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Trademark Appeal Case

商標の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025005182
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和5年8月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年2月29日付け :拒絶理由通知書

令和6年9月5日 :意見書、手続補正書の提出

令和6年10月21日 :上申書、手続補正書の提出

令和6年10月23日 :上申書の提出

令和6年12月19日付け:拒絶査定

令和7年4月3日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類、第28類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記第1の手続補正により、最終的に、第9類「コンピュータゲーム用ソフトウェアプラットフォーム,ゲーム用データベース用コンピュータソフトウェア,ゲーム用ネットワーク管理用コンピュータプログラム,双方向コンピュータゲーム用ソフトウェア,携帯電話機用のゲーム用アプリケーションソフトウエア,電子計算機用ゲームプログラム(ダウンロード可能なゲームソフトウェア),コンピュータゲーム用ソフトウェア,モバイル機器用のコンピュータゲーム用アプリケーションソフトウェア,スマートフォンゲーム用・携帯電話ゲーム用・携帯情報端末機器ゲーム用又はコンピュータゲーム用のアプリケーションソフトウェア,電子計算機用ゲームプログラム」に補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1625218号商標(以下「引用商標」という。)は、「EVOLUTION」の欧文字を横書きしてなり、2021年(令和3年)3月25日に米国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条(商標法第9条の2)による優先権を主張し、同年7月25日に国際商標登録出願、第9類、第35類、第36類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として令和6年1月19日に設定登録され、その後、指定商品及び指定役務については、2024年(令和6年)7月4日に国際登録簿に記録された登録の一部抹消により、第9類「Downloadable computer programs and computer software for electronic transfer of digital tokens; downloadable computer software for use as a digital token wallet; downloadable software for enabling users to electronically store, send, receive, accept, and transmit digital tokens based on the blockchain technology; downloadable software for enabling users to exchange digital tokens for data.」(仮訳:デジタルトークンの電子転送用のダウンロード可能なコンピュータプログラム及びコンピュータソフトウェア,デジタルトークンウォレットとして使用するダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,ユーザーがブロックチェーン技術をベースとするデジタルトークンを電子的に保管・送信・受信及び送金できるダウンロード可能なソフトウェア,ユーザーがデータ用デジタルトークンを交換できるダウンロード可能なソフトウェア)及び第35類「Online retails store services for computer software featuring trading cards, collectible items, digital files, images, videos, sound recordings authenticated by non-fungible tokens.」(仮訳:トレーディングカード、収集品、デジタルファイル、画像、ビデオ、録音済み記録媒体(非代替性トークン(NFT)により認証されたもの)を特徴とするコンピュータソフトウェアのオンラインによる小売店の業務において行われる顧客に対する便益の提供)、並びに第36類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの役務となり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)商標の類否

ア 本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、葉状の図形を2つ組み合わせた図形(以下「図形部分」という。)を配し、その右側に「Evolution」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横書きした構成からなるところ、図形部分と文字部分は、一連に表されているものの、図形と文字という構成要素の違いに加え、それぞれ重なり合うことなく独立して表されているものであることから、視覚上、明確に分離して看取し得るものである。

そして、本願商標の構成中、図形部分からは、特定の称呼や観念は生じないものの、文字部分は、「進化」等を意味する英語である「Evolution」の語を表したものであることから(出典:新英和中辞典第7版(株式会社研究社))、本願商標の構成中の図形部分と文字部分とは、観念上のつながりはなく、両者を常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情も見いだせない。

そうすると、本願商標の構成中の図形部分と文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。

してみると、本願商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を有しているといえ、その構成中から文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。

したがって、本願商標は、その構成中の「Evolution」の文字部分に相応して、「エボリューション」の称呼を生じ、「進化」等の観念を生じるものといえる。

イ 引用商標について

引用商標は、「EVOLUTION」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字(語)は「進化」等を意味する英語であるから、引用商標からは、「エボリューション」の称呼及び「進化」等の観念が生じるものである。

ウ 本願商標と引用商標の類否について

本願商標の構成中の文字部分と引用商標とを比較すると、外観においては、語頭の「E」の大文字を同じくし、それ以外の文字は大文字と小文字の違いがあるものの、「Evolution(EVOLUTION)」のつづりを同じくするものであるから、外観上近似した印象を与えるものといえる。

また、両者は、いずれも「エボリューション」の称呼及び「進化」等の観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。

そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

(2)本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否

ア 指定商品及び指定役務の類否について

指定商品又は指定役務が類似のものであるかどうかは、商品又は役務が、通常、同一営業主により製造若しくは販売又は提供されている等の事情により、それらの商品又は役務に同一又は類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるか否かによって判断すべきである(最高裁昭和33年(オ)第1104号、知財高裁平成27年(行ケ)第10096号参照)。

そして、商品の類否の判断は、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきである(東京高裁平成7年(行ケ)第161号参照)。

また、商品と役務の類否の判断に当たっては、取引の実情において、商品の製造販売と役務の提供が同一事業者によって行われるのが一般的か、商品と役務の用途、商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲等が一致するかなどの事情を、総合的に考慮すべきである(大阪地裁平成22年(ワ)第4461号参照)。

イ 本願の指定商品と引用商標の第9類の指定商品の同一性について

(ア)本願の指定商品は、上記第2に記載のとおりの商品であるから、いずれも「コンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)」の範ちゅうに含まれるものであって、ゲーム用の商品である(以下「本願のゲーム用ソフトウェア」という。)。

(イ)一方、引用商標の第9類の指定商品は、上記第3に記載のとおりの商品であるから、いずれも「コンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)」の範ちゅうに含まれるものであって、デジタルトークンの転送や交換等のための商品である(以下「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」という。)。

(ウ)そして、原審において示したウェブサイト(別掲2(1)~(4))によれば、デジタルトークンの一種であるNFT(非代替性トークン)に係る技術を利用したゲーム用のコンピュータソフトウェアの取引が行われている実情が認められ、当該実情を踏まえれば、デジタルトークンに係るコンピュータソフトウェアには、ゲーム用のコンピュータソフトウェアが含まれているとみるのが相当であり、反対に、ゲーム用のコンピュータソフトウェアには、デジタルトークンに係るコンピュータソフトウェアが含まれているとみるのが相当である。

してみれば、「本願のゲーム用ソフトウェア」にはデジタルトークンに係るものが含まれており、また、「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」には、ゲーム用のものが含まれているといえる。

例えば、本願の指定商品中「コンピュータゲーム用ソフトウェア」には、「

ユーザーがデータ用デジタルトークンを交換できるダウンロード可能な

コンピュータゲーム用ソフトウェア」が含まれているといえ、他方、引用商標の指定商品中「downloadable software for enabling users to exchange digital tokens for data.」(仮訳:ユーザーがデータ用デジタルトークンを交換できるダウンロード可能なソフトウェア)にも、「ユーザーがデータ用デジタルトークンを交換できるダウンロード可能な

コンピュータゲーム用

ソフトウェア」が含まれているといえるから、当該商品において、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは同一である。

(エ)なお、当審における職権調査からも、NFTなどのデジタルトークンに係るゲーム用コンピュータソフトウェアの取引が行われている実情をうかがい知ることができる(別掲2(5)~(9))。

(オ)以上によれば、本願の指定商品中には、引用商標の指定商品と同一の商品が含まれているというべきである。

ウ 本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について

上記イのとおり、本願の指定商品中には、引用商標の指定商品と同一の商品が含まれているものであるが、念のため、上記アの判断基準に基づき、本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について、以下判断する。

(ア)本願の指定商品と引用商標の第9類の指定商品との類否について

a 生産部門、販売部門及び用途

上記イ(ア)及び(イ)のとおり、本願の指定商品である「本願のゲーム用ソフトウェア」と引用商標の第9類の指定商品である「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」は、いずれも「コンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)」の範ちゅうに含まれる商品であるから、コンピュータソフトウェアの開発業者により生産され、コンピュータ関連の販売店又は家電量販店のソフトウェア販売売場において販売されるものである。

そうすると、「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」は、生産部門及び販売部門を共通にするものであり、また、コンピュータに使用する商品という点において、用途も共通にするものである。

b 原材料及び品質

「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」は、いずれもコンピュータソフトウェアであるから、その点において品質は共通する。なお、コンピュータソフトウェアの性質上、原材料は、考慮要素にはならない。

c 需要者の範囲

「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」は、いずれもコンピュータソフトウェアの利用者全般である一般の消費者を含むものとして、需要者の範囲において共通する。

d 完成品と部品との関係

「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」は、完成品と部品との関係にはない。

e 総合判断

以上から、両商品は、完成品と部品との関係にはないものの、生産部門、販売部門、品質、用途、需要者の範囲において共通性があるものであるから、これらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるというべきである。

したがって、「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のデジタルトークンに係るソフトウェア」とは、類似する商品というべきである。

(イ)本願の指定商品と引用商標の第35類の指定役務との類否について

a 商品の製造販売と役務の提供が同一の事業者によって行われるのが一般的か、及び商品の販売場所と役務の提供場所が一致するか

引用商標の第35類の指定役務は、上記第3に記載のとおり、非代替性トークン(NFT)によって認証したトレーディングカード等を特徴とするコンピュータソフトウェアのオンラインによる小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供であって(以下「引用商標のソフトウェアに係る小売等役務」という。)、その取扱商品は、「コンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)」の範ちゅうに含まれるものである。

そうすると、「引用商標のソフトウェアに係る小売等役務」は、コンピュータ関連の販売店又は家電量販店のソフトウェア販売売場において提供されるものである。

してみると、「引用商標のソフトウェアに係る小売等役務」と、コンピュータ関連の販売店又は家電量販店のソフトウェア販売売場において販売される「本願のゲーム用ソフトウェア」とは、商品の製造販売と役務の提供が同一の事業者によって行われるのが一般的であるといえ、また、商品の販売場所と役務の提供場所が一致する。

b 商品と役務の用途

「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のソフトウェアに係る小売等役務」は、いずれもコンピュータに使用するという点において用途を共通にする。

c 需要者の範囲

「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のソフトウェアに係る小売等役務」は、いずれもコンピュータソフトウェアの利用者全般である一般の消費者を含むものとして、需要者の範囲において共通する。

d 総合判断

以上から、「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のソフトウェアに係る小売等役務」は、商品の製造販売と役務の提供が同一の事業者によって行われるのが一般的であり、商品の販売場所と役務の提供場所が一致し、用途及び需要者の範囲を共通にするものであるから、これらの商品又は役務に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるというべきである。

したがって、「本願のゲーム用ソフトウェア」と「引用商標のソフトウェアに係る小売等役務」とは、類似するものというべきである。

エ 以上により、本願の指定商品と引用商標の第9類の指定商品及び第35類の指定役務は、同一又は類似の商品及び役務である。

(3)小括

以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、同人に関するオンラインカジノ業界における高い評価等の取引実情を考慮すれば、本願商標は、一体の結合商標として、需要者等の間に広く知られた商標といえる旨や、本願商標は、図形部分及び文字部分とがバランスよく一体的に表されていることから、外観上、常に一連一体のものと理解、認識されるべきものである旨主張する。

しかしながら、本願商標について、我が国における使用期間、使用地域、取引の実情等が確認できる証拠は提出されておらず、本願商標が常に一体のものとして需要者の間に認識されているといった事情は見いだせないものであって、本願商標から「Evоlutiоn」の文字部分のみを分離抽出できることは、上記1(1)のとおりである。

(2)請求人は、「Evоlutiоn」の語は、ソフトウェア等の分野においては、その意味合いから多くのソフトウェア開発業者が好んで使用する言葉であり、自他商品役務の識別機能の弱い語である旨主張する。

しかしながら、「Evоlutiоn」の語が「進化」等の意味を有するとしても、当該語が指定商品との関係において商品の品質等を表示するものとして自他商品の識別力が弱いと判断しなければならない特段の事情は見いだせない。

(3)請求人は、ウェブサイト情報などを参考に、引用商標の商品及び役務の取扱商品は、デジタル版トレーディングカードの真正性を証明する目的を有するコンピュータソフトウェアであり、本願の商品はカジノゲームに用いるコンピュータソフトウェアであるとした上で、両商品は、コンピュータソフトウェアに関するものである点は共通するものの、互いの品質や用途を異にし、その生産部門、販売部門及び需要者の範囲を異にする商品というべきである旨主張する。

しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)。

そうすると、請求人の主張は、現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的、限定的な取引の実情というべきであり、商標の類否判断において考慮することのできる一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。

(4)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(5)なお、請求人は、商標法第4条第1項第11号の該当性を払拭する理由がないとの判断であれば、同一又は類似する商品について用途を減縮する補正をすることを検討する旨述べているが、本願商標が、同号に該当することは、上記1のとおりであって、指定商品の補正によって、その拒絶の理由が解消し得るものではないから、当該補正の機会を設けることなく、本件審判の審理を終結することとした。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。

よって、結論のとおり審決する

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