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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024300332
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6383132号商標(以下「本件商標」という。)は、「G-BOOST」の文字を標準文字で表してなり、令和2年3月30日に登録出願、第9類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同3年4月27日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録の日は、令和6年6月11日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)6月11日から同6年(2024年)6月10日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「事故防護用安全靴」及び第25類「運動用特殊靴下,履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した(以下、各甲(乙)号証の記載は、「甲(乙)○」のように省略する場合がある。)。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、第9類「事故防護用安全靴」及び第25類「運動用特殊靴下,履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証の商品カタログ

被請求人は、乙第1号証の商品カタログ掲載の「G-BOOST ウルトラバーナー」なる防寒手袋に本件商標を付し、これをスキー、スノーボード等の「ウインタースポーツ用」として販売していたから、本件商標は要証期間にウインタースポーツ用手袋(運動用特殊衣服)に使用されたと主張している。

しかし、当該カタログからは「G-BOOST ウルトラバーナー」なる防寒手袋が「防寒手袋」として広告、営業されていることがうかがい知れるのみである。当該カタログには、当該手袋が「ウインタースポーツ用」であるといった説明文や記述は存在しない。

また、当該カタログが頒布、ウェブサイトで提供等された時期も立証されていない。

したがって、被請求人が要証期間にウインタースポーツ用手袋に関するカタログに本件商標を付して頒布等した(商標法第2条第3項第8号)と認めることはできない。

(2)乙第2号証の商品タグ

被請求人は、乙第2号証に示す「G-BOOST ウルトラバーナー」なる防寒手袋の商品タグには当該商品の用途として「ウインタースポーツ」が記載されており、スノーボーダーのシルエットが記載されているから(被請求人の証拠説明書の記述)、「G-BOOST ウルトラバーナー」なる防寒手袋はウインタースポーツ用手袋としても販売されていたと主張している。

しかし、乙第2号証は、「G-BOOST ウルトラバーナー」なる防寒手袋の商品タグの「校正図面及びその一部の拡大図面」の画像のデータであり、当該データ中に令和3年7月5日の日付が記載されているにすぎない。被請求人は当該商品タグは紙製であると述べているが、被請求人が提出したいずれの証拠方法からも、乙第2号証の図面に基づいて紙製の商品タグが製造され、当該タグが付された「G-BOOST ウルトラバーナー」なる防寒手袋が要証期間中に販売等された事実を確認することはできない。

したがって、被請求人が要証期間にウインタースポーツ用手袋又はその包装に本件商標を付し、これを譲渡等した(商標法第2条第3項第1号又は同項第2号)と認めることはできない。

(3)乙第4号証 オオミヤスポーツ作成の広告物

被請求人は、2023年12月2日以降、小売店のオオミヤスポーツが「G-BOOST ウルトラバーナー」なる防寒手袋を「スキーグローブ」として販売していたから、当該手袋は要証期間にウインタースポーツ用手袋に使用されたと主張しているようであるが、被請求人とオオミヤスポーツとの関係は何ら立証されていない。

オオミヤスポーツによる広告等の行為が専用使用権者又は通常使用権者による本件商標の使用に該当しないことは明らかであり、当該行為に基づいて本件商標が要証期間にスキーグローブ(ウインタースポーツ用手袋)に使用されたということはできない。

(4)結語

以上のとおり、被請求人の答弁及び証拠方法からは、本件商標が要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって本件請求に係る指定商品に使用された事実は認められない。

したがって、被請求人の答弁の理由は成り立たず、本件商標の登録は商標法第50条第2項の規定により取り消しを免れない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 主張の骨子

商標権者は、2020年9月以降現在に至るまで、日本国内において、ウインタースポーツ用手袋及び当該ウインタースポーツ用手袋の商品タグに「G-BOOST」の標章を付したものを販売するとともに、被請求人の電子カタログ上で当該ウインタースポーツ用手袋の写真の脇等に「G-BOOST」の標章を付して被請求人のウェブサイトで公開していたので、本件商標の指定商品「運動用特殊衣服」についての登録は商標法第50条第1項の取消理由に該当しない。

2 本件商標の使用の事実

(1)被請求人は、2020年9月以降、日本国内において、G-BOOSTウルトラバーナー(商品番号:GB-6001)の手袋(以下「本件手袋」という。)を販売している(乙1)。

本件手袋には、人差し指の手の甲側(乙1、乙3)、及び左右の手袋の手首部分を重ねてこれを挟み込むようにして留める紙製の商品タグ(「ヘッダ」ともいう。)(乙2:拡大図面)に、本件商標である「G-BOOST」が付されている(商標法第2条第3項第1号又は同項第2号)。

また、被請求人の冬用の商品カタログには、本件手袋の写真の右上及び本件手袋の商品名の冒頭に、本件商標である「G-BOOST」が付されている(乙1)(商標法第2条第3項第8号)。

そして、本件手袋は防寒手袋であるが(乙1、乙2)、4層構造で保温性が高く(乙1、乙2)、また防水加工が施されているので(乙1、乙2)、寒冷地作業や自転車又はスクーターでの使用の他、スキーやスノーボード等のウインタースポーツ用としても販売していた(乙2)。例えば、本件手袋は、2023年12月2日以降、小売店のウェブサイトにおいて、スキーグローブとして販売されている(乙4)。

第25類の審査基準によれば、スキー用手袋は運動用特殊衣服(24C01)の例に含まれている(乙5:第389頁)。これは、手袋(17A04)が被服(17A01,17A02,17A03,17A04,17A07)に含まれていることとも整合する(乙5)。

したがって、商標権者は、本件商標である「G-BOOST」を、防寒手袋だけでなく、運動用特殊衣服にも使用している。

(2)結論

以上のとおり、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が指定商品「運動用特殊衣服」に使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める。

3 審尋及び弁駁に対する回答

(1)審尋に対する意見

審尋によれば、乙第4号証に記載された「オオミヤスポーツ」と被請求人との関係が明らかでないことから、これをもって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標を使用していた事実を認めることができないとの心証が開示されている。そこで、以下、乙第4号証の立証趣旨を整理するとともに、被請求人が要証期間内に指定商品について本件商標を使用していたという要証事実を整理して主張する。

ア 乙第4号証の立証趣旨

乙第4号証の立証趣旨は、証拠説明書に記載のとおり、「G-BOOSTウルトラバーナーは、2023年12月2日から、オオミヤスポーツのウェブサイトにおいて、スキーグローブとして販売されている」ことである。そして、この事実は、被請求人が(本件商標を付した)本件手袋をウィンタースポーツ用として(も)販売していたという要証事実を推認するために用いる間接事実として主張するものである(答弁書第3ページ第2段落)。つまり、オオミヤスポーツが本件商標を付した本件手袋を販売しているということは、当然の前提として被請求人がその本件手袋を卸売業者に販売しているのであるから(注:被請求人とオオミヤスポーツとは直接取引はない。)、被請求人が本件手袋を卸売業者に販売している事実が推認できるのである。その他の乙第4号証の用い方については後述する。

以上、乙第4号証は、要証事実を推認するための間接証拠として提出しているのであり、オオミヤスポーツが被請求人と何らかの法的な関係があることを前提とした主張を行うために提出した証拠ではない。

イ 本件審判の要証事実の整理

被請求人は、2021年9月以降現在に至るまで、日本国内において、本件手袋を、本件手袋及び本件手袋の商品タグに「G-BOOST」の標章を付して販売していた。

(ア)被請求人が要証期間内に本件手袋を販売していることは、乙第1号証(2023~2024年の冬用カタログに掲載されていること。カタログに掲載されているのであれば当然販売されている。)、及び乙第4号証(本件手袋を小売店が実際に販売していること。小売店が販売しているのであれば当然被請求人が小売店の仕入れ先に販売している。)から経験則上推認できるものであるが、例えば今回提出する乙第6号証によれば、被請求人は、2021年10月4日、G-BOOSTウルトラバーナーを買主に販売しているのであるから、被請求人が要証期間内に本件手袋を販売していたことに疑いの余地はない。

(イ)本件手袋に本件商標を付していることは乙第3号証から、本件手袋の商品タグに本件商標を付していることは乙第2号証から明らかである。なお、乙第1号証(後述の乙9)の本件手袋の写真(茶色の手袋)と乙第3号証の本件手袋の写真とは同一であることは、親指部分の白抜きが共通すること等から明らかである。また、乙第1号証(後述の乙9)のG-BOOSTウルトラバーナーの真上に表示されている商品タグと乙第2号証の商品タグの表側のデザインとが同じであることも明らかである。すなわち、乙第1号証を介して、乙第2号証が本件手袋に付された商品タグであること、及び乙第3号証が本件手袋であることは証明できている。

(ウ)本件手袋がウィンタースポーツ用手袋であることは、乙第2号証(本件手袋の商品タグの裏面の表示)から明らかである。乙第2号証の商品タグが本件手袋に実際に使用されていることは、上述のとおり乙第1号証(後述の乙9)に表示されている商品タグの表面のデザインと同じであることに加え、次の3つの事実からも経験則上推認できる。

まず、本件手袋は、2021~2022年の冬用カタログにおいて新製品として紹介されている(乙7:商品名「GB-6001 G-BOOSTウルトラバーナー」の上にNEWのマークが記載されている)。カタログの裏表紙に記載しているJANコードの下の数字「21081500.67」の上4桁がカタログの頒布月を示しているので、このカタログの頒布日は2021年8月である。つまり、新製品である本件手袋をカタログに掲載して販売するにあたり本件手袋の商品タグを発注する必要があるが、その校正を行っているのが2021年7月5日であるので(乙2)、カタログの配布時期と時的関係が符合している。

次に、小売店が製品を製造メーカーが表示した用途以外の用途で販売することは、製品の使用に対する責任を小売店が負うことになることに照らせば経験則上そのようなことは行わないのであるから、オオミヤスポーツのウェブサイト(乙4)において、本件手袋を「スキーグローブ」と表示しているのは、被請求人が本件手袋をウィンタースポーツ用としても販売していたからであると推認することができる(つまり、乙第4号証は、被請求人が本件手袋に乙第2号証の商品タグを付して販売していたことを推認する間接証拠でもある)。

そして、被請求人は、現在においても本件手袋に乙第2号証の商品タグを使用している(乙8)。つまり、乙第7号証や乙第1号証(後述の乙9)に表示されている商品タグと同じであることから、本件手袋の販売開始から商品タグのデザインを変更していないことが推認できる。

ウ 小括

以上から、被請求人が、要証期間内に、指定商品について本件商標を使用していたという要証事実は、各証拠で証明できている。

なお、答弁書には、本件手袋の発売時期を「2020年9月以降」と記載していたが、「2021年9月以降」の誤記であるので(乙7)、従前の主張を撤回及び訂正する。

(2)弁駁書に対する意見

ア 乙第1号証のカタログの頒布・提供時期について

乙第9号証は乙第1号証と同じカタログでより解像度の高いものであるが、カタログの裏表紙に記載しているJANコードの下の数字「23072000.28」の上4桁がカタログの頒布月を示しているので、このカタログの頒布日は2023年7月である。

イ 乙第2号証の商品タグについて

乙第2号証から認定できる間接事実、及び乙第2号証が本件手袋の商品タグとして使用されていることの推認過程は、審尋に対する意見中で主張したとおりである。

ウ 乙第4号証について

乙第4号証の立証趣旨は、審尋に対する意見で主張したとおりである。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。

(1)商標権者の業務に係る手袋に関する「DAN DAYS COLLECTION WINTER 2021-2022」と題する商品カタログには、商品名を「GB-6001 G-BOOST ウルトラバーナー」とする手袋(以下「使用商品」という。)が掲載されている(乙7)。

(2)使用商品には別掲2のような商品タグが付けられており、その商品タグの表面には、「GB-6001/M/G-BOOST/ULTRA BURNER」の表示(「G-BOOST」の文字は、別掲1のとおりの態様からなる。以下「使用商標」という。)があり、裏面には「用途 ウインタースポーツ」、商標権者の名称等の表示がある(乙8)。

(3)商標権者は、2021年10月4日に、使用商品を5個、納品した(乙6)。

2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用商品について

使用商品は「商品名を「GB-6001 G-BOOST ウルトラバーナー」とする手袋」であるところ、その商品タグに表示された商品の用途には「ウインタースポーツ」と表示されていることからすると、使用商品は本件審判の請求に係る商品中、第25類「運動用特殊衣服」の範ちゅうに含まれる商品である。

(2)使用商標について

本件商標は、「G-BOOST」の文字を標準文字で表してなるものであり、使用商標は、別掲1のとおり、「G-BOOST」の文字をややデザイン化した書体で横書きしてなるものであり、両商標はその構成文字を共通にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

そして、使用商標は、使用商品の商品タグに表示されているところ、別掲2のような商品タグは、商品の包装の一種ということができる。

そうすると、使用商品の包装には使用商標が付されていたといえる。

(3)使用時期について

商標権者は、要証期間内である2021年10月4日に、使用商品を5個、納品、すなわち、譲渡したと認めることができる。

(4)小括

以上によれば、商標権者は、要証期間内である2021年10月4日に、本件審判の請求に係る商品中、第25類「運動用特殊衣服」の範ちゅうに含まれる使用商品の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したものを譲渡したと認めることができる。

そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡・・・する行為」に該当する。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の商標権者が、本件審判の請求に係る商品である「運動用特殊衣服」に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一の使用商標の使用をしていたことを証明したということができる。

したがって、本件商標の指定商品中、第9類「事故防護用安全靴」及び第25類「運動用特殊靴下,履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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