結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025011599 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和6年6月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 6年12月23日付け:拒絶理由通知
令和 7年 2月27日 :意見書の提出
令和 7年 5月20日付け:拒絶査定
令和 7年 7月25日 :審判請求書の提出
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第33類「ぶどう酒」を指定商品として登録出願されたものである。
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の2件であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。以下(1)及び(2)の登録商標をまとめて「引用商標」という。
(1)登録第2508782号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「Crest」及び「クレスト」の文字を上下二段に横書きしてなる商標
指定商品 第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
登録出願日 昭和61年 2月 7日
設定登録日 平成 5年 2月26日
書換登録日 平成16年 7月 7日
(2)登録第6293200号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 「CREST」の文字を標準文字で表してなる商標
指定商品 第33類「日本酒,泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,麦芽及び麦を使用しないビール風味のアルコール飲料,麦芽または麦を使用したビール風味のアルコール飲料(ビール、ビール風味の麦芽発泡酒を除く。),中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く)」
登録出願日 令和 1年 9月13日
設定登録日 令和 2年 9月16日
(1)本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、上段に黒色で塗りつぶされた横長長方形内に、灰色の細線で囲まれ、灰色で表された「HARDYs(「s」には下線が付されている。以下同じ。)」の欧文字、中段に、星及びライオンを内部に有する図形と、その上部に王冠図形、その左右にぶどうのつる図形を配してなる図形を、下段に灰色で表された「CREST」の欧文字を配した構成よりなる文字と図形の結合商標である。
ところで、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合は、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるといえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁参照)。
そこで、本願商標の構成を観察するに、本願商標は、上段、中段及び下段の各構成部分が、重なり合うことなく間隔をあけて配置されていることから、視覚上、それぞれ分離して看取、把握され得るものである。
また、本願商標の構成中、上段部分の「HARDYs」の欧文字は、「<人・動物が>苦難に耐えられる,丈夫な,頑健な」等の意味や「Hardy,Thomas(ハーディ 英国の小説家・詩人)」の欧米人の名を表す英単語である「HARDY」に「s」を付したものであり、中段部分の図形は、特定の意味合いを表すものとして認識されているとはいい難いものであり、下段部分の「CREST」の欧文字は、「(ものの)頂上、山頂、最上」等を意味する英単語(いずれも出典:新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典 株式会社研究社)であることから、本願商標を構成する各構成部分が、一体となって特別な観念を有することや、一連一体の称呼が生じるなど、何らかの関連性を有しているとはいえない。
そうすると、本願商標の各構成部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものである。
そこで、本願商標の構成中、下段部分である「CREST」の欧文字についてみるに、当該欧文字は、上段部分及び中段部分と比較して相対的に小さく書されているとしても、下段構成中央に配置されており、上記のとおり、「(ものの)頂上、山頂、最上」等を意味する英単語であるとしても、我が国において、そのような意味を有する語として一般に広く知られているとは言いがたいことから、下段部分は、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるというのが相当であり、本願の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有さないと判断するべき特段の事情はない。
してみれば、本願商標の構成中、下段に表された「CREST」の欧文字は、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識としての機能を果たし得るというべきであるから、当該欧文字を要部の一として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そうすると、本願商標は、その要部の一である「CREST」の欧文字に相応して、「クレスト」の称呼を生じ、これよりは特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標1は、「Crest」及び「クレスト」の文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成中、下段の「クレスト」の文字は、上段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解されるものである。また、引用商標2は「CREST」の文字を標準文字で表してなるものである。そして「CREST(Crest)」の欧文字は、上記(1)と同様に「(ものの)頂上、山頂、最上」等を意味する英単語であるとしても、我が国において、そのような意味を有する語として一般に広く知られているとは言いがたいことから、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるというのが相当である。
したがって、引用商標は、「クレスト」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否について検討すると、両商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、外観において、その構成全体が相違するものの、本願商標の要部の一である「CREST」と引用商標との比較では、本願商標と引用商標1との比較において、大文字小文字の差異や「クレスト」の片仮名の有無の違いがあるものの、本願商標と引用商標の「CREST(Crest)」の欧文字部分において、その構成する欧文字のつづりを同一にするものである。
また、本願商標と引用商標は、共に「クレスト」の称呼を共通にし、いずれも特定の観念は生じないから、観念において比較できない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できず、外観において全体の構成は異なるものの、構成中の「CREST(Crest)」の欧文字部分において文字のつづりを同一にし、称呼を共通にするものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品である第33類「ぶどう酒」は、引用商標の指定商品と同一または類似する商品である。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、「CREST」の語が、多くのワインのブランド名の一部に使用されている実情に鑑みれば、「CREST」の語単独では、ワインについての自他商品識別機能は非常に弱いといわなければならない旨主張している。
しかしながら、「CREST」の文字が、ワインの名称の一部として使用されている例が散見されるとしても、本願指定商品との関係において、「CREST」の文字が商品の品質等を表示するものとして一般的に使用されていると認め得る事情、その他、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないという事情は見いだせず、本願商標の構成中「CREST」の欧文字部分が自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないということはできない。
イ 請求人は、構成中の一部に同一の語が含まれている商標に係る、過去の審決例を挙げ、本願商標についてもそれらと同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、出願された商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであり、また、請求人の挙げる審決例と本願とは、商標の構成等を異にするものであるから、当該審決例によって、直ちに本願商標に係る判断が左右されるものではない。
そして、本願商標と引用商標とが類似の商標であることは、上記(3)のとおりである。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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