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Trademark Appeal Case

映画題号と地名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025004457
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和5年11月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 8月 9日付け:拒絶理由通知書

令和6年10月30日 :意見書、手続補正書の提出

令和6年12月19日付け:拒絶査定

令和7年 3月24日 :審判請求書、手続補正書の提出

令和7年 8月13日付け:審尋

令和7年 9月29日 :回答書

2 本願商標

本願商標は、「カサブランカ」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願され、その後、指定役務については、令和6年10月30日提出の手続補正書及び令和7年3月24日提出の手続補正書により、最終的に、第41類「教育,訓練の提供,スポーツイベント及び文化イベントの企画・運営又は開催,オンラインによる家庭用テレビゲーム機用のゲームの提供,オンラインによるコンピュータゲームの提供,グローバルコンピュータネットワークを介した娯楽イベントに関するニュースの提供,グローバルコンピュータネットワークを介した教育及び文化イベントに関する情報の提供,通信ネットワークからアクセス可能なコンピュータゲームの提供,遊園地の提供,遊園地用の乗物機械器具の貸与,ゲームの提供に関する情報の提供,遊園地の提供に関する情報の提供,グローバルコンピュータネットワーク経由による電子ゲームの提供,カジノ施設の提供,カジノゲーム機器の貸与,カジノゲームの提供,シネマコンプレックス及び映画館の提供」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、「カサブランカ」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、令和6年10月30日提出の手続補正書で補正された後の本願指定役務中、「映画の上映,映画の配給」等との関係において、マイケル・カーティス氏が監督した映画作品の題号の原題として、一般に広く知られているものであり、同作に関連する電子書籍の制作や・演劇の興行等が行われている実情が見受けられる。また、当該文字は、前記以外の原審における補正後の本願指定役務との関係においては、モロッコの都市の名称として認識されるものであるから、本願商標は、全体として「(映画作品の)カサブランカ」又は「(モロッコの)カサブランカ」を認識させるものである。

そうすると、本願商標を、原審における補正後の本願指定役務中、「映画の上映,映画の配給」等の役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「(映画作品の)カサブランカに関する役務」であることを表示したものと理解し、把握するにとどまるから、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。

また、本願商標を、「映画の上映,映画の配給」等の役務以外の役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「(モロッコの)カサブランカに関する役務」であることを表示したものと理解し、把握するにとどまるから、単に役務の質、提供の場所を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 当審における審尋及びそれに対する請求人の回答

当審において、上記1の審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示すとともにし、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の意見(要旨)

(1)審尋において、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとの暫定的見解が示されたが、同条文は、原審における拒絶理由通知書において拒絶の理由とされたものの、原査定においては拒絶の理由として言及されていないものであるから、同条文を、拒絶査定不服審判において、再度、本願の拒絶の理由とすることは不当である。

(2)「カサブランカ」は、アフリカのモロッコ王国にある都市の名称であるが、同文字は、モロッコ王国の都市名としてではなく、1942年に公開された往年の名画のタイトルである「カサブランカ」を表すものとして認識され、十分に識別力を有する語となっているものである。例えば「モンロビア」(リベリア共和国の首都)、「アクラ」(ガーナ共和国の首都)、「ウィントフック」(ナミビア共和国の首都)、「ポルトノボ」(ベナン共和国の首都)が日本人にとってほとんど知られていないように、アフリカの都市名は日本人にとってあまりなじみがないものであって、その中において「カサブランカ」が、多くの日本人にモロッコの都市名として知られており、日本人を含む多くの人が観光地としてここを訪れるようになったのは、前記の映画によるものである。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。

また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品又は指定役務の品質又は質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品又は役務の品質又は質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。

イ 本願商標は、「カサブランカ」の文字を標準文字で表してなるところ、この文字は、「アフリカ北西部、モロッコ中部大西洋岸の重要な港湾都市。」の意味を有する語である(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)。

そして、別掲1のとおり、我が国において、モロッコ王国のカサブランカが、同国最大の都市であり、観光地としても知られている事実があることから、本願商標は、「アフリカ北西部、モロッコ中部大西洋岸の重要な港湾都市」の意味合いを容易に認識させるものといえる。

加えて、別掲2のとおり、補正後の本願指定役務が、同国のカサブランカにおいて提供されている事実がある。

そうすると、本願商標を、上記2の指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、単に役務の提供の場所を表示したものとして認識するものとみるのが相当である。

加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、アフリカの複数の国の首都名が我が国において一般に知られていない旨を述べるとともに、その中において「カサブランカ」が、多くの日本人にモロッコ王国の都市名として知られており、日本人を含む多くの人が観光地としてここを訪れるようになったのは、1942年に公開された映画「カサブランカ」によるものであるから、本願商標は、モロッコ王国の都市名としてではなく、前記映画のタイトルを表すものとして認識され、十分に識別力を有する語となっている旨を主張する。

しかしながら、請求人が主張する、アフリカの複数の国の首都の名称が我が国において一般に知られていない旨については、これを裏付ける証拠は何ら提出されておらず、また、請求人が挙げた複数の国の首都の名称と、カサブランカの、我が国における知名度が同等であることを示す証拠も提出されておらず、かつ、これらを同様に扱うべき理由も述べられていない。

また、請求人が主張する、カサブランカが、多くの日本人にモロッコ王国の都市名として知られており、日本人を含む多くの人が観光地として同都市を訪れるようになったのは、1942年に公開された映画「カサブランカ」によるものである旨については、回答書中に「Googleで「往年の名画」というキーワードで検索すると、最初に出てくる映画がこの「カサブランカ」である」との記載があるのみであって、他にこれを客観的に裏付ける証拠の提出もなく、この主張のみをもって、カサブランカが観光地として知られるようになったのは前記映画によるものであるということはできず、請求人の主観を述べたものにすぎないものであるといわざるを得ない。むしろ、別掲1のとおり、我が国において、カサブランカが、同国最大の都市であり、観光地としても知られている事実があることからすれば、仮に、請求人が主張するように、我が国において、カサブランカが知られることとなったきっかけが、1942年に公開された映画「カサブランカ」にあり、審決時においても、80年以上前に公開された同映画が、我が国において、いまだ、ある程度の知名度を有するとした場合であったとしても、本願商標に接する、上記2の指定役務の取引者、需要者は、これより、前記映画のタイトルを想起するとともに、「アフリカ北西部、モロッコ中部大西洋岸の重要な港湾都市」の意味合いを容易に認識するものというのが相当である。

イ また、請求人は、審尋において、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとの暫定的見解が示されたことについて、同条文は、原審における拒絶理由通知書において拒絶の理由とされたものの、原査定においては拒絶の理由として言及されていないものであるから、これを、拒絶査定不服審判において、再度、本願の拒絶の理由とすることは不当である旨主張する。

しかしながら、審査と拒絶査定不服審判とは続審であり、商標法第56条で準用する特許法第158条によれば、「審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する」とされるから、原審で通知された拒絶理由(本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性)は、当審において改めて通知しなくともその効力を有する。そして、当審においては、当該拒絶理由は原査定の根拠とはされていないことに鑑みて、審尋により請求人に念のため反論の機会を与えたものであり、その手続に何ら瑕疵はない。

ウ したがって、請求人の上記主張はいずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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