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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025008846
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年4月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年10月29日付け:拒絶理由通知書

令和6年12月13日 :意見書、手続補正書の提出

令和7年 3月14日付け:拒絶査定

令和7年 6月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出

令和7年11月 4日付け:審尋

2 本願商標

本願商標は、別掲1の構成よりなり、第9類、第12類、第35類、第37類、第41類及び第42類に属する、願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、令和6年4月2日に登録出願されたものであり、その後、指定役務については、同年12月13日提出及び同7年6月6日提出の手続補正書により、最終的に、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に補正されたものである。

3 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6505478号商標(以下「引用商標」という。)は、「SEAMS」の文字を標準文字で表してなり、令和3年8月11日に登録出願、第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,事業の管理,商品の販売に関する情報の提供,トレーディングスタンプの発行,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報構築,コンピュータデータベースへの情報編集,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行,広告用具の貸与」を指定役務として、同4年1月27日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

4 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

5 当審の判断

(1)結合商標の類否判断について

複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。

(2)本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、複数の円と線を組み合わせてなる図形(以下「図形部分」という。)を表し、その右側に「SEAMS」の文字(以下「文字部分」ということがある。)を、普通に用いられる書体で横書きしてなるところ、これらは、相互に間隔を空けて、それぞれ重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。

本願商標の構成中、図形部分は、特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。

一方、構成中の「SEAMS」の文字は、一般的な辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を想起させる語として知られているものとも認められないことからすれば、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当といえる。そして、欧文字からなる特定の意味を認識させない語にあっては、我が国において親しまれているローマ字読み及び英語の読みに倣って称呼するのが自然といえ、当該文字からは「シームス」又は「シームズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

そして、図形部分及び文字部分とが、特定の意味合いを有する等の観念上の結びつきを見いだすこともできないから、これらが視覚上分離して看取し得ることも相まって、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取されると判断しなければならない特段の事情は見いだせないものである。

そうすると、本願商標は、その構成中の文字部分を分離抽出し、これを本願商標の要部として引用商標と比較することが許されるというべきであり、「SEAMS」の文字に相応して、「シームス」又は「シームズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)引用商標について

引用商標は、「SEAMS」の文字を標準文字で表してなるところ、前記(2)のとおり、この文字は、一般的な辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を想起させる語として知られているものとも認められないことからすれば、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当といえる。そして、欧文字からなる特定の意味を認識させない語にあっては、我が国において親しまれているローマ字読み及び英語の読みに倣って称呼するのが自然といえ、引用商標からは「シームス」又は「シームズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(4)本願商標と引用商標の類否について

本願商標と引用商標は、それぞれ前記(2)及び(3)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、外観について、全体の構成との比較においては相違するものの、本願商標の要部である文字部分と引用商標との比較においては、語頭から語尾までの「SEAMS」の全てのつづりを共通にし、かつ、いずれも普通に用いられる書体で表されているものであるから、外観上近似した印象を与えるものである。

次に、称呼においては、本願商標の要部である「SEAMS」の文字から「シームス」又は「シームズ」の称呼を生じ、引用商標である「SEAMS」の文字から「シームス」又は「シームズ」の称呼を生じることから、両者は、「シームス」又は「シームズ」の称呼を共通にするものである。

そして、観念においては、本願商標の要部である「SEAMS」の文字と、引用商標である「SEAMS」の文字は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。

以上からすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観上近似した印象を与えるものであり、また、両者は称呼を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。

(5)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について

ア 商標法第4条第1項第11号における役務の類否の判断は、取引の実情、すなわち、a)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、b)提供に関連する物品が一致するかどうか、c)需要者の範囲が一致するかどうか、d)業種が同じかどうか、e)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、f)同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものである。

そこで、これを踏まえて、本願指定役務である第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」と、引用商標の指定役務中、第35類「コンピュータデータベースへの情報構築,コンピュータデータベースへの情報編集」(以下「引用抵触役務」という。)の類否について検討する。

イ 本願指定役務について

本願指定役務は、依頼者との契約等に基づいて、電子計算機(コンピュータ)プログラム、コンピュータシステムやウェブサイトなどのコンピュータソフトウェア関連の設計、開発又は保守を行う役務を提供することが目的であり、その提供場所は、役務の提供者自身の開発環境で行うこともあれば、提供者の従業員又は提供者と契約した者が依頼者のもとで行うこともあるものである。そして、コンピュータプログラム等の設計、開発に際しては、コンピュータ、サーバ、開発・テスト用のソフトウェア等のコンピュータハードウェア及びソフトウェアを用いて行うものである。

また、当該役務は、新たにコンピュータのシステムやウェブサイトの企画、運用を行うことを欲する企業等が需要者であり、契約等に基づいて役務の提供を行うものである。

さらに、本願指定役務はシステム開発会社が提供するものであって、その業種はソフトウェア業ということができる。

ウ 引用抵触役務について

引用抵触役務は、いずれも、コンピュータデータベースに関する役務であるところ、「データベース」とは、「(「情報の基地」の意)系統的に整理・管理された情報の集まり。特に、コンピュータで、さまざまな情報検索に高速に対応できるように大量のデータを統一的に管理したファイル。また、その管理するシステム。」(出典:株式会社岩波書店発行「広辞苑 第七版」)を指すものであり、引用抵触役務は、依頼者の指示に従って、依頼者が利用する又は利用しているコンピュータデータベースへの情報構築又は情報編集を行う役務を提供することが目的であって、その提供場所は、役務の提供者自身の環境で遠隔にて行われることもあれば、提供者の従業員又は提供者と契約した者が依頼者のもとで行うこともあるものである。

そして、引用抵触役務の提供に際しては、コンピュータソフトウェアを用いて行うものである。

また、引用抵触役務は、依頼者の指示に従って、依頼者が利用するコンピュータデータベースへの情報構築又は情報編集を行う役務であることから、当該情報構築又は情報編集を行うことを欲する企業等が需要者であり、契約や個別の依頼等に基づいて役務の提供を行うものである。

さらに、引用抵触役務には、既存のコンピュータデータベースへ情報の入力を行う、事務的なサービスを提供する事業者によって提供されるもののほか、別掲2によれば、高度な専門知識を有するシステム開発会社によって提供されるものも少なくないといえ、そうすると、引用抵触役務を提供する者には、システム開発会社が含まれ、その業種はソフトウェア業である。

エ 本願指定役務と引用抵触役務との類否について

前記のとおり、本願指定役務と引用抵触役務とは、役務の提供の場所、提供に関連する物品及び需要者の範囲が一致することに加え、別掲2のとおり、現実に、同じ業種の、同一の事業者によって提供されることがあることも少なくないことを踏まえると、これらの指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるため、両者は類似の役務であるというのが相当である。

(6)小括

以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定役務と類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(7)請求人の主張について

ア 請求人は、引用抵触役務は、第35類に属する、専門技術を要しない事務的なサービスとして行われ、主として事務代行サービスを提供する会社によって提供されるものである等を述べ、当該役務と本願指定役務とは、役務の性質、役務の提供にあたり必要とする知識や技術、役務を提供する事業者および役務の提供を受ける需要者が大きく異なるから、これらの役務は非類似である旨を主張する。

しかしながら、引用抵触役務は、請求人が主張する、事務的なサービスを提供する事業者によって提供されるもののほか、別掲2によれば、高度な専門知識を有するシステム開発会社によって提供される場合も少なくないものである。

そして、本願指定役務と引用抵触役務とは、役務の提供の場所、提供に関連する物品及び需要者の範囲が一致することに加え、現実に、同じ業種の、同一の事業者によって提供されることがあることも少なくないことを踏まえると、これらの指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるため、両者は類似の役務であるというのが相当であることは、前記(5)のとおりである。

イ 請求人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において相違する、非類似の商標である旨を主張する。

しかしながら、本願商標の構成中、「SEAMS」の文字部分を本願商標の要部として引用商標と比較することは許されるものであって、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観上近似した印象を与えるものであり、また、両者は称呼を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、これらは、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当であることは、前記(2)ないし(4)のとおりである。

ウ 請求人は、役務が非類似であるとして登録が認められたとする過去の審決例を挙げている。

しかしながら、役務の類否の判断は、対比する役務について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人が挙げた審決例は、いずれも、当該審決例に係る役務が、本願商標及び引用商標に係る指定役務と異なるものであり、本願指定役務と引用抵触役務については、前記(5)においてした判断のとおりであるから、当該審決例をもってその判断が左右されることはない。

エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。

(8)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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