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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025650056
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理由

1 本願商標及び手続の経緯

本願商標は、別掲1の構成よりなり、第7類及び第8類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2023年(令和5年)7月3日に国際商標登録出願されたものである。

本願は、2024年(令和6年)6月5日付けで暫定拒絶の通報がされ、同年9月20日に意見書及び手続補正書が提出され、本願の指定商品については、前記の手続補正書によって、第7類及び第8類に属する別掲2の商品へ補正されたが、2025年(令和7年)2月28日付けで拒絶査定がされた。

これに対し、令和7年6月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4266264号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3の構成よりなり、平成9年8月25日に登録出願、第7類「廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。),廃棄物圧縮装置,農業用機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),製材用・木工用又は合板用の機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,化学機械器具,金属加工機械器具」を指定商品として、同11年4月23日に設定登録され、平成20年12月24日及び同30年11月6日に存続期間の更新登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断

(1)結合商標の類否判断について

複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。

(2)本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、「X」の文字と「POWER」の文字を、記号「-」(ハイフン)で結合してなる「X-POWER」の文字と、「Pro」の文字を、およそ一文字分の間隔を空けて配してなる「X-POWER Pro」の文字を、普通に用いられる書体で横書きに表してなるものである。

この構成中、「X-POWER」の文字は、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当である。

そして、特定の語義を有しない欧文字及び記号からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、この文字部分よりは、その構成文字に相応して、「エックスパワー」の称呼が生じるとみるのが相当である。

次に、本願商標の構成中、「Pro」の文字についてみるに、この文字は「専門家」、「プロ」、「熟練者」及び「経験豊かな人」(「ベーシックジーニアス英和辞典 第3版」株式会社大修館書店)の意味を有する、平易な英語として理解されるものである。

そして、別掲4のとおり、本願指定商品が属する機械分野において、「Pro」の文字が、その商品が標準仕様の商品に比べて専門家向けの商品であることや、高い機能を備えた商品であることを表すものとして使用されている実情があるから、本願商標に接する本願指定商品の取引者、需要者は、当該文字部分について、専門家向けの商品であることや、高い機能を備えた商品であることを表す部分、すなわち、商品の品質を表したものと容易に認識するとみるのが相当である。

そうすると、本願商標の構成中、後半の「Pro」の文字部分は、本願指定商品との関係においては、自他商品の識別力を有しないか、又は、極めて弱いものというのが相当であり、これより、自他商品の識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。

また、前記のとおり、本願商標は、「X-POWER」の文字部分と「Pro」の文字部分とが、重なることなく、間隔を空けて配置されていることから、視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、構成上からは、両文字部分が、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している事情は見いだせない。さらに、「X-POWER」の文字は、特定の観念を生じないものであるから、観念的にも両文字部分に密接な関連性を見いだすことはできない。

そうすると、本願商標は、その構成中の「X-POWER」の文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える、独立して需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。

以上から、本願商標からは、構成中「X-POWER」の文字部分を要部(以下「本願要部」という。)として抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。

したがって、本願商標からは、本願要部に相応して、「エックスパワー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(3)引用商標について

引用商標は、別掲3のとおり、長方形の枠線からなる図形の内部に、白抜きとグレーに塗られた二つの平行四辺形を交差させた形状からなる、ややデザイン化された「X」の文字と、内部に白抜きで「POWER」の文字が表された、黒塗りの細い長方形を配してなるものである。

そして、構成中の、「X」の文字と、「POWER」の文字とは、大きさに差違はあるものの、一つの図形の内部に、間隔を空けず、一体感のある構成で表されており、これに接する取引者、需要者は、これらを「X」及び「POWER」の二つの文字と理解するというよりは、むしろ、これらを一体的なものと捉えて、引用商標は、長方形の枠線からなる図形の内部に、ややデザイン化された、「XPOWER」の文字を表したものと認識するのが自然といえる。

また、「XPOWER」の文字は、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるといえ、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、この文字部分よりは、その構成文字に相応して、「エックスパワー」の称呼が生じるとみるのが相当である。

なお、引用商標の構成中、長方形の枠線からなる図形、及び、内部に白抜きで「POWER」の文字が表された黒塗りの細い長方形は、文字を装飾するために用いられる枠線及び背景と認識されるのが相当であって、これらの図形からは特段の称呼及び観念は生じない。

そうすると、引用商標は、その構成中に顕著に表された「XPOWER」の文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える、独立して需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。

以上から、引用商標からは、構成中「XPOWER」の文字部分を要部(以下「引用要部」という。)として抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。

したがって、引用商標からは、引用要部に相応して、「エックスパワー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(4)本願商標と引用商標の類否について

本願商標と引用商標を比較すると、外観について、全体の構成との比較においては相違するものの、本願要部である「X-POWER」の文字部分と、引用要部である「XPOWER」の文字部分との比較においては、各文字の大小や、記号「-」(ハイフン)の有無の差異等の相違があるとしても、それぞれの構成中の「X」、「P」、「O」、「W」、「E」及び「R」の文字全てが、同じ綴りからなるものであるから、両者は外観上、近似した印象を与えるというのが相当である。

そして、称呼においては、「エックスパワー」の称呼を共通にするものである。

また、観念においては、いずれも特定の観念が生じないから比較することができない。

したがって、本願要部と引用要部とは、観念において比較できないとしても、「エックスパワー」の称呼を共通にし、外観上近似した印象を与えるものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、本願商標と引用商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。

(5)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について

ア 本願商標の指定商品中、第7類「Metal working machines; toolholders for metalworking machines [machine parts]; milling machines; milling cutters [machine tool]; milling bits for power operated machines; indexable carbide inserts for milling tools [parts of machines]; indexable carbide inserts for turning tools [parts of machine]; drilling bits for power operated machines; drilling bits [parts of machines]; tool bits for metalworking machines; pneumatic drills; electrical drills; drill chucks [parts of machines]; end mills [machines]; threading machines; cutting bits for power operated machines; taps being machine tools; taps [machine tools]; cutting machines for metalworking; thread milling cutters [machine tool]; turning tools for machining center; reamers [parts of machines]; reamers being machine tools; metalworking machine tools; drilling machines for metalworking; routers for metalworking; router bit for metalworking; dies for use with machine tools; diamond cutting tools [parts of machines]; diamond cutting wheels [parts of machines]; collets for power tools; drill for machining centers; milling cutters for machining centers; milling cutters for milling machines; broaches [machine tool]; lathes [machine tools]; chucks for power drills」は、引用商標の指定商品中、第7類「金属加工機械器具」と類似の商品である。

イ 本願商標の指定商品中、第7類「drilling machines; drilling machines and parts therefor; chucks [parts of machines]」は、引用商標の指定商品中、第7類「金属加工機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具」と類似の商品である。

ウ 本願商標の指定商品中、第7類「tool holders for metalworking, construction, textile, food or beverage processing, printing, bookbinding, agricultural, packaging or wrapping machines [parts of machines]」は、引用商標の指定商品中、第7類「金属加工機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,農業用機械器具」と類似の商品である。

エ 本願商標の指定商品中、第7類「routers [machine tools]」は、引用商標の指定商品中、第7類「製材用・木工用又は合板用の機械器具」と類似の商品である。

オ 本願商標の指定商品中、第7類「taps [parts of machines, engines or motors]」は、引用商標の指定商品中、第7類「機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」と類似の商品である。

(6)小括

以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(7)請求人の主張について

ア 請求人は、引用商標の構成中、枠線内の左側に大きく表された、二つの平行四辺形を交差させてなる部分は、「X」の文字に置き換えて認識されるものではなく、むしろ、これらの平行四辺形は、横方向に延びる帯状図形と一体に重なる図形要素として認識されるというべきである等を述べ、引用商標の構成からは、「XPOWER」の文字を自然に認識し得るものではない旨を主張する。

しかしながら、引用商標の構成中、枠線内の左側に大きく表された、二つの平行四辺形を交差させてなる部分は、ゴシック体のような一般的な書体で表された「X」の文字の特徴と一致するものであって、単に、「X」の文字の要素である二本の斜めの線について、一画目を白抜きで、二画目をグレーに塗って表してなるにすぎないものであるというのが相当であって、実際の商取引において、デザイン化された文字や、一部の文字の大きさを変えた標章を採択することが広く一般に行われている中においては、当該部分は、ややデザイン化されてはいるものの、明らかに「X」の文字であると認識できるというのが相当である。

そして、引用商標の構成中の「X」の文字と、「POWER」の文字とは、大きさに差違はあるものの、一つの図形内に、間隔を空けず、一体感のある構成で表されており、これに接する取引者、需要者は、これらを「X」及び「POWER」の二つの文字部分と理解するというよりは、むしろ、これらを一体的なものと捉えて、引用商標は、長方形の枠線からなる図形の内部に、ややデザイン化された、「XPOWER」の文字を表したものと認識するのが自然といえることは、上記(3)のとおりである。

イ 請求人は、本願商標の構成中、「X」、「POWER」及び「Pro」の各文字は、いずれも識別力が強くないものであって、これらの要素が外観上まとまりよく一連に配されている等を述べ、本願商標は全体として不可分一体として認識されるものであって、構成中の「X-POWER」の文字部分のみをもって取引に供するものではない旨を主張する。

しかしながら、本願商標の構成中、「X」の文字と「POWER」の文字とは、記号「-」(ハイフン)を用いて結合されていることからすれば、両文字は、外観上、一体的なものとみるのが相当であるから、殊更、これを、「X」及び「POWER」の二つの要素に分断し、それぞれの文字の有する自他商品識別力の強弱について検討する必要はなく、むしろ、本願商標は、外観上、「X」の文字と「POWER」の文字を記号「-」(ハイフン)で結合してなる「X-POWER」の文字部分と、「Pro」の文字部分を、およそ一文字分の間隔を空けて左右に表してなるものとみるのが相当である。

そして、この構成中、「X-POWER」の文字部分は、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるものである一方、「Pro」の文字部分は、本願指定商品との関係において、自他商品の識別力を有しないか、又は、極めて弱いものというのが相当であり、これより、自他商品の識別標識としての称呼及び観念は生じないものであるから、本願商標は、その構成中の「X-POWER」の文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える、独立して需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものであって、この文字部分を要部として抽出し、他の商標との類否を判断することも許されるというべきものであることは、上記(2)のとおりである。

ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(8)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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