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Trademark Appeal Case

著名商標の周知性と結合商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025012920
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年2月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 9月 6日付け:拒絶理由通知書

令和7年 3月17日 :意見書の提出

令和7年 5月13日付け:拒絶査定

令和7年 8月18日 :審判請求書の提出

2 本願商標

本願商標は、「Amazon Escape」の文字を標準文字で表してなり、第3類「精油,アロマテラピー用精油,天然の精油,芳香油,身体用精油,美容用精油,化粧用オイル,スキンローション,ハンドローション,ローション状の化粧品,ボディスクラブ,浴用せっけん,浴用及びシャワー用の化粧品,ハンドクリーム」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

本願商標は、「Amazon Escape」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Amazon」の文字は、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル所在の「Amazon.com,Inc.」(以下「Amazon社」という。)が、世界最大級のオンラインストアの運営等に、本願商標の登録出願前から使用して著名な商標「Amazon」と同一又は類似のものである。

そうすれば、当該商標と同一又は類似の「Amazon」の文字を含む本願商標を、その指定商品に使用するときは、その商品があたかもAmazon社又は同社と、組織的又は経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標というのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)原審が引用する商標の周知著名性について

原査定が、Amazon社が使用して著名であるとする商標は、その構成態様が必ずしも特定されていないところ、本願商標の構成態様及び原査定の全趣旨から、特段の装飾のない「Amazon」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)であると認め、以下判断する。

Amazon社は、多種多様な商品を取り扱うECモール(オンラインショッピングモール)等に関して、本願商標の登録出願前から、我が国を含む多くの国において引用商標を使用しているところ、当該ECモールについては、原審提示の情報からすれば、我が国においても相当数の利用者がおり、シェア率も高いものといえる。

そうすると、引用商標は、本願商標の登録出願時において、役務「オンラインショッピングモールの運営」や、「オンラインによる衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」といった小売等役務の分野(以下、これらを「ECモールに関連する役務の分野」という。)の取引者、需要者の間に広く認識され、一定程度の周知著名性を有していたものであって、その周知著名性は、現在においても継続しているものといえる。

他方、当審における職権による調査においては、引用商標が、本願の指定商品を取り扱う分野において、周知著名性を有しているというべき事情は見当たらず、原審においても、そのことを示す情報は提示されていないことから、本願商標の登録出願時及び本件審決時において、引用商標が当該分野において周知著名性を有していたということはできない。

(2)本願商標と引用商標の類似性の程度

ア 本願商標について

本願商標は「Amazon Escape」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「アマゾン川」などを意味する語である「Amazon」の文字と、「逃げる、脱出する」などを意味する語である「Escape」の語(以上、出典は「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)を結合してなるものと、容易に認識し得るものであり、両語はいずれも平易な英語といえることから、商標全体として「アマゾン川から(へ)脱出する」ほどの漠然とした意味合いが理解し得るものといえる。

そして、本願商標は、すべての文字が同書、同大で横一列に表されているものであるから、外観上、まとまりよく一体的に把握し得るものといえる。

また、本願商標の構成全体より生じる「アマゾンエスケープ」の称呼は、全体で9音とやや冗長ではあるものの、容易に一息で発声し得るものである。

さらに、本願商標の構成中の「Escape」の文字が、本願の指定商品を取り扱う分野において、自他商品の識別標識としての機能を有しないという事情は見当たらず、また、同分野において、「Amazon」の文字が、看者に強く支配的な印象を与えるものという事情も見当たらない。

そうすると、本願商標は、その指定商品の取引者、需要者において、常に一体不可分のものとして認識、把握されるものというのが相当である。

したがって、本願商標よりは、その構成文字に相応した「アマゾンエスケープ」の称呼が生じ、また、「アマゾン川から(へ)脱出する」ほどの漠然とした観念が生じるものといえる。

イ 引用商標について

引用商標は、「Amazon」の文字よりなるものであって、これは、上記アのとおり、「アマゾン川」などを意味する平易な成語である。

また、引用商標は、上記(1)のとおり、ECモールに関連する役務の分野においては、Amazon社の事業に係る商標として、我が国において広く知られているものの、本願の指定商品を取り扱う分野においては、周知著名性を有しているということはできない。

そうすると、引用商標よりは「アマゾン」の称呼が生じ、本願の指定商品を取り扱う分野においては、「アマゾン川」ほどの観念が生じるものといえる。

ウ 本願商標と引用商標の対比

本願商標と引用商標とを比較するに、まず外観においては、「Amazon Escape」の文字からなる本願商標と、「Amazon」の文字からなる引用商標とでは、「Amazon」の文字を共通にするものの、「Escape」の文字の有無を異にするものであるから、両者は明確に区別できるものである。

また、称呼においては、本願商標より生じる「アマゾンエスケープ」と、引用商標より生じる「アマゾン」とでは、「アマゾン」の4音を共通にするものの、それに続く「エスケープ」の音の有無を異にするものであるから、両者は明瞭に聴別できるものである。

そして、観念においては、本願商標より生じる「アマゾン川から(へ)脱出する」と、引用商標より生じる「アマゾン川」とでは、「アマゾン川」を想起する点を共通にするものの、「脱出する」の意味合いの有無を異にするものであるから、相紛らわしいとはいえないものである。

以上のことからすると、本願商標と引用商標とは、外観において明確に区別できるものであり、称呼においても明瞭に聴別できるものであって、観念においても相紛らわしいものではないから、これらを総合して判断すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当であるから、類似性の程度は低いものである。

(3)引用商標の周知著名性及び独創性の程度

引用商標は、上記(1)のとおり、ECモールに関連する役務の分野の取引者、需要者の間に広く認識されている周知著名な商標であるが、これが本願の指定商品を取り扱う分野の取引者、需要者にまで広く認識されていることを示す事実は見当たらないものである。

また、引用商標は、上記(2)アのとおり、「アマゾン川」などを意味する平易な成語であって、その独創性の程度は高くないものである。

(4)本願商標の指定商品と引用商標に係る役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品若しくは役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情

本願の指定商品は、上記2のとおり、「香料,化粧品,せっけん類」の分野のものであり、引用商標が周知著名性を有するのは、上記(1)のとおり、ECモールに関連する役務の分野であるところ、ECモールにおいて「香料,化粧品,せっけん類」が取り扱われることも少なくないことから、取引者及び需要者層を一定程度共通にし得るものである。

(5)出所の混同のおそれ

以上のとおり、本願商標と引用商標とでは、商標の類似性の程度は低く、また、引用商標が、本願の指定商品を取り扱う分野において周知著名性を有しているともいえず、その独創性の程度が高いともいえない。

そうすると、本願の指定商品と引用商標に係る役務との間で取引者及び需要者層を一定程度共通にし得るとしても、本願商標をその指定商品に使用したときに、それに接する需要者において引用商標が容易に想起され、その商品がAmazon社又は同社と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。

(6)まとめ

以上のとおり、本願商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標とはいえない。

また、そのほかに、本願商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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