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Trademark Appeal Case

発酵塩の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025011506
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年7月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 7年 3月14日付け:拒絶理由通知書

令和 7年 4月16日 :意見書の提出

令和 7年 6月12日付け:拒絶査定

令和 7年 7月 4日 :審判請求書の提出

令和 7年11月25日付け:拒絶理由通知書

令和 7年12月29日 :意見書の提出

2 本願商標

本願商標は、「はっこうじお」を標準文字で表してなり、第30類「調味料,香辛料」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

本願商標は、「はっこうじお」の文字を標準文字で表してなるところ、この文字は「発酵塩」の文字の表音を平仮名表記したものと容易に認識されるもので、その構成中の「はっこう(発酵)」の文字は、「微生物の働きで有機物が分解され、特定の物質を生成する現象」の意味を有する語であり、「じお(塩)」の文字は、本願の指定商品との関係において、商品の普通名称を表す語である。

そして、食品を取り扱う業界において、製造過程で海水を汲み上げたり、塩田に引き込んだりし、微生物の力を利用して発酵させた塩が「発酵塩」と称されている実情がある。

そうすると、本願商標は、構成全体として「発酵作用を利用して製造した塩」ほどの意味合いを認識させるにすぎず、これをその指定商品に含まれる「塩」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「発酵作用を利用して製造した塩」ほどの意味合いを認識するにとどまるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を「塩」以外の商品に使用するときには商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審における拒絶の理由(要旨)

当審において、請求人に対し、上記1の拒絶理由通知書により、別掲のとおりの事実を示した上で、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する旨の拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

5 当審における拒絶の理由に対する請求人の意見(要旨)

(1)食品を取り扱う分野において「発酵」の語は、実際に発酵した食品に使われているところ、「発酵塩」の語は、統一された定義が確立しておらず、使用されている事例も特異・特殊なものであって、一般的に使われている表現ではない。

(2)本願商標は、すべて平仮名表記され、外観的にも称呼的にもまとまり良い構成であり、単なる成分の説明を超えた詩的で暗示的なニュアンスを醸し出す一体不可分の造語と捉えるのが自然であり、需要者は一つのまとまりのあるブランド名として認識する。

6 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、「はっこうじお」を標準文字で表してなるところ、その構成中、「はっこう」の文字は「微生物の働きで有機物が分解され、特定の物質を生成する現象。」の意味を有する「発酵」の語を、「じお」の文字は「塩化ナトリウムを主成分とする塩辛い味の物質。海水や岩塩から製し、精製したものは白い結晶で、食生活の基本調味料。食塩。」の意味を有する「塩」(いずれも出典:デジタル大辞泉 株式会社小学館)が、「甘塩(あまじお)」、「薄塩(うすじお)」、「化粧塩(けしょじお)」、「天日塩(てんぴじお)」等のように「じお」と発音されることから「塩」の語を、それぞれ平仮名表記したものとして、認識、理解されるものといえる。

そして、食品を取り扱う分野において、納豆、塩辛、チーズなど、発酵させて作る食品(発酵食品)が多数製造、販売されているところ、「発酵(はっこう)」の語は、原審で提示した情報及び別掲のとおり、発酵食品等において一般に使用されているものであるうえ、これら発酵食品等について、「発酵○○」(「○○」には食品等の普通名称が入る。)のように食品等の普通名称とともに使用されている実情がうかがえる。

そうすると、本願商標を構成する各語の語義及び取引の実情を踏まえると、本願商標は、構成文字全体として、食品の分野で一般に使用されている「発酵」の語と食品の普通名称である「塩」とを組み合わせた「発酵塩」の語を平仮名で表示したものであって、当該分野では、識別標識として機能しない「発酵」の語と食品等の普通名称を単に組み合わせた、一般によく行われている組み合わせの一類型であると理解するにすぎないものというのが相当であるから、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する需要者は、一般に使用され得る標章であって、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識し得ないものといえる。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について

請求人は、本願商標は一般的に使用されている表現ではなく、構成上一体不可分の造語と捉えるのが自然である旨主張している。

しかしながら、構成上一体的に表示されている商標であっても、自他商品の識別力を有するか否かを検討する上では、その指定商品を取り扱う分野における取引の実情等を踏まえて、その構成する各文字部分の意味を検討することが否定されるものではないところ、上記(1)のとおり、本願商標は、「発酵」と「塩」を平仮名表記したものと容易に認識、理解できるものであり、本願の指定商品を取り扱う分野においては、「発酵」の語が食品等の普通名称と共に使用されている実情があることを鑑みれば、本願商標は、その需要者をして、識別標識として機能しない「発酵」の語と商品の普通名称を単に組み合わせた、一般によく行われている組み合わせの一類型であると理解させるにとどまるものであって、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。

したがって、請求人の主張は採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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