sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900178
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6939786号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6939786号商標(以下「本件商標」という。)は、「チームインテリジェンス」の文字を標準文字で表してなり、令和6年10月22日に登録出願、第9類、第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年5月22日に登録査定され、同年6月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標であり、いずれも現に有効に存続している。

なお、以下引用商標3ないし引用商標20の商標をまとめていうときは「引用商標」という場合がある。

1 登録第5682608号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様:TEAM(標準文字)

登録出願日:平成26年2月3日

設定登録日:平成26年7月4日

更新登録日:令和6年1月11日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

2 登録第6740137号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様:Team+(標準文字)

登録出願日:令和5年3月29日

設定登録日:令和5年9月27日

指定商品及び指定役務:第9類、第35類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

3 登録第5996775号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER

登録出願日:平成28年11月29日

設定登録日:平成29年11月17日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

4 登録第5966687号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の態様:別掲1のとおり

登録出願日:平成28年11月29日

優先権主張日:2016年(平成28年)6月8日(ドイツ連邦共和国)

設定登録日:平成29年7月28日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

5 登録第5996777号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の態様:別掲2のとおり

登録出願日:平成28年11月29日

設定登録日:平成29年11月17日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

6 登録第6176064号商標(以下「引用商標6」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER PILOT

登録出願日:平成31年1月23日

優先権主張日:2018年(平成30年)9月3日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和元年8月30日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

7 登録第6176065号商標(以下「引用商標7」という。)

商標の態様:別掲3のとおり

登録出願日:平成31年1月23日

優先権主張日:2018年(平成30年)9月3日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和元年8月30日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

8 登録第6250571号商標(以下「引用商標8」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER TENSOR

登録出願日:平成31年2月28日

設定登録日:令和2年5月11日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

9 登録第6261022号商標(以下「引用商標9」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER REMOTE MANAGEMENT

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

10 登録第6261023号商標(以下「引用商標10」という。)

商標の態様:別掲4のとおり

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

11 登録第6261025号商標(以下「引用商標11」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER BACKUP

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

12 登録第6261026号商標(以下「引用商標12」という。)

商標の態様:別掲5のとおり

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

13 登録第6261028号商標(以下「引用商標13」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER ENDPOINT PROTECTION

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

14 登録第6261029号商標(以下「引用商標14」という。)

商標の態様:別掲6のとおり

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

15 登録第6261031号商標(以下「引用商標15」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER MONITORING & ASSET MANAGEMENT

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

16 登録第6261032号商標(以下「引用商標16」という。)

商標の態様:別掲7のとおり

登録出願日:平成31年3月14日

優先権主張日:2019年(平成31年)2月26日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

17 登録第6261114号商標(以下「引用商標17」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER MEETING

登録出願日:令和元年5月17日

優先権主張日:2019年(平成31年)3月13日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和2年6月18日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

18 登録第6479770号商標(以下「引用商標18」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER IOT

登録出願日:令和2年8月11日

優先権主張日:2020年(令和2年)8月3日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和3年12月2日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

19 登録第6536154号商標(以下「引用商標19」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER ENGAGE

登録出願日:令和3年4月26日

優先権主張日:2021年(令和3年)4月7日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和4年3月29日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

20 登録第6558380号商標(以下「引用商標20」という。)

商標の態様:TEAMVIEWER ASSIST AR

登録出願日:令和3年4月26日

優先権主張日:2021年(令和3年)4月9日(欧州連合知的財産庁)

設定登録日:令和4年5月19日

指定商品及び指定役務:第9類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第56号証(以下、証拠の記載にあたっては、甲第○号証を甲○のように記載し、また、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号を省略して記載する。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は、「チームインテリジェンス」の片仮名文字(標準文字)からなり、第9類、第35類、第41類、第42類を指定して令和6年(2024年)10月22日に登録出願、令和7年(2025年)6月19日に設定登録されたものである(甲1)。

本件商標は、「チームインテリジェンス」の文字を横書きしてなり、その片仮名に相応して「チームインテリジェンス」の称呼が生じる。

その構成中「チーム」の文字は、「〔スポーツの〕チーム、〔共同で仕事をする〕チーム・班・団、団体の」等を意味する平易な英単語「team」に由来する和製英語であることが容易にわかる。

また、「インテリジェンス」の文字は、「IT用語辞典 e-Words」によれば、「知能、知性、諜報などの意味を持つ英単語(intelligence)」であって、「一般的な知性、知能という意味の他に、情報を収集、分析した結果得られる、判断や意思決定に有用な知見、及び、そのような情報の精査を行う活動や能力、組織のことを指す場合がある」とされている(甲2)。したがって、商標全体で「チームの知見・能力」程の観念が生じる。

(2)本件商標の分離観察の可否について

本件商標は、上記のとおり標準文字からなる商標であるが、その構成文字数は11字とやや冗長であり、これにより生ずる称呼も9音にもなり、一気呵成に発音できるとは言い難く、「チーム」と「インテリジェンス」とに分けて称呼される。

また、「IT用語辞典 e-Words」(甲2)によれば、「コンピュータソフトウェア」関連商品や「ソフトウェア」関連の提供サービスを取り扱ういわゆるIT業界において、「インテリジェンス」の語は、「情報を収集、分析した結果得られる判断等」を表す語とされており、近時、「人工知能(AI)を組み込んで人間のワークフローを強化するソフトウェア・アプリケーション」を意味するものとして、「Apple Intellegence」や「ビジネス・インテリジェンス・アプリケーション」などが普通に使用されている。また、特許庁において、「○○インテリジェンス」や「インテリジェンス△△」といった商標が多数登録されている事実もある。

このような実情を考慮すれば、本件商標中「インテリジェンス」部分は、少なくともIT関連の商品・役務において、商品の品質や特徴、役務の提供の用に供するもの、用途等を普通に用いられる方法で表示するものであって、当該部分は、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

してみれば、本件商標は、「チーム」の文字部分が、看者に強く印象付けられるものであり、また、両文字部分の結びつきも決して強いとは言えないことから、本件商標が常に一体不可分としてのみ把握されるとはいえず、「チーム」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。

(3)本件商標と引用商標1(甲3)の商標の類似性について

引用商標1は、「TEAM」の欧文字(標準文字)を横書きしてなり、第9類、第38類、第44類を指定して、平成26年(2014年)7月4日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

その外観は、平易な英単語「TEAM」であることが容易に判別できるから、「チーム」の称呼が生じ、商標全体で「チーム,班」などの観念が生じる。

また、引用商標1の指定商品「電子計算機用プログラム,ダウンロード可能な電子計算機用アプリケーションソフトウェア」は、本件商標の第9類中「記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータプログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),アプリケーションプログラム」と同一の類似群コード(11C01)が付与されている点で共通する。

さらに、本件商標の要部は、上記(2)にて述べたとおり「チーム」であるから、これを英語で表記した引用商標1と称呼・観念が共通し、商標が類似する。

(4)本件商標と引用商標2(甲4)の商標の類似性について

引用商標2は、「Team」の欧文字(標準文字)と記号「+」を横書きしてなり、第9類、第35類、第38類、第42類を指定して、令和5年(2023年)9月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

その外観は、平易な英単語「Team」と数学記号「+(プラス)」から構成されることが容易に判別できるから、「チーム」又は「チームプラス」の称呼が生じ、商標全体で「チームと,班と」などの観念が生じる。

また、引用商標2の第9類の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」は、本件商標の第9類中「記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータプログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),アプリケーションプログラム」と同一の類似群コード(11C01)が付与されている点で共通する。

さらに、第42類の指定役務「オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS)」を指定する点でも本件商標と引用商標2は共通する。

また、数学記号「+」部分に識別力はないため、引用商標2の要部「Team」部分と、本件商標の要部「チーム」部分は称呼・観念が共通し、商標が類似する。

(5)小括

上記(1)ないし(4)により、本件商標中、類似群コード11C01及び42X11が付与される指定商品・指定役務に係る登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してなされたものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標について

引用商標3は、欧文字「TEAMVIEWER」を横一列に表してなり、その外観は、同書・同大・等間隔に表されているものであって、視覚上、全体としてまとまりよく一体的に看取されるものである。

また、「TEAM」の語は「〔スポーツの〕チーム、〔共同で仕事をする〕チーム・班・団、団体の」等を意味する平易な英単語であり、「VIEWER」の語は「テレビなどの視聴者、検査官、(光学機器・ファイルの内容を見るソフトウェアの)ビューアー」を意味する英語の名詞である(甲23)から、引用商標3全体で「チームビューアー(チームビューワー)」の称呼が生じ、「チーム/団体のソフトウェア」の観念が生ずる。

引用商標4及び引用商標5の外観は、四角形の内側に白い円が配置され、その円の内側に左右両方に矢印が描かれた線を配した図形と、当該図形の右隣に太字の「Team」と細字の「Viewer」の欧文字を横一列に配置してなる。なお、文字部分の称呼及び観念は、同じ単語で構成されている引用商標3と同一である。

引用商標6、8、9、11、13、15、17ないし20は、引用商標3に「PILOT」「TENSOR」等の語を追加してなるから、引用商標3のシリーズ展開であることが理解でき、「チームビューワー○○(○○には、パイロット,テンサー等の追加した語の称呼が入る)」の称呼が生じる。

引用商標7、10、12、14及び16は、引用商標4及び引用商標5の「TeamViewer」部分と同一の構成の欧文字を配し、その下段に「Pilot」等の語を配置し、文字列2段の左側に図形を配置してなる。なお、図形部分は、四角形の内側に白い円が配置され、引用商標7、10、12及び14の円の内側には矢印を含む図形が、引用商標16の円の内側にはパソコン画面を想起させる図形が配置されており、引用商標4及び引用商標5と共通の構成を採るものである。これらのことから、引用商標4及び引用商標5のシリーズ展開であることが理解でき、「チームビューワー○○(○○には、文字列2段目に記載されたパイロット,バックアップ等の追加した語の称呼が入る)」の称呼が生じる。

(2)引用商標の周知性について

申立人(以下「TeamViewer社」という場合がある。)は、2005年にドイツにて創業したソフトウェア会社を由来とする(甲24)、リモート接続ソリューションのリーディンググローバルプロバイダーである。

2018年には、60カ国以上で700人以上の従業員を擁するグローバル企業となり、東京に初の日本オフィスを開設した(甲25)。なお、日本オフィスには、2022年12月に、経験豊富なITスペシャリストである藤井一弘氏をマネージングディレクターに迎えてもいる(甲26)。

2019年6月21日は、「創業10周年を迎えた2015年10月には、TeamViewerは10億台のデバイスで有効化され、設立以来、TeamViewerのソフトウェアは世界中で20億台以上のデバイスにインストール、20億個の固有IDが使用されている」ことが公表された(甲27)。

また、2019年9月24日に発表されたプレスリリースには、ドイツのフランクフルト証券取引所への上場決定が発表された(甲28)。なお、上場時の新規公開株式額(IPO)は22億ユーロであって、これは2000年代初頭以来のドイツのテクノロジー企業によるIPOとしては最大規模であり、2019年のヨーロッパにおけるIPOとしても最大規模となった(甲29)。

さらに、2019年12月に中国湖北省武漢市から発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行時においては、ロックダウンにより世界中の人々の外出が制限されたため、リモートワークへのシフトが急務となり、TeamViewer社のソフトウェアが大いに寄与することとなった(甲30)。また、厳格な緊急事態宣言による行動規制を行った日本においても、TeamViewer社のリモート接続サービスの需要は大幅に拡大し、2020年3月13日配信の「日経クロステック」(甲29)によると、「日本での有料ユーザー数は1万6000以上」と報道されている。なお、コロナ終息宣言後においても、働き方改革の一環として企業等はリモートワークを継続しており、「2024年版ベスト・リモートアクセスソフトウェア&ツール17選」(甲31)によると、申立人のソフトウェアがお勧めの2番目にリストアップされるほど、日本でも格段に認知度が上がっている。

また、2021年3月には、世界屈指の人気・規模を誇るサッカークラブであるマンチェスター・ユナイテッドより「TeamViewer社とシャツスポンサー契約を締結した」ことが発表され、契約金は5年間(2021-2022及び2023-2024シーズン)で2億7500万ユーロ相当と報道され話題となった(甲32)。このことは日本でも2023年10月24日付の「日刊工業新聞」(甲33)や「マイナビニュース」(甲34)等でも大きく報道されている。

そして、2021-2022及び2022-2023シーズンのマンチェスター・ユナイテッドのユニフォームの前面には、引用商標4が大きくプリントされており(甲35~甲37)、申立人の商標がリモートワークに馴染まない職種の人々の目にも入るようになった。マンチェスター・ユナイテッドは「SNSのフォロワーが多いクラブTOP10」で第3位にランクインするほど、世界中で愛されているクラブの一つであり(甲38)、日本でもファンは多く、歴代のユニフォームは現在でも多数売買されているほどの人気を誇る(甲39)。

さらに、2021年5月には、メルセデスAMGペトロナスF1チームが、TeamViewer社との5年間のパートナーシップを締結したことを発表した(甲40)。TeamViewer社は、メルセデスAMGペトロナスF1チーム及びメルセデスEQフォーミュラEチームと提携し、両チームとも車両とドライバーのレーシングスーツにTeamViewer社のブランドを使用した(甲40~甲42)。なお、メルセデスAMGペトロナスF1チームも出場した、2024年4月5~7日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された2024年F1第4戦『MSC CRUISES JAPANESE GRAND PRIX』の観客動員数は、3日間で22万9000人を数えた(甲43)。この期間内には、玩具メーカーのレゴジャパンが、メルセデスF1の2023年型マシン『W14 E PERFORMANCE』の実物大モデルをレゴブロックで制作・世界初披露したことでも話題になっており、レゴブロックの車体にも引用商標4が描かれているのが分かる(甲44)。

その他、2021年の時点において、トヨタのドイツ法人向けにAR技術ソリューション技術を、オーストリアの大手銀行向けにビデオ通話やチャットでの顧客対応を実現する技術の導入に協力している。また、日本国内においても、環境シミュレーション研究所とさくらインターネット、京セラ、リコージャパンなど多数の顧客とのパートナーシッププログラムを締結した(甲45、甲46)。なお、日本におけるパートナーシッププログラム締結企業数は、2020年の56社から2021年には144社に増加、遠隔制御や拡張現実等の分野における成長率は、2020年と比べて55%もの増加となった(甲47)。

また、2024年2月には、韓国自動車大手ヒュンダイと提携していることもニュースになっている(甲48)。

これらの結果、設立以来、TeamViewer社のソフトウェアは世界中で25億台以上のデバイスにインストールされ、世界中で1,500名以上の従業員を雇用し、世界中のあらゆる産業に660,000人もの顧客を抱えることとなった(甲24)。

このように、申立人は、申立人の業務(IT領域、デバイス間の接続や遠隔制御、ワークフロー支援、拡張現実などによる現場支援に関する商品・サービス等)に引用商標を使用している(甲47)。また、日本国内だけでも多数の企業にサービスを提供しており、それらの事実は「アイティメディア株式会社」のニュースサイト「ITmedia」だけでも140回近くにわたり報道されている(甲49)。

なお、申立人は長年にわたり、数々の賞や表彰を受けていることも申し添える。

テクノロジーを社会貢献の力にするというコミットメントが認められ、HGインサイト傘下のTrustRadius社より「2025年 Tech Cares賞(教育支援部門)」を受賞(甲50)、2024年Microsoft Apps & Solutions for Microsoft Teams パートナー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞(甲51)、TrustRadius社より、リモートサポート、リモートデスクトップ、ビデオ会議の各カテゴリーで、2024年に複数の賞を受賞、G2の2024年春季レポートにおいて、「最速実装」賞を受賞(甲52)、アメリカの老舗ウェブサイト「SourceForge」より、好意的なレビューを受けた上位5%にランクされたとして、リモート接続部門で「2024年夏季リーダー賞」を受賞(甲53)、XR Todayより「XRアワード2024」を受賞(甲54)、マイクロソフト社より「2024年度Teamsパートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞(甲55)、アイティクラウド株式会社のレビュープラットフォーム「ITreview」より、「リモートアクセスツール部門」の「ITreview Grid Award 2024 Winter」をTeamViewerジャパンが受賞(甲56)。

したがって、申立人の商標は、本件商標の出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているというのが相当である。

(3)出所の混同について

上述のとおり、引用商標は本件商標の出願時及び査定時において我が国において周知されており、その周知性は、現在においても継続しているものと認められる。

本件商標と引用商標は非類似の商品・役務も含まれるが、本件商標は申立人の商標中「TEAM」の語を(欧文字ではなく)片仮名で表示し、識別力のない「インテリジェンス」の語を結合した構成をとっている。「インテリジェンス」部分の文字・音数の長さを考慮すれば、商標を「チーム○○」「TEAM○○」と曖昧に記憶する者も少なくないと考えられる。

さらに、本件商標に係る商品・役務の一部は、異議申立人の登録商標に係る指定商品・指定役務の一部と共通又は類似し、その需要者はパソコンを使用する者であって、特別の専門的知識を有する者ではない点で共通する。とすれば、本件商標と引用商標の需要者はともに一般消費者と考えられ、申立人の商標の周知性は、本件商標の指定商品及び指定役務の需要者にも及んでいると認められる。

これらの事由、特に語頭の「チーム」「TEAM」の共通性を考慮すると、商標権者が本件商標を指定商品及び指定役務について使用するときは、これに接した需要者・取引者は、異議申立人やその日本法人(TeamViewerジャパン)と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務等であると誤認し、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれがあると言わざるを得ない。

(4)小括

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものである。

3 商標法第4条第1項第19号について

上述したように、各引用商標(特に引用商標4)が、我が国及び外国において、本件商標の出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品の出所を表示するものとして需要者の間に広く知られていたことは明らかである。また、周知の引用商標の使用に伴って蓄積された固有かつ強力な識別力を有する。一方、本件商標は、申立人の商標中「TEAM」の語を(欧文字ではなく)片仮名で語頭に表示した構成からなり、申立人の商標と何らかのつながりを連想させる。

してみれば、本件商標は、既に我が国を含む世界中において需要者の間に広く認識されている引用商標を利用するものであり、それらが有している顧客吸引力へのただ乗り又は希釈化を意識した、不正の目的をもって出願されたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反してなされたものである。

4 むすび

以上、本件商標登録に係る商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、上記第1のとおり「チームインテリジェンス」の文字を標準文字で表してなり、その構成中の「チーム」の文字は、「班、組」等の意味を有し、「インテリジェンス」の文字は、「知性、知能」等の意味を有する語(いずれも「コンサイスカタカナ語辞典 第5版」株式会社三省堂)であるところ、これら構成各文字の語義を結合した場合には、その意味合いは漠然とし、具体的な意味合いを認識させるとはいい難い。

そうすると、本件商標は、同じ書体、同じ大きさ及び等間隔で、まとまりよく一体に表されていることもあわせて考慮すれば、その構成文字全体として一種の造語として把握され、全体が一連一体のものとして、取引者、需要者に理解されるというのが相当である。

そして、本件商標は、特定の意味を有しない造語であり、全体としてその称呼もやや冗長であるとしても、よどみなく一連に称呼し得るから、当該文字より「チームインテリジェンス」の称呼を生ずるというのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「チームインテリジェンス」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。

(2)引用商標1

引用商標1は、上記第2の1のとおり、「TEAM」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、これは、「チーム」の文字を英語で表したものであるから、上記(1)と同様に「班、組」等(前掲書参照)の意味を有するといえる。

そうすると、引用商標1からは、「チーム」の称呼を生じ、「班、組」といった観念を生じる。

(3)引用商標2

引用商標2は、上記第2の2のとおり、「Team+」の文字を標準文字で表してなるところ、これよりは「Team」の文字と「+」の記号を結合した構成よりなり、横一列にまとまりよく配置されているものである。

また、構成中の「Team」の文字は、上記(2)の文字と同様に「班、組」等の意味を有する語であり、「+」の文字は「加符。加えよ。」等の意味を有するもの(いずれも前掲書参照)であるが、両文字を結合して成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いも漠然としていることからすると、いずれかの文字部分が強く支配的な印象を与えるものとはいえず、「チームプラス」の一連一体の称呼を生じる。

そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して、「チームプラス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。

(4)本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否

本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否を検討すると、両者はそれぞれ上記(1)ないし(3)のとおりの構成からなるところ、外観において両者の文字種や構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。

次に、本件商標から生じる「チームインテリジェンス」の称呼と引用商標1及び引用商標2からそれぞれ生じる「チーム」及び「チームプラス」の称呼を比較すると、本件商標と引用商標1とは「チーム」の音を同じくするものの、本件商標における「インテリジェンス」の音の有無を有し、また、引用商標2とは、互いに「インテリジェンス」と「プラス」の音の差異を有することからすると、これらの差異が本件商標と引用商標1及び引用商標2の各称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、各称呼をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。

さらに、観念においては、本件商標と引用商標1とは、前者が特定の観念を生じないものであるのに対し、後者が「班、組」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。

また、本件商標と引用商標2とは両者は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において相紛れるおそれがないか、比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。

(5)申立人の主張について

申立人は、本件商標は、その構成文字数が11字とやや冗長であり、称呼も9音になることから、「チーム」と「インテリジェンス」とに分けて称呼され、また、「インテリジェンス」の文字は、近時、「人工知能(AI)を組み込んで人間のワークフローを強化するソフトウェア・アプリケーション」を意味し、自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得ないことからすると、本件商標は、「チーム」の文字部分が、看者に強く印象付けられるものであり、本件商標が常に一体不可分としてのみ把握されるとはいえず、「チーム」の文字部分を要部として抽出し、引用商標1及び引用商標2と比較して商標の類否を判断することが許される旨主張している。

しかしながら、本件商標は、上記(1)のとおり「チームインテリジェンス」の文字を標準文字で横書きしてなるものであり、その構成は片仮名を同書・同大・等間隔で軽重の差なく一体に表され、これから生じる「チームインテリジェンス」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

さらに、構成中の「インテリジェンス」の文字が、申立人が主張するような意味合いを有したとしても、本件商標は、まとまりよく一体的に表され、外観上、いずれかの文字部分が強調して表現されているものではないし、構成中の「チーム」の文字と結合することにより、具体的な意味合いを認識させることのない一種の造語として把握させるものと判断するのが相当であるから、申立人のかかる主張は採用できない。

その他、本件商標と引用商標1及び引用商標2が類似するというべき事情は見いだせない。

(6)小括

以上のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標1及び引用商標2の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。

(ア)甲第24号証によれば、申立人は、2005年にドイツで設立された、コンピュータソフトウェアの開発及びリモート接続サービスを行う法人である。

また、申立人のウェブサイト(2019年6月21日)によれば、申立人のソフトウェアは「TeamViewer」の名称で、世界中で20億台以上のデバイスにインストールされ、20億個の固有IDが使用されているとの記載がある(甲27)。

(イ)「日経XTECH」(2020年3月13日)によれば、「PC遠隔操作ソフトは新型コロナ対策に役立つ、CTOが明かす意外な活用法」の見出しの下、「リモート接続サービス「TeamViewer」のインストール数は世界で20億超。年間で動いているデバイスは3億2000万台。46万の契約ユーザーを持ち、2019年の売上高は前年比41%増の約3億2500万ユーロ(約390億円)だ。」の記載がある(甲29)。

(ウ)「2024年版ベスト・リモートアクセスソフトウェア&ツール17選」(2024年4月5日)と題するウェブサイトによれば、「私たちが選んだ最高のリモートデスクトップソフトウェア」として、申立人のリモートアクセスソフトウェア「TeamViewer」が2番目に記載されている(甲31)。

(エ)イギリスの「ガーディアン紙」(2021年3月19日)によれば、「マンチェスター・ユナイテッド、TeamViewerと2億3500万ポンドのシャツスポンサー契約を締結」の記事が掲載されている(甲32)。また、「日刊工業新聞 電子版」(2025年9月17日)には、「チームビューワー、マンチェスター・ユナイテッドのDXを支援」(甲33)及び「マイナビニュース」(2023年10月24日)には、「マンUがTeamViewerのソリューションでデータ分析やコンテンツ活用を強化」(甲34)との記事が掲載されている。

(オ)甲第35号証ないし甲第37号証によれば、マンチェスター・ユナイテッドの2021~2022及び2023~2024の新ユニフォームには、「TeamViewer」の文字がプリントされている。また、メルセデスAMGペトロナスF1チームが、2021年ないし2023年頃に、デジタルトランスフォーメーションを通じ業務効率を向上させるため、「TeamViewer」とのパートナーシップ契約を行った旨の記事が掲載されている(甲40、甲41)。

(カ)申立人は、リコージャパンをはじめとする日本企業と、リモート接続サービス等のパートナーシッププログラムを締結し(甲46、甲47)、2021年において、パートナーシッププログラムを締結した企業数は、2020年の56社から144社に増加した(甲47)。

(キ)申立人のウェブサイトによれば、「2024年7月24日 TeamViewer、SourceForgeの2024年夏季レポートでリモートサポートリーダーに選出」の見出しの下、「TeamViewerは、世界有数のソフトウェアレビューWebサイトであるSourceForgeのリモート接続部門で2024年サマーリーダー賞を受賞しました。」と記載されている(甲53)。また、「XR TODAY」(2024年11月20日)によれば、「TeamViewerがMicrosoftTeams、Copilot、Azure OpenAIとの統合を実現-Ignite 2024」の見出しの下、「MicrosoftがTeamViewerを2024年度Teamsパートナー・オブ・ザ・イヤーに選出したとのことです。この受賞は、TeamViewerとMicrosoftTeams及びCopilot AIサービスの最近の連携に関連している。」の記事が掲載されている(甲55)。さらに、「ITreview」のウェブサイトによれば、「リモートアクセスツール部門」の見出しの下、5年連続で申立人の「TeamViewer」がITreviewで投稿されたレビューにおいてユーザーが高く評価した製品であるとして、「ITreview Grid Award 2024 Winter」で表彰された内容の記事が掲載されている(甲56)。

イ(ア)上記ア(エ)ないし(カ)によれば、申立人は、イギリスのサッカーチーム「マンチェスターユナイテッド」やモータースポーツのF1チーム「メルセデスAMGペトロナス」と複数年にわたり、スポンサー又はパートナーシップ契約を結び、そのことがイギリスの新聞や日本の新聞及びネットニュース等で報道された(甲32~34、甲40及び甲41)。さらに、申立人は、日本の企業との間でリモート接続サービスを行い、その企業数は2021年に144社となった(甲46、甲47)。

そして、申立人の「TeamViewer(TEAMVIEWER)」に係る商品又は役務が、海外のソフトウェアレビューサイトにおいて高評価となり賞を受賞し(甲53)、また、5年連続で法人向けのソフトウェア等に特化した国内のユーザーレビューにおいて高評価を受けている(甲56)ことからすると、申立人の「TeamViewer(TEAMVIEWER)」は、我が国及び外国のリモート接続サービス分野において、一定程度知られていることがうかがえる。

(イ)上記ア(ア)ないし(ウ)によれば、申立人は、2005年以降、「TeamViewer」の文字を使用した申立人の業務に係るリモート接続サービスを、世界中に提供している法人であり、申立人のソフトウェアは、設立以来、世界中で20億台以上のデバイスにインストールされ、20億個の固有IDが使用されていること、及び2019年の売上高が約3億2500万ユーロ(約390億円)になったことがうかがえる(甲24、甲27、甲29及び甲31)ものの、申立人の業務に係る商品又は役務について、我が国及び外国における販売数量、売上高及び市場占有率(販売シェア等)の詳細などを把握することができる客観的な資料は提出されていない。

また、「2024年版ベスト・リモートアクセスソフトウェア&ツール17選」で2番目に申立人のソフトウェアが記載されていたとしても、誰がどのような目的で選定したものなのか明確ではなく、他の比較サイト等における申立人の「TeamViewer(TEAMVIEWER)」に係る商品又は役務の順位など証拠資料の提出はないことからすると、申立人の主張及び同人が提出した証拠によっては、「TeamViewer」の文字を含む引用商標が使用されている商品及び役務の日本国内又は外国における宣伝広告の回数や費用等の広告実績など、その周知性を数量的に判断し得る客観的、かつ、具体的事実に関する証拠は見いだせない。

(ウ)以上のとおり、申立人の提出した証拠によっては、「TeamViewer(TEAMVIEWER)」の文字、又は当該文字を構成中に含む引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に、広く認識されていたと認めることはできない。

(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について

ア 本件商標

本件商標は、「チームインテリジェンス」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、上記1(1)のとおり、「チーム」及び「インテリジェンス」の各文字を結合したものと理解させるものであるが、それらを結合した文字からは、その指定商品及び指定役務との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものではなく、一種の造語として認識されるものであるから、当該文字より「チームインテリジェンス」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。

イ 引用商標

(ア)引用商標3は、「TEAMVIEWER」の欧文字を横書きしてなり、その構成中の「TEAM」の文字は、「班、組」等の意味を有し、「VIEWER」の文字は、「コンピュータで、データやファイルの表示・閲覧専用のソフトウェア。」等の意味を有する語(いずれも前掲書参照)であるところ、これら構成各文字の語義を結合した場合には、その意味合いは漠然とし、具体的な意味合いを認識させるとはいい難く、また、構成文字全体としても、辞書等に掲載のない語であり、その指定商品及び指定役務との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識され、全体が一連一体のものとして、取引者、需要者に理解されるというのが相当である。

そうすると、欧文字からなる造語は、通常、我が国において親しまれたローマ字又は英語の読みに倣って発音するものであるから、当該文字より「チームビューア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。

(イ)引用商標4、引用商標5、引用商標7、引用商標10、引用商標12、引用商標14及び引用商標16(以下「引用商標A」という。)は、別掲1ないし別掲7のとおり、図形と「TeamViewer」の文字からなる構成、もしくはこれらに他の文字を加えた構成からなるところ、いずれも「TeamViewer」の文字を顕著に大きく表してなるものであり、かつ、他の図形や文字と観念上の結びつきが認められるものでもないから、引用商標Aにおいては、構成中の「TeamViewer」の文字部分が、要部として独立して、商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。

そして、当該「TeamViewer」の文字部分は、上記(ア)と同様に、辞書等に掲載のない語であり、その指定商品及び指定役務との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識され、欧文字からなる造語は、通常、我が国において親しまれたローマ字又は英語の読みに倣って発音するものであるから、当該文字より「チームビューア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。

(ウ)引用商標6、引用商標8、引用商標9、引用商標11、引用商標13、引用商標15、引用商標17ないし引用商標20(以下「引用商標B」という。)は、上記第2の6、8、9、11、13、15、17ないし20のとおり、いずれも語頭に「TEAMVIEWER」の欧文字を有するが、それに続く文字も、同一の書体、同一の大きさ、等しい間隔で書され、いずれも商標全体として、まとまりのある一体的な構成態様で表されており、特段「TEAMVIEWER」の文字部分が看者の注意を引くような構成とはなっていない。

さらに、これらの引用商標Bの構成中、「TEAMVIEWER」の文字部分は、上記(ア)のとおり、一種の造語として把握されるものであり、それぞれを構成全体としてみても、いずれも特定の意味合いを理解させるものではないから、引用商標Bは、それぞれ一種の造語として認識され、特定の観念は生じない。

ウ 本件商標と引用商標の類似性の程度

本件商標と引用商標3を比較すると、両商標は、その構成中に同じ意味合いを有する「チーム」又は「TEAM」の文字を含んでいるとしても、文字種の違いや他の構成要素において判然とした差異を有しており、この差異が両者の外観に与える影響は大きく、全体から受ける視覚的印象において明らかな差異を有するものであるから、これを時と処を異にして離隔的に観察した場合には、外観上、相紛れるおそれはないものである。

また、本件商標と引用商標3は、上記ア及びイ(ア)のとおり、いずれも全体としてまとまりよく一体的に表されているものであるから、殊更、「チーム」及び「TEAM」の文字部分のみを分離抽出して、単に「チーム」の称呼をもって取引に供されることはなく、本件商標からは、「チームインテリジェンス」の称呼を生じ、引用商標3からは、構成文字全体に相応して「チームビューワ」の称呼を生ずるとみるのが相当である。

さらに、観念において、本件商標と引用商標3は、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することができない。

したがって、本件商標と引用商標3は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれはないから、両者は非類似の商標というべきであって、その類似性の程度は低い。

そうすると、構成中に「TeamViewer」又は「TEAMVIEWER」の文字を含む引用商標A及び引用商標Bについても、本件商標とは非類似のものというべきであり、その他、両商標が類似するというべき理由も見いだせないため、その類似性の程度は低い。

(3)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について

本件商標は、その指定商品及び指定役務中に、第9類及び第42類に属する商品及び役務を含むものである。

他方、申立人は、引用商標を使用して、リモート接続サービスに係るソフトウェアの製造、販売等及びそのソフトウェアの提供を行っているものであるから、本件商標の申立てに係る商品及び役務には、申立人の業務に係るリモート接続サービスに係るソフトウェア及びそのソフトウェアの提供の商品及び役務と同一又は類似のものが包含されているといえ、両者は事業者や商品及び役務において、一部関連性があるものといえる。

(4)出所の混同のおそれについて

本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、類似性の程度は低い。そして、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。

そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標に係る指定商品及び指定役務との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを合わせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る商品及び役務について使用した場合、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはない。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品及び役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第19号該当性について

上記2(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に、広く認識されていたと認めることはできない。

また、本件商標と引用商標とは、事業者やその商品及び役務において、一部関連性があるとしても、上記2(2)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。

さらに、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が、引用商標に化体した知名度にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものと認めるに足りる証拠は見いだせない。

そうすると、申立人提出に係る証拠からは、商標権者が引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を利用して不正の利益を得る目的、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど申立人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用をするものとはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。