが、商品の撮影・説明文の作成・ページデザイン・ネット掲載等の作業に2ヶ月以上の期間を要したことに疑問の余地はなく、当該カタログが要証期間内にネット掲載されたものであることは容易に推認できるところである。
(2)商標権者と通常使用権者の関係について
本件商標権者と本件使用者とは、乙18及び乙19(同族会社の判定に関する明細書)から明らかなように同族会社の関係にあり、本件商標権者の代表者であるAが所有する本件使用者の株式数は4,580株で、37.5%の議決権に相当する。
また、乙20(戸籍謄本)から明らかなように、本件商標権者の代表者であるAと本件使用者の代表者であるBとは親子関係にある。
加えて、乙12(本件商標権者の履歴事項全部証明書)によると、本件商標権者の代表者Aと、本件使用者の代表者Bが本件商標権者の共同代表となっている。
また、乙13(本件使用者の履歴事項全部証明書)によると、本件商標権者の代表者Aと、本件使用者の代表者Bが、一時期本件使用権者の共同代表になっていて、しかも、本件商標権者の代表者Aの自宅住所は、本件使用者の本店所在地と同一住所となっている。
これらの諸事情を考慮するなら、本件使用者が本件商標の通常使用権者としての地位を有することは明らかである
(3)本件商標と使用商標の同一性について
登録商標と社会通念上同一性ある商標とは、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標、その他、登録商標と社会通念上同一と認められる商標」(商標法51条1項括弧書き)をいう。
このような商標の同一性の認定判断の基準については、従来から多くの審判決等で認定されており、これら判決で示された商標の同一性の判断に照らせば、以下に示した本件商標と使用商標とは同一性ある商標といい得ることに疑問の余地はない。
(4)使用行為について
通常使用権者である本件使用者は、乙14及び乙15(オンラインストアの商品カタログ)のほか、乙16の5葉目下欄の公式サイトと公式オンラインショップが、2021年春にリニューアルしましたとの記載等からも明らかなように、本件商標を付した本件商品(クリーム)の情報を常時不特定多数の人々に開示しているとともに、乙16や乙17のような定期刊行広報誌「Iris」を、本件使用者が全国に展開する多くの販売会社(乙10)を介して配布していること等から、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号の使用行為があったことは明白である。
(5)結語
叙上のとおり、本件商標は、要証期間に、日本国内において、本件指定商品中「クリーム」について、通常使用権者により使用されていたことは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その請求に係る指定商品についての登録を取り消すべきでない。
被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の事実が確認できる。
(1)本件使用者(株式会社イナータス)は、1981(昭和56)年4月4日に設立された東京都を本店所在地とした法人であって、その業務内容を化粧品の製造及び販売業務とするものである(乙9、乙13)。
(2)本件使用者は、2018(平成30)年9月27日からA及びBが代表取締役を重任していたが、2019(平成31)年3月5日にAが代表取締役を退任後は、要証期間を含め、Bが代表取締役となっている(乙13)。
(3)本件商標権者(有限会社オービット)は、1994(平成6)年1月13日に設立された長野県を本店所在地とした法人であって、その設立の目的を化粧品、衣料品、宝石、装身具の卸及び販売などとするものである(乙12)。
(4)本件商標権者は、設立以来、2019(平成31)年3月5日に退任するまでAが代表取締役であったが、同日にBが代表取締役に就任しており、それ以降、2020(令和2)年2月28日に退任するまでBが代表取締役であった。そして、同日にAが代表取締役に就任し、それ以降は、Aが代表取締役となっている(乙12)。
(5)そうすると、要証期間のうち、本件商標権者は、2019(令和元)年9月12日から2020(令和2)年2月28日まではBが、同日から2022(令和4)年9月11日まではAが代表取締役であって、2019(令和元)年9月12日から2020(令和2)年2月28日までは、本件使用者と本件商標権者の代表取締役はともにBであったが、本件商標権者の代表取締役にAが就任した2020(令和2)年2月28日以降は、各社は別の者が代表取締役となっていた。
(6)AとBは、親子関係にある(乙18~乙20)。
(7)本件使用者と本件商標権者は、いずれも、A及びBを同族関係者に含む同族会社であって、それらの株式も同族関係者のみで100%所有している(乙18、乙19)。
(8)そして、本件使用者は、株式の総数のうち約47%の株式をBが、約37.5%の株式をAが所有しており、また、本件商標権者は、株式の総数のうち3分の1をBが、3分の2をAが所有している(乙18、乙19)。
(9)本件使用者とAとは、本店所在地及び住所が同じである(乙12、乙13)。
(10)乙15について
ア 乙15は、本件使用者が作成した商品カタログであるところ、2葉目の右側において、「CREAM」、「RENASCENCE」及び「「クリーム」リナッセンス 40g」の文字を上下三段に横書きした記載と、その上部に別掲2のとおり、肌色の蓋を用いた青色の容器が掲載されており、その容器の中央部に「INNATUS」(「A」の文字がデザイン化されている。以下同じ。)及び「RENASCENCE」の欧文字を上下二段に横書きしてなる文字(以下「使用商標1」という。)が記載されている。
イ また、3葉目の最上段行において、「RENASCENCE リナッセンス 40g¥10,000円(税抜)」の記載がある。
ウ さらに、5葉目の中央部において、「【使用上の注意】」の見出しの下、「1 お肌・唇に異常が生じないかよく注意して使用してください。化粧品がお肌・唇にあわないとき、即ち次のような場合には、使用を中止してください。」の記載及び5葉目の最下段行において「※掲載の内容は2020年3月現在のものとなります」の記載がある。
(11)乙16について
ア 乙16は、本件使用者が作成した「Iris -TOPICS-」と称する冊子であって、被請求人が本件使用者の定期刊行広報誌と主張するものであるところ、1葉目の最上部の右側において「AUTUMN&WINTER 2021→2022」の記載がある。
イ また、3葉目の下部中央において、「《イナータスでは美容液やクリームだけでなく、洗い流すものや、日やけ止めにもふんだんにセラミドを配合しています。》 セラミドを含むイナータスのアイテム」の記載の下中央部に、別掲3のとおり、「[クリーム]リナッセンス」、「5」(八角形の図形の内側に白抜きで記載されたもの)及び使用商標1がその中央部に記載された肌色の蓋を用いた青色の容器が掲載されている。
ウ さらに、6葉目の最下段の左側において、四角囲いされた「定価165円(税込)」の記載がある。
(12)乙17について
ア 乙17は、本件使用者が作成した「Iris」と称する冊子であって、被請求人が本件使用者の定期刊行広報誌と主張するものであるところ、1葉目の中央部において「SPRING AND」、「SUMMER」及び「2020」の文字を上下三段に横書きした記載と、その左側に別掲4のとおり、赤色蓋を用いた赤色の容器が掲載されており、その容器の中央部に「INNATUS」及び「RENASCENCE」の欧文字を上下二段に横書きしてなる文字(以下「使用商標2」という。)が記載されている。また、1葉目の下段の左側に「SPRING and SUMMER 2020 Vol.47」の記載がある。
イ また、3葉目において、「個性と本質を見極めて 美白へ進路をとる」の見出しの下、「・・・他のスキンケア製品、特にもうひとつのクリームである「リナッセンス」との相乗効果を高めるために、最新リフレッシングクリームは「シミと美白へのアプローチ」に特化しています。」の記載がある。
ウ さらに、6葉目の最下段の左側において、四角囲いされた「定価150円(税込)」の記載がある。
(1)本件使用者について
上記1(1)ないし(9)によれば、AとBは親子であるところ、本件使用者と本件商標権者は、ともにA及びBを同族関係者に含む同族会社であって、それらの株式も同族関係者のみで100%所有しているうえ、各社の株式の総数のうち、その過半数以上をA及びBで所有しており、両社の代表取締役も重任している期間も含め、少なくとも要証期間においては、AとBのいずれかが就任している。また、本件商標権者の現代表取締役であるAの住所と本件使用者の本店所在地は同じである。
以上の認定した事実から、本件使用者と本件商標権者は、極めて密接な業務上の関係があるといえ、また、このような関係が長年続いているにもかかわらず、本件商標権者は、本件使用者が本件商標を使用していることについて何ら異議を申し出ていないことも考慮すると、本件商標権者は、本件使用者に対して、本件商標の使用について、黙示の許諾を与えていたものと推認できる。
したがって、本件使用者は、本件商標の通常使用権者であると認められる。
(2)本件商標と使用商標について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「リナセンス」の片仮名と「RENASCENCE」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成から、上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解でき、また、「RENASCENCE」の欧文字は、「新生、再生」等の意味を有する英語(新英和辞典第6版 研究社)であるから、本件商標は「リナセンス」の称呼及び「新生、再生」の観念を生じるものである。
イ 使用商標について
使用商標1及び使用商標2(以下、まとめて単に「使用商標」という場合がある。)は、別掲2ないし別掲4のとおり、使用商標1と使用商標2とは色彩が異なるものの、いずれも商品の包装(容器)の中央部に「INNATUS」と「RENESCENCE」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものであって、上記1(10)ないし(12)のとおり、化粧品の範ちゅうに属する「クリーム」(以下「化粧クリーム」という。)に使用されているところ、その構成中の「INNATUS」と「RENESCENCE」の各文字部分が、相互に重なることなく間隔を空けて配されているうえ、上段の「INNATUS」の文字は、下段の「RENESCENCE」の文字に比して、概ね2倍の大きさ(縦横の長さが約2倍、面積にして約4倍)で表されていることから、「INNATUS」と「RENESCENCE」の文字部分とに視覚上容易に分離、独立した印象を与えるものである。
また、使用商標の構成中、上段の「INNATUS」の文字は、その構成文字に相応して「イナタス」又は「インナタス」などの称呼が生じ得るものであるが、一般的な辞書類に載録されている成語とは認められないものであるから、特定の観念を生じない語として認識されるものであり、下段の「RENASCENCE」の欧文字は、上記アと同様に、「リナセンス」の称呼及び「新生、再生」の観念を生じるものである。
そうすると、使用商標の構成中、「INNATUS」と「RENESCENCE」の文字部分は、化粧品(化粧クリーム)との関係において、その商品の普通名称や品質等を表したとはいえないものであることから、それぞれが商品の出所識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえる。
また、上記のとおり、「INNATUS」と「RENESCENCE」の文字部分は、それぞれ、視覚上分離、独立した印象を与えるものであって、かつ、両文字部分は、観念及び称呼において関連性を有するものとはいえず、また、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているともいえないものであって、ほかに常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせないものである。
そうすると、「INNATUS」と「RENESCENCE」の文字部分が、それぞれ独立して商品の出所識別標識としての機能を十分に発揮する要部と認識され得ることから、「RENESCENCE」の文字部分のみを要部として、取引に資する場合もあるといえる。
ウ 本件商標と使用商標との社会通念上同一性
上記ア及びイのとおり、本件商標と使用商標の要部である「RENESCENCE」の文字部分は、「リナセンス」の称呼及び「新生、再生」の観念を共通にするものといえる。
そうすると、使用商標は、登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部の観念を共通にするときに、その一方の使用といえるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と判断するのが相当である。
(3)使用商標の使用時期及び使用地域について
ア 使用時期について
本件使用者は、化粧品の製造及び販売業務などを事業内容とする法人であるところ(乙9など)、上記1(10)ないし(12)によれば、本件使用者が作成した商品カタログ及び定期刊行広報誌において、別掲2ないし別掲4のとおり、化粧品(化粧クリーム)の容器の中央部に使用商標が使用されており、商品カタログの掲載内容(乙15)は、2020(令和2)年3月現在のものである旨の記載があり、定期刊行広報誌(乙16、乙17)は、それぞれ、「AUTUMN&WINTER 2021→2022」の記載から2021(令和3)年の秋から2022(令和4)年の冬に向けて作成された広報誌であると(乙16)、「SPRING AND SUMMER 2020」の記載から2020(令和2)年の春から夏に向けて作成された広報誌(乙17)であるといえることから、いずれも要証期間内(2019(令和元)年9月12日から2022(令和4)年9月11日まで)の時期を対象として作成されたものであると認められる。
そして、商品カタログ(乙15)は、化粧クリームなどの商品の容量及び値段なども掲載されていることから、2020(令和2)年3月現在で取り扱っている本件使用者の製造に係る商品を販売する目的で作成されたものであるといえ、そうすると、同商品カタログは、掲載商品の販売を目的として、2020(令和2)年3月前後において、需要者に対して配布又は掲示されたものであると推認される。
また、定期刊行広報誌(乙16、乙17)は、商品の説明等が記載されていることから、本件使用者の製造に係る商品の広報、すなわち、商品の広告、宣伝を目的として作成されたものであるといえ、冊子の末尾と認められる最下段に「定価165円(税込)」又は「定価150円(税抜)」の記載が認められることから、乙16の広報誌は2021(令和3)年の秋から2022(令和4)年の冬の前後に、乙17の広報誌は2020(令和2)年の春から夏の前後において、需要者に対して販売し、頒布されたものであると推認される。
イ 使用地域について
本件使用者は、東京都を本店所在地とする法人であって、本件使用者の作成に係る上記アの商品カタログ及び定期刊行広報誌は日本語で記載されていることから、少なくとも我が国における需要者を対象に頒布又は販売などがされていたものと認められる。
ウ 小括
以上によれば、上記商品カタログ及び定期刊行広報誌に掲載されている使用商標1及び使用商標2の使用は、いずれも日本国内で要証期間内に使用されたものと認められる。
(4) 使用商標の使用商品及び使用行為について
ア 商品カタログ(乙15)における使用商標1について
商品カタログ(乙15)は、上記(3)アのとおり、2020(令和2)年3月現在で取り扱っている本件使用者の製造に係る商品を販売する目的で作成されたものであるといえ、使用商標1を付した化粧クリームの容器は、その商品を販売することを目的に作成されたカタログに掲載されたものであるから、商品カタログにおける使用商標1の使用は、商品(化粧クリーム)の包装(容器)に使用商標を付したものを譲渡のために誌面上で展示したものであると認められ、これは、商標法第2条第3項第2号に規定する行為に該当する。
イ 定期刊行広報誌(乙16、乙17)における使用商標について
定期刊行広報誌(乙16、乙17)は、上記(3)アのとおり、本件使用者の製造に係る商品の広報、すなわち、商品の広告、宣伝を目的として作成されたものであるといえ、使用商標を付した化粧クリームの容器は、その商品を広告、宣伝することを目的に作成された広報誌に掲載れたものであるから、定期刊行広報誌における使用商標の使用は、商品(化粧クリーム)に関する広告に使用商標を付して頒布したものであると認められ、これは、商標法第2条第3項第8号に規定する行為に該当する。
(5)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者である本件使用者(株式会社イナータス)は、要証期間に日本国内において、本件指定商品のうち、第3類「化粧品」に含まれる「化粧クリーム」の商品の包装(容器)に、本件商標と社会通念上同一である使用商標1を付したものを譲渡のために展示する行為(商標法第2条第3項第2号)、及び、第3類「化粧品」に含まれる「化粧クリーム」の商品に関する広告、宣伝に、本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標を付して頒布する行為(同項第8号)をしていたものと認められる。
以上のとおり、被請求人は、本件商標の通常使用権者が、要証期間に日本国内において、本件指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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