結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024008751 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和4年4月22日に登録出願された商願2022-47133に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)として、令和5年7月10日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 9月19日付け:拒絶理由通知書
令和5年11月 2日 :意見書の提出
令和5年11月 6日 :手続補足書の提出
令和6年 2月22日付け:拒絶査定
令和6年 5月27日 :審判請求書の提出
令和6年 5月28日 :手続補足書の提出
令和7年10月21日付け:審尋
令和7年11月26日 :意見書の提出
本願商標は、「PPS」の文字を標準文字で表してなり、第9類「ピッキングシステム用プロジェクター,ピッキングシステムのためのコンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ピッキングシステムのための記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム」を指定商品として登録出願されたものである。
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5903936号商標(以下「引用商標」という。)は、「PPS」の文字を標準文字で表してなり、平成28年5月30日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電線及びケーブル」を指定商品として、同年12月9日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
当審において、令和7年10月21日付け審尋により、別掲に掲げる事実を提示した上で、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、これに対する意見を求めた。
前記4の審尋に対し、請求人は以下の意見を述べた。
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標とは異なる観念を有するものとして認識されるため、観念上識別可能であり、各々相違する印象を与えるものであることから、取引実情においては、両商標は観念において区別し得る。
(2)本願商標と引用商標の指定商品の類否について
本願商標の指定商品は、あくまでも「ピッキング用」に使用されるものであり、前記のとおりの取引実情を考慮すれば、引用商標の指定商品とは、生産部門、販売部門、品質、用途、需要者の範囲、業種のいずれにおいても一致しないため、両商品に商標「PPS」を使用しても同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれはない。本件のような3文字の欧文字からなる略語商標がひしめいている現状から、略語の意味が異なることにより現実には出所混同が生じない場合には、性質が異なる商品ごとに併存登録を認めても需要者に不利益はない。
(1)本願商標について
本願商標は、「PPS」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ピーピーエス」の称呼を生じ、当該文字は、我が国の一般の辞書等に載録された特定の意味合いを表す語として知られているものとはいえないから、特定の観念を生じない。
(2)引用商標について
引用商標は、「PPS」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ピーピーエス」の称呼を生じ、当該文字は、我が国の一般の辞書等に載録された特定の意味合いを表す語として知られているものとはいえないから、特定の観念を生じない。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標を比較すると、両商標は、特定の観念が生じないから観念は比較できないとしても、外観及び称呼を全て共通にするから、同一又は類似の商品に使用された場合、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれのある同一又は類似する商標といえる。
(4)本願商標と引用商標の指定商品の類否について
本願商標の指定商品である「ピッキングシステム用プロジェクター,ピッキングシステムのためのコンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ピッキングシステムのための記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム」と引用商標の指定商品の類否について以下検討する。
ア 本願指定商品中の「ピッキングシステム用プロジェクター」について
本願指定商品中の「ピッキングシステム用プロジェクター」とは、請求人の主張及び請求人商品のウェブサイトや、他者のピッキング用の物流関係システムで用いるプロジェクターの内容(別掲(1)、(2)及び(4))を踏まえると、コンピュータ等を用いてピッキング作業手順等を案内や監視するために映像等を投影するプロジェクターの一種であると認められる。そうすると、上記指定商品は、光の屈折・反射などの性質を応用したオーバーヘッドプロジェクターのような光学機械器具等の範ちゅうの商品というよりは、映像等のデジタル信号による電気通信をその機械器具の本質的要素とするものであるから、「映像に関する電気通信機械器具」の範ちゅう又はこれと類似の商品というべきである。そうすると、本願指定商品中の「ピッキングシステム用プロジェクター」は、引用指定商品中の「電気通信機械器具」と同一又は類似する商品といえる。
イ 本願指定商品中の「ピッキングシステムのためのコンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ピッキングシステムのための記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム」について
本願指定商品中の「ピッキングシステムのためのコンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ピッキングシステムのための記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム」は、ダウンロード可能な商品として商取引の対象となるものであること、請求人商品のウェブサイトや、他者のピッキング用の物流関係システムで用いるプロジェクターが既存システムや一般のコンピュータも介して動作するものであると解されること(別掲(1)ないし(4))を踏まえると、当該商品は、電子応用機械器具に含まれる電子計算機用プログラムの範ちゅうの商品というべきである。そうすると、本願指定商品中の「ピッキングシステムのためのコンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ピッキングシステムのための記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム」は、引用指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」と同一又は類似する。
ウ 加えて、別掲に記載の他の販売同業者においても、ピッキング用の物流関係システムで用いるプロジェクターやソフトウェアのほかに、一般事業者向けのプロジェクターやソフトウェアを提供している実情があることも認められる。
エ 以上を踏まえると、本願指定商品は、引用指定商品中の、「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」に含まれることから、生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲も共通し、それらの商品に同一又は類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係があるというのが相当であるから、両者は同一又は類似するものというべきである。
(5)小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と同一又は類似する商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 本願商標と引用商標の類否について
請求人は、甲第1号証ないし甲第21号証(枝番含む。以下「甲○」という場合がる。)を提出の上、「請求人の本件商標に係る当該商品の販売実績や商標の使用実績によって、多くの需要者に知られているため、・・・請求人の商標であることが明らかなことから、この商品の取引業界においては、「プロジェクションピッキングシステム」の略語としての意味をもち、「プロジェクターを用いてピックするシステム」の意味合いが生じ」、「引用商標の「PPS」は、引用商標権者であるパナソニックESネットワークス株式会社のホームページ中、「電子応用機械器具及びその部品」に属する「ネットワーク運用管理ソフトウエア」について、「PPS(Power to Progress SDN)」の略語として使用されており・・・、「SDN(ネットワーク機器を一元管理するソフトウェア)を推し進める力」の意味合いが生じ」るとした上、「本願商標と引用商標とは異なる観念を有するものとして認識されるため、観念上識別可能であり、各々相違する印象を与えるものであることから、取引実情においては、両商標は観念において区別し得る。」旨主張する。
しかしながら、請求人の提出に係る証拠をみても、請求人のピッキングシステムに係る商品の紹介記事には、「プロジェクションピッキングシステム」の商品名の後にPPSが表示されていたり(甲1、甲5)、「プロジェクションピッキングシステム」しか表示されていないものも存在する(甲15)ほか、提出された販売数量、売上高についても、客観的な裏付けが乏しく、需要者の間において、「PPS」の文字のみで、「プロジェクションピッキングシステム」を意味するものと知られていると評価することはできないものである。また、引用商標についても、「Power to Progress SDN」の略語であり、「SDN(ネットワーク機器を一元管理するソフトウェア)を推し進める力」を意味するものとして、需要者の間において広く知られているとは評価できない。
そもそも、上記(4)のとおり、引用商標の指定商品は、現在引用商標権者が使用しているネットワーク機器を管理する商品に限られるものでなく、「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を含むものであり、それらの中には、本願商標と同一又は類似するピッキングシステム用のプロジェクター、コンピュータソフトウェアを含むものである。そして、本願商標と引用商標も「PPS」の文字のみの商標であり、それぞれ「プロジェクションピッキングシステム」、「Power to Progress SDN」がこれらの略語と認識されるような形で併記等されたものでないことから、これらの指定商品との関係においては、上記(1)(2)のとおり観念が生じないか、何らかの観念が生じるとしても、共通の観念が生じるというべきである。
イ 本願商標と引用商標の指定商品の類否について
また、請求人は、「本願請求人の商品は、現場環境に合わせて投影可能なプロジェクターを用いてピッキングにおけるミスを防止する目的で使用されるプロジェクター及びそれに関連するソフトウェアであるため、生産部門、販売部門が限定されている」、「引用商標を付された商品は、スイッチングハブを通じて複数のネットワーク機器を一元管理する商品であり、本願商標の商品とはその目的、用途が異なる」旨述べた上、「本願商標の指定商品は、あくまでも「ピッキング用」に使用されるものであり、前記のとおりの取引実情を考慮すれば、引用商標の指定商品とは、生産部門、販売部門、品質、用途、需要者の範囲、業種のいずれにおいても一致しないため、両商品に商標「PPS」を使用しても同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれはない。本件のような3文字の欧文字からなる略語商標がひしめいている現状から、略語の意味が異なることにより現実には出所混同が生じない場合には、性質が異なる商品ごとに併存登録を認めても需要者に不利益はない。」旨主張する。
しかしながら、前記アのとおり、引用商標の指定商品は、現在引用商標権者が使用しているネットワーク機器を管理する商品に限られるものでなく、「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を含むものであり、それらの中には、本願商標と同一又は類似するピッキングシステム用のプロジェクター、コンピュータソフトウェアを含むものである。引用商標の指定商品が請求人が述べるような、ネットワーク機器を管理するためのコンピュータソフトウェアのみであれば、それらについて同一営業主により製造・販売又は提供されている等の事情があるか検討することとなるが、本件についてみれば、上述のとおり、引用商標の指定商品には、本願商標と同一又は類似するピッキングシステム用のプロジェクター、コンピュータソフトウェアを含むものであることから、生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲も共通し、それらの商品に同一又は類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る商品と誤認されるおそれがあるというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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