結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024800091 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許7045336号の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
特許7045336号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、2018年(平成30年)1月23日(優先権主張 平成29年2月15日)を国際出願日とする出願であって、令和4年3月23日にその特許権の設定登録がされた。
そして、本件特許についての無効審判(以下「本件無効審判」という。)における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和6年 7月18日 :審判請求書及び証拠説明書の提出
同年11月 1日 :審判事件答弁書及び証拠説明書の提出
令和7年 2月28日付け:審尋
同年 4月 7日 :請求人による回答書、証拠説明書、及び営業秘密に関する申出書の提出
同年 5月23日 :請求人による証拠説明書の受付
同年 8月22日付け:審理事項通知
同年10月15日 :請求人による口頭審理陳述要領書、証拠説明書、及び営業秘密に関する申出書の提出
同日 :被請求人による口頭審理陳述要領書及び証拠説明書の提出
同年11月13日 :第1回口頭審理
同年11月18日 :被請求人による上申書の提出
本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」などという。また、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ本件特許の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~4の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、
前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレスであって、
前記複数のクッション体それぞれは、厚み方向両端部にフィラメントの密度が厚み方向中央部より高い平滑表面層を備える樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され、
前記フィラメント3次元結合体は、厚みが10~25cmであり、フィラメント径が0.5~2mmであり、かさ密度が30~150kg/m
3
であって、
前記マットレスカバーの周面部には、該マットレスカバーの長さ方向の伸びを防止する伸張防止部材が設けられており、
前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、
前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられていることを特徴とするマットレス。
【請求項2】
前記マットレスカバーは、前記有底筒状のカバー部材である底面側カバーと、上面側カバーとを有することを特徴とする請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記上面側カバーと前記底面側カバーは、前記伸張防止部材であるファスナーによって結合されることを特徴とする請求項2に記載のマットレス。
【請求項4】
前記ファスナーは、
前記周面部を1周して連続的に包囲するように配設されていることを特徴とする請求項3に記載のマットレス。」
請求人は、甲第1号証~甲第28号証(枝番を含む)を添付した審判請求書、甲第29号証~甲第49号証(枝番を含む)を添付した回答書、令和7年5月23日受付の証拠説明書と共に提出された甲第50号証~甲第52号証、及び甲第53号証~甲第66号証の3(枝番を含む)を添付した口頭審理陳述要領書(以下「口頭審理陳述要領書(請求人)」という。)を提出し、以下の無効理由を主張する。
以下、「甲第○号証」、「甲第○号証の△」を「甲○」、「甲○の△」と略記し、「甲第○号証に記載された発明」及び「甲第○号証に示される発明」を「甲○発明」と略記する。
(1)無効理由1(甲1を主たる証拠とする進歩性)
本件発明1~4は、甲1発明及び甲2に記載された事項(以下「甲2記載事項」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(2)無効理由2(甲7を主たる証拠とする進歩性)
本件発明1~4は、甲7発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(3)無効理由3(甲9を主たる証拠とする進歩性)
本件発明1~4は、甲9発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(4)無効理由4(甲10の「1 JTB商事様から受注したマットレスについて」の記載並びに甲11~甲19、甲29~甲52、甲66の1~甲66の3から把握される公知発明(以下、単に「公知発明」という。)に基づく新規性及び進歩性)
ア 本件発明1~3は、公知発明であり、特許法第29条第1項第1号に該当するから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
イ 本件発明4は、公知発明、甲1に記載された事項(以下「甲1記載事項」という。)、及び甲7に記載された事項(以下「甲7記載事項」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(5)無効理由5(甲10の「2 第49回大川家具新春展に展示したマットレスについて」の記載並びに甲20~甲24の2、甲27、甲28、及び甲11から把握される公用発明(以下、単に「公用発明1」という。)に基づく新規性及び進歩性)
ア 本件発明1~4は、公用発明1であり、特許法第29条第1項第2号に該当するから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
イ 本件発明1~4は、公用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(6)無効理由6(甲10の「2 第49回大川家具新春展に展示したマットレスについて」の記載並びに甲20~甲22、甲25の1~甲28、及び甲11から把握される公用発明(以下、単に「公用発明2」という。)に基づく新規性及び進歩性)
ア 本件発明1~3は、公用発明2であり、特許法第29条第1項第2号に該当するから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
イ 本件発明1~3は、公用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
ウ 本件発明4は、公用発明2、甲1に記載された事項、及び甲7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(7)無効理由7(明確性要件)
「圧着」との特定は、比較の基準又は程度が不明確で、範囲を曖昧にし得る表現であるところ、当該特定を含む本件発明1~4は、明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
請求人の提出した証拠は次のとおりである。
(1)甲1
・特表2010-530764号公報
(2)甲2
・国際公開第2015/125497号
(3)甲3
・「ファスナーのなるほど」のWebページ
(https://ykk.com/ykk/mame/fas_02.html)
(4)甲4
・甲4の1:広辞苑(第7版)、p2818、「みっ・ちゃく【密着】」
・甲4の2:広辞苑(第7版)、p65、「あっ・ちゃく【圧着】」
(5)甲5
・別件訴訟(東京地方裁判所令和5年(ワ)第70594号)における原告第1準備書面
(6)甲6
・別件訴訟における被告準備書面(2)
(7)甲7
・登録実用新案第3190739号公報
(8)甲8
・機械工学事典「接触応力」
(https://www.jsme.or.jp/jsmemedwiki/doku.php?id=07:1006958&s[]=%E6%8E%A5%E8%A7%A6%E5%9C%A7%E5%8A%9B)
(9)甲9
・特開2011-019822号公報
(10)甲10
・請求人従業員による報告書
(11)甲11
・別件訴訟における報告書(株式会社モーブル(請求人)製マットレスの中材のフィラメントの太さ)
(12)甲12
・別件訴訟における報告書(株式会社モーブル(請求人)製マットレスの中材のかさ密度)
(13)甲13
・株式会社JTB商事(以下「JTB商事」という。)従業員からの電子メール
(14)甲14
・(仮)試算書(物件名:風のテラス(屋外/屋内用)ライトウェーブ105mm厚 *特注サイズ)
(15)甲15
・JTB商事従業員からの電子メール(「風のテラスKUKUNA様提案のお願い」)
(16)甲16
・御見積書(物件名/KUKUNA様 室内ごろ寝マット)
(17)甲17
・受発注書(ごろ寝マット・テラスマット)
(18)甲18
・請求人従業員からの電子メール(「【発送のご案内】KUKUNA様案件」)
(19)甲19
・請求人従業員による報告書(「風のテラスKUKUNA」から搬出したマットレスの圧力測定)
(20)甲20
・「組合案内」(協同組合福岡・大川家具工業会のWebページ)
(https://www.okawa.or.jp/guide/4.html)
(21)甲21
・「組合員」(協同組合福岡・大川家具工業会のWebページ)
(https://www.okawa.or.jp/category-list.html)
(22)甲22
・「第49回大川家具新春展」(協同組合福岡・大川家具工業会のWebページ)(https://www.okawa.or.jp/exhibition/3117.html)
(23)甲23
・甲23の1:写真(撮影対象 スリーレイヤーズマットレスの外観)
・甲23の2:写真(撮影対象 スリーレイヤーズマットレスの内部構造)
(24)甲24
・甲24の1:パンフレット「Three-Layers MATTRESS スリーレイヤーズマットレス」
・甲24の2:甲24の1のパンフレットのメタデータ
(25)甲25
・甲25の1:写真(撮影対象 スロットインマットレスの外観)
・甲25の2:写真(撮影対象 スロットインマットレスの内部構造)
(26)甲26
・甲26の1:パンフレット「Slot-in MATTRESS スロットインマットレス」
・甲26の2:甲26の1のパンフレットのメタデータ
(27)甲27
・請求人従業員からの電子メール(件名:「カバー再試作のお願い」)
(28)甲28
・請求人従業員による出張報告書(「新春展向けの新商品マットレス企画とミック株式会社向けのマットレス試作の打ち合わせ」など。)
(29)甲29
・確定申告書の特別償却の付表
(30)甲30
・御見積書(シーエンジから購入したクッションの製造装置)
(31)甲31
・請求書(シーエンジから購入したクッションの製造装置)
(32)甲32
・特許5868964号に関する件
(33)甲33
・甲33の1:カタログ「Literie PREMIUM」第1頁(表紙)、第4~5頁、第12~13頁、第14~15頁
・甲33の2:カタログ「SHELLY mattres/futon」第1頁(表紙)、第3~4頁
・甲33の3:カタログ「ATHLETE-Pro」第1頁(表紙)、第3~7頁
(34)甲34
・名刺(JTB商事 加藤和也氏)
(35)甲35
・甲35の1:JTB商事従業員からの電子メール(ヘッダーは、請求人代理人への転送履歴)
・甲35の2:201612031543.pdf(甲35の1の添付ファイル)
(36)甲36
・石井設計ウェブサイト「企業情報」(概要・沿革)
(http://www.isishii.jp/company/profile/)
(37)甲37
・石井設計ウェブサイト「プロジェクト」(風のテラス KUKUNA)
(http://www.is-ishii.jp/project/2006/11/-kukuna.html)
(38)甲38
・石井設計ウェブサイト「プロジェクト」(風のテラス KUKUNA リノベーション)
(http://www.is-shii.jp/project/2010/07/post-61.html)
(39)甲39
・石井設計ウェブサイト「プロジェクト」(風のテラス KUKUNA 展望館)
(http://www.isishii.jp/project/2017/03/post266.html)
(40)甲40
・Outlook 2021でメールアカウントの名前を変更する方法
(41)甲41
・請求人従業員からの電子メール「【仮試算】ライトウェーブ特注サイズ_風のテラス様案系」(ヘッダーは、請求人代理人への転送履歴)
(42)甲42
・名刺(JTB商事 中村勇樹氏)
(43)甲43
・JTB商事従業員からの電子メール「Re:【サンプル発送】カット見本 甲府営業所ならびに東京本社」(ヘッダーは、請求人代理人への転送履歴)
(44)甲44
・手配依頼書(甲46の添付ファイル「KUKUNA モーブルさん:手配依頼.pdf」)
(45)甲45
・受発注書(甲47の添付ファイル「受注確認書20170214_JTB商事 ナカムラ様_KUKUNA様案件.pdf」)
(46)甲46
・JTB商事従業員からの電子メール「Re:テラスマットのサイズ変更、ならびにご発注期限」(ヘッダーは、請求人代理人への転送履歴)
(47)甲47
・請求人従業員からの電子メール「【ご注文承りました】KUKUNA様案件 3月15日納品」(ヘッダーは、請求人代理人への転送履歴)
(48)甲48
・請求人従業員からの電子メール「Re:KUKUNA テラスカバー 仕様確認」(ヘッダーは、請求人代理人への転送履歴)
(49)甲49
・JTB商事従業員からの電子メール「Re:【ご注文承りました】KUKUNA様案件 3月15日納品」(ヘッダーは、請求人代理人への転送履歴)
(50)甲50
・株式会社プリントパックの請求人のマイページにおける「過去のご注文」の一覧、及び、その一覧中の「ご注文番号」が「PAC19238463」(「商品名」が「SHELLY」)の「ご注文情報詳細」
(51)甲51
・請求書(甲50の作成に関するもの。)
(52)甲52
・領収書(甲50の作成に関するもの。)
(53)甲53
・「ファスナーについて」のWebページ
(https://www.globalstandard.jp/f/about)
(54)甲54
・電話聴取報告書(YKK株式会社ジャパンカンパニー顧客サービスからの電話聴取内容)
(55)甲55
・azbil 2016,Vol.5,第1頁(表紙)、第2~19頁、奥付
(56)甲56
・「驚きのファスナー」のWebページ
(https://www.ykk.com./ykk/tech/07.html)
(57)甲57
・「2010年“超”モノづくり部品大賞 受賞部品一覧」のWebページ
(https://award.cho-monodzukuri.jp/award2010/)
(58)甲58
・「2010年 受賞部品 生活関連部品賞」のWebページ
(https://award.cho-monodzukuri.jp/award2010/2010life-related/)
(59)甲59
・「モノづくり日本会議」のWebページ
(https://www.cho-monodzukuri.jp)
(60)甲60
・エアウィーブ(登録商標)ウェブサイトの「ヒストリー」
(https://airweave.jp/history/)
(61)甲61
・エアウィーブ(登録商標)ウェブサイトの「エアウィーブを知る」
(https://airweave.jp/about/)
(62)甲62
・請求人従業員による報告書
(63)甲63
・特表2003-515411号公報
(64)甲64
・特表2005-520613号公報
(65)甲65
・登録実用新案第3169429号公報
(66)甲66
・甲66の1:JTB商事従業員からの電子メール「風のテラスKUKUMNA様 提案のお願い」
・甲66の2:甲66の1の添付ファイル「KUKUNA 置き家具:モーブルさん:依頼内容.pdf」
・甲66の3:甲66の1の添付ファイル「KUKUNA 展望館 パース1.pdf」
以上の証拠方法のうち、甲13~15、17、及び19については、被請求人はその成立を否認している(第1回口頭審理調書 「被請求人」「6」及び「7」参照)。
被請求人は、乙第1号証~乙第11号証を添付した審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)、及び乙第12号証~乙第15号証を添付した口頭審理陳述要領書(以下「口頭審理陳述要領書(被請求人)」という。)を提出し、請求人の主張する無効理由1~7はいずれも理由がない旨主張する。
以下、乙第○号証を「乙○」と略記する。
被請求人が、提出した証拠は以下のとおりである。
(1)乙1
・「SOFLEX(R)(原文はRの○囲い文字) | YKK(株)ジャパンカンパニー」と題するWebページ
(https://lyncs.ykkfastening.com/shop/c/cFPF10/)(別件訴訟の甲21)
(2)乙2
・被請求人従業員の報告書(市販ファスナーの伸び率の測定)
(3)乙3
・「スライドファスナの試験(JIS S3015)|一般財団法人カケンテストセンター」と題するWebページ
(https://www.kaken.or.jp/test /search/detail/29)
(4)乙4
・「世界遺産 富士山と河口湖の絶景を望む『THE KUKUNA』にオーダーメイドマットを納品しました」と題する被告のニュースリリース
(https://www.meuble.co.jp/news/1622/)(別件訴訟の甲25)
(5)乙5
・「THE KUKUNA RESORT &SPA」と題するWebページ
(https://kukuna.jp)(別件訴訟の乙26)
(6)乙6
・「LITEWAVE ライトウェーブ事業」と題するWebページ
(https://www.meuble.co.jp/litewave/)(別件訴訟の甲26)
(7)乙7
・請求人従業員の報告書(別件訴訟の乙33)(「風のテラスKUKUNA」に納品されたマットレス)
(8)乙8
・「広辞苑第七版 付録」、2~5頁(抜粋)、「アツ【圧】」(別件訴訟の甲15)
(9)乙9
・特許第6108063号公報(別件訴訟の甲22)
(10)乙10
・特開2000-342226号公報(別件訴訟の甲23)
(11)乙11
・特許第5535019号公報(別件訴訟の甲24)
(12)乙12
・「The Quality Sleep 眠りの世界に品質を」と題するカタログ冊子、表紙、裏表紙、p1~p18
(13)乙13
・「エアウィーブからベッドマットレスが登場!ベッド派の方々の選択肢がさらに広がりました」と題するニュースリリース
(14)乙14
・「2013年夏『エアウィーブ』新TV-CM 浅田真央選手と坂東玉三郎さん初共演 新TV-CM第1段『最高をサポートしたい』篇2013年6月3日(月)から一斉オンエア開始」と題するニュースリリース
(15)乙15
・「JAL国際線ファーストクラスで最上級の『快眠』を」と題するニュースリリース
(1)甲1
甲1には、以下の記載がある。なお、下線は、当審において付したものである(以下同様)。
ア「【請求項1】
収容部のための周壁を有する一つのマットレスフレームと
;
前記収容部に装着されて前記マットレスフレームと共に一つのマットレスボディーを形成する一あるいは二列とした複数のクッション部材
と;
前記マットレスボディーの外側部を取り囲む側面パッドと;
前記マットレスボディーの上下面を覆うように、外周の端部が前記側面パッドの上下端部とそれぞれ結束される上下カバーパッドと、を有することを特徴とするマットレス。」
イ「【0017】
本発明の第1の実施の形態によるマットレスは弾性体である
ウレタンフォームで成形された長方型周壁(周部)11で構成され、一つの収容部20を有する一つのマットレスフレーム10と、前記収容部に二列で配置されてフレーム10と一つのマットレスボディーを構成する六つのクッション部材30と
、マットレスボディーの上あるいは下に設置され、平らなウレタンフォーム33と布製袋32で作られた一対の補助クッション部材30と、
前記マットレスボディーの外側部(外周部)を取り囲む一つの側面パッド40と
、一対の補助クッション部材30を各々覆い、
外周縁部がそれぞれ一つのファスナー60、60’によって側面パッド40の上下端部と結束される一体の上下部カバーパッド50、50’とを含んで構成され
る。」
ウ「【0020】
そして、
収容部20に2列で配置された六つのクッション部材30は、その外側部が周壁11の互いに対応する内壁面さらに隣接するクッション部材の外側部と接触して密着収容される
ので、従来の一つの単一クッション部材のように機能し、上述のように、クッション部材30を必要によって互いに異なる弾性にすることが可能であるとともに、補助クッション部材30も部分別に異なる弾性を有することができる。」
エ「【0024】
また、
クッション部材30はフレームと同じようにウレタンフォーム
のような弾性スポンジで
作ることができ
、補助クッション部材30’はクッション部材と同一な材料を用いたり、天然ゴム、人造ゴム等他の類似なものを使用できる。」
オ 図1は、以下のとおりである。
「
129
60
0001435837000001.jpg
」
(2)甲2
甲2には、以下の記載がある。
ア「[0011] また、従来、
ウレタン発泡体からなるクッション材は
、耐久性に優れ、一定水準の体圧分散性を奏することからマットレス用途で採用されているが、褥瘡発生の原因の一つとして注目されている
ずれ力の吸収性能が低いという問題
がある。ずれ力の吸収に優れた素材として、低反発ポリウレタンフォームが提案されているが、寝返りのし難さや温度による硬さ変化があるうえ、
通気性にも問題
がある。」
イ「[0013] 発泡ウレタンフォームにより形成された積層構造マットレスであって、下層部分が高密度ウレタンフォーム、中層部分が低反発ウレタンフォーム、上層部分がオープンセル構造をもつフィルターフォームを備えたものが提案されている(特許文献8、特許文献9)。これらは反発性と体型保持機能に配慮したものであるが、下層、中層に
通気性に乏しいウレタンフォームを用いていることから、寝汗をかきやすく衛生上も問題がある
。以上の問題を解決するため、低反発マット体に通気孔を設けたものも提案されているが(特許文献10)、マットレスの側面を通じての熱及び蒸気の排出並びに外部空気の取りこみについては依然不充分である。」
ウ「[0018] さらに、本発明では、適度な厚みで一定水準以上の反発力と体型保持性を有しながらも軽く、
通気性に優れ
、水洗い可能で衛生的なクッションを提供することを目的とする。」
エ「[0042] 以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず第1実施形態~第9実施形態のクッション用中材を説明する。
第1実施形態のクッション用中材1は
、図1及び図2(a)の通り、
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、複数本の線条が螺旋状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着した板状の立体網状構造体41からなる
ものである。
立体網状構造体41は
、芯材またはベース材となる
ポリオレフィン系樹脂を含む層43の一面にポリエステル系エラストマー及び/若しくはポリウレタン系エラストマーを含む層45を積層したもの
である。」
オ「[0048]
クッション用中材1の各層43,45の見掛け密度は
、柔らかな高反発性を決める重要な要素であり、必要に応じて設計されるものであるが、
好ましくは0.025g/cm
3
~0.2g/cm
3
、さらに好ましくは0.04g/cm
3
~0.09g/cm
3
である
。見掛け密度が0.025g/cm
3
より小さいと形状が保てなくなり、0.20g/cm
3
を越えるとマットレスとしては適さなくなる。
[0049] 本発明の
層43,45は、線条の線径(直径)が0.3mm~1.5mmの熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなる連続線条なランダムなループを互いに溶融状態で溶着させた立体スプリング構造体である
。線径は異形、中空形状でもよいがソフトな触感を得るためには重要な要素であり、線径が小さいとクッション性に必要な硬度が保てなくなり、逆に線径が大きすぎると硬くなり過ぎてしまうため、適正な範囲に設定する必要がある。」
カ「[0051]
層43,45のそれぞれの厚みは
柔らかさや高反発性に大きく関わってくるため、
5mm~500mm、より好ましくは、10~150mm、さらには30~110mmが一層好ましい
。5mm未満では高反発性が低くなるため好ましくなく、500mm以上では反発性が高くなりすぎるため好ましくない。」
キ「[0094] (クッション用中材の製造方法)
本実施形態のクッション用中材1の製法の一例
を述べるが、この製法に限定されるわけではない。特開2001-328153号公報等に記載された通り、ポリエチレンまたは熱可塑性エラストマーを主原料とした原料をそれらの融点より10°C~20°C高い溶融温度で溶融し、溶融された原料は、ダイス33内部へと送られ、圧力を加えられて、下部の口金34の押出口から吐出されたそれぞれの線条は、押出孔の複数個の配列により、複数本の線条からなる線条集合体21となり、自然降下する。クッション用中材1は、ポリオレフィン系樹脂とポリエステル系及び/若しくはポリウレタン系エラストマーとの間で溶融温度が著しく異なる場合や冷却過程での物性変化が大きく異なる場合は、
各層を別々の水槽18または別工程で個別に製造して積層することが一般的である
。・・・」
ク「[0097] つぎに、水または湯を供給した、少なくとも
左右一対のシュート36
(国際公開番号WO2012/157289の公開公報参照)
で受け止めて、線条を溶融状態で互いに接触させて融着させ、立体網状構造を形成しつつ、水面に着水
させる。このとき、シュート36の角度、供給される水の量、押出口の口径、口金面とシュートと引取コンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、押出口の孔径と吐出量、ループ径と線条の線径などによりり立体網状構造体の特性が決まる。線径(直径)が0.1~1.8mm、ランダムループの平均直径(長さ)を5mm~50mmである。
[0098] つぎに、
線条集合体のうち、外周の長手側面に位置する線条は
、
シュート36の
水が流れている
傾斜面37a,37bの上に接触
し、これにより垂直降下軌道が乱され、
隣り合う線条とループ状に絡まり合いつつ
、供給パイプ38から供給される水または加温水で流されながら、
傾斜面37a,37bを滑り降りる
。この際、線条は重力の影響を直接的に受け、傾斜面37a,37bに沿って絡合し、ループが形成される。」
ケ「[0100]
線条集合体のうち、シュートの傾斜面のいずれにも接触せずに降下した線条は
、成形開口部を通過する。このとき、成形開口部を通過する線条のうち、
傾斜面37a,37bの下辺近くを通過するものは、傾斜面37a,37bを滑り降りてくる線条と接触し、ループ状に絡まり合い
、その接触絡合による降下軌道の撹乱が隣り合う中心方向の線条に若干の範囲で伝播しつつ降下する。成形開口部を通過する線条のうち、
成形開口部の中央付近を通過するものは、水面に着水し
、無端コンベア14,15による引取速度は線条集合体の降下速度よりも遅いため、着水したそれぞれの線条は撓み、
水面付近で略ループ状に絡まり合う
。無端コンベア14,15の速度は5~40m/時間が好ましい。・・・
[0101] そして、一部水没した
1対の無端コンベア14,15の間に自然降下させ
、上記の降下速度より遅く引き取る。この際に、押出された溶融樹脂の集合体の幅より1対の無端コンベア14,15の間隔を狭く設定しておき、かつ
無端コンベア14,15が水没する前後に上記溶融樹脂の集合体の両面あるいは片面が無端コンベア14,15に接触する
ようにする。
溶融した熱可塑性樹脂の集合体の両面部分は、無端コンベア14,15上に落下し
、
溶融した熱可塑性樹脂の集合体の内側へ移動し密な状態となるため
、
水中にそのまま落下した中央部分より空隙率が小さくなり、空隙率が高い中央部分より交点の数が多くなり
、引張り強度が著しく強くなる。
空隙率が低い表面部分は空隙部の面積が小さくなり
、衝撃吸収層となる。」
コ「[0145] [実施例1]
層43の実施例
である。・・・。得られた立体網状構造体は、断面形状が四角形、
線経が0.6~1.1mmの線条
で形成されており、表面は平坦化されており、
嵩比重が53kg/m
3
、
厚みが75mm
、幅890mm、90°C、5分間熱乾燥熱風試験前後の伸長率が横方向で2.31%、縦方向で1.52%、ヒステリスロスが28.7%、反発弾性31cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率0%であった。なお、気温19°C、湿度42%であった。
[0146] [実施例2]
層43の実施例
である。・・・。得られた立体網状構造体は、断面形状が四角形、
線経が0.6~1.1mm
の線条で形成されており、表面は平坦化されており、
嵩比重が70kg/m
3
、
厚みが25mm
、幅500mm、90°C、5分間の熱乾燥熱風試験前後の熱伸長率が横方向で1.87%、縦方向で1.39%、ヒステリスロスが28.6%、反発弾性33cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率6.1%であった。気温21°C、湿度48%であった。
[0147] [実施例3]
層45の実施例
である。・・・。得られた立体網状構造体は、断面形状が四角形、
線経が0.5~1.0mm
の線条で形成されており、表面は平坦化されており、
嵩比重が71kg/m
3
、厚みが30mm、幅900mm、130°C、5分間乾燥熱処理前後の熱伸長率が横方向で0.78%、縦方向で1.7%、ヒステリスロスが19.1%、反発弾性33cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率0%であった。気温33°C、湿度48%であった。
[0148] [実施例4]
層45の実施例である。・・・。得られた立体網状構造体は、断面形状が四角形、
線経が0.5~1.2mm
の線条で形成され、表面は平坦化されており、
嵩比重が63kg/m
3
、
厚みが73mm
、前記の乾燥熱処理前後の熱伸長率が横方向で1.22%、縦方向で3.08% ヒステリスロスが18.5%、反発弾性34cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率5.9%であった。気温30°C、湿度44%であった。
[0149] [実施例5]
層43の実施例
である。・・・。得られた立体網状構造体は、断面形状が四角形、
線経が0.7~1.3mm
の線条で形成されており、表面は平坦化されており、
嵩比重が50kg/m
3
、
厚みが51mm
、幅400mm、90°C、5分間熱乾燥熱処理前後の伸長率が横方向で2.68%、縦方向で1.28%、ヒステリスロスが27.0%、反発弾性24cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率16.7%であった。気温15°C、湿度52%であった。
[0150] [実施例6]
層43の実施例
である。・・・。得られた立体網状構造体は、断面形状が四角形、
線経が0.7~1.3mm
の線条で形成されており、表面は平坦化されており、
嵩比重が50kg/m
3
、
厚みが43mm
、幅400mm、90°C、5分間の熱乾燥熱処理前後の熱伸長率が横方向で2.06%、縦方向で1.22%、ヒステリスロスが30.0%、反発弾性32cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率12.5%であった。気温21°C、湿度48%であった。
[0151] [実施例7]
層43の実施例
である。・・・。得られた立体網状構造体は、断面形状が四角形、
線経が0.8~1.5mm
の線条で形成されており、表面は平坦化されており、
嵩比重が65kg/m
3
、
厚みが50 mm
、幅405mm、90°C、5分間の熱乾燥熱処理前後の熱伸長率が横方向で2.72%、縦方向で3.04%、ヒステリスロスが29,1%、反発弾性16cm、定重繰返し試験後の反発弾性変化率5.5%であった。気温12°C、湿度45%であった。」
サ 図1は、以下に示すとおりである。
「
81
103
0001435837000002.jpg
」
(3)甲7
甲7には、以下の記載がある。
ア「【請求項2】
中身の素材は、
一般的にベッド用マットレスの素材に使用されるもの(スプリング・ウレタン・パーム・フェルト・ポリエステル綿(固綿)・ジェル・ブレスエアー・
エアウィーヴ
・その他特殊素材など)を使用。」
イ「【0009】
マットレスの中身を4分割又は3分割、2分割の大きさに分割
し、
各中身を
生地(ネット・不織布など含む)に入れたり、裸のまま、
専用カバーに入れファスナーをする
。生地(ネット・不織布含む)に入れる中身は、スプリングの種類や厚さや詰め物は何にでも対応できる。」
ウ 図3は、以下のとおりである。
「
116
117
0001435837000003.jpg
」
エ 図4は、以下のとおりである。
「
89
104
0001435837000004.jpg
」
(4)甲8
甲8には、以下の記載がある。
「接触応力
contact stress
材料力学
図に示すように二つの物体が互いに押し合って接触している場合,局部的な変形によって接触面ができる.この面には接触圧力(場合によってはせん断応力も)が生じ,これを接触応力と呼ぶ.接触応力は,一般に接触している二物体間に働く力はもちろん,これらの形状,材料特性,接触面状態によって変化する.しかもその値や分布は接触面の摩擦や破壊にも強く影響することが知られている.接触応力を求める方法として,接触面に摩擦がなく,その寸法が接触二物体のそれらに比較してきわめて小さく,接触によって二物体が降伏しない範囲(弾性接触域)などの仮定が成り立つ場合,ヘルツの理論が知られている.このような仮定に適合しない場合には,フィルムエレメントなどを用いた有限要素法等の数値解法を利用する方法があるが,実験的には接触面の応力を直接測定することは一般に難しい。」
(5)甲9
甲9には、以下の記載がある。
ア「【請求項1】
平板直方体形状のアッパーマットと、その下方に積み重ねられる平板直方体形状のアンダーマットと、アッパーマット及びアンダーマットを積み重ね状態で収納できる折り畳み可能なマットレスカバーとから構成され
、
アッパーマットは、クッション性材料からなるマット本体から構成され、マット本体は、複数に分割されたそれぞれ同幅のマット
からなり、
アンダーマットは、上記アッパーマットと同幅で同長さの大きさをなし、クッション性材料からなる複数に分割されたそれぞれ同幅のマット片からなり
、
アッパーマットとアンダーマットとを積み重ねた状態において、アッパーマットにおけるマット本体を構成する各マットの隣接境界線と、アンダーマットの各マット片の隣接境界線とが重ならないように構成した
、
ことを特徴とする組立式マットレス。」
イ「【請求項2】
アッパーマットは、
マット本体が
、頭部側を上にして、
3つに分割されたそれぞれ同幅の
上部マット、中間マット及び下部マットからなり、
アンダーマットは、4つに分割された
同一形状のマット片を4つ折り可能になるように一部連結して構成した、
ことを特徴とする請求項1に記載の組立式マットレス。」
ウ「【0020】
図1~図4において、
Aは
平板な直方体形状をなす
アッパーマット
であり、マット本体10とエッジマット20とから構成される。
マット本体10は、上部マット11、中間マット12及び下部マット13の3つに分割
された同一大の直方体形状をなし、それぞれネット袋11a、12a、13aで包皮されている。マット1つのサイズは、幅80cm、長さ66.6cm、厚み9cmであり、その表面がいずれも体圧分散を目的として波状の凹凸にプロファイル加工された
クッション性に優れたウレタンマット
である。なお、本実施例においてはこのようなプロファイル加工されたウレタンマットを採用しているが、これに限られるものではなく、体圧分散を考慮して表面を加工した種々のウレタンマットや表面がフラットなウレタンマットを採用してもよい。・・・」
エ「【0023】
なお、本実施例においては
アッパーマットA
としてエッジマット20を備えたものを示しているが、エッジマットを備えず、マット1つのサイズを幅97cm、長さ66.6cm、厚み9cmの
3つのマット本体のみからアッパーマットを構成
してもよい。また、本実施例においては、マット本体10を3つに分割したものであるが、これに限られるものではなく、後述するように、アッパーマットとアンダーマットとを積み重ねた状態において、アッパーマットにおけるマット本体を構成する各マットの隣接境界線と、アンダーマットの各マット片の隣接境界線とが重ならないように構成することを満たせば、本発明の効果は達成できる。」
オ「【0025】
Bは
、
アンダーマット
であり、
4つに分割された
同一形状の
マット片31、32、33、34
を4つ折り可能になるように一部連結して構成したものである。1つのマット片の大きさは、幅97cm、長さ50cm、厚み6cmであって、
アンダーマットB
全体の大きさ
は
、幅97cm、長さ200cm、厚み6cmの平板直方体形状なすものであって、
上記アッパーマットAと同幅で同長さの大きさ
である。もちろん、アッパーマットAのサイズが変化すれば、アッパーマットAのサイズに合わせてアンダーマットBのサイズも変更する。
各マット片31、32、33、34の材質は
、アッパーマットAを構成するマット本体10にクッション性の優れた材料が使用されているため、
やや硬質のウレタンから構成
すると全体的な安定感が維持される。
【0026】
・・・したがって、
アッパーマットAとアンダーマットBとを積み重ねた状態において、
アッパーマットAにおけるエッジマット20を構成する各外枠体21、22、23、24、25、26の隣接境界線c、d、e、fが、アッパーマットAにおけるマット本体10を構成する各マット11、12、13の隣接境界線a、b及びアンダーマットBの各マット片の隣接境界線に重ならないように構成されると共に
アッパーマットAにおけるマット本体10を構成する各マットの隣接境界線と、アンダーマットBの各マット片31、32、33、34の隣接境界線g、h、iとが重ならないように構成される
ことになる。このように構成したため、隣接するマット間の境界部分に生ずる段差が緩和され、マットレスにおけるマット間の境界部分におけるクッション性が良好となるので、違和感が軽減させた寝心地のよいマットレスとなる。
【0027】
Cは、マットレスカバーであって、折り畳み可能な布帛で形成されており、例として、ベッド用マットレスにふさわしく厚地で腰のある編織地や、中綿入りのキルティング生地などが適切である。
マットレスカバーCは、上面が開口した直方体形状の容器本体40と、容器本体の上面開口部を閉塞する蓋体41とから構成されるボックス型
に形成されている。このように構成することにより、アッパーマットA及びアンダーマットBの組立収納及び解体が行いやすい利点がある。なお、必ずしもボックス型でなく、袋式のものでもよい。」
(6)甲10
甲10には、以下の記載がある。
ア 第3ページ8~25行
「請求人は、メール、電話でのやりとりやクッションのカットサンプル(IFFT展示品のクッションと同様のもの)の送付等を経ながら、クッションを複数のクッション体に分割することも含む仕様をJTB商事様及びKUKUNA様と固めていき(・・・)、その仕様は平成29年1月31日頃決定し(御見積書(甲第16号証)にあるとおり、80mm厚で長さ2000mmのクッションを1950mmと50mmのクッション体に2分割し、105mm厚で長さ2000mmのクッションを1950mmと50mmのクッション体に2分割し、これらのクッションを上下に重ねてマットレスカバーで覆うことになりました。)、請求人は、同年2月14日にJTB商事様から発注を受け(受発注書(甲第17号証)には、「※ 下記の通り変更致します。」としてマットレス100mm長くする旨も手書きされていますが、結局、この変更には至りませんでした。)」
イ 第6ページの図は以下のとおりである。
「
230
149
0001435837000005.jpg
」
(7)甲16
甲16には、以下の記載がある。
ア
「
77
151
0001435837000006.jpg
」
(印影は、当審合議体が黒塗りした。)
イ
「
87
151
0001435837000007.jpg
」
(8)甲24
ア 甲24の1
甲24の1には、以下の記載がある。
(ア)
「
94
151
0001435837000008.jpg
」
(イ)
「
116
151
0001435837000009.jpg
」
イ 甲24の2
甲24の2には、以下の記載がある。
「
107
151
0001435837000010.jpg
」
(9)甲26
ア 甲26の1
甲26の1には、以下の記載がある。
(ア)
「
90
151
0001435837000011.jpg
」
(イ)
「
122
151
0001435837000012.jpg
」
イ 甲26の2
甲26の2には、以下の記載がある。
「
114
151
0001435837000013.jpg
」
(10)甲33の1
甲33の1には、以下の記載がある。
ア 第4ページ
「
104
94
0001435837000014.jpg
」
イ 第5ページ
「
79
144
0001435837000015.jpg
」
ウ 第15ページ
「
50
139
0001435837000016.jpg
」
(11)甲45
甲45には、以下の記載がある。
ア
「
122
151
0001435837000017.jpg
」
(印影については、当審合議体が黒塗りした。)
(1)乙2
乙2には、以下の記載がある。
ア 第1ページ16行~第2ページ3行
「1 製品A(別紙1参照)
商品名:YKK Y.K.Kフラットニットファスナー 5mチェーン COL.501
1
製品Aは洋服等に使用される一般的なファスナーであり、務歯は、ナイロン製、テープはポリエステル製である。」
イ 第2ページ4~7行
「2 製品B(別紙2参照)
商品名:寝具/シーツ用ファスナー YKK(2SL) 白 150cm
2
製品Bは「寝具/シーツ用」として販売されているファスナーであり、スライダーは亜鉛合金でできているが、テープ及び務歯はポリエステル製である。」
ウ 第2ページ8~13行
「2 製品C(別紙3参照)
商品名:寝具用ファスナー 白150cm止め ナイロン製
3
製品Cも製品B同様、「寝具用」として販売されているファスナーであり、務歯はナイロン製、テープ(ブレード)は綿製である。なお、スライダーには「YKK」という記載はあったが、YKKの品番は特定できなかったため、製造業者は不明である。」
エ 第6ページ 「4 測定結果」
「
127
151
0001435837000018.jpg
」
(2)乙12
乙12には、以下の記載がある。
ア 第2ページ5~7行
「私たちは、質の高い眠りを実現するために、独自の
極細繊維状樹脂素材
を開発。
素材のひとつひとつを
まるで空気を編むように
絡み合わせてつくられる
のが
異次元マットレスパッドエアウィーヴ
です。」
イ 第3ページ
「(2)(原文は2の○囲い文字)優れた体圧分散で体に負担がかかりません。
三次元に絡み合ったエアウィーヴ素材
があらゆる方向から体を支え、均等に体圧を分散し、負担を軽減します。」
ウ 第9ページ
「
エアウィーヴ
」
「
極細繊維状による三次元構造
が、極上の寝心地をお届けします。」
(3)乙14
乙14には、以下の記載がある。
・ 第4ページ
「―高反発マットレスパッド「
エアウィーヴ
」について―
エアウィーヴは
、『空気(air)』を『編む(weave)』という名前が意味するように、
極細繊維状樹脂を三次元的に絡み合わせる
ことで、素材の90%以上が空気という
独自の構造を実現
しています。」
(1)甲1について
ア 甲1の認定事項
前記1(1)から、甲1には、以下の事項が示されていると認められる。
(ア)段落【0017】及び【0024】から、クッション部材30は前記マットレスフレーム10と同じようにウレタンフォームで成形される。
(イ)段落【0020】及び図1から、収容部20に二列で配置された六つのクッション部材30のそれぞれは、その外側部がマットレスフレーム10の周壁11の互いに対応する内壁面及び隣接するクッション部材30の外側部と接触して密着収容される。
(ウ)段落【0017】及び図1から、ファスナー60、60’は、上下カバーパッド50、50’の外周縁部を一周する。
イ 甲1発明
前記1(1)及び前記アから、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧内は根拠箇所を示す(以下同様)。
「ウレタンフォームで成形された長方型周壁11で構成され、一つの収容部20を有する一つのマットレスフレーム10と(段落【0017】)、
前記収容部20に二列で配置されて前記マットレスフレーム10と一つのマットレスボディーを構成する六つのクッション部材30と(段落【0017】)、
前記マットレスボディーの外側部を取り囲む一つの側面パッド40と(段落【0017】)、
外周縁部がそれぞれ一つのファスナー60、60’によって前記側面パッド40の上下端部と結束される一体の上下部カバーパッド50、50’とを含んで構成され(段落【0017】)、
前記クッション部材30は前記マットレスフレーム10と同じようにウレタンフォームで成形され(前記ア(ア))、
前記収容部20に二列で配置された前記六つのクッション部材30のそれぞれは、その外側部が前記マットレスフレーム10の前記周壁11の互いに対応する内壁面及び隣接する前記クッション部材30の外側部と接触して密着収容され(前記ア(イ))、
前記ファスナー60、60’は、前記上下部カバーパッド50、50’の外周縁部を一周する(前記ア(ウ))、
マットレス。」
(2)甲2について
前記1(2)における[0048]の記載と[0145]~[0151]の記載から、[0048]に記載された「見掛け密度」が[0145]~[0151]に記載された「嵩比重」、すなわち、「かさ密度」と同義であると認められる。
そうすると、前記1(2)における[0018]、[0042]、[0048]、[0049]、[0051]、及び[0145]~[0151]の記載から、甲2には、次の甲2記載事項が記載されていると認められる。なお、括弧内の記載は、当審におけるかさ密度の単位換算値を示したものである。
「ポリオレフィン系樹脂を含む層43とポリエステル系エラストマー及び/若しくはポリウレタン系エラストマーを含む層45を積層した立体網状構造体41からなるクッション用中材1において、各層43、45のかさ密度が0.025g/cm
3
~0.2g/cm
3
(25kg/m
3
~200kg/m
3
)であり、層43、45の線条の線径(直径)が0.3mm~1.5mmであり、層43、45のそれぞれの厚みが5~500mmであり、
層43は、
線径0.6~1.1mm、かさ密度53kg/m
3
、厚み75mm、
線径0.6~1.1mm、かさ密度70kg/m
3
、厚み25mm、
線経0.7~1.3mm、かさ密度50kg/m
3
、厚み51mm、
線経0.7~1.3mm、かさ密度50kg/m
3
、厚み43mm、
線経0.8~1.5mm、かさ密度65kg/m
3
、厚み50mmのいずれかであり、
層45は、
線経0.5~1.0mm、かさ密度71kg/m
3
、厚み30mm、
線経0.5~1.2mm、かさ密度63kg/m
3
、厚み73mmのいずれかであり、
適度な厚みで一定水準以上の反発力と体型保持性を有しながらも軽く、通気性に優れ、水洗い可能で衛生的なクッションを提供すること。」
(3)甲7について
ア 甲7の認定事項
前記1(3)から、甲7には、以下の事項が示されていると認められる。
(ア)段落【0009】から、マットレスの中身が4分割又は3分割、2分割の大きさに分割される。
(イ)【請求項2】から、マットレスの中身の素材は、エアウィーヴ(登録商標)である。
(ウ)マットレスを収容するカバーの大きさはマットレスの大きさに概ね合わせるようにすることが技術常識であることに鑑みれば、図3に示されるような状態のマットレスを専用カバーに収容した場合、マットレスの中身の互いに隣接する部分は、完全ではないにせよ、ある程度は互い接触するといえる。
そうすると、段落【0009】、図3、及び技術常識から、専用カバーにマットレスの中身が互いに接触して入れられることが認められる。
(エ)図4から、専用カバーは、上下のカバーからなり、また、上下のカバーは、ファスナーによって互いに接続される。
(オ)図3及び4から、上のカバーは、上面、長手方向の側面、及び短手方向の側面を有することが看取できるので、少なくとも上のカバーは、有底筒状のカバーであるといえる。
(カ)図4から、ファスナーは、専用カバーの開口部に設けられていることが看取できる。
イ 甲7発明
前記1(3)及び前記アから、甲7には、以下の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。
「マットレスの中身が4分割又は3分割、2分割の大きさに分割され(前記(ア)ア)、
前記マットレスの中身の素材は、エアウィーヴ(登録商標)であり(前記(ア)イ)、
専用カバーに前記マットレスの中身が互いに接触して入れられ(前記(ア)ウ)、
前記専用カバーは、上下のカバーからなり(前記(ア)エ)、
前記上下のカバーは、ファスナーによって互いに接続され(前記(ア)エ)、少なくとも上のカバーは、有底筒状のカバーであり(前記(ア)オ)、
前記ファスナーは、前記専用カバーの開口部に設けられている(前記(ア)カ)、
マットレス。」
ウ 甲7発明の認定に対する被請求人の意見
被請求人は、口頭審理陳述要領書(被請求人)の第8ページ~第10の「(3)構成h3’’について(本件通知書第3の3(1)(1-1))」及び「(4)構成i3b’’について(本件通知書第3の3(2))」において、「【図3】には「マットレスの中身が互いに接触」しているかどうかは判然としない。」旨、及び「【図4】に示されているのは専用カバーの一部分であり、「上のカバー」の全体の構成は明らかではない。」旨を主張する。
しかしながら、「マットレスの中身が互いに接触」することについては、前記ア(ウ)で述べたとおりである。
また、上のカバーの構成については、上のカバーがマットレスの中身を収容する機能を有していることを踏まえると、上のカバーの上面がマットレスの中身の上面と同等の大きさを有するとともに、上面の一対の長手方向の辺及び一対の短手方向の辺のそれぞれに、上のカバーの長手方向の側面及び短手方向の側面が設けられていると理解するのが自然であるといえる。
したがって、被請求人の主張を採用することはできない。
(4)甲9について
ア 甲9の認定事項
前記1(5)から、甲9には、以下の事項が示されていると認められる。
(ア)【請求項1】、段落【0020】、及び【0025】から、組立式マットレスは、平板直方体形状のアッパーマットAと、その下方に積み重ねられる平板直方体形状のアンダーマットBと、アッパーマットA及びアンダーマットBを積み重ね状態で収納できる折り畳み可能なマットレスカバーCとから構成される。
(イ)【請求項1】、【請求項2】、段落【0020】、及び【0023】から、アッパーマットAは、クッション性に優れたウレタンマットのマット本体10から構成され、マット本体10は、3つに分割されたそれぞれ同幅のマット11~13である。
(ウ)【請求項1】、【請求項2】、段落【0020】、及び【0025】から、アンダーマットBは、アッパーマットAと同幅で同長の大きさをなし、やや硬質のウレタンからなる4つに分割されたそれぞれ同幅のマット片31~34からなる。
(エ)【請求項1】及び段落【0026】から、アッパーマットAとアンダーマットBとを積み重ねた状態において、アッパーマットAにおけるマット本体10を構成する各マット11~13の隣接境界線と、アンダーマットBの各マット片31~34の隣接境界線とが重ならないように構成される。
イ 甲9発明
前記1(5)及び前記アから、甲9には、以下の発明(以下「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。
「平板直方体形状のアッパーマットAと、その下方に積み重ねられる平板直方体形状のアンダーマットBと、アッパーマットA及びアンダーマットBを積み重ね状態で収納できる折り畳み可能なマットレスカバーCとから構成され(前記ア(ア))、
前記アッパーマットAは、クッション性に優れたウレタンマットのマット本体10から構成され、前記マット本体10は、3つに分割されたそれぞれ同幅のマット11~13であり(前記ア(イ))、
前記アンダーマットBは、前記アッパーマットAと同幅で同長の大きさをなし、やや硬質のウレタンからなる4つに分割されたそれぞれ同幅のマット片31~34からなり(前記ア(ウ))、
前記マットレスカバーCは、上面が開口した直方体形状の容器本体40と、前記容器本体40の上面開口部を閉塞する蓋体41とから構成されるボックス型のものであり(段落【0027】)、
前記アッパーマットAと前記アンダーマットBとを積み重ねた状態において、前記アッパーマットAにおける前記マット本体10を構成する各前記マット11~13の隣接境界線と、前記アンダーマットBの各前記マット片31~34の隣接境界線とが重ならないように構成した(前記ア(エ))、
組立式マットレス。」
(5)甲10、甲16、及び甲45について
ア 請求人の主張する公知発明
前記1(6)アの甲10の記載、及び回答書の第2ページ~第3ページの「(1)審尋事項1-1について」の記載から、請求人が主張する公知発明は、請求人、JTB商事、及び風のテラスKUKUNA(以下「KUKUNA」という。)の3者の間で、平成29年1月31日頃に、甲16にあるとおりにその仕様が決定されたごろ寝マットの発明であると認められる。
そして、回答書の第14ページ「(14) 甲第17号証について」において、甲45(受発注書)が甲47のメールに添付されたものであることが記載されており、甲47のメールが、請求人従業員田中央からJTB商事従業員中村勇樹に宛てた「件名:【ご注文承りました】KUKUNA様案件 3月15日納品」の2017年2月14日11時35分のメールであることを踏まえると、2017年2月14日において、受発注書として請求人からJTB商事に送付されたものは、前記1(11)で示される甲45に示されるとおりのものであったと認められるところ、前記1(6)アの甲10の記載によれば、甲16にあるごろ寝マットにおいて、甲45で示されるサイズ変更は行われなかったことが認められる。
そうすると、平成29年1月31日頃にその仕様が決定されたごろ寝マットは、甲16に示されるとおりのものであると認める。
イ 甲16の認定事項
前記1(7)イから、甲16には、以下の事項が示されていると認められる。
(ア)ごろ寝マットは、ごろ寝マットコア材とごろ寝マットコア材を収容するごろ寝マット用カバーとを含む。
(イ)ごろ寝マットコア材は、W970mmで、長手方向にL2000(1950+50)mmであるH105mmとH80mmの「ライトウェーブコア材」を、高さ方向に2枚合わせたものである。
(ウ)ごろ寝マット用カバーは、「シンコール ネクステリア+底面滑り止め」であり、コの字ファスナー仕様である
ウ 甲16発明
前記ア及びイから、甲16には、以下の発明(以下「甲16発明」という。)が記載されていると認められる。
「W970mmで、長手方向にL2000(1950+50)mmであるH105mmとH80mmのライトウェーブコア材を、高さ方向に2枚合わせたごろ寝マットコア材(前記イ(イ))と、
ごろ寝マットコア材を収納するごろ寝マット用カバーと、を含む、
ごろ寝マットであって(前記イ(ア))、
ごろ寝マット用カバーは、シンコール ネクステリア+底面滑り止めであり、コの字ファスナー仕様である(前記イ(ウ))、
ごろ寝マット。」
エ 甲16発明の認定に対する請求人の意見
請求人は、前記1(6)アの甲10の記載において、80mm厚のクッションと105mm厚のクッションのそれぞれは、長さ2000mmのクッションを1950mmと50mmのクッション体に2分割したものである旨を記載し、また、回答書の第1ページ~第2ページの「(1) 審尋事項1-1について」において、仕様決定マットレスについて「ライトウェーブコア材」のサンプルをJTB商事に提供しており、このサンプルは、IFFT展示品における「ライトウェーブコア材」と同様に在庫品から切り出したもので、その物性は、IFFT展示品における「ライトウェーブコア材」と同程度であるので、仕様決定マットレスが、「「ライトウェーブコア材」は、IFFT展示品における「ライトウェーブコア材」と同程度の物性を有し、」との点も含むと考える旨を主張する。
しかしながら、前述のとおり、ごろ寝マットの仕様は、甲16に示されるとおりのものであると認めるところ、甲16で示される事項だけでは、ごろ寝マットの「ライトウェーブコア材」が、長さ2000mmのものを1950mmと50mmに2分割したものであるかは定かではない。
また、甲16で示されるライトウェーブコア材がIFFT展示品におけるライトウェーブコア材と同程度の物性を有することを客観的に示す証拠は提示されておらず、更には、IFFT展示品におけるライトウェーブコア材の物性を客観的に示す証拠も提示されていない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(6)甲24について
ア 甲24の1の認定事項
前記1(8)アから、甲24の1には、以下の事項が示されていると認められる。
(ア)前記1(8)ア(ア)及び(イ)から、スリーレイヤーズマットレスは、1層目のオーバーレイ面、2層目のソフト面、及び3層目のハード面からなる3層のコア材と、3層のコア材を包むアウターカバーからなる。
(イ)前記1(8)ア(イ)から、3層のコア材のそれぞれは、ライトウェーブである。
(ウ)前記1(8)ア(イ)から、ソフト面のコア材及びハード面のコア材は、その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成される。
(エ)前記1(8)ア(イ)から、分割コア材のそれぞれは、インナーカバーに収容される。
(オ)前記1(8)ア(イ)において、内部構成として示されるものは、アウターカバーを外したスリーレイヤーズマットレスの内部構成であると認められるところ、前記1(8)ア(イ)の内部構成からは、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれが、隣接するインナーカバーに収容された分割コア材と接触していることが看取できる。
一方、マットレスを収容するカバーの大きさはマットレスの大きさに概ね合わせるようにすることが技術常識である。
そうすると、スリーレイヤーズマットレスにおいて、アウターカバーに収容された内部構成も前記1(8)ア(イ)の状態を保つものと認められる。
したがって、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれは、アウターカバー内で、隣接するインナーカバーに収容された前記分割コア材と接触するといえる。
イ 甲24発明
前記1(8)ア及び前記アから、甲24には、以下の発明(以下「甲24発明」という。)が示されていると認められる。
「1層目のオーバーレイ面、2層目のソフト面、及び3層目のハード面からなる3層のコア材と、前記3層のコア材を包むアウターカバーからなるスリーレイヤーズマットレスであって(前記ア(ア))、
前記3層のコア材のそれぞれは、ライトウェーブであり(前記ア(イ))、
前記ソフト面のコア材及び前記ハード面のコア材は、その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成され(前記ア(ウ))、
前記分割コア材のそれぞれは、インナーカバーに収容され(前記ア(エ))、
前記インナーカバーに収容された前記分割コア材のそれぞれは、前記アウターカバー内で、隣接する前記インナーカバーに収容された前記分割コア材と接触する(前記ア(オ))、
スリーレイヤーズマットレス。」
ウ 甲24発明の認定に対する被請求人の意見
被請求人は、口頭審理陳述要領書の第19ページ~第20ページの「イ 構成h6’及び構成h7’」が認められないこと」において、「甲24の1及び甲26の1には、それぞれ、マットレスの中身だけを積み重ねた写真があり、当該写真においては、インナーカバーに収容された分割コア材同士が接触していると評価することも可能ではあるものの、あくまでアウターカバーに入れられていない写真であり、実際にアウターカバーに入ったときにどのような状態になっているのかについての裏付けとはならない。」旨を主張する。
しかしながら、この点については、前記ア(オ)で述べたとおりである。
したがって、被請求人の主張を採用することはできない。
(7)甲26について
ア 甲26の1の認定事項
前記1(9)アから、甲26の1には、以下の事項が示されていると認められる。
(ア)前記1(9)ア(ア)及び(イ)から、スロットインマットレスは、高通気・通水性無膜ウレタンである1層目のオーバーレイ面と、コア材である2層目のソフト面、及び3層目のハード面と、オーバーレイ面、ソフト面、及びハード面を包むアウターカバーからなる。
(イ)前記1(9)ア(イ)から、コア材は、ライトウェーブであり、その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成される。
(ウ)前記1(9)ア(イ)から、分割コア材のそれぞれは、インナーカバーに収容される。
(エ)前記1(9)ア(イ)において、内部構成として示されるものは、アウターカバーを外したスロットインマットレスの内部構成であると認められるところ、前記1(9)ア(イ)の内部構成からは、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれが、隣接するインナーカバーに収容された分割コア材と接触していることが看取できる。
一方、マットレスを収容するカバーの大きさはマットレスの大きさに概ね合わせるようにすることが技術常識である。
そうすると、スロットインマットレスにおいて、アウターカバーに収容された内部構成も前記1(9)ア(イ)の状態を保つものと認められる。
したがって、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれは、アウターカバー内で、隣接するインナーカバーに収容された分割コア材と接触するといえる。
イ 甲26発明
前記1(9)ア及び前記アから、甲26には、以下の発明(以下「甲26発明」という。)が示されていると認められる。
「高通気・通水性無膜ウレタンである1層目のオーバーレイ面と、
コア材である2層目のソフト面及び3層目のハード面と、
前記オーバーレイ面、前記ソフト面、及び前記ハード面を包むアウターカバーからなるスロットインマットレスであって(前記ア(ア))、
前記コア材は、ライトウェーブであり、その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成され(前記ア(イ))、
前記分割コア材のそれぞれは、インナーカバーに収容され(前記ア(ウ))、
前記インナーカバーに収容された前記分割コア材のそれぞれは、前記アウターカバー内で、隣接する前記インナーカバーに収容された前記分割コア材と接触する(前記ア(エ))、
スロットインマットレス。」
ウ 甲26発明の認定に対する被請求人の意見
被請求人は、口頭審理陳述要領書の第19ページ~第20ページの「イ 構成h6’及び構成h7’」が認められないこと」において、前記(6)ウと同じことを主張するものの、この点については、前記ア(エ)で述べたとおりである。
したがって、被請求人の主張を採用することはできない。
事案に鑑み、まず、無効理由7(明確性要件)について検討する。
(1)無効理由7の内容
請求人の主張する無効理由7の内容は、審判請求書第65ページ~第67ページの「カ 特許法第36条第6項第2号違反」の記載から、概略、以下のとおりである。
本件発明1の「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、」との発明特定事項(以下「発明特定事項G」という。)及び「前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」との発明特定事項(以下「発明特定事項H」という。)における「圧着」は、甲4の2(広辞苑 第7版)によると「強く圧迫してくっつけること。」の意であるが、「強く圧迫」は、比較の基準又は程度が不明確で範囲を曖昧にし得る表現で、発明の範囲が不明確となるから、本件発明1及びこれを引用する本件発明2~4についての特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確でなく、特許法第36条第6項第2号に違反する。
(2)無効理由7の検討
「特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。」(平成26年(行ケ)10254号)
そこで、以下では、この観点に立って、発明特定事項G及びHにおける「圧着」という特定が明確性要件に適合するかについて検討を行う。
甲4の2(広辞苑 第7版)から、「圧着」の語は、「強く圧迫してくっつけること」を意味するものである。
そして、「強く」は相対的な程度を示すものであるから、その「圧迫」する程度がどの程度のものであるのかについては、複数のクッション体を「圧迫してくっつける」際の具体的な態様がどのようなものかを理解する必要がある。そこで、前記規範に従い、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面(以下「本件明細書等」という。)をみると、本件発明は、クッション体を用いて形成されるマットレスに関するものであり、クッション体同士の境界部の隙間が広がることにより生じる溝に手足等が落ち込みにくいマットレスの提供を課題とするものであるところ(段落【0007】~【0009】)、本件明細書等には、「圧着」に関連して、次のア~カの記載がある。
ア「例えば3個のクッション体を組入れる場合、まず底面側カバーの長さ方向両側の内面に2つのクッション体の側面をそれぞれ押し当てておき、これらのクッション体の間に、残りのクッション体(山折りしておいても良い)を下向きに押し込むことにより、全てのクッション体を圧着した状態でマットレスカバーに容易に組入れることが可能となる。」(段落【0017】」
イ「【図5】底面側カバーにクッション体を収容する様子を示す概念図である。」(【図面の簡単な説明】)
ウ「フィラメント3次元結合体41の厚みが10cm未満の場合、フィラメント3次元結合体41自体がねじれて鉛直方向上下に重なりやすくなり、長さ方向への圧着力を十分に伝えることが難しくなる。」(段落【0045】)
エ「本実施形態のマットレス1は、長さ方向に変形しにくいフィラメント3次元結合体を含む複数のクッション体21~23(これらを一体的に見ると、マットレス用クッション20である)と、これらのクッション体21~23を長さ方向に圧密状態で被覆するマットレスカバー10を含む。マットレスカバー10には伸張防止部材14が設けられているため、マットレスカバー10は長さ方向へ非常に伸び難くなっている。そのため、クッション体21~23の隙間に局所的な荷重が加わっても、溝が形成されにくく、使用者の手足等(例えば肘や膝)が落ち込むことを防止できる。」(段落【0049】」)
オ「図5は、マットレス1について、底面側カバー10bにクッション体21~23を圧着させながら収容する様子の一例を示す概念図である。」(段落【0050】)
カ「図5には、マットレスカバー10内に複数のクッション体21~23を組入れる方法として、底面側カバー10bの長さ方向両側の側面部13(側面部13の前側と後側)を利用する方法が例示されている。この方法では、まず側面部13の前側と後側に2つのクッション体21、23の側面をそれぞれ押し当てて、その後、クッション体22を鉛直方向下向きに押し込む。この方法により、複数のクッション体21~23を、圧着した状態でマットレスカバー10に容易に組入れることができる。なおクッション体22を押し込む際、クッション体22を山折りにしておいても良い。」(段落【0051】)
これらの記載によれば、本件明細書等には、クッション体同士を「圧着」することにより、クッション体相互に圧力がかかっている状態となり、これにより、伸張防止部材14の効果に加えて、局所的な荷重が加わっても溝が形成されない状態にあることが示されている。
そして、図5は、底面側カバー10bにクッション体21~23を圧着させながら収容する様子の一例を示す概念図であるところ、図5には、二つのクッション体の間に、別のクッション体が下方向に押し込まれて、マットレスカバー内に三つのクッション体が隙間なく密着して収容されることが示されているが、一方で、圧着によりクッション体が大きく変形する様子などは示されていない。
これら本件明細書等の記載を踏まえると、発明特定事項G及びHにおける「圧着」とは、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当である。
そして、クッション体相互にかかる圧力については、数値等の定量的な基準がなくとも、本件明細書等の記載を通じ、マットレスカバー及びクッション体の構成等から、当業者が理解できるものと認められる。
したがって、請求項1の記載は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。
よって、本件発明1及びこれを引用する本件発明2~4は明確である。
(3)無効理由7についての請求人の主張
請求人は、審判請求書の前記「カ 特許法第36条第6項第2号違反」の記載、及び口頭審理陳述要領書(請求人)の第2ページ~第6ページの「ア 1について」で、「圧着」は、「強く圧迫してくっつけること」と解釈すべきであり、「強く圧迫」の程度が不明確である旨を主張するところ、本件発明における「圧着」の「強く圧迫」の程度については、本件明細書等を踏まえれば、前記(2)のとおり、「クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態」と解することができるものである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件発明1~4は、明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているから、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当せず、無効理由7によって、無効とすることはできない。
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)後者の「ウレタンフォームで成形された長方型周壁11で構成され、一つの収容部20を有する一つのマットレスフレーム10と、前記収容部20に二列で配置され」る「六つのクッション部材30」から「構成」される「一つのマットレスボディー」において、「六つのクッション部材30」は、「一つのマットレスボディー」の長さ方向に分離可能であるので、前者の「長さ方向へ」「分割可能」な「複数のクッション体」に相当する。
そうすると、後者の「ウレタンフォームで成形された長方型周壁11で構成され、一つの収容部20を有する一つのマットレスフレーム10と、前記収容部20に二列で配置され」る「六つのクッション部材30」から「構成」される「一つのマットレスボディー」は、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッション」に相当する。
(イ)前記(ア)から、後者の「前記マットレスボディーの外側部を取り囲む一つの側面パッド40」及び「外周縁部がそれぞれ一つのファスナー60、60’によって前記側面パッド40の上下端部と結束される一体の上下部カバーパッド50、50’」は、「マットレスボディー」を収容することは明らかなので、前者の「前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバー」に相当する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、後者の「ウレタンフォームで成形された長方型周壁11で構成され、一つの収容部20を有する一つのマットレスフレーム10と、前記収容部20に二列で配置されて前記マットレスフレーム10と一つのマットレスボディーを構成する六つのクッション部材30と、前記マットレスボディーの外側部を取り囲む一つの側面パッド40と、外周縁部がそれぞれ一つのファスナー60、60’によって前記側面パッド40の上下端部と結束される一体の上下部カバーパッド50、50’とを含んで構成され」る「マットレス」は、上側に使用者が横たわることが可能であるのは明らかなので、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、
「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、
前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]
本件発明1は、複数のクッション体それぞれは、「厚み方向両端部にフィラメントの密度が厚み方向中央部より高い平滑表面層を備える樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され、前記フィラメント3次元結合体は、厚みが10~25cmであり、フィラメント径が0.5~2mmであり、かさ密度が30~150kg/m3であ」るのに対して、甲1発明は、クッション部材30は、「ウレタンフォームで成形され」る点。
[相違点1-2]
本件発明1は、マットレスカバーの「周面部に」、「該マットレスカバーの長さ方向の伸びを防止する伸張防止部材が設けられて」いるのに対して、甲1発明は、ファスナー60、60’は、上下部カバーパッド50、50’の「外周縁部を一周する」ものであり、また、かかる「伸張防止部材」としての機能について特定されていない点。
[相違点1-3]
本件発明1は、マットレスカバーは、「前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」のに対して、甲1発明は、側面パッド40及び上下部カバーパッド50、50’が、かかる「有底筒状のカバー部材」を有するかは定かではなく、また、六つのクッション部材30のそれぞれは、「前記収容部20に二列で配置され」て、「その外側部が前記マットレスフレーム10の前記周壁11の互いに対応する内壁面及び隣接する前記クッション部材30の外側部と接触して密着収容され」る点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点1-3について検討する。
甲1の段落【0020】の記載から、甲1発明においては、マットレスフレーム11の収容部20に収容された六つのクッション部材30の外側部がマットレスフレーム10の周壁11の内壁面及び隣接するクッション部材30の外側部と接触して、密着収容されることで、単一のクッション部材のように機能させるものであると認められる。
そして、甲1には、複数のクッション部材30のみによりマットレスボディーを形成することの示唆はなく、マットレスフレーム10を除外することの動機付けがあるとは認められず、むしろ、請求項1及び段落【0020】の記載に照らせば、甲1発明において、マットレスフレーム10を除外すると、複数のクッション部材30が単一のクッション部材のように機能することができなくなると考えられるので、マットレスフレーム10を除外することには、阻害要因があるといえる。
また、甲2記載事項は、相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項を示すようなものではない。
そうすると、甲1発明において、甲2記載事項を踏まえ、相違点1-3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、相違点1-1及び1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)無効理由1についての請求人の主張
請求人は、審判請求書の第12ページ~第24ページの「ア 甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基づく特許法第29条第2項違反」において、「b
1
マットレス用クッションを収容可能な、フレーム10(長方型周壁11)、側面パッド40及び上下部カバーパッド50、50’含むマットレスカバーと、を含み、」(第16ページ5~7行)という事項を含む甲1発明を前提に、本件発明1は甲1発明及び甲2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであると主張する。
しかしながら、前記5(1)ア(イ)のとおり、甲1発明の「側面パッド40」および「上下部カバーパッド50、50’」が本件発明1の「マットレスカバー」に相当するのであって、六つのクッション部材30とともにマットレスボディーを構成するマットレスフレーム10はマットレスカバーを構成する部材ではない。
そうであれば、「b
1
マットレス用クッションを収容可能な、フレーム10(長方形周壁11)、側面パッド40及び上下部カバーパッド50、50’含むマットレスカバーと、を含み」という事項を含む甲1発明を前提とした前記主張は前提において誤りがあり、失当である。
また、このような認定を前提とする、甲1発明の発明特定事項g
1
(「マットレスカバーは、複数のクッション部材30を密着させながら嵌め込み可能である、フレーム10、側面パッド40及び下部カバーパッド50’からなる有底筒状のカバー部材を有し、」)が、本件発明1の発明特定事項G(「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、」)に相当し(第19ページ29行~第20ページ13行)、発明特定事項h
1
(「複数のクッション部材30は、密着した状態でマットレスカバーに組み入れられ、」(第17ページ7~8行))が、本件発明1の発明特定事項H(「前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられていることを特徴とするマットレス。」)に相当する(第20ページ14行~19行)、との主張も失当である。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件発明1~4は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないので、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由1によって、無効とすることはできない。
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲7発明の対比
本件発明1と甲7発明を対比する。
(ア)後者の「4分割又は3分割、2分割の大きさに分割され」る「マットレスの中身」は、前記1(3)ウの図3の記載から、長さ方向に分割されるものなので、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッション」に相当する。
(イ)後者の「前記マットレスの中身が」「入れられ」る「専用カバー」は、前者の「前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバー」に相当する。
(ウ)後者の「マットレス」は、上側に使用者が横たわることが可能であることは明らかなので、後者の「マットレスの中身が4分割又は3分割、2分割の大きさに分割され、」「専用カバーに前記マットレスの中身が」「入れられ」る「マットレス」は、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス」に相当する。
(エ)前記2(2)で示した乙12の記載、及び前記2(3)で示した乙14の記載から、甲7の出願時(平成25年10月31日)において、既に、「エアウィーヴ(登録商標)」が「樹脂製のフィラメント3次元結合体」を意味するものとして認知されていたと認められる。
そうすると、後者の「前記マットレスの中身の素材は、エアウィーヴ(登録商標)であ」ることは、前者の「前記複数のクッション体それぞれは、」「樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され」ることに相当する。
(オ)後者の「専用カバーに前記マットレスの中身が互いに接触して入れられ、」「前記専用カバーは、上下のカバーからなり、」「少なくとも上のカバーは、有底筒状のカバーであ」ることにおいて、「前記マットレスの中身が」「上のカバー」に収容されることは明らかである。
そうすると、後者の「専用カバーに前記マットレスの中身が互いに接触して入れられ、」「前記専用カバーは、上下のカバーからなり、」「少なくとも上のカバーは、有底筒状のカバーであ」ることと、前者の「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有」することは、「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を収容する有底筒状のカバー部材を有」することで共通する。
(カ)後者の「専用カバーに前記マットレスの中身が互いに接触して入れられ」ることと、前者の「前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」ことは、「前記複数のクッション体は、接触した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲7発明は、
「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、
前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレスであって、
前記複数のクッション体それぞれは、樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され、
前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を収容する有底筒状のカバー部材を有し、
前記複数のクッション体は、接触した状態で前記マットレスカバーに組入れられているマットレス。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点7-1]
樹脂製のフィラメント3次元結合体に関して、本件発明1は、「厚み方向両端部にフィラメントの密度が厚み方向中央部より高い平滑表面層を備え」、「厚みが10~25cmであり、フィラメント径が0.5~2mmであり、かさ密度が30~150kg/m3であ」るのに対して、甲7発明は、エアウィーヴ(登録商標)であるものの、その構成の詳細が特定されていない点。
[相違点7-2]
本件発明1は、マットレスカバーの「周面部には、該マットレスカバーの長さ方向の伸びを防止する伸張防止部材が設けられて」いるのに対して、甲7発明は、専用カバーの上下のカバーは、「ファスナーによって互いに接続され、」「前記ファスナーは、」前記専用カバーの「開口部に設けられている」ところ、かかる「伸張防止部材」としての機能については特定されていない点。
[相違点7-3]
有底筒状のカバー部材に関して、本件発明1は、複数のクッション体を「圧着させながら嵌め込み可能である」有底筒状のカバー部材であるのに対して、甲7発明は、そのような事項について特定されていない点。
[相違点7-4]
マットレスカバーに組み入れられている複数のクッション体の状態に関して、本件発明1は、「圧着した状態」であるのに対して、甲7発明は、マットレスの中身が互いに「接触して」いる点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点7-4について検討する。
本件発明1における「圧着」に関しては、前記4(2)で述べたとおり、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当である。
一方、甲7においては、専用カバー内において、マットレスの中身が接触するところまでは認められるものの、マットレスの中身が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態であることについては、記載も示唆もない。
そして、本件発明1は、伸張防止部材の効果に加え、複数のクッション体を圧着した状態でマットレスカバーに組入れることによって、局所的な荷重が加わっても複数のクッション体の間に溝が形成されない状態を形成するものであるところ、甲7には、このような状態を形成することを想起させるような記載も示唆もない。
また、甲2記載事項は、相違点7-4に係る本件発明1の発明特定事項を示すようなものではない。
そうすると、甲7発明において、甲2記載事項を踏まえ、相違点7-4に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、相違点7-1~7-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲7発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により、甲7発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)無効理由2についての請求人の主張
請求人は、審判請求書の第24ページ~第31ページの「イ 甲第7号証、甲第2号証に記載された発明に基づく特許法第29条第2号違反」において、甲4の2(広辞苑 第7版)により「圧着」を「強く圧迫してくつつけること。」と解すると、「圧着」に係る相違点は、甲7発明では複数のクッション体がマットレスカバーヘの嵌込み及び組入れで強く圧迫されるかどうかが明らかでないということに帰するが、複数のクッション体の圧迫の程度は、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない旨(第29ページ21行~27行)、及び甲8(機械工学事典「接触応力」)に記載のとおり、互いに接触している物体同士の間には接触圧力(接触応力)が生じ、接触時に何らかの圧力がかかることは、物理的に当然であるから、「圧着」に係る相違点は、そもそも本件特許発明1と甲7発明との相違点にならない旨(第30ページ2行~7行)を主張し、また、口頭審理陳述要領書(請求人)の第29ページ~第31ページの「ツ 第3の8について」において、発明特定事項G’(「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を接触(ないし密着)させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、」)は、マットレスカバーが複数のクッション体を接触させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有するというだけで、これが本件発明1の進歩性を基礎付けるとは到底考えられず、発明特定事項H’(「前記複数のクッション体は、接触(ないし密着)した状態で前記マットレスカバーに組入れられていることを特徴とするマットレス。」)は、複数のクッション体が接触した状態でマットレスカバーに組入れられているというだけで、これが本件発明1の進歩性を基礎付けるとも到底考えられない旨(第31ページ8行~14行)を主張する。
しかしながら、本件発明1における「圧着」は、前記4(2)で述べたとおり、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当であり、単なる「接触」とは異なる状態であるのだから、「圧着」に係る相違点は、本件特許発明1と甲7発明の相違点となる。
また、本件発明1は、「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し」、「前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」ことにより、伸張防止材の効果とともに、局所的な荷重が加わっても複数のクッション体の間に溝が形成されない状態を形成するという作用効果を有するものであるのだから、「圧着」が、当業者が適宜なし得る設計的事項といえるものでもない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件発明1~4は、甲7発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないので、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由2によって、無効とすることはできない。
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲9発明の対比
本件発明1と甲9発明を対比する。
(ア)後者の「3つに分割されたそれぞれ同幅のマット11~13」及び「4つに分割されたそれぞれ同幅のマット片31~34」は、前者の「複数のクッション体」に相当する。
(イ)前記(ア)から、後者の「3つに分割されたそれぞれ同幅のマット11~13であ」る「マット本体10から構成され」る「前記アッパーマットA」、及び「4つに分割されたそれぞれ同幅のマット片31~34からな」る「前記アッパーマットAと同幅で同長の大きさをな」す「前記アンダーマットB」は、「マット11~13」が「前記アッパーマットA」の長手方向に分離可能であり、「マット片31~34」が「前記アッパーマットB」の長手方向に分離可能であることは明らかなので、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッション」に相当する。
(ウ)前記(イ)から、後者の「アッパーマットA及びアンダーマットBを積み重ね状態で収納できる折り畳み可能なマットレスカバーC」は、前者の「前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバー」に相当する。
(エ)前記(イ)及び(ウ)から、後者の「平板直方体形状のアッパーマットAと、その下方に積み重ねられる平板直方体形状のアンダーマットBと、アッパーマットA及びアンダーマットBを積み重ね状態で収納できる折り畳み可能なマットレスカバーCとから構成され、前記アッパーマットAは、」「マット本体10から構成され、前記マット本体10は、3つに分割されたそれぞれ同幅のマット11~13であり、前記アンダーマットBは、前記アッパーマットAと同幅で同長の大きさをなし、」「4つに分割されたそれぞれ同幅のマット片31~34からな」る「組立式マットレス」は、「組立式マットレス」の上側に使用者が横たわり可能であることは明らかなので、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス」に相当する。
(オ)後者の「前記マットレスカバーC」の「上面が開口した直方体形状の容器本体40」は、前者の「前記マットレスカバー」の「有底筒状のカバー部材」に相当する。
そうすると、後者の「アッパーマットA及びアンダーマットBを積み重ね状態で収納できる折り畳み可能なマットレスカバーC」であって、「前記マットレスカバーCは、上面が開口した直方体形状の容器本体40と、前記容器本体40の上面開口部を閉塞する蓋体41とから構成されるボックス型のものであ」ることと、前者の「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」ことは、「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を収容する有底筒状のカバー部材を有し、前記複数のクッション体は、前記マットレスカバーに組入れられている」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲9発明は、
「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、
前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレスであって、
前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を収容する有底筒状のカバー部材を有し、前記複数のクッション体は、前記マットレスカバーに組入れられているマットレス。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点9-1]
本件発明1は、複数のクッション体それぞれは、「厚み方向両端部にフィラメントの密度が厚み方向中央部より高い平滑表面層を備える樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され、前記フィラメント3次元結合体は、厚みが10~25cmであり、フィラメント径が0.5~2mmであり、かさ密度が30~150kg/m3であ」るのに対して、甲9発明は、マット11~13が「クッション性に優れたウレタンマット」であり、マット片31~34が「やや硬質のウレタンからなる」点。
[相違点9-2]
本件発明1は、マットレスカバーの「周面部には、該マットレスカバーの長さ方向の伸びを防止する伸張防止部材が設けられて」いるのに対して、甲9発明は、「蓋体41」が「容器本体40の上面開口部を閉塞する」ものであり、かかる「伸張防止部材」としての機能については特定されていない点。
[相違点9-3]
複数のクッション体とカバー部材との関係について、本件発明1は、マットレスカバーは、複数のクッション体を「圧着させながら嵌め込み可能である」有底筒状のカバー部材を有し、前記複数のクッション体は、「圧着した状態で」前記マットレスカバーに組入れられているのに対して、甲9発明は、マットレスカバーCが上面が開口した直方体形状の容器本体40を有し、「アッパーマットA及びアンダーマットBを積み重ね状態で収納できる」点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点9-3について検討する。
本件発明1における「圧着」に関しては、前記4(2)で述べたとおり、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当である。
一方、甲9には、マット11~13(上部マット11、中間マット12及び下部マット13)、及びマット片31~34を容器本体40に圧着させながら嵌め込み可能であることや、マットレスカバーCに収納された状態で、隣接するマット11~13同士及びマット片31~34同士が圧着した状態にあることは、開示も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、伸張防止部材の効果に加え、複数のクッション体を圧着した状態でマットレスカバーに組入れることによって、局所的な荷重が加わっても複数のクッション体の間に溝が形成されない状態を形成するものであるところ、甲9には、このような状態を形成することを想起させるような記載も示唆もない。
また、甲2記載事項は、相違点9-3に係る本件発明1の発明特定事項を示すようなものではない。
そうすると、甲9発明において、甲2記載事項を踏まえ、相違点9-3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、相違点9-1及び9-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲9発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により、甲9発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)無効理由3についての請求人の主張
請求人は、審判請求書第32ページ~第41ページの「ウ 甲第9号証、甲第2号証に記載された発明に基づく特許法第29条第2号違反」において、概略、甲4の2により「圧着」を「強く圧迫してくつつけること。」と解すると、「圧着」に係る相違点は、甲9発明では複数のクッション体がマットレスカバーヘの嵌込み及び組入れで強く圧迫されるかどうかが明らかでないということに帰するが、複数のクッション体の圧迫の程度は、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない旨(第38ページ20行~24行)、及び接触時に何らかの圧力がかかることは、物理的に当然であるから、「圧着」に係る相違点は、そもそも本件特許発明1と甲9発明との相違点にならない旨(第38ページ27行~第39ページ4行)を主張する。
そして、口頭審理陳述要領書(請求人)における主張(第31ページ8~14行)は、前記6(3)で示したとおりである。
しかしながら、本件発明1における「圧着」は、前記4(2)で述べたとおり、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当であるところ、甲9にはこのような記載がないのだから、「圧着」に係る相違点は本件発明1と甲9発明との相違点にならないとの主張は失当である。
また、「圧着」が前記のように解されることからすれば、これとは異なる「圧着」の解釈を前提として、「圧着」に係る相違点が設計的事項にすぎないとの主張は、前提において誤りがある。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件発明1~4は、甲9発明及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないので、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由3によって、無効とすることはできない。
(1)甲16発明が、本件特許に係る出願の優先日(2017年2月15日)前に公然知られていたのかについて
前記3(5)において示したように、請求人の主張する公知発明は、平成29年1月31日付け付けの見積書(甲16)に記載されたごろ寝マットの発明(甲16発明)であると認める。
そして、請求人は、回答書の第3ページ~第4ページの「(2) 審尋事項1-2について」において、本件特許に係る出願の優先日前に、守秘義務を有しないJTB商事及びKUKUNAが、その仕様が決定されたごろ寝マットの構成を知っていたことが、甲16発明が本件特許に係る出願の優先日前に公然知られていたことの根拠であることを主張する。
ここで、特許法第29条第1項第1号に掲げる「公然知られた発明」の「公然」又は「公知」に関しては、「公然とは、必ずしも多数のものということを意味しない。すなわち、極めて少数の者が知っている場合であっても、これらのものが秘密を保つ義務を有しない者である場合は、公然ということを妨げない。」(特許法逐条解説 第22版 第86ページ~第87ベージ)、「公知トハ之ヲ認識シタル者ノ多数人ナルト二三ノモノナルトハ之ヲ問ハズト雖少ナクトモ廣汎的に世人ノ認識シ得ヘキ状態ニ公然置カレタルコトヲ要ス」(大審院昭和3年(オ)458)とされている。
そこで、請求人、JTB商事、及びKUKUNAの3者についてみると、請求人は、JTB商事を介したKUKUNAとのやりとりの中で、ごろ寝マットの仕様を決定していたところ、3者の間に明示的な守秘義務が存在していたと認められる証拠は存在しない。
また、3者は、マットレスの製造業者(請求人)、仲介業者(JTB商事)、マットレスの購入者かつ使用者(KUKUNA)の関係にあり、甲16発明に係るごろ寝マットは、単に、請求人が、購入者かつ使用者であるKUKUNAの要望に合わせて、既に自己の製品であったライトウェーブコア材についての寸法などの仕様を決定したというものにすぎず(甲16、甲33の1、甲45)、請求人、JTB商事、又はKUKUNAのいずれかが甲16発明に係るごろ寝マットを新商品として開発し、一般に対して販売する目的で仕様を検討していたと理解できるような事情は認められないから、甲16発明に係るごろ寝マットについて、少なくともKUKUNAは、請求人に対して信義則上の守秘義務が生じていたともいえない。
したがって、甲16発明は、本件特許に係る出願の優先日前に公然知られていたものであると認められる。
(2)本件発明1について
ア 本件発明1と甲16発明の対比
本件発明1と甲16発明を対比する。
(ア)後者の「W970mmで、長手方向にL2000(1950+50)mmであるH105mmとH80mmのライトウェーブコア材を、高さ方向に2枚合わせたごろ寝マットコア材」と、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッション」は、「マットレス用クッション」であることで共通する。
(イ)前記(ア)の「マットレス用クッション」の限りにおいて、後者の「ごろ寝マットコア材を収納するごろ寝マット用カバー」は、前者の「前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバー」に相当する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、後者の「W970mmで、長手方向にL2000(1950+50)mmであるH105mmとH80mmのライトウェーブコア材を、高さ方向に2枚合わせたごろ寝マットコア材と、ごろ寝マットコア材を収納するごろ寝マット用カバーと、を含む」「ごろ寝マット」は、その上側に使用者が横たわることが可能であるのは明らかなので、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス」とは、「マットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス」で共通する。
そうすると、本件発明1と甲16発明とは、
「マットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点16-1]
マットレス用クッションに関して、本件発明1は、「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能である」マットレス用クッションであり、「前記複数のクッション体それぞれは、厚み方向両端部にフィラメントの密度が厚み方向中央部より高い平滑表面層を備える樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され、前記フィラメント3次元結合体は、厚みが10~25cmであり、フィラメント径が0.5~2mmであり、かさ密度が30~150kg/m3であ」るのに対して、甲16発明は、「長手方向にL2000(1950+50)mmである」ライトウェーブコア材であり、長手方向に「複数のクッション体に分割可能」かどうかが定かではなく、また、ライトウェーブコア材の構成の詳細が特定されていない点。
[相違点16-2]
マットレスカバーに関して、本件発明1は、「前記マットレスカバーの周面部には、該マットレスカバーの長さ方向の伸びを防止する伸張防止部材が設けられており、前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」のに対して、甲16発明は、「ごろ寝マット用カバーは、シンコール ネクステリア+底面滑り止めであり、コの字ファスナー仕様であ」り、その詳細が特定されていない点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み相違点16-2について検討する。
相違点16-1に示すように、甲16発明は、ライトウェーブコア材が長手方向に複数のクッション体に分割可能なものかが定かではないところ、仮に、甲16発明の「長手方向にL2000(1950+50)mmである」ライトウェーブコア材が、「長手方向に1950mm」と「長手方向に50mm」の2つに分割されたライトウェーブコア材を意味するとしても、甲16には、ごろ寝マット用カバーが、2つに分割されたライトウェーブコア材を圧着させながら嵌め込み可能であることについて何ら開示がされていない。
また、コの字ファスナーの位置や、コの字部分の大きさ等の具体的な構成についても不明である。
そうすると、ごろ寝マット用カバーが、伸張防止部材を備えているともいえないし、複数のライトウェーブコア材を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有するものともいえない。
そうすると、相違点16-2は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲16発明ではない。
(3)本件発明2~4について
本件発明2~3は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により、甲16発明ではない。
また、本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるところ、前記(1)イのとおり、甲16には、相違点16-2に係る本件発明1の発明特定事項についての記載も示唆もない。そして、甲1及び7にも、相違点16-2に係る本件発明1の発明特定事項のうち「前記マットレスカバーは、前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し、前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」との発明特定事項について、記載も示唆もないことは、前記5(1)イ及び前記6(1)イで述べたとおりである。
そうすると、本件発明4は、甲16発明、甲1記載事項、及び甲7記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)無効理由4についての主張
ア 請求人の主張
請求人は、審判請求書第41ページ第45ページの「エ 公知発明に基づく特許法第29条第1項、第2項」「(ア) 公知発明」において、マットレスカバーに関して、概略、マットレスカバーは、IFFT展示品と同様に周面部を構成する4面のうち3面にファスナーが配設されており、複数のクッション体を接触させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバ一部材である上側カバーと、上側カバーの開口を覆う下側カバーを有し、複数のクッション体が接触した状態で組み入れられる旨を主張し(第43ページ28行~第44行ページ3行)、また、口頭審理陳述要領書(請求人)の第19ページ~第20ページの「サ 第3の5(2)(2-1)について」において、マットレスカバーに関して、概略、ごろ寝マットは、周面部にファスナーが設けられて有底筒状のカバー部材を有する周知のマットレスカバーにクッションが収容されたIFFT展示品から、KUKUNAの要望を踏まえて仕様を詰めたものであり、仕様を詰める過程で、有底筒状のカバー部材やファスナーについては何らの変更要請もなく、納入したマットレスカバーもKUKUNAに受け入れられて使用されていたのであるから、ごろ寝マット用カバーが、周面部にファスナーが設けられて有底筒状のカバー部材を有することに、疑念の余地はない旨を主張するとともに(第20ページ8~17行)、周面部にファスナーが設けられて有底筒状のカバー部材を有する周知のマットレスカバーの証拠として、甲63~65を口頭審理陳述要領書(請求人)に添付して提出する。
しかしながら、甲16発明におけるごろ寝マット用カバーがIFFT展示品と同様のものであることを示す客観的な証拠はない。
また、周面部にファスナーが設けられて有底筒状のカバー部材を有するマットレスカバーが周知のものであったとしても、例えば、前記1(6)イで示されるように、有底筒状のカバー部材を有するカバーの裏面(底面)であって、側面との境界部にファスナーを有するカバーも存在することに鑑みれば、IFFT展示品のカバーが周面部にファスナーが設けられて有底筒状のカバー部材を有するマットレスカバーであるとまでは認められず、また、そのことを客観的に示す証拠もない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
イ 被請求人の主張
被請求人は、答弁書の第57ページ~第58ページの「(4) KUKUNA向けマットレスの受注は、本件特許発明が本件優先日前に「公然に知られた」ことを意味しないこと」において、概略、本件では、請求人とJTB商事は、KUKUNA向けの特注マットレスの開発を行っていたということであるから、その情報を第三者に開示することは当然に想定されているものではなく、新規開発を行っていたということから、これが第三者に開示されると先んじて特許出願をされるなどして多大の損害を被るであろうことは周知であり、JTB商事が守秘義務はなく第三者に開示することができるなどとは考えられない。むしろ、請求人とJTB商事という企業間の担当者において、対象製品の開発情報は、客観的に見て営業秘密であることは明らかであって、取引上の信義則として、当然に守秘義務が生じていたものというべきである旨を主張する。
しかしながら、この点については、前記(1)において述べたとおりであり、被請求人の意見を採用することはできない。
(5)小括
以上のとおり、本件発明1~3は、甲16発明ではなく、特許法第29条第1項第1号に該当せず、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものではないので、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当しない。
また、本件発明4は、甲16発明、甲1記載事項、及び甲7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないので、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当しない。
したがって、本件発明1~4に係る特許は、無効理由4によって、取り消すことはできない。
(1)甲24発明及び甲26発明が本件特許に係る出願の優先日前に公然実施されていたのかについて
請求人は、審判請求書の第49ページ~第52ページ「(ア) 公用発明」において、概略、請求人が協同組合福岡・大川家具工業会(以下「大川家具工業会」という。)の組合員であり、平成29年1月11日、12日に開催された第49回大川家具新春展(甲22)において、甲24の1(パンフレット)に示す「スリーレイヤーズマットレス」と、甲26の1(パンフレット)に示す「スロットインマットレス」の2種類のマットレスを展示したことから、本件特許出願の優先日よりも前である平成29年1月に、「スリーレイヤーズマットレス」としての発明及び「スロットインマットレス」としての発明が公然実施されていた旨を主張し(第49ページ26行~第50ページ9行、及び第52ページ21~24行)、また、回答書の第11ページ「(10) 審尋事項2-3について」において、概略、一般に、パンフレットは、配布するために作成するものであり、作成しながらそれを配布しないということは通常はあり得ず(ちなみに、大川家具新春展における請求人のブースには毎年150社程度の来訪があり、甲24の1及び甲第26の1は300部程度ずつ作成して配布。)、請求人が地元開催の大川家具新春展に出品していなかったものを出品したと虚言を弄する理由もなく、甲24の1及び甲第26の1が第49回大川家具新春展にて配布されたパンフレットであることを示す証拠はないという答弁書における被請求人の主張は、不合理である旨を主張する(14~20行)。
ここで、甲24の1で示される「スリーレイヤーズマットレス」の発明である甲24発明、及び甲26の1で示される「スロットインマットレス」の発明である甲26発明のそれぞれが、請求人の主張するように公然実施された発明(公用発明)であるというためには、第49回大川家具新春展において、「スリーレイヤーズマットレス」及び「スリーレイヤーズマットレス」が、その発明特定事項が把握できるように展示されていたと認められることが必要になるところ、「スリーレイヤーズマットレス」及び「スリーレイヤーズマットレス」が第49回大川家具新春展において出品されていたことを客観的に示す証拠は提出されておらず、ましてや第49回大川家具新春展における「スリーレイヤーズマットレス」及び「スリーレイヤーズマットレス」の展示状況を示す証拠もない。なお、甲24の2及び甲26の2は、甲24の1及び甲26の1のパンフレットの作成日を示すメタデータでしかなく、「スリーレイヤーズマットレス」及び「スリーレイヤーズマットレス」が第49回大川家具新春展において出品されていたことを示す証拠とは認められない。
したがって、甲24発明及び甲26発明が、本件特許に係る出願の優先日前に公然実施されていたとは認められない。
(2)無効理由5及び6についての予備的検討
前記(1)で検討したとおり、甲24発明及び甲26発明は、本件特許に係る出願の優先日前に公然実施されたものではないが、一応、無効理由5及び6について、以下に、予備的に検討する。
ア 無効理由5について
(ア)本件発明1について
a 本件発明1と甲24発明(公用発明1)の対比
本件発明1と甲24発明を対比する。
(a)後者の「前記ソフト面のコア材及び前記ハード面のコア材は、その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成され」ることにおいて、「その長手方向」は、「スリーレイヤーズマットレス」の長手方向であることは明らかである。
そうすると、後者の「2層目のソフト面、及び3層目のハード面」の「コア材」であり、「その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成され」る「前記ソフト面のコア材及び前記ハード面のコア材」は、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッション」に相当する。
(b)前記(a)から、後者の「1層目のオーバーレイ面、2層目のソフト面、及び3層目のハード面からなる3層のコア材」である「前記3層のコア材を包むアウターカバー」は、前者の「前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバー」に相当する。
(c)後者の「スリーレイヤーズマットレス」は、上側に使用者が横たわることの出来るものであることが明らかなので、前記(a)及び(b)から、後者の「1層目のオーバーレイ面、2層目のソフト面、及び3層目のハード面からなる3層のコア材と、前記3層のコア材を包むアウターカバーからなるスリーレイヤーズマットレスであって、」「前記ソフト面のコア材及び前記ハード面のコア材は、その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成され」る「スリーレイヤーズマットレス」は、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス」に相当する。
(d)後者の「前記分割コア材のそれぞれは、インナーカバーに収容され、前記インナーカバーに収容された前記分割コア材のそれぞれは、前記アウターカバー内で、隣接する前記インナーカバーに収容された前記分割コア材と接触する」ことと、前者の「前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」ことは、「前記複数のクッション体は、接触した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲24発明は、
「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、
前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレスであって、
前記複数のクッション体は、接触した状態で前記マットレスカバーに組入れられているマットレス。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点24-1]
本件発明1は、複数のクッション体のそれぞれが、「厚み方向両端部にフィラメントの密度が厚み方向中央部より高い平滑表面層を備える樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され、
前記フィラメント3次元結合体は、厚みが10~25cmであり、フィラメント径が0.5~2mmであり、かさ密度が30~150kg/m3であ」るのに対して、甲24発明は、3層のコア材のそれぞれは、「ライトウェーブ」であるところ、「ライトウェーブ」の構成の詳細が特定されていない点。
[相違点24-2]
マットレスカバーに関して、本件発明1は、マットレスカバーは、「周面部には、該マットレスカバーの長さ方向の伸びを防止する伸張防止部材が設けられ」、「前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有し」ているのに対して、甲24発明は、アウターカバーの詳細が特定されていない点。
[相違点24-3]
マットレスカバーに組み入れられている複数のクッション体の状態に関して、本件発明1は、複数のクッション体は、「圧着」した状態で組入れられているのに対して、甲24発明は、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれは、隣接する前記インナーカバーに収容された分割コア材と「接触」する点。
b 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点24-3について検討する。
本件発明1における「圧着」に関しては、前記4(2)で述べたとおり、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当である。
一方、甲24においては、アウターカバー内において、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれが、隣接するインナーカバーに収容された分割コア材と接触するところまでは認められるものの、隣接するインナーカバーに収容された分割コア材同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態であることについては、記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、伸張防止部材の効果に加え、複数のクッション体を圧着した状態でマットレスカバーに組入れることによって、局所的な荷重が加わっても複数のクッション体の間に溝が形成されない状態を形成するものであるところ、甲24には、このような状態を形成することを想起させるような記載も示唆もない。
そうすると、相違点24-3は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲24発明ではない。
また、甲24発明において、甲24の記載に基いて、相違点24-3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲24発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記(ア)bと同様の理由により、甲24発明ではなく、また、甲24発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 無効理由6について
(ア)本件発明1について
a 本件発明1と甲26発明(公用発明2)の対比
本件発明1と甲26発明を対比する。
(a)後者の「前記コア材は、」「その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成され」ることにおいて、「その長手方向」は「スロットインマットレス」の長手方向であることは明らかである。
そうすると、後者の「2層目のソフト面及び3層目のハード面」の「コア材」であり、「その長手方向に3分割された3つの分割コア材から構成され」る「前記コア材」は、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッション」に相当する。
(b)前記(a)から、後者の「高通気・通水性無膜ウレタンである1層目のオーバーレイ面と、コア材である2層目のソフト面及び3層目のハード面」である「前記オーバーレイ面、前記ソフト面、及び前記ハード面を包むアウターカバー」は、前者の「前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバー」に相当する。
(c)後者の「スロットインマットレス」は、上側に使用者が横たわることの出来るものであることが明らかなので、前記(a)及び(b)から、後者の「高通気・通水性無膜ウレタンである1層目のオーバーレイ面と、コア材である2層目のソフト面及び3層目のハード面と、前記オーバーレイ面、前記ソフト面、及び前記ハード面を包むアウターカバーからなるスロットインマットレス」は、前者の「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレス」に相当する。
(d)後者の「前記分割コア材のそれぞれは、インナーカバーに収容され、前記インナーカバーに収容された前記分割コア材のそれぞれは、前記アウターカバー内で、隣接する前記インナーカバーに収容された前記分割コア材と接触する」ことと、前者の「前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」は、「前記複数のクッション体は、接触した状態で前記マットレスカバーに組入れられている」ことで共通する。
そうすると、本件発明1と甲26発明は、
「長さ方向へ複数のクッション体に分割可能であるマットレス用クッションと、
前記マットレス用クッションを収容可能なマットレスカバーと、を含み、上側に使用者が横たわることの出来るマットレスであって、
前記複数のクッション体は、圧着した状態で前記マットレスカバーに組入れられているマットレス。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点26-1]
本件発明1は、複数のクッション体のそれぞれが、「厚み方向両端部にフィラメントの密度が厚み方向中央部より高い平滑表面層を備える樹脂製のフィラメント3次元結合体を用いて形成され、前記フィラメント3次元結合体は、厚みが10~25cmであり、フィラメント径が0.5~2mmであり、かさ密度が30~150kg/m3であ」るのに対して、甲26発明は、コア材は、「ライトウェーブ」であるところ、「ライトウェーブ」の構成の詳細が特定されていない点。
[相違点26-2]
マットレスカバーに関して、本件発明1は、マットレスカバーは、「周面部には、該マットレスカバーの長さ方向の伸びを防止する伸張防止部材が設けられ」、「前記複数のクッション体を圧着させながら嵌め込み可能である有底筒状のカバー部材を有」するのに対して、甲26発明は、アウターカバーの詳細が特定されていない点。
[相違点26-3]
マットレスカバーに組み入れられている複数のクッション体の状態に関して、本件発明1は、複数のクッション体は、「圧着」した状態で組入れられているのに対して、甲26発明は、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれは、隣接する前記インナーカバーに収容された分割コア材と「接触」する点。
b 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点26-3について検討する。
本件発明1における「圧着」に関しては、前記4(2)で述べたとおり、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当である。
一方、甲26においては、アウターカバー内において、インナーカバーに収容された分割コア材のそれぞれが、隣接するインナーカバーに収容された分割コア材と接触するところまでは認められるものの、隣接するインナーカバーに収容された分割コア材同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態であることについては、記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、伸張防止部材の効果に加え、複数のクッション体を圧着した状態でマットレスカバーに組入れることによって、局所的な荷重が加わっても複数のクッション体の間に溝が形成されない状態を形成するものであるところ、甲26には、このような状態を形成することを想起させるような記載も示唆もない。
そうすると、相違点26-3は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲26発明ではない。
また、甲26発明において、甲26の記載に基いて、相違点26-3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲26発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)本件発明2~4について
本件発明2及び3は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、前記(ア)bと同様の理由により、甲26発明ではなく、また、甲26発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるところ、前記(ア)bのとおり、甲26には、相違点26-3に係る本件発明1の発明特定事項についての記載も示唆もない。
また、甲1及び7にも、相違点26-3に係る本件発明1の発明特定事項について、記載も示唆もないことは、前記5(1)イ及び前記6(1)イで述べたとおりである。
そうすると、本件発明4は、甲26発明、甲1記載事項、及び甲7記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)無効理由5及び6に対する請求人の主張
請求人は、審判請求書第49ページ~第65ページの「オ 公用発明に基づく特許法第29条第1項、第2号違反」において、概略、無効理由5については、甲4の2により「圧着」を「強く圧迫してくつつけること。」と解すると、「圧着」に係る相違点は、本件公用発明1では複数のクッション体がマットレスカバーヘの嵌込み及び組入れで強く圧迫されるかどうかが明らかでないということに帰するが、複数のクッション体の圧迫の程度は、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない旨(第57ページ4行~9行)、及び接触時に何らかの圧力がかかることは、物理的に当然であるから、「圧着」に係る相違点は、そもそも本件特許発明1と本件公用発明1との相違点にならない旨(第57ページ15行~18行)を主張し、また、無効理由6についても、審判請求書の第62ページ18行~第63ページ11行において、同様の主張をする。
そして、口頭審理陳述要領書(請求人)における主張(第31ページ8~14行)は、前記6(3)で示したとおりである。
しかしながら、本件発明1における「圧着」は、前記4(2)で述べたとおり、クッション体同士が隙間なく密着する程度に、相互に圧力がかかっている状態をいうものと解するのが相当であるところ、甲24及び甲26には、このような記載がないのだから、「圧着」に係る相違点は本件発明1と甲24発明及び甲26発明の相違点にならないとの主張は失当である。
また、「圧着」が前記のように解されることからすれば、これとは異なる「圧着」の解釈を前提として、「圧着」に係る相違点が設計的事項にすぎないとの主張は、前提において誤りがある。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件発明1~4は、甲24発明及び甲26発明によって、特許法第29条第1項第2号に掲げる事項に該当し、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないとされるものではなく、また、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとされるものでもないので、その特許は、特許法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由5及び6によって、無効とすることはできない。
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明1~4についての特許は、無効理由1~7によって、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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