結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300167 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第5801085号商標(以下「本件商標」という。)は、「きびだんご」の平仮名及び「kibidango」の欧文字を二段書きしたものであり、平成27年2月12日に登録出願され、「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類及び第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同年10月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年(2025年)3月3日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同4年(2022年)3月3日から同7年(2025年)3月2日までの期間(以下「要証期間」という場合がある。)である。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定役務」という場合がある。)についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む)を提出している。
(1)はじめに
被請求人は、インターネットを介して行う事業プロジェクトのための資金調達(クラウドファンディング)を事業として行っている(https://kibidango.com/)。
当該事業と関連して、被請求人はクラウドファンディングが成立したプロジェクトの成果物をウェブサイトで販売するいわゆる小売等役務を提供しており、取消に係る役務「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等について本件商標と社会通念上同一の商標を現在、使用中である。
(2)乙第1号証について
乙第1号証の1及び乙第1号証の2は、被請求人の運営するクラウドファンディングで行われた「部屋を広くする家具|LIVING BED」というプロジェクトに関するウェブサイトの写しである。
被請求人は、「Kibidango(きびだんご)」(以下「使用商標1」という。)及び「Kibidango」(以下「使用商標2」という。)を表示した当該ウェブサイトを通じて、成立したプロジェクトの成果物である「ベッド」を2024年9月16日まで販売していた。
ア 使用時期について
当該ウェブサイトは2024年9月16日までプロジェクトの成果物の購入が可能であり、審判請求の登録前(予告登録前)3年以内の期間(いわゆる「要証期間」)の使用である。
イ 使用国について
当該ウェブサイトは日本語からなるものであり、日本国内における使用である。
ウ 使用者について
当該ウェブサイトに示すように商標権者である被請求人による使用である。
エ 使用役務について
当該プロジェクトで販売する「ベッド」は「寝台」に該当する商品であり、(類似群コード:20A01)であって、この商品に関わる小売は「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属するものである。
オ 使用商標について
(ア)使用商標1について
本件商標は「きびだんご」と「kibidango」とを二段に書した商標であるところ、使用商標1は「Kibidango」と()の記号で挟んだ「きびだんご」とを一連に書した商標である。本件商標と使用商標1とは個々の構成要素の配置等が異なっているものの、両商標は文字として「キビダンゴ」の称呼が一致し、観念においても「吉備団子。きびの粉で作った団子。岡山の名物。」の意味合いを共通にすることから、使用商標1は本件商標と社会通念上同一である。
複数の構成要素からなる登録商標の使用において、個々の構成要素の配置等が登録商標の構成と異なっていても、文字としての称呼及び観念の一致が認められれば同一性が認められることは、過去の事例(知財高裁平成24年2月21日(平成23年(行ケ)10243号))からも明らかである。
(イ)使用商標2について
本件商標は「きびだんご」と「kibidango」とを二段に書した商標であるところ、使用商標2は「kibidango」をデザイン化した商標である。本件商標と使用商標2とは「きびだんご」の有無及び「kibidango」の外観が異なっているものの、両商標は文字として「キビダンゴ」の称呼が一致し、観念においても「吉備団子。きびの粉で作った団子。岡山の名物。」の意味合いを共通にする。
すなわち、「きびだんご」の有無については、登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用に該当する(審判便覧53-01)。さらに、外観の違いについても、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのが通常であり、本件の場合も、その表現方法に若干の差異があるとしても、使用商標2は明確に「kibidango」の文字が認識できるものである。
そのため、本件商標と使用商標2とは外観が異なっているものの、両商標は文字として「キビダンゴ」の称呼が一致し、観念においても「吉備団子。きびの粉で作った団子。岡山の名物。」の意味合いを共通にするものであり、使用商標2は本件商標と社会通念上同一である。
カ 商標としての使用について
当該ウェブサイト上に標章を表示して役務の提供を行っており、電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為(商標法第2条第3項第7号)に該当する。
以上より、要証期間である2024年9月16日まで、日本国内において、被請求人が、「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属する小売等役務に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用して、電磁的方法により提供していることは明白である。
(3)乙第2号証について
乙第2号証は、乙第1号証の1及び乙第1号証の2と同様、被請求人の運営するクラウドファンディングで行われたプロジェクトに関するウェブサイトの写しである。
乙第2号証に示すように、要証期間である2022年3月25日まで、日本国内において、被請求人が、「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属する小売等役務に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用して、電磁的方法により提供していたことは明白である。
(4)乙第3号証について
乙第3号証の1は、被請求人の運営するECサイト「Kibidango Store」の概要を説明するウェブサイトの写しである。「Kibidango Store」では、「Kibidango」のクラウドファンディングプロジェクトで成功したガジェットやアウトドアアイテムを中心に様々な商品を厳選して販売している。
乙第3号証の2の1は「Sidewinder Knife(サイドワインダーナイフ)」という商品を販売するウェブサイトの写しであり、乙第3号証の2の2はこの商品のクラウドファンディングプロジェクトに関するウェブサイトの写しである。
被請求人は、「Kibidango Store」(以下「使用商標a」という。)及び「Kibidango Store(※「g」の文字はデザイン化されている)」(以下「使用商標b」という。)を表示した当該ウェブサイトを通じて、成立したプロジェクトの成果物である「ナイフ」を遅くとも2024年9月から現在まで販売を継続している。
ア 使用時期について
乙第3号証の2の2に示すとおり、当該プロジェクトは2024年9月13日まで行われており、プロジェクト終了後は「Kibidango Store」において販売が継続されている(乙第3号証の2の1)。そのため、使用時期が審判請求の登録前(予告登録前)3年以内の期間(いわゆる「要証期間」)であることは明白である。
イ 使用国について
当該ウェブサイトは日本語からなるものであり、日本国内における使用であることは明白である。
ウ 使用者について
当該ウェブサイトに示すように、商標権者である被請求人による使用であることは明白である。
エ 使用役務について
当該ウェブサイトで販売する「ナイフ」は「手動利器(「刀剣」を除く。)」に該当する商品であり(類似群コード:13A01)、この商品に関わる小売は「手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属するものである。
オ 使用商標について
(ア)使用商標aについて
本件商標は「きびだんご」と「kibidango」とを二段に書した商標であるところ、乙第3号証の2の1のヘッダーにおいて表示される使用商標aは「Kibidango Store」を一連に書した商標である。本件商標と使用商標aとは「Store」の有無が異なっているものの、「Store」は小売等役務との関係においては役務の普通名称にすぎず、使用商標aの要部は識別性を有する「Kibidango」であり、使用商標aからは「Kibidango」が要部として抽出されるため、使用商標aと本件商標とは社会通念上同一である。
「KibidangoStore」の要部が「Kibidango」であることは、被請求人の登録商標「kibidango Store」(登録第6890939号)の審査において本件商標と類似することを理由とした拒絶理由が通知されたことからも裏付けられる。
登録商標に商品・役務の普通名称が付加された場合の社会通念上の同一性の判断において、登録商標に係る部分のみが要部として抽出されることは、過去の事例(知財高裁平成27年9月30日(平成27年(行ケ)10032号))からも明らかである。
(イ)使用商標bについて
本件商標は「きびだんご」と「kibidango」とを二段に書した商標であるところ、使用商標bは「Kibidango Store」をデザイン化した商標である。本件商標と使用商標2とは「Store」の有無及び「kibidango」の外観が異なっているものの、上記の通り「Store」は小売等役務との関係においては役務の普通名称であることに加えて、使用商標bの「Kibidango」と「Store」とは書体が異なるため、使用商標bからは「Kibidango」が要部として抽出される。そして、抽出される使用商標bの「Kibidango」の外観は明確に「kibidango」の文字が認識できるものであり、両商標は称呼及び観念を共通にする。
したがって、使用商標bと本件商標とは社会通念上同一である。
カ 商標としての使用について
当該ウェブサイト上に標章を表示して役務の提供を行っており、電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為(商標法第2条第3項第7号)に該当することは明白である。
以上より、要証期間内に、日本国内において、被請求人が「手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属する小売等役務に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用して、電磁的方法により提供していることは明白である。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人は取消に係る役務「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等について本件商標と社会通念上同一の商標を要証期間内に使用しているものであるから、本件請求は成り立たない。
(1) 被請求人である商標権者は、「Kibidango(きびだんご)」という名称でインターネットを介して行う事業プロジェクトのための資金調達(クラウドファンディング)を事業として行っている(乙1、乙2、乙3の2の2)。
(2)乙第3号証の1は、「kibidango Store」の公式ウェブサイトであり、当該サイトには、「kibidango Store」(使用商標b)の見出しの下、「「Kibidango Store」は、クラウドファンディングサービス「Kibidango」から生まれたECショップです。「半歩先の未来が届く」をテーマに、Kibidangoのクラウドファンディングプロジェクトで成功したガジェットやアウトドアアイテムを中心に、世界中のユニークなプロダクトを厳選しています。」との記載がある。
(3)乙第3号証の2の1は、「Sidewinder Knife(サイドワインダーナイフ)」という商品(以下「使用商品」という場合がある。)を販売する「kibidango Store」のウェブサイトであり、「Sidewinder Knife」の見出しの下、「価格:¥32,450」及び「魅惑のギミックに心を掴まれる!まるで生き物のような折り畳みナイフ」との記載がある。なお、当該サイトのヘッダーには「Kibidango Store」の文字(使用商標a)が掲載されている(以下、単に「使用商標」という場合がある。)。
(4)乙第3号証の2の2は、「Sidewinder Knife」のクラウドファンディングプロジェクトに関するウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)であり、「Sidewinder Knife 誰もが見惚れるギミック!革新的な折り畳みナイフ」の見出しの下、使用商品の画像があり、その右横に「プロジェクトは2024/09/01に達成し、2024/09/13に募集を終了しました。」との記載がある。
そして、「【Kibidango Storeにて取扱中】」及び「kibidango Storeでこの商品を購入する(合議体注:「Kibidango Store」の文字は使用商標bと同一の態様。)」との案内の右横に「【早割価格】Sidewinder Knife[送料・税込み]¥26,000」 予定小売価格¥32,600(税込み)より¥6,600お得です!」及び「お届け・提供予定時期 プロジェクトが成立した場合、目標とするお届け時期を2024年12月を目途にご支援順としております。クラウドファンディングは、プロジェクト終了後に生産個数が確定となり、これ以降に生じる以下の理由によってお届け時期が変動する可能性がございます。」との記載がある。
また、本件ウェブサイトの末尾には、「特定商取引法に基づく表記」として、「事業者」及び「住所」の欄に商標権者の名称及び住所が記載されている。
(1)使用商標について
本件商標は、「きびだんご」の平仮名及び「kibidango」の欧文字を2段書きしてなるところ、下段の「kibidango」は、上段の平仮名を欧文字で表したものと容易に理解される。
そして、「きびだんご」の文字は、「求肥をこねて丸め、白砂糖をまぶした団子。」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有する語であるから、本件商標は、「キビダンゴ」の称呼を生じ、「求肥をこねて丸め、白砂糖をまぶした団子。」の観念を生じる。
他方、使用商標は、「Kibidango Store」の欧文字を表してなるところ、使用商標の構成中、「Store」の欧文字は、「(小売りの)店,商店」の意味を表す語であり(新英和(第7版)中辞典 株式会社研究社)、その指定役務の分野で「(小売りの)店」を表す語として普通に用いられていることから、自他役務の識別力がないかあるいは弱いものといえる。
そうすると、使用商標の構成中の「Kibidango」の欧文字は、本件指定役務の分野で、「Store」よりも識別力が強く、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えることから、使用商標は、「Kibidango」の欧文字が自他役務の識別標識としての機能を有する要部として認識、理解されるというのが相当である。
そして、使用商標の要部である「Kibidango」の欧文字は、本件商標の下段の「kibidango」の欧文字とそのつづりを同一にし、「きびだんご」の平仮名を欧文字で表した語と容易に理解されることから、その構成文字に相応して「キビダンゴ」の称呼及び「求肥をこねて丸め、白砂糖をまぶした団子。」の観念を生じる。
これらを踏まえれば、本件商標と使用商標の要部は、「キビダンゴ」の称呼及び「求肥をこねて丸め、白砂糖をまぶした団子。」の観念を共通にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標に該当する。
(2)使用者について
上記1(4)のとおり、使用商標が表示された本件ウェブサイトの「特定商取引法に基づく表記」に記載された事業者は、商標権者であるから、使用商標の使用者は、商標権者であるといえる。
(3) 使用役務について
上記1(3)及び(4)によれば、本件ウェブサイトにおいて、「Sidewinder Knife」つまり「手動利器(「刀剣」を除く。)」の範ちゅうに含まれる「折り畳みナイフ」についての商品説明、価格等が掲載されており、これは、「折り畳みナイフの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての情報といえる。
このことから、使用商標の使用役務は、「手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件役務」という場合がある。)に含まれるといえるから、請求に係る指定役務の範ちゅうのものである。
(4)使用時期について
上記1(2)のとおり、商標権者は、クラウドファンディングが成立したプロジェクトの成果物をウェブサイトで販売するいわゆる小売等役務を提供しているところ、上記1(4)のとおり、「Sidewinder Knife」についてのプロジェクトは、2024年(令和6年)9月1日に達成、2024年(令和6年)9月13日に募集を終了したことから、プロジェクト終了後は、「Kibidango Store」において販売が継続されていると推認される。
このことから、本件商標権者は、2024年(令和6年)9月13日以降の要証期間内の時期において、日本国内で商標権者の名称が表示された本件ウェブサイトを顧客に向けて展示したものといえる。
(5)使用行為について
上記1(4)のとおり、本件ウェブサイトに掲載された「Sidewinder Knife」についての商品説明、価格、お届け・提供予定時期等の情報は、本件役務に関する広告と認められる。
そうすると、商標権者は、本件ウェブサイトにおいて、本件役務に関する広告を内容とする情報に使用商標を付したといえることから、この行為は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
そして、本件ウェブサイトは、日本語で記載され、日本の利用者に向けたものであるから、その提供先は日本国内であるといえる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)によれば、商標権者は、要証期間内に、日本国内において、請求に係る指定役務中、「手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属する役務に係る広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)を行ったものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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