結論テキスト
登録第6807992号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2024900157 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6807992商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年11月21日に登録出願、第32類「ビール,飲料水,飲料用野菜ジュース,アルコール分を含まない飲料,コーヒー風味の飲料(アルコール分を含まないもの),果実飲料,果実を主原料とする清涼飲料の調整用粉末,エナジードリンク,清涼飲料,飲料製造用エッセンス(アルコール分を含まないもの)」を指定商品として、同6年5月8日に登録査定され、同月24日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。
(1)登録第6749814号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 令和5年2月16日
設定登録日 令和5年10月31日
優先権主張 2022年9月1日 アメリカ合衆国
(2)登録第5057229商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成18年6月9日
設定登録日 平成19年6月22日
なお、引用商標1及び2に係る商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
また、引用商標1及び2をまとめていうときは、以下「引用商標」という。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第533号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人のMONSTERブランドの周知著名性
ア MONSTERブランドの創設及び「MONSTER」の使用
申立人は、米国で2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、日本国内では2012年から現在まで、「MONSTER」(モンスター)の頭文字「M」とモンスターの爪の形状を象って創作した図柄(甲328)(以下「爪の図柄」という。)をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の出所識別標識として使用している。
申立人商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在は日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。
2002年以降現在まで継続して、申立人商品には、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば、「MONSTER ENERGY」「MONSTER ASSAULT」「MONSTER KHAOS」「MONSTER M-80」「MONSTER RIPPER」など)が採用されている。
これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)は同じデザインで統一され、中央の上部に爪の図柄を大きく目立つ態様で表示し、下方にブランド名の「MONSTER」の文字を特徴的な書体(甲416)で表示したデザインで統一されている(異議申立書の別紙1及び2。以下、別紙○のように表記する。)。
このような規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と、爪の図柄を大胆に配置した独創的デザインの包装容器を特徴とする申立人商品は、需要者の間でたちまち人気となり、申立人のMONSTERブランドのエナジードリンク事業は急速に業績を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。
国内では、2012年5月のMONSTERブランド初上陸以降、現在までに、2012年5月8日発売の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)発売以降、現在まで30種類以上(リニューアル商品を含む。)の申立人商品を発売し、販売を継続している(別紙1)。
イ 広告宣伝活動
申立人商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらをあせて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3~7)。
また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10~30代の若い世代(特に男性)に人気が高いF1自動車レース、ドリフト、モトクロスなどのモータースポーツ、スノーボード、スケートボードなどのエクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行うとともに、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウント(別紙9)を開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERブランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。
ウ ライセンス商品の輸入差止
需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された申立人の商標権侵害物品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも2013年7月から度々発生している(別紙8)。
エ 国内外における商標登録
爪の図柄について、申立人は、引用商標1及び2をはじめとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲517~甲532)。
また、爪の図柄が申立人の創作に係る独創的構成からなる創造標章であることから、申立人の本国米国では、爪の図柄の図案画の作品について著作権登録も取得している(甲515、甲516)。
オ ブランド認知度及び市場占有率
複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人商品の国内市場占有率は25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であったことが明らかである。
2013年以降も、申立人商品は着実に売上を伸ばしており、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層にとどまらず、美しいカラフルな色使いのボトル缶に大きく目立つ態様で表示された爪の図柄が人目をひきつけ、男性のみでなく女性の間でもMONSTERブランドの認知度を高めてきた。2018年には、申立人商品の販売実績は1千万ケースに近づき、それまで首位の「レッドブル」を超えて市場占有率トップに立った(甲311~甲322、甲383~甲385、甲433)。
申立人商品は、2018年に国内エナジードリンク市場でトップシェアを獲得後は、首位を独走状態であり(甲448、甲476、甲479、甲489、甲505、甲514)、第三者の市場調査では2022年時点における申立人商品の市場占有率は約40%であった(甲450)。爪の図柄は、申立人商品のすべての個別製品に継続使用されているから、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、国内で流通するエナジードリンク製品の40%に申立人商品であることを表示する爪の図柄が使用されていたことが明らかである。
カ 小括
以上の事柄に照らせば、爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標の構成中、上段に顕著に表示された「M」の文字を象った図形部分は、独立の出所識別標識として機能するものである。
当該図形部分は、申立人の登録及び使用に係る爪の図柄(引用商標1及び引用商標2の要部)と「エム」の称呼、並びに「アルファベットの13番目の文字、ローマ数字の千」等の観念(甲533)を共通にする類似のものであるから、本件商標は引用商標標1及び2と類似のものである。
本件商標が使用される指定商品は、引用商標1及び2の指定商品と同一又は類似のものであり、かつ、本件商標よりも先に登録出願されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標は、申立人の使用に係る爪の図柄と称呼及び観念を共通にする類似のものであるから両者の類似性の程度は高い。
本件商標の指定商品は、申立人が爪の図柄を使用する商品(エナジードリンク)と同一又は類似のものであり、また、当該申立人商品と用途、効能、販売場所、需要者層等を共通にする極めて関連性が密接なものである。
爪の図柄は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして本件商標の指定商品の需要者の間で広く認識されていた。
本件商標の最終的な需要者は、一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
これらの事柄を総合すれば、本件商標が本件商標の指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の使用に係る爪の図柄及び申立人会社を想起連想し、申立人又は申立人の商品役務の出所識別標識として広く認識されている爪の図柄の出所識別力を希釈化するおそれがあることが明らかである。
したがって、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(1)使用商標の周知性
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など。)によれば、次のとおりである。
(ア)申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その後、2022年まで毎年、新製品やリニューアル商品を合計25種類以上販売した(甲7~甲13、甲59、甲60、甲101、甲127、甲130、甲253、甲256、甲257、甲291、甲323、甲324、甲354~甲361、甲434~甲442、甲445、甲446、甲451、甲452、甲460、ほか)。
(イ)申立人商品のほとんどの種類の商品(の容器)には、引用商標1と同一視できる爪の図柄(色彩が異なるものも含む。)が中央に大きく表されている(以下「爪の図柄(色彩が異なるものも含む。)」を「使用商標」という。)(甲7~甲13など上記(ア)と同じ。)。
(ウ)有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。
(エ)日本経済新聞社の2019年3月29日付け「(飲料HOT&COOL)モンスターエナジー、レッドブル超え」をタイトルとするウェブページには、「日経MJ」として、「飲料総研によると2018年の販売実績は1千万ケースに近づき、それまでカテゴリーの首位を走っていた「レッドブル」を超えた。」の記載がある(職権調査:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43024750Y9A320C1HE4A00/)。
(オ)2022年5月7日付け「モンスターエナジー、レッドブルを駆逐しトップ独走状態の秘密・・・周到な販売戦略」をタイトルとするウェブページには、「全国のドラッグストアのPOSデータをもとにした買物指数によると、エナジードリンクの火付け役だった「レッドブル・エナジードリンク」を抑え、モンスターエナジーの売り上げが独走状態になっている。今や日本国内のトップシェアを獲得しているのだ。」の記載がある(甲448)。
(カ)2022年10月25日付け「日経 XTREND」と称するウェブページには、「エナジードリンク飛躍、販売額4年で3倍増 日本コカは苦戦」のタイトルのもと、「エナジードリンク、メーカー別販売金額シェアの推移」の図があり、それには2018年9月ないし2022年9月として、「モンスターエナジージャパン」がいずれも40%前後でトップシェアとされている(甲450)。
(キ)ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。
(ク)JMR生活総合研究所による消費者調査No.196「エナジードリンク(2014年7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であり、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年8月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。
(ケ)JMR生活総合研究所による消費者調査データNo.269「エナジードリンク(2018年5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)...」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査データNo.293「エナジードリンク(2019年5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「今回の調査でも、前回(2018年5月版)と同様、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドが複数の項目で上位3位を独占した。」の記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)。
(コ)JMR生活総合研究所による消費者調査No.365「エナジードリンク(2022年5月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「リアルゴールド」、2位が「レッドブル」で57.6%、3位が「モンスターエナジー」で55.4%であった(甲449)。
(サ)申立人及びアサヒ飲料株式会社(以下、両者をあわせて「申立人等」という。)は、我が国で申立人商品を発売以降ニュースリリース、ポスターなどの広告媒体や申立人等のキャンペーンの景品(Tシャツ、帽子、ギター等)に使用商標を使用しており、また、申立人等以外のウェブページ等の広告媒体においても、申立人商品を紹介する際に、使用商標が使用されている
(甲58、甲63、甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124、甲132、甲162、甲163、甲165、甲241、甲251、甲256、甲258~甲260、ほか)。
イ 上記アからすれば、以下のとおり判断できる。
(ア)申立人等は、我が国において、2012年5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで25種類以上の申立人商品を販売してきた。
そして、2013年にはエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースでエナジードリンクの販売シェア第2位であり、その後、申立人商品は2018年に1千万ケースに近づいた頃に販売シェア第1位となり、それ以後2022年まで毎年販売シェアの40%前後を有し、継続して第1位であると推認することができる。
また、エナジードリンクのブランド認知度の調査において、申立人商品「モンスターエナジー」は、2014年にジャストシステムが行った調査において47.6%、JMR生活総合研究所が行った調査において31%で、いずれも第2位の認知度がある結果であり、その後、JMR生活総合研究所の2016年、2018年及び2019年の調査では「リアルゴールド」「レッドブル」とともに上位3位を占めており、同調査の2022年では55.4%で第3位であったことが認められる。
そうすると、申立人商品は、本件商標の登録出願日(令和5年(2023年)11月21日)以前から、登録査定日(令和6年(2024年)5月9日)においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえるものである。
(イ)次に、申立人商品の商標の使用について検討すると、上記ア(イ)のとおり、ほとんどの申立人商品の容器の側面に使用商標が認められ、上記ア(サ)のとおり、商品の広告等においても、使用商標が使用されていることが認められる。
(ウ)そうすると、申立人商品(エナジードリンク)は、需要者の間に広く認識されているものであるから、これらのほとんどの商品の容器(包装)に付され、その広告等においても用いられている使用商標は、商品「エナジードリンク」との関係では、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものというのが相当である。
なお、使用商標は、申立人商品(エナジードリンク)以外のその他の商品及び役務については、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、その構成上部から中央にかけて位置する図形は、欧文字の「M」をモチーフにしたと思しき形状で、該図形の上部に両端に短い切れ込みが入った下向き矢印の先端様の図形を配置し、その両端にはさみ状に先端の内側が尖っている縦線を配置してなるものである。
そして、本件商標は、この「M」と思しき図形の下に、「MPOWER」の欧文字(「M」及び「R」は特徴的な書体で、「R」は左右が反転して表されている。)及び「魔量」の文字を上下二段に横書きしている。
さらに、本件商標は、「M」の図形部分とその下の文字部分が視覚上分離して把握し得るものであり、また、これらが常に一体のものとしてのみ認識されるというべき特段の事情はみいだせないことから、図形部分と文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
そこで、本件商標の図形部分について検討すると、該図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているとういうべき事情は認められないから、図形部分からは特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、文字部分については、それを構成する文字に相応し「エムパワーマリョウ」、「エムパワー」及び「マリョウ」の称呼を生じ、これらの文字は特定の意味を生じない造語といえるものであるから、特定の観念を生じないものである。
以下、本件商標の図形部分を「本件図形部分」という。
イ 引用商標
(ア)引用商標1
引用商標1は、別掲2のとおり、爪の図柄からなるもので、使用商標と同じ形状のものである。
そして、使用商標が、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものというのが相当であることから、引用商標1は、称呼については、特定の称呼を生ずるものではないとしても、観念については、「申立人のロゴマーク(ブランド)」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標2
引用商標2は、別掲3のとおり、構成の上部から中央にかけて爪の図柄を配置し、該爪の図柄の下にやや図案化した「MONSTER」の文字及びゴシック体様の「ENERGY」の文字を上下二段に横書きしてなる構成である。
そして、引用商標2は、図形部分と文字部分は視覚上分離して把握し得るものであり、また、これらが常に一体のものとしてのみ、認識されるというべき特段の事情は見いだせないことから、図形部分と文字部分は、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
そこで、引用商標2の図形部分についてみるに、該図形部分は引用商標1と同一の図形であることから、これと同様に該図形部分より特定の称呼を生ずるものではなく、「申立人のロゴマーク(ブランド)」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観
別掲1の構成からなる本件商標と別掲2及び別掲3のとおりの構成からなる引用商標とを比較すると、構成全体の比較では、本件商標と引用商標1は、文字部分の有無の差異があり、また、本件商標と引用商標2は、文字部分の構成文字が明らかに異なることから、明確に区別できるものである。
次に、本件図形部分と引用商標の爪の図柄について検討すると、本件図形部分は構成の上部に下向き矢印の先端様(両端に短い切れ込みを有する。)の図形を有し、その図形の両端下部に沿うように下側がはさみ状に先端が内側に尖っている縦線を配置した図形であるの対して、引用商標の爪の図柄は、いずれも不規則な大きさの異なる突起を有し、中央の線が両側の2本よりやや長い同じような3本の細長い線状の図形であるから、両者の特徴は明らかに相違するものであり、構成全体から細部に至るまで類似する点を見いだすことはできない。
そうすると、本件商標と引用商標は、構成全体及び本件図形部分と爪の図柄(引用商標の図形部分)のいずれの比較においても、明らかに相違するものであるから、両商標は、対比観察した場合のみならず、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、相紛れるおそれはない。
(イ)称呼
本件商標から生ずる「エムパワーマリョウ」、「エムパワー」及び「マリョウ」と引用商標2から生ずる「モンスターエナジー」の称呼とは、その構成音数及び音質が明確に異なる。
なお、引用商標1は特定の称呼を生じないから、本件商標とは称呼において比較することはできない。
(ウ)観念
本件商標は特定の観念は生じないものに対し、引用商標は「申立人のロゴマーク(ブランド)」の観念を生じるから相紛れるおそれはない。
(エ)まとめ
上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と引用商標1は、称呼において比較することはできないとして、外観及び観念おいて、相紛れるおそれのないことからすれば、これらを総合勘案すれば、非類似の商標というのが相当である。
また、本件商標と引用商標2は、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
エ 申立人の主張
申立人は、本件図形部分は、「M」の文字を象ったものであり、これと引用商標1及び引用商標2の図形部分は、「エム」の称呼及び「アルファベットの13番目の文字、ローマ数字の千」等の観念を共通にする類似のものであるから、本件商標は引用商標標と類似する旨主張している。
しかしながら、本件図形部分は、上記アのとおり、特定の称呼及び観念を生じないものであり、また、引用商標の図形部分については、特定の称呼は生ずるものではなく、観念については、商品「エナジードリンク」との関係で「申立人ロゴマーク(ブランド)」の観念を生じること、上記イのとおりであるから、かかる申立人の主張はその前提において誤りといわなければならず、採用することはできない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の周知性及び独創性の程度
引用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。
また、特定の事物等をモチーフにしたものではない図形であるからその独創性の程度は高いといえるものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、上記(2)ウのとおり、非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
ウ 本件商標の指定商品と申立人商品との関連性、需要者の共通性
本件商標の指定商品は、ビール、飲料水、清涼飲料、エナジードリンクなどであり、申立人商品とは、「エナジードリンク」で共通し、その他の指定商品についても、主に飲食料品店を通じて一般消費者に向けて流通する商品である点で、販売部門や流通経路に関連性があり、需要者層も重複する場合があるといえる。
エ 混同のおそれ
引用商標(使用商標を含む。)は、上記(1)イ(ウ)のとおり、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであり、また、その独創性の程度は高く、上記ウのとおり、商品の関連性及び需要者の共通性があるとしても、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標は、別異の商標といえるほど、類似性の程度が低いものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字ではなく、商標権者がこれを本件商標の指定商品に使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合や国際信義に反する場合に該当するという事情を見いだすこともできない。
そして、本件商標を登録出願するにあたり、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合に該当するという事情を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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