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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025009982
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年2月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 9月26日付け:拒絶理由通知書

令和7年 3月31日 :意見書の提出

令和7年 4月25日付け:拒絶査定

令和7年 6月26日 :審判請求書の提出

2 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類「眼鏡,眼鏡(光学用のもの),サングラス,運動用ゴーグル,眼鏡用枠,眼鏡用レンズ,眼鏡用及びサングラス用ケース,イヤホーン,ヘッドホーン,電気通信機械器具,携帯情報端末,携帯電話機用ケース,タブレット型コンピュータ用及び携帯型メディアプレーヤー用の保護カバー及び持ち運びケース,保護用マスク,ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアアプリケーション,携帯電話機用のアプリケーションソフトウエア」を指定商品として登録出願されたものである。

3 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標(以下の商標をまとめて「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。

(1)登録第5218488号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:平成19年 5月 9日

設定登録日:平成21年 3月27日

指定役務 :第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気通信機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

(2)登録第5588154号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:平成24年12月11日

設定登録日:平成25年 6月 7日

指定役務:第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気通信機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

4 当審の判断

(1)商標の類否について

商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日判決参照)。

この点に関し、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対して商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部のみを取り出して、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものということができる(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日判決、知財高裁平成27年(行ケ)第10246号同28年5月18日判決参照)。

(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について

ア 本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、上段に、鹿とおぼしき図形(以下「本願図形部分」という。)を配し、下段に「A&F」の欧文字(以下「本願文字部分」という。)を配置してなるところ、本願図形部分は、特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の観念及び称呼を生じないものであり、本願文字部分は、一般的な辞書類に載録されている成語とは認められないものであるから、特定の観念を生じない一種の造語として認識されるものである。

そして、本願図形部分と本願文字部分は、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うこともなく配置されていることから、それぞれが独立したものであるとの印象を与え、視覚上分離して認識されるものであり、観念的に密接な関連性を有しているとも認められず、これらを常に一体不可分のものとして認識しなければならない理由は見いだせない。

そうすると、本願商標は、本願図形部分と本願文字部分とが、それぞれ要部として自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとみるのが相当である。

してみれば、本願商標はその要部の一である「A&F」の文字部分を分離抽出し、他の商標と比較することが許されるというべきであるから、「A&F」の文字に相応して「エーアンドエフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標について

(ア)引用商標1について

引用商標1は、ステンシル体で表された「A&F」の文字を横書きしてなるものであるところ、当該文字は、一般的な辞書類に載録されている成語とは認められないものであるから、特定の観念を生じない一種の造語として認識され、「エーアンドエフ」の称呼を生じるものである。

(イ)引用商標2について

引用商標2は、薄黄色の長方形を背景とし、中央に配置された濃い緑色で塗りつぶされた幾何学図形内に、「A&F」の文字を黄色で横書きしてなる構成よりなるところ、当該文字は、一般的な辞書類に載録されている成語とは認められないものであるから、特定の観念を生じない一種の造語として認識されるものである。

そして、幾何学図形部分は、特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の観念及び称呼を生じないものである。

また、「A&F」の文字は、幾何学図形の内部に配置されているものの、幾何学図形の中央の目立つ位置に、読み取りやすい書体で明瞭に記載されているから、外観上、幾何学図形部分とは一見して明瞭に区別して認識できるものであることに加え、引用商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有さないと判断しなければならない事情も見いだせない。

そうすると、引用商標2は、その構成中の「A&F」の文字部分を分離抽出し、これを引用商標の要部の一として他の商標と比較することが許されるというべきであり、「A&F」の文字に相応して「エーアンドエフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 本願商標と引用商標の類否について

本願商標の要部の一である本願文字部分と引用商標1及び引用商標2の文字部分を比較すると、両者はその文字のつづりを同一にすることから、外観上近似した印象を与え、「エーアンドエフ」の称呼を共通にし、特定の観念を生じないことから、観念上比較することができない。

そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において近似した印象を与え、称呼を共通にすることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すれば、商品及び役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標というが相当である。

エ 本願の指定商品と引用商標の指定役務との類否について

本願の指定商品中、「眼鏡,眼鏡(光学用のもの),サングラス,運動用ゴーグル,眼鏡用枠,眼鏡用レンズ,眼鏡用及びサングラス用ケース,イヤホーン,ヘッドホーン,電気通信機械器具,携帯情報端末,携帯電話機用ケース,タブレット型コンピュータ用及び携帯型メディアプレーヤー用の保護カバー及び持ち運びケース」は、引用商標の指定役務中、第35類「電気通信機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似するものである。

オ 小括

以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は引用商標の指定役務の一部の役務と類似するものを含むものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標の要部は「A&F」の文字部分ではなく、図形部分であるから、「A&F」の文字部分を要部と認定した類否判断には誤りがある旨主張する。

しかしながら、前記(2)アのとおり、本願商標を構成する本願図形部分及び本願文字部分はそれぞれ要部となり得るところ、その要部の一である本願図形部分よりは特定の観念及び称呼を生じるものではなく、特定の称呼を生じる本願文字部分より生じる称呼によって、取引にあたることも少なくないといえる。

イ 請求人は、原審における意見書と同時に提出した物件1ないし250より、本願図形部分が独立した出所識別標識として日本国および外国で機能していることから、本願商標の要部は本願図形部分であり、本願文字部分を要部と認定することは全く妥当でない旨主張する。

しかしながら、提出された資料からは、本願図形部分が掲載された資料や、本願図形部分が表示されたと思しき商品が散見されるものの、これら資料によっては、本願図形部分のみが要部として認識されるといえるほど、本願図形部分が周知であると認めることはできない。

ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。

5 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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