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Trademark Appeal Case

TRXの商標使用該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300836
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第5646121号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第5646121号商標(以下「本件商標」という。)は、「TRX」の文字を標準文字で表してなり、平成25年3月14日に登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,薫料」及び第5類「酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とした粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とするサプリメント,その他のサプリメント,薬剤,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」を指定商品として、同26年1月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年11月26日である。

なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)11月26日ないし同6年(2024年)11月25日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和7年1月22日付けの審判事件答弁書(以下「第1答弁書」という。)に対する同年3月3日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

なお、以下、証拠の表記については、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合がある。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。

2 審判請求書に添付された証拠説明書における主張

甲第1号証は、被請求人が関係する「レドックス・バイオサイエンス株式会社」及び「日本バイオストレス研究振興アライアンス」のホームページ、並びに、これらのホームページに掲載された「アリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス株式会社」及び「富士フイルム和光純薬株式会社」のホームページの2024年11月10日の掲載内容である。いずれのホームページにおいてもTRXの記載があるが、これらは、タンパク質の一種であるチオレドキシン(thioredoxin)の略語として使用されているものであり、商品の商標としての記載はない。

3 第1答弁書における答弁に対する弁駁

(1)ホームページの「TRX」の記載は商標の使用にあたるとの被請求人の答弁に対して

被請求人は、要証期間内において「レドックス・バイオサイエンス株式会社」のホームページ(甲2の1~5、甲2の7~9)及び「日本バイオストレス研究振興アライアンス」のホームページ(甲2の6)に「TRX」が表示されているため、商標として使用されている旨主張するが、これらのホームページに記載された略語「TRX」は、いずれも物質である「チオレドキシン」を意味する語句として使用されており、物質、原材料としての語句の使用は商標として使用に当たらないとの審決があることから(甲4の1~3)、被請求人の主張は失当である。

(2)商品に記載された「TRX」について

被請求人は「清酒TRXエキス(凍結乾燥粉末)」の文字を商品に記載しているので(乙4、乙5)商標「TRX」を使用している旨主張するが、しかしながら、この商品に記載された略語「TRX」は物質である「チオレドキシン」を意味する語句として使用されており商標の使用に当たらないから、これが商標の使用に当たるとの被請求人の答弁は失当である。

(3)結論

「レドックス・バイオサイエンス株式会社」のホームページ、「日本バイオストレス研究振興アライアンス」のホームページ及び「日本バイオストレス研究振興アライアンス」監修の商品のパッケージに記載の「TRX」はいずれも物質である「チオレドキシン」の意味の語句としての使用である。物質、原材料としての語句の使用は商標として使用に当たらないから、商標を使用しているとの被請求人の主張は失当である。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、第1答弁書、弁駁書に対する令和7年11月5日付け審判事件答弁書(以下「第2答弁書」といい、第1答弁書及び第2答弁書をまとめていうときは「答弁書」という。)にて、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 第1答弁書における主張

(1)甲第1号証について

請求人は、本件商標について、甲第1号証を提出して、「TRXの記載があるが、これらは、タンパク質の一種であるチオレドキシン(thioredoxin)の略語として使用されているものであり、商品の商標としての記載はない。」と主張し、これは商品の識別標識としての使用ではないから、商標法第50条に定める「商標の使用」でないとして、商標登録の取消を主張している。

しかし、本件商標は、チオレドキシン(thioredoxin)に関連する商品の商標として被請求人が2014年に「TRX」を商標登録したものであり、それがチオレドキシン(thioredoxin)に関連して使用されることに何の不思議もない。

そもそも、商標の不使用を事由とする商標登録取消しにおいては、商標法第50条所定の「登録商標の使用」は、商標がその指定商品について何らかの態様で使用されていれば十分であって、識別標識としての使用に限定しなければならないとは考えられていない(乙2)。

そして、本件商標は、指定商品について使用されているのであるから、商品の商標としての記載がない、すなわち、商品の識別標識としての使用ではないから商標登録を取り消すべきとの請求人の主張は、失当と言わざるを得ない。

実際に、甲第1号証によれば、レドックス・バイオサイエンス株式会社や日本バイオストレス研究振興アライアンスが、医薬品や化粧品などの製造、販売などに係る事業を行っていると表示されているから、「TRX」の本件商標を被請求人の許諾の下、「レドックス・バイオサイエンス株式会社」や「日本バイオストレス研究振興アライアンス」が本件登録商標をその指定商品のうち、化粧品、サプリメント、薬剤について本件商標を使用していることが明らかである。

(2)乙第3号証について

乙第3号証は、被請求人の関係団体である「レドックス・バイオサイエンス株式会社」及び「日本バイオストレス研究振興アライアンス」の2023年、2022年のホームページであり、本件商標は、被請求人の許諾の下、要証期間内に、その指定商品のうち、化粧品、サプリメント、薬剤について、「レドックス・バイオサイエンス株式会社」や「日本バイオストレス研究振興アライアンス」によって使用されていることが明らかである。

(3)乙第4号証及び乙第5号証について

乙第4号証は、本件商標の指定商品の「酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とした粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とするサプリメント,その他のサプリメント」のうち、粉末状の商品の写真であるが、そのパッケージの上部に「清酒TRXエキス」の表示があり、そのうちの「清酒」及び「エキス」は品質表示の部分であって、「TRX」の部分が商品の出所表示となるから、当該表示は、社会通念上、本件商標と同一といえる。

また、「監修」とされている「日本バイオストレス研究振興アライアンス」は、請求人提出の甲第1号証に記載のとおり、被請求人が代表者(理事長)となっている団体名であって、被請求人の許諾の下、商標法第2条第1項第1号に定められる業として商品の証明を行っていることから、「日本バイオストレス研究振興アライアンス」が使用しているといえる。

さらに、当該パッケージには、賞味期限が2024年4月及び2025年6月と表示されており、要証期間内に製造又は販売されたものと容易に理解されるところ、要証期間内に当該商品を製造、証明し、使用していたことを明らかにするため、乙第5号証として、製造元の「黄桜株式会社」から提出された当該商品の品質試験の成績書の写しを提出する。

これにより、本件商標は、被請求人の許諾の下、要証期間内に、その指定商品の「酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とした粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とするサプリメント,その他のサプリメント」のうちの粉末状の商品について、「日本バイオストレス研究振興アライアンス」によって使用されていることが明らかである。

2 第2答弁書における主張

(1)弁駁書における請求人の主張について

ア 請求人は、「「TRX」はいずれも、物質である「チオレドキシン」を意味する語句として使用されている」として、本件商標の使用を否定する主張を行っている。

しかし、本件商標が「チオレドキシン」を意味する語句であるか否か、さらに、自他商品の識別力を有しない語句であるか否かは、商標法第3条第1項各号に該当するか否かとして、第15条又は第16条の審査、第43条の2の登録異議申立ての審理、第46条の無効審判の審理を通じて行われるべきものであって、本件商標は、審査において登録査定となり、平成26年(2014年)1月31日に商標登録され、登録異議申立てを受けることなく、現在に至っている。加えて、第46条の無効審判請求においては、商標法第3条第1項各号に違反して登録されたとの請求は、第47条第1項により、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は請求することができないとされているところ、本件商標は、平成26年(2014年)1月31日に商標登録されたものであり、既に、登録後5年の期間を大幅に超過しているものであるから、不使用取消審判の場において、本件商標が「チオレドキシン」を意味する語句であって、自他商品の識別力を有しない語句であるとの理由で、登録商標の使用を認められないとの主張は許されないものである。

イ 請求人は、「TRX」が「チオレドキシン」を意味する語句であると主張しているが、「チオレドキシン」自体が被請求人である本件商標の商標権者が発見したものである(甲2の2、乙6)。

本件商標は、その商標権者が発見したものとして採択され、発見当時から現在に至るまで、当該者の発見に係るものとして、取引者、需要者の間では広く認識されており、十分に自他商品の識別標識として機能し得るというべきものである。

ウ 請求人は、「物質等の意味での使用は商標使用に当たらない」と主張し、過去の審判決を提出しているが(甲4)、これら審判決は、本件とは事案を異にするものであり、これらを根拠に、「物質等の意味での使用は商標使用に当たらない」とする請求人の主張は、失当といわざるを得ない。

エ 請求人は、被請求人が乙第4号証及び乙第5号証(枝番号を含む。)で提示した「清酒TRXエキス(凍結乾燥粉末)」の文字について、「「TRX」は物質である「チオレドキシン」という物質等の意味で使用されており、商標の使用に当たるとの被請求人の答弁は失当である」と繰り返し主張している。

しかし、本件商標の「TRX」が「チオレドキシン」を意味する語句であって、自他商品の識別力を有しない語句であるとの理由で、登録商標の使用として認められないとの主張は、上記のとおり、失当といわざるを得ない。

むしろ、請求人提出の甲第2号証の2には、「清酒TRXエキスにおけるご質問・ご連絡先」や「事業化追跡調査『清酒TRXエキス』」、さらに「清酒TRX製造委託先、黄桜社より化粧品が発表されました。」の記載があるところ、これらの記載は、被請求人が提出した乙第4号証及び乙第5号証(枝番号を含む。)とも符合するのであって、本件商標の使用をしていることは明らかである。

(2)まとめ

以上のとおりであるから、本件商標は、被請求人(商標権者)の承諾の下、本件審判請求に係る商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたこと明らかである。

したがって、本件商標の商標登録を取り消すべき理由はない。

第4 当審における審尋及び被請求人の回答

1 当審における審尋について

審判長は、令和7年11月11日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が、請求に係る指定商品について商標法第50条第2項に規定する本件商標(社会通念上同一のものを含む。以下同じ。)の使用をしている事実を証明したものとは認められない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。

2 被請求人の回答

被請求人は、上記1の審尋に対し、令和7年12月19日付け回答書を提出し、要旨次のとおり回答し、証拠方法として、乙第7号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)被請求人の許諾の下で本件商標が使用されていることについて

乙第7号証は、本件商標の商標権者が代表を務める株式会社淀井研究所(甲)、黄桜株式会社(乙)、レドックス・バイオサイエンス株式会社(丙)及び特定非営利活動法人日本バイオストレス研究振興アライアンス(丁)の4者による陳述書の写しである。陳述書には、甲である株式会社淀井研究所は、本件商標の商標権者であって、チオレドキシンの権威である淀井淳司京都大学名誉教授を擁し、チオレドキシンの認知度向上のため、「化粧品及び健康食品」を含めたチオレドキシン含有製品(以下「本製品」という。)の周知、広告、さらに、本製品の規格及び品質の向上、本製品の製造、販売の事業に当たって、黄桜株式会社、レドックス・バイオサイエンス株式会社及び特定非営利活動法人日本バイオストレス研究振興アライアンスと協力し合うこととされており、その際に、甲は、乙、丙及び丁が本件商標の使用をすることを許諾し、乙、丙及び丁は、甲より、本件商標の使用を許諾されていたこと、要証期間である令和3年11月26日ないし令和6年11月25日までを含む期間であることを明確に陳述している。

以上のとおりであるから、乙第7号証の陳述書によれば、乙第3号証のウェブサイトに係るレドックス・バイオサイエンス株式会社は、本件商標の使用について、商標権者の許諾を得ていたこと明らかである。

(2)いずれの商品についてどのように本件商標の使用を行っているかについて

乙第7号証の陳述書には、使用許諾が「化粧品及び健康食品」を含めた本製品に関するものであることが記述されており、これらの商品は、本件商標の指定商品に含まれているものである。そして、乙第3号証は、乙第7号証の陳述書の当事者の丙であるレドックス・バイオサイエンス株式会社のウェブサイトであり、被請求人が乙第4号証として商品のパッケージを提出した「清酒TRXエキス」に関する「清酒TRXエキスにおけるご質問・ご連絡先」が記載されているほか、「化学工業日報より当社開発の清酒TRXエキスの事業本格化が報道されました。」の記事、さらに、乙第7号証の陳述書の当事者の乙に関連し「清酒TRX製造委託先 黄桜社より化粧品が発表されました。」などの記事が掲載されている。すなわち、乙第3号証は、乙第7号証の陳述書のとおり、チオレドキシンの認知度向上のため、「化粧品及び健康食品」を含めた本製品の周知、広告を行っていたものであり、乙第3号証のウェブサイトを掲載していたレドックス・バイオサイエンス株式会社は、本件商標の商標権者の許諾の下、商標法第2条第3項第8号の「広告」に関する使用行為をしていたことが明らかである。

(3)乙第4号証と乙第5号証との関係性が不明であることについて

乙第4号証は、商品のパッケージであり、乙第7号証の陳述書のとおり、商標権者の許諾の下、陳述書の当事者乙であり、製造業者である黄桜株式会社が、商標法第2条第3項第1号の商品の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付し、かつ、同項第2号の商品の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを販売先である株式会社TriBeaute(トライボーテ)やアリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス株式会社に譲渡し、引き渡したものである。

上述の事実を一層明確に証明するために、被請求人は、乙第8号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)において、ロット番号が共通する写真、納品書、試験成績書を揃えて提出する。

乙第4号証において、製造業者として黄桜株式会社の記載があり、「ロットNo.220513」と「ロットNo.230726」のパッケージに入った商品の写真を掲載したが、そのパッケージに入った商品である「ロットNo.220513」が2022年5月18日に、「ロットNo.230726」が2023年7月31日に、それぞれ、乙第7号証の1の陳述書の当事者の乙である黄桜株式会社から、販売先である株式会社トライボーテに納品されたことを証明する納品書の写し(乙8の1及び3)、さらに、その試験成績書の写し(乙8の2及び4)を提出する。そして、これらの納品書に記載された納品日や、試験成績書の日付は、いずれも要証期間内である。

また、被請求人は、乙第7号証の陳述書の当事者の乙である黄桜株式会社から、販売先であるアリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス株式会社に納品されたパッケージに入った商品の写真、その納品書及び試験成績書の写し(乙9の1ないし3)を提出する。乙第9号証の1ないし3は、いずれも「ロットNo.240902」のものであり、その納品書及び試験成績書の日付は2024年9月5日となっており、いずれも要証期間内である。

(4)名称を「清酒エキス」とする商品が指定商品中の粉末状の商品であることについて

乙第7号証の陳述書のとおり、その製品が「化粧品・健康食品」であることは明らかであり、しかも、製造、販売された商品のパッケージの写真である乙第4号証及び乙第9号証の1によれば、「賞味期限」の記載があり、「賞味期限」は、食品表示法と食品衛生法に基づき食品に表示される記載であることを踏まえるならば、「化粧品・健康食品」のうちの「健康食品」であること明らかである。そして、「健康食品」は、一般的に健康の維持・増進を目的として販売・利用される食品をいうもので、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品なども含まれるものであり、あわせて、商品のパッケージには「凍結乾燥粉末」の表示もあることを踏まえるならば、「酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とした粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とするサプリメント,その他のサプリメント」の粉末状の商品であることは明らかである。

(5)「監修:NPO法人 日本バイオストレス研究振興アライアンス」の記載について

乙第7号証の陳述書においては、その当事者甲であり、商標権者を擁する株式会社淀井研究所は、陳述書の当事者の乙である黄桜株式会社や、同じく丁である日本バイオストレス研究振興アライアンスと、本製品の規格及び品質の向上、本製品の製造、販売の事業に当たって協力関係になっていたのであり、当事者乙である黄桜株式会社は、製造者ではないが、品質の担保に関わることを表すため、監修として日本バイオストレス研究振興アライアンスの名を記載したものである。

第5 当審の判断

被請求人は、本件商標権者が要証期間に我が国において、請求に係る指定商品中、第3類「化粧品」及び第5類「酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とした粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,酵母等から抽出された酵素等の物質を主原料とするサプリメント,その他のサプリメントのうち粉末状の商品,薬剤」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品を製造、販売している旨主張するので、以下検討する。

1 被請求人が提出した証拠(乙第1号証から乙第9号証(枝番号を含む。))及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(1)乙第3号証の1について

乙第3号証の1は、「WayBack Machine(ウェイバックマシン)」に2023年9月23日に保存された「レドックス・バイオサイエンス株式会社」(以下「レドックス社」という場合がある。)のウェブサイトであり、2葉目には「清酒TRXエキスにおけるご質問・ご連絡先」の記載、及び、3葉目には「新着情報」の見出しの下、「報告 H25.3.27 清酒TRX製造委託先 黄桜社より化粧品が発表されました。」の記載がある。

(2)乙第4号証及び乙第9号証の1について

乙第4号証は、被請求人が請求に係る指定商品中の「粉末状の商品」のパッケージの写真(以下、「パッケージ写真」という場合がある。)と主張するものであり、「清酒TRXエキス(凍結乾燥粉末)」、「名称 清酒エキス」、「原材料名 清酒」、「賞味期限 2024年4月」又は「賞味期限 2025年6月」、「製造者 黄桜株式会社」、「ロットNo.220513」又は「ロットNo.230726」、「監修:NPO法人 日本バイオストレス研究振興アライアンス」の記載がある。

乙第9号証の1の写真は、請求人が「パッケージ写真」と主張するものであり、「清酒TRXパウダーN」、「名称 清酒パウダー」、「原材料名 清酒」、「賞味期限 2026年8月」、「製造者 黄桜株式会社」、「ロットNo.240902」、「監修:NPO法人 日本バイオストレス研究振興アライアンス」の記載がある。

(3)乙第5号証、乙第9号証の3について

乙第5号証、乙第9号証の3は、「パッケージ写真」の商品の証明のため、製造元の黄桜株式会社(以下、「黄桜社」という場合がある。)から提出された当該商品の品質試験の成績書の写しであり、「品名:清酒TRXエキス(乾燥粉末)」、「品名:清酒TRXパウダーN」の記載、及び、それぞれの「ロットNo.」、「試験項目」、「試験結果」、「規格値」の記載がある。

(4)乙第7号証について

乙第7号証は、甲を「株式会社淀井研究所 代表取締役会長」、乙を「黄桜株式会社 取締役相談役」、丙を「レドックス・バイオサイエンス株式会社 代表取締役社長」、丁を「特定非営利活動法人日本バイオストレス研究振興アライアンス 理事長」とする陳述書であり、本件商標の商標権者である甲は、本件商標の登録後、少なくとも、令和3年11月26日ないし令和6年11月25日までを含む期間において、乙、丙及び丁が本件商標の使用をすることを許諾し、乙、丙及び丁は、甲より、商標の使用を許諾されていた旨の記載がある。

2 上記1によれば、当審の判断は以下のとおりである。

(1)使用商品について

被請求人は、本件商標を、被請求人の許諾の下、請求に係る指定商品中の「粉末状の商品」について、日本バイオストレス研究振興アライアンス(以下「日本バイオ」という場合がある。)が使用しているとして、「パッケージ写真」(乙4及び乙9の1)を提出しているところ、そのパッケージに記載された「清酒TRXエキス(凍結乾燥粉末)」、「名称 清酒エキス」、「原材料名 清酒」、及び、「清酒TRXパウダーN」、「名称 清酒パウダー」、「原材料名 清酒」の表記のみでは具体的な商品の内容が把握できず、また、請求人が提出した「パッケージ写真」の商品に係る試験成績書(乙5、乙9の3)をみても具体的な商品の内容が把握することができないことから、その「パッケージ写真」の商品が、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品とみることはできない。

(2)使用者について

被請求人は、被請求人の許諾の下、「日本バイオ」が本件商標を使用している旨、及び、乙第7号証の「陳述書」を提出し、「本件商標の商標権者は、「黄桜社」、「レドックス社」及び「日本バイオ」が本件商標の使用をすることを許諾していた」旨主張している。しかし、この陳述書は、本件審判請求後に当事者で主観的に作成されたものであり、陳述書に記載された内容を裏付ける客観的な証拠も提出されておらず、また、当事者間の関係性や取引の詳細など、陳述の内容に関する詳細の説明もないから、この陳述書のみをもって「黄桜社」、「レドックス社」及び「日本バイオ」が、要証期間内に本件商標の使用をすることを許諾されていたと直ちに認めることはできない。

また、本件商標の商標権者が本件商標を使用していることも認められない。

(3)小括

以上より、被請求人の主張する本件商標を使用したとする商品は、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれず、また、本件商標が商標権者、専用使用権者又は通常使用権者に使用された事実も認定できない。

以上のとおり、被請求人は、要証期間内に、日本国内において本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が請求に係る指定商品についての本件商標の使用をしていることを証明したということはできない。

その他、被請求人が提出した証拠によっては、日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。

3 被請求人の主張について

(1)被請求人は、乙第7号証の陳述書のとおり、乙第4号証及び乙第9号証のパッケージの写真の商品は「化粧品・健康食品」であることは明らかであり、そのパッケージの写真には「賞味期限」の記載があることから「化粧品・健康食品」のうち、「健康食品」であることは明らかであると主張する。

しかしながら、上記2(2)のとおり、陳述書は、本件審判請求後に当事者で作成されたものであり、陳述書に記載された内容を裏付ける客観的な証拠も提出されていないから、この陳述書のみをもってパッケージの商品が「化粧品・健康食品」であると直ちに認めることはできないし、「賞味期限」の記載がある商品は「健康食品」に限られないことから、「賞味期限」の記載があることのみをもってパッケージの写真の商品が「健康食品」であるとは認められない。

(2)被請求人は、「レドックス社」が、商標権者の許諾の下、本件商標を商品「化粧品及び健康食品を含めたチオレドキシン含有製品」について、乙第3号証のウェブサイトにおいて「広告」に使用していたと主張する。

しかしながら、ウェブサイトにおける商品の問い合わせ先や、新着情報の記事における記載は、ウェブサイトの閲覧者に問い合わせの連絡先を周知する目的や、ウェブサイトの運営者に関する最新の情報等を伝える目的で記載されているものであるから、本件商標が付された商品を販売するための広告・宣伝とは認められない。

また、上記2(2)のとおり、「レドックス社」が本件商標の使用をすることを許諾されていたとは認めることはできない。

(3)したがって、被請求人の上記(1)及び(2)の主張は、いずれも採用することができない。

4 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、使用していることを証明したということはできない。

また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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