sokuhyo

Trademark Appeal Case

特許訂正請求の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2021800063
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第5784719号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~17〕について訂正することを認める。
請求項1~8、10~12、15~17についての本件審判の請求は成り立たない。
請求項9についての本件審判の請求を却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨

1 請求の趣旨

特許第5784719号発明の特許請求の範囲の請求項1~12、15~17に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。

2 答弁の趣旨

本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

第2 手続の経緯等

1 本件特許の出願から設定登録に至るまでの経緯

本件特許無効審判事件に係る特許第5784719号(以下、「本件特許」という。)は、本件被請求人であるアルファ・ラバル・コーポレイト・エービーが保有するものであり、その請求項1~17に係る発明についての出願は、2011年(平成23年)6月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年7月2日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする特許出願であって、特願2013-517151号として審査され、平成27年7月31日に特許権の設定登録がされたものである。

2 別件異議事件における経緯

設定登録時の請求項1~17に係る特許に対して、平成28年3月23日に特許異議申立人齋藤慎二により、同年3月24日に特許異議申立人関根由美子により、それぞれ特許異議の申立てがされ、異議2016-700241号として審理され、同年9月8日にされた訂正の請求を踏まえて、平成29年3月13日付けで「特許第5784719号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。特許第5784719号の請求項1ないし17に係る特許を維持する。」との異議の決定がされ、この決定は、同年3月27日に確定した。

3 本件特許無効審判事件における経緯

本件は、前記異議の決定の確定後に、本件請求人である三菱化工機株式会社により、前記訂正後の請求項1~12、15~17に係る特許を対象として請求されたものである。

本件における手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和3年 7月29日 審判請求書の提出(請求人)

同年12月15日 審判事件答弁書の提出(被請求人)

令和4年 5月10日付け 審理事項通知

同年 5月17日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)

同年 6月 1日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)

同年 6月14日 第1回口頭審理

同年 7月 5日 上申書の提出(被請求人)

同年 7月26日 上申書の提出(請求人)

同年 9月13日付け 審決の予告

同年12月21日 訂正請求書及び上申書の提出(被請求人)

令和5年 3月 6日 弁駁書の提出(請求人)

第3 訂正請求について

1 訂正請求の趣旨

特許第5784719の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1から17について訂正することを求める。

2 訂正の内容

令和4年12月21日提出の訂正請求書をもってされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許法第134条の2第3項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1~17〕を訂正の単位として訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、次のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。

(1) 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「排出ガススクラバー流体ループ(9)」と記載されているのを、「

船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた

排出ガススクラバー流体ループ(9)」に訂正する。請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~8、10~17についても同様に訂正をする。

(2) 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項1に「汚染されたスクラバー流体のための浄化設備」と記載されているのを、「汚染された

、生水、淡水、または脱塩海水の

スクラバー流体のための浄化設備」に訂正する。請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~8、10~17についても同様に訂正をする。

(3) 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項9を削除する。

3 訂正の適否についての判断

(1) 訂正事項1について

ア 訂正の目的の適否について

訂正事項1は、請求項1に記載された「排出ガススクラバー流体ループ(9)」について、排出ガスの発生源を「船舶用エンジン」に、浄化される排出ガスを「EGRにおいて再循環される排出ガス」に、排出ガススクラバー流体ループの形式を「閉じた排出ガススクラバー流体ループ」にそれぞれ限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無について

本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件特許明細書」という。)には、「別の目的は、船舶エンジンからの窒素酸化物(NO

X

)排出の低減である。これは、排出ガス再循環(EGR)を実行することによっておこなうことができ、排出ガスの一部がエンジンの燃焼室へ再循環される」こと(【0004】)、「本発明は、排出ガススクラバー流体ループからの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備に関する。スクラバー流体ループは、閉じたスクラバー流体ループ、すなわち、システム内のスクラバーと他のコンポーネントを通るスクラバー流体の再循環を提供する循環システムであってよい」こと(【0010】)及び「スクラバー1とバッファータンク6とそれらを接続しているチューブは、動作中にスクラバー流体が循環される閉じたスクラバー流体ループ9を形成している」こと(【0034】)が記載されているから、訂正事項1は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

訂正事項1は、前記アのとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(2) 訂正事項2について

ア 訂正の目的の適否について

訂正事項2は、請求項1に記載された「スクラバー流体」について、流体の種類を「生水、淡水、または脱塩海水」に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無について

本件特許明細書には、「排ガス浄化のプロセスに初期に含まれる、または動作中のプロセスに追加されるスクラバー流体には、好ましくは生水や淡水や脱塩海水である」こと(【0021】)が記載されているから、訂正事項2は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

訂正事項2は、前記アのとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(3) 訂正事項3について

ア 訂正の目的の適否について

訂正事項3は、請求項9の記載を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

訂正事項3は、請求項9の記載を削除するものであるから、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかであるため、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4) 独立特許要件について

一群の請求項1~17に係る訂正(訂正事項1~3)は、いずれも「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるところ、訂正前の請求項1~12、15~17に係る特許に対しては、本件特許無効審判の請求がされているから、これらの請求項に係る訂正については、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件(独立特許要件)は課されない。

他方、訂正前の請求項13、14に係る特許に対しては、本件特許無効審判の請求がされていないから、これらの請求項に係る訂正については、独立特許要件についてさらに検討する必要がある。

そこで検討するに、訂正前の請求項13、14に係る発明は、審査過程において拒絶の理由を発見しないとして特許を受けたものであり、請求人からも、当該発明に係る特許に対して、これを無効にする証拠は提示されていない。加えて、当該請求項についての訂正により、新たな記載不備なども認められないことから、訂正前の当該発明はもとより、これを限定した訂正後の発明も特許を受けることができるものである。さらにいうと、訂正後の請求項13、14は、訂正後の請求項1を引用するものであって、後記第7において検討する、訂正後の請求項1に係る発明と同様に、進歩性欠如に係る無効理由が存するものでもないから、結局、訂正後の請求項13、14に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

よって、訂正事項1~3のうち、請求項13、14に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定にも適合する。

4 訂正請求についての結論

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~17〕について訂正することを認める。

なお、本件訂正は、前記2(3)のとおり、請求項9の削除を含むものであるから、本来であれば、請求項9を引用する請求項においては、当該請求項9の引用を避けて整理し直す必要があるが、ここでは、形式的な事項であるため、この点については不問とした。

第4 特許請求の範囲の記載(本件発明)

前記第3のとおり、本件訂正請求は適法にされたものであるから、本件特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。そして、各請求項に係る発明は、その記載事項により特定されるとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に合わせて「本件発明1」などといい、纏めて「本件発明」という。)。

「【請求項1】

船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた

排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された

、生水、淡水、または脱塩海水の

スクラバー流体のための浄化設備であり、

前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するためのディスクスタック遠心分離機(12,12’)を備えており、その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)を備えており、さらに、

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段と、

前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段と、

前記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段を備えている浄化設備。

【請求項2】

前記分離機の前記ローター(13’)はさらに、前記汚染物質相を前記第二の分離機出口(17’)の方へ運ぶように前記ローターの回転速度とは異なる回転速度で駆動されるように構成されたコンベヤスクリュー(18)を取り囲んでいる、請求項1に記載の浄化設備。

【請求項3】

前記分離機は、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するために、完全に増した動作速度のあいだ、少なくとも4000Gの遠心力で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部にさらされるように構成されている、請求項2に記載の浄化設備。

【請求項4】

前記分離機は汚染物質相を得るように制御され、粒子の濃度は20~65重量パーセントである、請求項2または3に記載の浄化設備。

【請求項5】

前記分離機入口(11,11’)は気密タイプである、請求項1~4のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項6】

前記分離機入口に前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を案内するための前記手段は流量調整デバイスを備えている、請求項1~5のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項7】

前記分離機入口(11,11’)の上流で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部に凝集剤を追加するための手段(39)をさらに備えている、請求項1~6のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項8】

前記分離機入口(11,11’)の上流で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部に沈殿剤を追加するための手段をさらに備えている、請求項1~7のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項9】(削除)

【請求項10】

前記浄化設備は、前記浄化されたスクラバー流体の品質を制御するための手段(38)と、品質が所定レベルよりも低い場合に、浄化されたスクラバー流体を、前記分離機入口(11,11’)に、または汚染されたスクラバー流体のためのタンクにそらすおよび/または戻すための手段を備えている、請求項1~9のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項11】

前記浄化設備は、二以上のスクラバー流体ループから汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取るための手段と、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段を備えている、請求項1~10のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項12】

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は流量調整デバイスを備えており、各スクラバー流体ループから前記分離機入口への前記汚染されたスクラバー流体の前記一部の流れを調整する、請求項11に記載の浄化設備。

【請求項13】

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は、他のディスクスタック遠心分離機(29)から汚染された相を受け取るように構成されており、それは、前記スクラバー流体ループ中の前記汚染されたスクラバー流体から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するように構成されている、請求項1~12のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項14】

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は、第二のバッファータンク(37)と流量調整デバイス好ましくはポンプまたはバルブを経由して他のディスクスタック遠心分離機(29)から汚染された相を受け取るように構成されている、請求項13に記載の浄化設備。

【請求項15】

pHを6~8の範囲内に維持するように構成された、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部の酸性度を制御および/または調整するための手段をさらに備えている、請求項1~14のいずれか一つに記載の浄化設備。

【請求項16】

ディーゼルエンジンのための排出ガス浄化設備であり、排出ガスのための入口を有しているガススクラバーと、前記排出ガスにスクラバー流体を供給するための湿潤デバイスと、汚染されたスクラバー流体を前記排出ガスから取り除くための小滴分離機と、請求項1~15のいずれか一つに記載の浄化設備に接続された、スクラバー流体をスクラバーに循環させるためのスクラバー流体ループを備えている、排出ガス浄化設備。

【請求項17】

排出ガススクラバー流体ループから抜き取られる汚染されたスクラバー流体から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離する請求項1~15のいずれか一つに記載の浄化設備中におけるディスクスタック遠心分離機の使用。」

第5 請求人の主張及び証拠方法

1 請求人の主張の概要

請求人の主張する請求の理由(無効理由)は、審判請求書、令和4年5月17日提出の口頭審理陳述要領書、同年7月26日提出の上申書、及び、令和5年3月6日提出の弁駁書の記載からみて、概略、次のとおり整理することができる。なお、甲第1号証を「甲1」などと略して記載する。

(1) 無効理由1(甲1を主たる証拠とした進歩性欠如)

本件特許の請求項1~10、15~17に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2) 無効理由2(甲2を主たる証拠とした進歩性欠如)

本件特許の請求項1~10、15~17に係る発明は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(3) 無効理由3(甲3を主たる証拠とした進歩性欠如)

本件特許の請求項1~12、15~17に係る発明は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(4) 無効理由4(甲4を主たる証拠とした進歩性欠如)

本件特許の請求項1、5~10、15~17に係る発明は、甲4及び甲6に記載された発明並びに周知技術に基いて、又は、甲4及び甲1に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

2 証拠方法

請求人が提出した証拠は、次のとおりである。

(1) 審判請求書に添付して提出された証拠

甲1 特開平9-239233号公報

甲2 特開平4-300614号公報

甲3 特開昭63-36817号公報

甲4 化学・化学関連工業用ディスク型遠心分離機、長瀬アルファ株式会

社(甲5からみて昭和63年1月8日以前に頒布)

甲5 長瀬アルファ株式会社閉鎖登記簿謄本

甲6 特開2007-263078号公報

甲7 特開平1-242160号公報

甲8 特開2002-336734号公報

甲9 特開2004-154694号公報

甲10 特開2001-239184号公報

甲11 三菱遠心分離機セントリフューガルディスクセパレータ、三菱化

工機株式会社(裏表紙の記載からみて1982年11月に発行)

甲12 DISC SEPARATOR SJ・OP、三菱化工機株式会

社(裏表紙の記載や甲13からみて1999年9月に発行)

甲13 三菱化工機株式会社 会社沿革ウエブページ、[online],20

21年6月7日検索、インターネット<URL:http://www.kakoki

.co.jp/company/history.html>

甲14 ウエストファリアセパレーターデカンター、ファーイーストウエ

ストファリアセパレーター株式会社(甲15からみて平成6年8

月1日以前に頒布)

甲15 GEAウエストファリアセパレータージャパン株式会社閉鎖事項

全部証明書

甲16 SAITO SEPARATORS、斎藤遠心機工業株式会社(

甲16の第2頁の記載からみて1983年頃に頒布)

甲17 遠心分離機総合カタログ、石川島播磨重工業株式会社(裏表紙の

電話番号からみて1991年以前に頒布)

甲18 日本工業規格JIS F 6601-1996

甲19 特表2002-518159号公報

甲20 特表平9-506031号公報

甲21 化学工場、株式会社日刊工業新聞社、昭和45年3月1日、第1

4巻、第3号、第36~43頁

甲22 ClassNKテクニカルインフォメーション、財団法人日本海

事協会、2004年12月15日

甲23 特開昭51-61171号公報

甲24 実願昭55-95130号(実開昭57-25701号)のマイ

クロフィルム

甲25 機械工学便覧 エンジニアリング編 C8編環境装置、社団法人

日本機械学会、1997年10月5日、第23~25頁

甲26 特開昭52-123994号公報

甲27 特開平9-192440号公報

甲28 特開2004-81933号公報

甲29 特開2003-284919号公報

甲30 特開2004-89770号公報

甲31 特開昭58-53594号公報

甲32 機械工学便覧 応用システム編ν10 環境システム、社団法人

日本機械学会、2008年3月17日、第95頁

(2) 令和4年5月17日提出の口頭審理陳述要領書に添付して提出された証拠

甲33 特開2001-129596号公報

甲34 特開2003-1041号公報

甲35 本件特許の審査段階における平成26年12月9日付けの拒絶理

由通知書

甲36 特開2008-139265号公報

甲37 特開2007-271306号公報

甲38 特開平11-64527号公報

甲39 特開2007-147287号公報

甲40 特開2003-135930号公報

甲41 特開2003-144849号公報

甲42 特開平8-206449号公報

甲43 特開2008-80261号公報

(3) 令和5年3月6日提出の弁駁書に添付して提出された証拠

甲44 特開2002-332919号公報

甲45 特開平8-254160号公報

甲46 特開2009-138749号公報

甲47 特表平8-512376号公報

第6 被請求人の主張及び証拠方法

1 被請求人の主張の概要

被請求人の主張する答弁の理由(無効理由に対する反論)は、審判事件答弁書、令和4年6月1日提出の口頭審理陳述要領書、同年7月5日提出の上申書、及び、同年12月21日提出の上申書の記載からみて、概略、次のとおり整理することができる。

・無効理由に対する反論

請求人の主張する無効理由1、無効理由2、無効理由3、及び、無効理由4はいずれも誤りであり、本件特許の請求項1~12、15~17に係る発明は進歩性を有する。

2 証拠方法

請求人が提出した証拠は、次のとおりである。なお、乙第1号証を「乙1」などと略して記載する。

・令和4年6月1日提出の口頭審理陳述要領書に添付して提出された証拠

乙1 Exhaust Gas Scrubber Washwater Effluent、United States Envir

onmental Protection Agency Office of Wastewater Management(

表紙の記載からみて2011年11月に発行)

乙2 広辞苑、第7版、株式会社岩波書店、2018年1月12日、第1

76頁

乙3 国際公開第2012/000790号

乙4 特表2013-534866号公報

乙5 広辞苑、第7版、株式会社岩波書店、2018年1月12日、第2

041頁

第7 当審の判断

当審は、請求人が主張する前記無効理由1~4はいずれも理由がない、と判断する。判断理由の詳細は、次のとおりである。

1 甲号証の記載事項

(1) 甲1の記載事項

甲1には、「排煙脱硫方法及び装置並びに該装置を搭載した船舶」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様である。)。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】

本発明は海洋上または臨海地域において船舶または海洋構造物などから排出される排煙中の亜硫酸ガスを吸収除去する排煙脱硫技術に関する。

イ 「【0007】

【発明が解決しようとする課題】ところで、陸上部における発電設備などから排出される排煙中の硫黄酸化物の低減対策については、上述したような排煙脱硫装置が普及することにより、世界的な規模で進行しているが、重油などの硫黄含有量の多い燃料をエネルギ源としている船舶や海洋構造物などの海洋上の設備から排出される排煙については、特に規制がないこともあってほとんど無処理で大気中に放出されているのが現状である。このため、近年、ますますその重要性が叫ばれている地球環境保全の観点から、このような海洋上の設備から排出される排煙についても硫黄酸化物の低減化が要望されている。

【0008】しかしながら、上述したような陸上部において使用されていた従来の排煙脱硫装置をそのまま船舶などに適用すると、以下のような各種の問題が生じる。

(イ)すなわち、前述した従来の排煙脱硫装置は固液分離機7、ろ液タンク8、スラリ調整槽10などの多数の付帯機器が必要で、多大な設置スペースが船舶等に必要になるとともに、船舶などの重量増加も多く実用的でない。

(ロ)また、従来の排煙脱硫装置では連続的に石膏が副生されるため、航海期間が長引くにつれ石膏量が増大し、この石膏を保管する多大なスペースがさらに船舶などに必要になるとともに、その分さらに船舶などの重量も増大して実用的でない。

(ハ)また従来の排煙脱硫装置では、吸収塔1における蒸発などにより漸次減少する分だけ連続的に工業用水などを補給する必要があるが、そのための工業用水などの確保は海洋上では困難である。

【0009】そこで、

本発明は海洋上または臨海地域において、簡素な装置構成で、保管が必要な副生物を発生させることなく、また工業用水などを使用することなく、排煙中の亜硫酸ガスを吸収除去できる排煙脱硫方法及び装置並びに該装置を搭載した船舶を提供することを目的とするものである。

ウ 「【0015】また、

本例の方法では、海水を吸収工程において循環させず、一度排煙と接触した海水は全て酸化工程及び中和工程を経て放流する構成を採用しており

、これにより前記硫黄化合物(硫酸カルシウム)の析出がより確実に防止されることになる。ただし、

本発明はこのような構成に限定されず、例えば排煙中の亜硫酸ガス濃度が相当に低いような場合には、例えば図1において点線で示すように一部の海水を循環させ繰返し排煙と気液接触させる構成としてもよい。

エ 「【0030】次に、本発明の排煙脱硫装置または船舶の他の例(以下、この例を第2例という)を、図6~図8により説明する。

図6は本例の排煙脱硫装置を搭載した船舶(例えばタンカ)の要部構成を示す側断面図

、図7及び図8は標準的なタンカに本例の排煙脱硫装置を搭載する場合の配置例を示す側面図あるいは平面図である。この船舶100は図6に示すように船体内に排煙脱硫装置130を搭載しており、

この排煙脱硫装置130は推進機関として船内に設置されたエンジン101から排出される排煙中の亜硫酸ガスを吸収除去するものである。

なお船舶100は例えばタンカであり、図7及び図8に示すように、エンジン室の他に、油槽、燃料タンク、ポンプ室、ボイラ室、舵動力室、居住区、操舵室などの通常の設備も有している。

【0031】

この例の排煙脱硫装置130は図6に示すように、未処理排煙Aを海洋中から取込んだ海水と気液接触させる吸収塔131と、エンジン101から排出される未処理排煙Aを吸収塔131の下部に導く導入管132(導入部)と、吸収塔131の上部に海水を吸上げるポンプ133と、吸収塔131において排煙と気液接触して流下した海水を受止める吸収塔タンク134(酸化手段)と、この吸収塔タンク134内の海水中に空気(酸素含有ガス)を吹込んで気液接触させるエアスパージャ135(酸化手段)と、吸収塔タンク134内から導出された海水中にアルカリ剤を添加するための中和剤サイロ136(アルカリ剤添加手段)と、アルカリ剤が添加された後の海水を海中に放流するための放出管137(放流手段)と、この放出管137の途上に接続された排水フィルタ138と、未処理排煙Aから回収した熱で処理後排煙Bを加熱するガスガスヒータ139とを備える。

【0032】

ここで吸収塔131は、この場合もいわゆる充填塔であり、上部には海水を噴出させる複数のノズルが形成されたヘッダパイプ140が水平かつ平行に複数配設され、これらヘッダパイプ140の下方には気液接触面積を多く確保するための充填材141が装填されている。また、吸収塔131の上端には、処理済排煙Bを高所に放出するための煙突部142が設けられ、

この煙突部142の途上にガスガスヒータ139の再可熱部139aが配設されている。そして

各ヘッダパイプ140は海水供給配管143を介してポンプ133の吐出側に接続され、ポンプ133の吸込み側に接続された海水吸込み配管144を経由して、この場合船舶100の船底から取込まれた海水が供給される構成となっている。

【0033】導入管32の途上には、ガスガスヒータ139の熱回収部139bが配設され未処理排煙Aから熱回収されるようになっている。

吸収塔タンク134は吸収塔131の底部に形成されており、この吸収塔タンク134内の海水は、ポンプ145により導出配管146を経由して抜出され後述の中和タンク148に送られる構成となっている。

なお、図6において点線で示すように、

導出配管146から分岐して海水供給配管143に接続された配管146aを設けて、吸収塔タンク134内の海水の一部を再度ヘッダパイプ140に送って排煙と接触させるようにしてもよい。

【0034】エアスパージャ135は吸収塔タンク134内の底部に略水平に固定状態に設置され、空気を噴射するノズルまたは開口が複数形成されたパイプにより構成され、空気源であるブロワ147から供給された空気を吸収塔タンク134内に多数の気泡として吹込み、タンク134内で亜硫酸ガスを吸収した海水と空気とを接触させるものである。

【0035】中和剤サイロ136は導出配管146に接続された中和タンク148の上方に設置され、下端の排出口から内部のアルカリ剤D{例えばCa(OH)

2

}を中和タンク148内に供給するもので、前記排出口に設けられた切出し機(図示略)によりアルカリ剤の投入量が調整される。なお、中和タンク148内には、前述したようにポンプ145と導出配管146により吸収塔タンク134内の海水が導入され、またこの中和タンク148内の海水は放出管137により海中に放流される構成となっている。また図6に示すように、中和タンク148内の底部に、前述のエアスパージャ135と同種のエアスパージャ149を配設し、この中和タンク148内において前述の酸化反応をより完全に行うようにしてもよい。

【0036】排水フィルタ138は放出管137を経由して海洋中に放流される海水中から固形分E(主にフライアッシュなどのダスト)を分離するろ過器であり、

この排水フィルタ138から排出された固形分Eは下方位置に設置された貯留部150に溜まるようになっている。

なお、前述の吸収塔タンク134や中和タンク148内には、反応を促進させるための攪拌機を設置してもよい。

【0037】次に、上述した排煙脱硫装置130の動作と、これを使用した海洋上(船舶100上)における排煙脱硫方法について説明する。上記排煙脱硫装置130であれば、第1例の排煙脱硫装置30と略同様に、船舶100のエンジン101から排出される排煙中の亜硫酸ガスが容易かつ実用的に低減できる。

【0038】すなわち、

エンジン101から排出された排煙(未処理排煙A)は

導入管132により導かれて、ガスガスヒータ139の熱回収部139bで熱回収された後、吸収塔131の下部に導入され、

吸収塔131内(充填材141内)を上昇する過程で、ヘッダパイプ140の複数のノズルから隙間なく噴射される海水に効果的に接触し

、前述の式(4)などの反応が十分に進んで含有していた

亜硫酸ガスがほとんど吸収除去される。

そして、この亜硫酸ガスが吸収除去された排煙は、ガスガスヒータ139の再加熱部139aで加熱された後、

煙突部142から処理済排煙Bとして大気中に放出される。

【0039】一方、

ポンプ133により海水吸込み配管144を介して船舶100の船底から取込まれた海水は、海水供給配管143を経由してヘッダパイプ140から噴射され前記排煙と接触して亜硫酸ガスを吸収しつつ充填材141を経由して流下し、吸収塔タンク134内に流入する。そして、この亜硫酸ガスを吸収した海水は該タンク134内においてエアスパージャ135により吹込まれた多数の気泡と接触して酸化され、さらには、中和タンク148内において中和剤サイロ136から添加されたアルカリ剤D{例えばCa(OH)

2

}と中和反応を起こして、吸収した亜硫酸が硫黄化合物(例えばCaSO

4

)となる。

なお、これらの処理中に起きている主な反応は前述の反応式(5),(6)となる。

【0040】こうして

中和タンク148内の海水は

定常状態では上記硫黄化合物と微量のアルカリ剤や亜硫酸などが溶解した状態となり、これらが、

この場合放出管137により導出され排水フィルタ138でダストなどの固形分Eを除去された後に海中に放流される。

なお運転中には、第1例と同様に、脱硫率と放流水のpH(中和タンク148内のpH)とを最適に維持すべく、未処理排煙A中の亜硫酸ガス量や吸収塔タンク134や中和タンク148内のpHなどをセンサにより検出し、図示省略した制御装置によりヘッダパイプ140からの海水の噴射流量や海水の放流量、さらにはアルカリ剤Dの投入量などを自動的に調節する構成としてもよい。この場合、例えば未処理排煙A中の亜硫酸ガス量が増加した場合には、その増加分に応じてヘッダパイプ140からの海水の噴射流量や海水の放流量を増加させ、また例えば、中和タンク148内のpHが最適値よりも低下した場合には、その低下分に応じてアルカリ剤Dの投入量を増加させるといった処理内容の制御を行えばよい。なおこの場合にも、海水の取込み流量(海水の放流量)は前述の硫黄化合物が析出しないように、十分な流量とするのが好ましい。

【0041】以上のように、本例の排煙脱硫装置130によれば、船舶100から排出される排煙の脱硫処理を第1例と略同様に、船舶100内において簡素かつ軽量な構成で安価かつ実用的に実現できる。なお本発明者らは、上記第2例の排煙脱硫装置130と同様の構成の脱硫装置であって、20万トン級タンカの排煙を処理できる容量の排煙脱硫装置の設置スペース及び設置場所について具体的に試算検討してみたところ、例えば図7(タンカの一部側面図)及び図8(図7の平面図)に示すように、居住区の後方位置に十分設置できることが分かった。」

オ 「【0044】さらに、本発明の(2)記載の排煙脱硫方法によれば、前記中和工程において生成する硫黄化合物が析出しないように、前記海水の流量を設定する。このため、中和後の海水が固形物を多量に含むスラリではなく略液状に保持されるので、中和工程を行うタンクや放流のための配管系などにおけるスケール発生が防止され、前記タンクや配管系の構成が簡単なものになるとともに、前記タンクや配管系の清掃などのメンテナンスも容易になる。すなわち、海水が仮にスラリ状になった場合には、固形物が沈殿して固着しスケールとなりやすいので、それを防止するために海水の流れに澱みが生じないように配管などの形状を特殊なものにする必要があり、場合によってはタンク内に攪拌機を設けることが必須となる。また、沈殿した固形物を清掃するなどのメンテナンスも頻繁に必要になるが、本方法ではこのような問題点が簡単に解消される。」

カ 「【図6】

67

153

0001435442000001.jpg

(2) 甲2の記載事項

甲2には、「排ガスの冷却・浄化方法及び装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【産業上の利用分野】

本発明は、ディーゼル機関の排ガス再循環システムにおいて、ディーゼル機関から排出された排ガスを、海水噴霧により直接冷却すると同時に、排ガス中に含まれているばいじんを海水中に捕捉することにより、排ガスの冷却及び浄化を同時に、かつ、簡便に行なう方法に関するものである。

イ 「【0002】

【従来の技術】

ディーゼル機関のNOx低減技術の1つとして、排ガス再循環(以下、EGRと称す)を行なうことは、従来からよく知られている。

また、実開平2-46057号公報、実開平2-43449号公報には、ディーゼル機関のEGRの排気還流通路中に、ばいじんを捕捉するためのトラップフィルタを設け、さらには、このフィルタの目詰まりを防止するようにしたEGR装置が記載されている。

【0003】

【発明が解決しようとする課題】上記の公報に記載されたEGR装置は、つぎのような問題点を有している。

(1) 上記フィルタでは、ばいじんによる目詰まりが生じ、これを除去するために燃焼再生及びエアパージ等の手段を用いているが、フィルタの目詰まりから再生に至る間のフィルタによる圧力損失は大きく変動し、これがエンジン性能に悪影響を及ぼす。特に過給機付の場合には影響大である。

(2) フィルタを燃焼再生する場合には、フィルタ自体の温度が過度に上昇し、フィルタが破損したり、また、十分に焼却できない場合にはカーボンが焼結し、フィルタの目詰まりを生じる。

(3) フィルタの目詰まりを再生する技術が複雑であり、確実に再生可能な方法は現在のところ、まだ確立されていない。

一方、EGRを行なうと、排ガス中のばいじんが増加する。また、EGRを行なってシリンダ内へ還流される排ガスは、所定の温度まで冷却する必要がある。本発明は、上記の諸点に鑑みなされたもので、ディーゼル機関の排ガスを海水噴霧により直接冷却すると同時に、排ガス中に含まれているばいじんを海水中に捕捉することにより、上記EGRの問題点を一挙に解決することができる方法及び装置を提供することを目的とするものである。」

ウ 「【0004】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、

本発明の排ガスの冷却・浄化方法は、ディーゼル機関の排ガス再循環方法において、過給機を通った排ガスの全部又は一部を海水と直接接触させて、排ガスを冷却すると同時に、排ガス中のばいじんを海水中に捕捉することを特徴としている。また、上記の方法において、排ガスを海水の入った脱じん・冷却装置へ導入し、海水面に対向して排出するとともに、上部から噴霧状の海水を供給するのが望ましい。

さらに、これらの方法において、処理後の海水中に含まれるばいじん、油分などをろ過及び/又は遠心分離により除去するように構成される。

【0005】本発明の排ガスの冷却・浄化装置は、図面を参照して説明すれば、ディーゼル機関10の排ガス再循環系において、過給機12からの主排ガス導管13又は還流排ガス導管15に接続される。排ガスと海水とを直接接触させる脱じん・冷却装置16を設けたことを特徴としている。また、上記の装置において、脱じん・冷却装置16は、内底部に海水面が一定高さとなるように構成され、海水面の上側に、下向きに開口した排ガス導管22が接続され、この排ガス導管22の上側に海水噴霧管24が設けられるように構成するのが望ましい。さらに、これらの装置において、

脱じん・冷却装置16の下部の海水排出管28にフィルタ32、34及び/又は油水分離機36を設けるように構成される。

エ 「【0006】

【作用】ディーゼル機関10に付属する過給機12を通った排ガスは、脱じん・冷却装置16に導入され、ここで噴霧される海水と直接接触して、冷却されると同時に、ばいじんは海水中に捕捉(トラップ)される。処理後のばいじんを含んだ海水は、フィルタ32、34などに通されてばいじんが除去され、ついで、油水分離機36などの清浄機に送られて油分が除去されて、清浄にされた後、海中へ放出される。また、ディーゼル機関単体で排ガス中のNOxを100ppm前後にまで低減することは困難であり、通常、後処理装置を必要とする。このような場合においても、当該脱じん・冷却装置16を使用することにより、EGRが可能となるので、この後処理装置の小型化、簡易化を図ることができる。」

オ 「【0007】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を詳細に説明する。・・・

実施例1

本発明の基本となる実施例であり、図1に示すように、ディーゼル機関10に付属する過給機12及び排ガスエコノマイザ14を出た排ガス全量を本発明の脱じん・冷却装置16で処理する方法である。なお、排ガスエコノマイザ14は設置されない場合もある。処理後の排ガスの一部は、海水ミストセパレータ18に導入され、海水ミストが除去された後、大気とともにディーゼル機関10に付属する過給機12へ還流され、排ガスの残部は排出される。13は主排ガス導管、15は還流排ガス導管である。

【0008】

図2は、脱じん・冷却装置16及びその周りの一例を示している。装置本体20の内底部に海水面30が一定高さとなるように構成され、この海水面30の上側に、下向きに開口した排ガス導管22が接続され、この排ガス導管22の上側に海水噴霧管24が設けられる。26は排ガス出口、28は海水排出管である。

排ガスは、海水面30に対向して排出されることにより、排ガス中の大粒径のばいじんの一部が海水中に捕捉される。

排ガスとともに上昇したばいじんは、噴霧海水により捕捉される。排ガスを洗浄した海水は、1次フィルタ32及び2次フィルタ34でばいじんが除去され、ついで、遠心分離機などの油水分離機36で油分が取り除かれた後、海へ戻される。38は海水フィルタ、40は海水ポンプである。

なお、1次フィルタ32及び2次フィルタ34の2台を設ける代わりに、フィルタを1台にしたり、3台以上にしたりする場合もある。また、複数のフィルタを切換可能に並列に接続する場合もある。また、フィルタ又は油水分離機を設けたり、あるいはその両方を設けたりする場合もある。

装置本体20下部の海水面30は、一定高さとなるように、排ガス流入孔42と海水面30の距離を計測し、例えば、海水排出ポンプ44のバイパス量をバイパスライン46により調整する。

なお、バイパス量により調整する代わりに、液面制御手段(LC)等を設けることも可能である。上記のように、排ガスを海水面に対向して排出するのは、ディーゼル機関の排ガスの過給機出口圧力が低く、圧力損失をそれ程大きく取れないからである。なお、排ガスを海水面に対向して排出する代わりに、装置本体20の側面に、直管状の排ガス導管を接続し、排ガス流入孔が横方向を向くように構成してもよい。しかし、この場合は、ばいじん捕集効率が少し低くなる。また、ディーゼル機関の排ガスの圧力損失を大きく取れる場合は、海水面30の下側に排ガス導管を接続することも可能である。また、海水噴霧管24を設ける代わりに、棚段を設けたり、充填物を充填したりすることも可能である。

【0009】前記のエンジン内部へ海水ミストが入るのを防止するための海水ミストセパレータ18は、遠心力を利用して海水ミストを除去する構造、フィルタにより海水ミストを除去する構造のものなどとすることができる。さらに、図3に示すように、脱じん・冷却装置を出た還流排ガスを、清水による噴霧で洗浄することにより、還流排ガスに含まれる海水ミストを除去するような構造としてもよい。下部から排出される海水は、浄化装置へ送られて処理された後、海へ放出される。48は清水噴霧管である。

・・・

【0011】実施例3

本実施例は、図5に示すように、実施例1(図1)における還流排ガス導管に間接式の海水冷却器50を設けたものである。EGRにおいて、還流排ガスのガス温度を常温近くまで冷却する必要があるが、実施例1では、脱じん・冷却装置のみで行なうため大量の海水を必要とし、装置が大型化する。これに対し、本実施例の場合は、別置の冷却器50を設け、これにより所定の温度まで冷却するため、脱じん・冷却装置の冷却海水量を減らすことができ、装置の小型化が図れる。他の構成、作用は実施例1(図1~図3)の場合と同様である。」

カ 「【0015】

【発明の効果】本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。

(1) 排ガスを海水で洗浄することにより、排ガスに含有されているばいじんを海水中に容易に捕捉することができる。この結果、洗浄後の海水を処理するのに、複雑な装置を必要とせずに、通常使用されているフィルタや清浄材等により、ばいじんを除去できる。このため、

特に船舶内のディーゼル機関の排ガス処理に用いるのに適している。

・・・」

キ 「【図2】

103

153

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(3) 甲3の記載事項

甲3には、「湿式排煙浄化方法とその装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「1.ダスト等を含む排煙を洗浄液と接触させて該排煙中のダストおよび夾雑物を除去する湿式排煙浄化方法において、第1洗浄液の液面を一定に保持しながら前記排煙を排煙導入管から前記第1洗浄液中に泡出させて洗浄し、洗浄した排煙を洗浄塔において第2洗浄液と向流接触させて更に洗浄すると共に、

前記第1洗浄液を前記排煙導入管に循環して導入された排煙を冷却し、前記第2洗浄液を前記洗浄塔に循環する

ことを特徴とする湿式排煙浄化方法。

2.ダスト等を含む排煙を洗浄液と接触させて該排煙中のダストおよび夾雑物を除去する湿式排煙浄化装置において、第1洗浄液の液面を一定に保持する手段を設けた第1洗浄槽、前記第1洗浄液の液面上より液面下方に延び、かつガス分散手段を備えた開口を有する排煙導入管、前記第1洗浄槽で洗浄された排煙を更に第2洗浄液と向流接触させて洗浄するための洗浄塔からなり、前記第1洗浄槽内の第1洗浄液を前記排煙導入管に循環して導入された排煙中に噴霧する手段および前記洗浄された排煙と接触後の第2洗浄液を前記洗浄塔に循環する手段を備えたことを特徴とする

湿式排煙浄化装置

。」(特許請求の範囲)

イ 「〔発明の目的〕

本発明はかかる現状に照らしてなされたものであり、

放射性固形分、ガス状有害物質および揮発分を同時に除去することができ、しかも除染係数の点からは従来の3段以上の効果を持ちながら極めて小型化が可能な方法とその装置を提供することを目的とするものである。

」(第2頁左上欄第8~14行)

ウ 「

第1図

は第1実施例を示し、

本発明の装置は第1洗浄槽1、この第1洗浄槽1において洗浄液の液面上から液面下に延び、かつガス分散手段を備えた開口を有する排煙導入管2および第1洗浄槽1で洗浄された排煙を更に洗浄するための洗浄塔3とからなる。

第1洗浄槽1における第1洗浄液は水でも良い

が、排煙中にダストと共に硫黄酸化物等が含まれる場合には、これを除去、固定するために苛性ソーダ水溶液、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、またはこれらの炭酸塩等の懸濁液または水溶液の使用が好ましい。

第1洗浄槽1では、第1洗浄液中に導入され、水中に泡出される気泡と第1洗浄液との接触によって排煙中のダストが除去される。

そして、気液の接触の度合いは、排煙導入管1の開口部が液面よりどの程度下に位置するかによって大きく変化する。

従って、

液面を所定の位置に保持するための手段を第1洗浄槽に設ける必要がある。

この手段としては、槽1に堰を設け

、この堰から槽外に液を溢流させる機構、浮子、ロードセル等によって液面を検出し、この信号によって槽に流入または流出する液量を調整する機構、または

図示のように槽1の側面に排出管4を設け、この排出管4から液を流出させる機構などを挙げることができる。

また、

排煙導入管2が有するガス分散手段5

を備えた開口としては、図示のような矩形スリットのほか、三角スリット、多孔型などガスを液中に吹き出させる構造、望ましくはガスを分割して液中に泡出させる構造であれば良い。

かかる排煙導入管2からの排煙の吹き出しのみによる単なるバブリングに加えて気液の十分な接触を助長するために、

排煙導入管2のガス分散手段5の下方に攪拌機6を設置することもできる。

更に排煙が硫黄酸化物等を含む場合には、

洗浄槽1の底部に酸素含有ガス導入管7を設置

して、形成される亜硫酸塩の硫酸塩への酸化を促進することもできる。

第1洗浄槽において洗浄された排煙は、洗浄塔3に導かれて更に洗浄される。

洗浄塔3としては、気液接触部8を有する充填塔または棚段塔が用いられ、矢印Aに沿って上昇する排煙は洗浄塔3上部から噴霧される第2洗浄液との向流接触により更に洗浄され、しかる後に排出口12から排出される。

洗浄塔3を流下した第2洗浄液は、第2洗浄槽9に集められ、ポンプ10により冷却器11を経て第2洗浄塔3に循環され、再び噴霧される。

なお、

第2洗浄液の組成については前記第1洗浄液と同様なことが当て嵌る。

また

第2洗浄液の一部は第1洗浄液と共に排煙導入管における気液接触に循環される。

なお、

第1洗浄槽1および第2洗浄槽9には、それぞれ洗浄液供給管13および14が設けられている。

」(第2頁左下欄第3行~第3頁左上欄末行)

エ 「第2図は本発明の第2実施例を示し、・・・

また、洗浄塔3内の所定水位から取り出された第3洗浄液は第1洗浄槽1内に流下して、

ガスの増湿によって失われた水を補充する

。」(第3頁右上欄第1~18行)

オ 「一方、堰16によって気液分離され、貯液槽17において第3洗浄液と合併され

た洗浄液がポンプ18によって排煙導入管2に送られ、供給された排煙Gに噴霧され

、排煙は飽和温度まで冷却される。」(第3頁右下欄第3~7行)

カ 「

第1洗浄槽1および第2洗浄槽9において捕集されたダストはポンプ19によって遠心分離機20に送られ、ダスト21が分離される。

」(第4頁左上欄第9~11行)

キ 「〔実施例〕

実施例1

第4図に示した湿式排煙浄化装置を用いて、

放射性廃棄物を対象とした焼却炉から発生するオフガスの処理を行った。

・・・

なお、第4図において27は中和剤投入管路を示し、焼却炉オフガス中の硫黄酸化物等によって第1吸収槽1および第2吸収槽9内の洗浄液は酸性になるので、アルカリ、例えば苛性ソーダ、水酸化マグネシウム等を供給してpHを制御した。

また、第1洗浄槽1に蓄積した煤塵量および酸の中和によって形成された塩濃度を許容値以内とすために排水管27から間歇的に洗浄液を排出させた。

なお、気液接触部8で噴霧される第2洗浄液および第2洗浄槽9内の第3洗浄液内の煤塵量および中和塩濃度は、溢流管4’からの溢流によって一定に保たれる。

この排出した洗浄液は焼却炉に送って焼却した。」(第4頁右上欄第17行~右下欄第19行)

ク 「

97

105

0001435442000003.jpg

(4) 甲4の記載事項

甲4には、「化学・化学関連工業用ディスク型遠心分離機」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「遠心分離とは、重力による自然沈降を、時には重力の10,000倍を超える力に変換して、沈降を促進させる方法です。ディスク型遠心分離機ではこの高く変換された遠心力がディスクを重ねることによって100倍にも増加した沈降面と共同して機能します。これは独特な特徴でたいへんコンパクトな形態で、高い効率を持った機械の製作が可能になりました。50m

3

/hの通液容量を持つ中サイズのディスク型遠心分離機では2m

2

以下の据付面積があれば充分ですが、これは100,000m

2

以上の静的据付面積に相当します。

ディスク型遠心分離機は機械的分離のために非常に効率のよい機械です。

この装置には数え切れない適用例があります。例えば、清澄や回収の必要な液、互いに分離したい2液、回収や脱水の必要な固形分、固体選別などです。

これは生産工場、船舶、発電等の分野において色々な種類の原料の抽出と清浄から最終廃棄物処理のプロセスにまで使うことができます。

アルファ・ラバルは、遠心分離設備を必要とされる製造関係の方々に、幅広い選択を提供しています。この設備は、アルファ・ラバルの創設者であるグスタフ・デ・ラバル博士が、1878年に連続式遠心分離機を開発して以来ずっと当社の専門になっています。」(第1頁第1~13行)

イ 「どんな場合に遠心分離機を使うか。

分離設備は経済的理由、環境の要因、プロセス、プロセスに必要な条件などを考慮して選びます。そういうわけで、ある場合に最適な遠心分離機が選択できるように、すべての条件を書き出すことは、実際には不可能です。とは言っても、基本的な指針となるものはあり、それを4~5ページに掲載しました。更に、次に掲げた1つか、それ以上の必要条件が満たされなければならない時、ディスク型遠心分離機の多くの独特の利点が発揮されます。

1

高い分離効率が要求されている時

ディスク型遠心分離機はたいへん効果的です。高価なフィルター助剤や、連続供給と処理費用の必要な凝集剤なしに、これらの分離機は、約0.1ミクロンまでの粒子を分離できます。これは遠心力と沈降面積を莫大に増加させるディスクを装備している結果です。

・・・

3

連続プロセスが必要な時

遠心分離は、液の連続供給・排出や固形分の連続または、断続排出するなど、それ自体は連続プロセスです。そのプロセスは、洗浄の必要がなく、長時間の運転が可能です。

・・・

11

据付場所が高価、または制限がある時

ディスク型遠心分離機は入手可能な最もコンパクトな分離設備です。たとえば、通液容量200m

3

/hの機械では、床面積は4m

2

で済みます。そういうわけで、遠心分離は、床のスペースが高価であったり、プラントの排出物が現在の土地で、増加する可能性がある時に、たいへん適しています。

更に、遠心分離機は容易に輸送でき、可搬式ユニットの中で使うことができます。

12

簡単に据付をしたい時

コンパクトで簡素なことから、遠心分離機は据付するのが簡単で安価です。入口と出口に精巧な装備が必要ありませんし、高いポンプ圧が不要です。内蔵のペアリングディスクタイプのポンプが使われている時、外部にはポンプは不要です。

更に、振動の問題はなく、特別な耐振動のための基礎も必要ありません。」(第2頁第1行~右欄末行)

ウ 「処理液について

遠心分離には分離プロセスで出てくる様々な要求を満足させる融通性があります。化学及びその関連工業では、これらの要求はしばしば非常に多種多様なので既製の標準的な設備では満足できる結果は得られません。しかし、プロセスエンジニアが各々の場合に標準型遠心分離機を適応させたり又、適当な標準パーツを使うことによって改造を行ない運転を楽にします。

達成できる結果

ディスク型遠心分離機は基本的な分離工程の全範囲にわたって使用できます。実際にはまず次のようなものに適応し選択し、その過程を楽にします。

ディスク型遠心分離機に融通性があるので、これらの末端の間ののぞましい結果を出すことができます。もちろん機械は、きびしい要求に対処するように組み合わすことができます。

固液分離

・液相の最大清浄

・液相の最大回収

・固相の最大回収

・固相の最大乾燥

・固相の選別

・・・

固形分と液体の物理的性質

分離装置を選んだら、その装置が、異なった物理的性質を持つ固形分と液体をどのように扱うかを知ることも重要です。下の表はいくつかのパラメーターを示し、ディスク型遠心分離機はどのようにこれらのパラメーターを処理するかをまとめています。

粒 形 理想的な球状の形からくずれた粒子でも、比重差が

あれば、分離は比較的うまくいきます。

粒子サイズ分布 分離限界以上のすべての粒子は分布の広さに関係な

く分離できます。そして、これは、処理液、機械の

特徴、通液量によって決まる鋭い切断点から成って

います。いくつかのごく小さいサイズの粒子もまた

分離できます。

分離濃縮物の濃度 遠心分離機は粘着性、どろ状でふんわりした物質や

他の分離装置では扱うのが難しいフロックをも分離

します。

・・・

化学・化学関連工業に特有な必要条件

化学・化学関連工業で扱う物質はしばしば危険が伴います。すなわち、スパーク、爆発、毒ガスなどの危険があります。また、事実上、物質は腐食性、侵食性があるのが一般的です。下の表は、遠心分離機を使うに当たって、そのような特殊な取扱上の問題がいかに解決できるかを示しています。

・・・

酸化しやすい、或いは 標準密閉型が使えます。

あわになりやすい製品

毒性の危険 気密または密閉型をお勧めします。

・・・

腐食の危険 接液部は高品質ステンレス鋼が標準です。御要

望に応じて特殊材質が使えます。」(第4頁第1行~第5頁下から3行)

エ 「デザインと運転

ディスク型遠心分離機には3つの基本型があります。3つは、処理液中の固形分量によって能力が違い、それに応じて分離固形分が分離容器から排出される方法が異なっています。一般的な構造上の特徴では、3つとも同じです。

分離容器、いわゆるボウルは、毎分約4500から7000回転のスピードで回転しており、ベアリングによって上部、下部端で支えられている垂直スピンドルの先端に取り付けられています。スピンドルは、ウォームギアを介して、水平に据えられているモーターか又は、垂直に据えられているモーターからベルトによって駆動されます。

ベースはスピンドル、ボウル部、駆動部、スピンドルとボウルのケーシングを支えています。入、出口パイプはボウルの上部についており、排出装置はボウルのケーシングの下部にあります。

・・・

ボウル

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ボウルは下部ボディと上部フードがロックリングにより組み合わされてできています。

ボウルには次の内部部品があります。

●ディストリビューター

ボウル内部の垂直軸に据えられています。ディスクスタックを支えているフレアになった下端を持つ軸状のリムチューブです。

ディスクスタック

リブによって、約0.5~1mmの間隙を持った

薄い円すい台状のコーンの組み合わせによりできています。スタックは、ボウル本体とフードの間で固定されています。

中型の機械では、ディスクの数はおよそ100から150です。

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70

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固液分離

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分離される液は、ボウルのケーシングの先端に付いている固定した入口パイプからディストリビューターの中へ供給されます。

液はディストリビューターの底部を通り、ディスクスタックの中に入ります。分離はこのディスクの間で行われ、液中の構成物は、このディスク間のたいへん短い距離を互いに別れるように動きます。

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濃縮固形分はディスクの底面に向かって、遠心力によって、外側に放射状におしつけられます。すると、固形分はディスク表面を伝わり、ボウル壁の固形分のスペースに集められるように移動します。ここで、機械のタイプによって、その中にためられるものと排出されるものがあります。

軽液はディスク間を中心に向けて、内側を移動し、ボウルの首部分の出口から流出します。

・・・

液供給と排出

製品やプロセス上の必要によって決まる技術的要求を満たすために、供給液のボウル内への入り方や分離液のボウルからの排出方法によって特徴づけられる3つの異なったデザインのディスク型遠心分離機をアルファ・ラバルは提供することができます。

・・・

開放デザイン

処理液はディストリビューターの中に突き出ているパイプを通って入り、分離された液はボール(当審注:「ボウル」の誤記と解される。)の首部分で、大気圧下でオーバーフローします。それから、ボウルを囲んでいるカバーの中に振り出されます。

・・・

密閉デザイン

処理液は圧力をかけられて、中空のボウルスピンドルを通って底部から入ります。分離された液は、なお圧力をかけられて、密閉出口を通ってボウルの外に出されます。ボウルは運転中完全に液体で満たされており、入・出口のシールは、空気を内部に入れません。密閉デザインでは、供給と排出のために、遠心ポンプが、中空ボウルスピンドルとボウルの軸上に取り付けられています。」(第8頁第1行~第10頁左欄末行)

オ 「

固形分排出型又はセルフクリーニング型遠心分離機

このタイプの遠心分離機は、通常の作業範囲において、処理液中の固形分含有量が、体積で約1%から、6~10%まで、のものに使用可能です。処理液中の固形分濃度が高い時には、ソリッドリティニング型では、からにするために始終止めていなければならず、不経済です。そういう場合にこのタイプが使われています。また、この固形分排出型は、固形分含有量はたいへん低いが、固形分の手で取扱ったり手動操作を避けたい場合にも使われています。

・・・

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91

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基本型固形分排出ボウルデザイン

ボウルの最も広い部分に、環状の排出スリットがあります。

運転中、この穴は、ボウルの下部の区面にある操作液(通常は水)の水圧によってスライディングボウルボトムが、ボウルフードに対して強くおしつけられ、閉じた状態になっています。

運転

分離された固形分はスライディングボウルボトムとボウルフードの接合部の固形分保持空間にたまります。適当な間隔で、水圧が、すばやくタイマーやセルフトリガーの感知装置の信号によって解除されると、スラィディングボウルボトムが下方へ押しやられ、ほとんど瞬時に再び上がります。

この動作で環状の排出スリットが開閉し、固形分は遠心力によってボウルを囲んでいる収集カバーの中に排出されます。

スリットが開いたままになっている時間の長さによって全排出(ボウル内の全容量)か、部分排出(固形分のみ)に分かれます。前者では、処理液の供給を排出サイクル中、1時的に中断し、ボウルは洗剤で洗浄することもできます。後者では、分離は終始中断なしで続きます。」(第14頁第1行~第15頁左欄末行)

カ 「ノズル型遠心分離機

ノズル型遠心分離機の特徴は、運転中にノズルを通して分離された固形分を排出することです。この型は、供給固形分が体積で約6%から25-30%までの場合に適しており、従って、固形分排出型ではかなり頻繁に排出しなければならない時に使われます。高い通液量が必要な時や、固形の最終濃度が比較的低くてもよい場合または適当である場合に、高純度の液を大量に処理する時に使われることもあります。また、この機械は、連続運転できるので選別(クラシフィケーション)作業に最も適した遠心分離機です。

・・・

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基本的ノズル型のデザインと運転

基本的アルファラバルノズル型遠心分離機の特長はボウルの最も広い部分のまわりに一定の間隔をおいて、最多で18のノズルがあることです。固形分はボウルの最大径の部分に集まりそこから収集カバーの中に、ノズルを通して直接排出されます。動力を軽減するために、ノズルを接線方向に取りつけて、固形分が排出する時、固形分の反動エネルギーを利用できるようにしています。このノズルボウル型は、固相の特性に影響を受けません。」(第16頁第1行~第17頁左欄末行)

キ 「これまで、このカタログは、様々な状況の中で、分離設備に求められていることやディスウ(当審注:「ディスク」の誤記と解される。)型遠心分離機がこれらの要求を満たせる利点を持っているということを説明してきました。そういうわけでアルファ・ラバルのディスク型遠心分離機のデザインと運転に関する範囲での一般的原理を入口と出口の特性の方面から、記述してきました。

化学とその関連工業では製品やプロセスの量が多様なので、すべてのディスク型遠心分離機の応用について記載することはできません。しかし実際的な現実の生活環境について述べる事は有用だと思います。次に、

遠心分離機が現在使われ又分離の目的のための標準的設備として考らえれている(当審注:「考えられている」の誤記と解される。)2、3の例をあげます。

食品プロセス工業、機械工場、船舶、発電所関係のアルファ・ラバルディスク型遠心分離機とその応用については列記してありませんがお問合せに応じて、お知らせします。

ゴム農園

天然ゴムラテックスの濃縮。

金属と鉱物の精練

溶剤抽出プラント中の試薬(例えば銅抽出中のLIX64N)の回収と清澄。ウラニウム抽出とモリブデン回収における濾液(当審注:原文は異体字表記)の洗浄。

0.6ミクロン以上のすべての粒子を除き選別も同時に行うカオリン粘土の脱水。

石油の採掘

水と砂から、タールサンドとケツ岩油の3相分離。

パルプと紙工業

水からテレピンの分離。亜硫酸及び硫酸カルシウムの細かい粒子を分離するリグノ-スルホン酸の清澄(それによって、製品の品質が向上)。廃酸水、リグニン、硫酸カルシウムを含んでいる固形分からのトール油の回収。

化学工業

無機・有機化学

この工業は極端に多様化していますので遠心分離機は、化学品、溶剤、触媒の回収、液の清澄、顔料の選別、2液の分離などの多数の操作のために使われています。

・・・

合成燃料

石炭液化においてプロセス中の再使用するための重油の清澄

プラスチック物質、合成、人工繊維

これらの工業の中でも、上に述べたのと同じ多くの操作で、遠心分離機が使われています。

・・・

製薬

この分野でも遠心分離機は広い範囲の分離に使われています。特に、発酵(当審注:原文は正字表記)製品、動物、野菜の抽出物の製造に多く使われています。これらの中には、抗生物質、酵素、バクテリア、血液の血漿プロテインの回収、抗生物質やアルカロイドの液抽出物や溶剤抽出の清澄などであります。

・・・

塗料、ニス、ラッカー

フエノール樹脂ラッカーやアルキドボートニスのような高粘性液の高能率清澄・・・製品の交換もす早く行えます。

農業化学

安定した能力で容易に製品の転換ができ製品に手を触れる事なくゴム状物質から殺虫剤溶液の清澄ができます。湿式法によるセッコウからリン酸の清澄など。安定した能力とプロセスの立上りが敏速なので浮遊鉄とアルミニウム塩(後沈)からシッピング酸の清澄。詰まりなしで砂と有機粘液からリン酸、硝酸混合物の清澄。

異種混合の化学製品

ニトログリセリンからの廃酸や洗水の分離。密閉状態でのプロセス残留物からあわ消火器液の清澄。

石油精製工業

詰まりなしでゴム状残渣から潤滑油添加剤の清澄。硫酸を使用するプロセス(敏速で制御しやすいため)石油の中の酸タールの分離でそれに続いて中和段階における廃カセイソーダから油の分離があります。その段階で遠心分離機は設置タンクに比べて大きな空間を節約できます。

金属精製工業

鉛の二次精製工程における重金属水酸化物フロックの回収、詰まりがなく、固形分のロスも減少でき、非常に澄んだ清澄液が得られます。アルミニウムからガリウム抽出における水銀化合物の除去。

電気工業

バッテリー化合物の脱水。

写真用品

フィルム製造工程においてゼラチンが存在する場合でも、詰まり或いはねばりつきなしに銀化合物の回収が行なえます。

原子力発電と研究

手作業なしに自動遠隔操作遠心分離機を使って放射性粒子から洗浄水の清澄。

廃水と下水プラント

より経済的な汚泥処理のために、地方自治体や工業用の廃水プラント中の活性汚泥の濃縮。

」(第18頁左欄第1行~第19頁右欄末行)

ク 「ディスク型遠心分離機の据付

下図は、自動固形分排出遠心分離機を組込んだ分離プラントの典型的なレイアウトを示しています。

連続ノズルボウル機の据付には、当然、排出操作水システムや排出制御装置は必要ありませんが、自動洗浄ストレーナーを使うことは必須です。

ソリッドリティニング遠心分離機の据付には、自動洗浄ストレーナーの代わりに簡単なストレーナーでよく固形分収集用のタンクや排出制御装置は必要ありません。

機械の状態や分離特性を監視するために遠隔操作制御設備はすべてのタイプの機械に取り付けることができます。

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」(第20頁第1行~末行)

(5) 甲6の記載事項

甲6には、「船舶用排煙処理装置及び船舶用排煙処理方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】

船舶用エンジンから排出される煤塵及び硫黄酸化物を含有する排ガスに対し、海水を接触させて増湿すると共に冷却する増湿冷却装置と、

前記増湿冷却装置で増湿冷却された増湿冷却排ガス中の硫黄酸化物を除去する浄化触媒部を有する浄化装置とを具備する船舶用排煙処理装置において、

前記増湿冷却装置を通過する排ガスと接触海水との液ガス比(排ガスを冷却する際に必要とする水流量(L)/排ガス流量(Nm

3

))が1.5以上であることを特徴とする船舶用排煙処理装置。」

イ 「【背景技術】

【0002】

陸上のエンジンやボイラについては、排ガス中の硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、煤塵等に関する規制に対し、例えば脱硫装置、脱硝装置、煤塵除去装置などがそれぞれ存在する。また、活性炭素繊維を用いた陸上の浄化装置の提案もある(特許文献1)。

【0003】

ところで、船舶のエンジンや発電機から出る排ガスについては、国際的な排ガス規制が無かったが、2005年度から一部の海域において国際条約による規制が開始されている。

そこで、本出願人は、活性炭素繊維を用いて船舶から排出される排ガス中の前記硫黄酸化物を処理することを先に提案している(特許文献2)。」

ウ 「【実施例1】

【0017】

本発明による実施例に係る船舶用排煙処理装置について、図面を参照して説明する。

図1は、実施例に係る船舶用排煙処理装置を示す概念図である。

図1に示すように、本実施例に係る第1の船舶用排煙処理装置10Aは、船舶用エンジン11から排出される煤塵及び硫黄酸化物を含有する排ガス12に対し、海水13を接触させて増湿すると共に冷却する増湿冷却装置14と、前記増湿冷却装置14で増湿冷却された増湿冷却排ガス15中の硫黄酸化物を除去する浄化触媒部16を有する浄化装置17とを具備する船舶用排煙処理装置

において、前記増湿冷却装置14を通過する排ガス12と接触海水13との液ガス比(排ガスを冷却する際に必要とする水流量(L)/排ガス流量(Nm

3

))を1.5以上とするものである。

ここで、図1中、符号18は浄化装置17で硫黄酸化物が除去された浄化ガス、

符号19は浄化ガス18を外部排出する煙突

を各々示す。

なお、通常前記排気ガス12には、約1000ppm程度の硫黄酸化物(SO

2

、SO

3

)、約10%程度の酸素、及び二酸化炭素、窒素、水が含まれている。

【0018】

また、

浄化装置17の浄化触媒部16の上方側にはスプレーノズル20が設けられており、

浄化触媒部16に噴霧することで、排ガス中の硫黄酸化物を触媒作用により分解した亜硫酸を洗い流すようにしている。

【0019】

そして、前記浄化装置17の浄化触媒部16の下部側には、排気ガスの浄化で生成した液体(硫酸)を溜める貯留部が形成されている。なお液体の一部はスプレーノズル20から噴霧するように循環することも可能である。

・・・

【0021】

上述の構成において、増湿冷却装置14に導入された排気ガス12中の硫黄酸化物(SO

2

、SO

3

)は、増湿冷却の際においてその一部が除去されるが、残留した硫黄酸化物は、活性炭素繊維からなる浄化触媒部16の触媒作用により、排ガス中の酸素及び排ガス中の水分、散布された水分と反応して希硫酸が生成される。

そして、浄化触媒部16で形成された希硫酸は、別途中和処理されて廃水される。

【0022】

一方、活性炭素繊維等の浄化触媒部16にて硫黄酸化物が除去された浄化ガス18は、煙道及び煙突19を通り、外部へ排出される。

・・・

【0033】

また、増湿冷却装置14において、スプレー水の流量を増大し、ガス流速を上げることで排ガス中の除塵が可能となり、触媒浄化部16への煤塵付着・閉塞を抑制することができることとなる。

また、増湿冷却装置14において、海水の大量の噴霧により脱硫処理も併せて行うこととなるため、浄化触媒部16の触媒量を減らせるという利点もある。

・・・

【0036】

また、増湿冷却装置14で使用する海水13は、その一部13aを排出水とするが、残りの海水13bについては

循環ポンプ

を用いて増湿冷却装置14に循環して再利用することも可能である。

ここで、現時点においては、船舶からの排出水13aの規制についてはないものの、水質汚濁防止法等を考慮して排出水13aの煤塵(SS成分)濃度は200mg/L以下、油分濃度は15ppm以下に調整する必要があるので、増湿冷却後の海水の煤塵量、油分量等を別途測定し、再利用可能な海水量を自動で調整するようにしてもよい。」

エ 「【図1】

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153

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(6) 甲7の記載事項

甲7には、「遠心分離機の制御方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「産業上の利用分野)

本発明は遠心力で固形物含有液を液相と固形物相に比重差で分離する遠心分離機に係わるものであり、特に燃料油や潤滑油等から水分や固形物を分離して上記油を清浄化する遠心分離機において最適な制御方法に関するものである。」(第1頁右下欄第2~7行)

イ 「従来技術)

従来固形物や水分等が混在する燃料油や潤滑油等を清浄化する遠心分離機としては、

分離性能が高く、且つ保守が容易で自動運転される分離板型遠心分離機が広く用いられている。

上記分離板型遠心分離機は、高速回転される回転体内に截頭円錐形状の分離板を多数積層しており、当該分離板の分離効果と遠心力とにより液相と固形物相を効率よく相分離し、分離室内に蓄積した固形物は、回転体の周部に具備したスラッジ排出弁の開閉により間歇的に回転体外へ排出される。従来の上記スラッジ排出弁の開閉制御方法は、遠心分離する前に原液中の水分や固形物の含有量を分析し、当該分析値に基づいて開閉間隔時間を設定したり、あるいは従来の経験に基づいて上記時間を設定しタイマー制御により行なわれるか、又は分離された油分(軽液)中の水分(重液)を軽液流路に設けられた重液検知器により連続的に監視し、検知された重液含有量に基づいて接続された制御装置で開閉制御している。上記の他にフロートを用いて回転体内の固形物界面位置を検知したり、又重液流路の固形物による閉塞を検知すること等により回転体内の固形物蓄積量を検知し接続された制御装置で開閉制御する方法等も提案されている。」(第1頁右下欄第8行~第2頁左上欄第11行)

ウ 「発明が解決しようとする問題点)

上記タイマーや重液検知器を用いた蓄積固形物排出のためのスラッジ排出弁開閉制御方法においては、原液中の固形物含有量の変動に追随できず特に固形物量/重液量の比が高くなればなるほど適切な固形物排出が困難となる。フロートを用いて直接蓄積した固形物界面位置を検知する方法では、界面位置が必ずしも明確でない事やフロートの移動障害が起りやすい事、又重液流路の閉塞を検知する方法では、固形物が異常蓄積しても重液のショートパスが起きやすく必ずしも重液流路が閉塞されない等の不確定性のため上記2つの方法は実用的でない。スラッジが過剰蓄積した場合には、回転体のアンバランスによる回転不良や騒音の発生及び回転駆動系統の過負荷や固形物の圧密化による排出不良等の遠心分離機運転上の重大な障害を起す。従って通常は安全性の面から許容される処理容量よりも相当少ない処理量で運転するか、又は必要以上に縮かい周期でスラッジ排出弁の開閉を行なっているのが実情である。このためスラッジ排出弁の摩耗増加、処理量の減少、清浄油の損失及び動力費等の増加を招いている。」(第2頁左上欄第12行~第2頁右上欄第13行)

エ 「問題点を解決するための手段)

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、固形物を含有した原液中の固形物含有量に正確に追随して、常に適正なスラッジ排出が行なわれるべく制御する方法を提供するものであり、その要旨とするところは、固形物を含有した原液を高速回転する回転体で遠心分離し、分離室内に蓄積した固形物を回転体に具備したスラッジ排出弁の開閉により排出する遠心分離機において、原液供給流路に設けた固形物濃度の検出装置からの出力信号により、原液供給量及び/又はスラッジ排出間隔時間を制御するか、又は原液供給流路及び分離液排出流路に設けた固形物濃度の検出装置からの出力信号により、原液供給量及び/又はスラッジ排出間隔時間を制御することを特徴とする遠心分離機の制御方法である。」(第2頁右上欄第14行~左下欄第9行)

オ 「作用)

固形物を含有する原液Aを高速回転する回転体9の軸心部に供給すると、遠心力と分離板10の分離効果により効率よく相分離される。分離された固形物Bは分離室13内の最外径部に徐々に蓄積してくる。固形物Bが安全且つ効率上から設定された内径位置まで蓄積すると、スラッジ排出弁12が一定時間開弁され固形物Bはスラッジ排出孔11から排出される。上記固形物の蓄積量は、原液供給流路7に設けた固形物濃度の検出装置2aにより原液A中の固形物濃度を測定し、信号を制御装置4に出力して、当該制御装置4で積算することにより成されるか、又は固形物濃度の検出装置2bを分離液排出流路8にも設け、原液A中の固形物濃度と分離液C中の固形物濃度の差を制御装置4で積算することにより求められる。回転体9内の固形物蓄積量を一定に制御するには、上記固形物Bの積算量又は固形物濃度に基づいて制御装置4により原液流量調整弁3の開度調節による原液供給量の増減か、又はスラッジ排出弁12の開閉間隔時間を制御することにより成される。」(第2頁左下欄第10行~右下欄第10行)

カ 「実施例)

本発明を一実施例を示した図面に基づいて詳述する。

第1図は系統図、第2図は回転体半部の部分縦断面図である。1は回転体9を有する縦型の遠心分離機である。回転体9は軸心部で回転すべく支持され内部に多数の截頭円錐形状の分離板10が一定の間隙をもって積層されている。回転体9の周部には周部内壁に添って水圧で上下に摺動するスラッジ排出弁12により開閉されるスラッジ排出孔11が具備されている。2a、2bは固形物濃度の検出装置で原液供給流路7及び/又は分離液排出流路8に設けられる。上記検出装置2a、2bは、光電式、色度式、吸光度式等の液中固形物濃度を検出できるものであればよい。原液供給流路7には上記検出装置2aの上流側に原液Aの供給量を調節する流量調整弁3、下流側に遠心分離機1からの背圧を制御する背圧弁6が設けられている。4は検出装置2a、2bからの出力信号に応動し、スラッジ排出弁12の開閉間隔時間及び/又は原液の流量調整弁3の開度を制御する制御装置である。5は上記制御装置4、タイマー及びその他遠心分離機の運転に必要な各種制御装置等が組み込まれた制御盤である。14はスラッジ排出弁12を水圧によって上下に摺動し開閉するために回転体9の下部に組み込まれた開閉装置への作動水供給を制御する作動水制御弁で、14aは開弁側、14bは閉弁側の制御弁である。」(第2頁右下欄第11行~第3頁左上欄第18行)

キ 「上記構成の装置を用いて、固形物を含有した原液Aを遠心分離し、分離室13内に蓄積した固形物Bを排出する制御方法について以下述べる。回転体9の分離室13外径部空隙に徐々に蓄積してきた固形物Bは、安全性や分離効率及び回転駆動部への負荷等から設定された許容位置まで蓄積されると、スラッジ排出弁12が開弁されスラッジ排出孔11から回転体9外へ排出される。」(第3頁左上欄第18行~右上欄第5行)

ク 「分離処理される原液は固形物を含有した鉱油以外にも汚泥、発酵液の菌体分離や飲料等であってもよい。」(第3頁左下欄第4~6行)

ケ 「

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(7) 甲8の記載事項

甲8には、「分離板型遠心分離機およびこれに用いる分離板」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、分離板型遠心分離機およびこれに用いる分離板に係り、特に、分離効率を高め、分離能力を理論計算上の能力に近づけることができる分離板型遠心分離機およびこれに用いる分離板に関する。」

イ 「【0002】

【従来の技術】

分離板型遠心分離機は

、遠心力および沈降面積が共に大きく、

船舶用ディーゼルエンジンの燃料油、潤滑油の浄化

をはじめ、多くの産業用分野で処理液中の不純物の除去、例えば固形微粒子を取り除く清浄機として採用されている。

【0003】図6は、このよう分離板型遠心分離機の代表機種である自己排出型(SJ型)の分離板型遠心分離機の回転体を示す断面図、図7は、図6の分離板を示す斜視図、図8は、図7の上方向からの視図である。図6において、この回転体20は、高速で回転する回転体本体21と、該回転体本体21の中央に配置され、下方に拡径部23を有する筒状の案内筒22と、該案内筒22の前記拡径部23の周方向に沿って等間隔に設けられた複数の通液孔25と、前記案内筒22の軸方向に沿って所定間隔で多数積層された分離板26とから主として構成されている。分離板26は、図7に示したように、案内筒22の拡径部23の周方向に沿って設けられた多数の通液孔25に対応する複数の通液孔27および該分離板流通孔27相互間に等間隔に設けられた間隙片28とを有している。

【0004】なお、図6中30は、原液入口管、31は、案内筒22に設けられたリブ、32は、回転軸、33は、回転体本体21を前記回転軸32に固定する袋ナット、34は、弁シリンダ、35は、軽液排出路である。

【0005】このような構成の、分離板型遠心分離機の回転体20は、例えば9000rpmで高速回転し、原液入口管30から導入された原液は、案内筒22の拡径部23の下面に沿って外周方向に流通し、リブ31の作用によって案内筒22と共に回転して遠心力が付与される。遠心力が付与され、案内筒22の外周近傍まで到達した原液は、前記案内筒22の通液孔25に流入し、該案内筒通液孔25に対応して形成された、分離板26の通液孔27が連通する流通路を上向流として流れる。このとき原液の一部は最も下の分離板とその上に位置する分離板との間の分離空隙に流入し、他の一部は下から2番目の分離板とその上に位置する分離板との間の分離空隙に流入し、以下順次分離板積層体の分離板相互間に形成される分離空隙に分配され、流入する。

【0006】分離板相互間の分離空隙に流入した原液は、分離板26の中心方向に向かって流れ、固形分は遠心沈降によって分離空隙を形成する上側分離板の下面に沈降し、該分離板の下面に沿って外周方向に移動し、他の固形分と集合、堆積して分離板の外周端を経て分離板積層体の周囲の空間部に到り、回転体内の最大径部に堆積する。堆積した固形分は、弁シリンダ34の開閉により定期的に排出される。他方、固形分が分離された処理液(以下、軽液ともいう)は、分離空隙の下側分離板26の上面に沿って内周方向に流動し、分離板26の内周と案内筒22との間の軽液排出路35を経て回転体20から流出し、固形分が分離除去された軽液として回収される。」

ウ 「【図6】

114

102

0001435442000014.jpg

(8) 甲9の記載事項

甲9には、「遠心分離機による固液分離方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0002】

【従来の技術】

従来、固形物や水分などを含有する潤滑油や燃料油などから、それらの固形物や水分などを分離除去して清浄油を回収したり、有用な固形物を含有する各種液体から固形物を分離して回収する固液分離などに、高速で回転する回転体の高い遠心力による比重差で固形物を分離する遠心分離機が使用されている。

【0003】

また、前記遠心分離機の中でも、回転体内に多数の分離板を積層した分離板群を装着し、分離板群の大きい沈降面積を利用して微粒子などを効率よく分離することができる

分離板型遠心分離機が多くの産業分野で利用されており、特に船舶における潤滑油や燃料油の清浄化には一般的に多数使用されている。

【0004】

従来の遠心分離機について、分離板型遠心分離機を例として図2に基づいて説明すると、分離板型遠心分離機は、外周部にスラッジ排出孔13を有する回転胴11と回転胴11上部を覆蓋する回転体蓋部12から主になる回転体10を回転軸22に固定し、回転体10内に、截頭円錐形状の薄板からなる分離板14が回転体の軸方向に多数積層して形成された分離板群15およびスラッジ排出孔13を開閉する弁シリンダ16を装着している。

【0005】

前記遠心分離機による分離操作は、回転体10の軸心位置に挿入されて装着された原液供給管17の原液入口28から原液を供給し、供給された原液は、案内筒20を下降して回転体10の分離室内に導入され、回転軸22を介して回転される回転体10の高速回転による遠心力で、比重の軽い軽液と比重の重い重液や固形物を比重差で分離する。

【0006】

分離された重液や固形物は、回転体10内の最大径部に蓄積され、軽液は分離板群15の間隙を上向流通して軽液排出流路に具備された軽液排出インペラ18により汲み出されて、軽液出口26から回転体10外に排出される。また、前記の軽液の分離排出においては、軽液が分離板群15の間隙を上向流通する間に、残存する重液や固形物が更に沈降分離されるため、効率的に清澄化が促進されることになる。

【0007】

また、回転体10の最大径部に蓄積された重液および固形物の内の重液は、一定量蓄積すると重液案内板21と回転体蓋12内壁とで形成された重液流路を経て、重液インペラ19により汲み出されて、重液出口27から回転体10外に排出される。」

イ 「【0015】

【課題を解決するための手段】

・・・

【0017】

また、請求項2に記載の発明においては、固形物が混入する被処理液を回転体内に供給して遠心力で固液分離し、少なくとも分離した液体を連続的に排出する遠心分離機において、被処理液に溶解しにくく且つ流動性を持つ粘稠性物質を固形物捕捉剤として回転体内に連続供給しながら、被処理液を連続供給して遠心力で固液分離し、分離した液体と固形物捕捉剤とを連続的に排出することを特徴とする遠心分離機による固液分離方法である。

・・・

【0019】

また、請求項3に記載の発明においては、請求項1又は請求項2に記載の遠心分離機による固液分離方法において、遠心分離機が、回転体内に截頭円錐形状の薄板からなる分離板が軸方向に多数積層して内設した分離板型遠心分離機である遠心分離機による固液分離方法である。

【0020】

前記の構成により、請求項1における前記効果の他に、軽液が分離板の間隙を上向流通する間に、残存する重液や固形物が更に沈降分離され、効率的に清澄化が促進されるため、軽液、重液および固形物の分離が効率的に行われ、清澄度の高い軽液を容易に得ることができる。

・・・

【0023】

前記において、固形物捕捉剤としては、ヤマイモ分離エキス、ゼラチン、生物産生粘性物質、アルギン酸塩、寒天、ゼラチンなどの天然高分子物質、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどの合成高分子物質、その他にアニオン高分子凝集剤、カチオン高分子凝集剤又はノニオン高分子凝集剤など水処理において使用される各種の凝集剤が使用でき、それらを水などの適宜溶剤で溶解し、被処理液の種類及び被処理液中の固形物の種類により適宜に濃度を調整し、ゲル状物質、ゾル状物質又は高粘度物質の粘稠性物質として用いられる。」

ウ 「【0027】

図1において、符番1は、図示しないケーシング内に、外周部にスラッジ排出孔13を有する回転胴11と回転胴11上部を覆蓋する回転体蓋部12から主になる回転体10を回転軸22に固定し、回転体10内に、截頭円錐形状の薄板からなる分離板14が回転体の軸方向に多数積層して形成された分離板群15およびスラッジ排出孔13を開閉する弁シリンダ16を装着している分離板型遠心分離機である。

・・・

【0030】

符番2は、固形物が混入する被処理液(以下原液という)を貯留する原液槽、符番3は、遠心分離機1で固形物が分離され、清澄化された処理液を貯留する清澄液槽、符番4は、被処理液に溶解しにくく且つ流動性を持つゲル状物質、ゾル状物質又は高粘度物質の内の少なくとも1つの固形物捕捉剤を貯留する固形物捕捉剤槽である。

【0031】

また、符番5は、原液を原液槽2から遠心分離機1に供給する原液供給ポンプ、符番6は、固形物捕捉剤を固形物捕捉剤槽4から遠心分離機1に供給する固形物捕捉剤供給ポンプである。

【0032】

前記固液分離装置により、例えば、固形物が混入する油脂を原液とし、高分子凝集剤を水で溶解して所定粘度や比重に調整した高粘度物質を固形物捕捉剤として処理する方法について、以下詳述する。

【0033】

遠心分離機1を稼動したのち、固形物捕捉剤槽4で高分子凝集剤を水で溶解して所定比重の濃度に調整し、調整したゲル状の流動物(以下捕捉物質という。)を固形物捕捉剤供給ポンプ6で固形物捕捉剤供給経路bを経て、回転体10の軸心位置に挿入されて装着された原液供給管17の原液入口28から回転体10内に供給すると、捕捉物質は回転体10の最大径部に一定量蓄積されたのち、重液案内板21と回転体蓋12内壁とで形成された重液流路を経て、重液インペラ19により汲み出され、固形物捕捉剤循環経路dから固形物捕捉剤槽4に循環される。

【0034】

前記流動物の循環を継続しながら、原液槽2より原液を原液供給ポンプで原液供給経路aを経て回転体10の軸心位置に挿入されて装着された原液供給管17の原液入口28から供給し、供給された原液は、案内筒20を下降して回転体10の分離室内に導入され、回転軸を介して回転される回転体10の高速回転による遠心力で、比重の軽い油脂(以下軽液という)と比重の重い固形物および水と固形物の混合物(以下重液という)が比重差で分離される。」

エ 「【0041】

【実施例】

次に本発明の方法により固形物濃度を調整したタービン油を処理した実施例について説明する。

タービン油32番に関東ローム11番を固形物濃度0.3kg/m3に調整したものを原液とした。また、固形物捕捉剤として、アニオン高分子凝集剤を水で溶解して2wt%濃度に調整した高粘度物質を用いた。

試験方法は、分離板型遠心分離機の回転体を、11,150Gの遠心力で回転させ、固形物捕捉剤を固形物捕捉剤供給ポンプにより2L/Hrで、原液供給管に接続した固形物捕捉剤供給管を介して回転体内に供給し、重液排出管を介して排出し循環した。被処理液は100L/Hrで原液供給管から供給した。」

オ 「【図1】

85

153

0001435442000015.jpg

【図2】

100

102

0001435442000016.jpg

(9) 甲10の記載事項

甲10には、「分離板型遠心分離機」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

「【0002】

【従来の技術】

分離板型遠心分離機は、高速回転により大きい遠心力が得られ、しかも積層した分離板が大きい沈降面積を有しているため、処理液中の微粒固形分を高精度で分離するのに適し、多くの産業分野で利用されている。特に船舶用ディーゼルエンジン機関の燃料油および潤滑油の清浄化に多く用いられている。

(10) 甲11の記載事項

甲11は、「三菱遠心分離機セントリフューガルディスクセパレータ」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「三菱遠心分離機

(セントリフューガル ディスク セパレータ)

三菱遠心分離機は強大な遠心力と分離板による大きな沈降面積によって、比重差の少ない液体と液体との混合液又は、液体中に混在する微少粒子を分離するもので、濾過・沈降その他の分離方法で処理が困難な場合に用いられ液体の精製・清浄及び分級等に広く使用されます。

■主なる用途

・・・

4.一般化学工業関係

触媒分離、各種溶液の清澄・濃縮

・・・

6.その他

諸工業における各種液の精製、分離、清浄、

廃水・廃液処理

」(第2頁上段)

イ 「■分離の目的による分類

●清浄(液・液・固分離:Purification)

・・・

78

80

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●清澄(液・固分離:Clarification)

液体中に混在している微小粒子を除去し液を清澄にします。一般にClarifier(クラリファイア)と称します。

■回転体の構造による分類

●SJ型(スラッジ自動排出型遠心分離機)

・・・

弊社独自の技術により開発されたスラッジ自動排出機構をもち、スラッジスペースに蓄積されたスラッジは回転体に附属する弁シリンダの上下作動により機械を停止することなく瞬時に機外へ排出されます。したがってスラッジ(固型分)の多い液を処理するのに適します。本機は操作盤、自動弁類を組込むことにより自動化(無人運転)が可能です。」(第2頁下段~第3頁上段)

ウ 「■仕様

●SJ型

48

153

0001435442000018.jpg

●OP型

42

153

0001435442000019.jpg

・・・

御要望に応じ特殊仕様(例:防爆構造、耐蝕性材料の使用)も御受けします。また、遠心分離機・油加熱器・操作盤等のパッケージ化したユニットも用意しておりますのでどのようなことでも御相談下さい。」(第3頁下段)

(11) 甲12の記載事項

甲12には、「DISC SEPARATOR SJ・OP」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「三菱ディスクセパレータ

「分離・分級精度の向上」「混入物・副成物の除去」「清澄・再生」は工程の短縮と省力化を生み、経済性の利点を生み出します。

三菱化工機のディスクセパレータは誕生より50有余年。常に時代の要求にこたえ続けてきたトップブランドです。積み重ねてきた研究努力と技術は60,000台を越える実績が何よりも物語っております。

三菱ディスクセパレータは今日もあらゆる産業のさまざまな用途における液体と液体、液体と固体の分離に優れた能力を発揮しております。

104

153

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(第2頁)

イ 「用途

三菱ディスクセパレータは、次のような分野に使用されております。

・・・

環境保全関係

油性、水溶性クーラントの固油水分離

浮上スカムからの油水分離

電解加工溶液の清澄

諸工業における廃液、廃油の処理

・・・

三菱ディスクセパレータは、高性能の分離板型遠心分離機です。

高い回転数による強力な遠心力により比重差の小さい液体と液体を効率よく、簡単に分離することが出来ます。

45

153

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■ピュリファイア/清浄

液-液-固の三相分離、または液-液の二相分離で2種の比重の異なる混合液の分離および固形物の分離に使用されます。

■クラリファイア/清澄

液-固の二相分離で、液体中に混入している固形物を除去し清澄液を得る場合、又は固形物を濃縮する場合に使用されます。」(第3頁~第4頁上段)

(12) 甲14の記載事項

甲14には、「ウエストファリアセパレーターデカンター」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「西独ウエストファリア・セパレーター社は大量・多目的処理用の遠心分離機の世界的トップメーカーです。1893年創業以来80年以上の製作経験と技術の研鑽のもとにその実績は食品、飲料業界はもとより化学、製薬、発酵用にも広く使われています。

・・・

70数種のモデルの他に、更に特別設計の機種も製作しています。例えば重力吐出、フォーム・フリー加圧吐出、ヘルメチック・デザイン、防爆デザイン、スチーム滅菌デザイン、不活性ガス注入、冷却装置付デザイン等その機種は豊富です。接液部は全てステンレス・スチール製又はそれ以上の特殊材料加工を行っています。ウエストファリア遠心分離機は引続き新分野に活用されています。」(第2頁第1行~末行)

イ 「セルフ クリーニング ボウル型遠心分離機

分離原理と構造

セルフ・クリーニング・ボウル型遠心分離機は分離された固形分を自動的に排出します。タイミング・ユニットのコントロールにより自動排出され、遠心分離機は長時間の連続運転が可能です。セルフ・クリーニング・ボウルは遠心水圧で上下動するスライディング・ピストンによりボウル排出口の開閉を行い、ボウル内に堆積した固形分を一瞬に確実に排出します。

特長

セルフ・クリーニング・ボウルは長時間の連続自動運転を可能にしました。ボウルの開閉はタイミング・コントロールの他に、ボウル内の固形分堆積状態を検知し自動排出する方法と、清澄液の濁度を光電管によって感知し自動排出する方法があります。

セルフ・クリーニング型の導入はランニング・コストを低減させるばかりでなく自動化、省力化、サニティションの向上により大きな合理化をもたらします。接液部は全てステンレス・スチール製であり、構造も薬液によるCIP洗浄に適しています。

用途

清澄(クラリフィケーション):牛乳、各種果汁、ワイン、麦汁、糖蜜等の清澄。プロティン回収、動植物油脂の精製、その他化学、製薬、食品工業のあらゆる液・固分離。

清浄(セパレーション):牛乳、動植物油、鉱物油、フィシュ・プレス・ウォータ等の分離精製。

洗滌液の清澄

及び脱油、圧延機潤滑油回収、各種廃液からの油分回収。その他化学、製薬工業、食品工業のあらゆる液・液・固分離。」(第3頁左欄第1行~末行)

ウ 「ノズル ボウル型遠心分離機

分離原理と構造

ノズル・ボウルは連続的に固形分を濃縮状態で排出でき、比較的固形分の多い液の大量処理に適しています。清登(当審注:「清澄」の誤記と解される。)及び清浄機があり、それぞれにコンセントレート・リサイクルが装備できます。ノズル口径より大きな粗粒固形分はロータリ・ストレーナによる除去が通常行なわれています。原液固形分濃度が低い場合、リサイクルの採用により高濃縮が得られます。

・・・

特長

完全連続運転による濃縮・水洗工程が最小スペースと労力で運転できるノズル・ボウル型遠心分離機で行なわれます。コンスタントな原液供給と固形分濃度を保つ為コントロール装置が必要です。

薬液によるCIP洗浄が可能です。

用途

パン及び飼料酵母の濃縮水洗。アルブミン濃縮。コーン、ポテト、サツマイモ、ライス、小麦でんぷんの濃縮水洗。ビタミン生産工程。化学、製薬工業における濃縮工程。カード濃縮。オリーブ、パーム、バター、魚、鯨油の清澄及び脱水。SCP濃縮水洗。廃液の清澄。」(第4頁左欄第1行~中欄末行)

(13) 甲16の記載事項

甲16には、「SAITO SEPARATORS」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

「ADS-12000PS

セルフ・クリーニングセパレーター ADSシリーズ

スラジ自動排出機構を有する分離板型遠心分離機の代表機種として、広い用途を有します。

■主な用途

・・・

公 害:余剰活性汚泥の回収。各種排液から油分回収。

SS分除去

その他:化学工業および食品工業のあらゆる分離。」(第2頁下段)

(14) 甲17の記載事項

甲17には、「遠心分離機 総合カタログ」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「ユーザーが、それを使うことによって利益を得るそのような製品を提供することがわれわれの使命と考えています。

創造に賭ける意志のもと、陸に、海に、空に、IHIはその技術力を総結集、皆様に数々の製品をご利用願っております。

ここにまた、自信をもって公害防止、水処理機器として、遠心分離機を御紹介申し上げます。」(第2頁下段)

イ 「ディスク形遠心分離機

IHIディスク形遠心分離機は、重液、軽液および固体の分離・清澄を目的とした完全自動排出形分離機です。各種油脂・薬品・食品の分離・精製・産業廃水・生活廃水の処理など、さまざまな分野で優秀な性能を発揮しています。

・・・

●確実な作動

ボウルのバランスは、超高速回転時においても絶対安全です。また船舶の動揺に対しても、常に安全、確実に作動します。」(第16頁第1行~中欄第8行)

ウ 「ディスク形遠心分離機

103

153

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用途

廃水および廃油関係

工業廃水・都市下水・廃油・各種排水

・・・

船舶関係

燃料油・潤滑油の清浄・精製・再生、鯨油・魚油の精製

・・・

その他

染料工業・塗料工業・石鹸工業・石油工業などの製造工程ならびに廃液処理」(第17頁)

(15) 甲18の記載事項

甲18には、「船用遠心油清浄機陸上試験方法」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「1. 適用範囲 この規格は,船用遠心油清浄機(以下,洗浄機という。)の陸上試験方法について規定する。」(第1頁)

イ 「6. 試験方法 清浄機の試験方法は,次のとおりとする。

・・・

(5) 動揺試験 動揺試験は,封水状態で運転し,縦軸を鉛直線に対して22.5度ずつ左右に傾斜させ,1分間に約5往復の割合で5分間動揺を継続し,異状の有無を調べる。」(第2頁)

(16) 甲19の記載事項

甲19には、「遠心沈降分離機」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

本発明は、固体の粒子がそれよりも小さい密度を有する液体中に浮遊している液体混合物から固体を分離する遠心分離機に関する。特に、本発明は、第1の速度で周りを回転することのできる中心軸を有するロータと、ロータ内に配置されており第1の速度とは異なる第2の速度で上記の中心軸の周りを回転することができる螺旋状コンベヤと、ロータを前記の第1の速度で回転させ、螺旋状コンベヤを前記の第2の速度で回転させるように構成された駆動装置とを含んでいる、いわゆる遠心沈降分離機に関する。

【0002】

この種の遠心沈降分離機は多数の異なる用途、特に、処理すべき混合物が比較的多量の固体を有する用途で使用されている。遠心沈降分離機は、分離すべき粒子が著しく異なる大きさを有する用途、および/または、混合物中の粒子の含有量が著しく異なる用途でも使用されている。さらに、比較的大量の液体を処理する用途で遠心沈降分離機が広く使用されており、このことは、遠心沈降分離機が一般に、比較的大型であり、したがって、供給される混合物の単位時間当たりの流量が多いにもかかわらず十分な分離結果をもたらすことを意味している。」

イ 「【0032】

図1~図3は、本発明の第1の実施形態を示している。遠心分離機は、垂直回転軸Rの周りをある速度で回転できるロータ1と、ロータ1内に配置され同じ回転軸Rの周りを回転できるが、ロータ1の回転速度とは異なる速度で回転する螺旋状コンベヤ2と、ロータ1および螺旋状コンベヤをそれぞれの速度で回転させるように構成されている駆動装置とを含んでいる。・・・

・・・

【0042】

ロータ内で処理すべき液体混合物用の入口パイプ22は、コンベヤシャフト8を通って延びている。・・・

・・・

【0051】

液体と、この液体中に浮遊させられ、この液体よりも大きな密度を有する粒子との混合物が、上から入口パイプ22を通してロータに供給される。混合物は、流路23およびチャネル24を通ってロータ内に流入し、そこで回転させられる。しばらくして、ロータの上端にある排出口14によって位置が決められるロータ内の位置15に、分離した液体の表面が形成される。液体は環状体9の周りを螺旋状に流れて液体出口12から流出するが、分離された固体はロータの周囲壁の内側に堆積する。この種の粒子は、螺旋状コンベヤによって、スラッジの形態で周囲壁に沿って下向きにロータスラッジ出口13の方へ移送され、この出口13から排出される。

【0052】

・・・図4および図5は、ロータ1のある部品に関することにおいてのみ第1の実施形態と異なる本発明の第2の実施形態を示している。2つの実施形態に共通する部分には同じ参照番号が付されている。歯車装置3は両実施形態において類似している。

【0053】

図4および図5による実施形態では、ロータ1は、重ね合わされた円錐台分離円板51を備えている。これらは、ロータの筒状上部4の中央にロータと同軸に取り付けられている。・・・

・・・

【0055】

螺旋状コンベヤ2は、ロータの上部内の液体が内側に回転軸Rの方へ流れると共に分離円板51間を流れることができるように、分離円板51の重ね合わせの周りに分散配置された開口60を、螺旋状コンベヤ2の上部の、ロータ周囲壁の近傍に備えている。分離円板51は、各円板間に、互いに隣接する分離円板間に短い半径方向距離を有する分離空間を形成している。

・・・

【0057】

入口パイプ22によって部分的に支持されると共に入口パイプ22を囲む他のパイプ65によって部分的に支持された、斬減円板(paring disc)64の形態の固定された出口部材が、出口チャンバ63内に配置されている。斬減円板64は、出口導管68(図4参照)とキャップ46の上方で連通する中央環状チャネル67内に開口するいくつかの出口チャネル66を形成している。」

ウ 「【0063】

図4および図5の遠心沈降分離機は、図1から図3の遠心沈降分離機と大部分同じように動作する。しかし、追加された1組の円錐状の分離円板51により、供給された混合物からの固体の分離を、この種の分離円板なしで得ることのできる分離よりも一層効果的に行うことができる。・・・」

エ 「【図4】

112

64

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【図5】

104

64

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(17) 甲20の記載事項

甲20には、「ディスクデカンター型遠心機」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「技術分野

本発明は、遠心分離機(以下、単に「遠心機」とも称する)に関し、特に、高効率の無拘束の遠心分離機に関する。

技術背景

遠心機は、比重の異なる又は粒度の異なる物質を遠心力を発生する高速回転によって分離するための装置である。通常、遠心機は、化学工業においては樹脂を分離したり、顔料を清澄化し脱水するのに、又、食品工業ではコーンスターチを回収したり、蛋白質や抽出物を濃縮するのに利用される。遠心機は、又、冶金分野及び非冶金分野において皮なめし業者や金属メッキ業者のためにヒドロキシ系スラリーを脱水するのにも用いられる。」(第6頁第3~12行)

イ 「引き続き図2を参照して説明すると、円筒形スクリューコンベヤ65の内孔61(図8参照)の中にディスクキャリア64が長手方向に配置され、ボウル5の上方部分にそれと同心関係をなして取り付けられている。ディスクキャリア64と分配器62を相対的に回転させることができるようにディスクキャリア6と分配器62の間に円筒形のころ軸受100が介設されている。

ディスクキャリア64とスクリューコンベヤ65の間に分離チャンバー98が画定される。分離チャンバー98内に、複数の円形分離ディスク66が配設され、層状に重ね合わされてディスクキャリア64に担持されている。ディスクキャリア64の下方半径方向突出部分64aには、分離チャンバー98に通じる複数の通路63が穿設されている。

ボウル56の上端58にはオーバーフロー通路76が形成されている。その目的については後述する。ディスクキャリア64の内孔60は、軸5と同新関係をなしており、供給パイプ50(図3参照)を受容するようになされている。」(第12頁第15~27行)

ウ 「円錐形スクリューコンベヤ71は、ボウル56の下方円錐形部分の中に長手方向に配置され、円筒形スクリューコンベヤ65に同心的に取り付けられている。円錐形スクリューコンベヤ71の外周面には溝74が、らせん状に形成されている(図5~7参照)。スクリューコンベヤ65と71は、ボウル56に対して相対的に回転自在である。」(第13頁第23~27行)

エ 「ディスク87は、ボウル56に着脱自在に取り付けられており、ボウル56によってボウルの回転速度で回転駆動される。軸86は、円錐形スクリューコンベヤ71の端面79に着脱自在に取り付けられており、差速コンベヤ駆動機構8によって駆動され、従って、スクリューコンベヤ65,71を所定の第2回転速度で回転させる。この第2回転速度は、好ましい実施例では、軸5の回転速度即ち第1回転速度より約1rpm~約100rpm高い又は低い範囲内である。従って、好ましい実施例では、スクリューコンベヤ65,71は、約5900rpm~約5999rpm又は約6001rpm~約6100rpm範囲内の回転速度で回転させる。ボウル56は6000rpmの回転速度で回転するので、スクリューコンベヤ65,71との間に、下式で表される差速△Vが創生される。

△V=V

B

-V

C

ここで、V

B

はボウル56の回転速度、V

C

はスクリューコンベヤ65,71の回転速度である。」(第14頁第10~23行)

オ 「【図2】

113

77

0001435442000025.jpg

(18) 甲21の記載事項

甲21には、「遠心分離機」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「遠心分離機の活用分野は一般化学工業をはじめとして薬品工業,食品工業などの生産部門,あるいは公害問題に関進した

廃水処理

など,非常に広範囲にわたり,それぞれのプロセスの中でも重要な役割を果している.」(第36頁左欄第1~4行)

イ 「1)液体-液体の分離

混合2液間に比重差のあることが前提となるが,この比重差を利用して遠心分離するものであり,遠心沈降機のみしか使用することはできない.」(第36頁左欄第26~29行)

ウ 「7)固形分の沈降性,凝集性その他

遠心沈降機を採用する場合には特に重要なポイントとなるものに沈降性,凝集性などがあり,凝集性のあるものに対しては化学薬品の添加などで見掛け粒子を大きくすることにより分離効果を上げることができる.」(第37頁右欄第7~11行)

エ 「1)回分式標準分離板型

図1に示すように回転体の内部に分離板と称する傘状の円板を層状に重ね,各分離板間の間隙部分で沈降分離を行なうものである.この型式は液体-液体の分離,ならびに固形分濃度のきわめて低い場合の固体-液体の分離に用いられるが,固体-液体の分離では分離固形分は回転体内部に堆積し,一定量になったら運転を停止して人力により分解排出する.

2)弁排出型

原理は標準分離板と同じであるか固形分濃度が2%くらいまでの固体-液体の分離に用いられ,回転体内に堆積した固形分は図2-(b)に示すように回転体外周に設けられた固形分排出弁の開弁操作により定期的,かつ自動的に外部へ排出する機構のものである.」(第38頁右欄第11~24行)

オ 「

81

64

0001435442000026.jpg

81

127

0001435442000027.jpg

」(第39頁)

カ 「5) 分離固形分の含液率

性能保証項目の中で,もっとも重要なポイントのひとつであり,希望値をwt%で表示する.」(第43頁左欄第13~15行)

(19) 甲22の記載事項

甲22には、「機関室ビルジ処理装置の新基準 IMO決議MEPC.107(49)について」(標題)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「2003年7月のIMO第49回海洋環境保護委員会(MEPC.49)において、機関室の機関室ビルジ処理装置(油水分離器(15ppmビルジセパレータ)および油分濃度計(15ppmビルジアラーム))の現行の性能基準IMO決議MEPC.60(33)の改正であるIMO決議MEPC.107(49)"Revised Guidelines and Specifications for Pollution Prevention Equipment for Machinery Space Bilges of Ships"が採択され、2005年1月1日から施行となります。」(第1頁第1~5行)

イ 「(3)配管関連

(i)排出停止装置(3.6)(配管例<1>参照)

油分濃度が15ppmを超えた場合、船外排水を弁操作により船内のビルジに戻す。従来認められていたビルジポンプの停止による方法は今後不可となります。」(第2頁第19~22行)(当審注:<1>は丸囲い数字を示す。)

ウ 「

65

153

0001435442000028.jpg

配管例 」

(第3頁)

(20) 甲23の記載事項

甲23には、「油水分離システム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「本発明は、陸上の工業用廃水あるいは船内のビルジやバラストの排出前における油水分離システムの改良に関する。

近時これらに対する排出規制は強化され、例えば船舶におけるビルジやバラストの排出規制は、政府間海事協議機関(IMCO)1973年海洋汚染防止条約の施行等により著しく強化されている。」(第1頁右下欄第6~13行)

イ 「以下、本発明の油水分離システムの詳細を第1図の系統図に従って説明する。

構 造

01は油水集合タンク、03は回収油タンク、04はドレン集合タンク、10は重力分離器、20は粗粒化分離器、30は吸着材の再生機構を内蔵する最初の吸着分離器、40は最終の吸着分離器、60は油分濃度計を有する管理制御装置である。」(第2頁右上欄第11~18行)

ウ 「

作 用

(1)油水集合タンク01内の油水は油水供給ポンプ201により管100を経て重力分離器10に送られ、油と水と固形物は重力分離され、出口油分濃度は通常10,000ppm程度以下となる。

・・・

以下第2の排出規制値を満足させたい場合の本システムの作用例概略について説明する。ここで第2の排出規制値とは、例えばIMCO1973年海洋汚染防止条約のビルジ排出規制において、内海などでも許される油分15ppm以下というのがこれに相当する。

・・・

(7)吸着分離器40の出口水は管117,108を通り、管理制御装置60へ送られ油分が測定される。そして第2の排出規制値を満足していれば処理水排出ポンプ209により系外へ排出される。

しかし満足していない場合は、切換弁208により管理制御装置60の出口水は管109,111を通り油水集合タンク01へ戻され、系外へ排出されることはない。」(第2頁左下欄第5行~第3頁右上欄第14行)

エ 「

74

153

0001435442000029.jpg

(21) 甲24の記載事項

甲24には、「排水処理系の油分濃度制御装置」(考案の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「この考案は船舶や工場などにおいて油水分離器を含む排水処理系において、その処理水の油分濃度を監視し、これを常に低濃度の規制値以下に保つようにした油分濃度制御装置に関するものである。

河川、湖沼、港湾、沿岸海域などの公共用水域の油分による水質汚濁の防止対策のため船舶、工場ならびに廃油処理施設などにもっとも多く用いられる油水分離装置は送水ポンプ、油水分離器および油分濃度計からなる排水処理装置である。この装置は衆知のごとく、油分を含む排水(油水)を一たんタンクなどに溜め、これが一定量に到すると、たとえば汲上げポンプで油水分離器に送り込み、フィルタ法や遠心分離法によって油分を分離除去する処理を行ったのちの処理水の油分濃度を連続的に油分濃度測定装置で計測監視し、それがたとえば15ppmの規制値を超えると警報が出され、これによって作業者が排水の海洋や河川などへの投棄を停止するなどの操作を行うように構成されている。」(明細書第1頁末行~第2頁第19行)

イ 「この考案は以上の現況に鑑みてなされたもので従来船舶や工場などに設けられている油水分離装置による排水処理系の欠点や問題点を解消するについて、油水分離器によって処理された排水の油分濃度が所定値以上に上昇したとき、この処理排水を元の油水タンクに戻す流路を開通させるとともに、油分を含まない海水や河水などを汲上げて上記流路を介して油水タンクに注入するように構成し、油水タンク中の油水の油分濃度を低下させ、ポンプや油水分離器の油あかによる機能低下を防止するとともに系外への排出量を一定に保つことでその排水の油分濃度を常に所定値以下にして公害防止機器として良好な機能と高い能率の装置の提供を図るものである。」(明細書第3頁第10行~第4頁第3行)

ウ 「以下図面によってこの考案の実施例を説明する。第1図はこの考案の実施例装置を船舶に搭載し、ビルジ排水処理系に用いたばあいのブロック図である。・・・(3P)ビルジタンク(3)の底板、(Wb)はビルジである。(LS)はレベルスイッチで、タンクの底(3)から(L)の一定の水位以上にビルジ(Wb)が溜ると汲上げポンプ(4)に作動信号(S

L

)を発し、ポンプ(4)を始動させる。(5)はビルジ送水管、(6)はフィルタ式または遠心分離式の油水分離器、(7)は油水分離の処理された排水(W)の送水パイプ、(8)は第2図で説明する油分濃度測定装置で、上記排水(W)とこれを適当な方法で強制乳化した排水(W’)との濁度差から油分濃度を測定するもので、パイプ(9)は上記排水(W)をサンプリングするパイプ、(10)は測定後の排水(W)および乳化水(W’)をタンク(3)に戻すドレンパイプである。(V

1

)は排水用電磁弁で上記油分濃度計(8)の制御信号(S

1

)にて開閉される。(11)は排水口で上記排水弁(V

1

)が開いているとき処理排水(W)を海上(F

S

)に投棄する。」(明細書第4頁第4行~第5頁第4行)

エ 「この考案の実施例装置は第1図の排水パイプ(7)を排水弁(V

1

)の手前で分岐形成した排水戻し流路すなわちパイプ(31)と、これを開閉する電磁弁(V

2

)とを設けた点とさらにビルジ送水管(5)のポンプ(4)の入口部(32)で連通する海水供給流路すなわち海水供給パイプ(33)とこれを開閉する電磁弁(V

3

)とを設けた点とが従来装置と異なり、この考案の要部である。」(明細書第6頁第11~18行)

オ 「排水作業が進んで(t

3

)時点になると、ビルジタンク(3)の水位はかなり低下するが、未だ一定の水位(L)以上であるので汲上げがつづく。しかしビルジの油分濃度(T)は上昇し、遂に所定値(T

L

)を越え(T>T

L

)の関係となる。この15ppm以上の濃度の排水は近海(12マイル以内)での海洋投棄は禁じられているので、(22)の調節計の指令信号(S

1

)(S

2

)(S

3

)は(V

1

)を閉止し、(V

2

)(V

3

)を開放するよう発信される。この動作で処理水(W)は(31)の排水戻しパイプを経てタンク(3)に回収される。」(明細書第7頁第19行~第8頁第9行)

カ 「

90

127

0001435442000030.jpg

(22) 甲25の記載事項

甲25には、「環境装置」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「1・3・4 洗浄集じん装置(scrubbing dust collector)

a.捕集機構 洗浄集じん装置は,洗浄液を分散あるいは含じんガスを分散することによって,生成された水滴,水膜,気泡などで,含じんガス中の粒子を捕集する装置である.これには慣性力,拡散力,重力などの集じん作用力が利用されている.」(第23頁右欄第9~14行)

イ 「b.形式と特徴 洗浄集じん装置の洗浄液には,通常,水が使用され,水滴,水膜,気泡へのダスト付着やダスト粒子相互の凝集をはかるため,洗浄の方法にはいろいろな工夫がなされ,多種多様のものが市販されているが,性能の表示法を考慮して,洗浄集じん装置は,ため(溜)水式,加圧水式,充てん層式,回転式に大分類している.

・・・

ii.加圧水式(high pressure water type) 加圧水式では加圧水を供給して,含じんガスを洗浄するもので,これには図1・32に示すようなものが広く用いられている.

・・・

(2)ジェットスクラッバ(jet scrubber) 一種のガスブースタで,洗浄水はらせん翼をもった,噴霧ノズルから回転流で高速噴射され,周囲の含じんガスを吸引して,ガス中の粒子を水滴で分離する.・・・

(3)スプレー塔(spray tower) 空塔内に3~4段のスプレー段を設け,含じんガスと水滴との接触をよくしている.これは構造が簡単で保守が容易であり,また,充てん物を使用しないので,ダスト付着や圧損の急増などの問題を起こすことがない.・・・

(4)サイクロンスクラッバ(cyclone scrubber) 塔下部の中心に多数のスプレーノズルを設けた噴霧管を備え,含じんガスを接線流入させる.含じんガスは塔内を旋回しながら上昇し,スプレーノズルからの水滴によって洗浄され,水滴に付着されたダストは,遠心力によって塔壁に分離される.」(第25頁左欄第4行~右欄第22行)

ウ 「

88

153

0001435442000031.jpg

」(第24頁)

(23) 甲26の記載事項

甲26には、「排煙脱硫方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「第3図は従来方式に従う石灰スラリ液を吸収剤とする排煙脱硫装置である。

処理すべき亜硫酸ガス含有ガスはダクト(1)によりブロワ(2)に装入,昇圧されて後冷却器(3)に入って冷却される。冷却器下部には循環冷却水駆動のための循環冷却水ポンプ(4)が備られ,このポンプによって冷却水を冷却器へ循環装入する事により処理ガスは水分飽和温度まで冷却されると共に処理ガス中に含有するばい塵も同時に除去する。

次いで冷却器を出たガスはダクト(5)を経て吸収器(6)に入り処理ガス中の亜硫酸ガスを吸収除去する事になるが吸収液としては石灰スラリを用いており吸収液循環ポンプ(7)によって循環使用する。

この吸収液はライン(8)によって吸収器頂部に装入されるが装入の際消費石灰補給の目的で補給用石灰スラリかライン(9)によって追加供給される。使用済吸収スラリ中の固形分はその殆んどがカルシウム硫黄化合物となっているがその成分は亜硫酸石灰と石膏でありその中の石膏分は40~90mol%を占めるのが通常の例である。このスラリの一部はライン(10)を経て亜硫酸石灰酸化塔(12)に装入されるがこの酸化塔は通常4~5気圧で操作するため装入のためには昇圧装入ポンプ(11)を必要とする。酸化塔は塔底に空気混合器を具備しており,圧縮空気をライン(13)より受入れて酸化反応を促進する。酸化に使用した空気は酸化塔塔頂より排出されるがガス中に一部亜硫酸ガスを含有するためそのままパージする事は出来ないからライン(14)によりダクト(5)へ装入する。

一方

酸化済スラリはライン(15)によって遠心分離機(16)に装入し固液分離後石膏は結晶として(17)に落し,分離液はライン(18)によって排出する。

・・・

これに対し本発明による方式は第4図に示される如くブロワ(2),冷却器(3)を具備する事については従来のものと何ら変る事がないが,ダクト(5)より出る処理ガスは吸収器たるジェットスクラバ(6)に入り,ライン(8)によって装入される吸収スラリと激しく混合し脱硫,酸化を同時に行った後タンク(24)に入って気液分離される。

吸収液はタンクより吸収液循環ポンプ(7)に入りライン(8)によってジェットスクラバ塔頂へ循環装入され再び吸収と酸化が行れる

が装入の際,ライン(9)によって補給用石灰スラリが追加供給される事は第3図と同様である。しかるにジェットスクラバでは吸収スラリ酸化能力が強いためスラリ中の硫黄化合物は殆んど石膏まで転化されているのでこのまま直接に遠心分離しても良質の石膏が得られる。・・・

第5図も本発明による例である。この方式は第4図の例から冷却器(3)を省畧したものであるが第4図において回収される石膏が特に使用目的がなくそのまま投棄する場合には石膏に処理ガス中のダストが混入し品位低下があっても差支えはない。」(第3頁右上欄第18行~第4頁左上欄第2行)

イ 「

60

96

0001435442000032.jpg

(24) 甲27の記載事項

甲27には、「排ガス処理装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関から排出される排ガスのばいじんを処理する排ガス処理装置に関する。」

イ 「【0003】

【発明が解決しようとする課題】このような細かい粒子はフィルタやサイクロン式集塵機では充分に除去できない。フィルタの場合は目ずまりが生じ易く、これによる圧力損失の増加でエンジンの性能に悪影響を与える。また電気集塵機は大がかりな装置となるため、船舶などの輸送機器には適していない。また、このようにしてばいじんを除去した後、排ガスの一部を冷却し給気に加え給気の酸素濃度及び燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOx)の発生を押さえる排ガス再循環システム(EGR)に供給する場合、排ガス温度を低下させて供給する必要がある。このため排ガス冷却器が必要になる。しかし、排ガスをある温度以下に冷却すると硫酸が凝縮し接触する部材を腐食させる。

【0004】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、内燃機関より排出される排ガスのばいじんを除去することを目的とする。またばいじん中のSOx等を除去することを目的とする。また処理した吸収液を循環使用することを目的とする。」

ウ 「【0010】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態を示す。排ガス管1はディーゼル機関等の内燃機関からの排ガスを煙突等に導く。排ガス処理管2は排ガス管1の排ガスを分岐してばいじん処理を行う。ダンパー3は排ガス処理管2に流入する排ガスの流量を制御する。排ガス処理管2はU字形をしており、入口側垂直管2a内には吸収液を噴霧するスプレーノズル4が複数段設けられ各スプレーノズル4には止め弁5が設けられている。U字形の下部は循環タンク6に接続し、ばいじんを吸収した吸収液は回収され、排ガスと分離される。分離した排ガスは出口側垂直管2b内に設けられた液滴を分離するミストセパレータ7を通過しEGRに用いられる。

【0011】

循環タンク6には循環ポンプ8が設けられ、回収した吸収液をスプレーノズル4に供給する。

また循環タンク6内下部には空気吹き込み管9が設けられ、ブロワ10により空気を供給してスプレーされた吸収液に含まれる亜硫酸塩の酸化を促進する。循環ポンプ8の供給水の一部は脱水機11に送られ吸収液中の固形物を液体から分離し、固形物は回収固形物貯蔵タンク12に蓄積し、液体は循環タンク6に戻す。これにより吸収液はスプレーノズル4および脱水機11を循環する。

【0012】吸収液貯蔵タンク13には吸収液が貯蔵され、スプレーノズル4に供給される吸収液のpHをpHセンサ14で検出し、所定のpH値となるように吸収液調整弁15で吸収液を循環タンク6に供給する。吸収剤調合タンク16は吸収剤を貯蔵する吸収剤タンク17と脱水機11で分離した液体を調合して吸収液を生成し、吸収液貯蔵タンク13に供給する。また、脱水機11の分離した液体の一部を外部に排出する廃液ライン18が弁19を介して設けられている。

【0013】吸収剤としては、Na,Ca,Mg,NH

3

のいずれかを含む水酸化物又は炭酸塩が用いられる。これらは吸収剤調合タンク16で脱水機11の分離した液体と調合され、例えば10~20重量パーセント(W%)の濃度とする。CaCO

3

,Mg(OH)

2

,MgCO

3

の場合、一部固体となりスラリー状となっている。このような溶液を吸収液としスプレー4より噴霧しばいじんを吸収する。吸収液中のばいじんは脱水機11より分離され固形物として取り出される。

【0014】また、ばいじんに含まれる二硫化硫黄(SO

2

)は、例えばNaOHによりNa

2

SO

3

となり、ブロワ10による空気吹き込みで酸化されてNa

2

SO

4

となる。また、SO

2

ガスは、CaCO

3

によりCaSO

3

になり、Mg(OH)

2

またはMgCO

3

によりMgSO

3

になり、ブロワ10による空気吹き込みで酸化されてCaSO

3

はCaSO

4

に、MgSO

3

はMgSO

4

となる。CaSO

4

は固形となって脱水機11により除去される。

【0015】なお、SO

2

を含んだ吸収液のpH値は、吸収剤としてNaOHやMg(OH)

2

,MgCO

3

を用いる場合は6.5~7とし、CaCO

3

を用いる場合は5.5程度を目標とする。これより低下した場合、これよりペーハー値の高い吸収液貯蔵タンク13の吸収液が供給されて目標値を維持する。

【0016】以上のように本発明の装置は、内燃機関からの排ガスからばいじんを除去し、排ガスを冷却し、排ガス中に含まれるSOxを除去してこれによる腐食を防止するので、EGRの前処理装置として好適である。

また装置として大きくないので船舶などのように取付けスペースが限られている場合に好適である。

なお上述の説明ではダンパー3により排ガス管1の排ガスの一部を取り出すとしたが、全部の排ガスを排ガス処理管2に導入すれば、SOx吸収装置として有効な装置となる。」

エ 「【図1】

112

102

0001435442000033.jpg

(25) 甲28の記載事項

甲28には、「排水処理装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【請求項2】

船舶用エンジンの排ガスのガス洗浄用スクラバーによる洗浄に使用した水

を流す配管と、

前記配管に接続され、

前記水に含まれるばいじんを前記水から分離する

ばいじん分離部と、

を具備する、

排水処理装置。」

イ 「【0002】

【従来の技術】

一般に、ディーゼルエンジンの排ガスには、NOx、SOx、CO

2

などの有害物質や環境に負荷を与える物質が含まれている。特に、低質な燃料が用いられる船舶用のディーゼルエンジンにあっては、有害物質の含有量も多い。その為、その排ガスは、そのまま排出されるのではなく、何らかの処理装置により有害物質の含有量を低減された後に排出されるのが一般的である。

【0003】

ガス洗浄用スクラバーは、排ガスを海水に通すことにより、排ガス中のばいじん及びSOx等を大幅に低減する排ガス処理装置である。船舶の場合には、多くの場合海水を使用するが、一部清水を使用する場合もある。そして、ガス洗浄用スクラバーは、排ガス処理の際、汲み上げられた海水等と排ガスとを接触混合する。それにより、排ガス中のばいじん及びSOx等は、海水等中に取りこまれるため、排ガス中の有害物質は大幅に低減される。

【0004】

しかし、処理終了後の海水等は、そのままの状態で直接海へ排水されるが、その排水中にはばいじん、硫酸、油分等が混入しているため、そのような汚染排水を直接海へ流すことがないように、排水中の有害物質の処理・低減する技術が求められている。その技術を応用したエンジンや船舶が求められている。今後、船舶の集中や海洋汚染物質の蓄積が起き易く、直接排水の影響が出易い湾内や内海航行時だけでなく、公海上においても厳しい環境規制が予想され、世界的にも上記排水処理技術が要望される。また、そのような技術は、定置方のエンジンやボイラの排ガス処理装置に対しても応用可能である。」

ウ 「【0021】

【発明の実施の形態】

以下、本発明である排ガスを処理した後の排水の処理装置である排水処理装置の一実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。本実施例において、船舶のエンジンの排ガスを海水等により処理するガス洗浄用スクラバーに使用される排水処理装置を例に示して説明するが、定置型のエンジンやボイラからの排ガスを水(この場合は海水ではない)で処理するガス洗浄用スクラバーにおいても、適用可能である。

【0022】

では、本発明である排水処理装置の一実施の形態を、添付図面を用いて説明する。

図1は、本発明である排水処理装置の一実施の形態を示すブロック図である。

1は、排水処理装置を備えた、ガス洗浄用スクラバーを有する排ガス再循環エンジンを示している。

・・・

【0025】

エンジン1は、内燃機関のエンジンである。本実施例では、船舶におけるディーゼルエンジンである。排ガスの一部を、燃焼に用いる空気と混合することで空気中のO

2

濃度を下げ、NOxの生成を抑制する排ガス再循環方式(EGR)を採用している。

・・・

【0032】

ガス洗浄用スクラバー13は、配管C20-6の他端部と、配管C20-7の一端部と、配管B18-3の一端部と、配管B18-4の一端部が接続されている。ガス流量調節弁12からの排ガスを、海水を利用して洗浄し、主にばいじん及びSOxを除去する。そして、洗浄後の排ガスをブロア16へ送り込む。また、洗浄に用いる海水は、第1ポンプ17(配管B18-3経由)から導入され、洗浄後に処理部7(配管B18-4経由)へ入る。

・・・

【0039】

次に、図2を参照して、排水処理装置30について説明する。

・・・

【0041】

容積部6は、海水を一時的に溜めておくための貯蔵室である。また、メンテナンス時に一時的に海水をストップする場合などのバッファとしても機能する。ガス洗浄用スクラバー13において、排ガス洗浄に使用した海水を容積部6にて受け取り、溜めておくことが可能である。その海水の洗浄を行う場合には、第2ポンプ10を介して処理部7へ送られるのに対して、そのまま海中へ戻される場合には、排水締切弁8を開放して海中(外部)へ排水される。

配管B18-4は、ガス洗浄用スクラバー13と容積部6を接続する配管である。

・・・

【0046】

処理部7は、遠心分離部22、油除去部23、中和部24、クーラ25、配管A15-7~配管A15-14及び交換弁27-1~交換弁27-2を有する。第2ポンプ10から送られた海水から、主にばいじん除去や中和等SOxを取り除く処理を行う。

【0047】

遠心分離部22(又はばいじん分離部ともいう)は、第2ポンプ10から送られてきた排ガス処理を行った海水を、遠心力を利用して、各成分の比重の違いにより、各成分毎に分離する遠心分離装置である。

配管A15-3は、第2ポンプ10と遠心分離部22を接続している。

【0048】

遠心力Fは、F=mrω

2

(ただし、m:質量又は比重、r:半径、ω:角速度)で表される。すわなち、同じ半径r、角速度ωにおいて、比重の違いにより受ける遠心力の大きさが異なることから、比重の大きさの異なる物質同士を分離することが可能である。

本実施例の遠心分離部では、排ガス処理を行った海水中に含まれるばいじんと、その他の海水とを分離するために用いる。ばいじんの比重は、約2g/cm

3

、海水の比重は、約1.0g/cm

3

である。すなわち、比重が2倍近く異なるので、容易に分離することが可能である。除去されたばいじんは、遠心分離部22から、一定の量が溜まるごとに除去される。」

エ 「【0055】

中和部24は、油除去部23-1(又は23-2)からの油除去処理後の海水の中和を行う中和装置である。海水は、ガス洗浄用スクラバー13での排ガス処理により硫酸分を多量に含んだ状態である。

この時、中和装置において、上述の海水を苛性ソーダ(NaOH)溶液に通すことにより、海水を中和する。その時、NaOH溶液は、主に次のように反応し、無害のNa

2

SO

4

を生成する。

H

2

SO

4

+2NaOH→Na

2

SO

4

+2H

2

O

上記処理を行った海水は、クーラ25へ排出される。

・・・

【0057】

また、上記海水は、中和されており、かつばいじん及び油分をほとんど含まない為、海中に排水することが可能である。」

オ 「【0078】

上記海水は、ばいじん、油分及び硫酸等を除去されている為、他の装置を汚すことがなく、かつ、再びばいじん、油分及びSOx等を吸収できる。従って、リサイクル海水として、再びガス洗浄用スクラバーの洗浄液として使用することも可能である。その場合、リサイクル海水と新しい海水とを混合した排水をガス洗浄用スクラバーの洗浄液に使用することや、リサイクル海水のみを使用する閉じた系とすることが可能である。これにより、新しい海水の使用量が減り、排出する海水を減らす、又はゼロにすることが可能となる。さらに、全量をリサイクル海水で間に合わすとすれば、閉じた系となるので、ガス洗浄用スクラバーからの排水を環境中へ排出せず、環境に対する負荷の著しく小さいシステムといえる。」

カ 「【0086】

本発明は、船舶におけるエンジンについて説明しているが、

定置型の施設(排ガスを発生する設備を有するエンジンやボイラなど)においても適用可能である。その場合には、海水の代わりとして工業用水を利用し、ガス洗浄用スクラバーに用いるようにする。

また、そこで使用される工業用水は出来るだけリサイクルして使用するようにする。」

キ 「【図1】

111

77

0001435442000034.jpg

【図2】

95

77

0001435442000035.jpg

(26) 甲29の記載事項

甲29には、「排ガス浄化方法及びその装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は排ガス浄化方法及びその装置、特に、海水を利用して海岸近傍に配備された発電所のボイラーその他の燃焼機器や海洋を運行する船舶の内燃機関等の排ガスを浄化する排ガス浄化方法及びその装置に関するものである。」

イ 「【0002】

【従来の技術】一般に、内燃機関やバーナー等の燃焼機器には化石燃料が使用され、その燃焼によって放出される排ガスや排煙中に含まれるNOx、SOx、COx及び塵埃粒子等が環境汚染や地球温暖化の一因となっている。この問題を解決するため、燃料処理、燃焼改善及び触媒による排ガス処理など種々提案され、陸上走行車両等の排ガスについては、ある程度改善されている。

・・・

【0004】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、2000年1月に規定された船舶でのNOxやSOxについての排出規制は未発効ではあるが、低硫黄燃料を使用するだけではその排出規定値を達成できず、しかも、前記低硫黄燃料は、超低質油に比べて高価であるばかりでなく、抜本的解決法とは言いがたく、また、ディーゼルエンジン等の内燃機関の場合には、ピストンリングとシリンダーライナー間の摩擦、磨耗によりエンジンが多大な損傷を受けるという新たな問題が明らかとなった。

【0005】他方、排ガス浄化法として海水をSO

2

吸収剤として用いる方法が提案されている(TOKERUDE A. "Seawater used as SO2 removal agent" Modern Power systems, pp-21, 23, 25, 1989及びNYMAN G B G "Seawater scrubbing removes SO2from refinery flue gases" Oil & Gas Journal vol. 89, No. 26, pp52-54, 1991)。これらの方法は、凝縮器からの海水の一部をスクラバに導入して気液接触させて排煙中のSO

2

を吸収させ、その生成した酸性海水を凝縮器からの海水と混合した後、エアレーションによりSO

2

を酸化させて海水の天然成分である硫酸イオンに変換すると共に、液中の酸素を飽和させた後、海に排出するものである。この方法は、排煙中のSO

2

を大部分除去できる利点があるが、排煙中に含まれる他の硫黄化合物H

2

S、COS、CS

2

や他の成分、NOx、COx及び塵埃粒子等については対処できないという問題がある。」

ウ 「【0025】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して説明する。

【0026】本発明に係る排ガス処理装置は、図1に示すように、被処理排ガスと処理液とを気液接触させる気液接触装置1と、電解装置16とで構成されている。前記気液接触装置1は、内部に上下二段の気液接触部3A,3Bを備えた円筒状塔本体2と、各段の気液接触部3A,3Bに酸性液又はアルカリ液を噴霧する噴霧ノズル4A,4Bとからなるスクラバで構成されている。前記塔本体2は、その下部に被処理排ガス導入口5を、上部に被処理排ガス排出口6をそれぞれ備えている。

【0027】前記塔本体2の被処理排ガス導入口5は、その下方に配設された廃液処理槽7の上部に連通し、当該廃液処理槽7は被処理排ガスライン8を介してディーゼルエンジンその他の排ガス発生源(図示せず)に接続されている。前記被処理排ガスライン8にはブロワ9が配設されている。また、前記廃液処理槽7内の廃液は、廃液無害化装置10を介して海洋に排出するようにしてある。

・・・

【0029】同様に、前記上段の気液接触部3の貯留部12Bは、アルカリ液廃液ライン15を介して海洋に排出するようにしてあり、該アルカリ液廃液ライン15に配設されたバルブ14Bを制御することにより貯留部12Bから溢流壁11Bに沿って流下する溢流量を略一定に維持するようにしてある。

・・・

【0038】他方、下段の気液接触部3Aに噴霧された酸性液は、その貯留部12に収集され、その上縁から溢れた酸性液は、溢流壁11に沿って流下しながら気液接触を生じ、溢流壁下端から廃液貯槽に集められた後、廃液無害化装置10に送られて固形物を分離した後、海洋へ廃棄される。また、上段の気液接触部3Bに噴霧されたアルカリ液は、その貯留部12に収集され、その上縁から溢れたアルカリ液は、溢流壁11に沿って流下しながら気液接触を生じ、溢流壁下端から下段の気液接触部3Aに入り、そこで酸性液を部分中和して廃液貯槽に収集される。上段の気液接触部3Bの貯留部12に集められたCO

2

リッチ液は廃液無害化装置10からの酸性廃液と混合されて酸性廃液を中和した後、海洋へ廃棄される。」

エ 「【図1】

78

102

0001435442000036.jpg

(27) 甲30の記載事項

甲30には、「排ガス浄化方法及びその装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【請求項23】

被処理排ガス供給口と浄化ガス排出口を有するスクラバ本体と、スクラバ本体に塩水を供給する塩水供給手段と、直流電圧印加手段と、前記スクラバ本体で生じる廃液を排出する廃液排出手段とからなり、

前記スクラバ本体内に前記被処理排ガスと塩水とを気液接触させる気液接触処理部

を設け、該気液接触処理部に、塩水の流動方向に関して上流側と下流側に少なくとも一対の電極を設け、該電極対に直流電圧を印加すると共に、前記塩水供給手段により少なくとも上流側電極の表面に塩水を散布又は噴霧するようにしてなることを特徴とする排ガス浄化装置。

・・・

【請求項43】

前記気液接触処理部が、最下流部気流を80°C以下に冷却する気流冷却手段を備えてなる

請求項23~42のいずれか一に記載の装置。

【請求項44】

前記気流冷却手段による冷却により生成した淡水を回収する淡水回収槽

を設けてなる、請求項43に記載の装置。」

イ 「【0001】

【発明の属する技術分野】

本発明は排ガス浄化方法及びその装置、特に、海水や人工塩水など塩化ナトリウムを含む塩水を用いて発電所のボイラー、或いは焼却炉、燃焼炉、燃料分解ガス化炉、溶鉱炉、焼結炉、焙焼炉、加熱炉、焼成炉、焼却炉その他の燃焼機器、並びに海洋を運行する船舶の内燃機関等の排ガスを浄化する排ガス浄化方法及びその装置に関するものである。」

ウ 「【0002】

【従来の技術】

一般に、内燃機関やバーナー等の燃焼機器には化石燃料や生物資源などの炭化水素化合物を含む燃料が使用され、その燃焼によって排出される排ガス、被処理排ガス中には、熱だけでなく硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、炭素酸化物(COx)、未燃焼炭化水素、塵埃粒子及び煤塵(PM)等が含まれるため、これらが大気汚染や水質汚染など環境汚染や地球温暖化の一因となっている。従って、生物の死滅を予防し人類が経済活動を持続可能にするためには、汚染物質発生源で可能な限り汚染物質の排出量を削減し、環境破壊を防止することが急務である。これを解決するため、燃料処理、燃焼改善及び触媒による排ガス処理など種々提案されている。」

エ 「【0021】

本発明方法の他の実施態様においては、被処理排ガスを浄化処理した廃液を、少なくとも電解酸化及び微細空気気泡による酸化処理、懸濁した固形物の除去による清澄化処理、及び電解還元による中和処理により無害化し、その清澄液を海洋に排水する、さらには、前記廃液を、酸化鉄(Fe

2

O

3

)粉、高炉滓、転炉滓、電気炉滓、ならびに鉄鋼設備からの集塵粉からなる群から選ばれた物質と廃液処理槽で反応させ、その反応生成物を固液分離した後、その清澄液をpH5~8に調整して海洋に排水することが行われる。これにより、中和成分と鉄分を海洋水に溶解させて、植物プランクトンの繁殖に供することができる。」

オ 「【0050】

他の実施態様においては、前記気液接触処理部に、最下流部気流を80°C以下に冷却する気流冷却手段が配設される。

前記気流冷却手段による冷却により生成した淡水を回収する淡水回収槽

及びFRP製ブロワによる排気手段を設けてもよい。」

カ 「【0069】

図1に示す本発明の一実施態様に係る排ガス浄化処理装置は、縦型スクラバ1からなり、該縦型スクラバ1は、円筒状スクラバ本体2と、その下部に配設された廃液貯留槽3とを含む。前記スクラバ本体2は、その側壁に被処理排ガス導入口4を、上部に排気口5をそれぞれ備え、前記被処理排ガス導入口4は、ブロワ6及び排ガス供給ライン7を介して排ガス発生源(図示せず)に接続されている。前記ブロアは、必ずしも必要ではないが、エンジンに直結した場合、その背圧を利用することができる。

・・・

【0073】

前記スクラバ本体2の下部に設けられた廃液貯留槽3は、廃液排出ライン20を介して廃液無害化処理装置21に接続され、そこで廃液は無害化処理して固液分離され、回収された含水固形物Sは底部から取り出され、無害化した廃液Lは排出ライン22を介して海洋M又は河川に排出される。」

キ 「【0113】

図7は淡水回収及び白煙防止手段を備えた排ガス浄化装置を示し、当該排ガス浄化装置は、図5の装置と同様の構成のスクラバ本体2に気液接触処理部8で浄化された浄化排ガスを冷却する気液接触冷却部69と、冷却された浄化排ガスを加熱する排気加熱部70とをスクラバ本体2の上部に設け、気液接触冷却部69からの冷却水を循環使用するため、スクラバ本体外に冷却塔71を設けたものである。前記気液接触冷却部69は、冷却水噴霧ノズル72と、気液接触を促進させる円錐状多孔板73と、冷却水回収槽74と、回収液貯留槽75とを含み、当該回収液貯留槽75の底部に気液接触式冷却筒76が同軸上に配設され、冷却水噴霧ノズル72から冷却水を円錐状多孔板73の表面に散布して浄化排ガスを80°C以下に冷却すると共に、

当該浄化排ガスの含有水分を凝縮させ、その凝縮水を冷却水と共に冷却水回収槽74を介して回収液貯留槽75に回収した

後、スクラバ本体外に設けた冷却塔71で冷却して、再使用するようにしてある。

【0114】

前記冷却塔71は、塔本体内に回収液を散布する回収液噴霧ノズル77を備え、塔側壁に設けた外気吸入口78から吸入される外気により空冷した後、冷却水貯水槽79に蓄え、これを冷却水供給ライン80を介して前記冷却水噴霧ノズル72に供給するようにする一方、余剰の冷却水を冷却水排出ライン81を介して排出する。なお、前記冷却水供給ライン80に熱交換器82Bを配設し、冷却水貯水槽79からの冷却水を原塩水と熱交換させて冷却して前記冷却水噴霧ノズル72に供給するようにすると、浄化排ガスの冷却効果を一段と高めることができる。」

ク 「【図1】

98

77

0001435442000037.jpg

ケ 「【図7】

90

77

0001435442000038.jpg

(28) 甲31の記載事項

甲31には、「排ガス洗浄処理船」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「本発明は排ガス洗浄処理船に関する。

従来、陸上の工場、発電所、自動者(当審注:「自動車」の誤記と解される。)等から排出される排ガス中のNOx、SOx、煤塵等の規制は強く、またこれらを処理するための陸上設備は高価であった。一方、港湾関係とくに東京湾を中心とする船舶においても排ガス規制が検討されつつある段階に入ってきている。しかし、NOx、SOx、煤塵等の処理設備を各船舶ごとに設けるには設備費や船内スペースおよび改造費が必要であるばかりか、各船舶ごとに設けるのは無駄であった。

本発明は上記の欠点を除去することを目的とし、他の船舶から排出される排ガスを吸引する手段と、該排ガス中のNOx、SOx、煤塵を処理する設備を有し、排ガス中のNOx、SOx、煤塵のいずれかを処理し、またはこれらを同時に処理して無公害な排ガスを排出するようにした、従来全く無かった排ガス洗浄処理船を提供するものであり、これによりタンカーやスペースの少ない小形船舶であってもその排ガス洗浄処理を一手に引きうけることができるようにしたものである。」(第1頁左下欄第12行~右下欄第11行)

イ 「排ガス洗浄処理船(2)は、前記フレキシプルパイプ(6)を介してタンカー(1)の排ガスを吸引する吸引ファン(7)と、該吸引ファン(7)から導入された排ガス中の、例えば酸化チッ素(NO)および二酸化チッ素(NO

2

)等のNOx成分をアンモニア等の処理液(8)で吸収して脱硝をなす脱硝装置(9)と、該脱硝装置(9)で脱硝された後の排ガスを導入され、排ガス中の例えば亜硫酸ガス(SO

2

)および無水硫酸(SO

3

)等のSOx成分をカセイソーダ等の処理液(10)で吸収する吸収塔(11)とを有し、タンカー(1)の排ガスを無公害な排ガスにして煙突(12)から排出できるように構成されている。さらに前記脱硝装置(9)および吸収塔(11)でNOx、SOx、さらにこれらと共に煤塵を吸収した後のアンモニアやカセイソーダ等の混合液が導入されて、該混合液を酸化する酸化塔(13)と、該酸化塔(13)で酸化された後の混合液が導入され、この混合液を液体と固体すなわち煤塵に分離し、該煤塵を取り除くSS(浮遊物)処理および残りの液体のCOD(化学的酸素要求量)処理を成す設備(14)とを有している。(15)はタンクで、水が入れられており、該水と前記処理された液体とが混合され、基準値以下で船外に排出される。そして該排ガス洗浄処理船(2)の各設備は、それぞれ独立して操業できるように構成されており、タンカー(1)から吸引した排ガス中のNOx、SOx、煤塵のいずれかを処理し、またはこれらを同時に処理できるようになっている。」(第1頁右下欄末行~第2頁右上欄第6行)

ウ 「NOxおよびSOxまたこれと共に煤塵を吸収した脱硝装置(9)および吸収塔(11)の各処理液(8)(10)は、混合された状態で酸化塔(13)で酸化され、この後SS処理および残りの液体のCOD処理が設備(14)でなされ、その後タンク(15)内の水と混合され、船外に排出される。」(第2頁左下欄第1~6行)

エ 「

61

102

0001435442000039.jpg

」(第3頁)

(29) 甲32の記載事項

甲32には、「水処理技術」(第4章のタイトル)に関して、次の事項が記載されている。

「d.中和(neutralization) 中和処理の目的は,酸性(acidity)やアルカリ性(alkaline)の排水による生物への影響や設備の腐食などの弊害を避けるために,定められた基準値に処理水のpHを調整すること,生物処理や凝集処理など水処理の各プロセスに適したpHに調整することが挙げられる.図4・44

(38)

に示したように,pHを調整することにより,金属イオンを水酸化物として沈殿させ,除去することもできる.」(第95頁左欄第3~9行)

(30) 甲33の記載事項

甲33には、「排水処理方法とその装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0023】図1に基づいてかかる排水処理方法の処理の流れを簡単に説明する。まず、焼却炉や溶融炉から排出して冷却、除塵等の排ガス処理をなされた排ガスは、スクラバ1でキレート剤5aを含む液により液接触され、ダイオキシン類や重金属等がスクラバ排水側に移行し、前記排ガス中に残存する酸性ガスは次工程の脱硝装置等により除去され、有害物質が規制値以下に低減された排ガスは煙突から系外に放出される。

【0024】一方、

前記スクラバ1より排出されたスクラバ排水の一部は返送ライン7、6を介してスクラバ1に返送される

とともに、他の一部はオゾン前処理槽4に導入され、前記液接触工程でキレート剤5aと重金属とにより生成した重金属キレート化合物や過剰分のキレート剤のキレート結合がオゾンにより開裂し、ダイオキシン分解装置2に送給される。前記ダイオキシン分解装置2で、オゾンにより酸化分解される。また、オゾンのみで分解しないダイオキシン類は、オゾンに紫外線を照射することでヒドロキシラジカルを生成し、該ヒドロキシラジカルにより難分解性のダイオキシン類の酸化分解を促進する。」

イ 「【図1】

63

102

0001435442000040.jpg

(31) 甲34の記載事項

甲34には、「廃棄物のガス化により生成するガスの洗浄方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、地域社会の廃棄物(一般廃棄物)または産業廃棄物などの廃棄物をガス化し、得られる生成ガスを燃料用ガスなどとして回収する廃棄物処理に関し、特に、上記生成ガスの洗浄方法に関する。・・・」

イ 「【0013】

【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明する。図1に、本発明に係わる廃棄物処理設備の一例をフローシートによって示す。図1の廃棄物処理設備は、I.高温反応塔、II. ガス精製設備、III.洗浄水処理設備から構成されている。

【0014】以下、先ず、本発明に係わるI.高温反応塔、II. ガス精製設備、III.洗浄水処理設備について説明する。

〔I.高温反応塔:〕高温反応塔(以下、反応塔とも記す)においては、反応塔の下部に廃棄物が投入されると共に、酸素が吹き込まれる。

【0015】高温反応塔(:反応塔)内は、廃棄物の酸素による部分酸化によって、1000°C以上に維持される。反応塔に投入された廃棄物は、高温条件下で部分酸化あるいは熱分解によりガス化され、生成ガス(高温ガス化生成ガス)が反応塔塔頂部から排出され、ガス精製設備へ送給される。

・・・

【0017】・・・

〔II. ガス精製設備:〕

反応塔塔頂部から排出される廃棄物のガス化により生成するガス(:生成ガス)は、ガス精製設備へ送給される。

【0018】

ガス精製設備に送給された生成ガスは、先ず、ガス急冷・洗浄装置(以下、第1洗浄装置とも記す)において、酸性水溶液で冷却・洗浄される。

この過程で、高温の生成ガスは、急冷され、ダイオキシン類の合成が防止されると共に、生成ガス中のアンモニア、塩化鉄、蒸発亜鉛、蒸発鉛および微細カーボン粒子などが酸性水溶液に溶解あるいは捕捉される。

【0019】

急冷・洗浄された生成ガスは、さらに、ガス洗浄装置(以下、第2洗浄装置とも記す)において洗浄され、第1洗浄装置の酸性水溶液で吸収、捕捉しきれなかったHCl ガスなどを吸収・除去する。

ガス洗浄装置(:第2洗浄装置)において再度洗浄された生成ガスは、ガス精製装置において、脱硫などの処理を行う。

【0020】ガス精製装置で処理された生成ガス(精製ガス)は、燃料用ガスなどとして有効利用される。

〔III.洗浄水処理設備:〕

前記したガス精製設備におけるガス急冷・洗浄装置(:第1洗浄装置)においては冷却・洗浄水(酸性水溶液)が循環・再利用され、また、ガス洗浄装置(:第2洗浄装置)においても洗浄水が循環・再利用される。

【0021】この場合、第1洗浄装置の冷却・洗浄水中および第2洗浄装置の洗浄水中には不純物成分が蓄積する。このため、ガス急冷・洗浄装置(:第1洗浄装置)の冷却・洗浄水およびガス洗浄装置(:第2洗浄装置)の洗浄水それぞれの一部を適宜抜き出し、洗浄水処理設備に送給し、処理する。」

ウ 「【図1】

125

89

0001435442000041.jpg

(32) 甲36の記載事項

甲36には、「放射性廃棄物の処理方法および処理装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

本発明は放射性廃棄物の処理方法および処理装置に係り、特に処理に伴う二次廃棄物の発生量が少なく、ウランやフッ素成分などの放射性核種を含有付着した放射性廃棄物から上記放射性核種を容易に且つ効率的に分離したり回収したりすることが可能な放射性廃棄物の処理方法および処理装置に関する。」

イ 「【0031】

この様にして得られた溶出液に対し、次の分離工程ではウランやフッ素を化学的に分離し溶液中のウランやフッ素の濃度が排水基準値以下となった。ウランやフッ素を分離した後、排水を環境へ排出することが可能になる。

ウ 「【0041】

原子炉等規制法及び鉱山保安法などの法的規制に基づく、ウランの施設外への排水基準値は、最も厳しい化学形態の場合で

238

U濃度が2×10

-2

Bq/cm

3

である。この放射能濃度を元素ウラン濃度に換算すると1.6mg/Lとなる。上記二種のウラン難溶性化合物化工程ではいずれの場合でも溶液中の

ウラン濃度は上記換算基準値以下まで低減が可能であることから、一工程で廃液の施設外への排出が可能となる。

(33) 甲37の記載事項

甲37には、「セシウム吸着剤と放射性核種除去方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

「【0001】

本発明は、原子炉施設、核燃料の再処理工場等から発生する、放射性核種を含有する廃液、特にセシウム、又はセシウムとストロンチウムを含有する廃液の処理方法に関する。

【0002】

原子炉施設、核燃料の再処理工場等からの廃液には、種々の放射性核種が含まれているため、蒸発濃縮法,イオン交換法,凝集沈澱法等の処理方法を組み合わせることにより、廃液中の放射能濃度を原子炉等規制法に定める値以下にして、環境中へ放出している。

・・・」

(34) 甲38の記載事項

甲38には、「ガスモニタ及び水モニタ」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【請求項3】原子力発電所等の施設から排出される排水中に存在する放射性同位元素からの放射線を連続的に測定・監視・記録するために、被測定排水を導入するチャンバと、このチャンバに隣接して設けられた放射線検出器とを備えている水モニタにおいて、被測定排水を導入するチャンバの体積を調整する手段が備えられていることを特徴とする水モニタ。」

イ 「【0001】

【発明の属する技術分野】この発明は、原子力発電所等の施設から排出される排ガスまたは排水中に存在する放射性同位元素からの放射線を連続的に測定・監視・記録するためのガスモニタ及び水モニタに関する。」

(35) 甲39の記載事項

甲39には、「排出流体モニタリング装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】

【0001】

本発明は、原子力発電所などの原子力施設及び大学・研究所などの放射性同位元素取扱施設から放出された気体状及び液体状の放射性排出物である排出流体についてモニタリングを行う排出流体モニタリング装置に関する。」

イ 「【0014】

・・・

原子力発電所からは、非常にわずかな量であるが、液体放射性物質が排水とともに放出されている。このため、放出前には放射性物質の量をあらかじめ測定、分析し、環境に影響がないことを確認しているが、この放水口モニタは、放水される排水中の放射能を連続的に測定し再確認する。・・・」

(36) 甲40の記載事項

甲40には、「排煙脱硫装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、石炭や重油等の燃料を燃焼させるボイラ、ガスタービン、エンジンや焼却炉等から排出される排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を長期間に亙って高効率で除去するための排煙処理装置及び排煙脱硫装置の触媒再生処理方法に関する。」

イ 「【0015】第7の発明は、第5又は6の発明において、上記排ガスがボイラ、ガスタービン、エンジン及び各種焼却炉から排出されるガスであり、排ガス中の煤塵を除去する煤塵除去手段を備えてなることを特徴とする排煙脱硫システムにある。」

ウ 「【0028】ここで、上記排ガスは例えば都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉、溶融炉、ボイラ、ガスタービン、エンジン等から排出されるものであるが、本発明では硫黄酸化物(SOx:SO、SO

2

、SO

3

、S

2

O

3

等)を浄化するものであるので、発生源は特に限定されるものではない。」

(37) 甲41の記載事項

甲41には、「排煙脱硫システム及び方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、石炭や重油等の燃料を燃焼させるボイラ、ガスタービン、エンジンや焼却炉等から排出される排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を除去するための排煙脱硫システムに関する。」

イ 「【0017】第7の発明は、第1又は2の発明において、上記排ガスがボイラ、ガスタービン、エンジン及び各種焼却炉から排出されるガスであり、排ガス中の煤塵を除去する煤塵除去手段を備えてなることを特徴とする排煙脱硫システムにある。」

(38) 甲42の記載事項

甲42には、「排煙脱硫装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【産業上の利用分野】本発明は、化石燃料を使用するボイラ、焼却炉、陸上および舶用ディーゼルエンジンなどの排ガス中に含まれるダストおよびイオウ酸化物を同時に除去する湿式脱硫方式の排煙脱硫装置に関する。」

イ 「【0002】

【従来の技術】化石燃料を使用するボイラや、焼却炉、陸上および舶用ディーゼルエンジンなどの排ガス中には、比較的多量のダストやイオウ酸化物が含まれており、それを大気中に排気することで公害問題になっている。そこで、これを解消するものとして、各種の排煙脱硫装置が開発されている。」

(39) 甲43の記載事項

甲43には、「排ガス処理方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】

【0001】

本発明は、排ガス中の有害物質を浄化する排ガス処理方法に関する。」

イ 「【0046】

また、本実施例では、ボイラ41からの排ガス11中の硫黄酸化物等を除去する排煙脱硫システムについて例示したが、本発明の浄化対象となる排ガスはこれに限定されるものではなく、例えばガスタービン、エンジン、ガス化炉及び各種焼却炉の何れかから排出される排ガスに用いてもよい。」

(40) 甲44の記載事項

甲44には、「排ガス再循環システム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、排ガスの再循環システムに関する。

【0002】

【従来の技術】一般に、ディーゼルエンジンの排ガスには、NOx、SOx及びばいじん等の有害物質や環境に負荷を与える物質が含まれている。特に、低質な燃料が使用される船舶用のディーゼルエンジンにあっては、排出される有害物質の含有量も多い。そのため、このような有害物質を排出しない種々の方式が提案されている。

【0003】有害物質を低減させる代表的な方法としてNOxを低減できる排ガス再循環(EGR)方式がある。これは、燃焼により発生した排ガスの一部を燃焼用空気に混入して燃焼させ、燃焼温度の低下によりNOxの減少を図るものである。排ガスで薄められた空気は通常の空気に比べて酸素濃度が低い。従って、燃料と酸素との反応である燃焼の速度を遅らせることができる。それに伴い、火炎の最高温度が低下するので、NOx生成(Thermal NOx)を抑制することができる。」

イ 「【0027】一方、図2を参照して、排ガス循環システムに設置する第一番目のガス洗浄装置は、ガス洗浄部(31)に屈曲した複数の壁体(37)を一定間隔に配設したエレメント(36)を持つ。そして、エレメント(36)へ洗浄水を噴霧して、前記壁体(37)表面を濡らす洗浄水供給手段(38、39)とを有し、前記壁体(37)に排ガスを通過させることで含有するばいじんを衝突させ、更に、SOx等を洗浄水に吸収させて浄化する充填層スクラバー(21)であることを特徴としている。」

ウ 「【0031】

【発明の実施の形態】以下、本発明である排ガス再循環システムの実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。本実施例において、船舶のエンジンとしての排ガス再循環システムについて説明するが、他の用途でも本発明の排ガス再循環システムを適用することが可能である。」

エ 「【0032】(実施例1)本発明である排ガス再循環システムの第1の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。・・・

・・・

【0036】循環管路11-1には、ガス洗浄装置である充填層スクラバー21が設置されている。排ガスは、ここで洗浄され、ばいじんやSOx等が除去される。洗浄される排ガス量は制御ブロワ22の回転数の制御により、必要量が設定可能である。洗浄された排ガスは、制御ブロワ22により、循環管路11-2を介して吸い出され、循環管路11-3を介して過給機5(の一端部側:過給機コンプレッサ部)へ送り込まれる。そして、ここで外気と混合し、加圧される。排ガスを含む加圧空気は、循環管路11-4を介してエアクーラ4に達する。そして、ここで冷却され、循環管路11-5を介して掃気室2に供給される。

【0037】外気(新気)と排ガスとの混合は、上述のように過給機5(の一端部側:過給機コンプレッサ部)において行なっても良いし、循環管路11-3の途中に接続された吸気管路6へ新気を導入することにより行なうことも有る。

【0038】排ガスを洗浄する充填層スクラバー21には、洗浄水供給管路23が接続されている。この洗浄水供給管路23にはポンプ24が接続され、それにより、海水が洗浄水として充填層スクラバー21に供給される。そして、充填層スクラバー21の本体内に装着されている洗浄水ノズルより、屈曲した複数の壁体を一定間隔に配設したエレメントへ洗浄水を供給するよう構成されている。排ガス洗浄を終えた洗浄水は排水管25を介して海に排水される。」

オ 「【0098】本発明は、船舶におけるエンジンについて説明しているが、

定置型の施設のような陸上においてエンジンを使用するシステムに幅広く採用できる。その場合には、海水の代りとして工業用水を利用すれば良い。

カ 「【図1】

108

77

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(41) 甲45の記載事項

甲45には、「ディーゼル機関の排気ガス還流制御装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】

【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼル機関の排気ガスの一部を給気側に戻すようにしたディーゼル機関の排気ガス還流制御装置に関する。」

イ 「【0002】

【従来の技術】従来から、ディーゼル機関の排気ガスの一部を、給気通路に混入して、ディーゼル機関への給気ガス中のO

2

濃度の低減と燃焼温度の低減とによって、NOxを低減させることが行われている。」

ウ 「【0025】さらに本発明に従えば、排気ガス還流通路にスクラバを介在して排気ガスに水をシャワーなどによって直接に接触させ、除塵とともにSOx(たとえばSO

2

,SO

3

)、NOx(たとえばNO

2

,NO,NO

3

)などを除去し、こうして清浄化された排気ガスをミストキャッチャに導いて水滴を除去し、さらに除塵用フィルタで除塵を行った後、流量制御弁に導くようにし、こうしてスクラバによる排気ガスの冷却効果もまた達成することができる。このスクラバを用いることによって、それよりも上流側の除塵用フィルタおよびクーラなどを省略し、構成の簡略化を図ることができる。」

エ 「【0028】

【実施例】図1は、本発明の一実施例の全体の構成を示す系統図である。ディーゼル機関1の排気ガス通路2には過給機3のタービン4が設けられ、このタービン4によってブロア5が回転駆動される。ブロア5は、ディーゼル機関1の給気通路6に介在される。この給気通路6には、排気ガス循環通路7からの排気ガスと空気通路8からの燃焼用空気とが混合されたガスが流過する。」

オ 「【0053】図14は、本発明のさらに他の実施例の全体の構成を示す系統図である。この実施例は前述の実施例に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの実施例では、排気ガス還流通路7には、上流側から下流側にスクラバ40と、ミストキャッチャ12と除塵用フィルタ13とがこの順序で配置され、フィルタ13の下流側に流量制御弁14が配置される。

【0054】図15は、スクラバ40の具体的な構成を示す断面図である。ハウジング41の上部にはノズル42が設けられ、このノズル42には、管路43から冷却媒体である水、たとえば海水が供給され、ノズル42から水が霧状に噴射される。ハウジング41には、噴射された水が参照符44で示されるように貯留され、排出管路45から排水される。排気ガス還流通路7の前記接続個所9からの排気ガスは、水の貯留部44よりも上方の入口46からハウジング41内の空間に供給され、ノズル42よりも下方であって、かつ入口46よりも上方の出口47から排出されて後続のミストキャッチャ12に導かれる。

【0055】スクラバ40では、入口46からの高温度の排気ガスがノズル42からの水と直接に接触して除塵が行われるとともに、NOxおよびSOxが水に吸収され、さらに効率よく冷却される。スクラバ40の出口47から排出される排気ガスの温度は、たとえば50°C程度である。」

カ 「【図14】

73

153

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【図15】

68

77

0001435442000044.jpg

(42) 甲46の記載事項

甲46には、「排気ガス再循環システムを制御するための方法及びシステム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】

【0001】

本発明は、排気ガス再循環システムに関し、より具体的には、排気ガス再循環システムを制御するための方法及びシステムに関する。」

イ 「【0004】

排気ガス再循環(EGR)は一般的に、放出排気の一部分をターボ機械の吸入部分を通して再循環させることを含む。排気は次に、燃焼に先立って流入空気流と混合される。・・・」

ウ 「【0051】

スクラバは、一般に、産業排気ストリームからパーティキュレート及び/又は他のエミッションを除去することができる空気汚染制御装置と見なされる。スクラバは、ガス流から望ましくない汚染物質を「洗浄する」ための液体を含む、「スクラビング(洗浄)プロセス」又は同様のものを用いることができる。スクラバは、スクラバ流体を受け入れ、後でこれを吐出することができ、上述のように、このスクラバ流体は、排気ストリーム170の温度を下げるために必要な熱伝達を可能にするタイプのものとすることができる。スクラバ流体は、一般に、排気ストリーム170内の有害成分の一部を吸収する。

スクラバ流体は、淡水、海水、又はこれらの組合せであってよい。

スクラビング効率を高めるために、スクラバ流体にアルカリ性試薬を添加することができる。」

エ 「【図1】

110

153

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(43) 甲47の記載事項

甲47には、「大型過給内燃機関及びその吸気を冷却する冷却器の運転方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【特許請求の範囲】

1.給気及び掃気をエンジンシリンダに供給するコンプレッサ(9)と、該コンプレッサからの空気を冷却する冷却器(12)とを備える、船舶の主機のような大型の過給内燃機関(1)にして、前記冷却器(12)が、空気中に水を圧力噴霧することにより、掃気及び給気と冷却水とを直接接触させ得るように設計され、

前記冷却器(12)が、連続的な多数の噴霧領域を備え、

少なくとも二つの噴霧領域の間には、空気から水滴を分離する液滴捕集領域(33)が設けられることを特徴とする内燃機関。

・・・

4.請求の範囲第1項乃至第3項の何れかの項に記載の内燃機関にして、吐出ポンプ(49)が、前記冷却器内の噴霧領域に淡水を供給し、該冷却器の液滴捕集領域の少なくとも一つが貯蔵タンク(50)に淡水を供給し、該貯蔵タンクが冷却器内の圧力と略等しい圧力まで加圧されることを特徴とする内燃機関。

5.空気がコンプレッサ(9)から去った後で、空気がエンジンの燃焼室に供給される前に、過給内燃機関(1)の吸気を噴霧水で冷却すべく冷却器(12)を運転する方法にして、

水を圧力噴霧することにより、該空気が多数の段(13乃至16)内で冷却され、自由に利用可能な品質の水が冷却器の第一の段(13)内で空気中に噴霧され、その結果、液滴が空気から除去され、その後続の少なくとも一つの段(14乃至16)内で淡水が空気中に噴霧され、その結果、水滴が空気から除去されるようにしたことを特徴とする方法。

6.請求の範囲第5項に記載の方法にして、淡水が連続的な二つの段(14、15)内で空気中に噴霧され、淡水が噴霧される最後の段(15)内にて空気から除去された水が貯蔵タンクに供給されることを特徴とする方法。

・・・」

イ 「本発明は、給気及び掃気をエンジン・シリンダに供給するコンプレッサと、該コンプレッサからの空気を冷却する冷却器とを備える、船舶の主機のような大型の過給内燃機関に関する。」(第4頁第4~6行)

ウ 「本発明の目的は、冷却性能が大きく、効率良く機能し、また、作動上の信頼性が高く、しかも保守が僅かで済む、大型エンジンの吸気装置に対する冷却器を提供することである。」(第5頁第15~17行)

エ 「また、本発明は、空気がコンプレッサから出た後で、且つ空気がエンジンの燃焼室に供給される前において、噴霧水により、過給内燃機関の吸気を冷却し得るように、冷却器を運転する方法にも関する。この方法は、水を圧力噴霧することにより空気が多数の段にて冷却され、自由に利用可能な品質の水が冷却器の第一の段にて噴霧され、その結果、水滴が空気から除去され、また、その後続の段にて淡水が空気中に噴霧され、その結果、水滴は空気から除去されるようにしたことを特徴とする。

冷却水と空気とを直接、接触させる上述の利点に加えて、

該方法は、また、必ずしも純粋でない淡水である水を利用して、第一の段にて空気の加湿及び冷却を行うことを可能にする。低品質の水、即ち、海水又は湖からの浄化前の表面水、又は工業用に使用されたその他の水のような非飲用水が適量、エンジンプラントの付近に存在するならば、冷却器内での蒸発及び凝縮過程の結果、この水は浄化され、またその後続の段にて噴霧された淡水は、空気中からあらゆる不純物を除去するから、第一の段においてこの水を使用することが可能となる。

このようにして、空気の加湿に使用される量と同等の淡水の節約が可能となる。

淡水は、二つの連続する段にて空気中に適宜に噴霧することが出来、最後の淡水段にて空気から除去された水は、貯蔵タンクに供給出来る。上述のように、第一又は第二の淡水段にて冷却する結果、純粋の淡水が実際に製造され、この淡水は、貯蔵タンク内に集められる。この方法において、冷却器は淡水を自己充足するのみならず、余分に製造された量の水を貯蔵タンクから出して、その水をその他の目的に使用することが可能となる。」(第8頁第22行~第9頁第13行)

オ 「図1には、大型の内燃機関が全体として参照符号1で示されており、該内燃機関は、掃気及び給気室2及び排気室3とを有している。・・・

・・・

導管11内の吸気は、図示した実施例において、四つの噴霧段13乃至16を有する冷却器12を通って流れる。第一の段13において、海水のような一般に利用可能な品質の水は、気体を加湿、冷却及び浄化し得る量にてパイプ17を通って流れて噴霧ノズルに入る。塩分、又はその他の不純物のような粒子が水から気体中に析出されないように、適度に余剰な量の水が供給される。第一の段から排出されると、空気は露点付近の温度にまで略冷却される。第二の段14において、パイプ18を通じて供給される淡水は、気体中に噴霧され、これにより、更に冷却して、その結果、気体中のあらゆる粒子に水が凝縮する。第三の段15において、パイプ19を通じて供給された淡水は、空気中に噴霧され、この空気は、この場合、従来のパイプ・フィン冷却器からの空気の排出温度に等しい温度にまで冷却される。第四の段16において、パイプ20を通じて供給された水は、気体中に噴霧され、該気体は、冷却水の温度よりも数度高い温度まで冷却され、比較的少量の淡水の凝縮が続けられる。各段から、凝縮された余剰な水は、排液口又は排液パイプ21乃至24を通じて排出される。冷却器における段の数はより少なくてもよい。この段数は、特に、エンジン出力、及び淡水の必要な製造量に適合したものとする。吸気が不純物を含む場合、これらの不純物は、冷却器の第一の段にて洗浄され、更に、第二の段にて洗浄することも可能であり、このため、その汚染物質の種類に依存して、パイプ21、22を通じて排出された水を浄化することが必要となる。第一の段に供給された水が不純物を含むならば、パイプ22を通じて排出された水もまた、不純であると考えられる。」(第10頁第7行~第11頁第15行)

カ 「図5には、三段式冷却器への接続状態の線図が示してある。上述のように、図1の冷却器は、三つの段しか備えないようにすることが出来、簡略化のために、図5では、図1の第一の冷却器の三つの段を示す参照符号と同一の符号が使用されている。

該冷却器は、舶用機関に使用され、また、第一の噴霧段への供給パイプ17には、海水弁48を通じて、吐出ポンプ47により海水が供給される。第一の液滴捕集領域からの余剰な水は、パイプ21を通じて上方に運ばれる。

吐出ポンプ49が貯蔵タンク50から淡水を吸引し、その水をプレート冷却器51を通じて送り、該冷却器において、淡水は、海水弁52を通じて吸引するポンプ53により冷却器を通じて流れる海水により冷却される。淡水は、排出パイプ54を通じて、第二の噴霧段の供給パイプ18及び第三の噴霧段の供給パイプ19に分配される。

」(第13頁第19行~第14頁第1行)

キ 「【図1】

99

89

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ク 「【図5】

143

77

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2 無効理由1について

(1) 甲1に記載された発明(甲1発明)

甲1の記載(前記1(1)参照)を、図6に記載された「排煙脱硫装置130」に着目し、同図に記載された具体的な構成(図6中の部材及び部材番号)を当てはめながら整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「吸収塔131、導入管132、ポンプ133、吸収塔タンク134、エアスパージャ135、中和剤サイロ136、放出管137、排水フィルタ138、ガスガスヒータ139、ヘッダパイプ140、充填材141、煙突部142、海水供給配管143、海水吸込み配管144、ポンプ145、導出配管146、配管146a、ブロワ147、中和タンク148、及び、貯留部150を備えた、図6に記載された排煙脱硫装置130。」

(2) 本件発明1について

ア 本件発明1と甲1発明の対比

(ア) 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。

a 甲1発明の「海水供給配管143」、「ヘッダパイプ140」、「吸収塔131」、「吸収塔タンク134」、「ポンプ145」、「導出配管146」及び「配管146a」からなる部分は、図6に示されているように、循環経路となっており、前記1(1)エによれば、「海水供給配管143」を経由して「吸収塔131」に配設された「ヘッダパイプ140」に海水が供給され(【0032】)、「吸収塔131」内で、船内に設置されたエンジン101から排出された排煙(未処理排煙A)と海水が気液接触して亜硫酸ガスを吸収除去し(【0030】、【0031】、【0038】)、未処理排煙Aと気液接触して流下した海水は「吸収塔131」の底部に形成された「吸収塔タンク134」に受止められ(【0031】)、「吸収塔タンク134」内の海水は「ポンプ145」により「導出配管146」を経由して抜出され(【0033】)、海水の一部は「導出配管146」から分岐して「海水供給配管143」に接続した「配管146a」により「ヘッダパイプ140」に送られる(【0033】)ように構成されているから、本件発明1の「船舶用エンジンの」「排出ガスを浄化するための」「排出ガススクラバー流体ループ」に相当する。

b 甲1発明の「中和剤サイロ136」、「中和タンク148」、「放出管137」、「排水フィルタ138」及び「貯留部150」からなる部分は、前記1(1)エによれば、未処理排煙Aと接触して亜硫酸ガスを吸収した海水を中和した(【0039】)後、ダストなどの固形分Eを除去する(【0040】)ものであるから、本件発明1の「汚染された」「スクラバー流体のための浄化設備」に相当する。

c 甲1発明の「導出配管146」は、図6が示すとおり、途中で「配管146a」に分岐している。そして、前記1(1)エによれば、「導出配管146」は、「吸収塔タンク134」内の海水を「中和タンク148」に送るためのものであり、分岐した「配管146a」は、前記海水の一部を再度「ヘッダパイプ140」に送るためのものである(【0033】)から、「配管146a」と分岐した「導出配管146」は、「吸収塔タンク134」内の海水の一部を「中和タンク148」に送るためのものといえる。したがって、前記a、bの検討を踏まえると、甲1発明の「配管146a」と分岐した「導出配管146」は、本件発明1の「前記スクラバー流体ループ」「から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」に相当する。

d 甲1発明の「排水フィルタ138」は、前記b及びcで検討したとおり、「吸収塔タンク134」内の海水の一部に対して、中和処理後に、ダストなどの固形分Eを除去するためのものであるから、本件発明1の「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するため」の手段に相当する。

e 甲1発明の「放出管137」は、前記1(1)エによれば、その途上に「排水フィルタ138」が接続されており(【0031】)、「中和タンク148」の海水を「排水フィルタ138」に導出するものである(【0040】)から、前記c及びdの検討を踏まえると、「中和タンク148」から「排水フィルタ138」までの「放出管137」は、「吸収塔タンク134」内の海水の一部を中和処理後に「排水フィルタ138」に導出するためのものといえる。したがって、甲1発明の「中和タンク148」から「排水フィルタ138」までの「放出管137」は、本件発明1の「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を」「案内するための手段」に相当する。

f 甲1発明の「排水フィルタ138」からの「放出管137」は、前記1(1)エによれば、「排水フィルタ138」でダストなどの固形分Eを除去された後の海水を海中に放流するためのものである(【0040】)から、本件発明1の「前記浄化されたスクラバー流体を」「環境に放出するための手段」に相当する。

g 甲1発明の「貯留部150」は、前記1(1)エによれば、「排水フィルタ138」から排出された固形分Eを溜めるためのものである(【0036】)から、本件発明1の「前記汚染物質相を」「回収するための手段」に相当する。

(イ) 以上の点に照らすと、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。

a 一致点

「船舶用エンジンの排出ガスを浄化するための排出ガススクラバー流体ループからの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備であり、

前記スクラバー流体ループから汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するための手段を備えており、さらに、

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を案内するための手段と、

前記浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段と、

前記汚染物質相を回収するための手段を備えている浄化設備。」

b 相違点I-1

船舶用エンジンの排出ガスについて、本件発明1は、「EGRにおいて再循環される排出ガス」であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明の排煙は、EGRにおいて再循環されるようなものではなく、最終的に処理済排煙Bとして大気中に放出されるものである点。

c 相違点I-2

排出ガススクラバー流体ループについて、本件発明1は、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明の「海水供給配管143」、「ヘッダパイプ140」、「吸収塔131」、「吸収塔タンク134」、「ポンプ145」、「導出配管146」及び「配管146a」からなる部分は、甲1の図6に示されたとおりのものである点。

d 相違点I-3

スクラバー流体について、本件発明1は、「生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体」であるとさらに特定しているのに対して、甲1発明は、「排煙脱硫装置130」において排煙中の亜硫酸ガスを吸収除去するために「海水」を使用している点。

e 相違点I-4

汚染されたスクラバー流体の一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するための手段(以下、「分離手段」という。)について、本件発明1は、「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であり、「その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)」を備えており、「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を案内するための手段」(以下、「汚染流体案内手段」という。)が、汚染されたスクラバー流体の一部を「前記分離機入口」に案内するための手段であり、「前記浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段」(以下、「環境放出手段」という。)が、「前記第一の分離機出口」から浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段であり、「前記汚染物質相を回収するための手段」(以下、「汚染物質相回収手段」という。)が、「前記第二の分離機出口」から汚染物質相を回収するための手段であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明の「分離手段」は、「排水フィルタ138」であり、「汚染流体案内手段」が、汚染されたスクラバー流体の一部を「排水フィルタ138」に案内するための手段であり、「環境放出手段」が、「排水フィルタ138」から浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段であり、「汚染物質相回収手段」が、「排水フィルタ138」から汚染物質相を回収するための手段である点。

イ 相違点の検討

検討の末、当審は、相違点I-2及び相違点I-3に係る本件発明1の構成は個別にみても、もとより総合的にみても容易想到の事項とはいえない上、相違点I-4に係る同構成をさらに合わせた構成全体についてはなおのこと容易想到の事項とはいえないと判断する。

以下、順に、その判断理由につき詳述する。

(ア) 相違点I-2について

a 相違点の検討に先立って、あらかじめ本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」の意義について確認する。

(a) 始めに、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」と、本件発明1に係る「浄化設備」との関係をみておくと、この「浄化設備」は、前記第4の請求項1に記載のとおり、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備」であって、「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」を備えているものであるから、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」に付帯する設備であることが分かる。

他方、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」は、前記「浄化設備」が付帯する以前に(前記「浄化設備」を切り離した状態で独立して)、既に、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するため」のものとして確立されているものであると理解するのが相当である。

(b) 次に、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」の構造についてみると、本件特許明細書及び図面には、これに関連する事項として、次の記載を認めることができる。

・「本発明は、排出ガススクラバー流体ループからの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備に関する。スクラバー流体ループは、閉じたスクラバー流体ループ、すなわち、システム内のスクラバーと他のコンポーネントを通るスクラバー流体の再循環を提供する循環システムであってよい。」(【0010】)

・「本発明はまた、船の大きいエンジンなどのディーゼルエンジンのための排出ガス浄化設備を供給し、それは、排出ガスのための入口を有しているガススクラバーと、排出ガスにスクラバー流体を供給するための湿潤デバイスと、汚染されたスクラバー流体を排出ガスから取り除くための小滴分離機と、汚染されたスクラバー流体の一部をスクラバー流体ループから抜き取るための手段を有する本発明による浄化設備に接続された、スクラバー流体をスクラバーに循環させるための好ましくは閉じたスクラバー流体ループを備えている。」(【0027】)

・「排出ガススクラバー1に接続されたガススクラバー流体のための浄化設備が図1に示される。排出ガススクラバー1は、船のメインまたは補助エンジンなどの大型ディーゼルエンジンの排出コンジット2に作用する。スクラバーは、スクラバー流体のためのスクラバー入口3とスクラバー出口4を備えている。スクラバー出口4は、スクラバー流体のためのバッファータンク6の入口5に接続されている。バッファータンクはさらに、スクラバー供給ポンプ8を経由してスクラバーの入口3にスクラバー流体を供給するための出口7を備えている。スクラバー1とバッファータンク6とそれらを接続しているチューブは、動作中にスクラバー流体が循環される閉じたスクラバー流体ループ9を形成している。スクラバー流体ループはさらに、動作中のプロセスへの生水や淡水や脱塩海水などの清浄なスクラバー流体の追加のための手段を備えていてもよい(図示せず)。これは、スクラバー流体ループ9のどの部分でおこなわれてもよい。」(【0034】)

・「動作中、スクラバー流体は、スクラバー供給ポンプ8によってバッファータンク6からスクラバー入口3に供給される。スクラバー流体は、スクラバー1中において霧にされ、排出コンジット2中のまたはそれからの排出ガスの流れに供給される。スクラバー中において、スクラバー流体は、排出ガスからの有機および無機の燃焼残留物の浄化に使用される。スクラバー流体と排出ガス燃焼残留物の結果の混合物は、ガスストリームから小滴の形で分離され、浄化設備のスクラバー流体のためのスクラバー出口4と入口5からバッファータンク6に送り戻され、それによりスクラバー流体ループ9を閉じている。」(【0036】)

・「

67

102

0001435442000048.jpg

」(【図1】)

そして、これらの記載によれば、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」とは、端的にいうと、システム内のスクラバーと他のコンポーネントを通るスクラバー流体の再循環を提供する循環システムであって(【0010】)、スクラバー流体をスクラバーに循環させるためのものであり(【0027】)、図1においては、スクラバー1とバッファータンク6とそれらを接続しているチューブにより形成されているものであることが分かる(【0034】。ここではバッファータンク6などが【0010】でいう「他のコンポーネント」に該当するものと解される。)。

より具体的には、該ループは、動作中のプロセスへの生水や淡水や脱塩海水などの清浄なスクラバー流体の追加のための手段を備えていてもよく(【0034】)、図1において、動作中、スクラバー流体は、スクラバー供給ポンプ8によってバッファータンク6からスクラバー入口3に供給され、スクラバー1中において霧にされ、排出コンジット2中のまたはそれからの排出ガスの流れに供給され、スクラバー中において、排出ガスからの有機および無機の燃焼残留物の浄化に使用され、スクラバー流体と排出ガス燃焼残留物の結果の混合物は、ガスストリームから小滴の形で分離され、浄化設備のスクラバー流体のためのスクラバー出口4と入口5からバッファータンク6に送り戻され、それによりスクラバー流体ループ9を閉じるような循環システムであることが理解できる(【0036】)。

(c) 以上に照らすと、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」とは、まずは、前記(a)のとおり、このループ自体により、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するため」の、独立して確立された系を構成するものでなければならないと理解すべきである。

そして、前記(b)からみて、その構造は、「浄化設備」への抜き取り経路(「浄化設備」との接続経路)を除いて考えたとき、そのループ自体で、スクラバー動作中(スクラビングの間)のスクラバー流体(汚染されたスクラバー流体)の流れが完結し得る必要があると理解するのが相当である。すなわち、当該ループの構造は、当該「浄化設備」への抜き取り経路(「浄化設備」との接続経路)を省除すれば、スクラバー動作中にあっては、基本的に、スクラバーにて汚染されたスクラバー流体の全量を、そのままスクラバーに再循環させる循環システム(循環系)であって、(この系を循環しているスクラバー流体量が減少した場合などに清浄なスクラバー流体の追加はあるにせよ)常態的には、その系外への流出や系外からの流入が存在しない、ひとつの環を形成している系であると解するのが合理的である。

b 前記aにおいて確認した「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」の意義(「浄化設備」との関係とその構造)を踏まえて、甲1発明における対応する部分について子細にみてみる。

甲1発明の「排煙脱硫装置130」は、前記1(1)エによれば、海水が「ポンプ133」により「海水吸込み配管144」を介して海中から取り込まれ、「海水供給配管143」を経由して「ヘッダパイプ140」から噴射されて排煙と接触して亜硫酸ガスを吸収しつつ「吸収塔タンク134」内に流入し、この亜硫酸ガスを吸収した海水は、「吸収塔タンク134」内で酸化された後に「中和タンク148」内で中和され、「放出管137」により導出され、「排水フィルタ138」で固形分Eを除去された後に海中に放流されるように動作するものである(【0039】、【0040】)。そして、前記1(1)ウによれば、このように、甲1発明の「排煙脱硫装置130」は、亜硫酸ガスを吸収した海水を全て放流することを前提としつつ、排煙中の亜硫酸ガス濃度が相当に低いような場合に、一部海水を「配管146a」を経由して循環させて繰返し排煙と気液接触させるように動作するものである。

さらに、前記ア(ア)a、cで検討した事項も併せ考えると、甲1発明の「排煙脱硫装置130」では、「吸収塔131」に配設された「ヘッダパイプ140」から噴射されて排煙と接触して亜硫酸ガスを吸収している間、すなわち、「排煙脱硫装置130」の動作中、海水(スクラバー流体)は、「海水吸込み配管144」、「ポンプ133」、「海水供給配管143」を経由して海中から取り込まれ、亜硫酸ガスを吸収した後、「ポンプ145」、「導出配管146」、「中和タンク148」、「放出管137」、「排水フィルタ138」を経由して海中に放流される形態(以下では、このようにスクラバー流体である海水が海中から取り込まれ、再び海中に放流される形態を「開型湿式スクラバー」ということがある。)が基礎となっているというべきであり、排煙中の亜硫酸ガス濃度が相当に低いような場合にのみ、その改良された形態として、一部の海水が「配管146a」を経由して循環するものと理解するのが相当である。

そうすると、前記ア(ア)aにおいて、本件発明1の「排出ガススクラバー流体ループ」に相当するものと認定した、甲1発明の「海水供給配管143」、「ヘッダパイプ140」、「吸収塔131」、「吸収塔タンク134」、「ポンプ145」、「導出配管146」及び「配管146a」からなる部分(循環経路)は、「排煙脱硫装置130」の動作中、絶えず、海水(スクラバー流体)を、「海水吸込み配管144」、「ポンプ133」、「海水供給配管143」を経由して海中から取り込むものであり、常態的に流入経路を有することから、「閉ループ」を構成しているとは言い難い。そうである以上、当該循環経路は、その構造からみて、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」には該当しない。

また、前記ア(ア)bにおいて、本件発明1の「浄化設備」に相当するものと認定した、甲1発明の「中和剤サイロ136」、「中和タンク148」、「放出管137」、「排水フィルタ138」及び「貯留部150」からなる部分への経路を省除して考えてみると(当該経路を遮断した場合を仮想してみると)、甲1発明における前記循環経路には、上述のとおり海中からの大量の海水(スクラバー流体)が常態的に流入する経路が存するため、この循環経路のみでは、流入し続ける当該大量の海水(スクラバー流体)を処理することはできず、これを排出するための流出経路が不可欠となる。そうである以上、当該循環経路のみで、大量の海水(スクラバー流体)の全量を、汚染後もそのままスクラバーに再循環し、相応のスクラビングを継続して行い得る系が確立されているとは到底いえないから、このような「浄化設備」との関係性の観点からみても、甲1発明は、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」に相当するものを具備するとはいえない。

c 結局、甲1発明は、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」を有しておらず、前記相違点I-2は実質的な相違点であるというほかない。

d そこで、さらに前記相違点I-2に係る本件発明1の構成の容易想到性について検討を進めることとする。

排出ガス浄化中に排出ガスを洗浄した洗浄液のほぼ全量を循環させる系が確立している排出ガス浄化装置それ自体は、甲3、甲26、甲27、甲33及び甲34の記載(前記1(3)ウ、オ、ク、同(23)、同(24)ウ、エ、同(30)、同(31)イ、ウ参照)にみられるように、本件特許に係る優先日前既に当業者間において普通に採用されている周知の装置であるということができるかもしれない。しかしながら、当該周知の装置における洗浄液の循環形態(以下、「閉型湿式スクラバー」ということがある。)と、甲1発明における循環形態(前記「開型湿式スクラバー」。すなわち、洗浄後の海水を循環させる系が確立しておらず、その全量を海に戻すことを基礎とする形態)とは、基本設計が根本的に異なるものであるというべきであるから、甲1発明が基礎とする循環形態(「開型湿式スクラバー」)に代えて、前記周知の装置にみられる循環形態(「閉型湿式スクラバー」)を採用することは、当業者といえども、容易に想到し得るものといえない。

e 以上のとおりであるから、前記相違点I-2は実質的な相違点である上、甲1発明において、当該相違点I-2に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者にとって容易想到の事項ともいえない。

(イ) 相違点I-3について

a 甲1発明は、海水を取り込んで処理後は海中に放流する開型湿式スクラバーであり、それを、淡水等を繰り返し用いる閉型湿式スクラバーに変更することは、前記(ア)dで検討したとおり、根本的な基本設計を変更することになるから容易想到とはいえないものである。

b 加えて、甲1発明の「排煙脱硫装置130」は、前記1(1)イによれば、「海洋上または臨海地域において、簡素な装置構成で、保管が必要な副生物を発生させることなく、また工業用水などを使用することなく、排煙中の亜硫酸ガスを吸収除去できる」装置を提供すること(【0009】)を目的とするものであって、海水を特別な処理をすることなく使用することを前提とするものといえるから、甲1発明の海水を「生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体」に変更することには、阻害事由が存在するというべきである。

c また、エンジンやボイラに係る排出ガスを浄化するためのスクラバー流体として、水(工業用水、淡水)を使用することは、甲3、甲28、甲44及び甲46の記載(前記1(3)ウ、同(25)カ、同(40)オ、同(42)ウ参照)によれば、本件特許に係る優先日前に当業者にとって周知の事項ということができるかもしれない。しかしながら、このような工業用水又は淡水のスクラバー流体を船舶用エンジンの排出ガスを浄化するために使用することについては、請求人の提出した各甲号証をみても、本件特許に係る優先日前において既に当業者間にて周知のものであったことをうかがわせるような記載は見当たらない。

なお、証拠共通の原則に立てば、被請求人の提出した乙第1号証も容易想到性に係る証拠資料として参酌し得るものであるが、乙第1号証は、本件特許に係る優先日後に公知となったものであるから、これを参酌することはしない。また、仮に乙第1号証を参酌したとしても、結局、閉型湿式スクラバーにおいて、淡水をスクラバー流体として用いることが本件優先日前の技術常識であったことが認められるにすぎず、甲1発明である海水を用いる開型湿式スクラバーを、基本設計が根本的に異なる淡水等を用いる閉型湿式スクラバーに変更する動機付けとなるものではない。

d したがって、前記a~cでの検討を踏まえると、甲1発明の海水を「生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体」に変更して、相違点I-3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易想到の事項とはいえない。

e ここで、さらに、前記相違点I-2に係る本件発明1の構成との組合せについてみておくと、本件発明1においては、前記相違点I-2に係る「閉型湿式スクラバー」を基礎とすることにより、循環系にて使用されるスクラバー流体の全体量と、処理対象となる汚染されたスクラバー流体の量を、ともに「開型湿式スクラバー」に比して大きく減少させることができ、これらの量が少ないがゆえに、船舶においても、前記相違点I-3に係る生水などの使用を可能にせしめた、相乗的効果が認められるところ、前記(ア)dで検討した、甲1発明が基礎とする「開型湿式スクラバー」に代えて、基本設計が根本的に異なる「閉型湿式スクラバー」を採用する点は、単に循環経路の型式の問題というだけではなく、そこで使用するスクラバー流体の量や種類にも影響するものと解されることから、前記相違点I-2と相違点I-3に係る構成は密接に関連しているということができ、この観点からみても、これらの組合せに係る構成はより一層、当業者にとって容易想到の事項とは言い難い。

(ウ) 相違点I-4について

さらに、相違点I-4に係る本件発明1の構成をも併せみた場合について検討をする。

a ディスクスタック遠心分離機自体は、甲4、甲7~甲12、甲14、甲16、甲17、甲19~甲21の記載(前記1(4)、同(6)~(14)、同(16)~(18)参照)によれば、本件特許に係る優先日前において既に当業者間にて周知のものであるということができる。そして、その基本構成は、円すい台状の分離ディスクの積層体を備えた分離空間、分離空間を取り囲んでいるローター、分離空間の中へ延びている被処理液入口、分離空間から延びている処理液出口、分離空間から延びているスラッジ排出口を備えるものであるから、上記周知のディスクスタック遠心分離機は、本件発明1において特定されているもの、すなわち、「分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている」「分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている」「第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている」「第二の分離機出口(17,17’)を備えて」いる「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」にほかならない。

b 加えて、このようなディスクスタック遠心分離機は、「非常に効率のよい機械」(前記1(4)ア)であって、「分離性能が高く、且つ保守が容易」(前記1(6)イ)であり、「高速回転により大きい遠心力が得られ、しかも積層した分離板が大きい沈降面積を有しているため、処理液中の微粒固形分を高精度で分離するのに適し」(前記1(9))ており、その用途も多岐にわたることが知られている。例えば、当該用途としては、「船舶用ディーゼルエンジン」の「燃料油」及び「潤滑油」の「清浄化」(前記1(7)イ【0002】、同(8)ア【0003】、同(9))をはじめ、廃水・廃液処理(前記1(4)キ、同(10)ア「■主なる用途」項、同(11)イ、同(14)ウ、同(18)ア)、洗滌液の清澄(前記1(12)イ「用途」項)、SS分除去(前記(13)「■主な用途」項)、生産工場、船舶や発電等の分野において色々な種類の原料の抽出と清浄から最終廃棄物処理のプロセス(前記1(4)ア)などが挙げられる。また、甲2、甲3、甲26及び甲28の記載(前記1(2)オ、同(3)オ及びキ、同(23)ア及びイ、同(25)ウ【0047】及びキ)によれば、遠心分離機の具体的な型式や構造は定かでないが、一般に、汚染されたスクラバー流体からの固形分を分離する手段として、なにがしかの遠心分離機が使用されていることが分かる。

c しかしながら、前記ディスクスタック遠心分離機を、汚染されたスクラバー流体に適用した例は見当たらず、ましてや、前記「閉型湿式スクラバー」に付帯させることをうかがわせる証拠はない。

そして、本件発明1においては、前記(イ)eにおける相乗的効果に加え、さらに、前記相違点I-4に係るディスクスタック遠心分離機を用いた浄化設備を付帯させることによって、次のような有利な効果(効用)を認めることができる。

すなわち、本件特許明細書には、「このとき、一つの問題は、最小の環境影響で環境へスクラバー流体を解放し得るためにスクラバー流体の浄化を改善することである。別の問題は、環境中に解放されるスクラバー流体中のポリ芳香族炭化水素の量、濁り度などに関する規制を満たし得るためにスクラバー流体の浄化を改善することである。」(【0008】)、「したがって、本発明は、排出物処理手順の環境面をさらに改善し、排出物処理手順の効率を改善し、取り扱われ処分される必要のある廃棄物の量を最小にし、点検修理の必要性を最小にすることによって上述された欠点を低減し、スクラバー流体を取り扱うプロセス機器での問題を減らす。」(【0009】)、「ディスクスタック遠心分離機を使用することによる排出ガススクラバー流体からの汚染物質相の分離は驚くほど効率的であることがわかった。したがって、そのような分離機の動作に由来する浄化されたスクラバー流体は規制を満たすことができ、したがって、最小の環境影響で環境中に解放され得る。・・・浄化設備は、フィルターまたは他の処理ステップについて同じ必要がなく、したがって、キーコンポーネントの点検修理と交換の必要を最小にすることによって機器の取り扱いを改善する。ディスクスタック遠心分離機をスクラバー流体に適用することによって、汚染物質相の大部分が濃縮形態で取り除かれ得ることも証明された。したがって、廃棄物の容積も低く保たれ得る。」(【0014】)との記載がある。

これらの記載によれば、本件発明1に係る浄化設備は、「スクラバー流体」の浄化能力を向上させ、また、点検修理の必要性を最小とするために、「ディスクスタック遠心分離機」を使用し、この「分離機」の動作により、「浄化されたスクラバー流体」が規制を満たすことになり、環境への影響を最小にして環境に解放することができ、他の処理をするための設備を設ける必要がなく、機器の点検修理や交換の必要性を最小にすることができるものであると理解することができる。

このように本件発明1は、前記相違点I-2~I-4の構成を併せ持つことにより、船舶という限られたスペースにおいて、生水などの貴重なスクラバー流体の使用を可能とし、環境面に配慮された効率的かつ省力的なスクラビングを実現することができるのである。

そうである以上、前記相違点I-4に係るディスクスタック遠心分離機に係る本件発明1の構成は、これ単独でみるのではなく、前記相違点I-2や相違点I-3に係る構成との組合せとして、その容易想到性を判断するのが相当であるところ、前記のような従来にはみられない有利な効果の存在からして、これらの組合せに係る構成は、なおのこと、当業者にとって容易想到の事項とはいえないものと考えるのが妥当である。

ウ 請求人の主張について

(ア) 請求人の主張の概要

請求人は、上記相違点1-2、相違点I-3に関して、概略、以下の点を主張している(弁駁書第3頁第15行~第7頁第14行)。

a 排ガス浄化装置において、排出ガススクラバー流体ループを「閉じた」ものとし、排ガスを洗浄した洗浄液の一部を循環して再利用することは、本件特許に係る優先日前に既に当業者間において普通に採用されていた技術であるから、甲1発明において、相違点1-2に係る本件発明1の構成とすることは容易想到の事項である。

b 本件訂正によって浄化設備の浄化対象である汚染されたスクラバー流体を減縮しても、浄化設備そのものの構成を減縮するものではないから、本件発明1に係る「浄化設備」の構成に違いは生じない。

c 甲27、甲28、甲30及び甲47の記載(前記1(24)ウ【0016】、同(25)ア、同(27)ア、オ、キ、ケ、同(43)エ、カ、ク参照)によれば、船舶用エンジンの排出ガスの洗浄に使用するスクラバー流体は海水に限定されないこと、淡水域を航行する船舶であれば、河川水や湖水を取水できること、及び、エンジンへの吸気や排出ガスの浄化あるいは冷却過程で淡水が生成され、生成された淡水を再循環できることは、いずれも周知技術であるから、船舶用エンジンの排出ガスを浄化するスクラバー流体として「淡水」を選択することは、単なる設計事項に過ぎない。

(イ) 請求人の主張についての検討

まず、前記(ア)aの主張について検討する。

本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」とは、前記イ(ア)aにおいて確認したとおり、基本的に、スクラバーにて汚染されたスクラバー流体の全量を、そのままスクラバーに再循環させる循環システムであって、常態的には、その系外への流出や系外からの流入が存在しない、ひとつの環を形成している系であると解されるから、単にスクラバー流体の一部を循環させることが普通に採用されていたことを以て、相違点I-2に係る本件発明1の構成をなすことが容易想到の事項であるとはいえない。

次に、前記(ア)bの主張について検討する。

既に述べたとおり、本件発明1に係る「洗浄設備」は、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備」であって、「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」を備えているものである。ここで、当該手段は、スクラバー流体ループと関連付けて特定されているものであるから、当該ループの構成を切り離して、当該手段の構成、ひいては、この手段を具備する「浄化設備」の構成を考えることは妥当でない。また、当該浄化設備は、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のため」に専ら使用されるものであり、前記手段と相まって、その使用を実現するために必要とされている構成(例えば、浄化設備の設置場所、船舶用エンジンの形態、排出ガススクラバーの形態、スクラバー流体の形態など)とも密接に関係するものであるから、本件発明1において、浄化設備の浄化対象である汚染されたスクラバー流体を特定することによって、つまるところ「浄化設備」の構成が限定されていると理解すべきである。

最後に、前記(ア)cの主張について検討すると、甲1に「本発明は海洋上または臨海地域において船舶または海洋構造物などから排出される排煙中の亜硫酸ガスを吸収除去する排煙脱硫技術に関する。」(前記1(1)ア【0001】)と記載されているように、甲1発明は、海洋上又は臨海地域における船舶から排出される排煙の排煙脱硫技術に関するものであって、河川や湖沼における船舶を想定していない。実際に、甲1の記載が「海水」に始終していることはその表れである。また、エンジンへの吸気や排出ガスの浄化あるいは冷却過程で淡水が生成できるとしても、船舶用エンジンの排出ガスを浄化するスクラバー流体全量を生成した淡水で賄うことが周知技術であるという証拠もないから(前記イ(イ)c参照)、船舶用エンジンの排出ガスを浄化するスクラバー流体として「淡水」を選択することは、単なる設計事項とはいえない。

したがって、請求人のこれらの主張はいずれも採用できない。

エ 小括

以上のとおりであるから、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(3) 本件発明2~8、10、15~17

本件発明2~8、10、15~17は、本件発明1の全ての特定事項を含むものであるから、前記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~8、10、15~17は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(4) 無効理由1についての結論

以上のとおりであるから、本件発明1~8、10、15~17に係る特許に対する無効理由1に理由はない。

3 無効理由2について

(1) 甲2に記載された発明(甲2発明)

甲2の記載(前記1(2)参照)を、図2に記載された「脱じん・冷却装置16」に着目し、同図に記載された具体的な構成(図2中の部材及び部材番号)を当てはめながら整理すると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「装置本体20、排ガス導管22、海水噴霧管24、排ガス出口26、海水排出管28、1次フィルタ32、2次フィルタ34、油水分離機36、海水フィルタ38、海水ポンプ40、排ガス流入孔42、海水排出ポンプ44、及び、バイパスライン46を備えた、図2に記載された脱じん・冷却装置16。」

(2) 本件発明1について

ア 本件発明1と甲2発明の対比

(ア) 本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。

a 甲2発明の「装置本体20」、「排ガス導管22」、「海水噴霧管24」、「排ガス出口26」及び「排ガス流入孔42」からなる部分は、前記1(2)ア【0001】によれば、ディーゼル機関の排ガス再循環システムにおいて、ディーゼル機関から排出された排ガス(排出ガス)を冷却及び浄化するものであり、また、前記1(2)カ【0015】によれば、船舶内のディーゼル機関の排出ガス処理に適しているものといえるから、本件発明1の「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための」「排出ガススクラバー」に相当する。

b 甲2発明の「1次フィルタ32」、「2次フィルタ34」及び「油水分離機36」は、前記1(2)オ【0008】によれば、排出ガスを洗浄した海水から、ばいじんや油分を取り除くためのものであるから、本件発明1の「汚染されたスクラバー流体」「から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するため」の手段に相当する。

c 甲2発明の「海水排出管28」、「1次フィルタ32」、「2次フィルタ34」、「油水分離機36」、「海水排出ポンプ44」及び「バイパスライン46」からなる部分は、前記bでの検討を踏まえると、本件発明1の「汚染させた」「スクラバー流体のための浄化設備」に相当する。

d 甲2発明の「海水排出管28」は、前記1(2)ウ【0005】によれば、図2のとおり、「脱じん・冷却装置16」の下部に設けられ、途中に「1次フィルタ32」、「2次フィルタ34」及び「油水分離機36」が設けられており、「海水排出管28」の「脱じん・冷却装置16」の下部から「1次フィルタ32」までの部分は、「脱じん・冷却装置16」の「装置本体20」内の排出ガスを洗浄した海水を取り出し、「1次フィルタ32」等に送るための手段といえるから、本件発明1の「汚染されたスクラバー流体」を「抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体」の「処分のために」「取り除くための手段」、及び、「前記汚染されたスクラバー流体」を「案内するための手段」に相当する。

e 甲2発明の「海水排出管28」の「油水分離機36」から海までの部分は、前記1(2)オ【0008】によれば、ばいじん及び油分が除去された海水を海に戻すための手段であるから、本件発明1の「浄化されたスクラバー流体」を「環境に放出するための手段」に相当する。

(イ) 以上の点に照らすと、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。

a 一致点

「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための排出ガススクラバーからの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備であり、

汚染されたスクラバー流体を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体を処分のために取り除くための手段と、

前記汚染されたスクラバー流体から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するための手段を備えており、さらに、

前記汚染されたスクラバー流体を案内するための手段と、

前記浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段と

を備えている浄化設備。」

b 相違点II-1

本件発明1は、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」を有するものであり、その浄化設備に供される「汚染されたスクラバー流体」は、この「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」から抜き取られた「一部」であるのに対して、甲2発明は、当該ループに相当する部分が明確に存在せず、浄化設備に供されるスクラバー流体に関しても、「装置本体20」、「排ガス導管22」、「海水噴霧管24」、「排ガス出口26」及び「排ガス流入孔42」からなる部分において排出ガスを洗浄した海水である点。

c 相違点II-2

本件発明1の「スクラバー流体」は、「生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体」であるのに対して、甲2発明の「脱じん冷却装置16」では、排出ガスを冷却及び洗浄するために「海水」を使用している点。

d 相違点II-3

本件発明1は、「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するための手段」(以下、「分離手段」という。)が、「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であり、「その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)」を備えており、「前記汚染されたスクラバー流体を案内するための手段」(以下、「汚染流体案内手段」という。)が、汚染されたスクラバー流体を「前記分離機入口」に案内するための手段であり、「前記浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段」(以下、「環境放出手段」という。)が、「前記第一の分離機出口」から浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段であるのに対して、甲2発明では、「分離手段」が、「1次フィルタ32」、「2次フィルタ34」及び「油水分離機36」であり、「汚染流体案内手段」が、汚染されたスクラバー流体を「1次フィルタ32」に案内するための手段であり、「環境放出手段」が、「油水分離機36」から浄化されたスクラバー流体を環境に放出するための手段である点。

e 相違点II-4

本件発明1は、「前記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段を備えている」のに対して、甲2発明は、その点が明らかでない点。

イ 相違点の検討

検討の末、当審は、前記2の無効理由1の場合と同様、相違点II-1及び相違点II-2に係る本件発明1の構成は個別にみても、もとより総合的にみても容易想到の事項とはいえない上、相違点II-3に係る同構成をさらに合わせた構成全体についてはなおのこと容易想到の事項とはいえないと判断する。

以下、その判断理由について述べる。

(ア) 相違点II-1について

a 本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」の意義は、前記2(2)イ(ア)aで検討したとおりのものと解される。

b 他方、甲2発明の「脱じん・冷却装置16」は、前記1(2)オ【0008】及び同キ【図2】によれば、海から「海水ポンプ40」で海水をくみ上げて「海水噴霧管24」に送り、「海水噴霧管24」で海水を噴霧し、この噴霧海水で排出ガスを洗浄した後、洗浄した海水中のばいじんを「1次フィルタ32」及び「2次フィルタ34」で除去し、油分を「油水分離機36」で除去した後に海に戻すものであり、排出ガスの洗浄のための海水を海からくみ上げて全量を海に戻す、前記「開型湿式スクラバー」を基礎とする装置であるといえる。

また、前記ア(ア)cにおいて、甲2発明の「海水排出管28」、「1次フィルタ32」、「2次フィルタ34」、「油水分離機36」、「海水排出ポンプ44」及び「バイパスライン46」からなる部分(循環経路)を、本件発明1の「汚染させたスクラバー流体のための浄化設備」に相当するとしたが、この循環経路なくして、甲2発明に係る装置における海水の循環(海まで戻すルート)は完結しないから、当該循環経路を省除して考えた、残りの経路のみで、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するため」の機構が確立されているとはいえない。

c そうすると、相違点II-1については、前記2(2)イ(ア)b~eにおいて既に検討した相違点I-2についてと状況は同じであるから、同様の理由により、前記相違点II-1は実質的な相違点である上、甲2発明において、当該相違点II-1に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者にとって容易想到の事項ともいえない。

(イ) 相違点II-2、II-3について

甲2発明は、前記1(2)アによれば、海水の使用を前提とする装置といえることから、相違点II-2については、前記2(2)イ(イ)において既に検討した相違点I-3についてと状況は同じであるし、相違点II-3についても、前記2(2)イ(ウ)において既に検討した相違点I-4についてと事情に変わりはないから、いずれの相違点に係る本件発明1の構成についても、同様の理由により、当業者といえども、容易に想到し得るものといえない。

ウ 請求人の主張について

請求人は、上記相違点II-2に関して、前記2(2)ウ(ア)b、cに記載したのと同様のことを論拠にして、船舶用エンジンの排出ガスを浄化するスクラバー流体として「淡水」を選択することは、単なる設計事項に過ぎない旨を主張している(弁駁書第8頁第22行~第9頁第18行)。

しかしながら、前記2(2)ウ(イ)で検討したのと同様の理由により、請求人の当該主張は採用できない。

エ 小括

以上のとおりであるから、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(3) 本件発明2~8、10、15~17

本件発明2~8、10、15~17は、本件発明1の全ての特定事項を含むものであるから、前記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~8、10、15~17は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(4) 無効理由2についての結論

以上のとおりであるから、本件発明1~8、10、15~17に係る特許に対する無効理由2に理由はない。

4 無効理由3について

(1) 甲3に記載された発明(甲3発明)

甲3の記載(前記1(3)参照)を、第1図に記載された「湿式排煙浄化装置」に着目し、同図に記載された具体的な構成(第1図中の部材及び部材番号)を当てはめながら整理すると、甲3には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「第1洗浄槽1、排煙導入管2、第2洗浄塔3、排出管4、ガス分散手段5、攪拌機6、酸素含有ガス導入管7、気液接触部8、第2洗浄槽9、ポンプ10、冷却器11、洗浄液供給管13、洗浄液供給管14、ポンプ18、ポンプ19、及び、遠心分離機20を備えた、第1図に記載された湿式排煙浄化装置。」

(2) 本件発明1について

ア 本件発明1と甲3発明の対比

(ア) 本件発明1と甲3発明とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。

a 甲3発明の「第1洗浄槽1」、「排煙導入管2」、「第2洗浄塔3」、「排出管4」(第1図から「第2洗浄槽9」にも同様の「排出管」を備えていることが見て取れる。)、「ガス分散手段5」、「気液接触部8」、「第2洗浄槽9」、「ポンプ10」、「冷却器11」、「ポンプ18」からなる部分は、第1図に示されているように、「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路と「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路が複雑に組み合わされた複合循環経路となっている。そして、当該複合循環経路における洗浄液の流れをみると、前記1(3)ア、ウ、オによれば、第1洗浄液は「第1洗浄槽」の「排出管4」から流出し、「ポンプ18」によって「排煙導入管2」に送られて、再び「第1洗浄槽」に循環しており(「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路による「第1洗浄液」の循環系の形成)、さらに、第2洗浄液は「第2洗浄塔3」上部から噴霧されて、排煙と向流接触した後、「第2洗浄塔3」を流下し、「第2洗浄槽9」に集められ、「ポンプ10」により「冷却器11」を経て、再び「第2洗浄塔3」に循環されていることが分かる(「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路による「第2洗浄液」の循環系の形成)。加えて、この第2洗浄液の一部は第1洗浄液と共に「排煙導入管2」に循環されるように構成されている(「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路と「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路との組合せによる複合循環経路による、「第1洗浄液」と「第2洗浄液」の複合循環系の形成)。

よって、このような甲3発明における「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路、「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路、さらにはこれらの組合せによる複合循環経路は、本件発明1の「排出ガススクラバー流体ループ」に相当するものと一応いうことができる。

b 甲3発明の「ポンプ19」及び「遠心分離機20」は、前記1(3)カによれば、「第1洗浄槽1」及び「第2洗浄槽9」において捕集されたダストを「遠心分離機20」に送り、第1及び第2洗浄液とダストに分離するためのものであり、また、前記1(3)ウによれば、第1及び第2洗浄液として水を使用できるから、本件発明1の「汚染させた、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備」に相当する。

c 甲3発明の「第1図に記載された湿式排煙浄化装置」における「第1洗浄槽1」及び「第2洗浄槽9」の下端から「ポンプ19」までの経路、及び、「ポンプ19」から「遠心分離機20」までの経路は、前記1(3)カによれば、「第1洗浄槽1」及び「第2洗浄槽9」の第1及び第2洗浄液のうち、ダストが捕集された部分を「遠心分離機20」に送るためのものであるから、それぞれ、本件発明1の「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」、及び、「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を」「案内するための手段」に相当する。

d 甲3発明の「遠心分離機20」は、前記b及びcで検討したとおり、「第1洗浄槽1」及び「第2洗浄槽9」において捕集されたダストを、第1及び第2洗浄液とダストに分離するものであるから、本件発明1の「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するため」の「遠心分離機」に相当する。

e 甲3発明の「第1図に記載された湿式排煙浄化装置」における「遠心分離機20」からダスト21を排出する経路は、前記dでの検討を踏まえると、捕集されたダストを含む第1及び第2洗浄液から分離されたダストを排出するための経路といえるから、本件発明1の「前記汚染物質相を」「回収するための手段」に相当する。

f 甲3発明の「第1図に記載された湿式排煙浄化装置」における「遠心分離機20」からのダスト21排出経路とは別の排出経路は、前記dでの検討を踏まえると、捕集されたダストを含む第1及び第2洗浄液からダストが分離された後の第1及び第2洗浄液を排出するため経路といえるから、本件発明1の「前記浄化されたスクラバー流体を」「放出するための手段」に相当する。

(イ) 以上の点に照らすと、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。

a 一致点

「排出ガススクラバー流体ループからの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備であり、

前記スクラバー流体ループから汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するため遠心分離機を備えており、さらに、

前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を案内するための手段と、

前記浄化されたスクラバー流体を放出するための手段と、

前記汚染物質相を回収するための手段を備えている浄化設備。」

b 相違点III-1

本件発明1における排出ガススクラバー流体ループは、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」であり、かつ、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するため」のものであるのに対して、甲3発明における前記「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路、「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路、あるいは、これらの組合せによる複合循環経路は、その点が明らかでない点。

c 相違点III-2

本件発明1は、「遠心分離機」が、「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であり、「その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)」を備えており、「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を案内するための手段」(以下、「汚染流体案内手段」という。)が、汚染されたスクラバー流体の一部を「前記分離機入口」に案内するための手段であり、「前記浄化されたスクラバー流体を放出するための手段」(以下、「放出手段」という。)が、「前記第一の分離機出口」から浄化されたスクラバー流体を放出するための手段であり、「前記汚染物質相を回収するための手段」(以下、「汚染物質相回収手段」という。)が、「前記第二の分離機出口」から汚染物質相を回収するための手段であるのに対して、甲3発明では、「遠心分離機」の具体的な構造が明らかでなく、「汚染流体案内手段」、「放出手段」及び「汚染物質相回収手段」との接続箇所も明らかでない点。

d 相違点III-3

本件発明1では、「放出手段」が環境に放出するための手段であるのに対して、甲3発明では、その点が明らかでない点。

イ 相違点の検討

検討の末、当審は、相違点III-1に係る本件発明1の構成は個別にみても容易想到の事項とはいえない上、相違点III-2に係る同構成をさらに合わせた構成全体や相違点III-3に係る同構成についても容易想到の事項とはいえないと判断する。

以下、順に、その判断理由につき詳述する。

(ア) 相違点III-1について

a 本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」の意義は、前記2(2)イ(ア)aで検討したとおりのものと解されるから、まず、当該ループと、甲3発明における前記「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路、「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路、あるいは、これらの組合せによる複合循環経路との異同についてみることとする。

始めに、甲3発明における前記「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路についてみると、当該循環経路は、第1図によると、「洗浄液供給管13」からの第1洗浄液の(臨時の)追加のほかに、「第2洗浄槽9」からの第2洗浄液が常態的に流入することになるから、この点からみて、この循環経路は、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」には該当しない。

次に、甲3発明における前記「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路についてみると、こちらの循環経路も、常態的に「第1洗浄槽1」への流出経路が設けられているから、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」には該当しないというべきである。

最後に、甲3発明における前記複合循環経路についてみると、第1図における「第1洗浄槽1」及び「第2洗浄槽9」の下端の配管は、前記1(3)カによれば、「第1洗浄槽1」及び「第2洗浄槽9」において捕集され次第、そのダストを「遠心分離機20」に送るためのものであり、常態的に使用されるものといえないから、定常運転中、第1洗浄液及び第2洗浄液は、「洗浄液供給管13」と「洗浄液供給管14」からの流入が臨時のものであるとすれば、両洗浄液全体としてみると、その全量が循環しているということができ、また、この複合循環経路には、特段の流入及び流出経路は見当たらない。さらに、前記の「遠心分離機20」に送るための経路を省除して考えた場合には、この複合循環経路は、独立して確立されたスクラビング系をなすものということができるから、複雑な系であるため、ひとつの環をなすかという問題は措くと、一応、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」に該当するものとみなすことができる。

なお、「第2洗浄槽9」から「第1洗浄槽1」への経路は、ガスの増湿による影響を補完する程度の臨時のものと解すると(甲3発明に係る第1図ではなく、第2図(摘示省略)について説明した前記1(3)エの記載を参酌した。)、前記「第1洗浄槽1」を中心とした循環経路と「第2洗浄槽9」を中心とした循環経路のいずれの循環経路も、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」に対応するということができるが、この場合においても結局のところ後記bでの検討結果と変わりはない。

b 前記aのとおり、甲3発明における前記複合循環経路は、本件発明1における「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」に対応するものといえるかもしれない。

しかしながら、甲3発明は、前記1(3)イに摘記したとおり、「放射性固形分、ガス状有害物質および揮発分を同時に除去することができ、しかも除染係数の点からは従来の3段以上の効果を持ちながら極めて小型化が可能な方法とその装置を提供することを目的とするものである」ことから、除染を必要としない排煙の浄化にまで、この甲3発明に係る技術を転用することは想定されていないというべきである(実際、前記1(3)キのとおり、甲3に唯一記載された浄化方法の実施例は、放射性廃棄物を対象としている。)。

ましてや、放射性廃棄物の燃焼炉排ガスの浄化を主目的とする、甲3発明に係る前記のような複雑な複合循環経路を含む設備を、設置スペースが限られており、特段除染を必要とはしていない、船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスの浄化のために、そのまま利用することができることをうかがわせ、あるいは、これがあまねく知られたことであると認めるに足りる証拠も見当たらない。

したがって、甲3発明において、相違点III-1に係る本件発明1の構成をなすことは、当業者にとって容易想到の事項であるといえない。

(イ) 相違点III-2について

前記2(2)イ(ウ)において既に検討した相違点I-4についてと同様、本件発明1は、前記相違点III-2に係るディスクスタック遠心分離機に係る本件発明1の構成は、前記III-1に係る本件発明1の構成と組み合わせることによって、従来にはみられない有利な効果を奏するものであることにかんがみると、相違点III-2に係る同構成についても、容易想到の事項とはいえない。

(ウ) 相違点III-3について

甲3発明は、前記1(3)イに摘記したとおり、「放射性固形分、ガス状有害物質および揮発分を同時に除去する」ための装置であるところ、排液中の放射能濃度を基準値以下にして環境中に放出することは、例えば、甲36及び甲37(前記1(32)及び(33)参照)に記載されているように周知技術にすぎないということができる。

しかしながら、本件発明1に係る「浄化設備」は、「スクラバー流体ループ」から「汚染されたスクラバー流体の一部」を抜き取り、これを「ディスクスタック遠心分離機」で「汚染物質相」と「浄化されたスクラバー流体」に分離し、この「浄化されたスクラバー流体」を「第一の分離機出口から環境に放出する」というものであり、当該「浄化装置」では、「ディスクスタック遠心分離機」により「浄化されたスクラバー流体」は、新たな浄化工程を経ることなくそのまま「環境に放出」されることになると理解することができる。

それゆえ、相違点III-3に係る本件発明1の構成を容易想到のものであるというためには、甲3発明における「遠心分離機20」を前記相違点III-2に係るディスクスタック遠心分離機に置換した上で、別に設けられた浄化設備により浄化されることなく、そのまま「環境に放出する」ことの教示が必要であるが、甲36、甲37などにそこまでの教示はない。

したがって、甲3発明において、相違点III-3に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者にとって容易なことであるということはできない。

ウ 請求人の主張について

(ア) 請求人の主張の概要

請求人は、上記相違点III-1に関して、概略、以下の点を主張している(令和4年5月17日付け口頭審理陳述要領書第10頁第1行~第11頁第18行、弁駁書第9頁第27行~第11頁第6行)。

a 相違点III-1は、汚染されたスクラバー流体の出所についての相違点であり、浄化設備の構成の相違点でない。

b スクラバー流体の出所が異なっていても、スクラバー流体の基本的な性質は、ディーゼルエンジンの場合と共通しているから、甲3発明に係る浄化設備をEGR方式のディーゼルエンジン由来のスクラバー流体の浄化設備に転用する動機付けは存在する。

c 甲3には「極めて高い除染効果を必要とする場合に特に有効な浄化方法とその装置」(第1頁右下欄第11~13行)と記載されているから、甲3発明は、放射性物質の存在を前提としない汎用的な湿式排煙浄化装置であり、ディーゼルエンジンの排出ガス浄化に転用できる。

(イ) 請求人の主張についての検討

前記(ア)aの主張については、前記2(2)ウ(イ)に説示したとおりである。

また、前記(ア)b及びcの主張については、前記イ(ア)bで検討したとおり、甲3発明の課題(目的)は、放射性物質の存在を前提とするものであるから、甲3発明が汎用的な湿式排煙浄化装置であるということはできない。加えて、甲3発明の汚染されたスクラバー流体は放射性物質を含むから、ディーゼルエンジンに対するスクラバー流体と共通しているともいえない。

したがって、請求人のこれらの主張はいずれも採用できない。

エ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(3) 本件発明2~8、10~12、15~17

本件発明2~8、10~12、15~17は、本件発明1の全ての特定事項を含むものであるから、前記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~8、10~12、15~17は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(4) 無効理由3についての結論

以上のとおりであるから、本件発明1~8、10~12、15~17に係る特許に対する無効理由3は理由がない。

5 無効理由4について

(1) 甲4に記載された発明(甲4発明)

甲4の記載(前記1(4)参照)を、第20頁の図(前記1(4)ク)に記載された「分離プラント」に着目し、同図に記載された具体的な構成(図中の部材及び部材番号)を当てはめながら整理すると、甲4には次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

「調節バルブ1、自動洗浄ストレーナー2、脱気バルブ3、フローメーター4、サンプリングコック5、温度計6、サイトグラス7、固形分排出遠心分離機8、マノメーター9、定圧バルブ10、固形分出口11、固形分タンク12、排出バルブ13、操作水タンク14、及び、排出プログラム装置15を備えた、第20頁の図に記載された分離プラント。」

(2) 本件発明1について

ア 本件発明1と甲4発明の対比

(ア) 本件発明1と甲4発明とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。

a 甲4発明の「固形分排出遠心分離機8」は、前記1(4)エ及びオによれば、薄い円すい台状のコーンを組み合わせたディスクスタック、ディスクスタックを取り囲むボウル、分離される液を供給する入口パイプ、軽液を流出する出口パイプ、固形分を排出するための排出スリットを備えるディスクスタック遠心分離機といえるから、本件発明1の「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であって、「その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている」「分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている」「第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている」「第二の分離機出口(17,17’)を備えて」いることに相当する。

b 甲4発明の「調節バルブ1」、「自動洗浄ストレーナー2」、「脱気バルブ3」、「フローメーター4」、「サンプリングコック5」、「温度計6」及び「サイトグラス7」を備えた「固形分排出遠心分離機8」までの経路は、本件発明1の「前記一部を前記分離機入口に案内するための手段」に相当する。

c 甲4発明の「サンプリングコック5」、「サイトグラス7」、「マノメーター9」及び「定圧バルブ10」を備えた「固形分排出遠心分離機8」からの経路は、本件発明1の「前記第一の分離機出口から」「放出するための手段」に相当する。

d 甲4発明の「固形分出口11」及び「固形分タンク12」は、本件発明1の「前記第二の分離機出口から回収するための手段」に相当する。

e 甲4発明の「分離プラント」は、本件発明1の「設備」に相当する。

(イ) 以上の点に照らすと、本件発明1と甲4発明との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。

a 一致点

「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)を備えており、その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている第二の分離機出口(17,17’)を備えており、さらに、

前記分離機入口に案内するための手段と、

前記第一の分離機出口から放出するための手段と、

前記第二の分離機出口から回収するための手段を備えている設備。」

b 相違点IV-1

本件発明1は、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備」であって、「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」を備えており、「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」が「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するため」のものであり、「分離機入口(11,11’)」及び「前記分離機入口に案内するための手段」は、「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のため」の入口及び手段であり、「第二の分離機出口(17,17’)」及び「前記第一の分離機出口から放出するための手段」は、「浄化されたスクラバー流体」を「環境に放出するため」の出口及び手段であり、「第二の分離機出口(17,17’)」及び「前記第二の分離機出口から回収するための手段」は、「前記汚染物質相のため」の出口及び手段であるのに対して、甲4発明は、「分離プラント」であって、その具体的な用途などが特定されていない点。

イ 相違点の検討

(ア) 相違点IV-1について

a 甲4には、前記1(4)キに摘示したとおり、ディスクスタック遠心分離機が様々な用途に使用できることが記載されている。

また、前記2(2)イ(ウ)で検討したとおり、甲2、甲3、甲26及び甲28の記載(前記1(2)ウ、同(3)ウ及びオ、同(23)ア及びイ、同(25)ウ及びキ)によれば、遠心分離機の具体的な型式や構造は定かでないが、一般に、汚染されたスクラバー流体からの固形分を分離する手段として遠心分離機を使用することは、本件特許に係る優先日前において既に当業者間にて周知の事項であるということができる。

b しかしながら、前記2(2)イ(ア)、(イ)で検討したとおり、甲1発明の「排煙脱硫装置130」は、海水をスクラバー流体とする「開型湿式スクラバー」を基礎とするものであって、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備」であるといえないし、甲1発明と周知技術を組み合わせて、当該浄化設備をなすことが容易想到の事項であるともいえない。

c また、甲6の前記1(5)に摘記した記載を、その図1に記載された「船舶用排煙処理10A」に着目し、同図に記載された具体的な構成(図1中の部材及び部材番号)を当てはめながら整理すると、甲6には、「船舶用エンジン11、増湿冷却装置14、浄化触媒部16、浄化装置17、煙突19、スプレーノズル20、循環ポンプPを備えた、図1に記載された船舶用排煙処理10A。」という発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められるところ、甲6発明の「船舶用排煙処理10A」もまた、海水をスクラバー流体とする「開型湿式スクラバー」を基礎とするものであるから、甲1発明と同様に、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備」であるといえないし、甲6発明と周知技術に基いて当該浄化設備を創出することについても、当業者にとって容易に想到し得る事項であるとはいえない。

d 加えて、請求人の提出した各甲号証を参酌しても、「船舶用エンジンのEGRにおいて再循環される排出ガスを浄化するための閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染された、生水、淡水、または脱塩海水のスクラバー流体のための浄化設備」が、本件特許に係る優先日前において既に当業者間にて周知のものであるということはできない(前記2(2)イ(イ)c参照)。そして、本件発明1は、当該浄化設備との組合せにより顕著な相乗効果が期待できるものである(前記2(2)イ(ウ)c参照)。

e 前記a~dの事項を併せ考えると、甲4発明において、甲1発明又は甲6発明及び周知技術を組み合わせたとしても、相違点IV-1に係る本件発明1の構成をなすことは、当業者にとって容易想到の事項であるといえない。

ウ 請求人の主張について

請求人は、上記相違点IV-1に関して、甲4発明に甲1発明又は甲6発明を組み合わせるにあたり、スクラバー流体として淡水等を選択すると共に、EGR方式のエンジンを選択して、本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到できたものである旨を主張している(弁駁書第12頁第6行~第13頁末行)。

しかしながら、前記イ(ア)b及びcで検討したとおり、甲1発明の「排煙脱硫装置130」及び甲6発明の「船舶用排煙処理10A」は、「開型湿式スクラバー」を基礎とするものであって、「閉じた排出ガススクラバー流体ループ(9)」に相当する構成を備えていない。

また、甲1発明及び甲6発明のいずれの装置もスクラバー流体として海水を使用することを前提とするものであることや前述の相乗効果を踏まえると、甲4発明に甲1発明又は甲6発明を組み合わせるにあたり、スクラバー流体として淡水等を選択することが容易想到の事項であるともいえない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

エ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲4及び甲1に記載された発明並びに周知技術に基いて、あるいは、甲4及び甲6に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(3) 本件発明5~8、10、15~17

本件発明5~8、10、15~17は、本件発明1の全ての特定事項を含むものであるから、前記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明5~8、10、15~17は、甲4及び甲1に記載された発明並びに周知技術に基いて、あるいは、甲4及び甲6に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(4) 無効理由4についての結論

以上のとおりであるから、本件発明1、5~8、10、15~17に係る特許に対する無効理由4は理由がない。

第8 むすび

以上、縷々検討したとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1~8、10~12、15~17に係る発明についての特許を無効とすることはできない。

また、本件特許の請求項9は、本件訂正により削除され存在しないから、その請求項についての審判の請求は、特許法第135条の規定により却下する。

そして、審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。

よって、結論のとおり審決する。

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