sokuhyo

Trademark Appeal Case

特許訂正の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025700140
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
特許第7527438号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。
特許第7527438号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

特許第7527438号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成30年8月1日に出願された特願2018-145216号の一部を令和5年5月10日に新たな特許出願としたものであって、令和6年7月25日に特許権の設定登録がされ、同年8月2日に特許掲載公報が発行された。

その後、特許異議申立人加納裕介(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。

本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和7年 1月31日 :特許異議の申立て(全請求項)

同年 4月30日付け:取消理由通知書

同年 7月 4日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出

同年 8月 8日 :申立人より意見書の提出

同年10月 9日付け:取消理由通知書(決定の予告)

同年12月12日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出

令和8年 1月27日 :申立人より意見書の提出

なお、令和7年7月4日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否

1 訂正の内容

令和7年12月12日に提出された訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に

「前記アームが前記固定部に取り付けられる方向に対して直交する方向において前記ヒートシンクの側部において、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を受信する機能ユニット」

とあるのを

前記ヒートシンクの側部において、

前記アーム

前記固定部に取り付けられる

部分と前記固定部とが重なる

方向に対して直交する方向に

配置され

、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を

無線通信によって

受信する機能ユニット」

に訂正する。

請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2に

「前記アームが前記固定部に取り付けられる方向に対して直交する方向に突出する電源側コネクタ」

とあるのを

「前記アーム

前記固定部に取り付けられる

部分と前記固定部とが重なる

方向に対して直交する方向

のうち、前記機能ユニットが配置されている向き

に突出する電源側コネクタ」

に訂正する。

(3)訂正事項3

願書に添付した明細書の段落【0006】に

「本開示に係る照明器具は、光を照射する光源部と、光源部が取り付けられた第1のベース面と第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部と、ベース部の第2のベース面と対向する第1の庇面と、第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部と、を有するヒートシンクと、ベース部と庇部とを接続する固定部と、庇部の第2の庇面に配置された電源ユニットと、被取付部に取り付けられ、固定部に揺動自在に取り付けられたアームと、アームが固定部に取り付けられる方向に対して直交する方向においてヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、光源部の点灯を制御する信号を受信する機能ユニットと、を備える。」

とあるのを

「本開示に係る照明器具は、光を照射する光源部と、光源部が取り付けられた第1のベース面と第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部と、ベース部の第2のベース面と対向する第1の庇面と、第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部と、を有するヒートシンクと、ベース部と庇部とを接続する固定部と、庇部の第2の庇面に配置された電源ユニットと、被取付部に取り付けられ、固定部に揺動自在に取り付けられたアームと、

ヒートシンクの側部において、

アーム

固定部に取り付けられる

部分と固定部とが重なる

方向に対して直交する方向に

配置され

、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、光源部の点灯を制御する信号を

無線通信によって

受信する機能ユニットと、を備える。」

に訂正する。

2 訂正の適否

(1)訂正事項1について

訂正事項1は、「機能ユニット」の配置に関し、訂正前の請求項1では「前記アームが前記固定部に取り付けられる方向に対して直交する方向において前記ヒートシンクの側部において、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ」るものであったところ、訂正後の請求項1では「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ」るものであることに特定するものであるから、「機能ユニット」の配置をより具体的に特定し、限定するものである。

また、訂正事項1は、「機能ユニット」の機能に関し、訂正前の請求項1では「前記光源部の点灯を制御する信号を受信する」ものであったところ、訂正後の請求項1では「前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する」ものであることに特定するものであるから、「機能ユニット」の機能をより具体的に特定し、限定するものである。

したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項との関係を検討すると、【0010】「

接続部130は、アーム110と固定部120とを接続するもの

であり、例えば2個のボルトと2個のナットとからなる。」(下線は当審で付した。以下同様。)、【0021】「

庇部222には、機能ユニット1000を取り付けるために用いられる庇貫通穴222bが形成されている。庇貫通穴222bは、固定部120が取り付けられる庇部222の側辺に対して垂直となる側辺側に2個設けられている。

」、【0049】「ここで、庇貫通穴222bは、固定部120が取り付けられる庇部222の側辺に対して垂直となる側辺側に設けられている。このため、

機能ユニット1000は、固定部120に対して垂直になるようにヒートシンク220に固定される。

」との記載、及び【図3】、【図4】をみると、ヒートシンク220を構成する庇部222の側辺において、アーム110と固定部120が重なって接続部130(2個のボルトと2個のナット)により接続される方向に対して垂直となる側辺側に機能ユニット1000が配置されることが図示されている。

そうすると、「機能ユニット」が、「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され」ていることが、本件明細書等に記載されていると認められる。

また、【0035】「

機能ユニット1000は、

ユニット固定具1101を使用してヒートシンク220に固定される機能連結部1100と、機能連結部1100に固定された

機能部1200とを有している。

」、【0039】「

機能部1200は、無線通信によって外部からの信号を受信し、受信した信号を変換して電源ユニット230に出力する。

」、【0052】「機能ユニット1000の

無線モジュール1210は、例えば照明器具1の光源に電力を供給する電源回路に接続される。

」、【0053】「

無線モジュール1210は、無線通信を行うことによって照明器具1の動作を制御するための制御信号を受信する無線通信部の一例である。制御信号は、例えばユーザが操作するリモコン又はスマートフォン等の操作端末である携帯端末から送信される無線信号である。

」と記載されているから、「機能ユニット」が、「前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する」ことが、本件明細書等に記載されていると認められる。

したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。

そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について

訂正事項2は、訂正前の請求項2に「前記アームが前記固定部に取り付けられる方向」とあるのを、「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向」と訂正することにより、当該「方向」の明瞭化を図ると共に、訂正前の請求項2に「に対して直交する方向」とあるのを、「に対して直交する方向のうち、前記機能ユニットが配置されている向き」と訂正することにより、当該「方向」の「向き」を具体的に特定し、限定するものである。

したがって、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、本件明細書等に記載した事項との関係を検討すると、【0010】「接続部130は、アーム110と固定部120とを接続するものであり、例えば2個のボルトと2個のナットとからなる。」との記載及び【図2】~【図4】をみると、アーム110と固定部120が重なって接続部130(2個のボルトと2個のナット)により接続される方向が図示されている。

そうすると、アームが固定部に取り付けられる方向とは、「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向」であることが、本件明細書等に記載されていると認められる。

また、上記摘記箇所に加えて、【0038】「ハーネス保護部1140は、取付面1110の上端部に設けられ、

機能部1200と電源ユニット230とを接続するハーネス1141

を収容して保護する。ここで、

ハーネス1141は、

一端に機能部1200に着脱自在に接続される第1の接続部1142と、

他端に電源側コネクタ236に着脱自在に接続される第2の接続部1143

とを有している。」、【0045】「図22に示すように、

機能ユニット1000

がヒートシンク220に取り付けられるとき、端子台カバー235が反時計回りに回転して

電源側コネクタ236が露出

している。そして、図23に示すように、第1の突設部1120の下端部がベース部221の第2のベース面21bに対向し、第2の突設部1130の上端部が庇部222の第2の庇面22bに対向する。この状態で、機能ユニット1000がヒートシンク220の側方から挿し込まれる。ここで、

ハーネス1141の第2の接続部1143が電源側コネクタ236に接続

される。」との記載及び【図22】~【図24】をみると、アーム110と固定部120が重なって接続部130(2個のボルトと2個のナット)により接続される方向に対して直交する方向のうち、機能ユニット1000が配置されている向きに電源側コネクタ236が突出することが本件明細書等に記載されていると認められる。

したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものである。

そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について

訂正事項3は、訂正事項1に係る訂正に伴う、特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

また、訂正事項3は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 一群の請求項について

訂正前の請求項1及び2は、請求項2が請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は一群の請求項〔1、2〕について請求されたものである。

4 申立人の主張について

申立人は、令和7年8月8日提出の意見書(以下「意見書1」という。)において、概略、以下のような主張をしている。

(2ページ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面において、アームの固定部に取り付けられる部分と固定部とが重なる方向についてなんら記載も図示もなく、アームの固定部に取り付けられる部分と固定部とが重なる方向を示唆する記載も図示もない。

上記主張について検討する。

上記2(1)で説示したとおり、本件明細書等の【0010】、【0021】、【0049】及び【図3】、【図4】等の記載から、「機能ユニット」が、「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され」ていることが、本件明細書等に記載されていると認められる。

したがって、申立人の主張を採用することはできない。

5 訂正の請求についてのむすび

以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正後の発明

上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。

「【請求項1】

光を照射する光源部と、

前記光源部が取り付けられた第1のベース面と前記第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部と、前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面と、前記第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部と、を有するヒートシンクと、

前記ベース部と前記庇部とを接続する固定部と、

前記庇部の前記第2の庇面に配置された電源ユニットと、

被取付部に取り付けられ、前記固定部に揺動自在に取り付けられたアームと、

前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニットと、

を備える照明器具。

【請求項2】

前記電源ユニットは、

前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向のうち、前記機能ユニットが配置されている向きに突出する電源側コネクタを有し、

前記機能ユニットは、

前記電源ユニットの前記電源側コネクタと電気的に接続するハーネスを有する

請求項1記載の照明器具。」

第4 取消理由通知(決定の予告)の概要

令和7年10月9日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

取消理由1(明確性要件)本件特許の下記の請求項に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

取消理由2(サポート要件)本件特許の下記の請求項に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

取消理由1(明確性要件)

請求項2に記載された「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向」は、不明確である。

取消理由2(サポート要件)

請求項2に記載された「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向」は、機能ユニットがあるヒートシンク側辺側のみならず、例えば、機能ユニットとは反対側のヒートシンク側辺側や、ヒートシンクの上側等を含む、様々な方向を取り得るため、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された解決手段が反映されていない。

第5 当審の判断

1 取消理由1(明確性要件)について

(1)発明の詳細な説明を参酌した上で、請求項2が引用する請求項1の記載によれば、「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向」は、以下のように理解できる。

ア 「前記光源部が取り付けられた第1のベース面と前記第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部と、前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面と、前記第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部」という記載であるから、ベース部と庇部は、表裏方向に対向配置されたものであるところ、「前記ベース部と前記庇部とを接続する固定部」という記載であるから、固定部は、表裏方向に延在してベース部と庇部とを接続するものである。

イ 「前記固定部に揺動自在に取り付けられたアーム」という記載であって、「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる」という記載であるから、上記アを踏まえると、アームの固定部に取り付けられる部分は、固定部と同様に、表裏方向に延在するものである。

ウ 上記ア及びイによれば、「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向」は、表裏方向に延在する固定部と、表裏方向に延在するアームの固定部に取り付けられる部分が重なる方向であるから、表裏方向と直交する方向である。

エ 「前記固定部に揺動自在に取り付けられたアーム」という記載であるから、「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向」は、アームの揺動軸線方向でもある。

オ 「前記ヒートシンクの側部において、」「直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部」という記載であるから、機能連結部は、ヒートシンクの側部にあるものであって、固定部と同様に、表裏方向に延在するものである。

カ 上記オによれば、「直交する方向」とは、機能連結部がある方向、すなわちヒートシンクの側部がある方向である。

キ 以上によれば、本件発明1の「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向」とは、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向であると理解でき、さらに、請求項1の「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニット」という記載から、「前記機能ユニットが配置されている向き」が、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向であって、ヒートシンクの側部がある方向のうちの一部の方向であることが理解できる。

(2)上記本件発明1の理解を踏まえると、本件発明2の「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向のうち、前記機能ユニットが配置されている向き」は、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向であって、ヒートシンクの側部がある方向のうち、機能ユニットが配置されている側部の方の「向き」であることが明確である。

したがって、本件発明2は明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。

2 取消理由2(サポート要件)について

まず、本件発明2が解決すべき課題とその解決手段について検討する。

「電源ユニット」の「電源側コネクタ」と、「機能ユニット」の「ハーネス」の関係について、発明の詳細な説明の【0045】「図22~図24は、本発明の実施の形態1に係る機能ユニット1000を取り付ける場合の斜視図である。次に、機能ユニット1000がヒートシンク220に取り付けられる工程について説明する。図22に示すように、機能ユニット1000がヒートシンク220に取り付けられるとき、端子台カバー235が反時計回りに回転して

電源側コネクタ236が露出している。

そして、図23に示すように、第1の突設部1120の下端部がベース部221の第2のベース面21bに対向し、第2の突設部1130の上端部が庇部222の第2の庇面22bに対向する。この状態で、

機能ユニット1000がヒートシンク220の側方から挿し込まれる。

ここで、

ハーネス1141の第2の接続部1143が電源側コネクタ236に接続される。

」との記載を踏まえ、【図22】~【図24】をみると、電源側コネクタ236が機能ユニット1000のあるヒートシンクの側部の方に突出しているために、機能ユニット1000をヒートシンク220の側部に取り付ける際に、ハーネス1141を電源側コネクタ236に容易に接続できることが分かる。

上記の記載に接した当業者であれば、発明の詳細な説明では、ハーネス1141を電源側コネクタ236に容易に接続することを解決すべき課題として、電源側コネクタ236が、機能ユニット1000のあるヒートシンクの側部の方に突出していることを解決手段として記載していることが理解できる。

一方、請求項2には「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向のうち、前記機能ユニットが配置されている向きに突出する電源側コネクタ」と記載されているから、上記1で説示したとおり、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向であって、ヒートシンクの側部がある方向のうち、機能ユニットが配置されている側部の方の向きに電源側コネクタが突出することが特定されている。

そうすると、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された上記解決手段が反映されており、上記課題を解決できるものといえるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

3 申立人の主張について

申立人は、意見書1及び令和8年1月27日提出の意見書(以下「意見書2」という。)において、概略、以下のような主張をしている。

(意見書1の2~3ページ、意見書2の2~3ページ)

主張1:「前記ヒートシンクの側部」とは、どこを示すものか理解できず、不明確である。

主張2:「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向」とは、どのような方向を示すものか理解できず、不明確である。

主張3:「前記機能ユニットが配置されている向き」とは、何を基準とした向きを示すものか理解できず、不明確である。

主張1~3について検討する。

主張1については、請求項1の記載によれば、「前記光源部が取り付けられた第1のベース面と前記第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部と、前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面と、前記第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部」と記載されているから、ベース部と庇部は、表裏方向に対向配置されたものであるところ、「前記ベース部と前記庇部とを接続する固定部」と記載されているから、固定部は、表裏方向に延在してベース部と庇部とを接続するものであることが特定されている。

そして、「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分」と記載されているから、固定部は、ヒートシンクの側部にあることが分かる。

そうすると、「前記ヒートシンクの側部」とは、固定部のある部分のように、ヒートシンクにおいて底面・頂面に類する部分を形成するベース部・庇部に対する側面部分を意味していることが理解できる。

主張2及び3については、上記1で説示したとおり、本件発明2の「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向のうち、前記機能ユニットが配置されている向き」は、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向であって、ヒートシンクの側部がある方向のうち、機能ユニットが配置されている側部の方の向きであることが明確である。

したがって、申立人の主張1~3を採用することはできない。

4 まとめ

以上のとおり、本件発明2は明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものということはできない。

また、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された上記解決手段が反映されており、上記課題を解決できるものといえるから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものということはできない。

したがって、令和7年10月9日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由によっては、本件特許の請求項2に係る特許を取り消すことができない。

第6 取消理由通知(予告)において採用しなかった特許異議申立理由について

申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。

甲第1号証:特開2017-91796号公報

甲第2号証:特開2018-77957号公報

甲第3号証:特開2017-174670号公報

甲第4号証:特開2016-213166号公報

甲第5号証:特開2018-56011号公報

なお、甲第1号証等を、以下「甲1」等という。

申立理由1(特許法第29条第2項(同法第113条第2号):進歩性)

1-1 甲1を主引例とする進歩性

本件特許発明1及び2は、甲1に記載された発明と、甲3~5のいずれかとに基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

1-2 甲2を主引例とする進歩性

本件特許発明1及び2は、甲2に記載された発明と、甲3~5のいずれかとに基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

申立理由2(特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号):サポート要件)

本件特許発明1の「アームが固定部に取り付けられる方向」は、アームを固定部に取り付ける際に、固定部に対してアームを近づける方向(図3における上下方向)を含むと解釈できるから、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。

第7 当審の判断

1 申立理由1-1:甲1を主引例とした進歩性について

(1)証拠について

ア 甲1について

甲1の記載(特に【0010】、【0021】、【0023】、【0026】、【0042】、【図1】、【図6】~【図9】等参照。)から、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「LED基板86と、

下面全体にLED基板86の上面全体が面接触している放熱板83と、放熱板83から立設されている放熱フィン84を有するヒートシンク82と、

を有する光源ユニット80と、

光源ユニット80を覆っている天板40と、

光源ユニット80と天板40とを固定する支柱枠組50と、

天板40の板部42の上面中央に固定された電源ユニット30と、

天井又は梁に取り付けられ、支柱枠組50の中間支柱61に回転可能に取り付けられたアーム20と、

を備える照明器具100。」

イ 甲3について

甲3の記載(特に【0012】、【0019】~【0022】、【図1】等参照。)から、甲3には次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「発光モジュール11、この発光モジュール11を取り付けた放熱器12、この放熱器12を支持した本体シャーシ13、この本体シャーシ13上に取り付けられた電源部14、本体シャーシ13を支持するアーム15、および無線モジュール16を備えた照明器具10において、

無線モジュール16の受信部50は、照明器具10に容易に配設でき、発光モジュール11からの熱の影響を受けにくく、受信強度を確保できる、放熱器12(放熱フィン27)よりも上方の位置である、本体シャーシ13の上面の位置aや側面の位置b、あるいは、電源部14の上面の位置cや側面の位置d、あるいは、アーム15の設置部44の下面の位置eや側部45の内面側の位置fまたは外面側の位置gなどいずれでもよく、より好ましい受信部50の位置は、アーム15の側部45の内面側の位置fであること。」

ウ 甲4について

甲4の記載(特に【0014】、【0018】、【0019】、【0021】、【0029】、【0034】、【図3】、【図4】等参照。)から、甲4には次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「光源部1と、無線通信部2と、保持体3と、を備えた長尺状の光源ユニット10において、

保持体3は、支持部材4とカバー部材5とを有し、

無線通信部2は、支持部材4の取付部4aの長手方向一端部にある開口部4aaからカバー部材5に向かってアンテナ収容部7cを突出させた状態で、支持部材4を介して螺子7eが固定部7dに螺子止めされていること。」

エ 甲5について

甲5の記載(特に【0013】、【0014】、【0042】、【図2】等参照。)から、甲5には次の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「本体部20と、発光部30と、透光性カバー40と、無線通信部50と、樹脂カバー61と、樹脂カバー62と、板材80と、電源部90とを備える、長尺状の照明装置10において、

本体部20、透光性カバー40、及び、板材80のY軸+側の端部を一括して覆う部材である樹脂カバー61の内部に無線通信部50を収容すること。」

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲1発明を対比する。

(ア)後者の「LED基板86」は、光を照射するものであることが明らかであるから、前者の「光を照射する光源部」に相当する。

(イ)後者の「下面全体にLED基板86の上面全体が面接触している」態様は、前者の「前記光源部が取り付けられた」態様に相当するから、後者の「下面」は、前者の「第1のベース面」に相当する。また、後者の「放熱フィン84」は「放熱板83」の上面「から立設されている」ことが明らかであるから、当該上面は、前者の「前記第1のベース面の裏面の第2のベース面」に相当する。そうすると、後者の「下面全体にLED基板86の上面全体が面接触してい」て、「放熱フィン84」が「立設されている」「放熱板83」は、前者の「前記光源部が取り付けられた第1のベース面と前記第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部」に相当するといえる。

(ウ)後者の「天板40」は、「光源ユニット80を覆っている」ものであるから、放熱板83の上面と対向する下側の面を有していることは明らかである。また、当該下側の面と対向する上側の面を有していることも明らかである。そうすると、後者の「光源ユニット80を覆っている天板40」は、前者の「前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面と、前記第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部」に相当するといえる。

(エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえると、後者の「放熱板83」と「放熱フィン84を有するヒートシンク82」「を有する光源ユニット80」と、「光源ユニット80を覆っている天板40」は、合わせて前者の「ベース部と」「庇部と、を有するヒートシンク」に相当する。

(オ)後者の「光源ユニット80と天板40とを固定する」態様は、前者の「前記ベース部と前記庇部とを接続する」態様に相当するから、後者の「支柱枠組50」は、前者の「固定部」に相当する。

(カ)後者の「電源ユニット30」は、前者の「電源ユニット」に相当する。そして、後者の「天板40の板部42の上面中央に固定された」態様は、前者の「前記庇部の前記第2の庇面に配置された」態様に相当する。

(キ)後者の「アーム20」は、前者の「アーム」に相当する。そして、後者の「天井又は梁に取り付けられ、支柱枠組50の中間支柱61に回転可能に取り付けられた」態様は、前者の「被取付部に取り付けられ、前記固定部に揺動自在に取り付けられた」態様に相当する。

(ク)以上の限りにおいて、後者の「照明器具100」は、前者の「照明器具」に相当する。

(ケ)そうすると両者は、

「光を照射する光源部と、

前記光源部が取り付けられた第1のベース面と前記第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部と、前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面と、前記第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部と、を有するヒートシンクと、

前記ベース部と前記庇部とを接続する固定部と、

前記庇部の前記第2の庇面に配置された電源ユニットと、

被取付部に取り付けられ、前記固定部に揺動自在に取り付けられたアームと、

を備える照明器具。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

〔相違点1-1〕

本件発明1は、「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニット」を備えているのに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断

上記第5の1(1)で説示したとおり、本件発明1の「前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向」とは、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向であると理解でき、さらに、請求項1の「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニット」という記載から、「前記機能ユニットが配置されている向き」が、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向であって、ヒートシンクの側部がある方向のうちの一部の方向であると解されるものであり、そのような方向にあるヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に機能ユニットが取り付けられることを特定しているものである。

甲3記載事項は、放熱器12(放熱フィン27)よりも上方の位置に受信部50を配設する技術であって、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に受信部50を配設する技術を示すものではない。

甲4記載事項は、長尺な支持部材4の長手方向一端部に無線通信部2を配設する技術であって、固定部に揺動自在に取り付けられたアームを備えない照明器具であるし、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に無線通信部2を配設する技術を示すものでもない。

甲5記載事項は、長尺な本体部20の端部を覆う樹脂カバー61の内部に無線通信部50を収容する技術であって、固定部に揺動自在に取り付けられたアームを備えない照明器具であるし、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に無線通信部50を配設する技術を示すものでもない。

すなわち、甲3~5記載事項は、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項である「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニット」を示すものではないし、他に、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項を示す証拠がない。

また、甲1発明において、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることが設計的事項であるということの根拠もない。

したがって、本件発明1は、甲1発明、及び甲3~5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

ウ 申立人の主張について

申立人は、意見書2において、概略、以下のように主張している。

(3~13ページ)

主張:甲1の放熱板83と天板40とを連結した一対の支柱板56及びガード71に対して、甲3~5記載事項を適用することは、容易に想到し得る。

上記主張について検討する。

甲3記載事項は、放熱器12(放熱フィン27)よりも上方の位置に受信部50を配設する技術であって、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に受信部50を配設する技術を示すものではないし、少なくとも、甲1の放熱板83と天板40とを連結した一対の支柱板56及びガード71に、甲3の受信部50を配設する動機付けがない。

甲4記載事項は、長尺な支持部材4の長手方向一端部に無線通信部2を配設する技術であって、固定部に揺動自在に取り付けられたアームを備えない照明器具であるし、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に無線通信部2を配設する技術を示すものでもなく、少なくとも、甲1の放熱板83と天板40とを連結した一対の支柱板56及びガード71に、甲4の無線通信部2を配設する動機付けがない。

甲5記載事項は、長尺な本体部20の端部を覆う樹脂カバー61の内部に無線通信部50を収容する技術であって、固定部に揺動自在に取り付けられたアームを備えない照明器具であるし、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に無線通信部50を配設する技術を示すものでもなく、少なくとも、甲1の放熱板83と天板40とを連結した一対の支柱板56及びガード71に、甲5の無線通信部50を配設する動機付けがない。

以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。

エ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、及び甲3~5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2は、甲1発明、及び甲3~5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(4)申立理由1-1のまとめ

以上のとおりであるから、申立理由1-1によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことができない。

2 申立理由1-2:甲2を主引例とした進歩性について

(1)甲2について

甲2の記載(特に【0013】、【0014】、【0016】、【0017】、【0022】、【0026】、【図1】~【図4】等参照。)から、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「LEDモジュール20と、

下面にLEDモジュール20が取り付けられ、上面に複数の放熱板221が取り付けられたベース板220と、

を有する光源ユニット2と、

取付板40、一対の側板41並びに一対の連結板42により、下面及び左右両面が開放された四角錐台形状に形成され、一対の側板41のそれぞれの下辺から突出する支持片412、並びに一対の連結板42のそれぞれの下側の片420の上に、ベース板220を載せるようにして、光源ユニット2を内部に収納する器具本体4と、

取付板40の上側に取り付けられた電源ユニット3と、

体育館の天井の梁などに固定され、器具本体4の各側板41が有するアーム支持部411に回転可能に支持されるアーム5と、

を備える照明器具1。」

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲2発明を対比する。

(ア)後者の「LEDモジュール20」は、光を照射するものであることが明らかであるから、前者の「光を照射する光源部」に相当する。

(イ)後者の「下面にLEDモジュール20が取り付けられ」る態様は、前者の「前記光源部が取り付けられた」態様に相当するから、後者の「下面」は、前者の「第1のベース面」に相当する。また、後者の「上面」は、前者の「前記第1のベース面の裏面の第2のベース面」に相当する。そうすると、後者の「下面にLEDモジュール20が取り付けられ、上面に複数の放熱板221が取り付けられたベース板220」は、前者の「前記光源部が取り付けられた第1のベース面と前記第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部」に相当するといえる。

(ウ)後者の「器具本体4」は、「取付板40、一対の側板41並びに一対の連結板42により、下面及び左右両面が開放された四角錐台形状に形成され、一対の側板41のそれぞれの下辺から突出する支持片412、並びに一対の連結板42のそれぞれの下側の片420の上に、ベース板220を載せるようにして、光源ユニット2を内部に収納する」ものであるから、「取付板40」は、ベース板220の上面と対向するものである。そうすると、後者の「取付板40」の下側の面は、前者の「前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面」に相当する。そして、後者の「取付板40」の上側の面は、前者の「前記第1の庇面の裏面の第2の庇面」に相当するから、後者の「取付板40」は、前者の「前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面と、前記第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部」に相当する。

(エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえると、後者の「上面に複数の放熱板221が取り付けられたベース板220」「を有する光源ユニット2」と「取付板40」を有する「器具本体4」は、合わせて前者の「ベース部と」「庇部と、を有するヒートシンク」に相当する。

(オ)後者の「取付板40、一対の側板41並びに一対の連結板42により、下面及び左右両面が開放された四角錐台形状に形成され、一対の側板41のそれぞれの下辺から突出する支持片412、並びに一対の連結板42のそれぞれの下側の片420の上に、ベース板220を載せるようにして、光源ユニット2を内部に収納する」態様は、側板41によって取付板40とベース板220とを接続しているといえるから、前者の「前記ベース部と前記庇部とを接続する」態様に相当し、後者の「側板41」は、前者の「前記ベース部と前記庇部とを接続する固定部」に相当する。

(カ)後者の「電源ユニット3」は、前者の「電源ユニット」に相当する。そして、後者の「取付板40の上側に取り付けられた」態様は、前者の「前記庇部の前記第2の庇面に配置された」態様に相当する。

(キ)後者の「アーム5」は、前者の「アーム」に相当する。そして、後者の「体育館の天井の梁などに固定され、器具本体4の各側板41が有するアーム支持部411に回転可能に支持される」態様は、前者の「被取付部に取り付けられ、前記固定部に揺動自在に取り付けられた」態様に相当する。

(ク)以上の限りにおいて、後者の「照明器具1」は、前者の「照明器具」に相当する。

(ケ)そうすると両者は、

「光を照射する光源部と、

前記光源部が取り付けられた第1のベース面と前記第1のベース面の裏面の第2のベース面とを有するベース部と、前記ベース部の前記第2のベース面と対向する第1の庇面と、前記第1の庇面の裏面の第2の庇面とを有する庇部と、を有するヒートシンクと、

前記ベース部と前記庇部とを接続する固定部と、

前記庇部の前記第2の庇面に配置された電源ユニットと、

被取付部に取り付けられ、前記固定部に揺動自在に取り付けられたアームと、

を備える照明器具。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

〔相違点2-1〕

本件発明1は、「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニット」を備えているのに対して、甲2発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断

上記1(2)イで説示したのと同様に、甲3~5記載事項は、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項である「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニット」を示すものではないし、他に、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項を示す証拠がない。

また、甲2発明において、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることが設計的事項であるということの根拠もない。

したがって、本件発明1は、甲2発明、及び甲3~5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

ウ 申立人の主張について

申立人は、意見書2において、概略、以下のように主張している。

(3~13ページ)

主張:甲2のベース板220と取付板40とを連結した一対の側板41の左右方向における端部及び連結板42に対して、甲3~5記載事項を適用することは、容易に想到し得る。

上記主張について検討する。

甲3記載事項は、放熱器12(放熱フィン27)よりも上方の位置に受信部50を配設する技術であって、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に受信部50を配設する技術を示すものではないし、少なくとも、甲2のベース板220と取付板40とを連結した一対の側板41の左右方向における端部及び連結板42に、甲3の受信部50を配設する動機付けがない。

甲4記載事項は、長尺な支持部材4の長手方向一端部に無線通信部2を配設する技術であって、固定部に揺動自在に取り付けられたアームを備えない照明器具であるし、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に無線通信部2を配設する技術を示すものでもなく、少なくとも、甲2のベース板220と取付板40とを連結した一対の側板41の左右方向における端部及び連結板42に、甲4の無線通信部2を配設する動機付けがない。

甲5記載事項は、長尺な本体部20の端部を覆う樹脂カバー61の内部に無線通信部50を収容する技術であって、固定部に揺動自在に取り付けられたアームを備えない照明器具であるし、ヒートシンクの側部において、ベース部と庇部とを連結した機能連結部に無線通信部50を配設する技術を示すものでもなく、少なくとも、甲2のベース板220と取付板40とを連結した一対の側板41の左右方向における端部及び連結板42、甲5の無線通信部50を配設する動機付けがない。

以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。

エ 小括

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明、及び甲3~5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2は、甲2発明、及び甲3~5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(4)申立理由1-2のまとめ

以上のとおりであるから、申立理由1-2によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことができない。

3 申立理由2:本件発明1のサポート要件について

まず、本件発明1が解決すべき課題とその解決手段について検討する。

発明の詳細な説明には、【0002】「従来、無線通信によって制御信号をアンテナで受信して、点灯状態を制御する照明器具が知られている。特許文献1には、光源ユニットのフレームに無線ユニットが取り付けられた照明器具が開示されている。」、【0004】「しかしながら、特許文献1に開示された照明器具において、無線ユニットは照明器具の内部に収容されているため、無線通信の感度が悪い。」、【0005】「本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、無線通信の感度が良好な照明器具を提供するものである。」、【0007】「本発明によれば、機能ユニットが、アームが固定部に取り付けられる方向に対して直交する方向においてヒートシンクに取り付けられている。このため、アームが揺動しても、機能ユニットがアーム等の他の部材と干渉することを抑制することができる。」と記載されているから、従来、無線ユニットが照明器具の内部に収容されているため無線通信の感度が悪いことを問題として、無線ユニットを照明器具の外部に配置するにあたり、アームが揺動しても、機能ユニットがアーム等の他の部材と干渉することを抑制することを解決すべき課題としていると理解できる。

そして、【0048】「また、機能固定具1201は、庇貫通穴222bを挟んで板金材料の接続片1131に形成されたユニット固定穴1132に締結して機能ユニット1000を固定している。」、【0049】「ここで、庇貫通穴222bは、固定部120が取り付けられる庇部222の側辺に対して垂直となる側辺側に設けられている。このため、機能ユニット1000は、固定部120に対して垂直になるようにヒートシンク220に固定される。よって、照明器具1が揺動する際、機能ユニット1000がアーム110等のほかの部材と干渉することを抑制することができる。」と記載されているから、機能ユニット1000を固定している機能固定具120が、固定部120が取り付けられる庇部222の側辺に対して垂直となる側辺側に設けられることを課題解決手段としていることが分かる。

一方、請求項1には、「前記ヒートシンクの側部において、前記アームの前記固定部に取り付けられる部分と前記固定部とが重なる方向に対して直交する方向に配置され、前記ベース部と前記庇部とを連結した機能連結部に取り付けられ、前記光源部の点灯を制御する信号を無線通信によって受信する機能ユニット」と記載されているから、上記第5の1(1)で説示したとおり、表裏方向と直交する揺動軸線方向に対して直交する方向にあるヒートシンクの側部に機能連結部と機能ユニットを配置することが特定されている。

そうすると、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された上記解決手段が反映されており、上記課題を解決できるものといえるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

以上のとおりであるから、申立理由2によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことができない。

第8 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

そして、他に本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。