結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024018100 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和6年4月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 5月 1日付け:拒絶理由通知書
令和6年 6月 5日 :手続補正書、意見書の提出
令和6年 8月 9日付け:拒絶査定
令和6年11月12日 :審判請求書の提出
令和6年11月13日 :手続補正書の提出
令和7年 5月 8日付け:審尋
令和7年 6月27日 :手続補正書、回答書の提出
令和7年 7月30日付け:補正の却下の決定
令和7年 8月 6日 :手続補正書の提出
本願商標は、別掲1の構成よりなり、第3類、第35類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、令和5年8月30日に登録出願された商願2023-96481に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、登録出願されたものである。
その後、指定商品及び指定役務については、令和7年8月6日提出の手続補正書により、最終的に、第44類「マッサージが組み込まれた顔及び体の手入れ,マッサージが組み込まれた美容のための体の手入れ」に補正されたものである。
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、以下の(1)及び(2)の商標権は現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5728340号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成26年1月10日
設定登録日:平成26年12月19日
最新更新登録日:令和7年1月23日
指定役務:第44類「美容,理容」
(2)登録第6072572号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「SORA」(標準文字)
登録出願日:平成29年3月28日
設定登録日:平成30年8月17日
指定役務:第44類「病気の症状に関する情報の提供,医薬品に関する医療情報の提供,その他の医療情報の提供,健康診断,栄養の指導」
本願商標は、引用商標1及び引用商標2と同一又は類似の商標であって、引用商標1及び引用商標2の指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
当審において、令和7年5月8日付け審尋により、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
(1)本願商標と引用商標1とは、いずれも「SORA」という文字列を含んでいるものの、両商標の構成態様は大きく異なっている。また、本願商標の構成中の「SORA」の文字は、「空」という漢字をローマ字で表記したものであるとともに、本願商標には、構成要素として「太陽(夕陽)が水面に沈む様子を模式的に表した図形」が配置されている以上、これよりは「静けさ」という観念が生じる。一方、引用商標1の構成中の「SORA」の文字は、「サロンのシンボルマーク」であり、これは、「pSOriasis Recovery Aid」の略である。また、図形部分は、髪をカットしたところを抽象的に表現したものである。そうすると、本願商標と引用商標1とは外観が異なり、観念も異なるから、本願商標と引用商標1との類似点は、「SORA」の文字列から生じる「ソラ」の称呼のみであって、全体観察を原則とした最高裁判決に従うのであれば、本願商標と引用商標1とは非類似とすべきである。
(2)請求人のサロンでは「需要者に着替えをしてもらって、顔及び全身のマッサージという役務を提供」している。これに対し、美容院においては毛髪のカット等で来店した顧客に対して、「頭部」だけのマッサージ等を提供することはあっても、着替えを要するようなマッサージという役務を提供することはないから、請求人が提供する役務は、美容院において美容師によって提供される役務「美容」とは明確に異なる。
(1)本願商標と引用商標2について
本願の指定役務は、上記2のとおり補正された結果、引用商標2に係る指定役務と同一又は類似する指定役務はすべて削除されたと認められる。
その結果、本願の指定役務は、引用商標2の指定役務と類似しない役務となった。
したがって、引用商標2との関係において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。
(2)本願商標と引用商標1について
ア 結合商標の類否判断について
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
イ 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、黒塗りの横長長方形内の中央に、円弧と複数の曲線を組み合わせた図形を白抜きで表し、その下に「SORA」の文字を白抜きで横書きしてなるところ、図形部分と文字部分とは、上下に重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。
そして、図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、特定の称呼及び観念は生じないものであって、図形部分及び文字部分とが、特定の意味合いを有する等の観念上の結びつきを見いだすこともできないから、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取されると判断しなければならない特段の事情は見いだせない。
そうすると、本願商標は、その構成中の「SORA」の文字部分を分離抽出し、これを本願商標の要部として引用商標1と比較することが許されるというべきである。
そして、「SORA」の文字は、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当であることからすると、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、この文字部分よりは、その構成文字に相応して、「ソラ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 引用商標1について
引用商標1は、別掲2のとおり、左側に幾何学図形を配置し、その右側に「SORA」の文字を横書きしてなるところ、図形部分と文字部分とは、互いに重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。
そして、図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、特定の称呼及び観念は生じないものであって、図形部分及び文字部分とが、特定の意味合いを有する等の観念上の結びつきを見いだすこともできないから、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取されると判断しなければならない特段の事情は見いだせない。
そうすると、引用商標1は、その構成中の「SORA」の文字部分を分離抽出し、これを引用商標1の要部として本願商標と比較することが許されるというべきである。
そして、「SORA」の文字は、上記イと同様に、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当であることからすると、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、この文字部分よりは、その構成文字に相応して、「ソラ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
エ 本願商標と引用商標1の類否について
本願商標と引用商標1は、それぞれ上記イ及びウのとおりの構成よりなるところ、両商標は、外観について、全体の構成との比較においては相違するものの、両商標の要部である文字部分については、語頭から語尾までの「SORA」の全てのつづりを共通にするものであるから、外観上近似した印象を与えるものである。
次に、称呼においては、本願商標の要部である「SORA」の文字から「ソラ」の称呼を生じ、引用商標1の要部である「SORA」の文字から「ソラ」の称呼を生じることから、両者は、「ソラ」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標の要部である「SORA」の文字と引用商標1の要部である「SORA」の文字は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
以上からすると、本願商標と引用商標1とは、観念において比較できないとしても、外観上近似した印象を与えるものであり、また、両者は称呼を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標1は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
オ 本願商標の指定役務と引用商標1の指定役務の類否について
商標法第4条第1項第11号における役務の類否の判断は、取引の実情、すなわち、a)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、b)提供に関連する物品が一致するかどうか、c)需要者の範囲が一致するかどうか、d)業種が同じかどうか、e)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、f)同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものである。
そこで、これを踏まえて、本願指定役務である第44類「マッサージが組み込まれた顔及び体の手入れ,マッサージが組み込まれた美容のための体の手入れ」と、引用商標1の指定役務である第44類「美容,理容」の類否について検討すると、これらの役務は、「商品及び役務の区分解説」〔国際分類第11-2022版対応〕特許庁商標課編によれば、「マッサージが組み込まれた美容のための体の手入れ」は、容姿を美しくすることを目的として体の手入れを行う役務であり、「美容」は「・・・容姿を美しくする役務」であるから、両者は容姿を美しくするという目的を共通にするものである。
加えて、別掲3のとおり、両者は一般的に同一の事業者によって提供される場合も多く、これらを踏まえると、両者の需要者も一致するといえる。そうすると、両者は、互いに類似の役務であると判断するのが相当である。
カ 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標1と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標1の指定役務と類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標及び引用商標1は、いずれも、全体が一体不可分のものとして認識されるものであると主張する。
しかしながら、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合は、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるといえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当であることは、上記(2)アのとおりである。
そうすると、両商標に接する需要者は、その構成中の図形部分と文字部分を、それぞれ、役務の出所識別標識としての機能を有する要部として認識、把握するのが相当であるから、両商標は、その構成中、顕著に表された「SORA」の文字部分を要部として抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきであることは、上記(2)イ及びウのとおりである。
イ 請求人は、請求人が本願商標を採択した意図を述べるとともに、第三者のウェブサイトに記載された内容を挙げ、本願商標と引用商標1からは異なる観念が生じる旨主張する。
しかしながら、本願商標及び引用商標1からは、いずれも構成中の「SORA」の文字が要部となること。また、この文字は辞書等に掲載のないものであり、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当であるから、両商標の要部である「SORA」の文字よりは、特定の観念が生じないというのが相当であることは、上記(2)イ及びウのとおりである。加えて、商標に接する取引者、需要者は、必ずしも商標採択の意図に沿って商標を認識し、把握するものではないから、仮に、本願商標及び引用商標1が請求人の主張のとおりに採択されたものであったとしても、これによって上記判断が左右されるものではない。
ウ 請求人は、本願の指定役務を、回答書と同日付けで提出した手続補正書によって、第44類「顔及び体の手入れ,美容のための体の手入れ」に限定したと述べ、請求人のサロンでは「需要者に着替えをしてもらって、顔及び全身のマッサージという役務を提供」している一方、美容院においては毛髪のカット等で来店した顧客に対して、「頭部」だけのマッサージ等を提供することはあっても、着替えを要するようなマッサージという役務を提供することはないから、請求人が提供する役務は、美容院において美容師によって提供される役務とは明確に異なるから、これらの役務と引用商標1の指定役務とは非類似である旨主張する。
しかしながら、令和7年6月27日に提出された手続補正書は、これによって補正されようとした指定役務が、令和6年11月13日提出の手続補正書により補正された指定役務の内容を変更(拡大)するものであるから、この商標登録出願について、その要旨を変更するものとして、令和7年7月30日付けで却下された。その後、本願指定役務については、同年8月6日提出の手続補正書によって、最終的に、「マッサージが組み込まれた顔及び体の手入れ,マッサージが組み込まれた美容のための体の手入れ」に補正されたものである。
一方、引用商標1の指定役務中「美容」は、上記(2)オのとおり、容姿を美しくすることを目的とする役務であって、加えて、「広辞苑(第七版)」(株式会社岩波書店)によれば、「美容」の語は、「容貌・容姿・髪型を美しくすること」の意味を有するものであることからすれば、この役務は、請求人が主張する、美容院における毛髪のカット等に加え、容貌・容姿を美しくするための顔及び体の手入れも含むものと解するのが相当である。
そうすると、本願指定役務「マッサージが組み込まれた顔及び体の手入れ,マッサージが組み込まれた美容のための体の手入れ」と、引用商標1の指定役務「美容,理容」とは、少なくとも、提供の手段・目的・場所、提供に関連する物品、需要者の範囲、業種が一致し、同一の事業者によって提供されるものを含むものであり、これらの役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
なお、本願指定役務と、引用商標1の指定役務「美容,理容」中、美容院や理髪店において提供される役務についても、一般的に同一の事業者によって提供される場合も多く、両者の需要者も一致する、互いに類似の役務であると判断するのが相当であることは上記(2)オのとおりである。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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