結論テキスト
登録第6902098号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900100 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6902098号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年6月17日に登録出願、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年1月8日に登録査定、同年2月28日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議申立ての理由において引用する商標は、次の1及び2のとおりであり(これらをまとめて、以下「引用商標」という。)、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品 :第7類、第9類及び第17類に属する商標登録原簿記載の商品
登録出願日:昭和60年6月6日
設定登録日:平成元年9月29日
書換登録日:平成22年3月24日
商標の構成:別掲2のとおり
指定役務 :第37類及び第42類に属する商標登録原簿記載の役務
登録出願日:平成14年5月20日
設定登録日:平成15年6月20日
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
申立人は、米国カリフォルニア州に本社を置く、世界的に有名なテクノロジー企業である米国法人で、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット、ウェアラブルデバイス及びそれらの部品・付属品(以下「申立人製品」という。)を設計、製造、販売しており、様々な関連サービスも提供している。
申立人は、インターブランド社による「世界の最も価値あるブランドランキング」で、2012年から11年連続で首位を獲得するなど、高い知名度を誇り(甲3)、当該ランキングで、2023年のブランド価値は5,026億8,000万ドルと評価され、初めて5,000億ドルを突破したブランドとして注目を集めた(甲4)。
申立人は、1976年の創業から現在に至るまで、引用商標をハウスマークとして継続して使用しており、公式ウェブサイトのほか(甲5)、店舗の看板に引用商標を使用し、引用商標が付された申立人製品は全国に10店舗存する直営店以外にも、家電量販店、携帯電話販売店等、多くの他社店舗で販売されている(甲6、甲7)。
また、引用商標は、申立人製品、サービス、広告、販売促進資材等と常に併せて使用されている。
このような、様々な製品・サービスについての長期にわたる継続的な使用により、引用商標は、申立人を象徴する重要な特徴として日本を含む世界中で認知されていることは顕著な事実である。
広告宣伝に関して、申立人は、広告宣伝費については公表していないが、申立人製品は、テレビ及びネットのコマーシャルで頻繁に放送されていることは周知の事実であり、テレビ放送されたコマーシャルはYouTubeで見ることができる。申立人の日本法人が日本向けのYouTubeチャンネルを開設しており(甲8)、そのチャンネル登録者数は60万人を超え、動画の再生回数も100万回を超える動画も多数ある。
さらに、申立人製品は、日本国内では、KDDI、NTTdocomo等を通しても販売されているところ、これらの企業によっても申立人製品の広告宣伝が行われており、それらの広告宣伝には引用商標が使用されている(甲9、甲10)。これらの広告の視聴回数からも、引用商標が多くの需要者の目に触れられていることが分かる。
加えて、これらの広告は、世界中の多数の消費者に届いており、人気のある雑誌で目立つディスプレイ、主要な新聞広告、テレビ、インターネット、屋外のビルボード、ポスター、その他の看板を含んでおり、数十億の印象を生み出している。
申立人の財務報告書によると、日本での純売上げは、2023年、242億5,700万米ドル(約3兆5千万円)、2022年、259億7,700万米ドル(約3兆8千万円)、2021年、284億8,200万米ドル(約4兆2千万円)であり(甲11)、申立人製品・サービスには、常に企業ロゴである引用商標が付されているため、かかる売上げは引用商標が付された製品・サービスの売上げと見ることができ、この数字からも、申立人製品が日本で広く取引されていることは明らかである。
引用商標は、審決例においても、申立人の業務に係るスマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー及びタブレット型コンピュータ、その関連商品及び関連役務において、周知著名商標と認定されている(甲12)。
以上のとおり、引用商標は、申立人製品、申立人の提供するサービスの利用者であれば必ず目にすることのある商標であって、我が国においても、テクノロジー関連業界はもとより、ほとんどの一般消費者にも認識されているといっても過言ではなく、本件商標の登録出願時以前より、著名商標となっていたことは明らかである。
(1)本件商標について
本件商標は別掲1のとおり、1枚の葉を有する果物を表す図形から構成され、1枚の葉は、果肉上部の窪み中央付近において、果肉とは少し分離した状態で付いており、葉の先端は右斜め上を向いている。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は別掲1のとおりの構成からなり、引用商標は別掲2のとおりの構成からなるところ、両商標を比較すると、ア 1つの果物をモチーフにした図形で表現されている点、イ 果肉とは分離した1枚の葉を有する点、ウ 1枚の葉は果肉上部の窪み中央付近に付き、葉の先端は右斜め上を向いている点、エ 果肉部分は完全な形をしておらず、筋状又は楕円状の欠落部分を有する点、オ 果肉部分の上下に窪みを有する点で共通する。
本件商標の指定商品の分野、特に第9類の商品分野において、果物等の食品を商標として採択する例は極めて少なく、1枚の葉を有する果物という共通性や、完全ではない果肉の表し方は申立人を強く意識させ、そして、上記の共通性は、離隔観察の下では十分に外観上見誤るおそれ、あるいは、申立人と何らかの組織的関係を想起させるといえる。
東京高裁判決(平成12年(行ケ)第147号)では、「取引者・需要者が、図柄によって構成される商標について、必ずしも、図柄の細部まで正確に観察し、記憶し、想起してこれによって商品の出所を識別するとは限らず、商標全体の主たる印象によって商品の出所を識別する場合が少なくない。これは、我々の日常の経験に照らして明らかである」と判示している。
上記2のとおり、引用商標は、申立人又は申立人製品、申立人が提供するサービスを表す商標として我が国において広く知られている実情からすれば、需要者は、本件商標が使用されている役務と申立人製品・役務と誤解する可能性が高いことは明らかである。
以上より、本件商標と引用商標は、時と所を異にして隔離的に観察した場合、両者は、互いに相紛れるおそれがある類似の商標と解されるべきものである。
(3)商品及び役務の類否について
本件商標と引用商標の指定商品、指定役務が同一又は類似であることは明白である。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
上記2のとおり、引用商標は、申立人のハウスマークとして長年にわたって使用され、申立人を表示するものとして著名な商標である。
しかして、本件商標は、引用商標と類似するものであって、万一、類似しないとしても、申立人の著名商標である引用商標の構成をモチーフとしたものと解されるものである。
したがって、本件商標が、その指定商品について使用された場合には、その商品は、申立人又は関連する企業の商品と誤認されるおそれがある。
また、上記3(2)のとおり、本件商標と引用商標の類似性は高く、上記2のとおり、引用商標が非常に高い著名性を有しており、引用商標はピクトグラムのように果物を極めて単純な図で表してなる点において特徴を有し独創的であり、加えて、申立人のハウスマーク(会社ロゴ)であり、申立人はコンピュータ、スマートフォンの分野以外にも様々な事業分野で商品・役務を展開し、多角経営の可能性は十分に認められる。
さらに、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含んでいることから、商品の関連性が認められ、本件商標の権利者によるウェブサイト(甲17)によれば、当該権利者はシステム開発、アプリケーション開発、ホームページ作成を行っているIT企業であることから、需要者の共通性も認められる。
そうすると、本件商標がその指定商品に使用されると、かかる指定商品分野における需要者は、それらの役務が申立人の業務に係る商品ないし申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
また、申立人及び引用商標の著名性並びに商品間の関連性を考慮すると、本件商標が、特に、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具等」に使用された場合、本件商標に接する取引者・需要者は、申立人を想起するだけでなく、当該商品の提供が、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある本件商標の権利者によって行われていると誤認し、その出所について混同を生じさせるおそれが極めて高いというべきである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
ア Interbrand(以下「インターブランド社」という。)のウェブサイト「Best Global Brands 2023」の「Top100」の第1位には、「Apple」の欧文字及び引用商標が表示され(甲3の1)、また、インターブランド社のウェブサイトの「Apple」の頁には、黒色四角形内に引用商標とその構成を同一にする白抜き図形が表示され、さらに、「マイクロソフト」、「コカ・コーラ」等の多数のブランドの中において、第1位として引用商標が表示されている(甲4)。
イ HYPEBEASTのウェブサイトには、「世界最大のブランディング専門会社「Interbrand(インターブランド)」が、2023年におけるグローバルブランドの価値評価ランキング“Best Global Brands 2023”を発表した。」及び「今年のランキングでは、第1位を「Apple(アップル)」が獲得。同社は11年連続で第1位の座を維持しており、ブランド価値が5,000億ドルを突破した初めてのブランドとなった。」との記載がある(甲3の2)。
ウ 申立人は、申立人のハウスマークとして、公式ウェブサイトのほか、申立人の国内直営店10店舗の看板に引用商標を使用し、また、家電量販店など他社の店舗や当該会社のウェブサイトにおいても、申立人製品についての広告及び当該製品に商標を付す形式にて、引用商標を使用している。
そして、申立人製品は、申立人の国内直営店10店舗を始め、多くの家電量販店や携帯電話販売店の他社店舗及び当該販売店のウェブサイトを通じて販売されている(甲5~甲7)。
また、申立人は、申立人製品のテレビ及びインターネットでのコマーシャルを行っており、そのうち、テレビコマーシャルは申立人の日本法人のYouTubeチャンネルで視聴することができるところ、そのチャンネル登録者数は60万人を超えている(甲8)。
(2)上記(1)によれば、引用商標は、申立人のハウスマークであって、申立人の業務に係るパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の申立人製品に関する広告及び当該製品に付されて、それぞれ使用されており、我が国において、多数の需要者の目に触れられているというべきである。
そして、申立人は、世界最大のブランディング専門会社によるグローバルブランドの価値評価ランキングにおいて、11年連続で第1位を維持し、また、当該ランキングを紹介するウェブサイトにおいても引用商標が紹介されている。
以上のことから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人のハウスマークとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたといい得るものである。
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、中央部に白抜きの曲線を有するピンク色の果実様図形と、その上部に、左に傾いた短い枝の付け根から、右上に向かって先端をとがらせた葉様図形との構成からなる黒色の図形を配した構成からなるものであり、上記構成からなる本件商標は、桃をモチーフにしたと想起され得るものの、その構成全体は簡単な図形で表されており、直ちに特定の称呼及び観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、黒色で表された果実様図形の右側の一部に、切り取ったか、かじったような切り欠きを有し、さらに、果実様図形の上部に、両先端をとがらせた黒色の葉様図形を配した構成からなるものであり、上記構成からなる引用商標は、リンゴをモチーフにしたと想起され得るものの、その構成全体は簡単な図形で表されており、直ちに特定の称呼は生じないものである。
また、引用商標は、上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時又は登録査定時において、申立人製品を表示する申立人のハウスマークとして需要者の間に広く認識されている商標であることから、「申立人のハウスマーク」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、いずれも上部に黒色の葉様図形を有するものであるとしても、果実様図形中央部の白抜き曲線の有無の差異、果実様図形右側の切り取ったか、かじったような切り欠きの有無の差異、及び果実用図形のピンク色と黒色の色彩の差異を有し、それぞれの構成、特徴及び色彩が明らかに相違するものであるから、時と所を違えて離隔的に観察したとしても、両商標は、外観上、相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標からは、特定の観念を生じないのに対し、引用商標は、「申立人のハウスマーク」の観念が生じるものであるから、両者は、観念において区別できるものである。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、称呼において比較することができないとしても、外観及び観念のいずれの点においても、明らかに相違し相紛れるおそれがない非類似の商標である。
(4)小括
したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(1)引用商標の周知性について
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人製品及び申立人製品に係る申立人が提供する役務に使用される申立人のハウスマークを表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標といえる。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、その類似性の程度は極めて低いものである。
(3)出所の混同のおそれについて
上記(1)及び(2)からすると、引用商標が、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標は、引用商標との類似性の程度が低い別異の商標である。
そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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