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Trademark Appeal Case

セキュリティ格付けの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025009934
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年3月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年11月22日付け:拒絶理由通知書

令和6年12月27日 :意見書及び手続補正書の提出

令和7年 3月31日付け:拒絶査定

令和7年 6月26日 :審判請求書の提出

令和7年12月26日付け:審尋

令和8年 2月10日 :意見書の提出

2 本願商標

本願商標は、「セキュリティの信用格付け」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、原審における上記1の手続補正書により、第9類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、「セキュリティの信用格付け」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「セキュリティ」の文字は「安全。保安。防犯。」の意味を、「信用」の文字は「現在の行為から考えて、将来必ず義務を履行するだろうと推測し信認すること。」の意味を、「格付け」の文字は「価値・地位・資格などによって物や人を分類し、段階をつけること。」の意味を有する語である。そして、ITに関する業界において、経済産業省が、企業のサイバー対策を5段階で評価する制度を2025年度にも開始する政策案を公表したことに伴い、企業等が使用するITシステムについて、セキュリティ対策の信用度を評価するサービスや、これを内容とするセミナー等が提供されており、セキュリティ対策の信用度を評価するソフトウェアやプラットフォームなども提供されている実情がある。また、知識の教授やセミナー等の開催に際して、関連する書籍や講義映像等の提供が行われており、提供方法においても実際の現物の提供だけでなく、インターネットを通じてこれらの提供が行われている実情がある。そうすると、本願商標は、その構成全体として、「ITシステムのセキュリティの信用度を評価した格付け」ほどの意味合いを理解、認識させるものといえるから、本願商標をその指定商品又は指定役務中、例えば第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),電子出版物」、第35類「事業の管理,事業の管理に関する助言・指導・情報の提供,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する指導・助言・情報の提供,人事管理に関する情報の提供,人事管理に関する指導及び助言,ビジネスコンサルティング,売上ランキング情報の提供」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給」、第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトの作成又は保守,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS),クラウドコンピューティングを介した仮想コンピュータシステムの提供,クラウドコンピューティングに関する情報の提供,ウェブサーバーの貸与,コンピュータ技術に関する助言,コンピュータシステムの分析,コンピュータシステムの監視・調査・分析及びこれに関する情報の提供・指導及び助言,コンピュータリスク予防に関するコンピュータソフトウエアの保守,コンピュータリスク予防に関する情報の提供・助言」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に「ITシステムのセキュリティの信用度を評価した格付けに関する商品又は役務」ほどの意味合いを理解、認識するにすぎず、本願商標は、商品の品質、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審による審尋

当審において、令和7年12月26日付けで通知した審尋により、別掲2及び別掲3のとおりの証拠を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

5 審尋に対する請求人の回答

前記4の審尋に対し、請求人は、令和8年2月10日付け意見書を提出し、要旨、以下(1)及び(2)のとおりの意見を述べた。

(1)審尋において引用されたいずれの証拠においても、「セキュリティの信用格付け」の文字が使用された事実はなく、本願商標が一般的な名称であるとはいえない。

(2)本願商標は、「安全性」(セキュリティ分野)と「金融的信用」(金融分野)という異なる概念を組み合わせることで、消費者の想像力を介してのみ商品役務内容を間接的に連想させる名称であるといえ、その結果、複数の解釈が想起され得るから、商品役務の内容等を表しているとはいえず、一種の造語であると判断されるべきである。

6 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、「セキュリティの信用格付け」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「セキュリティ」の文字は、「コンピューターを利用する上での安全性。コンピューターセキュリティー。」(株式会社三省堂 大きな字で読む常用辞典 国語・カタカナ語第2版「セキュリティー」の項)の意味を、「の」の文字は、「連体格を示す。前の語句の内容を後の体言に付け加え、その体言の内容を限定する。」(株式会社岩波書店 広辞苑第7版)の意味を、「信用」の文字は、「信じて任用すること。」(前掲書)の意味を、「格付け」の文字は、「国や企業が発行する債券、またはその発行者の元利支払いの確実性についての等級づけ。投資の際の判断材料とされる。」(前掲書)の意味を、それぞれ有する語である。また、「信用格付(け)」の文字は、別掲2のとおり、金融分野において、上記「格付け」と同様の意味合いで使用されている。

そして、別掲3のとおり、近時、企業等の情報セキュリティ対策の信用度を評価するための等級付けが行われている実情があり、そのようなものについて、金融分野における格付け(信用格付け)になぞらえて、「セキュリティ格付(け)」等と称している例もある。

さらに、別掲3によれば、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、上記のような等級付けに関するセミナーの開催や経営の診断、コンピュータシステムの監視ツールの提供等、様々な役務が提供されている。

以上のことから、本願商標は、その構成文字の語義及び上記取引の実情を踏まえると、全体として「情報セキュリティ対策の信用度を評価するための等級付け」ほどの意味合いを容易に認識させるものといえる。

してみれば、本願商標をその指定商品及び指定役務中、別掲4の商品及び役務に使用しても、これに接する需要者は、「情報セキュリティ対策の信用度を評価するための等級付け」に関する商品及び役務であることを理解・認識するにとどまるとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、別掲4の商品及び役務に使用するときは、単に商品の品質、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると判断するのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「情報セキュリティ対策の信用度を評価するための等級付け」に関する商品及び役務以外の別掲4の商品及び役務に使用するときは、商品の品質、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標は「安全性」(セキュリティ分野)と「金融的信用」(金融分野)という異なる概念を組み合わせた一種の造語であり、また、「セキュリティの信用格付け」の文字の使用例はないから、提供主体独自の評価基準やブランドを象徴する識別標識として認識されるものであり、一般的に使用されている名称とはいえない旨主張する。

しかしながら、上述のとおり、「信用格付け」と「格付け」は同義の語として使用される場合があること、また、近時、企業等の情報セキュリティ対策の信用度を評価するための等級付けが行われている実情があり、そのようなものについて、金融分野における格付け(信用格付け)になぞらえて、「セキュリティ格付(け)」等と称している実情があることからすれば、本願商標に接する需要者は、「情報セキュリティ対策の信用度を評価するための等級付け」ほどの意味合いを認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

イ 請求人は、「○○セキュリティ」の文字からなる商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品役務の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品及び指定役務の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本願の判断が拘束されるものではない。

ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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