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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300342
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第4625436号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第4625436号商標(以下「本件商標」という。)は、「SWEP」の文字を標準文字で書してなり、平成13年6月26日に登録出願、第9類「電源装置」及び第11類「電気集塵器」を指定商品として、同14年11月29日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年6月12日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同3年(2021年)6月12日から同6年(2024年)6月11日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品のいずれについても、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人の提出した証拠に基づいても、以下の3点はいずれも証明されていない。

(1)2021年10月13日のパナソニックエコシステムズ株式会社(以下「パナソニックエコシステムズ社」という。)との打合せで検討された商品(以下「検討商品」という。)が、本件商標の指定商品中「電源装置」に含まれること。

(2)検討商品に本件商標「SWEP」が付されていたこと。

(3)検討商品が、仮に2006年に被請求人から松下エコシステムズ株式会社に販売されたものであって、「SWEP-T」という「Model name」を付した「電源装置」であったとしても、その検討商品が、上記(1)の打合せの場で「展示」されていなかったことは明らかである。

以上の前提に立ち、以下、本件証拠の問題点と被請求人の主張の不合理性について述べる。

被請求人提出の乙第1号証(カタログ)及び乙第2号証(製作仕様書)は、いずれも要証期間以前に作成された文書であり、要証期間内に本件商標の指定商品に本件商標が使用されていたことを証明し得るものではない。乙第3号証、乙第4号証、乙第5号証の1及び2並びに乙第7号証も同様である。また、乙第6号証の2の手書き部分及び署名押印部分は、要証期間後である令和6年9月5日に追記されたものであり、審判請求後に作成可能な性質の文書であって、証拠として認められるものではない。

したがって、要証期間内の使用を裏付ける可能性のある文書は、開催日が2021年10月13日とされる乙第6号証の1(「トンネルSWEP打合せ」議事録)のみである。しかし、同議事録に本件商標の記載は「トンネルSWEP打合せ」の語(2箇所)のみであり、それが商標「SWEP」の使用として認められるかは極めて疑わしい。また、同議事録には「商品」に該当する内容が記されておらず、本件商標の指定商品のいずれに関する使用かも不明である。

被請求人は、2006年にパナソニックエコシステムズ社に納入した電源装置と同じ商品について、同社担当者と2021年10月13日に打合せが行われたと主張するが、乙第2号証に記されている「品名:トンネルEP電源」、「Model name:SWEP-T」は、乙第6号証の1に一切記載がない。「製番」等が一致していても、同一商品であったと断定できる証拠にはならず、被請求人の主張には疑義がある。

さらに、被請求人は答弁書で「本件商標を付した電源装置を譲渡のために展示している」とする一方、「本件商標を付した電源装置そのものを直接展示したわけではない」と主張しており、論理的に矛盾している。商標法上の「展示」は特別な意味を持つものではなく、通常の理解どおり「商品を見せる行為」を指す。商品が実際に打合せの場に存在しなかった以上、「展示」に該当するとする被請求人の説明は著しく妥当性を欠く。

以上のとおり、被請求人は、請求の登録前3年以内に本件商標が指定商品について使用されていたことを証明できておらず、不使用について正当理由も明らかにしていない。よって、請求人は商標法第50条第1項に基づき、本件商標の登録を取り消す旨の審決を求めるものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 本件商標は、要証期間に、その指定商品について被請求人により使用された事実、すなわち、被請求人は、令和3年(2021年)10月13日に、本件商標を付した「電源装置」を日本国内で譲渡するために「展示」した事実が存在するため、その登録は維持されるべきである(商標法第2条第3項第2号)。

(1)被請求人は、遅くとも平成13年(2001年)には、本件商標「SWEP」を付したスイッチング型電気集塵機用電源(以下「本件電源装置」という。)を販売していた(乙第1号証)。

(2)平成18年(2006年)、被請求人は松下エコシステムズ株式会社に対し本件電源装置を販売した。乙第2号証(平成18年(2006年)8月16日付け製作仕様書)には、「品名:トンネルEP電源」、「Model name“SWEP-T”」、「設番:614063」、「9kV 500mA」等が記載され、それらのうち、番号「614063」及び「9kV500mA」は、乙第6号証の1における記載と一致する。

(3)松下エコシステムズ株式会社は平成20年(2008年)にパナソニックエコシステムズ社へ社名変更した(乙第3号証)。被請求人も平成31年(2019年)に社名変更している(乙第4号証)。

(4)令和3年(2021年)、パナソニックエコシステムズ社から本件電源装置の新規購入検討の連絡があり、同年10月13日に同社の担当者の希望により、製作期間・価格に関する打合せが行われた(乙第5号証の1・2、乙第6号証の1)。

(5)乙第6号証の1には、議題欄の「トンネルSWEP打合せ」の記載とともに、2006年度納入品(製番614063・9kV 500mA)についての打合せを実施した旨の記載があり、商品の使用等についての記載が、乙第2号証の内容と複数の点で一致する。

(6)乙第6号証の1の信用性を補完するため、被請求人の社外の立場にあるパナソニックエコシステムズ社の担当者が内容が事実であることを確認する文言及び署名押印した乙第6号証の2も作成されている。

(7)乙第6号証の1に記載の「南与野事業所」は、被請求人の本社事業所の通称であり(乙第4号証)、所在地は南与野駅付近である(乙第7号証)。

(8)以上の事実により、令和3年(2021年)10月13日に、被請求人が、本件電源装置についてパナソニックエコシステムズ社と購入検討の打合せを行ったことが裏付けられる。

(9)商標法において「商標」とは、ある標章が業として商品を生産、証明又は譲渡する者がその商品について使用をするものをいい(商標法第2条第1項第1号)、自他識別機能を発揮する形で使用されるものが商標登録を認められる(同法第3条)。このような商標法の規定を踏まえると、商標法第50条第2項で被請求人に証明が求められる登録商標の使用とは、業として生産、証明又は譲渡する者が、自他識別機能を発揮する形で商標を商品に付する行為を指すと解するのが商標法の理念に合致するというべきである。したがって、商標法第2条第3項各号に記載される「使用」の該当性の判断においても、上記の観点から同条項各号に規定される行為と実質的に同視できる行為についても、「使用」に当たるというべきである。

(10)打合せの場に商品の実物を直接展示していなくとも、双方が本件商標を付した電源装置を対象とする商取引であるとの共通認識を持ち、具体的な購入検討を行っている以上、その状況は商標法上の「展示」と同視できる。

(11)よって、令和3年(2021年)10月13日の打合せにおいて、被請求人は、本件商標を付した電源装置を、被請求人からパナソニックエコシステムズ社に譲渡するために実質的に展示していたと認められる。

(12)以上より、本件商標は、要証期間内に商標法2条3項2号の「使用」があったと判断される。

2 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件商標を、要証期間内である令和3年(2021年)10月13日に、日本国内において、本件商標の指定商品である電源装置を譲渡するために展示(商標法第2条第3項第2号)していたから、本件商標の登録は維持されるべきであり、本件審判請求は成り立たないとの審決がされるべきである。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。

(1)商標権者は、2001年(平成13年)9月に「スイッチング型電気集塵機用電源装置」(以下「使用商品」という。)についてのカタログを作成し、当該カタログには「SWEP」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されており、使用商標の下に使用商品の写真が掲載されているが、使用商品それ自体に使用商標が付されていることは確認できない(乙第1号証)。

(2)2021年(令和3年)10月13日に、商標権者は、パナソニックエコシステムズ社との間で、使用商品に関する打合せ(以下「本件打合せ」という。)を行った(乙第6号証)。

2 判断

(1)被請求人は、要証期間内に、本件商標を付した使用商品を譲渡のために展示した、すなわち、商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為をしたと主張する。

使用商標は、「SWEP」の文字からなるものであり、本件商標とその構成文字を共通にするから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

しかしながら、使用商標は、使用商品それ自体に付されていることが確認できない。

そうすると、商標法第2条第3項第2号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付した・・・」との要件を満たしていると認めることはできない。

また、要証期間内に、使用商品が譲渡のために展示されたことについては何ら立証されていない。

したがって、使用商標について、商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為が行われたと認めることはできない。

(2)被請求人は、本件打合せにおいて、商標権者及びパナソニックエコシステムズ社は使用商品についての商取引に関する打合せであるとの共通認識を持っていたから、このような共通認識の下で購入検討の打合せを行う行為は、実質的に「展示」したものと評価できる旨主張する。

しかしながら、「展示」とは、「品物・作品をならべて一般の人々に見せること。」であるから(甲2)、被請求人の主張する共通認識によって、直ちに「展示」したものと評価することはできない。

また、商標法第2条第3項が同法上の標章の「使用」の定義を規定した趣旨は、商品に標章が付される場合において、それが何人かの使用と認められるものであるかについては社会通念に委ねるとともに、同法の目的との関係を考慮し、特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ、これを「使用」であると定義することにより、同法上の「使用」としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものであると解される(平成14年(行ケ)第346号判決)。

このように、法的効果を認めるべき行為を限定する「使用」の概念に照らしても、被請求人が主張するような行為を実質的に「展示」と評価することはできず、そのように評価すべき特段の事情も見いだせない。

よって、上記被請求人の主張は認められない。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したとはいえず、また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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