結論テキスト
登録第2706277号商標の指定商品中、第9類「消防艇,消防車,自動車用シガーライター」及び第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024300695 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理 由
本件登録第2706277号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「SIGRO」の欧文字を横書きしてなり、平成4年3月19日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同7年4月28日に設定登録されたものである。
その後、本件商標は、平成18年2月15日に、指定商品を第6類、第9類、第12類、第13類、第19類及び第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、さらに、同27年5月12日に第9類「消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター」及び第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」についてのみ存続期間の更新登録がされた。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年10月16日であり、その請求の登録前3年以内の同3年(2021年)10月16日から同6年(2024年)10月15日までの期間を、以下「要証期間」という。
請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「消防艇,消防車,自動車用シガーライター」及び第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、審判請求書及び令和7年1月17日付け審判事件答弁書(以下「第1答弁書」という、)に対する同年3月12日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(1)「自動車用車体カバーの写真プリント」(乙1~乙4)について
乙第1号証の3及び乙第1号証の4には、本件商標と社会通念上同一であると被請求人が主張する「sigro」、「シグロ」の文字は表れていないから、本件商標の使用証拠として、採用する理由がない。
また、その他の写真の撮影日に着目すると、乙第1号証の1及び乙第1号証の2は、撮影日が2024年12月25日であって、要証期間後であり、乙第2号証及び乙第3号証の撮影日も2024年12月16日であって、要証期間後であり、さらに乙第4号証についても同様に、撮影日が2025年1月7日であって、要証期間後である。
そして、これらの写真は、「自己の店舗に陳列された商品の写真とその商品の販売の事実を裏付ける取引書類」や「自社のウェブサイトの印刷物又は保存データ」などといった実際に使用されている状況を表した写真ではなく、単に個々の商品の写真にすぎない。
よって乙第1号証の3及び乙第1号証の4を除く上記証拠は、要証期間内における本件商標の使用を証明するものではない。
(2)「使用商品の販売実績」(乙5)について
乙第5号証によると、売上日付としては、例えば、2022年12月13日など、要証期間の日付が記載されているが、当該証拠の出力日・作成日は、2024年12月14日であり、要証期間後である。さらに、この販売実績を確実に裏付けるための他の資料、例えば、仕入先との受発注の過程で交わされたやりとり(メールやfax等)などは一切提出されていない。このことから乙第5号証の証拠の信ぴょう性は極めて低いものといわざるを得ず、要証期間における、本件商標に係る商品の販売実績を裏付ける客観的な証拠として不適切であり、ひいては要証期間内の本件商標の使用を証明するものではない。
(3)「使用商品の在庫リスト」(乙6)について
本件商標に係る「使用商品の在庫リスト」(乙6)も、乙第5号証と同様に、出力日・作成日が2024年12月14日であり、要証期間後である。また、在庫の計上年月として「202412」(2024年12月)が記載されており、これについても要証期間後である。
よって当該在庫リストは、要証期間内の商品の在庫量を示すものではなく、要証期間内に本件商標の使用を証明する証拠としては不適切である。
(4)結語
被請求人提出の乙第1号証から乙第11号証は、本件審判請求登録前3年以内に本件商標が本件審判請求に係る指定商品について使用されていたことを証明するものとはいえず、ひいては、本件商標が被請求人により、本件審判請求に係る指定商品について使用されていたとはいえず、答弁の理由は成り立たない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、第1答弁書及び弁駁書に対する令和7年8月12日付け答弁書(以下「第2答弁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して表記する場合があり、枝番号をすべて示すときは枝番号を省略する。
(1)本件商標の使用について
ア 本件商標の商標権者及び本件商標について
本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、「オートバックス」、「スーパーオートバックス」などのストアブランドを中心とする約1,000店舗の自動車用品総合専門店を日本全国にフランチャイズチェーン展開している。
そして、「SIGRO」及び「シグロ」とは、本件商標権者が独自に販売する「自動車用車体カバー」に用いるブランド名であり、自動車のボディタイプに適合する数種類の商品を、上記自動車用品総合専門店で販売している。
イ 本件商標の使用商品について
本件商標権者が販売する商品「自動車用車体カバー」の写真をプリントアウトしたもの(乙1~乙4)は、「クルマのボディガード」、「ボディカバー」、「BODYCOVER」の文字や商品の使用状態を示す写真の表示等から、当該商品が「自動車用車体カバー」であることは明白であり、当該「自動車用車体カバー」(乙1~乙4。以下、これらをまとめて「本件使用商品」という。)は、本件審判の請求に係る指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」の範ちゅうに含まれる商品である。
また、本件使用商品には、「sigro」及び「シグロ」の文字(以下、これらをまとめて「使用標章」という。)が表示されている。
さらに、乙第1号証の2には、「総発売元 株式会社オートバックスセブン」との表示があり、本件使用商品が本件商標権者の販売する商品であることが見てとれる。
ウ 本件商標と使用標章の同一性について
本件商標は、「SIGRO」の欧文字を表してなる商標である。
これに対し、使用標章は「sigro」及び「シグロ」の文字を表してなる商標であるところ、本件商標と使用標章のうち「sigro」とは、構成文字における大文字と小文字の差異、書体の差異を有するものの、構成文字を共通にする商標であることから、これらは社会通念上同一の商標と認められるといえる。また、本件商標と使用標章のうち「シグロ」とは、構成文字における欧文字と片仮名の差異、書体の差異を有するものの、共通の称呼が生じる商標であることから、これらは社会通念上同一の商標と認められるといえる。
エ 本件商標の使用の事実について
本件商標権者は、本件使用商品を上記自動車用品総合専門店「オートバックス」、「スーパーオートバックス」の各店舗で販売している。
乙第5号証は、本件商標権者による上記自動車用品総合専門店「オートバックス」、「スーパーオートバックス」の各店舗における本件使用商品の販売実績であり、これには、「売上日付」、「店舗名」、「商品名」、「売上数量」、「最終販売金額」等の欄があり、いつ、どの店舗で、本件使用商品が販売されたかが見てとれる。
そして、当該販売実績(乙5)中、2023年1月3日にトヨタ店(乙7)で販売した商品名「オートイン シグロ21 2ガタ バン」は、乙第1号証に示す本件使用商品であり、また、2022年12月13日に三芳店(乙8)で販売した商品名「オートイン シグロ21 6ガタ Dミラー」は、乙第2号証に示す本件使用商品である。
次に、乙第6号証は、2024年12月時点の上記自動車用品総合専門店「オートバックス」及び「スーパーオートバックス」の各店舗における本件使用商品の在庫リストである。
在庫リスト(乙6)には、「店舗名」、「商品名」、「理論在庫数量」等の欄があり、どの店舗にどの本件使用商品の在庫が存在するのかが見てとれる。
そして、乙第1号証は、在庫リスト(乙6)中の、狭山店(乙9)の商品名「オートイン シグロ21 2ガタ バン」を撮影したものである。
また、乙第3号証は、在庫リスト(乙6)中の、北越谷店(乙10)の商品名「オートイン シグロG 5ガタ Dミラー」を撮影したものである。
さらに、乙第4号証は、在庫リスト(乙6)中の、SA・静岡中原店(乙11)の商品名「オートイン シグロG 1ガタ Dミラー」を撮影したものである。
なお、乙第2号証は、在庫リスト(乙6)中には記載がないものの、北越谷店の在庫商品「オートイン シグロ21 6ガタ Dミラー」を撮影したものである。
この在庫リスト(乙6)と乙第2号証の商品の存在の不整合は、「6ガタ(型)」である乙第2号証の商品を別の型として登録した等、商品の登録を誤ったことから不整合が生じているものと考えられる。
また、販売実績(乙5)中には、上記商品名「オートイン シグロ21 2ガタ バン」、「オートイン シグロ21 6ガタ Dミラー」の他にも、商品名「オートイン シグロ21 8ガタ Dミラー」、「オートイン シグロ21 5ガタ Dミラー」、「オートイン シグロ21 4ガタ バン」及び「オートイン シグロ21 1ガタ バン」の記載がある。
これらの商品名に含まれる「~ガタ」という表示は、乙第1号証の1及び乙第2号証に示す本件使用商品の右下の「2型ワゴン・バン」、「6型」という表示に対応する表示であるが、それぞれの製品が対応する自動車の種類を示しているにすぎず、「~ガタ」という表示部分が異なっていても、商品の基本的な外観やデザインは共通している。
したがって、販売実績(乙5)中の商品名「オートイン シグロ21 8ガタ Dミラー」、「オートイン シグロ21 5ガタ Dミラー」、「オートイン シグロ21 4ガタ バン」、「オートイン シグロ21 1ガタ バン」などについても、基本的な表示内容は乙第1号証及び乙第2号証に示された商品と同様であり、使用標章「sigro」及び「シグロ」の文字が表示された本件使用商品が販売されたものである。
上記のことから、本件商標が表示された本件使用商品が、2022年12月13日にオートバックス三芳店で商品名「オートイン シグロ21 6ガタ Dミラー」が販売され、2022年12月13日にオートバックス三芳店で商品名「オートイン シグロ21 8ガタ Dミラー」が販売され、2023年1月3日にオートバックストヨタ店で商品名「オートイン シグロ21 2ガタ バン」が販売され、2023年3月26日にオートバックス三芳店で商品名「オートイン シグロ21 5ガタ Dミラー」が販売され、2023年8月11日にオートバックス静岡中原店で商品名「オートイン シグロ21 4ガタ バン」が販売され、2024年3月3日にオートバックス狭山店で商品名「オートイン シグロ21 1ガタ バン」が販売され、さらに2024年4月2日にオートバックス狭山店で商品名「オートイン シグロ21 4ガタ バン」が販売されたことが分かる。
(2)以上のことから、本件商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」に含まれる商品「自動車用車体カバー」に、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡又は引き渡した(商標法第2条第3項第2号)と認められる。
(3)以上のごとく、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しないものであるので、本件審判の請求は成り立たない。
(1)自動車用車体カバーの販売実態について
「自動車用車体カバー」については、現在、オートバックス店舗では棚に並べて販売されていない。というのも、従来のように数種類の車種に適合するよう汎用性をもたせた形式の「自動車用車体カバー」は、現在では需要が少なくなっており、市中においても「自動車用車体カバー」をかけた自動車を見かけることは稀である。そのため、店舗においても販売スペースを割くメリットが乏しく、棚に陳列されていないのが実情である。
請求人は、「これらの写真は「自己の店舗に陳列された商品の写真とその商品の販売事実を裏付ける取引書類」や「自社のウェブサイトの印刷物又は保存データ」などといった、実際に使用されている状況を表した写真ではなく、単に個々の商品の写真にすぎない」と主張しているが、上記のとおり、現在、オートバックス店舗において、従来のような汎用型の「自動車用車体カバー」が棚に並べて販売されている実態はなく、現在の販売形態は、車種ごとの形状に応じたセミオーダー形式の商品が主流となっており、店舗での即時購入というよりも、個別注文により対応する販売形態へと移行している。今では、個別の自動車に合ったセミオーダー「自動車用車体カバー」の販売が主流である。
実際、オートバックスでは、各自動車の所有者がレジにおいて自身の車種に適した「自動車用車体カバー」を注文し、それをメーカーに発注するという販売形態が採られている。
また、汎用タイプのカバーを求める顧客も一部存在するため、同社の通販サイトでは、輸入品などがわずかに取り扱われているにすぎない。
(2)乙第1号証ないし乙第4号証の提出の経緯と内容
本件商標と社会通念上同一といえる「Sigro」及び「シグロ」(以下、「Sigro/シグロ」という。)の文字が使用された自動車用カバーの商品について、各店舗において現存の可能性がある品番を確認し、協力が得られた店舗において現物を撮影のうえ、その写真をプリントアウトしたものを証拠(乙1~乙4)として提出した。
乙第1号証ないし乙第4号証は、多数のバリエーションが存在する「Sigro/シグロ」ブランドの自動車用カバーのうち、撮影が可能であった4種類の品番の現物商品を写真により示したものである。
「Sigro/シグロ」の文字が付された「自動車用車体カバー」(乙1~乙4)は、仲林工業株式会社が日本国内で製造した製品であり、1つの商品で数種類の車種に適合するよう汎用性をもたせた形式の「自動車用車体カバー」でありながらも、その裁断や縫製の品質が高く、耐久性にも優れていることから、一定の需要層に根強い人気を有している。こうした事情から、「Sigro/シグロ」の「自動車用車体カバー」を使用する需要者が、再度、同一商品を求めて購入するケースも見受けられ、実際、オートバックスの一部店舗では、こうしたリピーター需要に応えるために、在庫品として本製品を保有している状況(乙6)が確認できる。
もっとも、当該商品は要証期間外の過去に仕入れた在庫品であることから、仕入れ時期による使用の証明はできず、また、上記説明の市場の実情に鑑み、今後追加で仕入れる予定はなく、在庫限りの売り切りの方針であるため、請求人がインターネット等を通じて調査を行ったとしても、現在における販売の事実を示す情報は得られないのが実情である。
(3)特に、乙第5号証に示す販売実績と乙第1号証及び乙第2号証について
「Sigro/シグロ」ブランドの自動車用車体カバーが要証期間中に販売されていたことを示す販売実績(乙5)は、各品番の商品が同期間中に需要者に販売されていた事実を裏付けるものである。
このうち、乙第1号証(シグロ21-6型)及び乙第2号証(シグロ21-2型)に対応する品番については、乙第5号証の記載により、2022年12月13日に三芳店、2023年1月3日にトヨタ店において、それぞれ需要者に販売されていたことが確認できる。
なお、「Sigro/シグロ」ブランドの自動車用車体カバーは、大きく「シグロ21」及び「シグロG」の2シリーズに分類され、各シリーズには1型から8型までのバリエーション(型番)が存在し、これらの商品は、売り切りの方針であり新たに仕入れる予定ではないことから、店舗における在庫も極めて限られていたため、現物の撮影が可能であった一部の品番のみに限って、乙第1号証ないし乙第4号証として提出するにとどまったという事情がある。
乙第1号証及び乙第2号証は、いずれも要証期間中に販売されたことが乙第5号証により確認された品番の商品であり、直接的な使用証拠となることに対し、乙第3号証(シグロG-5型)及び乙第4号証(シグロG-1型)は、シリーズが異なるため、要証期間中の販売実績を直接示すものではない。しかしながら、これらも多数のバリエーションが存在する「Sigro/シグロ」ブランド商品の一部であり、商標表示の一貫性を示す補足的な証拠といえる。なお、現物の写真を提出できなかった他の品番の商品についても同様に「Sigro/シグロ」の文字が表示されている。
よって、要証期間中に本件商標が実際に使用された商品が販売されていたことを示す直接的な証拠としては、現物写真(乙1、乙2)と、販売実績(乙5)中の記載、すなわち2022年12月13日(三芳店)及び2023年1月3日(トヨタ店)の販売実績が該当する。
また、乙第6号証は、直接の使用証拠ではないものの、乙第5号証に記載された他の品番について、販売の蓋然性を間接的に示す在庫リストであり、あわせて、本件商標が使用された商品が店舗に在庫として用意されていたことを裏付ける資料でもある。
直接証拠である乙第1号証、乙第2号証及び乙第5号証の証拠は、いずれも第1答弁書の作成時における、現物の写真のプリントや販売実績のプリントであるため、証拠の信ぴょう性を確保し、証拠の真偽を判断する上で重要な情報となるので、作成者及び作成日や作成場所を明記している。
したがって、ここで記載されている「作成日」とは、証拠をプリントアウト又は作成した日を示すものであり、必ずしも要証期間内である必要はない。
前述のように、本件商標と社会通念上同一といえる「Sigro/シグロ」の文字が実際に付された自動車用車体カバーが存在し、かつ要証期間内に販売されていた事実は、少なくとも乙第1号証、乙第2号証及び乙第5号証により十分に立証されているものといえる。
(4)証拠の信ぴょう性に関する陳述書(乙12)の提出について
販売実績(乙5)について、請求人はその信用性に疑義を持たれているものと推察するもので、文面からすると、単なる「印刷物」として認識されているものと考えられる。
そこで、第2答弁書では、株式会社オートバックスセブン、カーライフ商品部カーライフ商品課のKによる陳述書(乙12)を提出する。
陳述書(乙12)の陳述のとおり、乙第5号証は、全国のフランチャイジー各店舗から報告された売上データを本部にて集計し、日付及び品番をフィルター処理することにより、要証期間に該当する「Sigro/シグロ」ブランドの商品の販売記録を抽出してプリントしたものであって、また、実際に各店舗で記録・管理されたPOSデータ又は販売管理システムに基づくものであり、単なる恣意的な一覧表ではなく、客観的な販売実績を反映したものである。さらに、必要があれば、当該データの作成者の上長や役員による認証や追加陳述書の提出も可能である。
(5)領収証データ(乙13~乙18)の提出について
乙第5号証に対応する各店舗の領収証データ(乙13~乙18)をプリントしたものを提出するが、当該領収証データは、実際に乙第5号証に記録された商品を購入した需要者に対して発行された領収証のデータであり、各販売事実を直接に裏付ける証拠である。印刷の関係上、一部に文字化けが見られる箇所もあるが、取引内容を示す店舗現場における確かな証拠として、本件商標権者の子会社が管理するデータから入手したものである。
領収証データをプリントしたもの(乙13~乙18)については、実際に各店舗で発行される感熱紙に印字される領収証には、さらに上部に店舗名、「領収証」の文字、宛名欄と「様」の文字が印字され、また下部にはバーコードやサービス券、宣伝文言等が記載されており、これら上部及び下部の付随的な記載情報を除いて保存されていた取引内容を示すものである。
なお、各プリント(乙13~乙18)の冒頭に付した日付、店舗名、括弧内の「商品CD」の文字及び6桁の数字等の記載は、領収証データ自体の内容ではなく、乙第5号証の販売実績との対応関係を明確にするために整理した情報であって、例えば、乙第13号証の領収証データを見ると、購入者は2022年12月13日火曜日に店舗において、3点の商品を購入しており、そのうちの2点が、「商品CD324625オートイン シグロ21 6ガタ Dミラー」及び「商品CD324627オートイン シグロ21 8ガタ Dミラー」に該当し、領収証データに示された具体的な商品明細が、販売実績(乙5)と一致していることが確認できる。
これにより、販売実績(乙5)と、各店舗で実際に発行された領収証データとの対応関係が明確となり、両者は相互に補強する関係にある。
したがって、本件商標の使用事実をより確実に立証するものといえる。
なお、購入者の重要情報であるクレジットカード番号やポイントカード関連の情報は黒塗りにした。
(6)以上のことから、少なくとも乙第1号証、乙第2号証及び乙第5号証により、又は、乙第1号証及び乙第13号証により、若しくは乙第2号証及び乙第14号証により、本件商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」に含まれる「自動車用車体カバー」について、本件商標を付した商品を販売することにより、本件商標の使用をしていたことが明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しないものであり、本件審判の請求は成り立たない。
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
(1)乙第1号証ないし乙第4号証について
乙第1号証ないし乙第4号証は、自動車用車体カバーの写真と主張するものであり、乙第1号証には、「撮影日:2024年12月25日」、「撮影場所:オートバックス狭山店」、「撮影者:株式会社オートバックスセブン 北関東営業部北関東営業課」として担当者名が、乙第2号証には、「撮影日:2024年12月16日」、「撮影場所:オートバックス北越谷店」、「撮影者:株式会社オートバックスセブン 北関東営業部北関東営業課」として担当者名が、乙第3号証には、「撮影日:2024年12月16日」、「撮影場所:オートバックス北越谷店」、「撮影者:株式会社オートバックスセブン 北関東営業部北関東営業課」として担当者名が、並びに、乙第4号証には、「撮影日:2025年1月7日」、「撮影場所:スーパーオートバックス静岡中原店」、「撮影者:株式会社オートバックスセブン 神奈川・静岡営業部神奈川・静岡営業課」として担当者名が、それぞれ表示されている。また、乙第1号証の1及び乙第2号証の写真には、シート状のものを覆った自動車の一部と思われる画像、その車体状の部分の下部に「sigro-21」、「ボディカバー[シグロ21]」の文字が表示されており、乙第3号証及び乙第4号証の写真には、シート状のものを覆った自動車の一部と思われる画像の上部に、画像に重なるように「BODY COVER」及び「Sigro-G」の文字が表示されている。
乙第1号証の1及び乙第1号証の3には、「2型 ワゴン・バン」の、乙第1号証の2には「総発売元 株式会社オートバックスセブン」の、乙第2号証には「6型」の、乙第3号証には「5型」の、並びに、乙第4号証には「1型」の各表示がある。
(2)乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人が、本件商標権者による自動車用品総合専門店「オートバックス」及び「スーパーオートバックス」の各店舗における本件使用商品の販売実績と主張するものであり、出力日・作成日、出力者・作成者及び所有者の欄には、「出力日・作成日:2024年12月14日」、「出力者・作成者:株式会社オートバックスセブン カーライフ商品部カーライフ商品課」として担当者名、及び「所有者:株式会社オートバックスセブン カーライフ商品部カーライフ商品課」の記載がある。
また、表の1段目には、「売上日付、店舗CD、店舗名、商品CD、商品名、仕入先CD、仕入先名、売上数量、最終販売金額」とあり、各項目中「売上日付、店舗名、商品名、仕入先名、売上数量、最終販売金額」に対応して、2段目には「2022年12月13日、三芳店、オートイン シグロ21 6ガタ Dミラー、仲林工業(株)、1、10,673」の、3段目には「2022年12月13日、三芳店、オートイン シグロ21 8ガタ Dミラー、仲林工業(株)、1、10,672」の、4段目には「2023年1月3日、トヨタ店、オートイン シグロ21 2ガタ バン、仲林工業(株)、1、4,542」の、5段目には「2023年3月26日、三芳店、オートイン シグロ21 5ガタ Dミラー、仲林工業(株)、1、15,454」の、6段目には「2023年8月11日、SA・静岡中原、オートイン シグロ21 4ガタ バン、仲林工業(株)、1、9,998」の、7段目には「2024年3月3日、狭山店、オートイン シグロ21 1ガタ バン、仲林工業(株)、1、4,546」の、8段目には「2024年4月2日、狭山店、オートイン シグロ21 4ガタ バン、仲林工業(株)、1、4,546」の、各記載がある。
(3)乙第12号証について
乙第12号証は、令和7年7月30日付け「陳述書」と題する書面であり、被請求人のカーライフ商品部カーライフ商品課の担当者(以下「陳述者」という。)の署名がなされている。
そして、当該書面には、陳述者が、被請求人の社内において、全国のフランチャイズ各店舗から報告された売上実績データにアクセスできる立場であること、乙第5号証が、当該データを基に、対象期間(要証期間)及び該当商品(「シグロ」の商標が表示された自動車用車体カバー)の品番にフィルターをかけて集計した結果をプリントアウトしたものであること、当該データは各店舗からの報告があった実際の販売実績に基づくもので改変や加工が行われていないこと、及び、乙第5号証に記載された品番等の記載は当該データを確認の上出力したものであることが記載されている。
(4)乙第13号証ないし乙第18号証について
乙第13号証ないし乙第18号証は、乙第5号証に記録された商品を購入した需要者に対して発行された領収書のデータであり、被請求人の子会社から入手したものと主張するものである。
上記2によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標の使用者について
被請求人は、第1答弁書において、本件商標権者は、「オートバックス」、「スーパーオートバックス」などのストアブランドを中心とする約1,000店舗の自動車用品総合専門店を日本全国にフランチャイズチェーン展開している旨主張しているものの、店舗名が記載されている証拠(乙1~乙11、乙13~乙18)において表示されている各店舗が被請求人自身により運営されている店舗又はフランチャイズ契約に基づく第三者が運営している店舗であることは明らかにしておらず、また、仮に、フランチャイズ契約に基づく第三者が運営している店舗であるとしても、当該契約において、本件商標の使用の許諾を得た者であるかについて確認することができないため、被請求人提出の証拠によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかの者が、本件商標の使用者であるかを確認することができない。
(2)使用商標、使用商品、使用時期及び使用行為について
ア 上記2(1)によれば、撮影日を「2024年12月25日」、撮影場所を「オートバックス狭山店」、撮影者を「株式会社オートバックスセブン 北関東営業部北関東営業課」として担当者名を記した写真(乙1の1)には、シート状のものを覆った自動車の一部と思われる画像、当該車体状の部分の下部に「sigro-21」及び「ボディカバー[シグロ21]」の文字が表示されており、また、撮影日を「2024年12月16日」、撮影場所を「オートバックス北越谷店」、撮影者を「株式会社オートバックスセブン 北関東営業部北関東営業課」として担当者名を記した写真(乙2)には、シート状のものを覆った自動車の一部と思われる画像、当該車体状の部分の下部に「sigro-21」及び「ボディカバー[シグロ21]」の文字が表示されており、さらに、撮影日を「2024年12月16日」、撮影場所を「オートバックス北越谷店」、撮影者を「株式会社オートバックスセブン 北関東営業部北関東営業課」として担当者名を記した写真(乙3)には、シート状のものを覆った自動車の一部と思われる画像、当該車体状の部分の上部に「BODYCOVER」及び「Sigro-G」の文字が表示されており、さらには、撮影日を「2025年1月7日」、「撮影場所:スーパーオートバックス静岡中原店」、「撮影者:株式会社オートバックスセブン 神奈川・静岡営業部神奈川・静岡営業課」として担当者名を記した写真(乙4)には、シート状のものを覆った自動車の一部と思われる画像、当該車体状の部分の上部に「BODYCOVER」及び「Sigro-G」(以下、当該写真中の包装部分に表示された「sigro-21」、「シグロ21」及び「Sigro―G」をまとめて「本件使用商標」という。)の文字が表示されている。
イ これらよりすると、自動車の一部と思われる画像が表示され、かつ、「ボディカバー」又は「BODYCOVER」の文字が表示されていることから、当該書証における商品は、自動車用の車体を覆うカバー、すなわち、「自動車用車体カバー」(以下「使用商品」という。)というべきであり、当該使用商品は、本件審判請求に係る指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」の範ちゅうに属するものと認められる。
ウ また、本件商標は、別掲のとおり、「SIGRO」の欧文字を太字で横書きしたものであるのに対し、本件使用商標は「sigro-21」及び「シグロ21」(乙1、乙2)並びに「Sigro―G」(乙3、乙4)であるところ、それらの構成中の「21」の数字又は「G」の欧文字は、商品の品番、型番、種別、形式、規格等を表した数字2桁又は欧文字1字であるといえ、これらと「sigro(Sigro)」の欧文字をハイフンで結合したもの又は「シグロ」の片仮名と「21」の数字を結合したものと、それぞれ容易に理解されるものであるから、本件使用商標は、「sigro」、「Sigro」及び「シグロ」の文字部分を独立した要部として認識し得るといえる。
そうすると、本件商標と本件使用商標のうち、その構成中の「sigro(Sigro)」の文字部分とは、そのつづりを同一にするものであり、また、本件使用商標中その構成中の「シグロ」の片仮名とは、片仮名部分及び欧文字部分の表示を相互に変更するものであって同一の称呼を生ずる商標同士であるから、本件使用商標は、いずれもその他の文字を伴っている構成であるものの、構成中の「sigro(Sigro)」又は「シグロ」の文字部分を要部として認識し得る以上、本件商標とは社会通念上同一の商標と認められる。
エ 被請求人は、販売実績(乙5)は、「Sigro/シグロ」ブランドの自動車用車体カバーが要証期間中に販売されていたことを示す販売実績であり、それらの記載中、2022年12月13日に三芳店で販売された商品がシグロ21-6型であって、乙第1号証の商品画像に対応しており、2023年1月3日にトヨタ店で販売された商品がシグロ21-2型であって、乙第2号証の商品画像に対応している旨主張するが、上記2(1)によれば、乙第1号証は、2024年12月25日に、オートバックス狭山店で撮影されたものといえ、また、乙第2号証は、2024年12月16日に、オートバックス北越谷店で撮影されたものといい得るものであって、いずれも要証期間に撮影されたものではなく、かつ、販売実績(乙5)に記載された店舗とは異なる店舗において撮影されたものである。
オ そうとすれば、使用商品を撮影した写真(乙1、乙2)によれば、本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付した使用商品を使用していることがうかがえるものの、当該写真の撮影日はいずれも要証期間外であり、撮影場所も、要証期間に販売されたとする店舗とは異なる店舗で撮影されたものであることから、要証期間に本件商標と社会通念上同一の商標を付した使用商品が実際に販売されたことを確認することができない。
(3)したがって、被請求人が提出した証拠によっては、本件審判請求に係る指定商品について、要証期間に、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品についての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「結論同旨の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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