結論テキスト
国際登録第1537499号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2022685007 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由
本件国際登録第1537499号商標(以下「本件商標」という。)は、「BABYMONSTER」の欧文字を横書きしてなり、2020年3月3日にRepublic of Koreaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2020年5月22日に国際商標登録出願、第9類、第25類、第28類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(別掲1)を指定商品及び指定役務として、令和3年11月8日に登録査定、同4年1月21日に設定登録されたものである。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務については、第9類の指定商品の全てを削除する本件の登録の減縮が令和8年1月21日にされている。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次の1ないし7のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。
商標の構成:MONSTER(標準文字)
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成22年12月24日
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」
登録出願日:平成18年6月9日
設定登録日:平成19年6月22日
商標の構成:MONSTER ENERGY(標準文字)
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成23年2月25日
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第9類、第12類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
優先権主張:2018年5月8日、オーストラリア連邦
登録出願日:平成30年11月7日
設定登録日:令和元年5月31日
商標の構成:MONSTER ENERGY(標準文字)
指定商品:第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:平成26年12月25日
設定登録日:平成27年8月28日
商標の構成:MONSTER ENERGY(標準文字)
指定役務:第35類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
登録出願日:平成27年1月30日
設定登録日:平成28年4月22日
商標の構成:MONSTER ENERGY(標準文字)
指定役務:第41類「スポーツのイベント・実演及び競技、エレクトロニックスポーツのイベント及び競技、並びに音楽の演奏及びイベントの性質を帯びた娯楽の提供,その他の娯楽の提供,娯楽情報の提供(ウェブサイトによる娯楽情報の提供を含む。)」
優先権主張:2018年3月14日、アメリカ合衆国
登録出願日:平成30年9月10日
設定登録日:令和元年6月14日
以下、引用商標1ないし引用商標7をまとめて、「引用商標」という場合がある。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第464号証(枝番号を含む。)を提出した(以下、証拠については、「甲第○号証」を「甲○」のように記載する。)。
(1)MONSTERブランドの創設及び「MONSTER」の使用
ア 申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり(甲3)、創業時以降、アルコールを含有しない飲料(炭酸飲料、天然ソーダ水、清涼飲料、フルーツジュース、エナジードリンク、スムージー、レモネードアイスティー等の様々な飲料製品)の企画、開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事していたが、2015年6月以降はエナジードリンクの事業に注力している(甲2、甲58)。
申立人は、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランド(以下「MONSTERブランド」という。)を創設し、米国で同年3月から広告宣伝を開始し、同年4月から製造販売を開始した。MONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の第1号は、個別製品名として「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」が採用された(甲4、甲7、甲18、甲58)。
申立人商品は、従来の清涼飲料製品にはほとんど採用されていなかった黒色をベースにしたボトル缶を採用し、モンスター(MONSTER)の頭文字「M」とその爪をかたどった図柄(甲328)(以下「爪の図柄」という。)と、その下方に、特徴的な書体で表示した「MONSTER」 の文字(甲416)を大きく目立つ態様で表示したデザイン(甲58)が特徴的であり、当該デザインから放たれる野性味あふれる独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56、甲57)、若い世代の男性を中心にたちまち人気商品となった。
申立人は、米国で2002年にMONSTERブランド第1号のエナジードリンク「MONSTER ENERGY」の発売後、翌年からは米国外での販売も開始した(甲58)。
2002年以降、現在に至るまで「MONSTER ENERGY」、「MONSTER ENERGY LO-CARB」、「MONSTER ENERGY ASSAULT」、「JUICE MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE」、「MONSTER DUB Mad Dog」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER ENERGY ZERO ULTRA」、「MONSTER ENERGY ULTRA BLUE」、「MONSTER REHAB Green Tea + Energy」及び「MUSCLE MONSTER ENERGY Shake Vanila」等の「MONSTER」の文字を包含する個別製品名を使用して、味わいが異なる様々なエナジードリンクの販売を継続している(甲19~甲32、甲407~甲415)。
申立人商品は、現在、世界130か国以上で販売されており、米国で最も売れているエナジードリンクであり、全世界では2017年の米ドルベースで第2位の売上げを記録(甲58)した世界でも有数のブランドといえる。
国内市場における申立人商品は、申立人と国内独占販売契約を締結したアサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料社」という。)を通じて、2012年から現在まで継続して販売されている。
国内発売第1号の申立人商品は、2012年3月15日に広告を開始し、同年5月8日に発売された「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の2種類である(甲5~甲7、甲12、甲14、甲58)。
当時、既に世界57か国で販売されていた申立人商品の海外における人気の高さは、日本上陸前から国内の需要者の間でもよく知られていた(甲378~甲382)ものであり、上記2種の製品が発売されると、国内でも人気商品となり、2012年9月時点で年間売上目標の100万箱を突破し、その後も売上げを伸ばして157万箱を売り上げた(甲8、甲9、甲65~甲67)。
申立人は、2002年にMONSTERブランドを創設し、これ以降、現在に至るまで、「MONSTER」の文字をMONSTERブランドの申立人商品の出所識別標識として使用している。
イ 申立人商品は、2002年に米国で最初に販売を開始し、我が国では2012年(平成24年)5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中であり、2002年のMONSTERブランド創設以降、現在まで継続して、申立人商品には、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名が採用されており、これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)には、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)が独立して、見る者の目をひきつける態様で顕著に表示されている(異議申立書に添付の別紙1及び別紙2。以下、異議申立書に添付の「別紙」を例えば「別紙1」のように表記する。)。
ウ このように、「MONSTER」の文字に他の語を結合する方法で命名された個別製品名と、特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字を顕著に表示した統一的なデザインの包装容器を特徴とする申立人商品の事業の成功は、経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。
エ 国内では、2012年5月以降現在までに、「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」、「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」、「MONSTER ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ)」等の申立人商品(リニューアル製品及び限定製品を含む。)が発売された(別紙1)。
(2)広告宣伝活動
申立人による申立人商品の広告宣伝活動は、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらを併せて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3~別紙7)。
また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10代ないし30代の世代(特に男性)に人気が高いモータースポーツ、エクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行い、さらに、ウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウントを開設して、MONSTERブランドを需要者にアピールするための広告を実施している(別紙9)。
需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が、遅くとも平成25年7月から度々発生している(甲169~甲224、別紙8)。
(3)国内外における商標登録
申立人は、MONSTERブランドマークについて、引用商標を始めとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲447~甲460)。
(4)ブランド認知度及び市場占有率
第三者によるエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、2013年時点で、申立人の申立人商品の国内市場占有率は、既に25%を超え、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であり、それ以降も、申立人商品は着実に売上げを伸ばし、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層にとどまらず、女性の間でも、MONSTERブランドは、認知度を高めており、2018年には、申立人商品の販売実績は1千万ケースに近づき、市場占有率トップに立った(甲311~甲322、甲383~甲385、甲433)。
また、申立人商品は、市場で「モンスター」と称され、「MONSTER」、「モンスター」と表示されて認識されている(甲10、甲16、甲17 ほか)。この点に関しては、特許庁の審査においても、「モンスター」は申立人が飲料等について使用する商標「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」の略称として需要者の間で広く認識されている、とされた(甲433)。
(5)小括
以上の事柄に照らせば、申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。
(1)本件商標の構成文字「BABYMONSTER」は、英単語の「baby」及び「monster」に通じるものであり、その表音の「ベビー(baby)」(甲463、甲464)及び「モンスター(monster)」(甲461、甲462)が外来語として一般に広く親しまれていることから、「BABY」と「MONSTER」の2語を結合したものと、容易に認識、理解される。
また、本件商標は、「MONSTER」の文字、「モンスター」の音(称呼)、及び「モンスター」の観念を包含する点で、引用商標並びに「MONSTER」を使用した申立人商品の個別製品名(別紙1)と一致し、外観、称呼及び観念の印象が類似する。
加えて、本件商標は、申立人商品に使用されているすべての個別製品名と同一のネーミング規則、すなわち、「MONSTER」と他の語を結合する方法によって構成されている。
したがって、本件商標は、申立人商標と類似性の程度が極めて高い。
(2)本件商標の指定商品及び指定役務(以下「本件指定商品・指定役務」という。)は、引用商標4ないし引用商標7の指定商品又は指定役務と同一又は類似のものであり、加えて、本件指定商品・指定役務は、申立人又はその商標ライセンシーが取り扱う各種ライセンス商品(サングラス、テレビ、スピーカー、ヘッドフォン、ウェアラブルカメラ、CDプレーヤー、録画済み又は録音済みのDVD及びCD、服飾品、スポーツ用品、雑貨類)と同一又は類似のものであり、これらの商品と極めて関連性が強い。
また、本件指定商品・指定役務の需要者は、一般消費者であるから、その通常の需要者の注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
(3)申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。
(4)したがって、本件商標が本件指定商品・指定役務に使用された場合、これに接した需要者は、申立人の使用に係る「MONSTER」及び申立人を直観し、当該商品等が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力を希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(1)申立人の主張及び同人提出に係る証拠並びに職権調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料社を通じて2012年(平成24年)5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7~甲9)。
イ 申立人は、我が国において2013年(平成25年)5月に「モンスターアブソリュートリーゼロ」(甲10、甲15)、2014年(平成26年)8月に「モンスターエナジー M3」(甲59、甲61)、同年10月に「モンスターコーヒー」(甲60、甲62)、2015年(平成27年)7月に「モンスターウルトラ」(甲101~甲103)、2017年(平成29年)6月に「モンスターロッシ」(甲256、甲257、甲263)、2018年(平成30年)4月に「モンスターキューバリブレ」(甲323、甲324)、2019年(平成31年)4月に「モンスターパイプラインパンチ」(甲353、甲357、甲358)、2020年(令和2年)6月に「モンスターウルトラパラダイス」(甲434、甲435)、2021年(令和3年)3月に「モンスタースーパーコーラ」(甲436、甲437)、同年8月に「モンスタースーパーフュエルブルーストリーク」及び「モンスタースーパーフュエルレッドドッグ」(甲441、甲442)、並びに、2022年(令和4年)4月に「モンスターマンゴーロコ」(甲445、甲446)の販売を開始し、製品によってはリニューアル発売し、また、コラボ缶の製品を販売している(別紙1、甲127~甲130、甲252、甲253 ほか)。
ウ 申立人商品のうち、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」(2016年(平成28年)5月から)、「モンスターアブソリュートゼロ」、「モンスターエナジー M3」、「モンスターウルトラ」、「モンスターロッシ」、「モンスターパイプラインパンチ」、「モンスターウルトラパラダイス」及び「モンスターマンゴーロコ」の容器には、別掲4のとおりデザイン化された「MONSTER」の文字(以下、この文字部分を「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字を2段に表した商標(色彩が異なるものを含む。以下「別掲4商標」という。)が表示されている(別紙1、甲7、甲8、甲10、甲59、甲101、甲130、甲257、甲357、甲438、甲445 ほか)。
また、「モンスターコーヒー」の容器には、「COFFEE」の文字及びMONSTERロゴの文字が2段に、その下部に「COFFEE+ENERGY」の文字が上部の文字に比べ小さな文字で近接して表示されている(甲60)。
そして、これら一連の商品を指称する際は、「モンスターエナジー」ブランドと総称されている(甲8、甲10、甲59、甲60、甲129、甲130)。
エ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、別掲4商標を表示している(甲73~甲80、甲82 ほか)。
オ JMR生活総合研究所による消費者調査(No.196 エナジードリンク(2014年7月版))によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった(甲311)。
カ 日本経済新聞社の2019年3月29日付け「日経MJ(流通新聞)」18ページには、「モンスターエナジー、レッドブル超え-CM使わず若者刺激(飲料HOT&COOL)」の見出しの下、「中でも好調な商品が「モンスターエナジー」。飲料総研によると2018年の販売実績は1千万ケースに近づき、それまでカテゴリーの首位を走っていた「レッドブル」を超えた。」との記載がある(職権調査)。
キ JMR生活総合研究所による消費者調査(No.269 エナジードリンク(2018年5月版))には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)以下レッドブル」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査(No.293 エナジードリンク(2019年5月版))には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「今回の調査でも、前回(2018年5月版)と同様、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)以下レッドブル」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドが複数の項目で上位3位を独占した。」との記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html、https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)。
ク 飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲320)。
ケ 2022年10月25日付け「日経 XTREND」と称するウェブページには、「エナジードリンク飛躍、販売額4年で3倍増 日本コカは苦戦」の見出しのもと、「エナジードリンク、メーカー別販売金額シェアの推移」の図があり、それには2018年9月ないし2022年9月として、「モンスターエナジージャパン」がいずれも40%前後でトップシェアとされている(職権調査:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/02035/)。
コ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。
サ 申立人商品は、キャンペーンなどにおいて、例えば「モンスターを飲んで・・・」、「モンスターがもう一本!」などのように、申立人商品を「モンスター」と表示しているが、そのニュースリリース記事やポスター、ウェブサイト等には、申立人商品の画像又は別掲4商標若しくは「モンスターエナジー」の文字も表示又は掲載されている(甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124)。
(2)判断
上記(1)からすれば、申立人商品は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」により販売が開始され、その後、2022年前までに、新製品やリニューアル商品を含め、「モンスターエナジー」ブランドと総称される合計25種類の商品が販売され、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じて広告宣伝が行われていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人商品の販売実績は2018年(平成30年)に1千万ケースに近づき、以後2022年(令和4年)まで毎年販売シェア40%前後で第1位、すなわち2018年から2021年においても各年の販売金額のシェアが40%前後を占めシェア第1位であること、並びに、申立人商品はエナジードリンクのブランド認知率の調査において、2014年は時期により47.6%と31%とで数値に差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であり、2016年は2位であったことなどが推認できるから、申立人商品は、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認知されていたといえる。
そして、申立人商品は、そのほとんどの容器の中央に、「MONSTER ENERGY」の文字が別掲4商標のとおりの態様で表示されていること、常にこれとともに3本の爪痕のような図形が表示されていること、さらに、ニュースリリース、各種記事などにおいて「MONSTER ENERGY」、「モンスターエナジー」と表示され、「モンスターエナジー」と称されていることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字並びに別掲4商標に3本の爪痕のような図形を加えた構成は、いずれも本件商標の登録出願日前から登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人及びアサヒ飲料社(以下「申立人ら」という。)の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえる。
そうすると、「MONSTER ENERGY」の文字からなる引用商標3、また、別掲4商標に3本の爪痕のような図形を加えた構成からなる引用商標2は、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものというべきである。
しかしながら、「MONSTR ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものというのが相当であるとしても、その他の商品及び役務については需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
そして、申立人商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されているもの(別掲4を含む。)がほとんどであり、MONSTERロゴのみが表示されている商品についての出荷数、シェア等の販売実績は確認できず、「MONSTER」の文字の申立人商品の略称としての客観的な認知度を示す証拠もない。
さらに、「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、申立人又は申立人商品の略称として表示又は掲載することがあるとしても、通常は申立人商品又は「モンスターエナジー」若しくは別掲4商標の文字とともに表示又は掲載されている。
そうすると、「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字が、需要者において申立人商品を表示するものと認識されているとは考え難い。
したがって、「MONSTER」の文字からなる申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(1)引用商標の周知性及び独創性について
上記1のとおり、3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及びい「ENERGY」の欧文字を3段に表してなる引用商標2、並びに「MONSTER ENERGY」の欧文字からなる引用商標3は、本件商標の登録出願日及び登録査定時において、いずれも申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものの、引用商標1、4及び5ないし7については、当該需要者間において広く認識されているとはいえない。
また、引用商標1を構成する「MONSTER」の文字は、我が国で親しまれている成語であるから、独創性の程度は極めて低いものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「BABYMONSTER」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさにより、全体としてまとまりよく一体的に表してなるもので、その構成文字に相応して生じる「ベビーモンスター」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標の構成中、「BABY」の欧文字は「赤ん坊、赤ちゃん」の意味を、「MONSTER」の欧文字は「怪物」の意味を有する英語「MONSTER」(「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」大修館書店)であり、その構成文字全体としては、「赤ん坊の怪物」の観念が生じる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「ベビーモンスター」の称呼及び「赤ん坊の怪物」の観念を生じる。
イ 引用商標について
引用商標1は、上記第2のとおり、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応して、「モンスター」の称呼及び「モンスター(怪物)」の観念を生じる。
引用商標2は、別掲2のとおり、3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の欧文字からなり、全体の構成文字から、「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物の力、化け物の力」の観念を生じる。また、その構成中、大きくデザイン化されている「MONSTERロゴ」部分に着目して「モンスター」の称呼及び「モンスター(怪物)」の観念を生じる。
引用商標3及び5ないし7は、上記第2のとおり、「MONSTER ENERGY」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「モンスターエナジー」の称呼及び「モンスター(怪物)の力」の観念を生じる。
引用商標4は、別掲3のとおり、黒色の長方形内に、緑色の3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の欧文字を配した構成からなり、全体の構成文字から、「モンスターエナジー」の称呼及び「モンスター(怪物)の力」の観念を生じ、また、その構成中、大きくデザイン化されている「MONSTERロゴ」部分に着目して「モンスター」の称呼及び「モンスター(怪物)」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)本件商標を構成する「BABYMONSTER」の欧文字と引用商標1を構成する「MONSTER」の欧文字とを比較すると、両者は前半における「BABY」の文字の有無の差異を有し、この差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「ベビーモンスター」の称呼と引用商標1から生じる「モンスター」の称呼を比較すると、いずれの称呼においても「モンスター」の音を含むものではあるものの、両者は前半部における「ベビー」の音の有無の差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標が「赤ん坊の怪物」の観念を生じるものであるのに対し、引用商標1は「モンスター(怪物)」の観念を生じるものであるから、両者は、観念において相紛れるおそれのないものである。
(イ)本件商標を構成する「BABYMONSTER」の欧文字と引用商標2及び4とを比較すると、引用商標2及び4は、別掲2及び別掲3のとおり、3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の欧文字の3段からなり、図形の有無の差異及び「BABY」及び「ENERGY」の欧文字の相違により、本件商標とは外観において相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「ベビーモンスター」の称呼と引用商標2及び4から生じる「モンスターエナジー」又は「モンスター」の称呼を比較すると、いずれの称呼においても「モンスター」の音を含むものではあるものの、両者は前半部における「ベビー」の音及び後半部における「エナジー」の音の有無の差異、又は「ベビー」の音の有無の差異を有するから、両者は、明瞭に聴別できる。
さらに、観念においては、本件商標が「赤ん坊の怪物」の観念を生じるものであるのに対し、引用商標2及び4は「モンスター(怪物)の力」又は「モンスター(怪物)」の観念を生じるから、両者は、観念において相紛れるおそれのないものである。
(ウ)本件商標を構成する「BABYMONSTER」の欧文字と引用商標3及び5ないし7の構成文字「MONSTER ENERGY」とを比較すると、前半部における「BABY」及び後半部における「ENERGY」の欧文字の有無において明らかな差異を有し、両者は、外観において相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「ベビーモンスター」の称呼と引用商標3及び5ないし7から生じる「モンスターエナジー」の称呼を比較すると、いずれの称呼においても「モンスター」の音を含むものではあるものの、両者は前半部における「ベビー」及び後半部における「エナジー」の音の有無の差異を有するから、両者は、明瞭に聴別できる。
さらに、観念においては、本件商標が「赤ん坊の怪物」の観念を生じるものであるのに対し、引用商標3及び5ないし7は「モンスター(怪物)の力」又は「モンスター(怪物)」の観念を生じるから、両者は、観念において相紛れるおそれのないものである。
エ 小括
以上、上記ウによれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(3)本件指定商品・指定役務と申立人商品の関連性について
本件指定商品・指定役務は、記録された及びダウンロード可能な記録媒体、コンピュータソフトウェア、未記録のデジタル式又はアナログ式の記録用及び保存用媒体などの商品、ベルト及びペット用のおもちゃの商品、並びに、教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動に関する役務であるのに対し、申立人商品は、飲料である「エナジードリンク」であるから、その需要者層の一部が重複するとしても、取扱事業者、用途、目的、それぞれの販売(提供)部門等が相違し、その関連性の程度は低いというべきである。
(4)出所混同のおそれ
上記(1)のとおり、引用商標中、引用商標2及び引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人商品を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえるが、「エナジードリンク」以外の商品の需要者の間にまで広く認識されているものとは認められないものである。
また、引用商標中、引用商標1、引用商標4ないし引用商標7は、上記1のとおり周知性は認められないものである。
そして、引用商標1、引用商標2及び引用商標4を構成する「MONSTER」の欧文字又は「モンスター」の片仮名は、いずれも我が国で親しまれた成語であるから、これらの商標の独創性の程度は極めて低いものである。
そうすると、本件指定商品・指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、その指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品又は役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
本件商標は、上記第1のとおり、「BABYMONSTER」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、上記2のとおり、商標権者がこれをその指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることのないものである。
その他、本件商標の登録出願の目的や経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
そうすると、本件商標は、その指定商品又は指定役務に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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