結論テキスト
登録第6823158号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024900180 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6823158号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、令和5年11月2日に登録出願、同6年6月21日に登録査定、同年7月11日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下の1ないし8のとおりの登録商標(いずれの商標権も、現に有効に存続している。以下、これらをまとめていうときは、単に「引用商標」という。)及び、以下の9の申立人の使用に係る商標の例(以下、例示された各商標をまとめていうときは、「引用標章」という。)である。
商標の態様 別掲2のとおり(立体商標)
指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成12年4月6日
設定登録日 平成13年11月16日
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(平成17年8月17日書換登録)
登録出願日 昭和61年2月7日
設定登録日 平成6年6月29日
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(平成17年9月14日書換登録)
登録出願日 昭和61年2月7日
設定登録日 平成6年8月31日
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(平成22年4月28日書換登録)
登録出願日 昭和49年12月26日
設定登録日 昭和55年6月27日
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品 第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(平成16年9月22日書換登録)
登録出願日 昭和49年12月26日
設定登録日 昭和58年5月26日
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品 第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(平成16年3月3日書換登録)
登録出願日 昭和49年12月26日
設定登録日 平成5年12月24日
商標の態様 別掲5のとおり
指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成10年6月26日
設定登録日 平成12年4月14日
商標の態様 別掲5のとおり
指定商品 第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成10年6月26日
設定登録日 平成12年4月21日
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第253号証(枝番号を含む。以下、証拠の記載に当たっては、甲第1号証を甲1のように表記する場合がある。)を提出した。
(1)申立人の3本線商標の周知性
申立人の引用する3本のストライプを基本的構造とする商標(以下「3本線商標」という。)は、申立人の製造販売に係るスポーツシューズ、スポーツウェア、運動具等について1949年から現在に至るまで継続的に使用されており、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)の取引者・需要者の間で全世界的に広く認識されていたものであってその著名性の程度は極めて高い(甲2の6~9、甲3~甲101、甲105~甲108、甲111~甲116、甲119~甲121、甲123~甲253)。
(2)本件商標と申立人の3本線商標との類似性
申立人の使用に係る3本線商標は、その登録に係る3本線商標(引用商標)の構成に限定されるものでなく、引用標章として例示するとおり、3本線を構成するストライプについて、ストライプとその間隔の幅の広狭、ストライプの長短、輪郭線の形状、ストライプの上端と下端の幅等に関して数多くのデザインバリエーションが存在する(甲2~甲88、甲100、甲101、甲127~甲165、甲176~甲248)。
本件商標は、下端が上端より幅広の黒塗りの細長の台形様図形を当該台形様図形の幅よりも狭い間隔をもって3本並べ、中央の台形様図形を左右の台形様図形よりも概ね2倍程度幅広にし、仮想垂直線に対して、中央の台形様図形は、平行に、左右の台形様図形はそれぞれ右方向及び左方向にやや傾けて並べた図形より構成されるものである。
本件商標は、申立人の使用に係る3本線商標に採択されているストライプの構成の様々なデザインのバリエーションと一致する特徴(ストライプの幅がその間隔よりも広く、ストライプの長短の差異がほとんどなく、ストライプの輪郭線が直線であり、ストライプの下端の幅が上端の幅よりも広いといった特徴)を有する。本件商標は、「3本線」として容易に認識され、「3本線」の観念を生じるものであり、申立人の3本線商標と類似性の程度が極めて高い。
(3)本件指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性
本件指定商品は、申立人が3本線商標を継続使用しているスポーツシューズ、スポーツウェア、運動具等の主要取扱商品と同一又は類似のもの、あるいはこれらと密接な関連を有する。
本件指定商品に含まれる靴、運動用特殊靴の取引界では、一般に、靴の甲の側面に商標を付す表示態様が多く採用されており、商標の構成の細部までを視認することが必ずしも容易ではない(甲99)。
また、商品の地色等と商標部分を様々な異なる色の組み合わせで配色することも一般的に行われており、色彩によっては、商標の構成の細部が明確に看取されない場合がある。さらに、商標をワンポイントマークとして商品に付す使用態様も被服、靴等の取引界で多く採用されている(甲98)から、ワンポイントマークとして使用された場合、商標部分の細部の構成を正確に視認することは必ずしも容易ではない。
(4)出所の混同を生ずるおそれ
本件指定商品の最終需要者は、老若男女を含む一般の消費者であり、その注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
本件指定商品に関するこうした取引実情を斟酌すれば、本件商標が使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の商品出所識別標識として広く認識されている3本線商標を想起、連想し、本件商標を申立人の使用に係る3本線商標の一類型として認識し、これが使用された商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関連を有する者の業務に係る商品であると誤信することにより、その出所について誤認混同を生ずるおそれがある。
また、本件商標は、申立人の商品出所識別標識として著名な3本線商標を直観させることにより、その信用力、名声及び顧客吸引力にフリーライドしようとするものといわざるを得ず、その登録及び使用により、申立人の3本線商標の出所表示機能が希釈化されることが明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
本件指定商品は、申立人が3本線商標を長年使用している商品と同一又は類似あるいはこれらと密接な関連性を有する商品であるから、本件商標に接した者は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されている3本線商標を直観し本件商標を申立人の使用に係る3本線商標の一類型として認識する。
本件商標は、申立人の商品及び役務の出所表示として世界的に著名な3本線商標の信用力、顧客吸引力にフリーライドしようとする不正な目的で採択使用されたものと推認せざるを得ない。
また、本件商標が本件指定商品に使用された場合、申立人の長年の企業努力及び宣伝活動によって、その業務に係る商品を表示するものとして周知著名に至っている3本線商標の出所表示機能が希釈化され、申立人に経済的及び精神的損害を与えることは疑いない。
そうすると、本件商標は、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の目的、社会一般道徳及び国際信義に反するものといわざるを得ないから、公の秩序を害するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(1)3本線商標の周知著名性及び独創性について
以下、当審の判断においていう「3本線商標」は、引用商標を構成する図形を限度とし、引用標章(申立人が主張する3本線商標の例示)の全てを含むものではない。
ア 申立人提出の証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1920年にスポーツシューズを開発し、1949年から自己の取扱いに係るスポーツシューズの左右側面に3本線商標を採択使用して以来(甲2の6)、今日に至るまで該商標を使用している。
(イ)3本線商標を使用したスポーツシューズは、1952年のオリンピックヘルシンキ大会で西ドイツ選手によって着用されて以来、その後のオリンピック、世界選手権、欧州選手権等の国際試合における参加選手によって着用され、オリンピックにおいては、例えば、1952年ヘルシンキ大会後、1960年のローマ大会では参加選手中約75%がアディダス製品を、1964年の東京大会から1976年のモントリオール大会までは、参加選手の80%以上により着用されている(甲7)。
(ウ)3本線商標は、スポーツシューズのみならず、スポーツウェア等の他のスポーツ用品にも使用されており、例えば、該商標を使用したサッカーユニホームは、世界各国の代表チームやプロリーグチームを初め、日本代表チームにも採択使用されている(甲41~甲43、甲87の2、甲88、甲239)。そして、申立人は、世界的なバスケットボール選手やテニスプレーヤー等と専属契約を締結し、スポーツ用品を供与し広告に起用している(甲39、甲40)。
(エ)我が国においては、申立人の業務に係るポロシャツ、ティーシャツ、スウェットスーツ、帽子、運動靴、運動用特殊衣服(靴)、かばん類、布製身回品等の商品について、1971年(昭和46年)頃から1998年(平成10年)頃までは申立人の日本における使用権者であった株式会社デサントを通じて、1999年(平成11年)以降は、申立人の日本法人であるアディダスジャパン株式会社によって販売され、これらの商品及びその広告に3本線商標が使用されている(甲3~甲40、甲44~甲88、甲100、甲101、甲127~甲144、甲146~甲149、甲151~甲154、甲156~甲165、甲176~甲248)。
(オ)申立人の使用に係る商標には、3本線を構成する平行四辺形・台形様図形等(以下、この項(1)において、単に「ストライプ」という。)に関して、そのストライプとその間隔の幅の広狭、ストライプの長短の差(長短の差が無いもの、長短の差があるもの)、ストライプの輪郭線の形状(鋸の歯状、直線)などにおいて数多くの異なるデザインバリエーションが存在する(甲3~甲88、甲100、甲101、甲127~甲144、甲146~甲149、甲151~甲154、甲156~甲165、甲176~甲248)。
イ 上記アの認定事実によれば、申立人は、1920年にスポーツシューズを開発し、また、3本線商標を、1949年からスポーツシューズに使用し、その後、3本線商標が付された申立人の取扱いに係る商品は、各種競技の多くの選手に広範に使用され、3本線商標はスポーツシューズ、スポーツウェア等のスポーツ関連用品について使用する商標として、申立人により我が国を含む世界各国において長年にわたり継続して使用されていることが認められる。
そして、「スポーツシューズ,スポーツウェア」は、専らスポーツを行う際に用いられるものに限られるものではなく、ファッションの一環として着用されることもあることを踏まえれば、その需要者は、スポーツ関連分野に限定されず、ファッション関連分野にも及ぶものということができる。
そうすると、3本線商標は、申立人の業務に係る「スポーツシューズ,スポーツウェア,運動具」等の商品(以下「申立人商品」という。)を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、既に、我が国のスポーツ、ファッション関連分野の需要者の間に広く認識され、周知著名性を獲得している商標といえるものである。
ただし、引用標章(申立人が主張する3本線商標の例示)ないし3本線商標のバリエーションについては、その主張に係る商標の構成及び態様が必ずしも特定されていない上、各商標の使用状況に関する事実(使用数量、使用期間、使用地域等)も明らかでないため、3本線商標の周知著名性をもって一律に、それらの周知著名性までも認めることはできない。
ウ 3本線商標の独創性の程度
3本線商標は、縦長の台形様図形若しくは平行四辺形様図形を3つ並べた構成又は単なる3本線の線(帯状図形)のみで構成されるものであることからすると、その独創性の程度は必ずしも高いとはいえない。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、下端を幅広にし、上端を細くした黒塗りの縦長台形様図形を中央の台形様図形が左右の台形様図形よりも概ね2倍程度幅広にし、中央の台形様図形と平行に、左右の台形様図形はそれぞれ右方向及び左方向にやや傾けて並べた3本の黒塗り図形で構成されるものである。
イ 引用商標及び引用標章について
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、靴を表した立体的形状からなるところ、靴の両側面に描かれた図形は、つま先に向かって傾けた3つの黒塗りの台形様図形を靴底で下部がそろうように配した構成からなるものである。
(イ)引用商標2及び引用商標3は、別掲3のとおり、「adidas」の文字と図形とからなるところ、当該図形は、左に行くに従い順次短くなる3つの黒塗りの縦長台形様図形を、仮想底辺で下部がそろい、頭部が一直線になるように、左に傾斜させて配したものである。
(ウ)引用商標4ないし引用商標6は、別掲4のとおり、仮想垂直線に対し、左方向に僅かに傾けた、左右の斜線を鋸の歯形の輪郭で描いた縦長の平行四辺形様図形を、該図形の幅とほぼ同じ程度の間隔をもって仮想底辺に沿うように3本並べ、そのうちの左端に位置するものから右方向に向かって順次長くしていき、右端に位置するものを左端よりも僅かに長くした構成からなるものである。
(エ)引用商標7及び引用商標8は、別掲5のとおり、左方向にやや傾けた黒塗りの3つの台形様図形を、右端のものを最も長くし、左に行くに従い順次短くなるようにし、仮想底辺で下部がそろうようにしたものである。
(オ)引用標章は、別掲6のとおり、3本線商標のほか、例えば、細い3本の線がかなり広く間隔をもって配置されたもの(甲179)、商品のストライプ模様と看取されるもの(甲177)など、3本線商標とは大きく異なる態様からなる図形を含むものである。
ウ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標の構成中の各図形部分を対比すると、両者は、4つの辺から構成する図形(四角形)を3本並べた構成の図形からなるという点において共通性があるといえる。
しかしながら、本件商標は、下端を幅広にし、上端を細くした黒塗りの台形様図形のうち中央の台形様図形が左右の台形様図形よりも概ね2倍程度幅広にし、中央の台形様図形と平行に、左右の台形様図形はそれぞれ右方向及び左方向にやや傾けて並べた図形の構成からなるのに対し、引用商標の図形部分は、いずれも太さを同一にする3本の縦長の台形様図形又は平行四辺形様図形から構成されている点において最も大きな差異が認められる。
さらに、本件商標と引用商標の図形部分との間には、次のような特徴点や構成上の差異のあることが認められる。
本件商標は、中央の台形様図形を大きく表し、その左右の台形様図形はそれぞれ右方向及び左方向にやや傾けて並べた3本の黒塗り図形よりなり、全体の形状はあたかも黒塗りの大きな台形図形を2本の線で白抜きしたような印象を与えるものとして看取されるものである。
他方、引用商標1ないし引用商標3、引用商標7、引用商標8を構成する図形は、3本の台形様図形の左側(引用商標1については、つま先側)が短く表されていることにより、全体としてかなり急な傾斜角度を有する図形として、あたかも底辺を水平にする三角形枠内に並列してはめ込まれたような印象を与えるものとして看取されるものである。
また、引用商標4ないし引用商標6の3本の平行四辺形様図形は、ほぼ均等な長さではあるものの、斜めに傾けるようにして左側がやや短く表されることにより、全体の形状はいびつな平行四辺形枠内に並列してはめ込まれたような印象を与えるものとして看取されるものである。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、これを構成する3本の図形が、中央の台形様図形と平行に左右の台形様図形をそれぞれ右方向及び左方向にやや傾けて並べた図形であるか縦長の台形様図形又は平行四辺形様図形であるかという相違点に加え、3本の図形から構成される図形全体から受ける印象において、全体が台形枠内に収まっているようなものであるか三角形枠内又は平行四辺形枠内に収まっているようなものであるかという点に違いがあることから、両者の構成、態様が大きく異なるものということができる。
加えて、引用商標は、上記(1)イのとおり、3本線商標として周知著名なものであるから、需要者はその本数に着目するものであるといえるが、たとえ本件商標と引用商標とが3本の図形(線)から構成されるものであるとしても、3本の図形(線)の形状及び配置方向等、その構成態様の著しい相違から両者の違いを見極めることができ、かつ、簡潔な構成からなる両商標におけるその相違は大きいものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標を構成する図形とは、その構成態様において明らかな差異を有しているものというべきであり、図形全体から受ける視覚的印象を異にするものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標と引用商標との称呼及び観念についてみても、申立人の主張によれば、当該引用商標は3本のストライプを基本的構造とする商標であるとのことであるから、仮に「サンボンセン」あるいは「スリーストライプス」の称呼及び「3本線」の観念を生ずることがあったとしても、本件商標からは、直ちに特定の称呼及び観念を生ずることはないものというべきであるから、両者の称呼及び観念については、類似するものではない。
したがって、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念を総合して考察すれば、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いものというべきである。
なお、本件商標と引用標章(引用商標と同一視できる構成からなるものは除く、以下同じ。)との比較については、引用商標との類似性に比して、その程度がより低いもの(甲179)や商品のストライプ模様と看取されるにすぎず、商標として比較することが適切でないもの(甲177)があるほか、そもそも引用標章は、需要者の間に広く認識されている3本線商標とは大きく異なる態様からなるものであって、その周知性が認められないものであるから、そのような引用標章と本件商標との類似性について直接的に対比することは妥当でなく、商品の出所について混同を生じさせるおそれの総合判断において、関連する事実として参酌するものとする。
(3)本件指定商品と申立人商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性について
本件指定商品は、申立人商品と重複する商品を含むものであって、上記(1)イで述べたように、本件指定商品と申立人商品とは、いずれもファッション及びスポーツ関連商品を含むものといえるから、それら商品の関連性は極めて高く、その取引者、需要者、製造販売者も共通する。
なお、本件指定商品中の少なくとも「仮装用衣服」については、申立人商品とは、それら商品の生産・販売が同一事業者によって行われているのが一般的であるとか、それらの用途が一致するといった事情は見いだせないことから、それらの商品の関連性が高いということはできず、取引者及び需要者の共通性も高いとはいえない。
(4)出所の混同を生ずるおそれについて
上記(1)イのとおり、3本線商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表すものとして、我が国のスポーツ、ファッション関連分野の需要者の間に広く認識されていたものであり、また、上記(3)のとおり、本件商標の指定商品中には、申立人商品と関連性が高く、かつ、その需要者等を共通にする商品が含まれる。
他方、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観のみならず、観念及び称呼においても類似するものではなく、類似性の程度は低いものというべきであるし、また、上記(1)ウのとおり、3本線商標は、独創性の程度が高いとはいえないものである。
そして、例えば、スポーツシューズの側面に、様々な線状の図形を商標として付すことは一般に行われており、スポーツシューズを購入する際、需要者が側面のデザインに注意を払うことは普通のことといえる状況にあっては、中央の台形様図形と平行に、左右の台形様図形はそれぞれ右方向及び左方向にやや傾けて異なる太さで並べた図形からなる本件商標と、3本の縦長の台形様図形又は平行四辺形様図形3本を、同じ太さで配した構成からなる引用商標とでは、それらの全体の構成態様から、需要者に対し明らかに異なる印象を与えるものということができる。
以上からすると、本件商標に接する需要者が、引用商標を想起又は連想することはないというのが相当である。また、これに反する取引の実情を認めるに足りる証拠もない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者、需要者をして、該商品が申立人又は申立人と一定の緊密な営業上の関係若しくは申立人と同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるとはいえないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
本件商標は、上記1のとおり、3本線商標と商品の出所について混同を生じさせるおそれはないから、本件商標が、引用商標の持つ顧客吸引力にただ乗り(いわゆるフリーライド)することや、信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるなどの不正の目的をもって使用をするものであると認めることもできないものである。
そして、申立人が提出した証拠からは、本件商標の出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠く等の事実は見当たらず、本件商標をその指定商品について使用することが、社会の一般道徳観念に反するものともいえず、その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
申立人は、同人の使用する3本のストライプを基本構造とする商標が本件指定商品に係る取引者及び需要者に広く認識されていた著名性の高い商標であり、3本線を構成するストライプには様々なバリエーションが存在するとして、本件商標と申立人の主張に係る3本線商標との類似性の程度が高く、本件商標を3本のストライプを基本構造とする商標の一類型と認識する旨主張する。
しかしながら、上記1(1)イのとおり、引用標章ないし3本線商標のバリエーションについては、周知著名性を認めることができないから、申立人の使用する3本のストライプを基本構造とする商標全てが著名性を有することを前提とする上記主張は、採用することができない。
なお、上記1(2)ウのとおり、本件商標と引用標章との類似性については、引用商標との類似性に比して、その程度がより低いものや、商品のストライプ模様と看取されるにすぎず、商標として比較することが適切でないものであるから、3本線商標に様々なバリエーションが存することを参酌したとしても、本件商標とそれらの商標としての特徴が共通するとはいえないことから、本件商標を3本線商標のバリエーションの一類型と誤信するなどともいうことはできず、商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるとはいえない。
また、申立人は、取引の実情(靴の甲の側面に商標を付す表示態様が多く採用されること、商品の地色等と商標とを様々な色で配色されること又は商標をワンポイントマークで付すことにより、商標の細部を視認等することが容易でなくなる)を斟酌すれば、本件商標が使用された場合、「3本線」として記憶され、申立人の3本線商標と相紛らわしいものとなる旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、引用商標と本件商標とは、それらの全体の構成態様から、需要者に対し明らかに異なる印象を与えるものであり、仮に商標の細部を視認することが困難な場合を想定しても、その商標(図形)の輪郭全体から与える印象が異なるものであるから、申立人の主張する上記取引の実情を参酌しても、その構成が、太さが異なる台形様図形からなるものであるのか、それとも、同一の太さの台形様図形や平行四辺形様図形からなるものであるのかに関わらず、3本の四辺形という点のみをもって相紛らわしいものとなることはないというべきである。
したがって、申立人の主張は、採用することはできない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
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