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Trademark Appeal Case

請求項訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024700946
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7458838号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。
特許第7458838号の請求項1、7~9に係る特許を維持する。
特許第7458838号の請求項2~6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7458838号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和2年3月18日に出願され、令和6年3月22日にその特許権の設定登録がされ、同年4月1日に特許掲載公報が発行された。

本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和6年 9月30日 :特許異議申立人木戸利成(以下「申立人」という。)による請求項1~9に係る特許に対する特許異議の申立て

同年11月18日 :申立人による令和6年9月30日提出の特許異議申立書の手続補正書(方式)の提出

令和7年 1月31日付け:取消理由通知書

同年 4月 2日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の受付

同年 6月11日 :申立人による意見書の提出

同年 8月26日付け:取消理由通知書(決定の予告)

同年10月17日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の受付

同年12月11日 :申立人による意見書の提出

なお、令和7年4月2日受付の訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否

1 訂正の内容

訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。

なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「造営部に設けられた取付具に取り付けられる照明器具であって、」と記載されているのを、「造営部に

予め

設けられた取付具

が照明空間に露出しないように前記取付具

に取り付けられる

長尺状の

照明器具であって、」に訂正する(以下「訂正事項1-1」という。)。

また、特許請求の範囲の請求項1に「前記造営部に沿って配置される天面部および前記天面部の側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、」と記載されているのを、「前記

照明器具の長手方向

に沿って

長尺状に形成され、造営部に沿って

配置される天面部

および

、前記天面部の長手方向に沿って

前記天面部の

短手方向における

側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、」に訂正する(以下「訂正事項1-2」という。)。

更に、特許請求の範囲の請求項1に「を備えた照明器具。」と記載されているのを、「を備え

、前記接続部は、前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている

照明器具。」に訂正する(以下「訂正事項1-3」という。)。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4

特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(5)訂正事項5

特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(6)訂正事項6

特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(7)訂正事項7

特許請求の範囲の請求項7に

「前記外郭部は、

前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されており、

前記取付具に沿う方向において前記取付具挿通孔と重なる位置に、前記接続部を前記取付具に固定するための固定具が挿通される固定具挿通孔が形成されている請求項6に記載の照明器具。」と記載されているのを、

造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる長尺状の照明器具であって、

前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、

前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部と、

前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される外郭部と、

を備え、

前記外郭部は、

前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されており、

前記取付具に沿う方向において前記取付具挿通孔と重なる位置に、前記接続部を前記取付具に固定するための固定具が挿通される固定具挿通孔が形成されている

明器具。」

に訂正する。

(8)訂正事項8

特許請求の範囲の請求項9に「請求項1から請求項8の何れか一項に記載の照明器具と、」と記載されているのを「請求項1

、請求項7、

請求項8の何れか一項に記載の照明器具と、」に訂正する。

(9)訂正事項9

明細書の段落【0006】に「本開示に係る照明器具は、造営部に設けられた取付具に取り付けられる照明器具であって、造営部に沿って配置される天面部および天面部の側縁部から造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、光源部と接続された制御部が天面部及び側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、造営部に沿って側面部の外側に張り出すように灯具装着部に設けられ、取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、取付具挿通孔を挿通した取付具と固定される接続部と、側面部を間にして、収容部と反対側に設けられ、接続部が取付具に固定される場合に接続部から突出した取付具が配置される取付具配置部と、を備えたものである。」と記載されているのを、

「本開示に係る照明器具は、造営部に

予め

設けられた取付具

が照明空間に露出しないように前記取付具

に取り付けられる

長尺状の

照明器具であって、

照明器具の長手方向

に沿って

長尺状に形成され、造営部に沿って

配置される天面部

および

、天面部の長手方向に沿って

天面部の

短手方向における

側縁部から造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、光源部と接続された制御部が天面部及び側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、造営部に沿って側面部の外側に張り出すように灯具装着部に設けられ、取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、取付具挿通孔を挿通した取付具と固定される接続部と、側面部を間にして、収容部と反対側に設けられ、接続部が取付具に固定される場合に接続部から突出した取付具が配置される取付具配置部と、を備え

、接続部は、灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている

ものである。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

ア 訂正の目的

訂正事項1のうち、訂正事項1-1は、本件訂正前の「照明器具」に関して、「照明器具」が「造営部に予め設けられた取付具」「に取り付けられる」ことを特定し、また、「照明器具」が「長尺状」であることを特定するものである。

さらに、訂正事項1-1は、本件訂正前の「照明器具」が「取付具に取り付けられる」状態に関して、「取付具」が「照明空間に露出しない」ことを特定するものである。

また、訂正事項1-2は、本件訂正前の「天面部」及び「側縁部」に関して、「天面部」が「照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される」ものであること、「側縁部」が「天面部の短手方向における」ものであること、及び「側縁部」が「天面部の長手方向に沿」うものであることを特定するものである。

更に、訂正事項1-3は、「接続部」が「前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」ことを特定するものである。

そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)における、段落【0013】には、「照明器具2及び灯具3はいずれも長尺状である。」との記載があり、段落【0014】には、「照明器具2は、造営部9に設けられた取付具7に取り付けられる。」との記載がある。

また、本件明細書等の段落【0098】には、「照明器具2は、灯具装着部23の外側に形成され、取付具7に沿う方向において接続部24と重なる位置に配置される外郭部206を備えている。・・・外郭部206が当該位置に配置されることで、例えば照明装置1の下方等、照明対象空間側から照明装置1を見た場合に、外郭部206によって取付具7を隠すことができ、照明装置1のデザイン性を向上させることができる。」との記載、段落【0099】には、「外郭部206が当該位置に配置されることで、例えば照明装置1の下方及び側方等、照明対象空間側から照明装置1を見た場合に、外郭部206によって取付具7を隠すことができ、照明装置1のデザイン性を向上させることができる。」との記載があるので、本件明細書等には、照明器具2は、取付具7が照明空間に露出しないように取付具7に取り付けられることが示唆されていると認められる。

更に、本件明細書等の段落【0013】には、「照明装置1の長手方向をX軸方向、長手方向に直交し、長手方向に対する短手方向をY軸方向と」とするとの記載があり、段落【0018】には、「天面部200は、長手方向(X軸方向)に沿って長尺かつ平板状に形成されている。」との記載があり、段落【0019】には、「側面部203は、天面部200の短手方向(Y軸方向)における両端に繋が」るとの記載及び「側面部203は、天面部200の長手方向(X軸方向)に沿って、天面部200の側縁部213に設けられている。」との記載があり、段落【0032】には、「灯具装着部23は、造営部9に沿って配置される天面部200と、天面部200の側縁部213から造営部9と反対側に向かって立ち上がる側面部203とによって形成されている。」との記載がある。

また、本件訂正前の【請求項4】には、「前記接続部は、前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」との記載があり、本件明細書等の段落【0169】には、「接続部24iは、灯具装着部23と一体に形成されている。接続部24iは、灯具装着部23の少なくとも一部と一体に形成されている。」との記載がある。

したがって、訂正事項1は、本件訂正前の【請求項4】の記載、及び本件明細書等の前記各段落の記載に基づくものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について

ア 訂正の目的

訂正事項2は、請求項2を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項2は、本件訂正前の請求項2を削除するというものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(3)訂正事項3について

ア 訂正の目的

訂正事項3は、請求項3を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項3は、本件訂正前の請求項3を削除するというものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(4)訂正事項4について

ア 訂正の目的

訂正事項4は、請求項4を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項4は、本件訂正前の請求項4を削除するというものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(5)訂正事項5について

ア 訂正の目的

訂正事項5は、請求項5を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項5は、本件訂正前の請求項5を削除するというものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(6)訂正事項6について

ア 訂正の目的

訂正事項6は、請求項6を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項6は、本件訂正前の請求項6を削除するというものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(7)訂正事項7について

ア 訂正の目的

訂正事項7は、本件訂正前の請求項7が請求項6の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項6の記載を引用しないものとするとともに、本件訂正前の請求項1及び6の全ての発明特定事項を有するものとして独立形式請求項へ改め、更に、本件訂正前の請求項1に対応する発明特定事項に対して訂正事項1と同内容の訂正を行うものである。

したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項7は、本件訂正前の請求項1及び6の記載に基づくものであるとともに、前記(1)イで示したのと同じ理由から、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(8)訂正事項8について

ア 訂正の目的

訂正事項8は、本件訂正前の請求項9の引用先を請求項1、請求項7、請求項8の何れか一項と訂正することによって、削除された請求項2~6の引用という不明瞭な状態を解消するとともに、引用先の請求項の選択肢を限定するものである。

したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項8は、引用先を請求項1、請求項7、請求項8の何れか一項と訂正することによって、削除された請求項2~6の引用という不明瞭な状態を解消するものであるから、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項8は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(9)訂正事項9について

ア 訂正の目的

訂正事項9は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。

したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項9は、前記(1)イで述べたのと同じ理由から、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。

したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合を図ることで、明瞭でない記載を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

3 一群の請求項

本件訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は、それぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。

したがって、本件訂正前の請求項1~9に対応する本件訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

また、本件訂正請求において、訂正後の請求項7~9について、当該請求項について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することの求めがされているところ、本件訂正後の請求項9は、請求項1、7及び8を直接又は間接的に引用するものであるので、本件訂正後の請求項1~9は一群の請求項である。したがって、訂正後の請求項7~9を請求項1とは別の訂正単位とすることは認められない。

更に、明細書の訂正に係る訂正事項9は、本件訂正前の請求項1に係る課題解決手段が記載された段落【0006】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2~9は、それぞれ請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。

4 小括

以上のとおり、訂正事項1~9に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合し、訂正事項9に係る本件訂正は、同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

したがって、明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正後の発明

前記「第2」で説示したように本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】

造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる長尺状の照明器具であって、

前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、

前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部と、

前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

を備え、

前記接続部は、

前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている照明器具。

【請求項2】

(削除)

【請求項3】

(削除)

【請求項4】

(削除)

【請求項5】

(削除)

【請求項6】

(削除)

【請求項7】

造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる長尺状の照明器具であって、

前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、

前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部と、

前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される外郭部と、

を備え、

前記外郭部は、

前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されており、

前記取付具に沿う方向において前記取付具挿通孔と重なる位置に、前記接続部を前記取付具に固定するための固定具が挿通される固定具挿通孔が形成されている照明器具。

【請求項8】

前記固定具挿通孔を閉塞するように前記外郭部に取り付けられる蓋体を備えた請求項7に記載の照明器具。

【請求項9】

請求項1、請求項7、請求項8の何れか一項に記載の照明器具と、

前記照明器具に対して着脱自在に取り付けられる灯具と、

を備えた照明装置。」

第4 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由について

本件訂正前の請求項1~9に係る特許に対して、当審において令和7年8月26日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)は、次の取消理由を含むものである。

理由1:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

理由2:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

<引用文献等一覧>

甲第6号証:特開2017-191789号公報

甲第4号証:特開2017-139193号公報

(以下、甲第○号証を「甲○」という。)

<理由1>

・請求項1~9

請求項1の記載では、「天面部」と「造営部」の関係が明確でないので、「側面部」が「天面部の短手方向における側縁部から」「立ち上がる」方向が明確でない。

したがって、本件発明1及び本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明2~9は、明確でない。

<理由2>

・請求項1~3、5、6、及び9

・引用文献 甲6、甲4

第5 当審の判断

1 理由1について

本件訂正後の請求項1には、「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部」との記載がある。

そして、該記載から、「天面部」が「造営部に沿って配置される」ものであることが明確であり、この結果「側面部」が「天面部の短手方向における側縁部から」「立ち上がる」方向は、明確である。

したがって、本件発明1及び本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明7~9は、明確である。

2 理由2について

(1)甲6の記載事項

甲6には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付与したものである(以下同様)。

ア「【0036】

図1および図2は、本発明の第1実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態の

LED照明装置A1は

マウント1およびLEDユニット2によって構成

されており、たとえば屋内の天井面に取り付けられた状態で、床面を照らす用途に用いられものであり、長さが1227mm程度、幅が120mm程度、高さが38mm程度とされている。

【0037】

マウント1は

本体10

および複数のホルダ11

を備え

ている。

本体10は

x方向に延びる細長状であり

、たとえばアルミ製である。

本体10には

、凹部10aが設けられている。

凹部10aは

、LEDユニット2を収容するためのものである。・・・」

イ「【0039】

図3および図4に示すように、

LEDユニット2は

複数のLEDモジュール20

、支持部材3、カバー4、および電力変換部5を備えている。LEDユニット2は、マウント1のx方向両端にいたる長さ(1220mm程度)とされている。」

ウ「【0050】

本実施形態においては、2つの電力変換部5が設けられており、1つの

電力変換部5から144個のLEDモジュール20に対して給電

される。これらの144個のLEDモジュール20は、互いに直列に接続された12個が1組とされた12のグループに分かれている。これらのグループどうしは、並列に接続されている。この結果、各LEDチップ22には、電圧が3V程度、電流が20mA程度の直流電力が供給される。」

エ「【0056】

図10は、LED照明装置A1を組み立てる際に、LEDユニット2をマウント1に取り付ける様子を示している。本図によく表れているように、まず、たとえば天井に固定されたマウント1に対してLEDユニット2を下方から接近させる。そして、ホルダ11の1対の係止片11aの間にLEDユニット2を押し込む。すると、可撓部11bが若干撓むことにより、1対の係止片11aが互いにいったん離間する。しかる後に、図2に示すように、係止片11aが支持部材3の係止溝323と係合する。このように、LEDユニット2を容易に取り付けることができる。

【0057】

LEDユニット2を押し込むときには、カバー4が強い力で押されやすい。このときには、図8に示すように、係止片42が係止溝325のz方向奥方へと移動する。すると、傾斜面42bと凸片325bとが当接することとなる。これにより、係止片42には、y方向内方へと向かわせられる力が付与される。これにより、カバー4が強く押されても、カバー4が支持部材3から不当に外れてしまうことを防止することができる。

【0058】

図11は、LEDユニット2をマウント1から取りはずす様子を示している。本図によく表れているように、まず、断面コの字状の取り外し冶具Dを用意する。そして、取り外し冶具Dの両側縁をホルダ11の係止片11aに押し付ける。すると、可撓部11bが弾性変形し、1対の係止片11aどうしが離間する。この結果、係止片11aと係止溝323との係合状態が解除される。このように、

LED照明装置A1は

、マウント1からLEDユニット2を容易に取り外すことができる。」

オ「【0067】

図18および図19は、本発明の第3実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態の

LED照明装置A3は

、主にマウント1の構成が上述したLED照明装置A1と異なっているが、それ以外の構成はLED照明装置A1と同様であり、適宜説明を省略する。

【0068】

本実施形態においては、

マウント1の本体10が

、ベースプレート110およびウイング部120によって構成されている。

ベースプレート110は

、x方向を長手方向とし、y方向を幅方向とする細長の板状に形成されており、取り付け面110a、複数の膨出部111を備えている。ベースプレート110のy方向における両端縁は、剛性を確保するために、z方向下方に向けて折り曲げられている。取り付け面110aは、z方向に垂直な平坦な面であり、z方向上側に設けられている。複数の膨出部111は、z方向下方に突出するように形成された部分であり、x方向に沿って互いに離間するように配列されている。各膨出部111は、ウイング部120に当接している。

【0069】

ウイング部120は、底板部121、2つの壁部122、および2つの弓状部123を有しており、不透明なたとえば樹脂あるいはアルミからなる。底板部121は、ベースプレート110に対して平行である。2つの壁部122は、底板部121のy方向両端からz方向に起立している。底板部121および2つの壁部122は、LEDユニット2を収容するための凹部10aを構成している。

2つの弓状部123は

2つの壁部122の

z方向

下端から延びており

、凹部10aを挟んで配置されている。2の弓状部123は、その包絡線が弓状をなす形状とされている。

ベースプレート110とウイング部120とは、

たとえば図示しない

ネジによって互いに結合され

ている。」

カ「【0110】

図30~図32は、本発明の第5実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A5は、マウント1の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、マウント1は、2つのベース金具150および2つのホルダ11からなる。なお、図31においては、理解の便宜上、ネジ132を省略している。また、本実施形態におけるマウント1についての構成は、上述したLED照明装置A1,A3に対しても適用可能である。

【0111】

ホルダ11は、LED照明装置A1,A3,A4に用いられたものと同様である。ホルダ11の係止片11aは、LEDユニット2の係止溝323に係合している。係止溝323は、x方向に延びておりLEDユニット2のほぼ全長にわたって形成されている。このため、LEDユニット2は、ホルダ11に対してx方向にスライド可能となっている。

【0112】

各ベース金具150は、

天井などの壁面Wに直接取り付けられる

ものであり、

隆起部150aと2つの延出部150bとを有

している。ベース金具150は、たとえば金属板に対して穴あけ加工および折り曲げ加工を施すことにより形成される。隆起部150aは、段差によって壁面Wから離間した部分であり、ホルダ11が取り付けられている。

【0113】

2つの延出部150bは、隆起部150aを挟んでy方向に延出している。各延出部150bには、ネジ穴112が形成されている。ネジ穴112は、ネジ132を挿通させるためのものであり、長孔状部112aおよび凹部112bを有している。本実施形態においては、長孔状部112aは、y方向を長軸方向としている。後述する本発明が意図する効果を奏するには、長孔状部112aの長軸方向は、z方向に対して直角であり、かつx方向と異なる方向であればよい。凹部112bは、長孔状部112aの中央からx方向に凹んだ部分である。

【0114】

本実施形態においては、各ベース金具150には、LEDユニット2を挟むようにして2つのネジ穴112が設けられている。また、図31に示すように、2つのベース金具150およびホルダ11が、x方向に離間して配置されている。」

キ 図1は、以下に示すとおりである。

80

102

0001436148000001.jpg

ク 図2は、以下に示すとおりである。

83

103

0001436148000002.jpg

ケ 図10は、以下に示すとおりである。

98

94

0001436148000003.jpg

コ 図11は、以下に示すとおりである。

101

90

0001436148000004.jpg

サ 図18は、以下に示すとおりである。

65

85

0001436148000005.jpg

シ 図19は、以下に示すとおりである。

60

88

0001436148000006.jpg

ス 図30は、以下に示すとおりである。

60

86

0001436148000007.jpg

セ 図31は、以下に示すとおりである。

55

101

0001436148000008.jpg

ソ 図32は、以下に示すとおりである。

73

102

0001436148000009.jpg

(2)甲6の認定事項

前記(1)から、甲6に記載された事項から以下のことが認められる。

ア 段落【0036】、【0056】、【0067】、及び【0068】から、LED照明装置A3のマウント1は、長尺状であり、屋内の天井面に取り付けられるものであるといえる。

また、段落【0037】、【0067】、【0068】、図1、18、及び19から、X方向がマウント1の長手方向であり、Y方向がマウント1の短手方向であり、Z方向が天井面とは反対側に向かう方向であるといえる。

そして、段落【0068】、【0069】、図1、及び19から、マウント1におけるベースプレート110の取り付け面110a及びウイング部120の底板部121は、マウント1の長手方向に沿って長尺状に形成され、天井面に沿って延在するものであることは明らかである。

したがって、ウイング部120の底板部121は、マウント1の長手方向に沿って長尺状に形成され、屋内の天井面に沿って配置されるものと認められる。

イ 段落【0069】、図1、19、及び前記アから、壁部122は、底板部121の長手方向に沿って前記底板部121の短手方向両端から天井面とは反対側に向かう方向に起立していると認められる。

ウ 段落【0056】~【0058】、図10、11、及び19から、LEDユニット2は、LED照明装置A3のマウント1の凹部10aの開口部を介して着脱自在であると認められる。

エ 段落【0050】から、電力変換部5はLEDモジュール20に対して給電するものであるから、技術常識を踏まえれば、電力変換部5はLEDモジュール20と接続されていると認められる。

オ 図2及び19から、電力変換部5は凹部10aに配置されていると認められる。

カ 図19及び前記アから、ベースプレート110は、天井面に沿ってウイング部120の壁部122の外側に張り出すように設けられていると認められる。

キ 段落【0069】及び図19から、ベースプレート110は、底板部121とネジによって互いに結合されているものと認められる。

ク 図19及び前記カから、ベースプレート110は、底板部121に固定される部分と、底板部121から壁部122の外側に張り出した部分とを有すると認められる。

ケ 段落【0069】、図19、及び前記アから、ウイング部120の弓状部123は、壁部122の下端から延びて、壁部122の外側に形成され、天井面とは反対側に向かう方向においてベースプレート110と重なる位置に配置されるものと認められる。

コ 段落【0036】、【0067】、前記ア、及びウから、LED照明装置A3は、マウント1と、前記マウント1の凹部10aの開口部を介して着脱自在に収容されるLEDユニット2を備えていると認められる。

(3)甲6発明

甲6の段落【0036】、【0037】、【0050】、【0056】~【0058】、及び【0067】~【0069】、図1、2、10、11、18、及び19の記載、並びに前記(2)から、甲6には次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。なお、括弧書きは主な参照箇所等を示す(以下同様)。

「屋内の天井面に取り付けられるLED照明装置A3の長尺状のマウント1であって(前記(2)ア)、

前記マウント1の長手方向に沿って長尺状に形成され、前記天井面に沿って配置される底板部121(前記(2)ア)及び前記底板部121の長手方向に沿って前記底板部121の短手方向両端から前記天井面とは反対側に向かう方向に起立している壁部122からなり(前記(2)イ)、LEDモジュール20を備えたLEDユニット2が前記底板部121および2つの前記壁部122で構成された凹部10aにその開口部を介して着脱自在に収容されるとともに(段落【0039】、【0069】、前記(2)ウ)、前記LEDモジュール20と接続された電力変換部5(前記(2)エ)が前記凹部10aに配置される(前記(2)オ)、ウイング部120の前記底板部121及び前記壁部122からなる部分と、

前記天井面に沿って前記壁部122の外側に張り出すように前記ウイング部120の前記底板部121に結合されるベースプレート110と(前記(2)カ、キ)、

を備えたマウント1であって、

前記ベースプレート110は、前記ウイング部120の前記底板部121とネジによって互いに結合されており(前記(2)キ)、前記底板部121に固定される部分と、前記底板部121から前記壁部122の外側に張り出した部分とを有し(前記(2)ク)、

前記ウイング部120は、前記壁部122の下端から延びて、前記壁部122の外側に形成され、前記天井面とは反対側に向かう方向においてベースプレート110と重なる位置に配置される弓状部123を備えた(前記(2)ケ)、

マウント1。」

(4)甲6記載事項

甲6の段落【0110】~【0114】、図30~32には、第5実施形態として次の事項(以下「甲6記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[甲6記載事項]

「マウント1を天井面に直接取り付けるためのベース金具150であって、前記ベース金具150は、LEDユニット2に係合するホルダ11が取り付けられる隆起部150aと、前記隆起部150aを挟んで前記LEDユニット2の短手方向に延出した2つの延出部150bを有し、各延出部150bには、ネジ132を挿通させるためのネジ穴112が形成されるベース金具150(段落【0110】~【0113】)。」

(5)甲4の記載事項

甲4の段落【0015】及び図3Aには、以下の記載がある。

ア「【0015】

・・・天井材200の上側にある

建物の躯体

(図示せず)

は、

器具本体10を固定するために

複数本(例えば2本)の吊りボルト202が設けられている(図3A参照)。吊りボルト202に器具本体10を固定する場合、天井材200の開口部201に器具本体10を下側から挿入する。次に、吊りボルト202をボルト挿通長孔111とボルト挿通長孔112とに通す。そして、図1A及び図3に示すように天井材200における開口部201の周縁に鍔部13を当接させる。この状態で、ボルト挿通長孔111,112から下側に突出する吊りボルト202にナット203をねじ込むと、器具本体10が吊りボルト202に固定される(図3A参照)。」

イ 図3Aは、以下に示すとおりである。

50

95

0001436148000010.jpg

(6)甲4記載事項

甲4の段落【0015】及び図3Aから、甲4には次の事項(以下「甲4記載事項1」という。)が記載されていると認められる。

[甲4記載事項1]

「器具本体10を固定するために建物の躯体に設けられた吊りボルト202に、器具本体10を固定すること(段落【0015】)。」

(7)本件発明1について

ア 対比

(ア)本件発明1と甲6発明を対比すると、後者の「LED照明装置A3の」「マウント1」及び「マウント1」が前者の「照明器具」に相当し、以下同様に、後者の「底板部121」が前者の「天面部」に、後者の「壁部122」が前者の「側面部」に、後者の「起立」が前者の「立ち上がる」ことに、後者の「LEDモジュール20」が前者の「光源部」に、後者の「LEDユニット2」が前者の「灯具」に、後者の「開口部」が前者の「開口部」に、後者の「電力変換部5」が前者の「制御部」に、後者の「凹部10a」が前者の「収容部」に、後者の「ウイング部120の前記底板部121及び前記壁部122からなる部分」が前者の「灯具装着部」に、それぞれ相当する。

そして、以上の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。

(イ)後者の「LED照明装置A3の長尺状のマウント1」は、前者の「長尺状の照明器具」に相当する。

そうすると、後者の「屋内の天井面に取り付けられるLED照明装置A3の長尺状のマウント1」と前者の「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる長尺状の照明器具」は、「取付部に取り付けられる長尺状の照明器具」である点で共通する。

(ウ)後者の「前記マウント1の長手方向に沿って長尺状に形成され」ることは、前者の「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され」ることに相当する。

また、前記(イ)から、後者の「前記天井面に沿って配置される」ことと、前者の「造営部に沿って配置される」ことは、「前記取付部に沿って配置される」ことで共通する。

そうすると、後者の「前記マウント1の長手方向に沿って長尺状に形成され、前記天井面に沿って配置される底板部121」と、前者の「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部」は、「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、前記取付部に沿って配置される天面部」で共通する。

(エ)後者の「前記底板部121の長手方向」が前者の「前記天面部の長手方向」に相当する。

また、後者の「前記底板部121の短手方向」が前者の「前記天面部の短手方向」に相当するので、後者の「前記底板部121の短手方向両端」が前者の「前記天面部の短手方向における側縁部」に相当する。

そして、前記(イ)も踏まえると、後者の「前記底板部121の長手方向に沿って前記底板部121の短手方向両端から前記天井面とは反対側に向かう方向に起立している壁部122」と前者の「前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部」は、「前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記取付部と反対側に向かって立ち上がる側面部」である点で共通する。

(オ)後者の「LEDモジュール20を備えたLEDユニット2が前記底板部121および2つの前記壁部122で構成された凹部10aにその開口部を介して着脱自在に収容される」ことは、「開口部」が「2つの前記壁部122」の先端側にあることは明らかなので、前者の「光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられる」ことに相当する。

(カ)後者の「凹部10a」が「前記底板部121および2つの前記壁部122で構成され」、「前記LEDモジュール20と接続された電力変換部5が前記凹部10aに配置される」ことは、前者の「前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される」ことに相当する。

(キ)前記(イ)から、後者の「前記天井面に沿って前記壁部122の外側に張り出すように前記ウイング部120の前記底板部121に結合されるベースプレート110」と、前者の「前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部」であり、「前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」「接続部」は、「前記取付部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられる張出部材」である点で共通する。

そうすると、本件発明1と甲6発明は、

「取付部に取り付けられる長尺状の照明器具であって、

前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、前記取付部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記取付部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、

前記取付部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられる張出部材と、を備えた照明器具。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点6-1]

取付部への照明器具への取付けに関して、本件発明1は、照明器具が「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具」に取り付けられるのに対して、甲6発明は、マウント1が「屋内の天井面」に取り付けられるものであり、その取付けのための「取付具」がどのようなものかが定かではない点。

[相違点6-2]

天面部の配置に関して、本件発明1は、「造営部」に沿って配置される天面部であるのに対して、甲6発明は、「前記天井面」に沿って配置される底板部121である点。

[相違点6-3]

灯具装着部の側面部の立ち上がる方向に関して、本件発明1は、「前記造営部」と反対側に向かうのに対して、甲6発明は、「前記天井面」とは反対側に向かう点。

[相違点6-4]

張出部材に関して、本件発明1は、接続部は、「造営部」に沿って灯具装着部に設けられ、「前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定され」、「前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」ものであるのに対して、甲6発明は、ベースプレート110は、「天井面」に沿ってウイング部120の底板部121に「結合される」ものであり、また、かかる「取付具挿通孔」が形成されているのかが定かではない点。

[相違点6-5]

本件発明1は、「前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部」を備えるのに対して、甲6発明は、取付け手段が特定されておらず、かかる「取付具配置部」を備えているか定かではない点。

イ 相違点についての検討

相違点6-1~6-5は、いずれも照明器具の取付けに関連する相違点であるので、まとめて検討する。

前記(6)において、甲4記載事項1で示されるように、照明器具の取付けに関して、照明器具を造営部に予め設けられた取付具に取り付けることは、従来周知の技術である。

また、ほとんどの建造物で天井スラブ(造営部)は水平方向に延在する構造部材であり、このことは例示するまでもなく技術常識である。

一方、甲6には、前記(4)において、甲6記載事項として示したように、マウント1を天井面に直接取り付けるための固定金具として、「マウント1を天井面に直接取り付けるためのベース金具150であって、前記ベース金具150は、LEDユニット2に係合するホルダ11が取り付けられる隆起部150aと、前記隆起部150aを挟んで前記LEDユニット2の短手方向に延出した2つの延出部150bを有し、各延出部150bには、ネジ132を挿通させるためのネジ穴112が形成されるベース金具150。」が記載されている。

更に、甲6の段落【0110】には、この甲6記載事項のベース金具150が甲6発明のマウント1を有するLED照明装置A3に対して適用可能であることが記載されている。

そして、甲6の段落【0120】の記載によれば、甲6記載事項のベース金具150は、LED照明装置A5を取り付けた後の位置ずれを容易に解消することを目的とするものであるところ、このような取付金具は、ネジ132のような取付具による取付けに限られるものではなく、造営部に予め設けられた取付具による取付けにも有用であることは明らかである。

以上から、甲6発明において、周知技術及び甲6記載事項を踏まえると、造営部に予め設けられた取付具を用いてマウント1を造営部に取り付けるようにするとともに、マウント1の取付け金具として、ベースプレート110に変えて甲6記載事項のベース金具150を用い、ベース金具150の隆起部150aをウイング部120の底板部121に結合し、LEDユニット2を挟んでその短手方向に延出した2つの延出部150b、すなわち、2つの壁部122のそれぞれの外側に張り出す2つの延出部150bに設けられたネジ穴112に取付具を挿通して、マウント1を造営部に直接取り付けるように構成することは、当業者であれば容易に想到できることと認められる。

しかしながら、この場合、ベース金具150は、ウイング部120の底板部121に結合されるものでしかないので、ウイング部120の底板部121と一体に形成されるものではない。

そして、甲6には、ベース金具150を甲6発明のマウント1を有するLED照明装置A3に適用するに際して、ウイング部120の底板部121と一体に形成することについて、記載も示唆もされていない。

また、甲6発明におけるウイング部120及びベースプレート110から構成されるマウント1の本体10の形状に照らせば、ベースプレート110に変えてベース金具150を用いて本体10を構成した場合に、これらを一体に形成するには、煩雑な形成工程が必要と認められるので、甲6発明において、ベース金具150を用いて本体10を構成する際に、ベース金具150とウイング部120の底板部121を一体に形成することには、阻害要因もあると認められる。

更に、申立人によって提示された他の証拠においても、照明器具において、灯具が装着される灯具装着部と、灯具装着部から外側に張り出す接続部材を一体に形成することは、記載も示唆もされていない。

そうすると、甲6発明において、甲6記載事項及び周知技術を踏まえ、相違点6-4に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。

したがって、本件発明1は、甲6発明、甲6記載事項、及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(8)本件発明7について

ア 対比

本件発明7と甲6発明を対比する。

前記(7)ア(ア)~(カ)の対比(相当関係)について、本件発明7に関しても同様である。

(ア)前記(7)ア(イ)から、後者の「前記天井面に沿って前記壁部122の外側に張り出すように前記ウイング部120の前記底板部121に結合されるベースプレート110」と、前者の「前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部」は、「前記取付部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられる張出部材」である点で共通する。

(イ)後者の「弓状部123」が前者の「外郭部」に相当するので、後者の「前記ウイング部120は、前記壁部122の外側に形成され、前記天井面とは反対側に向かう方向においてベースプレート110と重なる位置に配置される弓状部123を備え」ることと、前者の「前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される外郭部を備え」ることは、「前記灯具装着部の外側に形成され、所定の方向において張出部材と重なる位置に配置される外郭部を備え」ることで共通する。

(ウ)後者の「前記壁部122の下端」が前者の「前記側面部の前記先端部」に相当するので、後者の「前記壁部122の下端から延びて、前記壁部122の外側に形成され」ることは、前者の「前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されて」いることに相当する。

したがって、前記(イ)の限りにおいて、後者の「弓状部123」が「前記壁部122の下端から延びて、前記壁部122の外側に形成され」ることは、前者の「前記外郭部は、前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されて」いることに相当する。

そうすると、本件発明7と甲6発明は、既に検討済みの相違点6-1~6-3及び6-5に加えて、以下の点で相違する。

[相違点6-6]

張出部材に関して、本件発明1は、接続部は、「造営部」に沿って灯具装着部に設けられ、「前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される」ものであるのに対して、甲6発明は、ベースプレート110は、「天井面」に沿ってウイング部120の底板部121に結合されるものであり、かかる「取付具挿通孔」が形成されているのかが定かではない点。

[相違点6-7]

外郭部に関して、本件発明7は、外郭部が「前記取付具に沿う方向において前記取付具挿通孔と重なる位置に、前記接続部を前記取付具に固定するための固定具が挿通される固定具挿通孔が形成されている」のに対して、甲6発明は、弓状部123において、かかる「固定具挿通孔」について特定されていない。

イ 相違点についての検討

相違点6-1~6-3及び6-5~6-7は、いずれも照明器具の取付けに関連する相違点であるので、まとめて検討する。

前記(6)において、甲4記載事項1で示されるように、照明器具の取付けに関して、照明器具を造営部に予め設けられた取付具に取り付けることは、従来周知の技術である。

また、ほとんどの建造物で天井スラブ(造営部)は水平方向に延在する構造部材であり、このことは例示するまでもなく技術常識である。

一方、甲6には、前記(4)において、甲6記載事項として示したように、マウント1を天井面に直接取り付けるための固定金具として、「マウント1を天井面に直接取り付けるためのベース金具150であって、前記ベース金具150は、LEDユニット2に係合するホルダ11が取り付けられる隆起部150aと、前記隆起部150aを挟んで前記LEDユニット2の短手方向に延出した2つの延出部150bを有し、各延出部150bには、ネジ132を挿通させるためのネジ穴112が形成されるベース金具150。」が記載されている。

更に、甲6の段落【0110】には、この甲6記載事項のベース金具150が甲6発明のマウント1を有するLED照明装置A3に対して適用可能であることが記載されている。

そして、甲6の段落【0120】の記載によれば、甲6記載事項のベース金具150は、LED照明装置A5を取り付けた後の位置ずれを容易に解消することを目的とするものであるところ、このような取付金具は、ネジ132のような取付具による取付けに限られるものではなく、造営部に予め設けられた取付具による取付けにも有用であることは明らかである。

以上から、甲6発明において、周知技術及び甲6記載事項を踏まえ、造営部に予め設けられた取付具を用いてマウント1を造営部に取り付けるようにするとともに、マウント1の取付け金具として、ベースプレート110に変えて甲6記載事項のベース金具150を用い、ベース金具150の隆起部150aをウイング部120の底板部121に結合し、LEDユニット2を挟んでその短手方向に延出した2つの延出部150b、すなわち、2つの壁部122のそれぞれの外側に張り出す2つの延出部150bに設けられたネジ穴112に取付具を挿通して、マウント1を造営部に直接取り付けるように構成することは、当業者であれば容易に想到できることと認められる。

しかしながら、甲6には、マウント1の取付け金具として、ベースプレート110に変えてベース金具150を用いた際に、弓状部123に対して延出部150bに設けられたネジ穴112に挿通された取付具を固定するための固定具を挿通する固定具挿通孔を形成することについて記載も示唆もされていない。

また、申立人によって提示された他の証拠においても、照明器具と該照明器具を造営部に固定する取付具の固定において、照明器具の外郭部に形成された固定具挿通孔から固定具を挿通することは、記載も示唆もされていない。

そうすると、甲6発明において、甲6記載事項及び周知技術を踏まえ、相違点6-7に係る本件発明7の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

したがって、本件発明7は、甲6発明、甲6記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易な発明をすることができたものではない。

(9)本件発明8について

本件発明8は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記(8)イと同様の理由により、本件発明8は、甲6発明、甲6記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(10)本件発明9について

本件発明9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるか、又は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記(7)イ、又は前記(8)イと同様の理由により、本件発明9は、甲6発明、甲6記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(11)令和7年12月11日提出の申立人による意見書について

令和7年12月11日提出の申立人による意見書における主張の概要は、以下のとおりである。

ア 甲第5号証には、取付板9(接続部)と収納部(灯具装着部)とが互いに一部を共有する状態で一体に形成されることが開示又は示唆されているので、本件訂正発明1は、甲第6号証、甲第4号証、及び甲第5号証に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 甲第3号証には、吊りボルトに沿う方向においてソケット台21のネジ孔22と重なる位置に、反射板60を器具ケース10に取り付けるためのネジ挿通孔62が開示されており、これに加えて、器具ケース10を吊りボルトに固定するためのナットが挿通されるナット挿通孔を反射板に設けることにより、本件特許発明7(本件訂正発明7)の構成要件Lは得られるので、甲第6号証、甲第4号証、甲第5号証、及び甲第3号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

申立人の主張を検討するに、まず、主張アについてであるが、甲第5号証において、蛍光灯が本件発明1の「灯具」に相当するので、甲第5証における「照明器具本体7」が本件発明1の「灯具装着部」に相当し、甲第5号証における取付板9は本件発明1の「接続部」に相当する。そして、甲第5号証の段落【0018】及び図3の記載から、取付板9は、照明器具本体7の上部に、両側方にそれぞれ張り出されるように設けられるものであり、取付板9と照明器具本体7は、別体の部材であると認められる。

そうすると、甲第5号証において、照明器具本体7が配置される収容部を灯具装着部に相当することを前提とした申立人の主張(1)は、その前提において誤りがある。

また、主張イについては、甲第3号証には、器具ケース10を吊りボルトに固定するためのナットが挿通されるナット挿通孔を反射板に設けることは記載も示唆もされていない。

以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。

3 小括

以上のとおり、本件発明1及び7~9は明確であり、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。

したがって、取消理由1によって、請求項1及び7~9に係る特許を取り消すことはできない。

また、本件発明1及び7~9は、甲6発明、甲6記載事項、及び周知技術(甲4記載事項1)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項1及び7~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

したがって、取消理由2によって、請求項1及び7~9に係る特許を取り消すことはできない。

第6 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった異議申立理由について

申立人は、特許異議申立書において、前記第4の引用文献等一覧で示した証拠以外に、次の証拠を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。

甲1:特開2007-250256号公報

甲2:特開2012-3993号公報

甲3:特開2018-101611号公報

甲5:特開2004-247063号公報

甲7:特開2018-206683号公報

甲8:特開2012-203990号公報

甲9:特開平8-298016号公報

1 申立理由の概要

(1)本件発明1~9は、甲1に記載された発明、並びに甲2~6及び9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)本件発明1~9は、甲5に記載された発明、並びに甲1~4、6、及び9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)本件発明1~4、6、及び9は、甲7に記載された発明、並びに甲2、6、及び9記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~4及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(4)本件発明1~4、6、及び9は、甲8に記載された発明、並びに甲2、6、及び9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1~4及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(5)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(6)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

2 申立理由の検討

(1)甲号証

ア 甲1

(ア)甲1の認定事項

甲1の段落【0079】、【0088】、【0096】、図1、及び2から、甲1には、次の事項が認められる。

a 段落【0088】には「反射鏡に取り付けられたソケット部22」と記載されている。また、図1から、ソケット部22は、少なくともその左右に、反射鏡21に取り付けられるための上下方向に延伸する部材(以下「延伸部材」という。下記参考図1参照。)を備えていることが看取される。

[参考図1](図1の抜粋に説明を付したもの)

67

130

0001436148000011.jpg

b 前記a及び参考図1から、延伸部材は、上面板22aの側縁近傍の部分から立ち上がっていることが看取される。また、立ち上がりの方向は、図1の上から下に向かう方向である。また、段落【0006】の記載を参酌すると、図1の上の方向には不図示の天井スラブ等があるものと認められる。

以上を総合すると、延伸部材は、上面板22aの側縁近傍の部分から天井スラブ等と反対側に向かって立ち上がるものと認められる。

c 以下の参考図2から、延伸部材の先端部の側に、HIDランプ23が取り付けられる開口部が看取される。

したがって、HIDランプ23は、延伸部材の先端部の側に形成された開口部を介して取り付けられるものと認められる。

[参考図2](図1の抜粋に説明を付したもの)

46

82

0001436148000012.jpg

d 技術常識を踏まえれば、段落【0088】等に記載されるHIDランプ23はソケット部22に対して交換可能、すなわち着脱自在に取り付けられるものと認められる。

e 段落【0096】等の記載から、安定器はHIDランプ23を点灯させるためのものであるから、技術常識を踏まえれば、安定器はHIDランプとソケット部22を介して接続されていると認められる。

f 段落【0063】、【0079】及び図1の記載から、装置本体10の天板12は吊りボルトBに固定されるものと認められる。

g 図1から、天板12が吊りボルトBに固定される場合に天板12から突出した吊りボルトBが配置される空間が存在しており、当該空間は、延伸部材を間にして、上面板22a及び延伸部材の内面部によって形成される空間と反対側に設けられていると認められる。

h 前記f及び図1から、天板12は、延伸部材の左右方向、すなわち、延伸部材の外側に張り出すように設けられ、上面板22aから延伸部材の外側に張り出した部分(以下「張出部」という。)に貫通孔14が形成されており、当該張出部が前記貫通孔14を挿通した吊りボルトBと固定されていると認められる。

i 図1から、反射鏡21は、ソケット部22の内部、すなわち内側に形成されたものではないから、ソケット部22の外側に形成されたものと認められる。

また、段落【0063】及び図1の記載から、反射鏡21は、上下方向、すなわち、吊りボルトBに沿う方向において天板12と重なる位置に配置され、天板12から突出した吊りボルトBが配置される空間は、反射鏡21で塞がれた、前記装置本体10内の空間であると認められる。

j 段落【0061】及び【0063】から、照明装置は、天井等に設置される円筒状の装置本体10を有すると認められる。

k 図1(参考図1及び2参照)から、反射鏡21は、延伸部材の先端部を基端としてソケット部22の側方に向かって形成されている。

(イ)甲1発明

甲1の段落【0006】、【0065】、【0073】、【0088】、【0093】、【0096】、【0097】の記載、及び前記アから、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「天井スラブ等へ設置された吊りボルトB(段落【0006】)により、天井等に設置される円筒状の装置本体10を有する照明装置(前記(ア)j)であって、

円板状の上面板22a(段落【0093】)、及び、前記上面板22aの側縁近傍の部分から天井スラブ等と反対側に向かって立ち上がる延伸部材とからなり(前記(ア)b)、HIDランプ23が前記延伸部材の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに(段落【0088】、前記(ア)c、d)、前記HIDランプ23と接続された前記HIDランプ23を点灯させるための安定器が内蔵されるソケット部22と(段落【0096】、【0097】、前記(ア)e)、

前記延伸部材の外側に張り出すように設けられ(前記(ア)h)、前記吊りボルトBを挿通してナットNに係合させることが可能な形状の貫通孔14が形成されており(段落【0065】、【0073】)、前記吊りボルトBに固定される(前記(ア)f)前記装置本体10の天板12と、

前記延伸部材を間にして、前記上面板22a及び前記延伸部材の内面部によって形成される空間と反対側に設けられ、前記天板12が吊りボルトに固定される場合に前記天板12から突出した前記吊りボルトBが配置される空間と(前記(ア)g)、

を備えた照明装置であって、

前記天板12は、前記上面板22aから前記延伸部材の外側に張り出し貫通孔14が形成された張出部を有し、前記張出部が前記貫通孔14を挿通した前記吊りボルトBと固定されており(前記(ア)h)、

前記ソケット部22の外側に形成され、前記吊りボルトBに沿う方向において前記天板12と重なる位置に配置される反射鏡21(段落【0088】、前記(ア)i)を備え、

前記天板12から突出した前記吊りボルトBが配置される空間は、前記反射鏡21で塞がれた、前記装置本体10内の空間であり(前記(ア)i)、

前記反射鏡21は、前記延伸部材の先端部を基端とし前記ソケット部22の側方に向かって形成されている(前記(ア)k)、

照明装置。」

イ 甲2

甲2の段落【0011】、【0012】、【0015】、【0024】、【0027】、及び図2から、甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が示されていると認められる。

「天井直付けタイプの照明器具において、器具本体1は、長手方向に沿って略中央部に収容凹部11が形成され、収容凹部11は、天板部11aと、天板部11aの両側から前面側に直角に垂下するように折曲されて形成された側壁11bとから構成され、収容凹部11の開口部側であって側壁11bの前面側の両側に、側面形状が背面方向へ拡がる傾斜面を備え(段落【0011】、【0012】)、

天板部11aの長手方向両端側には、一対の取付穴11fが形成され、天井の構造体に設けられた一対の取付ボルトBtが外面側から貫通し、器具本体1が天井面に設置され(段落【0015】及び図2)、

器具本体1の収容凹部11の天板部11aの内側に点灯装置3が取付けられ(段落【0024】)、

収容凹部11の開口部側を覆うように光源部2が配設されること(段落【0027】)。」

ウ 甲3

甲3の段落【0010】、【0012】~【0015】から、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が示されていると認められる。

「天井に直付けされる照明器具である照明器具100は、器具ケース10と、一対のソケット20a、20bと、逆富士形の反射板60と、直管形のLEDランプ70とを備え(段落【0010】)、

器具ケース10の長手方向の両側の位置に厚み方向に貫通する第1及び第2取付孔12a、12bが設けられ、第1及び第2取付孔12a、12bには、天井裏に設けられた鉛直下向きの2本の吊りボルトが挿入され、第1及び第2取付孔12a、12bに挿入された吊りボルトをナットで締め付けることによって、器具ケース10は、天井に取り付けられ(段落【0012】)、

一対のソケット20a、20bは、器具ケース10の長手方向の両端部に固定されたソケット台21に取り付けられ、各ソケット20a、20bには、LEDランプ70の両端に設けられた口金71がそれぞれ挿入され(段落【0013】)、

反射板60には、矩形状のソケット孔61と、ネジ挿通孔62とが設けられ、反射板60は、各ソケット20a、20bをそれぞれソケット孔61に挿入し、ネジ67を、ネジ挿通孔62に挿入して、ソケット台21のネジ孔22にネジ込んで、器具ケース10に取り付けられること(段落【0014】、【0015】)。」

エ 甲4

甲4の【請求項1】、段落【0011】~【0013】、及び【0024】から、甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項2」という。)が示されていると認められる。

「器具本体10と、枠体30とを有する照明器具1において(段落【0011】)、

器具本体10は、コンクリートスラブ等の建物躯体から垂下した2本の吊りボルト(取付ボルト)202に吊り下げられ、天板11、及び4つの側板12を有し、下面が開口した前後方向に延びる矩形箱状に形成され(段落【0012】)、

天板11には、前後方向に所定の間隔を空けて、吊りボルト202が挿通されるボルト挿通長孔111及びボルト挿通長孔112が形成され(段落【0013】)、

ランプソケット21aは、前側板121aの内面に、左右方向に並んで2個設けられ、対向するランプソケット21aとランプソケット21bには、直管LEDランプのランプ22が着脱可能に1本ずつ装着され(段落【0016】)、

側板12の下端は、枠体30で覆われ(【請求項1】)、

器具本体10には、枠体30を取り付けるためのねじ孔243が形成されており、枠体30には、ねじ孔243の下側でねじ孔243に対向し且つ取付けねじ510を回転させる工具500が挿入する工具挿入孔330が形成されること(【請求項1】、【0024】)。」

オ 甲5

(ア)甲5の認定事項

甲5の段落【0017】、【0018】、【0024】、及び図2~4から、甲5には、次の事項が認められる。

a 段落【0017】、【0024】、図2、及び4の記載から、長方形状の照明ユニット5は吊りボルト10に取り付けられると認められる。

b 段落【0018】の「照明器具本体7は直管一灯式の蛍光灯を点灯させるものである。」との記載を踏まえれば、図3の照明器具本体7の下部に記載された円形の図形は蛍光灯を示すものと認められる。

また、技術常識から、蛍光灯は照明器具本体7に対して着脱自在に取り付けられているものと認められる。

そうすると、甲5には、蛍光灯が着脱自在に取り付けられる照明器具本体7が記載されていると認められる。

c 図3から、取付板9はスラブ3に沿って設けられていると認められる。

d 段落【0018】及び図3から、照明器具本体7の側方には、取付板9の貫通孔を挿通した吊りボルト10の下端にナット11が螺合される場合に取付板9から突出した吊りボルト10が配置される空間があると認められる。

e 図3から、ケーブルラック8は、吊りボルト10に沿う方向において取付板9と重なる部位に配置されていると認められる。

(イ)甲5発明

甲5の段落【0018】、【0019】、及び前記(ア)から、甲5には次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。

「スラブ3下に定着されたインサート12に螺合されている吊りボルト10に取り付けられる長方形状の照明ユニット5であって(段落【0019】、前記(ア)a)、

蛍光灯が着脱自在に取り付けられる照明器具本体7と(前記(ア)b)、

前記スラブ3に沿って両側方にそれぞれ張り出されるように前記照明器具本体7の上部に設けられ、先端には前記吊りボルト10の下端が挿通される貫通孔が設けられており、前記貫通孔を挿通した前記吊りボルト10の下端にナット11が螺合されている取付板9と(段落【0018】、【0019】、前記(ア)c)、

前記照明器具本体7の側方に設けられ、前記取付板9の貫通孔を挿通した前記吊りボルト10の下端にナット11が螺合されている場合に前記取付板9から突出した前記吊りボルト10が配置される空間と(前記(ア)d)、

を備えた照明ユニット5であって、

前記取付板9は、前記照明器具本体7の上部の部位と、前記照明器具本体7の上部から両側方にそれぞれ張り出し前記貫通孔が設けられている部位とを有し、張り出した前記部位の貫通孔を挿通した前記吊りボルト10の下端に前記ナット11が螺合されており(段落【0018】、【0019】)、

前記照明器具本体7の両側方に備えられ、前記吊りボルト10に沿う方向において前記取付板9と重なる部位に配置されるケーブルラック8を備えた照明ユニット5(段落【0018】、前記(ア)e)。」

カ 甲7

甲7の段落【0012】、【0013】、【0017】、【0018】、【0024】、【0025】、【0028】、【0029】、【0047】、図1、及び2から、甲7には、次の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。

「造営材(天井)に取り付けられる本体部11と、前記本体部11を覆う本体カバー12とを有する器具本体10であって(段落【0012】)、

前記本体部11は、上下方向から見た外形は正方形であり、下面が開放された浅い箱状に形成され(段落【0012】)、

前記本体部11の底面には、複数のボルト挿通孔111が設けられ、前記本体部11は、このうちの少なくとも2つのボルト挿通孔111に挿通される吊りボルトにナットが締め付けられることによって天井に取り付けられ(段落【0013】)、

前記本体カバー12は、上下方向から見た形状が正方形である開口部120を有する枠状に形成され、前記開口部120の4つの縁のそれぞれから前記本体部11に近付く向きに突出する第1~第4の突壁123~126を有し、前記本体部11と結合されて、前記ボルト挿通孔111を覆い(段落【0017】、【0018】、【0024】、図1、2)、

光源ユニット2は、2つのLEDモジュール20と、正方形の取付板220と前記取付板220の4つの辺からそれぞれ下向きに突出する4つの側板221とを有する取付部材22と、電源ユニット24と、2つの取付ばね26とを備え、前記2つのLEDモジュール20は、前記取付板220の下面にねじ止めされ、前記電源ユニット24は、前記取付板220の上面にねじ止めされ(段落【0025】、【0028】、【0029】)、

前記光源ユニット2は、前記開口部120内に収められ、前記各取付ばね26が前記第1及び第3の突壁123、125に引っ掛かり、前記本体カバー12に支持される(段落【0047】)、

器具本体10。」

キ 甲8

甲8の段落【0024】~【0027】、【0029】、図2、及び3から、甲8には、次の発明(以下「甲8発明」という。)が記載されていると認められる。

「建物1の床躯体から吊りボルト15により吊り下げ支持される照明器具14であって(段落【0024】)、

発光する発光部40と、前記発光部40を収容する筐体50と、を備え(段落【0025】)、

前記発光部40は、2本の蛍光管41を備え(段落【0025】)、

前記筐体50は、上下に延びる矩形筒状の本体51と、前記本体51の上面に着脱可能な蓋部52とを備え(段落【0026】)、

前記吊りボルト15の下端は、前記本体51の内部に位置し(図2)、

前記蓋部52は、フック521を備え、支持ボルト522を介して前記発光部40を前記本体51の内部で支持し(段落【0027】及び図2)、

前記蓋部52と前記吊りボルト15は固定されておらず、前記蓋部52を上方に引き上げて、前記蓋部52とともに前記蛍光管41をも引き上げ、次に、前記蓋部52を水平に移動して、前記フック521を前記吊りボルト15に固定された水平部材16に係止して、前記蓋部52を取り外した状態を維持する(段落【0029】、図2、3)

照明器具14。」

ク 甲9

甲9の段落【請求項1】、段落【0016】、【0017】、【0019】~【0021】、及び図1から、甲9には、次の事項(以下「甲9記載事項」という。)が示されていると認められる。

「吊りボルトBによって天井スラブCから吊設され、第1、第2の載置部及びストッパー部Acを有するTバーAに載置される照明器具において(【請求項1】、段落【0016】)、

照明器具は、断面がほぼU字形の第1の反射板1と、第1の反射板の端部に十字状となるように固定したコ字形の支持具4と、支持具4に沿ってスライドし、一端に操作部11、他端にTバーAへの引掛り部14を有する一対のスライダー10と、スライダー10の引掛り部が常にTバーAに対して引っ掛かり状態を維持するように配置したバネ部材16を含み(【請求項1】、段落【0017】)、

支持具4は、天板部5と、天板部5の両側部からほぼ直角方向の下方に延びる側脚6、6とから構成され(段落【0017】)、

支持具4と第1の反射板1とが固定手段によって固定され(段落【0019】)、

第1の反射板1の側部1bはTバーAの第2の載置部Abに載置され、側脚6の載置部6bは、TバーAの第1の載置部Aaに載置され、引掛り部14はバネ部材16のバネ力によって、TバーAのストッパー部Acの下側に位置し(段落【0021】)、

第1の反射板1の両端部に配置されたソケットカバー18にはソケット19が収容され、第1の反射板11の内部において、ソケット19間には蛍光ランプ23が装着され(段落【0020】、図1)、

第1の反射板1の中央部分の下側には第2の反射板21が着脱自在に装着され、インバータ点灯装置などの電気部品も第2の反射板21によって覆われること(段落【0020】)。」

(2)申立理由(1)について

ア 本件発明1について

(ア)対比

本件発明1と甲1発明を対比する。

a 後者の「天井スラブ等」は前者の「造営部」に相当し、以下同様に、後者の「開口部」は前者の「開口部」に、後者の「前記HIDランプ23を点灯させるための安定器」は前者の「制御部」に、後者の「ソケット部22」は前者の「灯具装着部」に、後者の「貫通孔14」は前者の「取付具挿通孔」に、それぞれ対比する。

以上の相当関係を踏まえると、更に以下のことがいえる。

b 後者の「吊りボルトB」が予め天井スラブ等に設置されていることは明らかなので、後者の「天井スラブ等へ設置された吊りボルトBにより、天井等に設置される」「照明装置」は、前者の「造営部に予め設けられた取付具」である「前記取付具に取り付けられる」「照明器具」に相当する。

c 後者の「ソケット部22」の「円板状の上面板22a」は、「天井スラブ等」及び「天井等」の側に位置することは明らかなので、前者の「灯具装着部」の「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部」とは、「灯具装着部」の「造営部側の天面部」で共通する。

d 前記cから、後者の「前記上面板22aの側縁近傍の部分から天井スラブ等と反対側に向かって立ち上がる延伸部材」と、前者の「前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部」は、「前記天面部の側縁近傍の部分から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部」で共通する。

e 技術常識を踏まえれば、後者の「HIDランプ23」は、その内部に光る部分、すなわち光源部を有することは明らかであるから、前者の「光源部を有する灯具」に相当する。

そして、前記dの限りにおいて、後者の「HIDランプ23が前記延伸部材の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられる」ことは、前者の「光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられる」ことに相当する。

f 後者の「安定器」は「ソケット部22」に「内蔵される」から、換言すれば、「安定器」は「ソケット部22」の「前記上面板22a及び前記延伸部材の内面部によって形成される空間」に配置されているといえる。

そうすると、前記c及びdの限りにおいて、後者の「ソケット部22」において「HIDランプ23と接続されたHIDランプ23を点灯させるための安定器が内蔵される」ことは、前者の「灯具装着部」において「前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される」ことに相当する。

g 前記bを踏まえると、前記dの限りにおいて、後者の「前記延伸部材の外側に張り出すように設けられ、前記吊りボルトBを挿通してナットNに係合させることが可能な形状の貫通孔14が形成されており、前記吊りボルトBに固定される前記装置本体10の天板12」と、前者の「前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部」は、「前記側面部の外側に張り出すように設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部」で共通する。

h 前記fから、後者の「前記上面板22a及び前記延伸部材の内面部によって形成される空間」は、本件発明1の「収容部」に相当する。

そうすると、前記c及びdの限りにおいて、後者の「延伸部材を間にして、上面板22a及び延伸部材の内面部によって形成される空間と反対側に設けられ、天板12が吊りボルトに固定される場合に前記天板12から突出した吊りボルトが配置される空間」は、前者の「前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部」に相当する。

i 前記a及びhから、後者の「前記天板12は、前記上面板22aから前記延伸部材の外側に張り出し貫通孔14が形成された張出部を有し、前記張出部が前記貫通孔14を挿通した前記吊りボルトBと固定されており、前記ソケット部22の外側に形成され、前記吊りボルトBに沿う方向において前記天板12と重なる位置に配置される反射鏡21を備え、前記天板12から突出した前記吊りボルトBが配置される空間は、前記装置本体10内の空間であ」る「照明装置」は、「前記天板12から突出した前記吊りボルトB」が照明空間に露出しないことは明らかなので、前者の「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる」「照明器具」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲1発明は、

「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる照明器具であって、

造営部側の天面部、および、前記天面部の側縁近傍の部分から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、

前記側面部の外側に張り出すように設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部と、

前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

を備える照明器具。」

との点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1-1]

照明器具に関して、本件発明1は、「長尺状の」照明器具であるのに対して、甲1発明は「円筒状の装置本体10を有する」照明装置である点。

[相違点1-2]

天面部に関して、本件発明1は、「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、」造営部に「沿って配置される」天面部であるのに対して、甲1発明は、「円板状の」上面板22aであるとともに、天井スラブ等の詳細が不明であり、天井スラブ等に沿った配置であるかが定かではない点。

[相違点1-3]

側面部に関して、本件発明1は、前記天面部の「長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部」から造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部であるのに対して、甲1発明は、前記上面板22aの「側縁近傍の部分」から天井スラブ等と反対側に向かって立ち上がる延伸部材である点。

[相違点1-4]

接続部に関して、本件発明1は、「前記造営部に沿って」、「前記灯具装着部に」設けられる接続部であり、「前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」のに対して、甲1発明は、天板12について、かかる特定がされていない点。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み、相違点1-4について検討する。

甲1には、ソケット部22と装置本体10の天板12を一体に形成することについて記載も示唆もされていない。

また、甲2~6及び9には、照明装置において、灯具装着部の側面部の外側に張り出すように設けられ、造営部に予め設けられた取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されて取付具と固定される接続部と、灯具装着部とを一体に形成することについては、記載も示唆もされていない。

そうすると、甲1発明において、甲2~6及び9記載事項を踏まえ、相違点1-4に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2~6及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明7について

(ア)対比

本件発明7と甲1発明を対比する。

前記ア(ア)a~iの対比(相当関係)について、本件発明7に関しても同様である。

a 後者の「前記ソケット部22の外側に形成され、前記吊りボルトBに沿う方向において前記天板12と重なる位置に配置される」ことは、前者の「前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される」ことに相当するので、後者の「前記ソケット部22の外側に形成され、前記吊りボルトBに沿う方向において前記天板12と重なる位置に配置される反射鏡21」は、前者の「前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される外郭部」に相当する。

b 前記aから、前記ア(ア)dの限りにおいて、後者の「前記反射鏡21は、前記延伸部材の先端部を基端とし前記ソケット部22の側方に向かって形成されている」ことは、前者の「前記外郭部は、前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されて」いることに相当する。

そうすると、本件発明7と甲1発明は、

「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる照明器具であって、

造営部側の天面部、および、前記天面部の側縁近傍の部分から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、

前記側面部の外側に張り出すように設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部と、

前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される外郭部と、

を備え、

前記外郭部は、

前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されている照明器具。」

との点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1-5]

照明器具に関して、本件発明7は、「長尺状の」照明器具であるのに対して、甲1発明は「円筒状の装置本体10を有する」照明装置である点。

[相違点1-6]

天面部に関して、本件発明7は、「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、」造営部に「沿って配置される」天面部であるのに対して、甲1発明は、「円板状の」上面板22aであるとともに、天井スラブ等の詳細が不明であり、天井スラブ等に沿った配置であるかが定かではない点。

[相違点1-7]

側面部に関して、本件発明7は、前記天面部の「長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部」から造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部であるのに対して、甲1発明は、前記上面板22aの「側縁近傍の部分」から天井スラブ等と反対側に向かって立ち上がる延伸部材である点。

[相違点1-8]

本件発明7は、外郭部は、「前記取付具に沿う方向において前記取付具挿通孔と重なる位置に、前記接続部を前記取付具に固定するための固定具が挿通される固定具挿通孔が形成されている」のに対して、甲1発明は、反射板21にかかる「固定具挿通孔が形成され」ることについて特定されていない。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み、相違点1-8について検討する。

甲1には、反射鏡21に対して天板12を吊りボルトBに固定するための固定具を挿通するための固定具挿通孔を形成することについては記載も示唆もされていない。

そして、甲1の反射鏡21が放物線もしくは楕円形状等をなす反射面を形成した横断面が略円形鉢形状のものであり(甲1の段落【0088】参照)、甲1の反射鏡21に固定具挿通孔を形成することは、すなわち、反射鏡21の反射面に固定具挿通孔を形成することであるところ、反射面に固定具挿通孔を形成した場合には、反射効率が下がるなどの弊害が生じることが予想される。

そうすると、甲1発明において、反射鏡21に固定具挿通孔を設けることには、阻害要因があると認められる。

また、甲2~6及び9には、照明装置において、灯具装着部の外側に形成され、照明器具が取り付けられる取付具に沿う方向において取付具と重なる位置に外郭部を配置し、該外郭部に対して照明器具を取付具に固定するための固定具が挿通される固定具挿通孔を形成することについて、記載も示唆もされていない。

そうすると、甲1発明において、甲2~6及び9記載事項を踏まえ、相違点1-9に係る本件発明7の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明、甲2~6及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明8について

本件発明8は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記イ(イ)と同様の理由により、本件発明8は、甲1発明、甲2~6及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明9について

本件発明9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるか、又は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記ア(イ)、又は前記イ(イ)と同様の理由により、本件発明9は、甲1発明、甲2~6及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1及び7~9は、甲1発明、甲2~6及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではなく、請求項1及び7~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

したがって、申立理由(1)によって、請求項1及び7~9に係る特許を取り消すことはできない。

(3)申立理由(2)について

ア 本件発明1について

(ア)対比

本件発明1と甲5発明を対比する。

a 後者の「スラブ3」は前者の「造営部」に相当し、以下同様に、後者の「吊りボルト10」は前者の「取付具」に、後者の「長方形状の照明ユニット5」は前者の「長尺状の照明器具」に、「貫通孔」は「取付具挿通孔」に、「取付板9」は「接続部」に、「空間」は「取付具配置部」に、それぞれ相当する。

以上の相当関係を踏まえると、更に以下のことがいえる。

b 後者の「スラブ3下に定着されたインサート12に螺合されている吊りボルト10に取り付けられる」ことと、前者の「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる」ことは、「造営部に予め設けられた取付具に取り付けられる」ことで共通する。

c 技術常識を踏まえれば、甲5発明の「蛍光灯」がその内部に光る部分、すなわち光源部を有することは明らかであるから、甲5発明の「蛍光灯」は、本件発明1の「光源部を有する灯具」に相当する。

そうすると、後者の「蛍光灯が着脱自在に取り付けられる照明器具本体7」と、前者の「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部」は、「光源部を有する灯具が着脱自在に取り付けられる灯具装着部」との構成で共通する。

d 後者の「取付板9」が「スラブ3に沿って両側方にそれぞれ張り出されるように照明器具本体7に設けられ、先端には吊りボルト10の下端が挿通される貫通孔が設けられて」いることと、前者の「接続部」が「前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されて」いることは、「接続部」が「前記造営部に沿って前記灯具装着部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されて」いることで共通する。

e 後者の「取付板9」が「貫通孔を挿通した吊りボルト10の下端にナット11が螺合されている」ことと、本件発明1の「接続部」が「前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される」ことは、「接続部」が「前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と位置決めされる」ことで共通する。

f 後者の「照明器具本体7の側方に設けられ、取付板9の貫通孔を挿通した吊りボルト10の下端にナット11が螺合されている場合に取付板9から突出した吊りボルト10が配置される空間」は、前者の「前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部」と、「前記接続部が前記取付具に位置決めされる場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部」との構成で共通する。

そうすると、本件発明1と甲5発明は、

「造営部に予め設けられた取付具に取り付けられる長尺状の照明器具であって、

光源部を有する灯具が着脱自在に取り付けられる灯具装着部と、

前記造営部に沿って前記灯具装着部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と位置決めされる接続部と、

前記接続部が前記取付具に位置決めされる場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

を備えた照明器具。」

との点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点5-1]

本件発明1では、照明器具が、造営部に予め設けられた取付具が「照明空間に露出しないように」取付具に取り付けられるのに対して、甲5発明は、照明ユニット5が取り付けられる吊りボルト10に対して、かかる特定がされていない点。

[相違点5-2]

本件発明1では、灯具装着部が「前記造営部に沿って配置される天面部および前記天面部の側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられる」のに対して、甲5発明では、照明器具本体7の構造について、蛍光灯が着脱自在に取り付けられること以外のことが特定されていない点。

[相違点5-3]

本件発明1では、灯具装着部において「前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される」のに対して、甲5発明では、そのことが特定されていない点。

[相違点5-4]

本件発明1では、接続部が「前記側面部の外側に張り出すように」設けられるのに対して、甲5発明では、取付板9が照明器具本体7の外側に張り出すように設けられていること以上の詳細は特定されていない点。

[相違点5-5]

本件発明1では、取付具配置部が「前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ」るのに対して、甲5発明では、前記吊りボルト10が配置される空間(取付具配置部)が照明器具本体7の側方に設けられること以上の詳細は特定されていない点。

[相違点5-6]

本件発明1では、接続部が、取付具挿通孔を挿通した取付具と「固定」されるのに対して、甲5発明では、取付板9が、貫通孔を挿通した吊りボルト10の下端にナット11が螺合されることにより「位置決め」される点。

[相違点5-7]

本件発明1では、接続部が「前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」のに対して、甲5発明は、取付板9が照明器具本体7の上部に設けられる点。

(イ)相違点についての検討

相違点5-1について、検討する。

甲5には、「設備機器14の配線ケーブル16は、ケーブルラック8上に敷設されることによって、設備機器14の配線ケーブル16で居室4内の上部を煩雑することなく、必要な設備を居室4内上部に設置することができる。」(段落【0028】)との記載がある。

そして、甲5の図1及び3の記載を踏まえると、甲5発明において、吊りボルト10が照明空間に露出しないようにしようとすると、吊りボルト10を短くし、ケーブルラック8の立ち上がり部8aの上端をスラブ3に対して極めて接近させる必要があることが理解できる。

しかしながら、このような、ケーブルラック8のスラブ3に対する接近は、ケーブルラック8上での設備機器14の配線ケーブル16の敷設を困難にするものであるので、甲5発明において、吊りボルト10が照明空間に露出しないように照明ユニット5を吊りボルト10に取り付けることには、動機付けはなく、むしろ阻害要因があると認められる。

そして、甲2~4及び9には、照明装置において、造営部に沿って灯具装着部の側面部の外側に張り出すように設けられた接続部の取付具挿通孔に挿通する取付具が照明空間に露出しないように照明器具を取り付けることについては記載されていない。

一方、甲6には、照明装置において、照明装置A3に対してベース金具150を用いることが記載されているところ(段落【0110】)、これによって、造営部に沿って灯具装着部の側面部の外側に張り出すように設けられた接続部の取付具挿通孔に挿通する取付具が、照明空間に露出しないように照明器具を取り付けることが示唆されているといえるものの、甲6における接続部であるベース金具150は、天井などの壁面Wに直接取り付けられるものであり、ベース金具150と壁面Wとの間の隙間は、ベース金具150の隆起部150aと壁面Wとの間の僅かなものでしかない(甲6の段落【0112】及び図32)。

そうすると、ケーブルラック8とスラブ3の間に設備機器14の配線ケーブル16の敷設を行うための空間が必要な甲5発明において、甲6に記載されたベース金具150に関する記載事項を適用することに、動機付けはなく、又、阻害要因があると認められる。

したがって、甲5発明において、甲1~4、6、及び9記載事項を踏まえ、相違点5-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。

以上から、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明、甲1~4、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明7について

(ア)対比

本件発明7と甲5発明を対比する。

前記ア(ア)a~fの対比(相当関係)について、本件発明7に関しても同様である。

a 後者の「前記照明器具本体7の両側方に備えられ、前記吊りボルト10に沿う方向において前記取付板9と重なる部位に配置されるケーブルラック8」は、前記ア(ア)dの限りにおいて、前者の「前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される外郭部」に相当する。

そうすると、本件発明7と甲5発明は、

「造営部に予め設けられた取付具に取り付けられる長尺状の照明器具であって、

光源部を有する灯具が着脱自在に取り付けられる灯具装着部と、

前記造営部に沿って前記灯具装着部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と位置決めされる接続部と、前記接続部が前記取付具に位置決めされる場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

前記灯具装着部の外側に形成され、前記取付具に沿う方向において前記接続部と重なる位置に配置される外郭部と、

を備えた照明器具。」

との点で、一致し、以下の点で相違する。

[相違点5-8]

本件発明7では、照明器具が、造営部に予め設けられた取付具が「照明空間に露出しないように」取付具に取り付けられるのに対して、甲5発明は、照明ユニット5が取り付けられる吊りボルト10に対して、かかる特定がされていない点。

[相違点5-9]

本件発明7では、灯具装着部が「前記造営部に沿って配置される天面部および前記天面部の側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられる」のに対して、甲5発明では、照明器具本体7の構造について、蛍光灯が着脱自在に取り付けられること以外のことが特定されていない点。

[相違点5-10]

本件発明7では、灯具装着部において「前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される」のに対して、甲5発明では、そのことが特定されていない点。

[相違点5-11]

本件発明7では、接続部が「前記側面部の外側に張り出すように」設けられるのに対して、甲5発明では、取付板9が照明器具本体7の外側に張り出すように設けられていること以上の詳細は特定されていない点。

[相違点5-12]

本件発明7では、取付具配置部が「前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ」るのに対して、甲5発明では、前記吊りボルト10が配置される空間(取付具配置部)が照明器具本体7の側方に設けられること以上の詳細は特定されていない点。

[相違点5-13]

本件発明7では、接続部が、取付具挿通孔を挿通した取付具と「固定」されるのに対して、甲5発明では、取付板9が、貫通孔を挿通した吊りボルト10の下端にナット11が螺合されることにより「位置決め」される点。

[相違点5-14]

本件発明7では、外郭部は、「前記側面部の前記先端部を基端部として前記灯具装着部の側方に向かって形成されており、前記取付具に沿う方向において前記取付具挿通孔と重なる位置に、前記接続部を前記取付具に固定するための固定具が挿通される固定具挿通孔が形成されている」のに対して、甲5発明は、ケーブルラック8に対してかかる「固定具挿通孔」について特定されていない点。

(イ)相違点についての検討。

相違点5-8は、前記ア(ア)の相違点5-1と同じである。

そうすると、前記ア(イ)で述べたのと同じ理由から、甲5発明において、甲1~4、6、及び9記載事項を踏まえ、相違点5-8に係る本件発明7の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲5発明、甲1~4、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明8について

本件発明8は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記イ(イ)と同様の理由により、本件発明8は、甲5発明、甲1~4、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明9について

本件発明9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるか、又は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記ア(イ)、又は前記イ(イ)と同様の理由により、本件発明9は、甲5発明、甲1~4、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1及び7~9は、甲5発明、甲1~4、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではなく、請求項1及び7~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

したがって、申立理由(2)によって、請求項1及び7~9に係る特許を取り消すことはできない。

(4)申立理由(3)について

ア 本件発明1について

(ア)対比

本件発明1と甲7発明を対比する。

a 後者の「造営材(天井)」は、前者の「造営部」に相当し、後者の「吊りボルト」は、「造営材(天井)」に予め設けられていることは明らかなので、前者の「造営部に予め設けられた取付具」に相当する。

したがって、後者の「造営材(天井)に取り付けられる本体部11」「を有する照明器具であ」り、「前記本体部11は、」「前記本体部11の底面には、複数のボルト挿通孔111が設けられ、前記本体部11は、このうちの少なくとも2つのボルト挿通孔111に挿通される吊りボルトにナットが締め付けられることによって天井に取り付けられ」るものであることは、前者の「造営部に予め設けられた取付具」である「前記取付具に取り付けられる」「照明器具であ」ることに相当する。

b 前記aから、後者の「前記本体部11と結合され、前記ボルト挿通孔111を覆」う「前記本体部12」は、「前記本体部12」が「ボルト挿通孔111に挿通される吊りボルト」を覆い、照明空間に露出しないようにしていることは、明らかである。

そうすると、後者の「造営材(天井)に取り付けられる本体部11と、前記本体部11を覆う本体カバー12とを有する器具本体10であ」り、「前記本体部11は、」「前記本体部11の底面には、複数のボルト挿通孔111が設けられ、前記本体部11は、このうちの少なくとも2つのボルト挿通孔111に挿通される吊りボルトにナットが締め付けられることによって天井に取り付けられ」るものであり、「前記本体カバー12は、」「前記本体部11と結合され、前記ボルト挿通孔111を覆」うものであることは、前者の「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる」「照明器具」であることに相当する。

c 後者の「2つのLEDモジュール20」は、前者の「光源部」に相当するので、後者の「2つのLEDモジュール20」「を備え」る「光源ユニット2」は、前者の「光源部を有する灯具」に相当する。

また、後者の「電源ユニット24」は、LEDモジュールに接続されることは明らかなので、前者の「前記光源部と接続された制御部」に相当する。

d 後者の「前記本体部11は、」「下面が開放された浅い箱状に形成され、」「前記本体部11の底面には、複数のボルト挿通孔111が設けられ」ることから、「前記本体部11」は、「底面」と「底面」の側縁部から「造営材(天井)」とは反対側に立ち上がる4つの側面部があることは明らかであり、この限りにおいて、後者の「前記本体部11の底面」は、前者の「天面」に相当する。

そして、後者の「前記本体カバー12は、」「開口部120を有する枠状に形成され、」「前記本体部11と結合され、」「前記光源ユニット2は、前記開口部120内に収められ」ることにおいて、「前記光源ユニット2」は、「前記本体部11の底面」及び「前記開口部201」によって形成される空間に「収められ」ているのは明らかである。

また、後者の「前記本体カバー12は、」「開口部120を有する枠状に形成され、前記開口部120の4つの縁のそれぞれから前記本体部11に近付く向きに突出する第1~第4の突壁123~126を有し、」「光源ユニット2は、2つのLEDモジュール20と、」「取付板220と前記取付板220の4つの辺からそれぞれ下向きに突出する4つの側板221とを有する取付部材22と、電源ユニット24と、2つの取付ばね26とを備え、前記2つのLEDモジュール20は、前記取付板220の下面にねじ止めされ、前記電源ユニット24は、前記取付板220の上面にねじ止めされ、前記光源ユニット2は、前記開口部120内に収められ、前記各取付ばね26が前記第1及び第3の突壁123、125に引っ掛かり、前記本体カバー12に支持される」ことにおいて、「前記光源ユニット2」が「前記開口部120」を介して着脱自在に取り付けられており、また、「電源ユニット24」も「前記開口部120内に納められ」ることは明らかである。

e 前記c及びdから、後者の「前記本体部11は、」「下面が開放された浅い箱状に形成され、」「前記本体部11の底面には、複数のボルト挿通孔111が設けられ、」「前記本体カバー12は、」「開口部120を有する枠状に形成され、前記開口部120の4つの縁のそれぞれから前記本体部11に近付く向きに突出する第1~第4の突壁123~126を有し、前記本体部11と結合され、」「光源ユニット2は、2つのLEDモジュール20と、」「取付板220と前記取付板220の4つの辺からそれぞれ下向きに突出する4つの側板221とを有する取付部材22と、電源ユニット24と、2つの取付ばね26とを備え、前記2つのLEDモジュール20は、前記取付板220の下面にねじ止めされ、前記電源ユニット24は、前記取付板220の上面にねじ止めされ、前記光源ユニット2は、前記開口部120内に収められ、前記各取付ばね26が前記第1及び第3の突壁123、125に引っ掛かり、前記本体カバー12に支持される」ことと、前者の「光源部を有する灯具が」「開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される」こととは、「光源部を有する灯具が開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部と前記開口部によって形成される収容部に配置される」ことで共通する。

そして、この限りにおいて、後者の「前記本体部11の底面」と「開口部120」で形成される「光源ユニット2」及び「電源ユニット24」を「収め」る空間が、前者の「灯具装着部」に相当する。

f 前記c~eから、後者の「前記本体部11は、」「下面が開放された浅い箱状に形成され、」「前記本体部11の底面には、複数のボルト挿通孔111が設けられ、」「前記本体カバー12は、」「開口部120を有する枠状に形成され、前記開口部120の4つの縁のそれぞれから前記本体部11に近付く向きに突出する第1~第4の突壁123~126を有し、前記本体部11と結合され、」「光源ユニット2は、2つのLEDモジュール20と、」「取付板220と前記取付板220の4つの辺からそれぞれ下向きに突出する4つの側板221とを有する取付部材22と、電源ユニット24と、2つの取付ばね26とを備え、前記2つのLEDモジュール20は、前記取付板220の下面にねじ止めされ、前記電源ユニット24は、前記取付板220の上面にねじ止めされ、前記光源ユニット2は、前記開口部120内に収められ、前記各取付ばね26が前記第1及び第3の突壁123、125に引っ掛かり、前記本体カバー12に支持される」ことと、前者の「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部」「を備え」ることは、「天面部、および、前記天面部の側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部と、光源部を有する灯具が開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部と前記開口部によって形成される収容部に配置される灯具装着部」「を備え」ることで共通する。

g 前記eの限りにおいて、後者の「複数のボルト挿通孔111が設けられ、前記本体部11は、このうちの少なくとも2つのボルト挿通孔111に挿通される吊りボルトにナットが締め付けられることによって天井に取り付けられ」る「前記本体部11の底面」は、前者の「前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部」に相当する。

h 後者の「前記本体カバー12は、」「開口部120を有する枠状に形成され、」「前記本体部11と結合され、前記ボルト挿通孔111を覆」うことにおいて、「前記ボルト挿通孔111」は、「枠状に形成され」た「前記本体カバー12」で「覆」われた、「開口部120」に隣接する空間にあることは明らかである。

そして、前記eを踏まえると、後者の「前記本体カバー12は、」「開口部120を有する枠状に形成され、」「前記本体部11と結合され、前記ボルト挿通孔111を覆」うことと、前者の「前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部」「を備え」ることは、「前記収容部と隣接し、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部」「を備え」ることで共通する。

i 後者の「前記本体部11の底面には、複数のボルト挿通孔111が設けられ、前記本体部11は、このうちの少なくとも2つのボルト挿通孔111に挿通される吊りボルトにナットが締め付けられることによって天井に取り付けられ」ることは、前記eの限りにおいて、前者の「接続部は、前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」ことに相当する。

そうすると、本件発明1と甲7発明は、

「造営部に予め設けられた取付具が照明空間に露出しないように前記取付具に取り付けられる照明器具であって、

天面部、および、前記天面部の側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部と、

光源部を有する灯具が開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部と前記開口部によって形成される収容部に配置される灯具装着部と、

前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部と、

前記収容部と隣接し、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、

を備え、

前記接続部は、

前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている照明器具。」

との点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点7-1]

本件発明1は、「長尺状の」照明器具であるのに対して、甲7発明は、「上下方向から見た外形は正方形であ」る本体部11と、「上下方向から見た形状が正方形である」枠状に形成された本体カバー12とを有する器具本体10である点。

[相違点7-2]

灯具装着部に関して、本件発明1は、「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される」天面部、および、前記天面部の「長手方向に沿って前記天面部の短手方向における」側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、開口部が「前記側面部の先端部の側に形成された」ものであり、収容部が前記天面部及び「前記側面部の内面部」によって形成されるものであるのに対して、甲7発明は、本体部11の底面と「本体カバー120」の「開口部120」によって形成されるものであり、造営材(天井)の詳細が不明であり、本体部11の底面と造営材(天井)の関係が定かではない点。

[相違点7-3]

接続部に関して、本件発明1は、「前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように」灯具装着部に設けられる接続部であるのに対して、甲7発明は、「本体部11の底面」である点。

[相違点7-4]

取付具配置部に関して、本件発明1は、「前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ」る取付具配置部であるのに対して、甲7発明は、「開口部120を有する枠状に形成され」た「本体カバー12」で「覆」われる「ボルト挿通孔111が設けられ」た「本体部11の底面」である点。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み、相違点7-2について検討する。

ほとんどの建造物で造営材は水平方向に延在する構造部材であり、このことは例示するまでもなく技術常識であるので、甲7発明において、本体部11の底面を造営材(天井)に沿った配置とすることは、特段のこととはいえない。

また、前記第5の2(3)、前記(1)イ及びクから、甲2、6、及び9には、照明器具の天面部と、天面部の側縁部から造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、天面部と側面部の内面部によって形成される収容部に、光源部を有する灯具及び光源部と接続された制御部を配置する灯具装着部が、記載又は示唆されていると認められる。

一方、甲7には、本体部11及び本体カバー12を長尺状とすることは、記載も示唆もされていない。

更に、甲7発明は、施工作業の作業性の向上を図ることが可能な照明器具を提供することを課題とするものであり(段落【0006】)、該課題を解決するために、器具本体10を造営材に取り付けられる本体部11と、本体部11に結合される本体カバー12とに分け、更に、開口部120の第1の突壁123及び第3の突壁のそれぞれに光源ユニット2の取付ばね26を引っ掛けることによって、取付方向の自由度を高めて施工作業の作業性の更なる向上を図るものである(段落【0053】~【0058】)。

このため、甲7発明において、本体カバー12をなくし、本体部11の底面と側面部によって、光源ユニット2及び電源ユニット24を収容する灯具装着部を構成することは、前記課題を解決し得ないこととなるので、阻害要因があるといえる。

そうすると、甲7発明において、甲2、6、及び9記載事項を踏まえ、相違点7-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲7発明、甲2、4、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明9について

本件発明9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記ア(イ)と同様の理由により、本件発明9は、甲7発明、甲2、4、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1及び9は、甲7発明、甲2、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではなく、請求項1及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

したがって、申立理由(3)によって、請求項1及び9に係る特許を取り消すことはできない。

(5)申立理由(4)について

ア 本件発明1について

(ア)対比

本件発明1と甲8発明を対比する。

a 後者の「建物1の床躯体」は、前者の「造営部」に相当する。そして、後者の「建物1の床躯体から吊りボルト15により吊り下げ支持される照明器具14」において、「吊りボルト15」は、「建物1の床躯体」に予め設けられるものであることは明らかなので、前者の「造営部に予め設けられた取付具」に相当する。

そうすると、後者の「建物1の床躯体から吊りボルト15により吊り下げ支持される照明器具14」は、前者の「造営部に予め設けられた取付具」「に取り付けられる」「照明器具」に相当する。

b 後者の「発光する発光部40と、前記発光部40を収容する筐体50と、を備え、前記発光部40は、2本の蛍光管41を備え」ることにおいて、「2本の蛍光管41」が長尺状であるのは明らかなので、これを収容する「筐体50」も長尺状であるといえる。

そうすると、後者の「発光する発光部40と、前記発光部40を収容する筐体50と、を備え、前記発光部40は、2本の蛍光管41を備え」る「照明器具14」は、前者の「長尺状の照明器具」に相当する。

c 前記bから、「前記筐体50」の「上下に延びる矩形筒状の本体51と、前記本体51の上面に着脱可能な蓋部52」において、「蓋部52」も照明器具14の長手方向に沿って長尺状であり、「建物1の床躯体」側にあるものと認められる。

そして、「上下に延びる矩形筒状の本体51」は、「蓋部52」の長手方向に沿って「蓋部52」の短手方向における側縁部から「建物1の床躯体」と反対側に向かって立ち上がる側面部を含むことは明らかである。

そうすると、後者の「下に延びる矩形筒状の本体51と、前記本体51の上面に着脱可能な蓋部52とを備え」ることと、前者の「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からな」ることは、「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部側に配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からな」ることで共通する。

d 後者の「2本の蛍光管」は、前者の「光源部」に相当し、後者の「2本の蛍光管41を備え」る「発光部40」は、前者の「光源部を有する灯具」に相当する。

e 後者の「前記発光部40を収容する筐体50」であり、「上下に延びる矩形筒状の本体51と、前記本体51の上面に」「蓋部52とを備え」る「前記筐体50」であって、「前記蓋部52」が「支持ボルト522を介して前記発光部40を前記本体51の内部で支持」することは、「前記発光部40」が「矩形筒状の本体51」の下側の開口部を介して取り付けられることは明らかであるので、前記dを踏まえると、前者の「光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して」「取り付けられる」ことに相当する。

f 前記c~eの限りにおいて、後者の「筐体50」は、前者の「灯具装着部」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲8発明は、

「造営部に予め設けられた取付具に取り付けられる長尺状の照明器具であって、

前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部側に配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して取り付けられる灯具装着部、

を備える照明器具」

との点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点8-1]

天面部に関して、本件発明1は、造営部に「沿って」配置される天面部であるのに対して、甲8発明は、筐体50の「本体51の上面に着脱可能な」蓋部52であり、建物1の床躯体の詳細が不明であり、蓋部52と建物1の床躯体との関係が定かではない点。

[相違点8-2]

灯具装着部に関して、本件発明1は、「前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される」灯具装着部であるのに対して、甲8発明は、発光部40と「接続された制御部」について特定されていない点。

[相違点8-3]

本件発明1は、「前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部」であり、「前記接続部は、前記灯具装着部の少なくとも一部と一体に形成されている」のに対して、甲8発明は、かかる「接続部」について特定されておらず、また、吊りボルト15の下端が本体51の内部に位置する点。

[相違点8-4]

本件発明1は、「前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部」であるのに対して、甲8発明は、吊りボルト15の下端が本体51の内部に位置する点。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み相違点8-3について検討する。

甲8には、吊りボルト15の下端を本体51の外側に配置させて本体51を支持するように構成することについて、記載も示唆もされていない。

甲2及び9には、照明装置において、取付具が挿通される取付具挿通孔が形成され、取付具挿通孔を挿通した取付具と固定される接続部を、造営部に沿って灯具装着部の側面部の外側に張り出すように灯具装着部に設けることは、記載も示唆もされていない。

そして、甲6には、照明装置において、照明装置A3に対してベース金具150を用いることが記載されているところ(段落【0110】)、これによって、取付具が挿通される取付具挿通孔が形成され、取付具挿通孔を挿通した取付具と固定される接続部を、造営部に沿って灯具装着部の側面部の外側に張り出すように灯具装着部に設けることが示唆されているといえるものの、甲6において、ベース金具150は、LED照明装置A5を取り付けた後の位置ずれを容易に解消することを目的とするものである。

一方、甲8では、本体51の上端及び下端は、中空パネル13の天井裏側のパネル材132及び中空パネル13の天井面側のパネル材131に当接し、その接合部分に気密処理が施されるものなので(段落【0028】)、甲8発明において、甲6における取付後のLED照明装置A5の位置ずれを解消するためのベース金具150に関する記載事項を適用する動機付けはない。

そうすると、甲8発明において、甲2、6、及び9記載事項を踏まえ、相違点8-3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことであるとは認められない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲8発明、甲2、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明9について

本件発明9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。

そうすると、前記ア(イ)と同様の理由により、本件発明9は、甲8発明、甲2、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1及び9は、甲8発明、甲2、6、及び9記載事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではなく、請求項1及び9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

したがって、申立理由(4)によって、請求項1及び9に係る特許を取り消すことはできない。

(6)申立理由(5)について

ア 申立理由(5)の概要

特許異議申立書における申立理由(5)の概要は、要するに、請求項1の記載において、「開口部」がどこに、どのような形で設けられるか記載がなく、「側面部」と「開口部」の位置関係が不明確であるというものである。

イ 申立理由(5)の検討

「特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。」(平成26年(行ケ)10254号)

そこで、以下では、この観点に立って、明確性要件について検討を行う。

請求項1の「前記照明器具の長手方向に沿って長尺状に形成され、造営部に沿って配置される天面部、および、前記天面部の長手方向に沿って前記天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からなり、光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、前記光源部と接続された制御部が前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される収容部に配置される灯具装着部」との記載から、「灯具装着部」が「天面部」と「天面部の短手方向における側縁部から前記造営部と反対側に向かって立ち上がる側面部からな」ること、「前記光源部と接続された制御部が」「配置される」「収容部」が「前記天面部及び前記側面部の内面部によって形成される」こと、及び「灯具装着部」の「開口部」が「前記側面部の先端部の側に形成され」ることが理解できる。

そして、請求項1の「前記側面部の先端部の側」がどこを示すものであるのかについては、「灯具装着部」の具体的な態様から理解する必要がある。

そこで、前記規範に従い、特許請求の範囲の記載だけでなく、本件明細書等の記載をみると、本件明細書等の段落【0020】には、「

側面部203は、

基端部204と、

先端部205

を有する

。基端部204は、側面部203の天面部200と繋がる部分である。

先端部205は

取付具7に沿うZ軸方向において、側面部203の端縁部分

である。取付具7に沿うZ軸方向において、基端部204は、側面部203の一方の端部であり、先端部205は、側面部203の他方の端部である。

先端部205は、灯具3の一部が収容される照明器具2の開口部22を形成する

。」との記載があり、また、段落【0033】には、「灯具装着部23は、

側面部203の先端部205の側に形成された開口部22

を介して灯具3が着脱自在に取り付けられる。」との記載がある。

そして、図5は、照明装置の内部構成を示す概念図であるところ、図5には、一対の「側面部203の端縁部分」である「先端部205」の間に「開口部22」が形成されることが示されており、また、他の図面においても、これ以外の位置にある「開口部22」の記載は認められない。

そうすると、これら本件明細書等の記載を踏まえると、請求項1における「前記側面部の先端部の側に形成される開口部」は、「前記側面部」の「端縁部分」が「形成する」「開口部」であることは、当業者が理解できるものである。

したがって、請求項1の記載は、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。

よって、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明9は、明確である。

また、請求項7にも同じ記載があるところ、同様の理由から、請求項7の記載も明確であり、本件発明7、並びに本件発明7を引用する本件発明8及び9も明確である。

ウ 小括

以上のとおり、本件発明1及び7~9は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。

したがって、申立理由(5)によって、請求項1及び7~9に係る特許をとりけすことはできない。

(7)申立理由(6)について

ア 申立理由(6)の概要

特許異議申立書における申立理由(6)の概要は、要するに、請求項1の「光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられるとともに、」との記載は、「開口部」が「側面部」自体に設けられる構成も含まれるところ、このような構成は、本件明細書等には、記載されていないというものである。

イ 申立理由(6)の検討

特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、その記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり、以下では、この観点に立って、サポート要件について検討を行う。

前記(6)イで検討したように、請求項1における「前記側面部の先端部の側に形成される開口部」は、本件明細書等の記載を踏まえると、「前記側面部」の「端縁部分」が「形成する」「開口部」であることは、当業者が理解できるものである。

そして、本件明細書等の段落【0020】には、「

側面部203は、

基端部204と、

先端部205

を有する

。基端部204は、側面部203の天面部200と繋がる部分である。

先端部205は

取付具7に沿うZ軸方向において、側面部203の端縁部分

である。取付具7に沿うZ軸方向において、基端部204は、側面部203の一方の端部であり、先端部205は、側面部203の他方の端部である。

先端部205は、灯具3の一部が収容される照明器具2の開口部22を形成する

。」との記載があり、また、段落【0033】には、「灯具装着部23は、

側面部203の先端部205の側に形成された開口部22

を介して灯具3が着脱自在に取り付けられる。」との記載がある。

そして、図5は、照明装置の内部構成を示す概念図であるところ、図5には、一対の「側面部203の端縁部分」である「先端部205」の間に「開口部22」が形成されることが示されている。おり、また、他の図面においても、これ以外の位置にある「開口部22」の記載は認められない。

したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明には、「光源部を有する灯具が前記側面部の先端部の側に形成された開口部を介して着脱自在に取り付けられる」ことが記載されていると認められる。

また、本件特許の課題は、本件明細書等の段落【0005】に記載されるとおり、「電源装置等の制御部の配置領域が吊ボルト等の取付具の位置によって制約を受けない照明器具及び照明装置を提供する」ことであるところ、当該課題は、段落【0008】及び【0095】に記載されるように、本件発明1の「前記造営部に沿って前記側面部の外側に張り出すように前記灯具装着部に設けられ、前記取付具が挿通される取付具挿通孔が形成されており、前記取付具挿通孔を挿通した前記取付具と固定される接続部と、前記側面部を間にして、前記収容部と反対側に設けられ、前記接続部が前記取付具に固定される場合に前記接続部から突出した前記取付具が配置される取付具配置部と、」「を備え」るとの発明特定事項によって解決し得るものである。

したがって、本件発明1が本件特許の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。

そして、本件発明7についても同様である。

以上のとおりであるから、本件発明1及び7は、サポート要件を満たしており、また、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明9、並びに本件発明7の発明特定事項を全て含む本件発明8及び9もサポート要件を満たしている。

ウ 小括

以上のとおり、本件発明1及び7~9は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

したがって、申立理由(6)によって、請求項1及び7~9に係る特許を取り消すことはできない。

第7 むすび

以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によって、本件特許の請求項1及び7~9に係る特許を取り消すことはできない。

そして、他に本件特許の請求項1及び7~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

また、請求項2~6に係る特許に対する特許異議の申立ては、本件訂正により請求項2~6が削除されたことにより、特許異議の申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

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