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Trademark Appeal Case

周知ロゴと商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900126
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6915712号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6915712号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年5月20日に登録出願、第9類、第18類、第25類、第28類及び第41類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同7年3月28日に登録査定、同年4月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標(以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。

(1)登録第4829081号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」

登録出願日:平成16年6月24日

設定登録日:平成16年12月24日

(2)登録第5095237号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

指定商品:第9類「眼鏡」、第14類「キーホルダー,時計」及び第18類「かばん類,袋物」

登録出願日:平成19年4月17日

設定登録日:平成19年11月30日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。

以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように記載し、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。

(1)申立人とファイブストライクロゴについて

申立人は、2002年9月11日、エディ・クルーズ氏とジェームズ・ボンド氏により米国ロサンゼルスにおいて創業され、スニーカーショップとして事業を開始した(甲4)。その後2005年には、オリジナルのファッションブランド「UNDEFEATED(アンディフィーテッド)」を立ち上げ(甲4の2、甲4の4)、現在では、米国(ロサンゼルス、グレンデール、サンタモニカ、サンフランシスコ、ラスベガス)に計8店舗、日本(東京、大阪)に2店舗、中国(上海、広州)に計3店舗の直営店を展開しているほか(甲5)、オンラインショップも運営している(甲6)。

2002年9月11日という申立人の創業日は、米国同時多発テロの発生から1年後にあたる日であり、ブランド名「UNDEFEATED」には、「何事にも屈しない、決して打ち負かされない」という、同時多発テロに対する強いメッセージが込められている(甲4)。

また、UNDEFEATEDブランド(以下「申立人ブランド」という。)を象徴する引用商標に係る図形(以下「ファイブストライクロゴ」という。)は、4本の縦線とそれらに交差する1本の斜線から構成される図形であり、日本における「正」の字を用いた数え方と同様に、欧米において数を数える際に用いられる記号であると同時に、このロゴには5連勝によって競合他社を打ち負かし、勝利を収めるというブランドのメッセージが込められている(甲4)。

(2)ファイブストライクロゴの周知・著名性について

ファイブストライクロゴは、申立人ブランドの公式ウェブサイトにおいて、「UNDEFEATED」の文字とともに常に左上に表示されており(甲6)、ブランドを象徴するアイコンとして機能している。このロゴは、トップス類やボトムス類、アウター類、帽子類、かばん類、室内履き、靴下、シューズ等にワンポイントマークとして表示されているほか(甲7、甲8)、バンダナ、グローブ(手袋)、ベルト、傘、キーホルダー、グラス、折り畳み式小物入れなどにも広く表示されており(甲9)、申立人ブランドの視覚的認知を高める重要な要素となっている。

また、申立人は、他の著名ブランドとのコラボレーションにも積極的に取り組んでおり、NIKE、G-SHOCK、UNIMATIC、メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキース、ロサンゼルス・ドジャースやモータースポーツのF1等との協業による商品も多数展開している。そして、これらのコラボレーション商品においても、ファイブストライクロゴは、コラボレーション先ブランドの商標と並んで目立つ位置に配されており、申立人ブランドを表示するものとして、需要者に対して強い印象を与える役割を果たしている(甲8、甲10)。

さらに、申立人ブランドの公式インスタグラムアカウントのフォロワー数は、192.2万人に達しており、そのトップページに表示されるアイコンにも、ファイブストライクロゴが使用されている(甲11)。これにより、ファイブストライクロゴは、フォロワーのみならず、当該アカウントを閲覧した者に対しても申立人ブランドを視覚的に認識させる役割を果たしており、ブランドの周知・著名性を高める上で極めて重要な要素となっている。

加えて、申立人は、アパレル分野にとどまらず、2018年より米国ロサンゼルスにおいて、「UACTP」と称する、柔術及び専門的な筋力トレーニングを受講できるスポーツジムを運営し、ファイブストライクロゴは、同ジムの公式ウェブサイトにおいても常に左上に表示されており、申立人ブランドを象徴するアイコンとして機能している(甲12の1)。また、当該ジムでは、オリジナルの道着やスポーツウェアも展開しており、これらの商品においても、ファイブストライクロゴがワンポイントマークとして表示されている(甲12の2)。

そして、申立人は、広告宣伝活動の一環として、イギリスのプロサッカーリーグであるEFLチャンピオンシップに所属するバーミンガム・シティ・フットボール・クラブとスポンサー契約を締結し、この契約により、同クラブのユニフォームには、申立人ブランドを象徴するファイブストライクロゴが大きく表示されており、ブランドの視覚的認知の向上に寄与している(甲13の1~甲13の4)。さらに、同クラブには日本人選手も所属しており、クラブの公式インスタグラムには、ファイブストライクロゴ入りのユニフォームを着用した選手の写真が掲載されている(甲13の5)。

このように、ファイブストライクロゴがユニフォームに表示されることは、日本国内のみならず、世界中のサッカーファンに対して、申立人ブランドを視覚的に認識させるものであり、ファイブストライクロゴの周知・著名性を高める上で重要な役割を果たしている。

上述のNIKE、G-SHOCK等の著名ブランドとのコラボレーション、並びにプロサッカークラブとのスポンサー契約等の広告宣伝活動を通じて、申立人ブランドは、2005年のブランド開始以来、ストリートファッションの分野において、本国米国はもとより、日本国内においても圧倒的な支持を集め、長年にわたり堅調な業績を維持してきた。なお、日本国内では、株式会社TSIホールディングスグループ(以下「TSIホールディングス社」という。)の株式会社スタージョイナスが、2023年まで、申立人ブランドの販売代理店を務めていた。

その結果、日本国内における売上高は、2020年に47億9,100万円、2021年に44億3,200万円、2022年に43億8,900万円、2023年には46億4,000万円に達している(甲14)。

さらに、2021年から2023年にかけての売上高は、TSIホールディングス社のブランド別売上高において第7位にランクインしており(甲14)、この事実は、コロナ禍という厳しい経済状況下においても、申立人ブランドが高い人気と安定した需要を維持していたことを示すとともに、ストリートファッションの分野における同ブランドの確固たる地位を裏付けるものである。

以上の事実に照らせば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ファイブストライクロゴが、申立人の業務に係る商品・役務を表示する商標として、周知・著名性を獲得していたこと明らかである。

(3)本件商標とファイブストライクロゴとの類似性・混同可能性について

ア 本件商標とファイブストライクロゴとの対比

本件商標とファイブストライクロゴは、4本の縦線とそれらと交差する斜線より構成されている点において、共通している。

一方、両者を子細に対比し、観察すれば、(ア)本件商標の4本の縦線及び交差する斜線は、毛筆で描いたような線であるのに対し、ファイブストライクロゴの4本の縦線及び交差する斜線は、長方形である点、(イ)本件商標は、4本の縦線が上から下にかけて細く表され、交差する斜線も左から右にかけて細く表されているのに加え、すべての線の形状が異なるのに対し、ファイブストライクロゴの4本の縦線及び交差する斜線は、同じ形状の長方形である点、(ウ)本件商標の斜線は、左上から右下にかけて4本の縦線と交差しているのに対し、ファイブストライクロゴの斜線は、左下から右上にかけて4本の縦線と交差している点、(エ)本件商標の4本の縦線は、内側の2本の線を少し上にずらして、やや間隔を空けて垂直に配置されているのに対し、ファイブストライクロゴの4本の縦線は、左から3本目の線のみを少しずらして、あまり間隔を空けることなく垂直に配置されている点において差異を有する。

しかしながら、本件商標とファイブストライクロゴは、いずれも垂直に並んだ4本の縦線とそれらと交差する斜線から構成される図形であり、この点において、基本的構成が一致しており、両商標に接した取引者、需要者にあっては、かかる外観上の共通した特徴により両商標を記憶するといえる。

そして、本件商標の指定商品・役務に係る一般的な需要者である一般消費者が、時と場所を異にし、離隔的に各商標に接する場合、必ずしも常に図形の細部まで正確に記憶しているとはいえないから、上記(ア)から(エ)の差異は、両商標の構成全体から受ける共通した印象からすれば、微差の範囲にとどまるものというべきである。

加えて、上記(2)で述べたとおり、被服等の分野においては、ワンポイントマークとして、商標が商品に縫い付けられたり、刺繍されたりして使用されることが多く、その場合には、商標が小さく表示されるのが一般的である(甲7、甲8)。同様に、「時計」(特に腕時計)の分野においても、商標は文字盤内の限られたスペースに小さく表示されるのが通常である(甲10の1、甲10の2)。

そうすると、このような取引の実情を考慮すれば、上記(ア)から(エ)の相違点は、一層曖昧なものとなり、需要者に与える印象が希薄になる。このため、両商標を時と場所を異にして離隔的に観察した場合、ファイブストライクロゴの周知・著名性と相まって、本件商標に接した需要者は、ファイブストライクロゴを想起又は連想するといえる。

よって、本件商標は、出所の誤認・混同を生ずるおそれがある程度に、ファイブストライクロゴに類似する商標ということができる。

イ 本件商標の指定商品・役務とファイブストライクロゴに係る商品・役務との対比

申立人は、米国ロサンゼルスにおいて「UACTP」と称するスポーツジムを運営しており、同ジムでは、柔術及び護身術のセミナー、フィットネス講習会、けが防止講習会、会員間の交流を目的としたイベント等を企画・開催しており、柔術のセミナーは東京においても開催されている(甲12の1、甲12の3)。そして、これらの役務と、本件商標の第41類に係る指定役務「娯楽の提供、娯楽又はビデオゲームの分野に関する展示会の企画・運営、ビデオゲームの興行又は大会の企画・運営又は開催、文化又は教育のためのビデオゲームに関する展示会の企画・運営」等とは類似する。

さらに、本件商標の第25類の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似であり、本件商標の第18類の指定商品と引用商標2の指定商品は、同一又は類似である。

加えて、商品・役務の需要者についても、本件商標の指定商品・役務の主たる需要者層は一般消費者であり、ファイブストライクロゴに係る商品・役務の主たる需要者も同様に一般消費者であるから、両者の需要者層は共通している。

ウ 小括

以上のとおり、本件商標がその指定商品・役務について使用された場合、本件商標に接した取引者、需要者がファイブストライクロゴを連想、想起し、ファイブストライクロゴに係る商品・役務と誤認することはもちろん、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品・役務と誤認し、商品・役務の出所について混同を生じるおそれがある。

よって、本件商標は、ファイブストライクロゴと類似し、申立人のファイブストライクロゴに係る商品・役務であるかのごとく、出所の混同を生じさせるおそれがある商標といえる。

(4)商標法第4条第1項第11号違反について

本件商標は、上記のとおり、ファイブストライクロゴと類似することから、引用商標と類似し、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似する。

さらに、引用商標は、本件商標の先願に係る他人の登録商標である。

したがって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号違反について

ファイブストライクロゴは、上記(2)で述べたとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品・役務を表すものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、本件商標は、ファイブストライクロゴと類似する商標であり、本件商標の指定商品・役務と申立人の業務に係る商品・役務とは関連性の高い商品・役務である。

してみれば、本件商標は、その指定商品・役務のうち、申立人の業務に係る商品・役務と類似する商品・役務について使用するときには、商標法第4条第1項第10号に該当する。

また、本件商標の指定商品・役務のうち、申立人の業務に係る商品・役務と類似しない商品・役務があるとしても、取引者、需要者をして、あたかも申立人の業務に係る商品・役務であるかのごとく、または申立人と経済的・組織的に何らかの関連を有する者の商品・役務であるかのごとく、その出所について誤認混同を招くおそれがあることは明らかであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

したがって、本件商標は、ファイブストライクロゴとの関係において、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当する。

(6)商標法第4条第1項第19号違反について

ファイブストライクロゴは、本件商標の登録出願前から周知・著名であることが明らかであるから、本件商標権者は、ファイブストライクロゴの存在を十分に承知した上で、ファイブストライクロゴと類似する商標を登録出願したものとしか考えられない。そして、このような周知・著名なファイブストライクロゴと類似する本件商標を、申立人に無断で登録し、使用しようとする行為は、ファイブストライクロゴが有する顧客吸引力にただ乗りしようとしたり、ファイブストライクロゴの周知・著名性を希釈化させようとする目的のものと考えられ、本件商標の登録出願には、不正の目的が容易に推認される。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標等の周知性について

ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)申立人は、2002年9月11日に米国ロサンゼルスにおいて創業され、スニーカーショップとして事業を開始し、2005年に、申立人ブランドを立ち上げ(甲4)、現在では、米国にロサンゼルスを始めとする8店舗、日本(東京、大阪)に2店舗、中国(上海、広州)に3店舗の直営店を展開しているほか(申立人の主張、甲5)、オンラインショップも運営している(甲6)。

(イ)申立人ブランドの公式ウェブサイトにおいて、左上に「UNDEFEATED」の文字とともに4本の縦線と交差する斜線からなる図形(以下「申立人商標」という。)(別掲4)が表示され(甲6)、申立人ブランドの公式インスタグラムにおけるアイコンに申立人商標が表示されている(甲11)。

また、申立人商標は、トップス類、ボトムス類、帽子類、かばん類、シューズ等(甲7、甲8)、バンダナ、手袋、キーホルダー等(甲9)のほか、申立人に係るスポーツジムの公式ウェブサイトにも表示されている(甲12)。

さらに、他ブランドとのコラボレーション商品にも、当該他ブランドの標章とともに申立人商標が表示され(甲8、甲10)、イギリスのプロサッカーのリーグに所属するクラブのユニフォームにも申立人商標が表示されている(甲13)。

なお、申立人商標は、これを構成する線の態様や斜線の配置が引用商標と共通しているが、各縦線の凹凸において、引用商標と相違している。

(ウ)TSIホールディングス社の2021年から2023年にかけてのブランド別売上高において、申立人ブランドは、2021年に44億3,200万円、2022年に43億8,900万円、2023年に46億4,000万円であり、いずれも第7位にランクインしている(甲14)。

イ 上記(ア)ないし(ウ)によれば、申立人ブランドは、2005年に立ち上げられ、米国、日本及び中国に直営店を展開しているほか、オンラインショップも運営していることはうかがえるが、当該直営店の店舗数が多いとはいえず、2021年から2023年にかけての申立人ブランドの売上高についても、申立人商標ないしは引用商標(以下、これらをまとめていう場合は「引用商標等」という。)を使用した商品に係るものであるか不明である。

また、申立人は、申立人商標を被服、靴等に使用していることは認められるが、申立人商標は、各縦線の凹凸において、引用商標と相違している。

そして、引用商標等を使用した申立人の業務に係る商品・役務についての我が国及び外国における市場シェア、販売実績、広告宣伝の方法や回数、費用規模など、その周知性を具体的、かつ、客観的に把握することができる証拠は提出されていない。

そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標等を使用した申立人の業務に係る商品・役務の売上実績や広告実績を客観的に把握できないことから、引用商標等が、取引者、需要者に対し、どの程度知られているかを評価することができない。

したがって、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標等が、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、我が国及び外国における需要者等の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標と引用商標の類否

本件商標及び引用商標は、別掲1及び別掲3のとおりの構成からなるところ、両商標を比較すると、4本の縦線と交差する斜線からなるという構成において共通するものの、(ア)本件商標の4本の縦線及び交差する斜線は、毛筆で描いたような又は引っ掻き傷のような線であるのに対し、引用商標の4本の縦線及び交差する斜線は、短冊状の長方形である点、(イ)本件商標は、4本の縦線が上から下に向かって次第に細く表され、交差する斜線も左上から右下に向かって次第に細く表されており、線の形状及び長さにばらつきがあるのに対し、引用商標の4本の縦線及び交差する斜線は、形状及び長さが一定の長方形である点、(ウ)本件商標の斜線は、左上から右下にかけて4本の縦線と交差しているのに対し、引用商標の斜線は、左下から右上にかけて4本の縦線と交差している点、(エ)本件商標の4本の縦線は、内側の2本の線を少し上にずらして、間隔を広く空けて配置されているのに対し、引用商標の4本の縦線は、左から3本目の線のみを上に少しずらして、間隔をほとんど空けることなく配置されている点において差異を有する。

イ 小括

上記アからすると、本件商標と引用商標とは、4本の縦線と交差する斜線からなるという構成を共通にするとしても、上記アで挙げた相違点により、全体の印象が異なるものというべきである。

そうすると、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と類似するものを含むとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号該当性について

申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているとはいえない。

そして、本件商標は、上記(2)のとおり引用商標とは非類似の商標であるところ、商標を構成する線の態様や斜線の配置が引用商標と共通し全体の印象が近似する申立人商標とも非類似の商標であるというのが相当である。

そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を満たさないものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標等は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているとはいえない。

そして、本件商標と引用商標等とは、上記(2)及び(3)のとおり、非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。

そうすると、本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品・役務との関連性及び需要者の共通性等を考慮しても、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標等を連想又は想起することはなく、その商品・役務が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品・役務の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性について

申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内又は外国における需要者等の間に広く認識されていると認められないものである。

また、本件商標は、上記(3)のとおり、申立人商標とは非類似の商標である。

そして、申立人が提出した証拠からは、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる事実は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、他に本件商標の登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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