結論テキスト
特許第7580225号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、〔4~7〕について訂正することを認める。
特許第7580225号の請求項1~7に係る特許を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025700503 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
特許第7580225号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和2年8月27日に出願され、令和6年10月31日にその特許権の設定登録がされ、同年11月11日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人矢野直樹(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。
本件特許についての申立人による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和7年 5月 9日 :特許異議の申立て(全請求項)
同年 8月29日付け:取消理由通知
同年10月31日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年11月14日 :訂正請求書に対する手続補正書(方式)の提出
同年12月26日 :申立人による意見書の受付
令和7年11月14日提出の手続補正書(方式)による補正後の令和7年10月31日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれている」と記載されているのを、
「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が
、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように
間引かれている」に訂正する(請求項1を引用する請求項2、3についても同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
明細書の段落番号【0006】に「本開示に係る光源モジュールは、複数の発光素子と、複数の発光素子が実装された基板と、を有し、複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された複数の発光素子を有する複数の発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され、発光素子群は、並列に接続された複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれているものである。」と記載されているのを、
「本開示に係る光源モジュールは、複数の発光素子と、複数の発光素子が実装された基板と、を有し、複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された複数の発光素子を有する複数の発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され、発光素子群は、並列に接続された複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が
、基板の周方向において実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように
間引かれているものである。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれており、」と記載されているのを、
「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が
、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように
間引かれており、」に訂正する(請求項4を引用する請求項5~7についても同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
明細書の段落番号【0007】に「本開示に係る照明装置は、それぞれ異なる数の複数の発光素子が実装された複数の基板の内、いずれか1つの基板が取り付けられる照明装置であって、複数の発光素子と、複数の発光素子が実装された基板であって、複数の基板の内のいずれか1つの基板と、複数の発光素子から出射された光の配光を制御する複数のレンズを有する光学部品と、を有し、複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された複数の発光素子を有する複数の発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されており、発光素子群は、並列に接続された複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれており、複数の基板の内のいずれか1つの基板と光学部品とを組み合わせた状態において、複数のレンズと複数の発光素子とがそれぞれ対応するように、共通化された配列で基板に複数の発光素子が実装されているものである。」と記載されているのを、
「本開示に係る照明装置は、それぞれ異なる数の複数の発光素子が実装された複数の基板の内、いずれか1つの基板が取り付けられる照明装置であって、複数の発光素子と、複数の発光素子が実装された基板であって、複数の基板の内のいずれか1つの基板と、複数の発光素子から出射された光の配光を制御する複数のレンズを有する光学部品と、を有し、複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された複数の発光素子を有する複数の発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されており、発光素子群は、並列に接続された複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が
、基板の周方向において実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように
間引かれており、複数の基板の内のいずれか1つの基板と光学部品とを組み合わせた状態において、複数のレンズと複数の発光素子とがそれぞれ対応するように、共通化された配列で基板に複数の発光素子が実装されているものである。」に訂正する。
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれている」との記載において、「少なくとも1つの発光素子」の「間引かれ」方が、「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるよう」な「間引かれ」方であることを特定するものである。
そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
本件訂正後の請求項1に係る発明において、「光源モジュール」は、「少なくとも1つの発光素子」が「間引かれている」「前記発光素子群」を形成する「複数の発光素子と、前記複数の発光素子が実装された基板と、を有」するものであると認められる。
そうすると、本件訂正後の請求項1における「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている」との記載の「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子」も、当然に「少なくとも1つの発光素子」が「間引かれている」「発光素子群」を形成するもの、すなわち、「間引かれ」た後の「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子」であると認められる。
したがって、本件訂正後の請求項1における「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている」との記載は、「並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、」「間引かれ」た後の「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている」ことを示していると解するのが相当である。
そして、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)における、段落【0043】には、「並列数が6列の光源モジュール4の基板42において、中心部45から外方向に向かって3番目に位置する輪を形成する発光素子41は、並列数が7列の光源モジュール4の基板42と比較して、周方向において6つの発光素子41が間引かれている。基板42は、当該3番目の発光素子41の輪の位置では、周方向において隣り合う位置Aと位置Aとの間に3つの発光素子41が実装されている。」との記載があり、段落【0044】には、「並列数が6列の光源モジュール4の基板42において、中心部45から外方向に向かって4番目に位置する輪を形成する発光素子41は、並列数が7列の光源モジュール4の基板42と比較して、周方向において6個の発光素子41が間引かれている。基板42は、当該4番目の発光素子41の輪の位置では、周方向において隣り合う位置Aと位置Aとの間に4つの発光素子41が実装されている。」との記載がある。
また、図9には、「中心部45から外方向に向かって3番目に位置する輪を形成する発光素子41」の数は、間引かれた「位置A」の発光素子よりも多いこと、及び「中心部45から外方向に向かって4番目に位置する輪を形成する発光素子41」の数が、間引かれた「位置A」の発光素子よりも多いことが、示されている。
そうすると、本件明細書等には、並列に接続された複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、基板の周方向において実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている発光素子群が示されていると認められる。
以上から、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正事項1に係る本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
前記(1)イで述べたのと同じ理由から、訂正事項2は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、明瞭でない記載を明確化するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正前の請求項4の「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれている」との記載において、「少なくとも1つの発光素子」の「間引かれ」方が、「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるよう」な「間引かれ」方であることを特定するものである。
そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3は、訂正事項1と同じ内容の訂正であるので、前記(1)イで述べたのと同じ理由から、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正事項3に係る本件訂正後の特許請求の範囲の請求項4の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
前記(3)イで述べたのと同じ理由から、訂正事項4は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、明瞭でない記載を明確化するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
本件訂正前の請求項1~3について、請求項2、3は、それぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~3に対応する本件訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、本件訂正前の請求項4~7について、請求項5~7は、それぞれ請求項4を引用しているものであって、訂正事項3によって訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項4~7に対応する本件訂正後の請求項4~7は、特許法第120条の5第4項に規定する別の一群の請求項である。
また、明細書の訂正に係る訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に係る課題解決手段が記載された段落【0006】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項2、3は、それぞれ請求項1を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項1を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。
同様に、明細書の訂正に係る訂正事項4は、本件訂正前の請求項4に係る課題解決手段が記載された段落【0007】を訂正するものであり、本件訂正前の請求項5~7は、それぞれ請求項4を引用するものであるから、当該明細書の訂正に係る請求項4を含む一群の請求項の全てについて訂正するものである。
令和7年12月26日受付の意見書における本件訂正に関する主張は、要するに、訂正事項1、4における「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子」との事項について2通りの解釈ができるところ、このような事項を含む訂正事項1、4は、訂正要件に適合するものではないというものである。
しかしながら、訂正事項1、4における「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている」との解釈については、前記(1)イで述べたとおりである。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
以上のとおり、訂正事項1~4に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1、3に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合し、訂正事項2、4に係る本件訂正は、同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、〔4~7〕について訂正することを認める。
前記「第2」で説示したように本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装された基板と、
を有し、
前記複数の発光素子は、
並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、
それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され、
前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている光源モジュール。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、
前記基板において、円形状に配置されており、前記基板の中心部から外方向に向かって放射状に配置されている請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、
前記中心部を中心とした周方向に互いに間隔を空けて環状に配置されており、
環状に配置された前記複数の発光素子は、
前記基板の前記中心部から外方向に向かって複数の輪を形成するように配置されている請求項2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
それぞれ異なる数の複数の発光素子が実装された複数の基板の内、いずれか1つの基板が取り付けられる照明装置であって、
前記複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装された基板であって、前記複数の基板の内のいずれか1つの基板と、
前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御する複数のレンズを有する光学部品と、
を有し、
前記複数の発光素子は、
並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、
それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されており、
前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれており、
前記複数の基板の内のいずれか1つの基板と前記光学部品とを組み合わせた状態において、前記複数のレンズと前記複数の発光素子とがそれぞれ対応するように、共通化された配列で前記基板に前記複数の発光素子が実装されている照明装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子は、
前記基板において、円形状に配置されており、前記基板の中心部から外方向に向かって放射状に配置されている請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子は、
前記中心部を中心とした周方向に互いに間隔を空けて環状に配置されており、
環状に配置された前記複数の発光素子は、
前記基板の前記中心部から外方向に向かって複数の輪を形成するように配置されている請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数の基板の内のいずれか1つの基板が取り付けられるベース部と、
前記1つの基板を覆うように前記ベース部に取り付けられ、前記1つの基板及び前記複数の発光素子を保護するカバー部と、
を有し、
前記カバー部は、
前記光学部品を構成する請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の照明装置。」
本件訂正前の請求項1~7に係る特許に対して、当審において令和7年8月29日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
理由2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明若しくは電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
<引用文献一覧>
甲第1号証:特開2017-195210号公報
甲第3号証:特開2014-183200号公報
甲第4号証:特開2019-176134号公報
甲第7号証:特開2015-222698号公報
以下、申立人の提出した甲第○号証を甲○という。
<取消理由、請求項、及び引用文献の関係>
[理由1及び2]
・請求項 1~3
引用文献 甲1
・請求項1
引用文献 甲4
[理由2]
・請求項2、3
引用文献 甲1、甲3
・請求項4~7
引用文献 甲1、甲7
・請求項5~7
引用文献 甲1、甲3、甲7
(1)甲1
(1-1)認定事項
甲1の段落【0024】、【0025】、【0032】、【0033】、【0045】、【0046】、【0076】、【0077】、及び【0080】、並びに図1、9、及び26から、甲1について、以下のことが認められる。
ア 段落【0024】、【0025】、【0046】、及び図1から、複数のLEDモジュール3と、複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1は、試作例Bの光源モジュールを構成する。
イ 段落【0025】、【0032】、【0046】及び図9から、試作例Bの光源モジュールの基板1には、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引き、34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3が実装される。
ウ 段落【0025】、及び当審において拡大した図1に複数のLEDモジュール3をつなぐ円と放射線を記入した以下の参考図1で示すように、基板1の円形領域において、複数のLEDモジュール3は、基板1の中心部を中心とした周方向に互いに間隔を空けて略円環状に配置されており、略円環状に配置された複数のLEDモジュール3は、基板1の中心部から外方向に向かって放射状に、かつ複数の輪を形成するように配置されているといえる。
そして、段落【0046】の記載から、試作例Bの光源モジュールの基板1は、図1の基板1から1つおきにLEDモジュール3を間引くものであるので、同様に、試作例Bの光源モジュールの基板1においても、円形領域に、複数のLEDモジュール3は、基板1の中心部を中心とした周方向に互いに間隔を空けて略円環状に配置されており、略円環状に配置された複数のLEDモジュール3は、基板1の中心部から外方向に向かって放射状に、かつ複数の輪を形成するように配置されていると認められる。
[参考図1]
74
87
0001437375000001.jpg
エ 段落【0024】、【0045】、及び【0046】から、試作例Bの照明装置A1は、複数のLEDモジュール3と、前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1と、リフレクタ4と、筐体5を備える。
(1-2)甲1に記載された発明
甲1の段落【0024】、【0025】、【0032】、【0033】、【0045】、【0046】、【0076】、【0077】、及び【0080】、図1、9、及び26、並びに前記(1-1)から、甲1には、以下の各発明(以下「甲1発明1」などという。)が記載されていると認められる(括弧内に、根拠箇所を示す。以下同様。)。
ア 甲1発明1
「複数のLEDモジュール3と、前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1から構成される試作例Bの光源モジュールであって(前記(1-1)ア)、
前記複数のLEDモジュール3が実装されている領域は、円形領域であり(段落【0025】)、
前記複数のLEDモジュール3は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引き、34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3である(前記(1-1)イ)、光源モジュール。」
イ 甲1発明2
甲1発明1を含み、更に、次の事項を含む甲1発明2。
「前記複数のLEDモジュール3は、前記円形領域に、前記基板1の中心部を中心とした周方向に互いに間隔を空けて略円環状に配置されており、略円環状に配置された前記複数のLEDモジュール3は、前記基板1の中心部から外方向に向かって放射状に、かつ複数の輪を形成するように配置されている(前記(1-1)ウ)。」
ウ 甲1発明4
「複数のLEDモジュール3と、前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1と、リフレクタ4と、筐体5を備えた試作例Bの照明装置A1であって(前記(1-1)エ)、
前記リフレクタ4の出射側開口41側に前記LEDモジュール3から発生する光の集光または拡散を図るレンズが設けられ(段落【0080】)、
複数のLEDモジュール3が実装されている領域は、円形領域であり(段落【0025】)、
前記複数のLEDモジュール3は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引き、34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3である(前記(1-1)イ)、照明装置A1。」
エ 甲1発明5
甲1発明4を含み、更に、次の事項を含む甲1発明5。
「前記複数のLEDモジュール3は、前記円形領域に、前記基板1の中心部を中心とした周方向に互いに間隔を空けて略円環状に配置されており、略円環状に配置された前記複数のLEDモジュール3は、前記基板1の中心部から外方向に向かって放射状に、かつ複数の輪を形成するように配置されている(前記(1-1)ウ)。」
オ 甲1発明7(4)
甲1発明4を含み、更に、次の事項を含む甲1発明7(4)。
「前記筐体5は、底部51を有し、前記底部51に、前記基板1が接する(段落【0076】)。」
カ 甲1発明7(5)
甲1発明4及び5を含み、更に、次の事項を含む甲1発明7(5)。
「前記筐体5は、底部51を有し、前記底部51に、前記基板1が接する(段落【0076】)。」
なお、以下において、甲1発明7(4)及び甲1発明7(5)を総称して、甲1発明7ともいう。
(2)甲3
甲3の段落【0020】及び【0022】、並びに図1から、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が示されていると認められる。
[甲3記載事項]
「円盤状の基板10において、LED素子2を、基板10の周方向に沿う複数の同心円上に互いに間隔を空けて配置すること。」
(3)甲4
(3-1)認定事項
甲4の段落【0022】、【0023】、【0028】、【0047】、及び【0048】、並びに図1及び8から、甲4について、以下のことが認められる。
ア 段落【0023】及び【0047】から、光照射モジュール80は、複数のLED素子13と、複数のLED素子13をその表面に載置された基板11と、を備える。
イ 段落【0028】、【0048】、図1、及び8から、光照射モジュール80の複数のLED素子13は、互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つのLED素子群が直列に接続された一つのみの直列回路を構成する40個のLED素子13から、LED素子13を間引き、4個のLED素子13で構成された2個のLED素子群と、6個のLED素子13で構成された2個のLED素子群からなる20個のLED素子13である。
ウ 当審において、図1及び8に対して、基板11の周方向に沿ってLED素子13を結ぶ補助線を入れた参考図2は、以下のとおりであり、参考図2から、20個のLED素子13は、基板11の表面に基板11の周方向に沿って4重の略環状に載置され、その周方向において実装されたLED素子13の個数は、間引かれたLED素子13の個数と、同じである。
[参考図2]
図1(補助線付き)
85
81
0001437375000002.jpg
図8(補助線付き)
85
79
0001437375000003.jpg
(3-2)甲4に記載された発明
前記(3-1)から、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数のLED素子13と、複数のLED素子13をその表面に載置された基板11と、を備える光照射モジュール80であって(前記(3-1)ア)、
前記複数のLED素子13は、互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つのLED素子群が直列に接続された一つのみの直列回路を構成する40個のLED素子13から、LED素子13を間引き、4個のLED素子13で構成された2個のLED素子群と、6個のLED素子13で構成された2個のLED素子群からなる20個のLED素子13であり(前記(3-1)イ)、
前記20個のLED素子13は、前記基板11の前記表面に前記基板11の周方向に沿って4重の略環状に載置され、前記周方向において実装されたLED素子13の個数は、間引かれたLED素子13の個数と同じである(前記(3-1)ウ)、光照射モジュール80。」
(4)甲7
甲7の【0011】、【0015】、【0018】、【0020】、及び【0024】、並びに図2から、甲7には、次の各事項(以下「甲7記載事項1」などという。)が示されていると認められる。
[甲7記載事項1]
「照明器具において、実装基板11の実装面に実装された複数のLED10の光を拡散する複数のレンズ130を有するレンズブロック13を実装基板11の実装面に被せるとともに、前記複数のレンズ130と前記複数のLED10とはそれぞれ対応する共通の配列とすること。」
[甲7記載事項2]
「照明器具において、実装基板11の実装面に実装された複数のLED10の光を拡散する複数のレンズ130を有するレンズブロック13を実装基板11の実装面に被せ、実装基板11が載置される取付板15に、前記レンズブロック13と前記実装基板15をねじ止めすること。」
(1)本件発明1について(理由1及び2)
(1-1)対比
ア 本件発明1と甲1発明1を対比すると、後者の「複数のLEDモジュール3」が前者の「複数の発光素子」に相当し、以下同様に、後者の「円形の基板1」は前者の「基板」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
イ 後者の「前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1」は、前者の「前記複数の発光素子が実装された基板」に相当する。
そうすると、後者の「複数のLEDモジュール3と、前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1から構成される試作例Bの光源モジュール」は、前者の「複数の発光素子と、前記複数の発光素子が実装された基板と、を有」する「光源モジュール」に相当する。
ウ 後者の「67個のLEDモジュール3」が「互いに並列に接続され」ることは、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続され」ることに相当するので、後者の「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む」「グループ31A」は、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群」に相当し、後者の「グループ31A」が「9つ」であることは、前者の「発光素子群を複数形成」することに相当する。
エ 「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31A」は、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群」に相当するので、後者の「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成する」ことは、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され」ることに相当する。
オ 後者の「前記複数のLEDモジュール3は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引き、34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3である」ことにおいて、「603個のLEDモジュール3」を構成する「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31A」のそれぞれから、複数の「LEDモジュール3」が「間引」かれていることは、明らかである。
また、後者の「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引」いた後の「34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3」においても、「間引」き後の「5個のグループ31A」のそれぞれで「34個のLEDモジュール3」が互いに並列に接続され、「間引」き後の「4個のグループ31A」のそれぞれで「33個のLEDモジュール3」が互いに並列に接続され、また、「間引」き後の各「グループ31A」が直列に接続された一つのみの直列回路を構成することも、明らかである。
そして、前記ウ及びエを踏まえると、後者の「前記複数のLEDモジュール3は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引き、34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3である」ことは、前者の「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されて、前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、」「間引かれている」ことに相当する。
カ 以上の限りにおいて、後者の「試作例Bの光源モジュール」は、前者の「光源モジュール」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明1は、
「複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装された基板と、
を有し、
前記複数の発光素子は、
並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、
それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され、
前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、間引かれている光源モジュール。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1-1]
並列に接続された複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子の間引きに関して、本件発明1は、「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように」間引かれているのに対して、甲1発明1は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路において、「複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を」間引く点。
(1-2)相違点についての検討
相違点1-1-1は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲1発明1ではない。
また、甲1発明1の光源モジュールは、円形の基板1における複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引いて302個のLEDモジュール3が実装されるものであるところ、甲1の図3に示されるように、配線パターン2は、円形の基板1の周方向に配置されるものではないので、甲1発明1において、間引かれた後の302個のLEDモジュール3の円形の基板1の周方向における配置がどのようなものになるかは、特定することができない。
そして、甲1には、302個のLEDモジュール3における円形の基板1の周方向の数と、間引いたLEDモジュール3の数の関係について、記載も示唆もされていない。
また、甲3、4、及び7にも、発光素子が間引かれた光源モジュールにおいて、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされておらず、申立人が提出した他の証拠(甲2、5、及び6)についても同様に、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明1において、相違点1-1-1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲1発明1ではなく、また、本件発明1は、甲1発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2及び3について(理由1及び2)
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(1)(1-2)と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲1発明2ではなく、また、本件発明2及び3は、甲1発明2に基いて、又は、甲1発明1及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明4について(理由2)
(3-1)対比
ア 本件発明4と甲1発明4を対比すると、後者の「複数のLEDモジュール3」が前者の「複数の発光素子」に相当し、以下同様に、後者の「円形の基板1」が前者の「基板」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
イ 後者の「前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1」は、前者の「複数の発光素子が実装された」「基板」に相当する。
そうすると、後者の「試作例Bの照明装置A1」が「複数のLEDモジュール3と、前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1と」「を備え」ることと、前者の「それぞれ異なる数の複数の発光素子が実装された複数の基板の内、いずれか1つの基板が取り付けられる照明装置であって、」「前記複数の発光素子と、前記複数の発光素子が実装された基板であって、前記複数の基板の内のいずれか1つの基板と」「を有」することは、「基板が取り付けられる照明装置であって、前記複数の発光素子と、前記複数の発光素子が実装された基板と、を有」することで共通する。
ウ 後者の「前記LEDモジュール3から発生する光の集光または拡散を図る」ことは、前者の「前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御する」ことに相当する。
そうすると、後者の「リフレクタ4」「を備え」、「前記リフレクタ4の出射側開口41側に前記LEDモジュール3から発生する光の集光または拡散を図るレンズが設けられ」ることと、前者の「前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御する複数のレンズを有する光学部品」「を有」することは、「前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御するレンズ」「を有」することで共通する。
エ 前記イ及びウから、後者の「試作例Bの照明装置A1」が「複数のLEDモジュール3と、前記複数のLEDモジュール3を実装した円形の基板1と、リフレクタ4と、」「を備え」、「前記リフレクタ4の出射側開口41側に前記LEDモジュール3から発生する光の集光または拡散を図るレンズが設けられ」ることと、前者の「それぞれ異なる数の複数の発光素子が実装された複数の基板の内、いずれか1つの基板が取り付けられる照明装置であって、前記複数の発光素子と、前記複数の発光素子が実装された基板であって、前記複数の基板の内のいずれか1つの基板と、前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御する複数のレンズを有する光学部品と、を有」することは、「基板が取り付けられる照明装置であって、前記複数の発光素子と、前記複数の発光素子が実装された基板と、前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御するレンズと、を有」することで共通する。
オ 後者の「67個のLEDモジュール3」が「互いに並列に接続され」ることは、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続され」ることに相当するので、後者の「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む」「グループ31A」は、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群」に相当し、後者の「グループ31A」が「9つ」であることは、前者の「発光素子群を複数形成」することに相当する。
カ 後者の「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31A」は、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群」に相当するので、後者の「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成」することは、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されて」いることに相当する。
キ 後者の「前記複数のLEDモジュール3は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引き、34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3である」ことにおいて、「603個のLEDモジュール3」を構成する「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31A」のそれぞれから、複数の「LEDモジュール3」が「間引」かれていることは、明らかである。
また、後者の「互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引」た後の「34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3」においても、「間引」き後の「5個のグループ31A」のそれぞれで「34個のLEDモジュール3」が互いに並列に接続され、「間引」き後の「4個のグループ31A」のそれぞれで「33個のLEDモジュール3」が互いに並列に接続され、また、「間引」き後の各「グループ31A」が直列に接続された一つのみの直列回路を構成することも、明らかである。
そして、前記オ及びカも踏まえると、後者の「前記複数のLEDモジュール3は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路を構成し、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引き、34個のLEDモジュール3で構成された5個のグループ31Aと、33個のLEDモジュール3で構成された4個のグループ31Aからなる302個のLEDモジュール3である」ことは、前者の「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されており、前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、」「間引かれて」いることに相当する。
ク 以上の限りにおいて、後者の「照明装置A1」は、前者の「照明装置」に相当する。
そうすると、本件発明4と甲1発明4は、
「基板が取り付けられる照明装置であって、
前記複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装された基板と、
前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御するレンズと、
を有し、
前記複数の発光素子は、
並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、
それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されており、
前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれている照明装置。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点4-1-1]
照明装置に取り付けられる基板に関して、本件発明4は、「それぞれ異なる数の複数の発光素子が実装された複数の基板の内、いずれか1つの基板」であるのに対して、甲1発明4は、基板1に対してかかる特定がされていない点。
[相違点4-1-2]
レンズに関して、本件発明4は、「複数のレンズを有する光学部品」であるのに対して、甲1発明4は、レンズの数が不明である点。
[相違点4-1-3]
本件発明4は、「前記複数の基板の内のいずれか1つの基板と前記光学部品とを組み合わせた状態において、前記複数のレンズと前記複数の発光素子とがそれぞれ対応するように、共通化された配列で前記基板に前記複数の発光素子が実装されている」のに対して、甲1発明4は、複数のLEDモジュール3の配列とレンズの関係が特定されていない点。
[相違点4-1-4]
並列に接続された複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子の間引きに関して、本件発明4は、「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように」間引かれているのに対して、甲1発明4は、互いに並列に接続された67個のLEDモジュール3を含む9つのグループ31Aが直列に接続された一つのみの直列回路において、「複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を」間引く点。
(3-2)相違点についての検討
事案に鑑み、相違点4-1-4について検討する。
甲1発明4の照明装置A1は、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引いて302個のLEDモジュール3が実装された円形の基板1を有するものであるところ、甲1の図3に示されるように、配線パターン2は、円形の基板1の周方向に配置されるものではないので、甲1発明4において、間引かれた後の302個のLEDモジュール3の円形の基板1の周方向における配置がどのようなものになるかは、特定することができない。
そして、甲1には、302個のLEDモジュール3における円形の基板1の周方向の数と、間引いたLEDモジュール3の円形の基板1の周方向の数に関して、記載も示唆もされていない。
また、甲3、4、及び7にも、発光素子が間引かれた光源モジュールにおいて、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされておらず、申立人が提出した他の証拠(甲2、5、及び6)についても同様である。
そうすると、甲1発明4において、甲7記載事項1を踏まえ、相違点4-1-4に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明4及び甲7記載事項1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明5~7について(理由2)
本件発明5~7は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(3)(3-2)と同様の理由により、本件発明5及び6は、甲1発明5及び甲7記載事項1に基いて、又は甲1発明4、甲3記載事項、及び甲7記載事項1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、本件発明7は、甲1発明7(5)、並びに甲7記載事項1及び2に基いて、又は甲1発明7(4)、甲3記載事項、並びに甲7記載事項1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(1)本件発明1について(理由1及び2)
(1-1)対比
ア 本件発明1と甲4発明を対比すると、後者の「複数のLED素子13」が前者の「複数の発光素子」に相当し、後者の「基板11」が前者の「基板」に、後者の「LED素子群」が前者の「発光素子群」に、それぞれ相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
イ 後者の「複数のLED素子13と、複数のLED素子13をその表面に載置された基板11」は、前者の「前記複数の発光素子が実装された基板」に相当する。
そうすると、後者の「複数のLED素子13と、複数のLED素子13をその表面に載置された基板11と、を備える光照射モジュール80」は、前者の「複数の発光素子と、前記複数の発光素子が実装された基板と、を有」する「光源モジュール」に相当する。
ウ 後者の「10個のLED素子13」が「互いに並列に接続され」ることは、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続され」ることに相当するので、後者の「互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む」「LED素子群」は、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群」に相当し、後者の「LED素子群」が「4つ」であることは、前者の「発光素子群を複数形成」することに相当する。
エ 後者の「互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つのLED素子群」は、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群」に相当するので、後者の「互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つのLED素子群が直列に接続された一つのみの直列回路を構成する」ことは、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され」ることに相当する。
オ 後者の「前記複数のLED素子13は、互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つの発光LED素子群が直列に接続された一つのみの直列回路を構成する40個のLED素子13から、LED素子13を間引き、4個のLED素子13で構成された2個の発光LED素子群と、6個の発光LED素子13で構成された2個の発光LED素子群からなる20個の発光LED素子13である」ことにおいて、「40個のLED素子13」を構成する「互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つの発光LED素子群」のそれぞれから、複数の「LED素子13」が「間引」かれていることは、明らかである。
また、後者の「互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つの発光LED素子群が直列に接続された一つのみの直列回路を構成する40個のLED素子13から、LED素子13を間引」いた後の「4個のLED素子13で構成された2個のLED素子群と、6個の発光LED素子13で構成された2個のLED素子群からなる20個の発光LED素子13」においても、「間引」き後の「4個のLED素子13で構成された2個のLED素子群」のそれぞれで「4個のLED素子13」が互いに並列に接続され、「間引」き後の「6個の発光LED素子13で構成された2個のLED素子群」のそれぞれで「6個のLEDモジュール3」が互いに並列に接続され、また、「間引」き後の各「LED素子群」が直列に接続された一つのみの直列回路を構成することも、明らかである。
そして、前記ウ及びエも踏まえると、後者の「前記複数のLED素子13は、互いに並列に接続された10個のLED素子13を含む4つのLED素子群が直列に接続された一つのみの直列回路を構成する40個のLED素子13から、LED素子13を間引き、4個のLED素子13で構成された2個のLED素子群と、6個の発光LED素子13で構成された2個のLED素子群からなる20個の発光LED素子13である」ことは、前者の「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続されており、前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、」「間引かれている」ことに相当する。
カ 以上の限りにおいて、後者の「光照射モジュール80」は、前者の「光源モジュール」に、相当する。
したがって、本件発明1と甲4発明は、
「複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装された基板と、
を有し、
前記複数の発光素子は、
並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、
それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され、
前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が間引かれている光源モジュール。」
との点で、一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-4-1]
本件発明1が、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、「前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように」間引かれているのに対して、甲4発明は、間引かれた後の「前記20個のLED素子13は、前記基板11の前記表面に前記基板11の周方向に沿って4重の略環状に載置され、前記周方向において実装されたLED素子13の個数は、前記周方向において間引かれたLED素子13の個数と同じである」点。
(1-2)相違点についての検討
相違点1-4-1は、実質的な相違点であり、本件発明1は、甲4発明ではない。
そして、甲4には、間引かれた後の基板11の周方向において実装されたLED素子13よりも少ない個数のLED素子13を間引くことについては、記載も示唆もされていない。
また、甲3、4、及び7にも、発光素子が間引かれた光源モジュールにおいて、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされておらず、申立人が提出した他の証拠(甲2、5、及び6)についても同様に、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲4発明において、相違点1-4-1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲4発明ではなく、また、本件発明1は、甲4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
令和7年12月26日受付の意見書における本件訂正後の本件発明1~7に対する主張の概要は、以下のとおりである。
(1)本件訂正後の請求項1における「前記基板の周方向」は、「前記基板」の形状が何ら特定されていないので、「前記基板の周方向」を特定することができない。
(2)請求項1についての訂正事項1のうち発光素子を基板の周方向に実装することは、甲1及び3に示されるように周知技術であり、また、甲1には、試作例Aから間引いて試作例Bを構成した際の、基板1に実装されているLEDモジュールの数が302個であり、間引かれた発光素子の数が301個であることが記載されているので、訂正事項1のうち、基板に実装されている個数よりも少なくなるように間引くことは、甲1に記載されている。したがって、本件発明1は、甲1発明であるか、又は、甲1発明、甲1記載事項、及び周知技術(甲1、甲3)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)同様に、本件発明1は、甲4発明であるか、又は甲4発明、及び甲1記載事項、及び周知技術(甲1、甲3)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明2及び3は、甲1発明、甲1記載事項、及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)請求項4についての訂正事項3に関しても、前記(2)と同様であり、本件発明4~7は、甲1発明、甲7記載事項、甲1記載事項、及び周知技術(甲1、甲3)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
まず、前記(1)についてであるが、基板が板状のものであることは、技術常識からみて明らかであるので、基板の周方向とは、板状の基板の外形形状に沿う方向であることは、当業者であれば理解できるものと認められる。
そして、前記(2)~(5)についてであるが、前記2(1)(1-2)で述べたように、甲1には、302個のLEDモジュール3における円形の基板1の周方向の数と、間引いたLEDモジュール3の数に関して記載も示唆もされていない。また、甲4においても、前記3(1)(1-2)で述べたように、間引かれた後の基板11の周方向において実装されたLED素子13よりも少ない個数のLED素子13を間引くことについては、記載も示唆もされていない。
そして、甲3、4、及び7、並びに申立人が提出した他の証拠(甲2、5、及び6)においても、発光素子が間引かれた光源モジュールにおいて、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについては、記載も示唆もされていない。
以上のとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明1ではなく、また、本件発明2及び3は、甲1発明2ではなく、更に、本件発明1は、甲4発明でもないので、本件発明1~3は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
そして、本件発明1は、甲1発明1に基いて、又は甲4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
また、本件発明2及び3は、甲1発明2に基いて、又は甲1発明2及び甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項2及び3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
更に、本件発明4~7は、甲1発明4、5、及び7、甲3記載事項、並びに甲7記載事項1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、請求項4~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、取消理由通知で通知した取消理由1及び2によって、本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
申立人は、特許異議申立書において、前記第4の引用文献一覧で示した証拠(甲1、3、4、及び7)に加え、次の証拠を提出し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
<甲号証一覧>
甲2:米国特許出願公開第2014/0139108号明細書
甲5:特開2011-210705号公報
甲6:特開2014-154461号公報
(1)本件発明1~3は、甲1発明、及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)本件発明4~7は、甲1発明、及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)本件発明1~3は、甲2発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)本件発明1~3は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(5)本件発明1~3は、甲2発明、並びに甲1及び3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(6)本件発明1~3は、甲3発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(7)本件発明1~3は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(8)本件発明1~3は、甲3発明、並びに甲1、2、及び4~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(9)本件発明1は、甲4発明、及び甲1~3及び5~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(10)本件発明4~7は、甲1発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項4~7に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(11)本件発明4~7は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(12)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~7の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(1)甲号証について
(1-1)甲2
甲2の[0026]、[0027]、及び[0040]、並びにFig.4から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「140個のLEDと、
前記140個のLEDが実装されたメタルコア回路基板と、
を有し、
前記140個のLEDは、一対のLEDが並列に接続された70組の並列回路が1つのみの直列回路を構成するように接続されるLEDモジュール22。」
(1-2)甲3
甲3の段落【0020】及び【0039】、並びに図1及び5から、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「円盤形状をしている基板10と(【0020】)、
前記基板10に実装された複数のLED素子2とを備え(【0020】)、
前記基板10における前記LED素子2の結線状態は、3列の同心円のそれぞれにおける一対のLED素子2を並列に接続した複数の並列回路を直列に接続した直列回路が、3列分並列に接続されたものであり(【0039】)、
前記LED素子2が破損し通電しなくなったときでも、破損したLED素子2だけ不発光になるだけで、他の正常なLED素子2の発光に影響を及ぼさすことがない(【0039】)、発光装置1。」
(1-3)甲5
甲5の【請求項1】、段落【0081】、【0082】、【0115】、【0129】、【0130】、【0132】、及び【0136】、並びに図10、13、14、26から、甲5には、以下の事項(以下「甲5記載事項」という。)が示されていると認められる。
「複数の発光素子33が実装された基板30を成形して構成されたダイレクトリング型の照明装置において、基板30は、第1の方向に延びる形状を有し、かつ、可撓性を有する共通部分30Aと、共通部分30Aに比較してより硬い材質からなり、かつ、各々が共通部分30Aとは異なる方向に延びる複数の個別部分30Bとを含み、複数の個別部分30Bの各々には、少なくとも1つの発光素子33が実装され、共通部分30A及び個別部分30Bに亘って、複数の発光素子33を接続する配線37を含み(【請求項1】、【0082】、【0130】)、共通部分30Aは、円状(リング状)に形成され(【0081】)、複数の個別部分30Bの各々は、実装されている発光素子33の照射方向に応じて位置決めされ(【請求項1】、【0115】)、複数の個別部分30Bの各々では、配線37が複数の発光素子33を直列的に実装可能に形成されるとともに(【0132】)、発光素子33を実装する代わりに、短絡部材31を実装することで、発光素子33が実装される間隔を間引くことができること(【0136】)。」
(1-4)甲6
甲6の【請求項1】、並びに段落【0015】、【0020】、及び【0022】から、甲6には、以下の事項(以下「甲6記載事項」という。)が示されていると認められる。
「器具本体2と、器具本体2に複数のLED3を円環状に配して成り、器具本体2の中央部を中心とする同心円状に3列設けられるLED群3a~3cと、LED3の光出射方向に設けられてLED3から出射した光の配光を制御する光学部材4と、を備えた照明器具1において、光学部材4は、一のLED群を構成する複数のLED3を一括して覆う樋状レンズ4aと、一のLED群を構成する複数のLED3を夫々個別に覆う複数の単レンズ4bと、を有し、樋状レンズ4a及び複数の単レンズ4bは、LED群3a~3cに対して列単位で選択的に設けられること。」
(2)申立理由(12)について
事案に鑑み、まず、申立理由(12)について、検討する。
(2-1)申立理由(12)の概要
申立理由(12)の概要は、以下のとおりである。
ア 請求項1及び4の「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、」との記載における「複数の発光素子」が「前記複数の発光素子」であるのか、「前記複数の発光素子」の一部の発光素子であるのか、「前記複数の発光素子」とは異なる複数の発光素子であるのか、または、これら3つの場合の何れでも良いのか、明確でない。
イ 請求項1及び4の「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、」「間引かれている」との記載があるが、「発光素子が」「間引かれている」「発光素子群」と「発光素子が」間引かれていない「発光素子群」をどのように区別するのか、明確でない。
ウ 請求項4の「前記複数の発光素子が実装された基板であって、前記複数の基板の内のいずれか1つの基板と、前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御する複数のレンズを有する光学部品と、を有し、」「前記複数の基板の内のいずれか1つの基板と前記光学部品とを組み合わせた状態において、前記複数のレンズと前記複数の発光素子とがそれぞれ対応するように、共通化された配列で前記基板に前記複数の発光素子が実装されている照明装置。」との記載において、「照明装置」が「有」する「基板」、「前記光学部品とを組み合わせた状態に」ある「基板」、及び「前記複数のレンズと前記複数の発光素子とがそれぞれ対応するように、共通化された配列で」「前記複数の発光素子が実装されている」「基板」が、「前記複数の発光素子が実装された基板であって、前記複数の基板の内の」どの基板であるのかが明確でない。
(2-2)申立理由(12)についての検討
「特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。」(平成26年(行ケ)10254号)
そこで、以下では、この観点に立って、前記(2-1)ア~ウについて検討を行う。
ア まず、前記(2-1)アについてであるが、本件発明1及び4の「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、」との発明特定事項は、「前記複数の発光素子」が「発光素子群を複数形成」するものであり、「発光素子群」が「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された」ものであると解することができる。
そして、前記発明特定事項における「前記複数の発光素子」とは、本件発明1又は4全体を踏まえると、「光源モジュール」が「有」する「複数の発光素子」を受けて「前記」が付記されているものであるから、「光源モジュール」が「有」する「複数の発光素子」全体を示すものであることが理解できる。
そうすると、前記発明特定事項において、「複数の発光素子」は、「複数の発光素子群」のそれぞれを「形成」する「並列回路を構成するように」「並列に接続された」ものであり、「前記複数の発光素子」を構成する各「発光素子群」を「形成」するものとであると認められる。
そして、前記規範にしたがって、特許請求の範囲の記載だけではなく、本件明細書等の記載をみても、例えば、段落【0035】には、「図6に示す光源モジュール4Aは、図7に示すように6つの発光素子41が並列に接続されて1つの発光素子群141を形成している。また、図6に示す光源モジュール4Aは、図7に示すように32個の発光素子群141が直列に接続されている。図6に示す光源モジュール4Aは、発光素子41の並列数が6列及び発光素子群141の直列数が32列であり、発光素子41による灯数が192個である。」との記載があるところ、該段落【0035】の記載からは、光源モジュール4Aにおける192個の発光素子41が、それぞれ並列接続された6個の発光素子41からなる32個の発光素子群141の直列回路で構成されることが理解できるので、前述の前記発明特定事項の理解と矛盾するものではない。
したがって、前記発明特定事項において、「複数の発光素子」と「前記複数の発光素子」の関係は、明確である。
イ 次に、前記(2-1)イの「間引」きについてであるが、前記規範に従い、特許請求の範囲の記載だけではなく、本件明細書等の記載をみると、本件明細書等には、例えば、段落【0038】に、「図8は、発光素子41の並列数が7列及び発光素子群141の直列数が30列の光源モジュール4に対して発光素子41の並列数を減少させた場合の灯数と間引き箇所とをまとめた表を示す図である。図9は、図8に基づき発光素子41の間引く位置を示した光源モジュール4の平面図である。ここでは図5の範囲THで示すように、光源モジュール4は、光源あるいは電源等の仕様によって、発光素子群141のそれぞれにおいて、並列に接続された複数の発光素子41の1つが間引かれる。なお、発光素子群141のそれぞれから間引かれる発光素子41の数は1つに限定されるものではない。また、ここで使用する「間引く」とは発光素子41を基板42に「実装しない」ことをいう。」との記載、及び段落【0040】に、「より詳細には、「位置A」は、発光素子41の並列数が6列及び発光素子群141の直列数が30列の光源モジュール4の基板42において発光素子41が実装されていない位置を示しており、発光素子41の並列数が7列の基板42に対して発光素子41が間引かれる位置を示している。「位置A+位置B」は、発光素子41の並列数が5列及び発光素子群141の直列数が30列の光源モジュール4の基板42において発光素子41が実装されていない位置を示しており、発光素子41の並列数が7列の基板42に対して発光素子41が間引かれる位置を示している。なお、図8以降に示す発光素子41を間引く位置は一例であり、光源あるいは電源等の仕様によって当該位置に限定されるものではない。」との記載があるところ、これらの記載から、本件発明1及び4における「間引」きとは、並列回路を構成するように接続されていた複数の発光素子41から、光源あるいは電源等の仕様に応じて、必要のない発光素子41を省くことであると解することが相当である。
そうすると、本件発明1において、「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、」「間引かれている」こととは、「前記発光素子群」を「形成」する「並列回路を構成するように」「並列に接続された前記複数の発光素子」のなかから、光源あるいは電源等の仕様に応じて、「少なくとも1つの発光素子」が省かれることであると解することができる。
ウ そして、前記(2-1)ウについてであるが、本件発明4全体から、本件発明4における「前記複数の発光素子が実装された基板であって、前記複数の基板の内のいずれか1つの基板」とは、「それぞれ異なる数の複数の発光素子が実装された複数の基板の内」から選択された「基板」であり、「前記発光素子群」の「並列に接続された前記発光素子の少なくとも1つの発光素子が」「間引かれている」ものであることが理解できる。
また、前記規範にしたがって、特許請求の範囲の記載だけではなく、本件明細書等の記載をみても、例えば、本件明細書等の段落【0060】には、「このため、照明装置1は、発光素子群141の直列数の間引きと、発光素子群141を構成する発光素子41の並列数の異なる複数の基板42とを組み合わせて細かな灯数の変更を容易に行うことができる。」との記載があり、段落【0061】には、「照明装置1は、複数のレンズ75と複数の発光素子41とがそれぞれ対応するように、共通化された配列で複数の基板42に複数の発光素子41が実装されている。そのため、照明装置1は、複数の基板42において光源の配置が共通化されており、複数の基板42に対してレンズ75を共通に使用することができる。」との記載があるところ、これらの記載は、前述の「前記複数の発光素子が実装された基板であって、前記複数の基板の内のいずれか1つの基板」の理解と矛盾するものではない。
以上とおりであるから、本件発明1及び4は、明確であり、本件発明1を引用する本件発明2及び3、並びに本件発明4を引用する本件発明5~7も明確である。
(3)申立理由(1)について
(3-1)本件発明1について
前記第5の2(1)(1-1)で示したように、本件発明1と甲1発明1は、相違点1-1-1で相違する。
そして、前記第5の2(1)(1-2)で示したように、甲1発明1の光源モジュールは、円形の基板1における複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引いて302個のLEDモジュール3が実装されるものであるところ、甲1の図3に示されるように、配線パターン2は、円形の基板1の周方向に配置されるものではないので、甲1発明1において、間引かれた後の302個のLEDモジュール3の円形の基板1の周方向における配置がどのようなものになるかは、特定することができない。
また、甲1には、302個のLEDモジュール3における円形の基板1の周方向の数と、間引いたLEDモジュール3の数の関係について、記載も示唆もされていない。
そして、甲2~7にも、発光素子が間引かれた光源モジュールにおいて、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明1において、甲2~7に記載された事項を踏まえ、相違点1-1-1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲1発明、及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3-2)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(3-1)と同様の理由により、本件発明2及び3は、甲1発明2及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)申立理由(2)について
(4-1)本件発明4について
前記第5の2(3)(3-1)で示したように、本件発明4と甲1発明4は、相違点4-1-1~4-1-4で相違する。
そして、前記第5の2(3)(2-2)で示したように、甲1発明4の照明装置A1は、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引いて302個のLEDモジュール3が実装された円形の基板1を有するものであるところ、甲1の図3に示されるように、配線パターン2は、円形の基板1の周方向に配置されるものではないので、甲1発明4において、間引かれた後の302個のLEDモジュール3の円形の基板1の周方向における配置がどのようなものになるかは、特定することができない。
また、甲1には、302個のLEDモジュール3における円形の基板1の周方向の数と、間引いたLEDモジュール3の円形の基板1の周方向の数に関して、記載も示唆もされていない。
そして、甲2~7にも、発光素子が間引かれた光源モジュールにおいて、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明4において、甲2~7に記載された事項を踏まえ、相違点4-1-4に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明4、及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4-2)本件発明5~7について
本件発明5~7は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(4-1)と同様の理由により、本件発明5~7は、甲1発明4及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)申立理由(3)~(5)について
(5-1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲2発明の対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
(ア)後者の「140個のLED」が前者の「複数の発光素子」に相当し、後者の「前記140個のLEDが実装されたメタルコア回路基板」が前者の「前記複数の発光素子が実装された基板」に相当する。
(イ)後者の「一対のLEDが並列に接続された」「並列回路」は、「一対のLEDが」「並列回路」を構成するように「接続され」ているので、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群」に相当し、後者の「並列回路」が「70組」であることは、前者の「発光素子群を複数形成」することに相当する。
そして、後者の「一対のLEDが並列に接続された70組の並列回路」は、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群」に相当する。
そうすると、後者の「前記140個のLEDは、一対のLEDが並列に接続された70組の並列回路が1つのみの直列回路を構成するように接続される」ことは、前者の「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され」ることに相当する。
(ウ)以上の限りにおいて、後者の「LEDモジュール22」は、前者の「光源モジュール」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲2発明は、
「複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装された基板と、
を有し、
前記複数の発光素子は、
並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、
それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続される光源モジュール」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-2-1]
本件発明1は、「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている」のに対して、甲2発明は、LEDが「間引かれ」るものではない点。
イ 相違点についての検討
相違点1-2-1は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲2発明ではない。
そして、甲2には、LEDを間引くことについては、記載も示唆もされておらず、LEDを間引くことに動機付けは認められない。
そうすると、甲2発明において、相違点1-2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
また、甲1及び4には、光源モジュールにおける発光素子を実装した基板から発光素子を間引くことは記載されているものの、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされておらず、甲3及び5~7には、光源モジュールにおける発光素子を実装した基板から発光素子を間引くことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲2発明において、甲1及び3~7に記載された事項を踏まえ、相違点1-2-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基いて、又は、甲2発明、並びに甲1及び3~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5-2)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(5-1)イと同様の理由により、本件発明2及び3は、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基いて、又は、甲2発明、並びに甲1及び3~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由(6)~(8)について
(6-1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲3発明の対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
(ア)後者の「複数のLED素子2」は、前者の「複数の発光素子」に相当する。
そして、後者の「円盤形状をしている基板10」であり、「複数のLED素子2」が「実装された」「前記基板10」は、前者の「前記複数の発光素子が実装された基板」に相当する。
(イ)後者の「一対のLED素子2を並列に接続」することは、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子」を「並列に接続」することに相当するので、後者の「一対のLED素子2を並列に接続した」「並列回路」は、前者の「並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群」に相当する。
そして、後者の「並列回路」が「複数」であることは、前者の「発光素子群を複数形成」することに相当する。
(ウ)前記(イ)から、後者の「一対のLED素子2を並列に接続した複数の並列回路を直列に接続した直列回路」は、前者の「それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、」「互いに接続され」て「構成する」「直列回路」に相当する。
そうすると、後者の「前記基板10における前記LED素子2の結線状態は、3列の同心円のそれぞれにおける一対のLED素子2を並列に接続した複数の並列回路を直列に接続した直列回路が、3列分並列に接続されたものであ」ることと、前者の「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を1つのみ構成するように互いに接続され」ることは、「前記複数の発光素子は、並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を構成するように互いに接続され」ることで共通する。
(エ)以上の限りにおいて、後者の「発光装置1」は、前者の「光源モジュール」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲3発明は、
「複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装された基板と、
を有し、
前記複数の発光素子は、
並列回路を構成するように複数の発光素子が並列に接続された発光素子群を複数形成し、
それぞれ並列に接続された前記複数の発光素子を有する複数の前記発光素子群が、直列回路を構成するように互いに接続される光源モジュール。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-3-1]
直列回路に関して、本件発明1は、複数の前記発光素子群が、直列回路を「1つのみ」構成するのに対して、甲3発明は、複数の並列回路を直列に接続した直列回路が、「3列分並列に接続されたものであ」る点。
[相違点1-3-2]
本件発明1は、「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、前記基板の周方向において実装されている前記複数の発光素子よりも少なくなるように間引かれている」のに対して、甲3発明は、「前記LED素子2が破損し通電しなくなったときでも、破損したLED素子2だけ不発光になるだけで、他の正常なLED素子2の発光に影響を及ぼさすことがない」点。
イ 相違点についての検討
事案に鑑み、相違点1-3-2について検討する。
前記(2)(2-2)イで述べたように、本件発明1における「前記発光素子群は、並列に接続された前記複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子が、」「間引かれている」こととは、「前記発光素子群」を「形成」する「並列回路を構成するように」「並列に接続された前記複数の発光素子」のなかから、電源あるいは電源等の仕様に応じて「少なくとも1つの発光素子」が省かれることと解することができるところ、このことは、甲3発明における「前記LED素子2が破損し通電しなくなった」こととは、相違することである。
したがって、相違点1-3-2は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲3発明ではない。
そして、甲3には、一対のLED素子2を並列に接続した複数の並列回路から、発光装置1や電源等のその仕様に応じて、LED素子2を間引くことについては、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明において、相違点1-3-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
また、甲1及び4には、光源モジュールにおける発光素子を実装した基板から発光素子を間引くことは記載されているものの、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされておらず、甲2及び5~7には、光源モジュールにおける発光素子を実装した基板から発光素子を間引くことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明において、甲1、2、及び4~7に記載された事項を踏まえ、相違点1-3-2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲3発明ではなく、また、甲3発明に基いて、又は、甲3発明、並びに甲1、2、及び4~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6-2)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(6-1)イと同様の理由により、本件発明2及び3は、甲3発明ではなく、また、甲3発明に基いて、又は、甲3発明、並びに甲1、2、及び4~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)申立理由(9)について
前記第5の3(1)(1-1)で示したように、本件発明1と甲4発明は、相違点1-4-1で相違する。
そして、前記第5の3(1)(1-2)で示したように、甲4には、間引かれた後の基板11の周方向において実装されたLED素子13よりも少ない個数のLED素子13を間引くことについては、記載も示唆もされていない。
また、甲1には、光源モジュールにおける発光素子を実装した基板から発光素子を間引くことは記載されているものの、基板の周方向に実装されている複数の発光素子よりも少なくなるように発光素子を間引くことについて記載も示唆もされておらず、甲2、3及び5~7には、光源モジュールにおける発光素子を実装した基板から発光素子を間引くことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲4発明において、甲1~3及び5~7に記載された事項を踏まえ、相違点1-4-1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲4発明、並びに甲1~3及び5~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)申立理由(10)及び(11)について
(8-1)本件発明4について
前記第5の2(3)(3-1)で示したように、本件発明4と甲1発明4は、相違点4-1-1~4-1-4で相違する。
そして、相違点4-1-4は、実質的な相違点であり、本件発明4は、甲1発明4ではない。
また、前記第5の2(3)(3-2)で示したように、甲1発明4の照明装置A1は、複数の折り返し部を有する配線パターン2に実装された603個のLEDモジュール3から、1つおきにLEDモジュール3を間引いて302個のLEDモジュール3が実装された円形の基板1を有するものであるところ、甲1の図3に示されるように、配線パターン2は、円形の基板1の周方向に配置されるものではないので、甲1発明4において、間引かれた後の302個のLEDモジュール3の円形の基板1の周方向における配置がどのようなものになるかは、特定することができない。
そして、甲1には、302個のLEDモジュール3における円形の基板1の周方向の数と、間引いたLEDモジュール3の円形の基板1の周方向の数に関して、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明4において、相違点4-1-4に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明4は、甲1発明4ではなく、また、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8-2)本件発明5~7について
本件発明5~7は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである。
そうすると、前記(8-1)と同様の理由により、本件発明5及び6は、甲1発明4又は5ではなく、また、本件発明5及び6は、甲1発明4又は5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、同様に、本件発明7は、甲1発明7ではなく、また、本件発明7は、甲1発明7に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
以上のとおりであるから、前記1における申立理由(1)~(12)については、以下のとおりである。
(1)本件発明1~7は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないので、申立理由(12)によって取り消すことはできない。
(2)本件発明1~3は、甲1発明、及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(1)によって取り消すことはできない。
(3)本件発明4~7は、甲1発明、及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項4~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(2)によって取り消すことはできない。
(4)本件発明1~3は、甲2発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1~3に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(3)によって取り消すことはできない。
(5)本件発明1~3は、甲2発明に基いて、又は甲2発明、並びに甲1及び3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(4)及び(5)によって取り消すことはできない。
(6)本件発明1~3は、甲3発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1~3に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものではなく、申立理由(6)によって取り消すことはできない。
(7)本件発明1~3は、甲3発明に基いて、又は甲3発明、並びに甲1、2、及び4~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(7)及び(8)によって取り消すことはできない。
(8)本件発明1は、甲4発明、並びに甲1~3及び5~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(9)によって取り消すことはできない。
(9)本件発明4~7は、甲1発明4ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項4~7に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものではなく、申立理由(10)によって取り消すことはできない。
(10)本件発明4~7は、甲1発明4、5、及び7に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項4~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないので、申立理由(11)によって取り消すことはできない。
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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