結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025010965 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和6年4月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年11月12日付け:拒絶理由通知書
令和7年 1月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年 2月26日 :物件提出書の提出
令和7年 4月 3日付け:拒絶理由通知書
令和7年 5月12日 :意見書の提出
令和7年 6月19日付け:拒絶査定
令和7年 7月14日 :審判請求書の提出
令和7年10月30日付け:審尋
令和7年12月12日 :上申書、手続補正書の提出
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。
そして、本願の指定商品は、原審及び当審における上記1の手続補正書により、最終的に第3類「せっけん類,固形せっけん,シャンプー,ハンドソープ,身体用せっけん,顔用せっけん,化粧せっけん,食器洗い用洗剤,洗濯用洗剤,洗濯せっけん,洗濯用剤,クエン酸を使用した洗浄剤,重曹を使用した洗浄剤,洗濯用漂白剤」と補正されたものである。
本願商標は、「MIYOSHI」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、これは我が国においてありふれた氏の一つである「三好」を欧文字で表したものと認識されるものである。
そして、日本人の姓氏を表記する際に、その読みを欧文字で表記することは、広く一般に行われているものである。
そうすると、本願商標は、単にありふれた氏を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
当審において、令和7年10月30日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、商標法第3条第1項第4号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、上記4の審尋に対し、令和7年12月12日に上申書を提出し、本願商標が長年にわたり使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっており、商標法第3条第2項の要件を充足する旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「MIYOSHI」の文字を横書きしてなるところ、同文字は、「姓氏の一つ。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)である「三好」の読みを、ローマ字で表したといえるものである。
そして、別掲2(1)の情報によれば、我が国において「三好」の氏を有する者は、全国人数でおよそ7万人前後であり、全国順位としては300位前後であるから、全国的にみてその数は相当程度多いものといえる。
また、日本人の氏を表記する際に、ローマ字で表すことは、広く一般的に行われている。
してみれば、ありふれた人の氏といえる「三好」の文字をローマ字で表したと容易に認識される「MIYOSHI」の文字は、ありふれた氏を表示する標章というのが相当である。
次に、本願商標を構成する「MIYOSHI」の文字の表され方をみるに、これは、いわゆるセリフ(装飾)のない、ゴシック体様の書体で表されているものであり、例えば別掲2(2)に挙げるように、これと似通った書体は多く存在するものであって、この表示態様(外観)では、「MIYOSHI」の文字を一連に書した場合に生じ得る称呼や観念が生じ難いといえるほどに(すなわち、独占の弊害を生ずるおそれがないといい得るほどに)特徴的であるということはできないことからすれば、本願商標は、「MIYOSHI」の文字を普通に用いられる方法の範囲内で表してなるものというのが相当である。
以上のことからすれば、本願商標は、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
なお、請求人は、人の氏を欧文字で表したと考えられる文字からなる商標に係る過去の審決例や、「MIYOSHI」「ミヨシ」などの文字からなる若しくは同文字を構成中に含む商標の登録例を挙げ、本願商標もそれらと同様に登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第4号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様などを踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例は、判断時期や商標の構成態様などが本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の審決例や登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
ア 請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)請求人は、本願商標を、コーポレートロゴとして、2018年の秋冬頃から現在に至るまで、継続的に使用している(請求人の主張、甲1の14ないし同24)。なお、遅くとも2006年から本願商標の使用開始までの間は、「MiYOSHi」の文字からなる商標(以下「旧商標」といい、これには「i」の点の色彩のみが他の部分の色彩と異なる態様のものが含まれる。)をコーポレートロゴとして使用していた(請求人の主張、甲1の1ないし同13)。
(イ)請求人は、本願商標又は旧商標をコーポレートロゴとして使用していた時期において、「洗顔せっけん」「化粧せっけん」「ハンドソープ」「台所用せっけん」「洗たく用せっけん」「クエン酸を使用した洗浄剤」「重曹を使用した洗浄剤」「洗濯用漂白剤」などの、上記2の補正後の指定商品を製造、販売しており、また、各商品の包装には、本願商標又は旧商標が表示されていた(請求人の主張、甲1)。
(ウ)請求人は、雑誌「婦人之友」の2023年1月発行号から2024年7月発行号までの合計19回にわたり、本願商標が表示された広告を掲載した(甲2)。また、2025年11月17日発行の業界紙「包装タイムス」に、「せっけん類」に属する商品と考えられる請求人商品の包装に関する記事が掲載され、同記事中には本願商標(又はこれと社会通念上同一の商標といい得る商標)が包装に表示された請求人商品の写真も掲載された(甲3)。
(エ)2018年から2024年まで毎年、請求人の業務に係る商品の売上高は毎年30億円を超えており、取扱品目数は100を超え、また、販売個数は1千万個を超えている(請求人の主張、甲4)。
(オ)2018年から2024年まで、請求人の業務に係る商品は、ほぼ毎年、47都道府県において販売されている(請求人の主張、甲5)。
イ 上記アによれば、請求人は、2018年の秋冬頃から現在に至るまで継続的に、本願商標を、商品「洗顔せっけん」「化粧せっけん」「ハンドソープ」「台所用せっけん」「洗たく用せっけん」「クエン酸を使用した洗浄剤」「重曹を使用した洗浄剤」「洗濯用漂白剤」などに使用しており、それらの商品は、我が国において広く販売され、一定程度の売上高及び販売数量があったといえる。
しかしながら、本願商標が使用された請求人の業務に係る商品(以下「請求人商品」という。)について、我が国における市場シェアを示す証拠は提出されておらず、また、本願の指定商品に係る同業他社の商品の売上高や販売数量といった情報も示されていないことから、請求人商品の売上高や販売数量が、当業界においてどの程度のものであるか、確認することができない。
そして、雑誌における宣伝広告について提出された証拠は、1誌(「婦人之友」)における1年半ほどの実績を示しているのみである上、その1誌についても販売数量や販売地域等が不明であって、また、その広告の内容をみても、いわゆる企業広告であって、請求人商品の写真等は使用されておらず、本願商標と具体的な商品とが結びついたものとはいえないことからすると、提出された証拠からは、請求人商品についての宣伝広告活動が広範かつ長期継続的に行われていたとはいえない。
また、業界紙における記事掲載に係る証拠についても、包装業界の業界紙の記事1件のみであって、これをもって請求人商品又は本願商標に係る需要者の認識を推し測ることは困難であり、そのほか、本願商標に係る需要者の認識度を客観的に示す証拠(アンケート調査結果など)は提出されていない。
加えて、本願の指定商品中「洗濯用漂白剤」については、2021年以降の請求人商品のカタログにおいてのみ確認できるものであり、かつ、多くの商品が取り扱われている中で、存在が確認できるものは1品のみ(商品名「暮らしの酸素系漂白剤」)であること(甲1の18ないし甲1の24)、及び、請求人商品の売上高等を示す資料(甲4、甲5)において、商品ごとの内訳は示されていないことからすると、提出された証拠からは、本願の指定商品のすべてについて同程度の期間及び規模で、請求人商品が製造、販売され、広告宣伝されていたとはいい難いものである。
なお、請求人は、本願商標と旧商標は、称呼が同一であり、視覚的な連続性も認められるものであって、いずれも請求人のコーポレートロゴとして使用され機能してきたことを勘案すれば、本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かの判断に当たり、2006年以降の旧商標の使用状況も勘案すべきである旨主張しているが、「MIYOSHI」の文字からなる本願商標と、「MiYOSHi」の文字からなる旧商標は、欧文字のつづりは同じであるとしても、本願商標の「I」の文字部分が、旧商標は小文字であり、かつ、当該「i」の文字部分において、上部の点の部分と下部の線の部分で色彩が異なる場合もあることからして、その構成態様が異なることは明らかであって、同一の商標とはいえないものであるから、請求人の当該主張は、採用することができない。また、仮に、本件判断に当たり旧商標の使用状況も勘案したとしても、上述の諸点に係る状況に変わりはない。
以上のことからすると、提出された証拠をもってしては、本願商標が、そのすべての指定商品との関係において、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められないから、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものであって、また、同条第2項の要件を具備するものともいえないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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