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Trademark Appeal Case

請求項訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025700449
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7570928号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。
特許第7570928号の請求項1~3、5、6に係る特許を維持する。
特許第7570928号の請求項4、7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7570928号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和2年1月9日(優先権主張 平成31年1月21日(以下「優先日」という。) 日本国)に国際出願されたものであって、令和6年10月11日にその特許権の設定登録がされ、同年同月22日に特許掲載公報が発行された。

その後の特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和7年 4月22日 : 特許異議申立人 佐々木 香織(以下「申立人」という。)による全請求項に係る特許に対する特許異議の申立て

令和7年 7月15日付け: 取消理由通知書

令和7年 9月12日 : 意見書及び訂正請求書(特許権者)

令和7年10月28日 : 意見書(申立人)

令和7年11月27日付け: 取消理由通知書

令和8年1月21日 : 意見書(特許権者)

第2 訂正の適否

1 請求の内容

令和7年9月12日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次の訂正事項1~4のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1における、

「セパレータ、粘着剤層(1)、補強用基材、表面保護フィルムをこの順に有する補強用積層フィルムであって、

該セパレータと該粘着剤層(1)が直接に積層されてなり、

該補強用基材と該表面保護フィルムが直接に積層されてなり、

該セパレータは基材層(1)を含み、

該表面保護フィルムは、基材層(2)と粘着剤層(2)を含み、該粘着剤層(2)が該補強用基材に直接に積層され、

該粘着剤層(1)がアクリル系粘着剤から構成され、該アクリル系粘着剤がアクリル系粘着剤組成物から形成され、該アクリル系粘着剤組成物が、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸を含む組成物(A)から重合によって形成されるアクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、

該粘着剤層(2)がアクリル系粘着剤から構成され、

該補強用基材がプラスチックフィルムであり、

該補強用基材の厚みが25μm~500μmであり、

該補強用積層フィルムにおける該補強用基材のきっかけ剥離力Pが、該補強用積層フィルムにおける該セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい、

補強用積層フィルム。」との記載を、

「セパレータ、粘着剤層(1)、補強用基材、表面保護フィルムをこの順に有する補強用積層フィルムであって、

該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)を光学部材または電子部材に貼り合わせて該光学部材または該電子部材を補強し、その後、表面保護の必要がなくなった時点で該表面保護フィルムを該補強用基材から剥離する補強用積層フィルムであり、

該セパレータと該粘着剤層(1)が直接に積層されてなり、

該補強用基材と該表面保護フィルムが直接に積層されてなり、

該セパレータは基材層(1)を含み、

該表面保護フィルムは、基材層(2)と粘着剤層(2)を含み、該粘着剤層(2)が該補強用基材に直接に積層され、

該粘着剤層(1)がアクリル系粘着剤から構成され、該アクリル系粘着剤がアクリル系粘着剤組成物から形成され、該アクリル系粘着剤組成物が、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸を含む組成物(A)から重合によって形成される

重量平均分子量が100,000~1,000,000の

アクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、

該(メタ)アクリル酸の含有量が該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であり、

温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上であり、

該粘着剤層(2)がアクリル系粘着剤から構成され、

該アクリル系粘着剤が粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物から形成され、該粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物が、(p成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(q成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含む組成物(B)から重合によって形成される重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマーと、(r成分)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、

該補強用基材がプラスチックフィルムであり、

該補強用基材の厚みが25μm~500μmであり、

該補強用積層フィルムにおける該補強用基材のきっかけ剥離力Pが、該補強用積層フィルムにおける該セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい、

補強用積層フィルム。」と訂正する。

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項5における、

「請求項4に記載の補強用積層フィルム」との記載を、

「請求項

1

に記載の補強用積層フィルム」と訂正する。

(4)訂正事項4

特許請求の範囲の請求項7を削除する。

2 一群の請求項について

本件訂正前の請求項1~7において、請求項2~7はそれぞれ直接的または間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。

3 訂正の適否についての当審の判断

(1)訂正事項1

ア 訂正の目的

訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「補強用積層フィルム」と、当該「補強用積層フィルム」における「粘着剤層(1)」及び「粘着剤層(2)」を、それぞれ限定するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正かについての判断

上記アから明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の補強用積層フィルムを限定するものであり、当該補強用積層フィルムが「セパレータを剥離して露出させた粘着剤層(1)を光学部材または電子部材に貼り合わせて該光学部材または該電子部材を補強し、その後、表面保護の必要がなくなった時点で表面保護フィルムを補強用基材から剥離する補強用積層フィルム」であること、粘着剤層(1)及び粘着剤層(2)を、それぞれ限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正かについての判断

訂正事項1は、本件特許明細書の段落0031の「まず、セパレータ100を剥離して粘着剤層(1)200を露出させ、光学部材や電子部材などの露出面側に貼り合せて、該光学部材や該電子部材を補強する。・・・、表面保護の必要がなくなった時点で、補強用基材300から剥離される」との記載に基づいて、「該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)を光学部材または電子部材に貼り合わせて該光学部材または該電子部材を補強し、その後、表面保護の必要がなくなった時点で該表面保護フィルムを該補強用基材から剥離する補強用積層フィルムであ」ることを特定したものである。

訂正事項1により請求項1の粘着剤層(1)を限定する「重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマー」という事項は、本件特許明細書の段落0064に記載されており、「該(メタ)アクリル酸の含有量が該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であり、」という事項は、本件特許明細書の段落0072に記載されている。

訂正事項1により請求項1の粘着剤層(1)を限定する「温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上であり、」という事項は、本件特許明細書の請求項7,段落0056、実施例12(表1)、実施例24(表2)に記載されている。

訂正事項1により請求項1の粘着剤層(2)を限定する「該アクリル系粘着剤が粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物から形成され、該粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物が、(p成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(q成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含む組成物(B)から重合によって形成される重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマーと、(r成分)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、」という事項は、本件特許明細書の請求項4、段落0190、段落0195、段落0196、段落0205、段落0206に記載されている。

したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(2)訂正事項2

訂正事項2は請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

そして、訂正事項2は、請求項を削除することにより特許請求の範囲を減縮するものであって、本件特許の特許請求の範囲又は明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び同第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3

ア 訂正の目的

訂正事項3は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項4の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1において訂正前の請求項1に訂正前の請求項4の記載内容を含むように訂正し、それに伴い訂正事項2において訂正前の請求項4を削除するため、訂正前の請求項5が、訂正前の請求項4との引用関係を解消して、請求項1の記載を引用するものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当すると共に、訂正事項1及び2に伴って生じた引用する請求項の不整合を解消するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正かについての判断

訂正事項3は、引用関係を整合させる訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正かについての判断

訂正事項3は、引用関係を整合させる訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(4)訂正事項4

訂正事項4は請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

そして、訂正事項4は、請求項を削除することにより特許請求の範囲を減縮するものであって、本件特許の特許請求の範囲又は明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び同第6項の規定に適合する。

4 独立特許要件についての判断

本件訂正においては、訂正前の請求項1~7の全てに対して特許異議の申立がされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の規定は課されない。

5 小括

以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明

本件訂正は上記第2のとおり認められるので、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~7に係る発明(以下「本件訂正発明1」等といい、まとめて「本件訂正発明」ともいう。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】

セパレータ、粘着剤層(1)、補強用基材、表面保護フィルムをこの順に有する補強用積層フィルムであって、

該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)を光学部材または電子部材に貼り合わせて該光学部材または該電子部材を補強し、その後、表面保護の必要がなくなった時点で該表面保護フィルムを該補強用基材から剥離する補強用積層フィルムであり、

該セパレータと該粘着剤層(1)が直接に積層されてなり、

該補強用基材と該表面保護フィルムが直接に積層されてなり、

該セパレータは基材層(1)を含み、

該表面保護フィルムは、基材層(2)と粘着剤層(2)を含み、該粘着剤層(2)が該補強用基材に直接に積層され、

該粘着剤層(1)がアクリル系粘着剤から構成され、該アクリル系粘着剤がアクリル系粘着剤組成物から形成され、該アクリル系粘着剤組成物が、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸を含む組成物(A)から重合によって形成される

重量平均分子量が100,000~1,000,000の

アクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、

該(メタ)アクリル酸の含有量が該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であり、

温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上であり、

該粘着剤層(2)がアクリル系粘着剤から構成され、

該アクリル系粘着剤が粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物から形成され、該粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物が、(p成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(q成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含む組成物(B)から重合によって形成される重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマーと、(r成分)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、

該補強用基材がプラスチックフィルムであり、

該補強用基材の厚みが25μm~500μmであり、

該補強用積層フィルムにおける該補強用基材のきっかけ剥離力Pが、該補強用積層フィルムにおける該セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい、

補強用積層フィルム。

【請求項2】

前記セパレータの厚みが1μm~100μmである、請求項1に記載の補強用積層フィルム。

【請求項3】

前記表面保護フィルムの厚みが5μm~500μmである、請求項1または2に記載の補強用積層フィルム。

【請求項4】

(削除)

【請求項5】

前記(p成分)がアクリル酸2-エチルヘキシルであり、前記(q成分)がアクリル酸2-ヒドロキシエチルであり、前記(r成分)が多官能イソシアネート系架橋剤である、請求項

1

に記載の補強用積層フィルム。

【請求項6】

前記(r成分)がトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物である、請求項5に記載の補強用積層フィルム。

【請求項7】

(削除)

第4 特許異議の申立ての理由、取消理由の概要及び甲号証等の記載

1 特許異議の申立ての理由

申立人は、下記(1)~(3)の特許異議申立の理由(以下「申立理由1-1」~「申立理由2」ともいう。)を主張し、下記4(1)の甲第1号証~甲第4号証(以下番号順に「甲1」等ともいう。)を提出した。

(1)申立理由1-1(甲1を主たる引用例とした進歩性)

本件発明1~7は、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

(2)申立理由1-2(甲2を主たる引用例とした新規性、進歩性)

本件発明1~7は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

(3)申立理由2(サポート要件違反)

本件発明1~7には、粘着剤層(1)及び粘着剤層(2)におけるアクリル系粘着剤の成分含有量が特に規定されておらず、配合量にかかわらず、セパレーターを粘着剤層の表面からスムーズに剥離できるという効果を得ることができることは、本願の詳細な説明には、具体的な根拠とともに記載されておらず、当該事項が技術常識であったとも直ちに認められるものではないので、本件発明の課題を解決できない態様が含まれるといえるから、本件発明1~7についての特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

2 当審合議体が通知した令和7年7月15日付けの取消理由の概要

(1)取消理由1(甲1を主引例とした進歩性)(上記1(1)に対応)

本件発明1~7は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

(2)取消理由2(甲2を主引例とした進歩性)(上記1(2)に対応)

本件発明1~7は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

3 当審合議体が通知した令和7年11月27日付けの取消理由(決定の予告)の概要

(1)取消理由1(甲1を主引例とした進歩性)(上記1(1)に対応)

本件訂正発明1~3、5~6は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1~3、5~6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。

4 証拠方法

(1)特許異議申立人の提出したもの

甲1号証:特開2016-121301号公報

甲2号証:特開2017-149129号公報

甲3号証:パナック株式会社、フィルム製品webサイト、パナプロテクト(登録商標)、http://www.panac.co.jp/film/product/panaprotect

甲4号証:特開2018-200463号公報

(2)当審において追加したもの

参考文献1:特開2018-2850号公報(本件特許の明細書段落0005に記載の特許文献1の公開公報)

参考文献2:特開2016-17109号公報(本件特許の明細書段落0005に記載の特許文献2)

参考文献3:国際公開第2014/034580号(本件特許の参考文献)

参考文献4:国際公開第2014/034579号(本件特許の参考文献)

参考文献5:国際公開第2018/221232号(本件特許の参考文献)

第5 取消理由についての当審合議体の判断

1 刊行物等の記載について

甲3はアクリル系粘着剤についての記載のない証拠であるので、摘記を省略した。

(1)甲1には、次の記載がある。以下、下線は合議体による。

「【請求項1】

着剤層を有する基材フィルムと、該粘着剤層を介して貼り合わせたセパレータフィルムとを少なくとも有する粘着性フィルム

であって、該粘着剤層の25°Cにおける貯蔵弾性率は1.0×10

4

~1.0×10

7

Paであり、該セパレータフィルムのポリエステル粘着テープに対する180度剥離力(0.3m/分)は0.3N/50mm以下であり、該粘着剤層と該セパレータフィルムとの間の保持力は、JIS Z0237‐13に準じて、25°C、9.8Nの荷重下、幅25mm×長さ20mmの貼付面積で測定して200分以上である粘着性フィルム。

【請求項2】

前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース及びポリカーボネートからなる群から選択される樹脂を含む、請求項1に記載の粘着性フィルム。

【請求項3】

前記粘着性フィルムは機能層をさらに有する、請求項1又は2に記載の粘着性フィルム。

【請求項4】

前記粘着剤層から前記セパレータフィルムを剥離する際の180度剥離力(0.3m/分)が0.6N/50mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着性フィルム。

【請求項5】

前記粘着剤層から前記セパレータフィルムを剥離する際の180度剥離力(30m/分)が0.3N/50mm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着性フィルム。」

「【0001】

本発明は、セパレータフィルムの剥離性に優れ、作業性が良く、打ち抜き加工時においてツーリングマークが生じにくい

粘着性フィルムに関する。特に、タッチパネル等のディスプレイにおける飛散防止フィルムとして有用であり、セパレータフィルムの剥離性に優れ

、作業性が良く、打ち抜き加工時においてツーリングマークが生じにくい粘着性フィルムに関する。

【背景技術】

【0002】

タッチパネルは、携帯電話、タブレット型端末、ノートパソコン、カーナビゲーション等の電子機器に採用されている。

【0003】

タッチパネルは、通常、ディスプレイ画面領域とディスプレイ画面領域の外の額縁と称される領域を有している。額縁領域は画像表示には寄与しない領域であるため、近年、額縁面積を狭小化することにより、ディスプレイ画面の大きさを維持しつつ、電子機器を小型化、軽量化することが検討されている。

【0004】

また、タッチパネルには、液晶モジュール、タッチパネルセンサ、カバーガラス等の部材に加えて、これらの部材を互いに粘着する目的や、タッチパネルを加飾する目的等の様々な目的で種々のフィルムが組み込まれている。

例えば、タッチパネルに組み込まれた衝撃により破砕しやすい部材(タッチパネルセンサやカバーガラスにおいて使用されるガラス板等)が衝撃により飛散することを防止する目的で、粘着性フィルムが使用されている。

このような目的で使用される粘着性フィルムは、通常、セパレータフィルムを備えた状態のフィルムを打ち抜き加工により所望のサイズに切り出し、セパレータフィルムを剥がしてガラス板等に貼り付けることにより使用される。」

「【発明が解決しようとする課題】

【0008】

フィルムを打ち抜き加工により切り出す際、切り出されたフィルムのエッジ部分の内側にツーリングマークと称される線状の欠陥が生じる場合がある。この線状の欠陥は、通常、額縁領域の範囲内に入るため、ツーリングマークが生じていても、フィルムをタッチパネルにおいて使用する際に大きな問題となることはなかった。しかし、近年の額縁面積の狭小化に伴いツーリングマークが額縁領域の外に出る場合があり、ツーリングマークが生じにくい粘着フィルムに対する要求が高まりつつある。さらに、このツーリングマークは、フィルムが大型化するにつれて生じ易くなる。このような課題は、特許文献1には開示されていない。

また、

セパレータフィルムを剥離してガラス板等に貼り付ける際の作業性の観点からは、セパレータフィルムが良好な剥離性を有していることが求められる

。特にフィルムが大型化するにつれて、より低い剥離力を有する粘着性フィルムに対する要求が高まりつつある。

【0009】

そこで、本発明の課題は、セパレータフィルムの剥離性に優れ、作業性が良く、打ち抜き加工時において例えばフィルムのエッジ部分の内側に視認されるようなツーリングマークが生じにくい粘着性フィルムを提供することである。特に、本発明の課題は、タッチパネル等のディスプレイにおける飛散防止フィルムとして有用な、セパレータフィルムの剥離性に優れ、作業性が良く、打ち抜き加工時においてツーリングマークが生じにくい、粘着性フィルムを提供することである。」

「【0012】

本発明の粘着性フィルムは、セパレータフィルムの剥離性に優れ、作業性が良く

、打ち抜き加工時において例えばフィルムのエッジ部分の内側に視認されるようなツーリングマークが生じにくい。」

「【0015】

本発明の粘着性フィルムにおける基材フィルムは、光学的に透明なフィルムであることが好ましい。基材フィルムは、例えばJIS K 7361-1に規定される方法により測定して好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の全光線透過率を有する。

【0016】

このような基材フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を含むフィル

ムが挙げられる。

本発明の粘着性フィルムにおける基材フィルムは加工性、透明性、耐候性、耐溶剤、剛性、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース及びポリカーボネートからなる群から選択される樹脂を含むフィルムであることが好ましく、タッチパネルにおいて飛散防止の目的で使用する際の飛散防止性と光学特性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含むフィルムであることがより好ましい

【0017】

基材フィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。

破断強度の観点から、基材フィルムは二軸延伸フィルムであることが好ましい

【0018】

基材フィルムには、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、カップリング剤等が挙げられる。

【0019】

基材フィルムの厚みは、加工性、破断強度、剛度の観点から

、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに

好ましくは50μm以上である。基材フィルムの厚みは、加工性の観点から、好ましくは500μm以下であり

、より好ましくは300μm以下である。基材フィルムの厚みはマイクロメーター(JIS B-7502)を用いて、JIS C-2151に準拠して測定される。」

「【0032】

粘着剤層は粘着剤組成物から形成される。粘着剤組成物は、粘着剤層が上記貯蔵弾性率を有する限り特に限定されないが、光学的に透明な粘着剤層を形成する粘着剤組成物であることが好ましい。粘着剤層は、例えばJIS K 7361-1に規定される方法により測定して好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の全光線透過率を有する。

【0033】

粘着剤組成物は、例えばアクリル系粘着剤、

シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤等であってよい。また、溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。

なかでも透明度、耐候性、耐久性、コスト等の観点から溶剤型アクリル系粘着剤が特に好ましい

。本発明の粘着性フィルムにおける粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、例えば、アクリル系粘着剤組成物(例えば新タック化成株式会社製「NA011FF」)、アクリル系粘着剤組成物(例えば新タック化成株式会社製「NA012FF」)、アクリル系粘着剤組成物(例えば新タック化成株式会社製「SA031FF」)等であってよい。

【0034】

アクリル系粘着剤は、アクリル系共重合体が架橋剤によって架橋された重合体を含む。アクリル系共重合体は、非架橋性アクリル単量体単位と架橋性単量体単位とを有する重合体である。

ここで、「単量体単位」は重合体を構成する繰り返し単位である。「アクリル単量体」は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることを示す。また、非架橋性アクリル単量体は架橋性を有さないアクリル単量体であり、架橋性単量体は架橋性基を有する単量体である。架橋性単量体は、非架橋性アクリル単量体と重合可能なものであればアクリル単量体であっても非アクリル単量体であってもよいが、アクリル単量体であることが好ましい。架橋性基としては、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、グリシジル基等が挙げられ、この中でもカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基が好ましい。酸成分による腐食の懸念のある用途にはヒドロキシ基、アミノ基が好ましい。

【0035】

非架橋性アクリル単量体単位としては、

たとえば、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の水素原子を炭化水素基で置換した(メタ)アクリル酸エステル単位が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は1~18が好ましく、1~8がより好ましい。該炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、架橋性基を含まないものであれば特に限定されず、たとえばメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。

【0036】

該(メタ)アクリル酸エステルとして具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

これらの中でも、適度な接着性を有し、所望の粘弾性の範囲に調整が容易なことから、アクリル酸n-ブチル、

アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸メチル

が好ましい。

特にアクリル酸n-ブチル又はアクリル酸2-エチルヘキシルを、アクリル系共重合体100質量部に対して、20~90質量部の範囲で用いることがより好ましく、40~80質量部の範囲で用いることがさらに好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。

【0037】

架橋性単量体単位としては、カルボキシ基含有共重合性単量体単位、

ヒドロキシ基含有共重合性単量体単位、アミノ基含有共重合性単量体単位、グリシジル基含有共重合性単量体単位

が挙げられる。

【0038】

カルボキシ基含有共重合性単量体としては、例えば、アクリル酸

、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グラタコン酸などのα,β-不飽和カルボン酸やその無水物などが挙げられる。

【0039】

ヒドロキシ基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。

【0040】

アミノ基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミドなどが挙げられる。グリシジル基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。

【0041】

これらの中でも、粘着性、架橋性及び重合性等を調整しやすい観点から、カルボキシ基含有共重合性単量体が好ましい。

【0042】

架橋剤は、熱硬化の場合、3官能のイソシアネートや4官能のエポキシ硬化剤が好ましい

。UV硬化の場合は2官能のアクリレート、例えばポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3-メチル-1、5-ペンタンジオールジアクリレート、1、6-ヘキサンジオールジアクリレート、1、9-ノナンジオールジアクリレート等が好ましい。

【0043】

アクリル系共重合体の重量平均分子量は10万~250万であることが好ましく、50万~200万であることがより好ましい。アクリル系共重合体の重量平均分子量を上記範囲にすることにより、十分な凝集力を発揮させることができ、耐久性を高めることができる。

さらに、粘度上昇を抑制することができ、粘着層形成が容易になる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によりポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに計算されたものである。」

「【0052】

セパレータフィルムは、上記180度剥離力を有する限り特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエステル等の各種樹脂を含むフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙等の各種紙材を基材とし、この基材の粘着剤層との接合面に、必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。剥離処理に使用される樹脂としては、例えばシリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。セパレータフィルムは、加工性、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエステル等からなる群から選択される樹脂を含むフィルムであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される樹脂を含むフィルムであることがより好ましい。本発明の粘着性フィルムにおいてセパレータフィルムとして好ましく使用されるフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば東洋紡株式会社製「東洋紡エステル(登録商標)NZ-211」)、ポリエステルフィルム(例えば三菱樹脂株式会社製「ダイアホイル(登録商標)MRV」、「ダイアホイル(登録商標)MRF」)等である。

【0053】

セパレータフィルムの厚みは、加工性の観点から、好ましくは1μm以上であ

、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。

セパレータフィルムの厚みは、剛度、コストの観点から、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。

セパレータフィルムの厚みは、基材フィルムと同様にして測定される。」

「【0058】

本発明の粘着性フィルムは、粘着剤層を有する基材フィルムと、該粘着剤層を介して貼り合わせたセパレータフィルムの他に、少なくとも1つの機能層を有してもよい。機能層としては、例えばハードコート層、反射防止層、低屈折率層、高屈折率層、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層、ガスバリア層、ブロッキング防止層等が挙げられる。機能層は、粘着剤層と基材フィルムとの間に設けられてもよいし、基材フィルムの粘着剤層とは反対の面に設けられてもよい。本発明の粘着性フィルムは、1層の機能層を有していてもよいし、2層以上の機能層を有していてもよい。これら機能層の厚みは、各機能層の目的に応じて適宜選択してよいが、加工性の観点から、好ましくは0.01~100μmである。また、

本発明の粘着性フィルムは、製造工程等における表面の損傷や汚染を防止する目的で、粘着剤層とは反対側の表面に保護フィルムを有していてもよい

。」

「【0083】

以下の実施例及び比較例において、次の表1に示す基材フィルムA、粘着剤組成物A~D、セパレータフィルムA~Eを使用した。

【表1】

86

57

0001436182000001.jpg

【0084】

実施例1

粘着剤組成物Aを基材フィルムAに貼り合わせ、得られたフィルムに粘着層を介してセパレータフィルムAを張り合わせ、粘着層を有するフィルムを得た。得られたフィルムの基材面に保護フィルムAを貼り合わせ

、33g/cm

2

の荷重をかけ40°Cの環境下に240時間静置し、

粘着性フィルム1を得た

【0085】

実施例2

セパレータフィルムAに代えてセパレータフィルムBを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着性フィルム2を得た。

【0086】

実施例3

粘着剤組成物Aに代えて粘着剤組成物Bを用いたこと以外は実施例2と同様にして、粘着性フィルム3を得た。

【0087】

実施例4

粘着剤組成物Aに代えて粘着剤組成物Cを用いたこと以外は実施例2と同様にして、粘着性フィルム4を得た。

【0088】

実施例5

セパレータフィルムBに代えてセパレータフィルムCを用いたこと以外は実施例4と同様にして、粘着性フィルム5を得た。」

「 【0092】

上記実施例及び比較例に記載した厚み、180度剥離力(0.3m/分)及び貯蔵弾性率の測定方法は次の通りである。また、粘着性フィルム1~8について

、粘着剤層とセパレータフィルムとの間の保持力、粘着剤層からセパレータフィルムを剥離する際の180度剥離力(0.3m/分)及び180度剥離力(30m/分)を次の測定方法に従い測定した。

得られた結果を表2に示す。

【0093】

〔厚み〕

基材フィルム、セパレータフィルム及び粘着性フィルムの厚みは、マイクロメーター(JIS B-7502)を用いて、JIS C-2151に準拠して測定した。

粘着剤層の厚みは、粘着性フィルムを切断して断面を顕微鏡で観察して測定した。

【0094】

〔セパレータフィルムのポリエステル粘着テープに対する180度剥離力〕

セパレータフィルムに幅50mm×長さ100mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製NO.31Bテープ、アクリル系粘着剤)を、2kgのローラーを2往復させることにより貼付し、23°C50%の環境下に1時間静置した。得られたフィルムを測定試料とし、引っ張り試験機(ミネベア株式会社製万能引張試験機「テクノグラフTGI-1kN」)を用いて0.3m/分の速度で180度剥離を行い、その際の剥離力を計測した。測定は3回行い、その平均値をセパレータフィルムの180度剥離力とした。

【0095】

〔粘着剤層からセパレータフィルムを剥離する際の180度剥離力(0.3m/分)〕

粘着性フィルムを幅50mm×長さ100mmに切り出し、測定試料を得た。測定試料について、引っ張り試験機(ミネベア株式会社製 万能引張試験機「テクノグラフTGI-1kN」)を用いて0.3m/分の速度で180度剥離を行い、その際の剥離力を計測した。測定は3回行いその平均値を粘着剤層からセパレータフィルムを剥離する際の180度剥離力(0.3m/分)とした。

【0096】

〔粘着剤層からセパレータフィルムを剥離する際の180度剥離力(30m/分)〕

粘着性フィルムを幅50mm×長さ150mmに切り出し、測定試料を得た。測定試料について、(有限会社イーガーコーポレーション社製 高速剥離試験機「EGTE-702」)を用いて30m/分の速度で180度剥離を行い、その際の剥離力を計測した。測定は3回行い、その平均値を粘着剤層からセパレータフィルムを剥離する際の180度剥離力(30m/分)とした。

【0097】

〔貯蔵弾性率〕

測定試料として、粘着剤層を有する基材フィルムを直径2cmの円形状に打ち抜いたフィルムを使用した。粘着剤層の貯蔵弾性率を、上記試料を用いて、動的粘弾性測定装置(レオロジカ社製、「DAR-2000」)で、直径2cmのパラレル型プレートにより、オシレーション歪み制御モード、周波数1Hz、歪み0.1%、温度25°Cの条件で測定した(昇温速度:2°C/分)。測定は3回行い、その平均値を貯蔵弾性率とした。

【0098】

〔保持力〕

保持力の測定は、JIS Z0237‐13に準じて行った。なお、JIS Z0237‐13に規定される試験方法は、SUS板を被着体としてSUS板と粘着剤層との間の保持力を測定するための試験方法であるが、本実施例においては当該試験方法に準じて、セパレータフィルムと粘着剤層との間の保持力を測定する試験方法として用いた。

まず、粘着性フィルム1~8から幅25mm×長さ100mmのフィルムを切り出した(図2参照)。切り出したフィルムの一方の端から幅25mm×長さ40mmの部分のセパレータフィルムを切り取り剥離した。セパレータフィルムを剥離したことにより現れる幅25mm×長さ35mmの粘着面を、SUS板にセロハン粘着テープで貼りつけ固定した。次に、上記フィルムの他方の端から幅25mm×長さ40mmの部分の保護フィルム、基材フィルム及び粘着剤層の積層部分を切り取り、セパレータフィルムは残した。単層になった幅25mm×長さ35mmのセパレータフィルム部分をSUS板にセロハン粘着テープで貼りつけ固定し、保持力測定試料とした(図3参照)。

保持力測定試料の一方のSUS板(セパレータフィルム単層側)をJIS Z0237‐13に準じる試験装置の取付けパネルに取り付け、他方のSUS板(保護フィルム、基材フィルム及び粘着剤層の積層側)に1kgの重りをつるして荷重をかけて、25°C、湿度50%で、セパレータフィルムから粘着剤層が剥がれ落ちるまでの経過時間を測定し、この時間を保持力とした(図3参照)。測定は3回行い、その平均値を保持力とした。なお、上記の試験において、セパレータフィルムと粘着剤層との貼付面積は幅25mm×長さ20mmとなる。

【0099】

さらに、粘着性フィルム1~8について、次の評価方法に従いツーリングマーク及び剥離性を評価した。得られた結果を表2に示す。

【0100】

〔ツーリングマークの評価〕

打ち抜きプレス機(富士商工マシナリー株式会社製「UD-5000」)を用いて、ピクナル刃、刃高1.2mm、両刃にて、粘着性フィルム1~8を保護フィルム側からA4サイズ(210×297mm)に打ち抜いた。なお、実際の製造工程においても、通常、セパレータフィルムとは反対側の面から打ち抜きが行われる。

打ち抜き後の粘着性フィルム1~8に光源として、LEDライト(ジェントス株式会社製「レッドレンザーM7R」)を用いて光を透過させて、白板上にフィルムの影を投影してフィルムのエッジ部分の内側に生じるツーリングマークの有無を次の指標で評価した。

なお、投影方法は、打ち抜き後の粘着性フィルムを白板と光源との間に設置し、その距離を白板から50mm、光源から200mmとした。

◎ツーリングマークが全く見られない○ツーリングマークが、打ち抜き後のフィルムのエッジから5mm以上の位置に見られない×ツーリングマークが、打ち抜き後のフィルムのエッジから5mm以上の位置に見られる

【0101】

〔剥離性の評価〕

粘着性フィルム1~8をA3サイズ(297×420mm)に切り取った。切り取った粘着性フィルム1~8のセパレータフィルムを手で剥離し、剥離時の剥離性を次の指標で評価した。得られた結果を表1に示す。

◎剥離感が軽く、剥離が非常にスムーズである

○剥離感がやや強いが、剥離がスムーズである

×剥離感が強く、剥離しにくい

【0102】

【表2】

21

57

0001436182000002.jpg

【0103】

表2から分かるように、実施例1~5において、ツーリングマーク耐性に優れており、かつ、セパレータフィルムの剥離性も良好であった。

比較例6及び7において、保持力が低く、ツーリングマーク耐性に劣るものであった。比較例8において、180度剥離力が高く、剥離性に劣るものであった。

【符号の説明】

【0104】

1 ツーリングマーク

2 エッジ部

3 保護フィルム

4 基材層

5 粘着剤層

6 セパレータフィルム

7 SUS板

8 おもり」

「【図3】

39

26

0001436182000003.jpg

(2)甲2には、次の記載がある。

「【請求項1】

光学部材と表面保護フィルムの積層体と、該光学部材の該表面保護フィルムと反対側に備えられた粘着剤層(2)と、該粘着剤層(2)の該光学部材と反対側に備えられた剥離ライナーと、をこの順に有する表面保護フィルム付光学部材

であって、

該表面保護フィルムは基材層と粘着剤層(1)とを含み、

該表面保護フィルムの該粘着剤層(1)が光学部材側であり、

該積層体からの該光学部材のきっかけ剥離力Pが該剥離ライナーのきっかけ剥離力Qよりも大きい、

表面保護フィルム付光学部材。

【請求項2】

前記光学部材の厚みが1μm~500μmである

、請求項1に記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項3】

前記表面保護フィルムの厚みが5μm~500μmである

、請求項1または2に記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項4】

前記剥離ライナーの厚みが1μm~500μmである

、請求項1から3までのいずれかに記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項5】

前記基材層がプラスチックフィルムである、請求項1から4までのいずれかに記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項6】

前記粘着剤層(1)に含まれる粘着剤が

ウレタン系粘着剤、

アクリル系粘着剤、

ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤から選ばれる少なくとも1種である、請求項1から5までのいずれかに記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項7】

前記ウレタン系粘着剤が、ポリオール(A)と多官能イソシアネート化合物(B)を含有する組成物から形成されるポリウレタン系樹脂を含む、請求項6に記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項8】

前記ポリオール(A)と前記多官能イソシアネート化合物(B)における、NCO基とOH基の当量比が、NCO基/OH基として2.0以下である、請求項7に記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項9】

前記ウレタン系粘着剤が、ウレタンプレポリマー(C)と多官能イソシアネート化合物(B)を含有する組成物から形成されるポリウレタン系樹脂を含む、請求項6に記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項10】

前記ウレタンプレポリマー(C)と前記多官能イソシアネート化合物(B)における、NCO基とOH基の当量比が、NCO基/OH基として2.0以下である、請求項9に記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項11】

前記ウレタン系粘着剤が脂肪酸エステルを含む、請求項7から10までのいずれかに記載の表面保護フィルム付光学部材。

【請求項12】

前記アクリル系粘着剤が、(a)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸から選ばれる少なくとも1種、(c)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤から選ばれる少なくとも1種、を含有する組成物から形成されるアクリル系樹脂を含む、請求項6に記載の表面保護フィルム付光学部材

【請求項13】

前記光学部材表面に対する前記表面保護フィルムの濡れ速度が5cm

2

/秒以上である、請求項1から12までのいずれかに記載の表面保護フィルム付光学部材。」

「【0002】

液晶表示装置などの光学製品の製造工程においては、偏光板等の光学部材の一方の表面には、粘着剤層を介して剥離ライナーが貼着されていることが一般的である。そして、このような

光学部材を他の部材(例えば、他の光学部材)に貼り合せる場合には、その前に剥離ライナーを剥離し、粘着剤層を露出させ、他の部材に貼着する

(例えば、特許文献1)。

【0003】

他方、光学部材は、加工、組立、検査、輸送などの際の表面の傷付き防止のために、一般に、露出面側に表面保護フィルムが貼着される。

このような表面保護フィルムは、表面保護の必要がなくなった時点で、光学部材から剥離される

【0004】

すなわち、液晶表示装置などの光学製品の製造工程においては、光学部材には、一方の表面に粘着剤層を介して剥離ライナーが貼着されており、もう一方の表面に表面保護フィルムが貼着されていることが一般的である。

【0005】

このような

表面保護フィルム付光学部材において、上記のように剥離ライナーを剥離しようとする際には、該剥離ライナーと粘着剤層との界面でのみ剥離が起こることが重要である

。しかしながら、

従来の表面保護フィルム付光学部材においては、

上記のように剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離されてしまうという問題、すなわち、

光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こってしまうという問題が生じている。このような問題は、特に、光学部材が薄い場合に顕著である

。」

「【発明が解決しようとする課題】

【0007】

本発明の課題は、

一方の表面に粘着剤層を介して剥離ライナーが貼着されており、もう一方の表面に表面保護フィルムが貼着されている光学部材であって

、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、

光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難い、表面保護フィルム付光学部材を提供すること

にある。」

「【0025】

図1は、本発明の一つの実施形態による表面保護フィルム付光学部材の概略断面図である。

図1において、本発明の表面保護フィルム付光学部材1000は、剥離ライナー10と、粘着剤層(2)20と、光学部材30と、粘着剤層(1)40と、基材層50と、をこの順に有し、粘着剤層(1)40と基材層50とが表面保護フィルム100を構成している

【0026】

光学部材の厚みは、好ましくは1μm~500μmであり

、より好ましくは3μm~450μmであり、さらに好ましくは5μm~400μmであり、特に好ましくは10μm~300μmである。本発明の表面保護フィルム付光学部材は、光学部材の厚みがこのように薄い場合であっても、

剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い

、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果を発現し得る。

【0027】

表面保護フィルムの厚みは、好ましくは5μm~500μmであり

、より好ましくは10μm~450μmであり、さらに好ましくは15μm~400μmであり、特に好ましくは20μm~300μmである。表面保護フィルムの厚みが上記範囲内に調整されることにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、

剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い

、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0028】

剥離ライナーの厚みは、好ましくは1μm~500μmであり

、より好ましくは3μm~450μmであり、さらに好ましくは5μm~400μmであり、特に好ましくは10μm~300μmである。剥離ライナーの厚みが上記範囲内に調整されることにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、

剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い

、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0029】

本発明の表面保護フィルム付光学部材は、光学部材と表面保護フィルムの積層体からの該光学部材のきっかけ剥離力Pが剥離ライナーのきっかけ剥離力Qよりも大きい。きっかけ剥離力Pがきっかけ剥離力Qよりも大きいことにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難い。

【0030】

きっかけ剥離力P/きっかけ剥離力Qは、1以上である。」

「【0035】

図2は、光学部材と表面保護フィルムの積層体からの該光学部材のきっかけ剥離力Pを説明する概略断面図である。図2に示すように、きっかけ剥離力Pは、光学部材30と表面保護フィルム100の積層体から、光学部材30を剥離するときのきっかけ剥離力である。きっかけ剥離力Pの測定方法については後述する。

【0036】

図3は、剥離ライナーのきっかけ剥離力Qを説明する概略断面図である。図3に示すように、きっかけ剥離力Qは、剥離ライナー10と粘着剤層(2)20と光学部材30の積層体から、剥離ライナー10を剥離するときのきっかけ剥離力である。きっかけ剥離力Qの測定方法については後述する。

【0037】

≪光学部材≫

光学部材としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な光学部材を採用し得る。光学部材は、1層のものであっても良いし、多層のものであってもよい。このような光学部材としては、好ましくは、偏光板、偏光板を含む多層光学素子、位相差板、LCD、LCDなどを用いたタッチパネル、LCDに使用されるカラーフィルターなどが挙げられる

。」

「【0056】

粘着剤層(1)に含まれる粘着剤は、好ましくは、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤

、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であり、本発明の効果をより発現し得る点で、より好ましくは、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは、ウレタン系粘着剤である。

・・・

【0202】

アクリル系粘着剤

アクリル系粘着剤はアクリル系樹脂を含む。

【0203】

アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0204】

アクリル系粘着剤は、アクリル系樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、アクリル系樹脂以外の樹脂成分、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒などが挙げられる。

【0205】

アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアクリル系樹脂を採用し得る。アクリル系粘着剤は、好ましくは、

(a)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸から選ばれる少なくとも1種、(c)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤から選ばれる少なくとも1種、を含有する組成物から形成されるアクリル系樹脂を含む

【0206】

アクリル系樹脂を形成する組成物中の(a)成分の含有割合は、好ましくは85重量%~99.5重量%であり、より好ましくは90重量%~98.5重量%であり、さらに好ましくは92.5重量%~98重量%であり、特に好ましくは95重量%~97.5重量%である。アクリル系樹脂を形成する組成物中の(a)成分の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0207】

アクリル系樹脂を形成する組成物中の(b)成分の含有割合は、好ましくは0.5重量%~15重量%であり、より好ましくは1.5重量%~10重量%であり、さらに好ましくは2重量%~7.5重量%であり、特に好ましくは2.5重量%~5重量%である。アクリル系樹脂を形成する組成物中の(b)成分の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0208】

アクリル系樹脂を形成する組成物中の(c)成分の含有割合は、好ましくは1重量%~10重量%であり、より好ましくは1.5重量%~9重量%であり、さらに好ましくは2重量%~8重量%であり、特に好ましくは2.5重量%~7重量%である。アクリル系樹脂を形成する組成物中の(c)成分の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0209】

アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、iso-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、

iso-ヘキシル(メタ)アクリレート

、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、iso-ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、iso

-ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ一トが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

【0210】

アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは4~10であり、より好ましくは4~8である。アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。

【0211】

OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、

2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート

、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7-ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8

-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

【0212】

多官能イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4 ́-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、

トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製)

、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

【0213】

エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N ́,N ́-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(商品名「TETRAD-X」三菱瓦斯化学社製)、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名「TETRAD-C」三菱瓦斯化学社製)などが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。」

「【0226】

≪剥離ライナー≫

剥離ライナーとしては、例えば、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がシリコーン処理された剥離ライナー、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がポリオレフィン系樹脂によりラミネートされた剥離ライナーなどが挙げられる。ライナー基材としてのプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。ライナー基材としてのプラスチックフィルムとしては、好ましくは、ポリエチレンフィルムである。」

「【0230】

粘着剤層(2)に含まれる粘着剤は、好ましくは、アクリル系粘着剤である

【0231】

アクリル系粘着剤はアクリル系樹脂を含む。

【0232】

アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0233】

アクリル系粘着剤は、アクリル系樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、アクリル系樹脂以外の樹脂成分、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒などが挙げられる。

【0234】

アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアクリル系樹脂を採用し得る。アクリル系粘着剤は、好ましくは、

(a)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸から選ばれる少なくとも1種、(c)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤から選ばれる少なくとも1種、を含有する組成物から形成されるアクリル系樹脂を含む

【0235】

アクリル系樹脂を形成する組成物中の(a)成分の含有割合は、好ましくは85重量%~99.9重量%であり、より好ましくは90重量%~99.8重量%であり、さらに好ましくは92.5重量%~99.7重量%であり、特に好ましくは95重量%~99.6重量%である。アクリル系樹脂を形成する組成物中の(a)成分の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0236】

アクリル系樹脂を形成する組成物中の(b)成分の含有割合は、好ましくは0.1重量%~15重量%であり、より好ましくは0.2重量%~10重量%であり、さらに好ましくは0.3重量%~7.5重量%であり、特に好ましくは0.4重量%~5重量%である。アクリル系樹脂を形成する組成物中の(b)成分の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0237】

アクリル系樹脂を形成する組成物中の(c)成分の含有割合は、好ましくは0.01重量%~1.5重量%であり、より好ましくは0.02重量%~1.0重量%であり、さらに好ましくは0.03重量%~0.8重量%であり、特に好ましくは0.05重量%~0.7重量%である。アクリル系樹脂を形成する組成物中の(c)成分の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0238】

アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、

n-ブチル(メタ)アクリレート

、iso-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、iso-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、iso-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、iso-ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、iso

-ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ一トが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

【0239】

アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは4~10であり、より好ましくは4~8である。アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。

【0240】

OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7-ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8

-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

【0241】

多官能イソシアネート系架橋剤と

しては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4 ́-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

【0242】

エポキシ系架橋剤

としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N ́,N ́-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(商品名「TETRAD-X」三菱瓦斯化学社製)、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名「TETRAD-C」三菱瓦斯化学社製)などが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

・・・

【0246】

アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は

、テトラヒドロフラン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した値が、

好ましくは100万以上であり、より好ましくは110万~250万であり、さらに好ましくは120万~230万であり、特に好ましくは130万~210万である。アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。

【0247】

アクリル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で製造し得る。このような方法としては、例えば、アクリル系樹脂を形成する組成物の重合反応が挙げられる。」

「【0256】

〔製造例1〕:偏光板用粘着剤の製造

攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、

ブチルアクリレート(株式会社日本触媒製):99重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製):1重量部、

重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製):0.1重量部、酢酸エチル:100重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を55°C付近に保って8時間

重合反応を行い、重量平均分子量160万のアクリル系ポリマー溶液(50重量%)を調製した。得られたアクリル系ポリマー溶液(50重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、架橋剤としてコロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製):0.1重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液を調製した。

【0257】

〔製造例2〕:偏光板の製造

(偏光子の作製)

重合度2400、ケン化度99.9%、厚み30μmのポリビニルアルコールフィルムを、30°Cの温水中に浸漬し、膨潤させながら、ポリビニルアルコールフィルムの長さが元長の2.0倍となるように一軸延伸を行った。次いで、ヨウ素とヨウ化カリウムの混合物(重量比=0.5:8)の濃度が0.3重量%の水溶液(染色浴)に浸漬し、ポリビニルアルコールフィルム長さが元長の3.0倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。その後、ホウ酸5重量%、ヨウ化カリウム3重量%の水溶液(架橋浴1)中に浸漬しながら、ポリビニルアルコールフィルムの長さが元長の3.7倍となるように延伸した後、60°Cのホウ酸4重量%、ヨウ化カリウム5重量%の水溶液(架橋浴2)中で、ポリビニルアルコールフィルムの長さが元長の6倍となるように延伸した。その後、ヨウ化カリウム3重量%の水溶液(ヨウ素含浸浴)でヨウ素イオン含浸処理を行った後、60°Cのオーブンで4分間乾燥し、偏光子を得た。

得られた偏光子の厚みは12μmであった

(水系接着剤の調製)

アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200、ケン化度:98.5モル%、アセトアセチル化度:5モル%)を30°Cの温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度4%に調整して水系接着剤を得た。

(偏光板の製造)

厚み25μmのトリアセチルセルロース(TAC)に、上記水系接着剤を乾燥後の接着剤層の厚みが80nmとなるように塗工し、接着剤層付偏光子保護フィルムを得た。

次いで、23°Cの温度条件下で、

上記偏光子の両面に、上記接着剤層付偏光子保護フィルムをロール機で貼り合せ、その後、55°Cで6分間乾燥し、偏光板を作製した

。上記偏光子と上記接着剤層付偏光子保護フィルムの貼り合わせは、上記偏光子と上記接着剤層付偏光子保護フィルムの接着剤層とが接するように行った。このようにして偏光板を製造した。

【0258】

〔製造例3〕:剥離ライナーの製造

製造例1で製造した偏光板用粘着剤を、一方の面にシリコーン処理を施した厚み38μmのポリエステル樹脂からなる基材のシリコーン処理面、及び、厚み50μmのポリエステル樹脂からなる基材のシリコーン処理面に、それぞれ塗布し、乾燥後の厚みが20μmとなるように、乾燥温度150°C、乾燥時間2分の条件でキュアーして乾燥し、粘着剤層を形成した。このようにして、厚み38μmの剥離ライナーと粘着剤層との積層体、及び、厚み50μmの剥離ライナーと粘着剤層との積層体を製造した。

【0259】

〔製造例4〕:剥離ライナーと粘着剤層との積層体が付いた偏光板の製造

製造例2で得られた偏光板の片側に、製造例3で得られた剥離ライナーと粘着剤層との積層体の粘着剤層側を貼りあわせて

、剥離ライナーと粘着剤層との積層体が付いた偏光板を作製した。

剥離ライナーを除いた粘着剤層付偏光板の厚みは82μmであった

【0260】

〔製造例5〕:表面保護フィルムに含まれる粘着剤層の形成材料である、ウレタン系粘着剤組成物(U1)の製造

ポリオール(A)として、OH基を3個有するポリオールであるプレミノールS3011(旭硝子株式会社製、Mn=10000)、OH基を3個有するポリオールであるサンニックスGP-3000(三洋化成株式会社製、Mn=3000)、OH基を3個有するポリオールであるサンニックスGP-1000(三洋化成株式会社製、Mn=1000)、多官能イソシアネート化合物(B)として多官能脂環族系イソシアネート化合物であるコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製)、触媒(日本化学産業株式会社製、商品名:ナーセム第2鉄)、劣化防止剤としてIrganox1010(BASF製)、脂肪酸エステルとしてミリスチン酸イソプロピル(花王株式会社製、商品名:エキセパールIPM、Mn=270)または2-エチルヘキサン酸セチル(日清オイリオグループ株式会社製、商品名:サラコス816T、Mn=368)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド(第一工業製薬株式会社製、商品名:AS110)、両末端型のポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、商品名:KF-6004)、希釈溶剤として酢酸エチルを加えて混合攪拌を行い、ウレタン系粘着剤組成物を製造した。配合部数は、表1中に記載した。

【0261】

〔製造例6〕:表面保護フィルムに含まれる粘着剤層の形成材料である、ウレタン系粘着剤組成物(U2)の製造

ウレタンプレポリマー(C)として、サイアバインSH-109(トーヨーケム株式会社製)、多官能イソシアネート化合物(B)として多官能脂環族系イソシアネート化合物であるコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製)、希釈溶剤としてトルエンを加えて混合攪拌を行い、ウレタン系粘着剤組成物(U2)を調整した。配合部数は、表1中に記載した。なおトルエンを除く各材料の配合部数は、いずれも固形分換算となり、トルエンの部数は粘着剤中に含まれるすべての溶剤量を指す。

【0262】

〔製造例7〕:表面保護フィルムに含まれる粘着剤層の形成材料である、アクリル系粘着剤組成物(Ac1)の製造

攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、

2-エチルヘキシルアクリレート(株式会社日本触媒製):100重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(東亜合成株式会社製):4重量部

、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製):0.2重量部、酢酸エチル:156重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65°C付近に保って6時間

重合反応を行い、重量平均分子量55万のアクリル系ポリマー(Ac1P)の溶液(40重量%)を調製した。得られた重量平均分子量55万のアクリル系ポリマー溶液(Ac1P)(40重量%)に対して、架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製)、触媒(日本化学産業株式会社製、商品名:ナーセム第2鉄)、希釈溶剤として酢酸エチルを加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤組成物(Ac1)を製造した。

配合部数は、表1中に記載した。なお、酢酸エチルを除く各材料の配合部数は、いずれも固形分換算となり、酢酸エチルの部数は粘着剤中に含まれるすべての溶剤量を指す。

【0263】

〔製造例8〕:表面保護フィルムに含まれる粘着剤層の形成材料である、アクリル系粘着剤組成物(Ac2)の製造

攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、ブチルアクリレート(株式会社日本触媒製):95重量部、アクリル酸(東亜合成株式会社製):5重量部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製):0.2重量部、酢酸エチル:186重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を63°C付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量50万のアクリル系ポリマー(Ac2P)の溶液(35重量%)を調製した。得られた重量平均分子量50万のアクリル系ポリマー(Ac2P)の溶液(35重量%)に対して、架橋剤としてテトラッドC(三菱瓦斯化学株式会社製)、触媒(日本化学産業株式会社製、商品名:ナーセム第2鉄)、希釈溶剤として酢酸エチルを加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤組成物(Ac2)を製造した。配合部数は、表1中に記載した。なお、酢酸エチルを除く各材料の配合部数は、いずれも固形分換算となり、酢酸エチルの部数は粘着剤中に含まれるすべての溶剤量を指す。

【0264】

〔製造例9〕:表面保護フィルムに含まれる粘着剤層の形成材料である、ゴム系粘着剤組成物(G)の製造

ハイブラー5127(株式会社クラレ製):100重量部に、希釈溶剤としてトルエンを加えて混合攪拌を行い、ゴム系粘着剤組成物(G)を製造した。配合部数は、表1中に記載した。

【0265】

〔製造例10〕:表面保護フィルムに含まれる粘着剤層の形成材料である、シリコーン系粘着剤組成物(S)の製造

付加反応型シリコーン系粘着剤(商品名:X-40-3306、信越化学工業株式会社製)、および、白金系触媒(商品名:CAT-PL-50T、信越化学工業株式会社製)を混合して、シリコーン系粘着剤組成物(S)を製造した。配合部数は、表1中に記載した。

【0266】

〔製造例11〕:セパレーター付表面保護フィルムの製造

得られた各種粘着剤組成物を、ポリエステル樹脂からなる基材「ルミラーS10」(厚み38μm、東レ社製)に、ファウンテンロールで乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥温度130°C、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥した。このようにして、基材上に粘着剤層を作製した。次いで、粘着剤層の表面に、一方の面にシリコーン処理を施した厚み25μmのポリエステル樹脂からなる基材(セパレーター)のシリコーン処理面を貼合せて、セパレーター付表面保護フィルムを得た。

【0267】

<光学部材の

きっかけ剥離力P

の測定>

製造例4によって製造した剥離ライナーと粘着剤層との積層体が付いた偏光板の、剥離ライナーと反対側の面に対して、表面保護フィルムを0.25MPaの圧力で貼りあわせて、表面保護フィルム付偏光板を作製した。作製した表面保護フィルム付偏光板を幅25mm、長さ80mmのサイズにカットした。なお、表面保護フィルム付偏光板のカットの方法としては、裁断機を用いたが、スーパーカッターによる切断を行ってもよい。23°C×50%RHの環境下に24時間放置した後、表面保護フィルム付偏光板の剥離ライナーを剥がし、幅25mm、長さ50mmのサイズにカットした片面粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を、端面が1mm出るように表面保護フィルム付偏光板の粘着剤層側に圧着して、10秒間放置した。その後、片面粘着テープを万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用いて、剥離速度300mm/minおよび6.0m/min、剥離角度180°で片面粘着テープをピールした際に、剥離初めにかかる最大応力をきっかけ剥離力(N/25mm)とした。測定は23°C×50%RHの環境下で行った。

【0268】

<剥離ライナーの

きっかけ剥離力Q

の測定>

製造例4によって製造した剥離ライナーと粘着剤層との積層体が付いた偏光板の、剥離ライナーと反対側の面に対して、表面保護フィルムを0.25MPaの圧力で貼りあわせて、表面保護フィルム付偏光板を作製した。作製した表面保護フィルム付偏光板を幅25mm、長さ80mmのサイズにカットした。なお、表面保護フィルム付偏光板のカットの方法としては、裁断機を用いたが、スーパーカッターによる切断を行ってもよい。23°C×50%RHの環境下に24時間放置した後、幅25mm、長さ50mmのサイズにカットした片面粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を、端面が1mm出るように表面保護フィルム付偏光板の剥離ライナー側に圧着して、10秒間放置した。その後、片面粘着テープを万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM

-1kNB)を用いて、剥離速度300mm/minおよび6.0m/min、剥離角度180°で片面粘着テープをピールした際に、剥離初めにかかる最大応力をきっかけ剥離力(N/25mm)とした。測定は23°C×50%RHの環境下で行った。

剥離ライナーの厚みが38μm、剥離速度が300mm/分の場合、きっかけ剥離力Q=0.40N/25mmであった。

剥離ライナーの厚みが38μm、剥離速度が6m/分の場合、きっかけ剥離力Q=1.23N/25mmであった。

剥離ライナーの厚みが50μm、剥離速度が300mm/分の場合、きっかけ剥離力Q=1.99N/25mmであった。

剥離ライナーの厚みが50μm、剥離速度が6m/分の場合、きっかけ剥離力Q=2.60N/25mmであった。

【0269】

<表面保護フィルムの初期粘着力の測定>

製造例11で得られたセパレーター付表面保護フィルムを幅25mm、長さ80mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した。その後、製造例4で得られた剥離ライナーと粘着剤層との積層体が付いた偏光板を幅70mm、長さ100mmにカットし、その剥離ライナーと反対側の面に、表面保護フィルムの粘着剤層面を0.25MPaの圧力でラミネートし、評価サンプルを作製した。ラミネート後、23°C×50%RHの環境下に30分間放置し、万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用いて、剥離速度300mm/min、剥離角度180度で、表面保護フィルムを剥離した際に、値が安定してくる領域での粘着力を測定した。測定は23°C×50%RHの環境下で行った。

【0270】

<表面保護フィルムの濡れ速度の測定>

製造例11で得られたセパレーター付表面保護フィルムを幅2.5cm、長さ10cmに切断し、評価サンプルとした。被着体として製造例4で得られた剥離ライナーと粘着剤層との積層体が付いた偏光板を用いた。被着体の剥離ライナーと反対側の面に、セパレーターを剥がした評価サンプルの粘着剤層側の幅側の端部の一方を固定し、固定していない幅側の端部を持ち上げ、手を放してから100mm濡れ広がるまでの時間を測定した。 (単位:秒/2.5cm×10cm)。かかった時間から濡れ速度(単位:cm

2

/秒)を算出した。

【0271】

<重量平均分子量の測定>

製造例7、8で得られたアクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC装置(東ソー株式会社製、HLC-8220GPC)を用いて行った。測定条件は下記の通りである。なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。

サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)

サンプル注入量:10μl溶離液

THF流速:0.6ml/min

測定温度:40°C

サンプルカラム:TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)

リファレンスカラム:TSKgel SuperH-RC(1本)

検出器:示差屈折計(RI)

【0272】

〔実施例1~15、比較例1~3〕

表1に示す配合部数に沿って製造例11で得られたセパレーター付表面保護フィルムを幅25mm、長さ80mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した。その後、製造例4で得られた剥離ライナーと粘着剤層との積層体が付いた偏光板を幅70mm、長さ100mmにカットし、その剥離ライナーと反対側の面に、表面保護フィルムの粘着剤層面を0.25MPaの圧力でラミネートし、剥離ライナー/粘着剤層/光学部材/表面保護フィルム(粘着剤層/基材層)の構成の表面保護フィルム付光学部材(1)~(15)、(C1)~(C3)を得た。

結果を表1に示した

【0273】

【表1】

114

69

0001436182000004.jpg

「【符号の説明】

【0275】

10 剥離ライナー

20 粘着剤層(2)

30 光学部材

40 粘着剤層(1)

50 基材層

100 表面保護フィルム

1000 表面保護フィルム付光学部材」

「【図1】

22

37

0001436182000005.jpg

「【図2】

16

37

0001436182000006.jpg

「【図3】

19

37

0001436182000007.jpg

(3)甲4には、次の記載がある。

「【0002】

本発明が適用される

光学部材は、各種の光学用途に適用される部材であり

、例えば、光学フィルムそのもの、光学フィルム用粘着剤層又は接着剤層、光学フィルムに設けられる表面処理層、光学フィルムに設けられる機能層等が挙げられる。前記光学フィルムとしては、

例えば、偏光フィルム、偏光子

、偏光子用透明保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、レンチキュラーフィルム、

カバーウィンドウフィルム(前面板)、飛散防止フィルム

、加飾印刷フィルム

等を例示することができる。

前記光学部材は、偏光子及び位相差フィルムを含む光学積層体として用いることができる。また前記表面処理層としては、例えば、ハードコート層、アンチグレア層、反射防止層、屈折率調整層等を例示することができる。前記機能層としては、例えば、易接着層、帯電防止層、ブロッキング防止層、オリゴマー防止層、バリア層等を例示する事ができる。また、前記光学部材は、透明基材フィルム及び透明導電層を有する透明導電性フィルムにおいて、前記透明基材フィルム、又は前記透明基材フィルムとの間に設けられる中間層として用いることができる。前記中間層としては、屈折率調整層、易接着剤層、ハードコート層、クラック防止層等を例示する事ができる。これら光学部材は、液晶表示装置(LCD)、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置(OLED)などの画像表示装置を形成しうる。」

(4)参考文献1には、次の記載がある。

「【0149】〔製造例1〕:(メタ)アクリル系重合体(1)の製造

攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、

ブチルアクリレート(日本触媒社製):95重量部、アクリル酸(東亜合成社製):5重量部

、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製):0.2重量部、酢酸エチル:156重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を63°C付近に保って10時間

重合反応を行い、重量平均分子量70万の(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液(40重量%)を調製した

【0150】

・・・

【0151】〔製造例3〕:アクリル系粘着剤組成物(1)の製造

製造例1で得られた(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液に、該(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてTETRAD-C(三菱瓦斯化学社製)を固形分換算で0.075重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、アクリル系樹脂を含むアクリル系粘着剤組成物(1)を得た

【0152】

・・・

【0158】

〔実施例1〕

製造例3で得られたアクリル系粘着剤組成物(1)

を、ポリエステル樹脂からなる基材「ルミラーS10」(厚み38μm、東レ株式会社製)にファウンテンロールで乾燥後の厚みが25μmとなるよう塗布し、乾燥温度130°C、乾燥時間3分の条件でキュアーして乾燥した。このようにして、〔基材層〕/〔粘着剤層〕の積層体(P1)を得た。得られた〔基材層〕/〔粘着剤層〕の積層体(P1)と、製造例7で得られた〔離型層〕/〔帯電防止層〕/〔基材層〕/〔帯電防止層〕の積層体(C)とを、

粘着剤層と離型層が直接に積層されるように貼り合せて、セパレーター付補強用フィルム(1)を得た

。得られたセパレーター付補強用フィルム(1)は、常温で7日間エージングを行い、その後、各種評価を行った。結果を表1に示した。」

「【0168】

1000 セパレーター付補強用フィルム

100 補強用フィルムP

200 セパレーターQ

10 基材層A1

20 粘着剤層A2

30 離型層B1

40 帯電防止層B2

50 基材層B3

60 帯電防止層A3

70 帯電防止層B4」

「【図7】

22

42

0001436182000008.jpg

(5)参考文献2には、次の記載がある。

「【0002】

従来、カメラのレンズユニット、通信・センサーモジュール、バイブレーター等のモーターユニット、撮像モジュール等、例えばユニット化した

光学部材や電子部材は、加工、組立、検査、輸送などの際、表面の傷付きを防止するために、露出面に表面保護フィルムが貼着されることがある。表面保護フィルムは、表面保護の必要がなくなった時点で、光学部材や電子部材から剥離される

。」

「【0011】

以下、本発明について実施形態を用いてさらに詳細に説明する。

[表面保護フィルム]

図1、2は、本発明の一実施形態に係る表面保護フィルムを示す。

表面保護フィルム10は、光学部材又は電子部材に貼付し、その表面を保護するために使用されるものであって、図1に示すように、基材11と、基材11の一方の面に設けられ、エネルギー線硬化型粘着剤組成物からなる粘着剤層12とを備える

・・・

【0015】

次に、表面保護フィルム10の各部材についてより詳細に説明する。

<粘着剤層>

本発明の粘着剤層12は、エネルギー線硬化型粘着剤組成物からなるものである。エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、上記したようにエネルギー線を照射されることにより硬化して粘着力が低下するものである。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が挙げられるが、紫外線を使用することが好ましい。

エネルギー線硬化型粘着剤組成物を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤

、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。」

「【0039】

粘着剤層は、アクリル系共重合体(A)等のメインポリマーが架橋された架橋構造を有していてもよい。架橋のためにエネルギー線硬化型粘着剤組成物に含有される架橋剤(C)としては、

有機多価イソシアネート化合物、有機多価エポキシ化合物、有機多価イミン化合物等が挙げられ、これらの中では、

有機多価イソシアネート化合物(イソシアネート系架橋剤)が好ましい

【0040】

有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。

【0041】

有機多価イソシアネート化合物のさらに具体的な例としては

、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネート、3

-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4'-ジイソシアネート、

トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物などが挙げられる

。」

「【0057】

[表面保護フィルムの使用方法]

本発明の表面保護フィルム10は、光学部材又は電子部材の一面に貼付してその表面を保護するために使用されるものである。

表面保護フィルム10は、上記したように、硬化部分12Aが設けられるものであるが、硬化部分12Aは、光学部材又は電子部材の特定の部位に位置合わさせされるようにして、光学部材又は電子部材の一面に貼付されることが好ましい。これにより、特定の部位に糊移りが生じるのを防止しつつ、光学部材又は電子部材の特定の部位を適切に保護することが可能になる。

【0058】

表面保護フィルムが貼付された光学部材又は電子部材(以下、単に表面保護フィルム付き部材ともいう)は、加工され、他の部材に取り付けられ、検査され、又は搬送等されるものであるが、表面保護フィルムは、これらの工程において光学部材又は電子部材の表面を保護する。また、

表面保護フィルムは、これらの工程が終わり、表面保護の必要がなくなった時点で、光学部材又は電子部材から剥離されるものである

。このとき、表面保護フィルムは、エネルギー線が照射されたうえで、光学部材又は電子部材から剥離されることが好ましい。これにより、硬化部分に加えて未硬化部分の粘着力も低下させることができるので、剥離性がより一層向上する。」

「【0068】

[実施例1]

n-ブチルアクリレート90質量部と、アクリル酸10質量部を酢酸エチル溶媒中で重合して重量平均分子量55万のアクリル系共重合体を得た。

この酢酸エチルで希釈されたアクリル系共重合体100質量部(固形分換算)に、重量平均分子量2300のペンタエリスリトール系の5~9官能ウレタンアクリレートオリゴマー120質量部と、光重合開始剤としてのイルガキュア184(BASF社製)2.0質量部と、

架橋剤としての有機多価イソシアネート化合物(製品名「BHS8515」、トーヨーケム株式会社製)17質量部とを混合して、エネルギー線硬化型粘着剤組成物(Y型)の酢酸エチル希釈液を得た。

この希釈液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材に、乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布して、その後、100°Cで1分間加熱乾燥して、

基材の上に粘着剤層を形成して、表面保護フィルムを得た。

表面保護フィルムの粘着剤層にさらに剥離シート重ね合わせた後、表面保護フィルムを直径5mm(面積:19.6mm

2

)のものに抜き加工した。

この表面保護フィルムの上に、直径1mmの穴の開いた鉄板マスクを配置するとともに、紫外線照射装置(リンテック株式会社製 RAD-2000m/12)を用いて、窒素雰囲気下、表面保護フィルムにマスクを介して紫外線を照射し(照度230mW/cm

2

、光量190mJ/cm

2

)、表面保護フィルムの中心に直径1mm(面積:0.79mm

2

、フィルム面積に対する面積比4/100)の円形の硬化部分を形成した。

【0069】

[実施例2]

2-エチルヘキシルアクリレート80質量部及び2-ヒドロキシエチルアクリレート20質量部を酢酸エチル溶媒中で重合して重量平均分子量47万のアクリル系共重合体を得て

、さらにこのアクリル系共重合体100質量部に、不飽和基含有化合物であるメタクリロイルオキシエチルイソシアナート(MOI)を21質量部(2-ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対して80当量)反応させてエネルギー線硬化型アクリル系共重合体を得た。次に、この酢酸エチルで希釈されたエネルギー線硬化型アクリル系共重合体100質量部(固形分換算)に、光重合開始剤としてのイルガキュア184(BASF社製)2.0質量部と、

架橋剤としての有機多価イソシアネート化合物(製品名「BHS8515」、トーヨーケム株式会社製)1質量部を混合し、実施例1と同様に希釈して、エネルギー線硬化型粘着剤組成物(X型)の希釈液を得た。その後、実施例1と同様に実施した

。」

「【0075】

10 表面保護フィルム

11 基材

12 粘着剤層

12A 硬化部分

12B 未硬化部分

20 撮像モジュール

21 受光部」

「【図1】

11

42

0001436182000009.jpg

(6)参考文献3には、次の記載がある。

「【0002】

近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、このような表示装置と組み合わせて用いられるタッチパネルなどの入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置では、各種の機能性フィルムが使用されている。例えば、

表面保護を目的とする表面保護用フィルム

、耐擦傷性の向上を目的とするハードコートフィルム、反射防止性の向上を目的とする反射防止フィルムなどが挙げられる。

【0003】

一般に、このような機能性フィルムは、粘着剤等を用いて固定される。例えば、携帯電話機の液晶表示部を保護する

保護フィルムとして、透明樹脂層、粘着層、粘着層を剥がすための剥がし部を備える積層フィルムが知られている(特許文献1参照)。上記積層フィルムは、フィルムの表面に傷がついたり、フィルム表面が汚れた場合、最外層のフィルムを剥がして除去することにより、汚れや傷のない内層のフィルムを露出させることができる。

「【0050】

(粘着剤層)

上記粘着シートの

粘着剤層は、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤層

、ゴム系粘着剤層、ビニルアルキルエーテル系粘着剤層、シリコーン系粘着剤層、ポリエステル系粘着剤層、ポリアミド系粘着剤層、ウレタン系粘着剤層、フッ素系粘着剤層、エポキシ系粘着剤層などが挙げられる。

【0051】

上記粘着剤層は、粘着剤組成物により形成される。上記粘着剤組成物は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、活性エネルギー線硬化型、溶剤型(溶液型)、エマルジョン型、熱溶融型(ホットメルト型)などであってもよい。

【0052】

中でも、上記粘着剤層としては、粘着力の調整が容易である点より、アクリル系粘着剤層やシリコーン系粘着剤層が好ましい

・・・

【0067】

一方、本発明の

表面保護用シートにおける粘着シートの粘着剤層として好ましい上記アクリル系粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する。なお、上記アクリル系粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物により形成される

【0068】

上記アクリル系ポリマーは、特に限定されないが、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主のモノマー成分として構成された重合体であることが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。

・・・

【0070】

中でも、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が2~10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸n-ブチル(n-BA)、

アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)

である。

・・・

【0072】

上記アクリル系ポリマーは、特性のチューニング、目的に応じた使い分けや必要に応じた機能の付与を可能にする点より、構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含んでいてもよい。また、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。

【0073】

上記共重合性モノマーとしては、例えば、極性基含有モノマーが挙げられる。

・・・

【0074】

中でも、上記極性基含有モノマーとしては、カルボキシル基含有モノマーや水酸基含有モノマーが好ましく、より好ましくはアクリル酸、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、

アクリル酸2-ヒドロキシエチル

である。

・・・

【0086】

上記アクリル系粘着剤層は上記アクリル系粘着剤組成物により形成されるが、上記アクリル系粘着剤組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。上記架橋剤を用いることにより、上記アクリル系粘着剤層中のアクリル系ポリマーを架橋して、アクリル系粘着剤層の凝集力を向上できる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

・・・

【0088】

上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。上記

イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」]

、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートHL」]、商品名「コロネート HX」(日本ポリウレタン工業株式会社)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学株式会社製、商品名「タケネート110N」]などの市販品も挙げられる。

・・・

【0095】

(剥離ライナー)

本発明の

表面保護用シートにおいて第nの粘着シートの粘着剤層上に用いることができる上記剥離ライナー

は、特に限定されず、公知乃至慣用の剥離ライナーを用いることができる。

・・・

【0097】

また、

上記アクリル系粘着剤層に用いられる剥離ライナーとして

は、例えば、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層(剥離処理層)を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性の剥離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性の剥離ライナーなどが挙げられる。また、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)も挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナー、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)を使用することが好ましい。」

「【0119】(粘着剤組成物の調製例1)

付加反応型シリコーン系粘着剤(商品名「X-40-3306」、信越化学工業株式会社製):100重量部及び白金系触媒(商品名「CAT-PL-50T」、信越化学工業株式会社製):0.2重量部を混合して、シリコーン系粘着剤組成物を得た。

なお、このシリコーン系粘着剤組成物を「粘着剤組成物(A)」とした。

【0120】(粘着剤組成物の調製例2)

モノマー成分として、

アクリル酸ブチル:90重量部、アクリル酸:10重量部

、並びに、重合溶媒としての酢酸エチル:150重量部をセパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63°Cに昇温し、重合開始剤としての2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部を投入し、10時間反応させて、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度25重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記アクリル系ポリマー中のアクリル系ポリマーの重量平均分子量は65万であった。

上記アクリル系ポリマー溶液に、架橋剤(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学株式会社、エポキシ系架橋剤)を上記アクリル系ポリマー100重量部に対して11重量部となるように加え、アクリル系粘着剤組成物を得た。

このアクリル系粘着剤組成物を「粘着剤組成物(B)」とした。

・・・

【0122】(剥離ライナーの使用例1)

剥離ライナーとして、商品名「ダイアホイル MRF-25」(三菱樹脂株式会社製、ポリエステルフィルム、厚み:25μm)を使用した。

この剥離ライナーを「

剥離ライナー(A)

」とした。

・・・

【0125】実施例3

上記基材(A)の一方の面に粘着剤組成物(A)を塗布して、130°C、3分間乾燥させて、厚み10μmの粘着剤層を形成した。そして、粘着剤層上に剥離ライナー(A)を設けた。このようにして、第1の粘着シートを得た。上記第1の粘着シートは、基材(A)/粘着剤層/剥離ライナー(A)の積層構造を有する。

次に、上記基材(D)の一方の面に粘着剤組成物(B)を塗布して、130°C、2分間乾燥させて、厚み20μmの粘着剤層を形成した。そして、粘着剤層上に剥離ライナー(A)を設けた。このようにして、第2の粘着シートを得た。上記第2の粘着シートは、基材(D)/粘着剤層/剥離ライナー(A)の積層構造を有する。

そして、上記第1の粘着シートの剥離ライナー(A)を剥がして露出した粘着面を、第2の粘着シートの基材(D)により提供される面に貼り合わせ、積層粘着シートを得た。この積層粘着シートは、

第1の粘着シート/第2の粘着シート/剥離ライナー(A)

の積層構造を有する。」

「【0136】

X 表面保護用シートX

Y 表面保護用シートY

Z 表面保護用シートZ

1 第1の粘着シート

2 第2の粘着シート

3 第3の粘着シート

n-1 第(n-1)の粘着シート

n 第nの粘着シート

11 基材層

12 粘着剤層

13 剥離ライナー

41 支持台

42 粘着シート

421 粘着シートの張り出し部分

f たわみ量(たわみ距離、垂れ距離)」

「【図3】

12

42

0001436182000010.jpg

(7)参考文献4には、次の記載がある。

「【0002】

近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、このような表示装置と組み合わせて用いられるタッチパネルなどの入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置では、各種の機能性フィルムが使用されている。例えば、

表面保護を目的とする表面保護用フィルム

、耐擦傷性の向上を目的とするハードコートフィルム、反射防止性の向上を目的とする反射防止フィルムなどが挙げられる。

【0003】

一般に、このような機能性フィルムは、粘着剤等を用いて固定される。例えば、携帯電話機の液晶表示部を保護する

保護フィルムとして、透明樹脂層、粘着層、粘着層を剥がすための剥がし部を備える積層フィルムが知られている(特許文献1参照)。上記積層フィルムは、フィルムの表面に傷がついたり、フィルム表面が汚れた場合、最外層のフィルムを剥がして除去することにより、汚れや傷のない内層のフィルムを露出させることができる

。」

「【0043】

(粘着剤層)

上記

粘着シートの粘着剤層は、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤層

、ゴム系粘着剤層、ビニルアルキルエーテル系粘着剤層、シリコーン系粘着剤層、ポリエステル系粘着剤層、ポリアミド系粘着剤層、ウレタン系粘着剤層、フッ素系粘着剤層、エポキシ系粘着剤層などが挙げられる。

【0044】

上記粘着剤層は、粘着剤組成物により形成される。上記粘着剤組成物は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、活性エネルギー線硬化型、溶剤型(溶液型)、エマルジョン型、熱溶融型(ホットメルト型)などであってもよい。

【0045】

中でも、上記粘着剤層としては、粘着力の調整が容易である点より、アクリル系粘着剤層やシリコーン系粘着剤層が好ましい。

・・・

【0060】

一方、

本発明の表面保護用シートにおける粘着シートの粘着剤層として好ましい上記アクリル系粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する。なお、上記アクリル系粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物により形成される。

【0061】

上記アクリル系ポリマーは、特に限定されないが、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主のモノマー成分として構成された重合体であることが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。

・・・

【0063】

中でも、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が2~10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸n-ブチル(n-BA)、

アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)

である。

・・・

【0065】

上記アクリル系ポリマーは、特性のチューニング、目的に応じた使い分けや必要に応じた機能の付与を可能にする点より、構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含んでいてもよい。また、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。

【0066】

上記共重合性モノマーとしては、例えば、極性基含有モノマーが挙げられる。

・・・

【0067】

中でも、上記極性基含有モノマーとしては、カルボキシル基含有モノマーや水酸基含有モノマーが好ましく、より好ましくはアクリル酸、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、

アクリル酸2-ヒドロキシエチル

である。

・・・

【0079】

上記アクリル系粘着剤層は上記アクリル系粘着剤組成物により形成されるが、上記アクリル系粘着剤組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。上記架橋剤を用いることにより、上記アクリル系粘着剤層中のアクリル系ポリマーを架橋して、アクリル系粘着剤層の凝集力を向上できる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

・・・

【0081】

上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ト

リメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」]

、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートHL」]、商品名「コロネート HX」(日本ポリウレタン工業株式会社)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学株式会社製、商品名「タケネート110N」]などの市販品も挙げられる。

・・・

【0088】

(

剥離ライナー

)

本発明の表面保護用シートにおいて第nの粘着シートの粘着剤層上に用いることができる上記剥離ライナーは、特には限定されず、公知乃至慣用の剥離ライナーを用いることができる。

・・・

【0090】

また、

上記アクリル系粘着剤層に用いられる剥離ライナーとして

は、例えば剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層(剥離処理層)を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性の剥離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性の剥離ライナーなどが挙げられる。また、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)も挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナー、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)を使用することが好ましい。」

「【0118】

(粘着剤組成物の調製例1)

付加反応型シリコーン系粘着剤(商品名「X-40-3306」、信越化学工業株式会社製):100重量部及び白金系触媒(商品名「CAT-PL-50T」、信越化学工業株式会社製):0.2重量部を混合して、シリコーン系粘着剤組成物を得た。

なお、このシリコーン系粘着剤組成物を「粘着剤組成物(A)」とした。

【0119】(粘着剤組成物の調製例2)

モノマー成分として、

アクリル酸ブチル:90重量部、アクリル酸:10重量部

、並びに、重合溶媒としての酢酸エチル:150重量部をセパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63°Cに昇温し、重合開始剤としての2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部を投入し、10時間反応させて、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度25重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記アクリル系ポリマー中のアクリル系ポリマーの重量平均分子量は65万であった。

上記アクリル系ポリマー溶液に、架橋剤(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学株式会社、エポキシ系架橋剤)を上記アクリル系ポリマー100重量部に対して11重量部となるように加え、アクリル系粘着剤組成物を得た。

このアクリル系粘着剤組成物を「粘着剤組成物(B)」とした。

・・・

【0121】(剥離ライナーの使用例1)

剥離ライナーとして、商品名「ダイアホイル MRF-25」(三菱樹脂株式会社製、ポリエステルフィルム、厚み:25μm)を使用した。

この剥離ライナーを「剥離ライナー(A)」とした。

・・・

【0124】実施例3

上記基材(A)の一方の面に粘着剤組成物(A)を塗布して、130°C、3分間乾燥させて、厚み10μmの粘着剤層を形成した。そして、粘着剤層上に剥離ライナー(A)を設けた。このようにして、第1の粘着シートを得た。上記第1の粘着シートは、基材(A)/粘着剤層/剥離ライナー(A)の積層構造を有する。

次に、上記基材(D)の一方の面に粘着剤組成物(B)を塗布して、130°C、2分間乾燥させて、厚み20μmの粘着剤層を形成した。そして、粘着剤層上に剥離ライナー(A)を設けた。このようにして、第2の粘着シートを得た。上記第2の粘着シートは、基材(D)/粘着剤層/剥離ライナー(A)の積層構造を有する。

そして、上記第1の粘着シートの剥離ライナー(A)を剥がして露出した粘着面を、第2の粘着シートの基材(D)により提供される面に貼り合わせ、積層粘着シートを得た。この積層粘着シートは、第1の粘着シート/第2の粘着シート/剥離ライナー(A)の積層構造を有する。」

「【0135】

X 表面保護用シートX

Y 表面保護用シートY

Z 表面保護用シートZ

1 第1の粘着シート

2 第2の粘着シート

3 第3の粘着シート

n-1 第(n-1)の粘着シート

n 第nの粘着シート

11 基材層

12 粘着剤層

13 剥離ライナー

41 支持台

42 粘着シート

421 粘着シートの張り出し部分 f たわみ量(たわみ距離、垂れ距離)」

「【図3】

12

42

0001436182000011.jpg

(8)参考文献5には、次の記載がある。

「【請求項1】 第1基材フィルムを有する第1剥離フィルム、機能フィルムおよび第2基材フィルムを有する第2剥離フィルムがこの順に積層されている枚葉状のフィルム積層体であって、

前記

第1剥離フィルムは、前記第2剥離フィルムよりも先に剥がすものであり

前記機能フィルムは、厚みが110μm以下であり、かつ、

第1剥離フィルムの剛軟性試験における第1剛軟度(mm)が、第2剥離フィ

ルムの剛軟性試験における第2剛軟度(mm)よりも大きいことを特徴とするフィルム積層体。」

「【0003】

機能フィルムは、各種用途に供されるまで、その両面を剥離フィルムで保護される場合がある。例えば、偏光フィルム等の光学フィルムは、その片面に液晶セル等の光学セルに貼着するための粘着剤層が設けられた粘着剤層付光学フィルムとして用いられる場合には、

一般的に、前記粘着剤層には貼り合わせに適用されるまで剥離フィルム(離型フィルム)が仮着されている。一方、光学フィルムの他の片面には、他の剥離フィルム(表面保護フィルム)が仮着されている

。このような、離型フィルムおよび表面保護フィルムを有する粘着剤層付光学フィルムは光学表示パネルに適用されるが、その際には、まず、前記粘着剤層付光学フィルムから離型フィルムを剥離して露出した粘着剤層を光学セルに貼り合わせる。貼り合された粘着剤層付光学フィルムには表面保護フィルムがそのまま貼り合されている。」

「【0007】

前記離型フィルムおよび表面保護フィルムを有する粘着剤層付光学フィルム(例えば、粘着剤層付偏光フィルム)から離型フィルムを剥離する際には、通常、前記粘着剤層付光学フィルムの表面保護フィルム側を固定した状態で、離型フィルムが剥離される。しかし、近年、表面保護フィルムを糊残りなく容易に剥離できる態様への要望が増しており、表面保護フィルムの剥離力は益々低減されている。

本来であれば、剥離順序の観点からは、先に剥離される離型フィルムが、後に剥離される表面保護フィルムに比べて剥離力が十分に小さくなる(剥離し易い)ように設計されていることが望ましい。

しかし、近年においては、離型フィルムの剥離力に比べて、表面保護フィルムの剥離力が十分に大きくないか、あるいは表面保護フィルムの剥離力の方が小さく設計された粘着剤層付光学フィルムが提案されていることが新たに判明した。そのため、離型フィルムの剥離時に、離型フィルムと粘着剤層の界面ではなく、光学フィルム(例えば、偏光フィルム)と表面保護フィルムの界面において剥離が生じてしまう問題が生じている。・・・」

「【0077】

<第1剥離フィルム,第2剥離フィルム:表面保護フィルムとして用いる場合>

第1剥離フィルム、第2剥離フィルムは、例えば、表面保護フィルムとして用いることができる。表面保護フィルムは、機能フィルムがその片面に機能フィルム用粘着剤層を有する場合には、他の片面において第2剥離フィルムとして用いることができる(図2、図3参照)。また、表面保護フィルムは、機能フィルムの両面において、第1剥離フィルムおよび第2剥離フィルムとして用いることができる(図4、図5参照)。

・・・

【0080】

表面保護フィルムの積層に用いられる表面保護フィルム用粘着剤層は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、

シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとする粘着剤を適宜に選択して用いることができる。

透明性、耐候性、耐熱性などの観点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい

。表面保護フィルム用粘着剤層の厚さ(乾燥膜厚)は、必要とされる粘着力に応じて決定される。通常1~100μm程度、好ましくは5~50μmである。」

「【0100】実施例1

<表面保護フィルムの積層>

上記片保護偏光フィルムA1の保護フィルム1側には、

表面保護フィルム(第2剥離フィルム

,日東電工社製の商品名RP108C)を設けた。前記表面保護フィルムは、厚み25μmのポリエステル系樹脂フィルム(第2基材フィルム)に、厚さ15μmの粘着剤層(表面保護フィルム用粘着剤層に相当する)を有するものを用いた。

【0101】 <

離型フィルム(第1剥離フィルム)

付の粘着剤層の形成>

上記粘着剤溶液を、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(第1基材フィルムの厚さ50μm:三菱樹脂社製の商品名ダイアホイルMRF)からなる離型フィルム(セパレータ)の表面に、乾燥後の厚みが20μmになるように塗布し、乾燥して、粘着剤層(偏光フィルム(機能フィルム)用粘着剤層に相当する)を形成した。次いで、表面保護フィルムを有する片保護偏光フィルムAの偏光子の側に、前記粘着剤層を貼り合わせて、本発明のフィルム積層体(

図3を参照

:離型フィルムおよび表面保護フィルムを有する粘着剤層付偏光フィルム)を作製した。」

「【0111】

F 枚葉状態のフィルム積層体光学フィルム

A 機能フィルム

A ́ 偏光フィルム

a1 偏光子

a2 保護フィルム

B 機能フィルム用粘着剤層

1 第1剥離フィルム

11 第1基材フィルム

12 表面保護フィルム用粘着剤層

2 第2剥離フィルム

21 第2基材フィルム

22 表面保護フィルム用粘着剤層」

「【図3】

17

42

0001436182000012.jpg

2 甲号証に記載された発明

(1)甲1に記載された発明

甲1の【0083】~【0104】、【図3】、【表1】、【表2】実施例1の記載から、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

(甲1発明)

「セパレータフィルムA:75μmの厚み、0.07N/50mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、No.31Bテープ)に対する180度剥離力(0.3m/分)を有するポリエステルフィルム、東洋紡株式会社製「東洋紡エステル(登録商標)NZ-211」、

粘着剤組成物Aを硬化させて得た粘着剤層:25°Cにおける貯蔵弾性率1.9×10

5

である、アクリル系粘着剤組成物Aは、新タック化成株式会社製「NA011FF」であり、硬化させて得た粘着剤層の厚みは25μmであった、

基材フィルムA:75μmの厚みを有するPETフィルム、東洋紡株式会社製「コスモシャイン(登録商標)A4100」、

保護フィルムA:50μmの厚みを有する、パナック株式会社製「HP50」、

がこの順に積層された粘着性フィルム1。」

(2)甲2に記載された発明

甲2の請求項1、段落0256~0273、表1、段落0275と図1の記載を参照しつつ、実施例13のうち剥離ライナーが厚み38μmであるものに着目して整理すると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、剥離ライナーの厚みが50μmである発明も同様に記載されている。

ここで、剥離ライナーに直接積層される粘着剤層について、段落0256の製造例1「偏光板用粘着剤の製造」を参照し、表面保護フィルムに含まれる粘着剤層について、段落0262の製造例7「表面保護フィルムに含まれる粘着剤層の形成材料である、アクリル系粘着剤組成物(Ac1)の製造」を参照した。

また、甲2発明の光学部材の厚みについて、段落0257において、得られた厚み12μm偏光子の両面に、厚み25μmのトリアセチルセルロース(TAC)に、上記水系接着剤を乾燥後の接着剤層の厚みが80nmとなるように塗工し、接着剤層付偏光子保護フィルムを、両面に貼り合せたことから、25+0.08+12+0.08+25=62.16μmであると認められる。

甲2発明の表面保護フィルムの厚みについて、段落0266の「製造例11のセパレータ付き表面保護フィルムの製造」より、表面保護フィルムに含まれる基材の厚みが38μmであり、粘着剤層の厚みは10μmであるから、表面保護フィルムの厚みは38+10=48μmであると認められる。

(甲2発明)

「光学部材と厚み48μmの表面保護フィルムの積層体と、該光学部材の該表面保護フィルムと反対側に備えられた粘着剤層(2)と、該粘着剤層(2)の該光学部材と反対側に備えられた厚み38μmの剥離ライナーと、をこの順に有する表面保護フィルム付光学部材であって、

該粘着剤層(2)が、ブチルアクリレートと4-ヒドロキシブチルアクリレートを含む組成物から重合によって形成される重量平均分子量160万のアクリル系ポリマーと、架橋剤としてコロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製)を含むアクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤から構成され、

該表面保護フィルムは基材層と粘着剤層(1)とを含み、

該剥離ライナーは基材層10を含み、

該表面保護フィルムの該粘着剤層(1)が光学部材側であり、

該粘着剤層(1)が、2-エチルヘキシルアクリレートと2-ヒドロキシエチルアクリレートを含む組成物から重合によって形成される重量平均分子量55万のアクリル系ポリマーと、架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製)を含むアクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤から構成され、

該光学部材の厚みが、62.16μmであり、

該積層体からの該光学部材のきっかけ剥離力Pが該剥離ライナーのきっかけ剥離力Qよりも大きい、

表面保護フィルム付光学部材。」

3 対比・判断

(1)甲1発明を主たる引用発明とする場合(申立理由1-1)

ア 本件訂正発明1

(ア)甲1発明との対比

本件訂正発明1と甲1発明を対比する。

甲1発明の「積層された粘着性フィルム1」は、「保護フィルムA:50μmの厚みを有する、パナック株式会社製「HP50」が積層された「基材フィルムA:75μmの厚みを有するPETフィルム、東洋紡株式会社製「コスモシャイン(登録商標)A4100」の該「保護フィルムと反対側」に「粘着剤組成物Aを硬化させて得た粘着剤層:25°Cにおける貯蔵弾性率1.9×10

5

である、アクリル系粘着剤組成物Aは、新タック化成株式会社製「NA011FF」であり、硬化させて得た粘着剤層の厚みは25μm」を備え、「粘着剤組成物Aを硬化させて得た粘着剤層」の該「基材フィルムAと反対側」に「セパレータフィルムA:75μmの厚み、0.07N/50mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、No.31Bテープ)に対する180度剥離力(0.3m/分)を有するポリエステルフィルム、東洋紡株式会社製「東洋紡エステル(登録商標)NZ-211」」を備える積層フィルム構造を有する。

そして、甲1発明の「セパレータフィルムA」は、本件訂正発明1の「表面保護フィルム」と「保護フィルム」である点で共通し、甲1発明の「基材フィルムA」は、本件訂正発明1の「補強用基材」と「基材」である点で共通するから、甲1発明の「積層された粘着性フィルム1」と本件訂正発明1の「補強用積層フィルム」とは、いずれも「セパレータ」(甲1発明の「セパレータフィルムA」に相当)、「粘着剤層(1)」(甲1発明の「粘着剤組成物Aを硬化させて得た粘着剤層」に相当)、「基材」、「保護フィルム」を「この順に有する積層フィルム」である点、「該セパレータと該粘着剤層(1)が直接に積層され」、「該基材」と該「保護フィルムとが直接に積層され」る点で共通する。

甲1発明の「セパレータフィルムA」において、75μmの厚みを有する「ポリエステルフィルム」が基材をなすことは明らかであるから、本件訂正発明1の「該セパレータは基材層(1)を含む」ことに相当する。

さらに、甲1発明の「アクリル系粘着剤組成物Aを硬化させて得られた粘着剤層」は、本件訂正発明1の「粘着剤層(1)がアクリル系粘着剤から構成され、該アクリル系粘着剤がアクリル系粘着剤組成物から形成され」ることに相当する。

上記のとおり、甲1発明の「基材フィルムA」と本件訂正発明1の「補強用基材」とは、いずれも基材である点で共通し、前者はPETフィルムでありその厚みが「75μm」であることは、後者がプラスチックフィルムでありその厚みが「25μm~500μm」であることを充足する。

そうすると、両者は、以下の<一致点1>で一致し、以下の<相違点1-1>~<相違点1-4>で相違するものである。

<一致点1>

「セパレータ、粘着剤層(1)、基材、保護フィルムをこの順に有する積層フィルムであって、

該セパレータと該粘着剤層(1)が直接に積層されてなり、

該基材と該保護フィルムが直接に積層されてなり、

該セパレータは基材層(1)を含み、

該粘着剤層(1)がアクリル系粘着剤から構成され、

該基材がプラスチックフィルムであり、

該基材の厚みが25μm~500μmである、積層フィルム。」

<相違点1-1>

本件訂正発明1は、基材が「補強用」基材であり、積層フィルムが「

セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)を光学部材または電子部材に貼り合わせて該光学部材または該電子部材を補強し、その後、表面保護の必要がなくなった時点で該表面保護フィルムを該補強用基材から剥離する

補強用」積層フィルムであるのに対し、甲1発明はそれらの明示がない点。

<相違点1-2>

本件訂正発明1は「表面保護フィルムは、基材層(2)と粘着剤層(2)を含み、

該粘着剤層(2)が該補強用基材に直接に積層され」、「該粘着剤層(2)がアクリル系粘着剤から構成され、

該アクリル系粘着剤が粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物から形成され、該粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物が、(p成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、

(q成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含む組成物(B)から重合によって形成される重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマーと、(r成分)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含

」むものであるのに対し、

甲1発明の保護フィルムAの「パナック株式会社製「HP50」」については、「表面」の明示がなく、保護フィルムの構成が不明であり、「

粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物が、(p成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、

(q成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含む組成物(B)から重合によって形成される重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマーと、(r成分)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含」

むことは記載されていない点。

<相違点1-3>

本件訂正発明1は、粘着剤層(1)のアクリル系粘着剤組成物について、「アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸を含む組成物(A)から重合によって形成される

重量平均分子量が100,000~1,000,000の

アクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含

み、該(メタ)アクリル酸の含有量が該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であり、

温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上であ

」るのに対し、

甲1発明は、粘着剤層(1)のアクリル系粘着剤組成物

とその所定条件での初期粘着力

が「アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸を含む組成物(A)から重合によって形成される

重量平均分子量が100,000~1,000,000の

アクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含

み、該(メタ)アクリル酸の含有量が該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であり、

温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上であ

」るか不明である点。

<相違点1-4>

本件訂正発明1は、「補強用積層フィルムにおける該補強用基材のきっかけ剥離力Pが、該補強用積層フィルムにおける該セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい」のに対して、甲1発明にはそのような特定がなく、積層フィルムにおける「基材のきっかけ剥離力P」が、「セパレータのきっかけ剥離力Q」「よりも大きい」か不明である点。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み、<相違点1-4>について、<相違点1-3>とあわせて検討する。

甲1には、基部の剥離力については記載がないものの、甲1発明の積層フィルムは、セパレータについて剥離がスムーズであることが記載されている(段落0009、0102、表2参照)。

そして、セパレータ(剥離ライナー)を有し、粘着剤層と基材層が多層積層しているシートにおいて、セパレータ(剥離ライナー)を剥離する際に、(剥離ライナーと直接に積層された粘着剤層以外の)粘着剤層と基材層は剥離せず、セパレータ(剥離ライナー)のみが剥離されるような設計とすることは、例えば、参考文献5段落【0007】に「本来であれば、剥離順序の観点からは、先に剥離される離型フィルムが、後に剥離される表面保護フィルムに比べて剥離力が十分に小さくなる(剥離し易い)ように設計されていることが望ましい」と記載されるように、一般的な事項である。

一方、剥離順序の設計において、基材のきっかけ剥離力Pと、セパレータ(剥離ライナー)のきっかけ剥離力Qの大小関係を用いて、粘着剤層と基材層が多層積層しているシートにおいて、セパレータ(剥離ライナー)を剥離する際に、(剥離ライナーと直接に積層された粘着剤層以外の)粘着剤層と基材層は剥離せず、セパレータ(剥離ライナー)のみが剥離されるような設計とすることは、上記(1)ア(イ)(摘示1(2)段落【0007】、【0025】~【0030】、【0267】)のとおり、甲2に記載がある。

そうすると、甲1発明においても、セパレータの剥離がスムーズとなる設計として、甲2発明のきっかけ剥離力の大小関係を採用することについては、当業者が容易に想到し得ると認められるところ、甲2には、きっかけ剥離力Pは、「剥離ライナーの粘着剤層(2)」面で測定されることが記載されており、甲2に記載された「剥離ライナーの粘着剤層(2)」は、上記<相違点1-3>にかかる本件訂正発明1の、粘着剤層(1)の構成を満たさないことも、上記ア(イ)で検討したとおりである。

そうすると、甲1発明において、甲2に記載された剥離順序の設計を採用した場合に、そのきっかけ剥離力P>Qを維持しつつ、さらにその測定面の粘着剤層のアクリル系粘着剤について、他の選択を行うことまでが、当業者に動機付けられるとはいえない。

(ウ)申立人の主張

申立人は、令和7年10月28日の意見書において、参考文献1により、重量平均分子量が100,000~1,000,000であり、(メタ)アクリル酸の含有量がモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であるアクリル系ポリマーを補強用フィルムのベースポリマーとして含有することは公知であるから、甲1発明の粘着剤層(1)として、これを採用することは当業者が容易に想到する旨の主張を行っている。

しかしながら、甲1発明において、セパレータに積層される粘着剤層(1)面で測定されるきっかけ剥離力Pとする剥離順序の設計を甲2の記載に基づき採用した場合には、当該粘着剤層(1)の構成が、アクリル系ポリマーの重量平均分子量、モノマー組成を満たさないことは上記(イ)で検討したとおりであり、きっかけ剥離力P>Qを維持しつつ、さらに甲1発明における「粘着剤層(1)」として、参考文献1記載の補強用フィルムのベースポリマーにあえて変更することまでが、甲1、甲2、及び参考1~5の記載により動機付けられるものとはいえない。

(エ)小括

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明及び甲1、甲2、参考文献1~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明2~3、5~6

本件訂正発明2~3、5~6は、本件訂正発明1の記載を引用する形式で記載されたものであって、前記ア(ア)の<相違点1-4>及び<相違点1-3>に係る特定事項を全て含むものである。

したがって、本件訂正発明2~3、5~6は、前記アと同じ理由により、甲1に記載された発明、並びに甲1、甲2、及び参考1~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲2発明を主たる引用発明とする場合(申立理由1-2)

ア 本件訂正発明1

(ア)甲2発明との対比

本件訂正発明1と甲2発明を対比する。

甲2発明の「表面保護フィルム付光学部材」は、「表面保護フィルム」が積層された「光学部材」の「該表面保護フィルムと反対側」に「粘着剤層(2)」を備え、「粘着剤層(2)」の「該光学部材と反対側」に「剥離ライナー」を備える積層フィルム構造を有し、また、甲2発明の「光学部材」は該積層構造の基材をなすことが明らかであり、本件訂正発明1の「補強用基材」と基材である点で共通するから、甲2発明の「表面保護フィルム付光学部材」と本件訂正発明1の「補強用積層フィルム」とは、いずれも「セパレータ」(甲2発明の「剥離ライナー」に相当)、「粘着剤層(1)」(甲2発明の「粘着剤層(2)」に相当)、「基材」、「表面保護フィルム」を「この順に有する積層フィルム」である点、「該セパレータと該粘着剤層(1)が直接に積層され」、「該基材と該表面保護フィルムとが直接に積層され」る点で共通する。

甲2発明の「該剥離ライナーは基材層10を含」むことは、本件訂正発明1の「該セパレータは基材層(1)を含」むことに相当する。

甲2発明の「該表面保護フィルムは基材層と粘着剤層(1)とを含」むことは、本件訂正発明1の「該表面保護フィルムは、基材層(2)と粘着剤層(2)を含」むことに相当し、甲2発明の「該表面保護フィルムの該粘着剤層(1)が光学部材側であ」ることは、本件訂正発明1の「該粘着剤層(2)が、該基材に直接に積層され」ることに相当する。

甲2発明の「コロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製)」は、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物であり、「コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)」は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であり、いずれも、多官能イソシアネート系架橋剤であるから(甲2段落0212)、本件訂正発明1の「多官能イソシアネート系架橋剤」に相当する。

さらに、甲2発明の「粘着剤層(1)」が、「アクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤から構成される」ことは、本件訂正発明1の「粘着剤層(2)がアクリル系粘着剤から構成され、該アクリル系粘着剤が粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物から形成され」ることに相当し、甲2発明の「アクリル系粘着剤組成物」が「2-エチルヘキシルアクリレートと2-ヒドロキシエチルアクリレートを含む組成物から重合によって形成されるアクリル系ポリマー」と「コロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製)」を含むことは、本件訂正発明1の「アクリル系粘着剤組成物」が「(p成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(q成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む組成物(B)から重合によって形成されるアクリル系ポリマー」と、(r成分)多官能イソシアネート系架橋剤」を含」むことに相当し、甲2発明の「アクリル系ポリマー」が「重合平均分子量55万」であることは、本件訂正発明1の「アクリル系ポリマー」が「重量平均分子量が100,000~1,000,000」であることを充足する。

上記のとおり、甲2発明の「光学部材」と本件訂正発明1の「補強用基材」とは、いずれも基材である点で共通し、前者の厚みが「62.16μm」であることは、後者の厚みが「25μm~500μm」であることを充足する。

甲2発明の「該積層体からの該光学部材のきっかけ剥離力Pが該剥離ライナーのきっかけ剥離力Qよりも大きい」ことは、本件訂正発明1の「該積層フィルムにおける該部材のきっかけ剥離力Pが該セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい」ことに相当する。

そうすると、両者は、以下の<一致点2>で一致し、以下の<相違点2-1>及び<相違点2-2>で相違するものである。

<一致点2>

「セパレータ、粘着剤層(1)、基材、表面保護フィルムをこの順に有する積層フィルムであって、

該セパレータと該粘着剤層(1)が直接に積層されてなり、

該基材と該表面保護フィルムとが直接に積層されてなり、

該セパレータは基材層(1)を含み、

該表面保護フィルムは、基材層(2)と粘着剤層(2)を含み、該粘着剤層(2)が、該基材に直接に積層され、

該粘着剤層(1)が、アクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤から構成され、

該粘着剤層(2)が、アクリル系粘着剤から構成され、

該アクリル系粘着剤が粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物から形成され、該粘着剤層(2)用アクリル系粘着剤組成物が、(p成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(q成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含む組成物(B)から重合によって形成される重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマーと、(r成分)多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、

該基材の厚みが25μm~500μmであり、

該積層フィルムにおける該基材のきっかけ剥離力Pが該セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい、

積層フィルム。」

<相違点2-1>

本件発明1は、基材が「プラスチックフィルム」である「補強用基材」であり、積層フィルムが「

セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)を光学部材または電子部材に貼り合わせて該光学部材または該電子部材を補強し、その後、表面保護の必要がなくなった時点で該表面保護フィルムを該補強用基材から剥離する

補強用」積層フィルムであるのに対し、甲2発明は、基材が「光学部材」であり、積層フィルムが「

セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)を光学部材または電子部材に貼り合わせて該光学部材または該電子部材を補強し、その後、表面保護の必要がなくなった時点で該表面保護フィルムを該補強用基材から剥離する

補強用」ではない点。

<相違点2-2>

本件訂正発明1は、粘着剤層(1)のアクリル系粘着剤組成物について、「アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸を含む組成物(A)から重合によって形成される

重量平均分子量が100,000~1,000,000の

アクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、

該(メタ)アクリル酸の含有量が該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であり、

温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上

」であるのに対し、甲2発明は、「アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む組成物から重合によって形成されるアクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含」むものであるものの、

「アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む組成物から重合によって形成されるアクリル系ポリマー」の

重量平均分子量が160万であって100,000~1,000,000を超えており、

「温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する

初期粘着力が6.1N/25mm以上」であるか不明であり、

「アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む組成物」が「4-ヒドロキシブチルアクリレート」を含み、「

(メタ)アクリル酸」は含まれず「モノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%」を満たさない

点。

(イ)相違点についての検討

事案に鑑み、まず、<相違点2-2>について検討する。

甲2には、本件訂正発明1の粘着剤層(1)のアクリル系粘着剤組成物に対応する「剥離ライナーの粘着剤層(2)」の重量平均分子量は、段落【0246】に、「好ましくは100万以上であり、より好ましくは110万~250万であり、さらに好ましくは120万~230万であり、特に好ましくは130万~210万である。アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内に調整することにより、本発明の表面保護フィルム付光学部材は、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いという効果をより発現し得る。」とされているから、160万である甲2発明の「剥離ライナーの粘着剤層(2)」の重量平均分子量を、例示の範囲の下限値100,000の1点において重複するものの、10万~100万とすることを動機付けられるとまではいえない。

また、甲2には、セパレータ(剥離ライナー)を有し、粘着剤層と基材層が多層積層しているシートにおいて、セパレータ(剥離ライナー)を剥離する際に、(剥離ライナーと直接に積層された粘着剤層以外の)粘着剤層と基材層は剥離せず、セパレータ(剥離ライナー)のみが剥離されるような設計とすることについて、段落【0007】に、「本発明の課題は、一方の表面に粘着剤層を介して剥離ライナーが貼着されており、もう一方の表面に表面保護フィルムが貼着されている光学部材であって、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難い、表面保護フィルム付光学部材を提供することにある。」と記載されている。

そして、そのような設計について、段落【0025】~【0030】に、光学部材の厚みが薄い場合であっても、表面保護フィルム付光学部材は、「基材」位置にある光学部材と、表面保護フィルムの積層体からの、該光学「部材のきっかけ剥離力P」が「剥離ライナーのきっかけ剥離力Q」よりも大きいことにより、剥離ライナーを剥離しようとする際に、光学部材が該剥離ライナーと一緒に表面保護フィルムから剥離され難い、すなわち、光学部材と表面保護フィルムとの界面で剥離が起こり難いことが記載され、段落【0267】に、「部材の

きっかけ剥離力P」の測定方法として、表面保護フィルム付偏光板の剥離ライナーを剥がし、表面保護フィルム付偏光板の粘着剤層側に圧着した片面粘着テープをピールした際の、剥離初めにかかる最大応力

をきっかけ剥離力(N/25mm)とすることが記載されている。そして、このきっかけ剥離力Pの測定方法は、本件訂正発明1の、補強用基材のきっかけ剥離力Pの測定方法(本件明細書段落【0213】)と同じである。

そうすると、甲2発明において、「剥離ライナーの粘着剤層(2)」のアクリル系樹脂の重量平均分子量を段落【0246】記載の下限値100万まで減少することは容易であるとしても、P>Qを維持しつつ、さらに、アクリル系樹脂のモノマー組成も段落【0234】の例示に基づいて、(b)成分を(メタ)アクリル酸に変更することまでが動機付けられるとはいえない。

(ウ)申立人の主張

申立人は、令和7年10月28日の意見書において、参考文献1により、重量平均分子量が100,000~1,000,000であり、(メタ)アクリル酸の含有量がモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であるアクリル系ポリマーを補強用フィルムのベースポリマーとして含有することは公知であるとして、これを採用することは当業者が容易に想到する旨の主張を行っている。

しかしながら、「剥離ライナーの粘着剤層(2)」の選択については上記(イ)で検討したとおりであり、甲2の記載により、甲2発明における「剥離ライナーの粘着剤層(2)」として、アクリル系樹脂の重量平均分子量を段落【0246】記載の下限値100万まで減少することは容易であるとしても、きっかけ剥離力P>Qを維持しつつ、さらに参考文献1記載の補強用フィルムのベースポリマーにまであえて変更することまでが動機付けられるものとはいえない。

(エ)小括

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明及び甲1、甲2、甲4、参考文献1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明2~3、5~6

本件訂正発明2~3、5~6は、本件訂正発明1の記載を引用する形式で記載されたものであって、前記ア(ア)の<相違点2-2>に係る特定事項を全て含むものである。

したがって、本件訂正発明2~3、5~6は、前記アと同じ理由により、甲2に記載された発明及び甲1、甲2、甲4、参考1~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 取消理由で採用しなかった申立理由等についての当審合議体の判断

1 申立理由1-2(甲2を主引例とした新規性欠如)

前記第5の3(2)ア(ア)のとおり、本件訂正発明1と甲2発明を対比すると、相違点2-1及び相違点2-2で相違し、いずれも実質的な相違点である。

そうすると、本件訂正発明1は甲2発明ではないから、前記第4の1(2)申立理由1-2のうち、(甲1を主引例とした新規性欠如)には理由がない。

2 申立理由2(サポート要件違反)

(1)前提

特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する、いわゆるサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)発明の課題

本件発明が解決しようとする課題は、本件明細書の段落【0006】の記載から、「表面保護フィルムとセパレータを有する補強用積層フィルム」において、「セパレータを粘着剤層の表面からスムーズに剥離できる補強用積層フィルムを提供すること」であると認められる。

(3)申立人の主張

本件発明には、粘着剤層(1)及び粘着剤層(2)におけるアクリル系粘着剤の成分含有量が特に規定されておらず、一方で、粘着剤層(1)については明細書段落【0217】に一種、粘着剤層(2)については明細書段落【0218】、【0219】に2種が開示されるのみであり、これらの配合量にかかわらず、セパレーターを粘着剤層の表面からスムーズに剥離できるという効果を得ることができることは、本願の詳細な説明には、具体的な根拠とともに記載されておらず、当該事項が技術常識であったとも直ちに認められるものではないので、本件発明の課題を解決できない態様が含まれるといえる。

(4)判断

本件明細書の段落【0032】~【0033】には、本件訂正発明の課題解決のメカニズムとして、「使用に際して剥離され得る2つの部材、すなわち、セパレータと表面保護フィルムについて、それぞれを剥離しようとする際のきっかけ剥離力の大きさの違いを適切に設計することによって、セパレータを粘着剤層の表面からスムーズに剥離し得る。このような設計を行わないと、セパレータを粘着剤層の表面から剥離する際に、表面保護フィルムと補強用基材との界面で剥がれてしまう等の、意図しない箇所での剥離が単発または併発してしまうというおそれがある。」、「上記設計として、本発明の補強用積層フィルムにおいては、補強用積層フィルムにおける該補強用基材のきっかけ剥離力Pが、該補強用積層フィルムにおける該セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい。」との記載がある。

そして、同段落【0217】~【0219】には、本件発明の特定事項を満たす1つの粘着剤層(1)と2つの粘着剤層(2)の製造例1~3が順に記載され、剥離順序の実施例として、本件発明の特定事項を満たし25μm以上の基材の厚みを有する補強用積層フィルムが、セパレータ剥離性に優れることが具体的に示されている。

そうすると、上記記載より、本件発明の特定事項を満たす粘着剤層を有した上で、必須の構成である「補強用基材のきっかけ剥離力Pが」、「セパレータのきっかけ剥離力Qよりも大きい」こと、「補強用基材の厚みが25μm~500μmである」ことで、セパレータ剥離性に対して寄与することは示されているから、本件訂正発明1の各粘着剤層の特定により、本件訂正発明1は、上記発明の課題を解決できるものであることが一応理解できる。

また、本件訂正発明1の範囲内の各粘着剤層が、上記厚みときっかけ剥離力の大小関係を満たした上で、セパレータの剥離性に劣るものを含むという合理的な疑いもない。

してみれば、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

また、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用する本件訂正発明2~3、5~6についても、同様の理由により、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

よって、本件出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものとはいえない。

(5)小括

以上で検討したとおり、本件訂正発明1~3、5~6は、発明の詳細な説明及び技術常識に基づいて、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、前記第4の1(3)の申立理由2(サポート要件違反)には理由がない。

3 その他の理由

令和7年10月28日の意見書における申立人の主張について、以下に検討する。

(1)明確性要件違反

ア 主張

本件訂正発明1の「温度23°C、湿度50%RH、

剥離角度150°C

、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、

剥離角度180°C

、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上であり、」なる記載は、「剥離角度」を「°C」の単位で規定することは不適切であるから、不明確である。

イ 検討

当該記載は本件訂正前の請求項7に記載に相当するものであるが、「角度」であるからその単位が「°」であることは明らかであり、当該記載は単なる誤記であると直ちに理解できる。なお、本件明細書段落【0215】の対応する記載においては、「度」が用いられている。

よって、本件訂正発明1と、引用する本件訂正発明2~3、5~6は、第三者に不測の不利益をもたらすほどに不明確であるとはいえない。

(2)実施可能要件違反

ア 主張

本件訂正発明1の「温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上」との初期粘着力とすることに技術的な困難が伴い、特段の技術的手段を必要とする場合には、本件明細書の全体をみても、どのようにすれば「初期粘着力が6.1N/25mm以上」の粘着剤層(1)とすることができるか記載されておらず、当該初期粘着力を得るために当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤が必要である。

イ 検討

本件訂正発明1は、上記第3に記載のとおりの構成を有する補強用積層フィルムであるところ、これを補強用積層フィルムとして一応使用できることは、従来技術から明らかである。

そこで、本件明細書及び出願当時の技術常識に基づき、当業者が本件訂正発明1の「該粘着剤層(1)がアクリル系粘着剤から構成され、該アクリル系粘着剤がアクリル系粘着剤組成物から形成され、該アクリル系粘着剤組成物が、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸を含む組成物(A)から重合によって形成される重量平均分子量が100,000~1,000,000のアクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、該(メタ)アクリル酸の含有量が該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して0.1重量%~30重量%であり、

温度23°C、湿度50%RH、剥離角度150°C、剥離速度10m/分で該セパレータを剥離して露出させた該粘着剤層(1)の、温度23°C、湿度50%RH、剥離角度180°C、剥離速度300mm/分でのガラス板に対する初期粘着力が6.1N/25mm以上であり、」を作ることができるかについて以下検討すると、本件明細書の段落【0217】に、本件発明の特定事項を満たす粘着剤層(1)の製造例1が記載され、所定の初期粘着力を満たすものであることも、実施例1~24として6.1N/25mm以上である試験結果として具体的に開示されている。

そうすると、本件明細書の記載及び技術常識に基づけば、本件訂正発明1の「初期粘着力が6.1N/25mm以上」の粘着剤層(1)を製造して用いることができるといえる。

したがって、本件明細書の記載は、当業者が本件訂正発明1~3、5~6の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

第7 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立ての理由によっては、本件訂正後の請求項1~3、5~6に係る特許を取り消すことはできない。

また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。

また、請求項4及び7に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項4及び7に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

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