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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用証拠

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025300036
審判種別記載はありません。
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

結 論
登録第6490142号商標の指定商品及び指定役務中、第36類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6490142号商標(以下「本件商標」という。)は、「NOT A OFFICE」の文字を標準文字で表してなり、令和3年2月15日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を含む、第9類、第36類、第42類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年1月29日である。

なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和4年(2022年)1月29日から同7年(2025年)1月28日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べた。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」(全指定役務、以下「請求に係る役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)定期建物賃貸借契約書(乙1)は、被請求人自身が建物を賃貸する契約であって、被請求人が第三者に転貸する契約ではない。

(2)定期建物賃貸借契約書の第2頁には、賃借人として被請求人が記載されている。そして定期建物賃貸借契約書の第3頁の7行目「契約要項」には、使用目的として「事務所として」と記載されている。

(3)定期建物賃貸借契約書の契約条項(乙1の第8頁~第14頁)の第12条(禁止事項)には、以下の記載がある。

「賃借人は、以下の行為をしてはならない。・・・略・・・賃貸借物件の一部又は全部を問わず、第三者に転貸(共同使用、使用貸借、その他これに準ずる一切の行為を含む)すること。・・・略・・・」

そして、定期建物賃貸借契約書の特約事項(第4頁~第7頁)には、上記第12条の特約は記載されていない。

(4)小括

上記(2)及び(3)から明らかなように、定期建物賃貸借契約書は、被請求人自身が使用する目的で建物を賃借する契約であり、第三者に転貸することが禁止されている契約書である。定期建物賃貸借契約書(乙1)は、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸した際の契約書ではない。

(5)被請求人は「これに関連し、内装工事等を施した完成予想図等を含む事業概要説明資料(乙2~乙4)を提出する」と主張している。そもそも、定期建物賃貸借契約書(乙1)は、被請求人自身が建物を使用する契約書であるが、乙第2号証以外の、乙第3号証から乙第7号証は、定期建物賃貸借契約書(乙1)とは関連しない資料である。また、乙第3号証から乙第7号証も、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸する資料ではない。

(6)乙第2号証は、被請求人自身が定期建物賃貸借契約書(乙1)で借りる建物を被請求人の使用するレイアウトプランの資料であり、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸する資料ではない。つまり、乙第2号証の第2頁に「NOT A OFFICE」の文字があるが、被請求人自身が社内向けに「NOT A OFFICE」と言ったことがあるにすぎない。

(7)乙第3号証は、定期建物賃貸借契約書(乙1)に関連する内装工事等を施した完成予想図等を含む事業概要説明資料とは考えられない。乙第3号証は、被請求人からA社に対する、A社と共に新たなプロダクトを立ち上げる旨の提案書の資料であり、定期建物賃貸借契約書(乙1)とは何ら関係ない。乙第1号証の第17頁の平面図と乙第3号証の12頁のプラン図(平面図)とは一致する箇所もなく、定期建物賃貸借契約書(乙1)とは何ら関係ないことが明らかである。乙第3号証の第1頁に「NOT A OFFICE」の文字があるが、ユニットブランド(XS)を販売する提案を被請求人からA社に提出した資料にすぎず、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸する資料ではない。

(8)乙第4号証も、定期建物賃貸借契約書(乙1)に関連する内装工事等を施した完成予想図等を含む事業概要説明資料とは考えられない。乙第4号証の第7頁に、「麻布台で実績をつくり」とあり、乙第4号証の第26頁ないし第29頁にB社の麻布台B-1街区のフロアプランが掲載されている。定期建物賃貸借契約書(乙1)の第3頁にあるように、賃貸借物件の住所は東京都中央区晴海である一方、乙第4号証は東京都港区麻布台の資料であり、乙第4号証は定期建物賃貸借契約書(乙1)とは何ら関係ない。乙第4号証中に「NOT A OFFICE」の文字があるが、被請求人がB社にフロアプランを提案した際に、「NOT A OFFICE」と記載したにすぎず、乙第4号証も、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸する資料ではない。

(9)乙第5号証は、C社宛のメールに添付した資料に「NOT A OFFICE」の文字があるだけにすぎず、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸するための資料ではない。

(10)乙第6号証及び乙第7号証は、A社等に宛てたメール中に、「NOT A OFFICE」の文字があるが、乙第3号証でも述べたように、ユニットブランド(XS)を販売する提案を被請求人からA社等に提出したメール等にすぎない。これら乙第6号証及び乙第7号証は、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸する資料ではない。

(11)結論

乙第1号証は、被請求人が、不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸するための契約書ではなく、乙第2号証は被請求人自身が使用するレイアウトプランを示したにすぎない。乙第3号証ないし乙第7号証は、乙第1号証に関連する資料でもなく、乙第1号証に関連する商談メール等でもない。

乙第1号証から乙第7号証は、本件商標が、第36類の指定役務について使用されている事実を示すものではない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1 被請求人は、2020年に設立され、シェア購入、相互利用可能な住宅(別荘)、オフィス等の建築物の開発・販売事業を主とする不動産会社である。

2 本件商標は、被請求人が使用する主要事業のサービス名称であり、遅くとも2020年10月より商談やそれに関するメールやSNS等のメッセージにおいて本件商標を使用している。

3 具体的事例として、被請求人が不動産賃貸事業のために、転貸するための物件を賃貸した際の定期建物賃貸借契約書(乙1)を提出する。これに関連し、内装工事等を施した完成予想図等を含む事業概要説明資料(乙2~乙4)を提出する。また、これら資料を使用して行った実際の商談(メール等での連絡)の内容(乙5~乙7)を提出する。

4 上述のとおり、被請求人が商談等において提示した資料は、本件使用役務の営業目的で提示され、これらの表示は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第3号)、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」(商標法第2条第3項第4号)、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第6号)、もしくは、本件使用役務の広告的使用(商標法第2条第3項第8号)に該当する。

5 したがって、本件商標は、請求に係る役務について、要証期間内に使用していたことは明らかである。

第4 審尋

審判長は、被請求人に対し、令和7年7月30日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者又は通常使用権者が、請求に係る役務について本件商標を使用していたことを被請求人が証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した同年4月16日受付の弁駁書に対する回答を求めた。

第5 審尋に対する回答

前記第4の審尋に対し、被請求人からの回答はなかった。

第6 当審の判断

1 被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。

(1)ア 被請求人である商標権者は、2025年1月1日から2029年12月31日までを賃貸借期間として、東京都中央区晴海に所在する物件(以下、「乙1物件」という。)を賃借した(乙1)。

イ 乙第2号証は、商標権者に係る、「NOT A HOTEL HARUMI OFFICE PROJECT」と題する事業概要説明資料(以下「乙2資料」という。)とするものであるところ、当該資料において、乙1物件が「NOT A OFFICE」と称され、その図面やイメージ写真が掲載されている。

(2)ア 乙第3号証は、商標権者に係る、「NOT A OFFICE」と題する事業概要説明資料(以下「乙3資料」という。)とするものであり、資料中に、A社と商標権者との新たなプロダクト開発等に関する記載がある。

イ 乙第6号証は、商標権者からA社にNOT A OFFICEの提案を行った後、2023年12月28日に、商標権者の社員からA社の社長及びD社の社長へ宛てたメール(以下「乙6メール」という。)とするものであるところ、当該メールにおいて、「NOT A OFFICE」に関する言及はあるものの、この乙6メールの内容と、乙3資料との関係は明らかでない。

(3)乙第4号証は、商標権者に係る、「NOT A OFFICE 2022/10/19」と題する事業概要説明資料(以下「乙4資料」という。)とするものであるところ、当該資料において、「NOT A OFFICE」が、ホテルの個室をオフィスとして使用できる仕組みを称するものであることがうかがわれ、また、建物の図面等が掲載されている。

(4)乙第5号証は、商標権者からC社にNOT A OFFICEの提案を行った後、2024年2月7日に、商標権者の社員からC社の担当者へ宛てたメール(以下「乙5メール」という。)とするものであるところ、当該メールには、「レジデンス企画資料」として、タイトルを「The Tokyo Apartment/NOT A OFFICE・・・」とする2種類のファイルが添付されているが、これらのファイルの内容は明らかでない。

2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。

(1)乙1物件及び乙2資料について

上記1(1)より、商標権者は、要証期間を含む期間において、東京都中央区晴海に所在する乙1物件を賃借していること、乙1物件に関する何らかの説明のために乙2資料を作成し、その中で、乙1物件を「NOT A OFFICE」と称していることはうかがえる。

しかしながら、これらの証拠から、商標権者が実際にどのような役務を提供したかが明らかでない。

したがって、乙1物件及び乙2資料に基づく本件商標の使用を認めることはできない。

(2)乙3資料及び乙6メールについて

上記1(2)によれば、「NOT A OFFICE」をタイトルとする乙3資料においてA社に関する記載があること、及び、乙6メールから、商標権者とA社との間で何らかの商談がされており、その中で「NOT A OFFICE」の文字が使用されていることはうかがえる。

しかしながら、A社との商談の内容は不明であって、商標権者がどのような役務を提供したかや、商談において乙3資料が用いられたことが明らかでない。

したがって、乙3資料及び乙6メールに基づく本件商標の使用を認めることはできない。

(3)乙4資料について

上記1(3)によれば、乙4資料において、「NOT A OFFICE」の文字が、ホテルの個室をオフィスとして使用できる仕組みの名称として使用されていることはうかがえる。

しかしながら、商標権者が実際に乙4資料を用いて請求に係る役務を提供したこと、もしくは乙4資料を役務に関する広告として頒布したことを客観的に示す証拠の提出はない。

したがって、乙4資料に基づく本件商標の使用を認めることはできない。

(4)乙5メールについて

上記1(4)によれば、「NOT A OFFICE」の文字をタイトルに含むファイルを添付した乙5メールが、商標権者からC社に送付されたことはうかがえる。

しかしながら、当該ファイルの内容が不明であることから、商標権者がどのような役務を提供したかが明らかでない。

したがって、乙5メールに基づく本件商標の使用を認めることはできない。

(5)小括

以上のことからすると、仮に上記1の各証拠において表示されている「NOT A OFFICE」の文字が、本件商標とつづりを同じくすることから、社会通念上同一の商標といい得るとしても、これを商標権者が、要証期間内に、請求に係る役務について使用をしたと認めることができない。

そして、その他、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標を請求に係る役務について使用をしていることを認めるに足りる証拠の提出はない。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る役務のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明したとはいえない。

また、被請求人は、請求に係る役務について、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品及び指定役務中、請求に係る役務についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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