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Trademark Appeal Case

欧文字表記の記述性と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2024004080
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和5年2月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和5年7月27日付け :拒絶理由通知書

令和5年10月17日 :意見書の提出

令和5年11月29日付け:拒絶査定

令和6年3月7日 :審判請求書の提出

令和7年3月11日付け :審尋

令和7年6月2日 :上申書の提出

令和7年6月3日 :手続補正書の提出

第2 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、第10類「家庭用鼻水吸引器」に補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は「HANASUI」の欧文字を普通に用いられる書体で横書きしてなるところ、鼻水を吸引することが「鼻吸い」と称されている実情が認められることから、本願商標は、その指定商品との関係上、「鼻吸い」の表音を欧文字表記したものと容易に理解される。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「鼻吸い」の語を想起し、「鼻水を吸引すること」ほどの意味を認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、単に商品の用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。

第4 当審における審尋

当審において、令和7年3月11日付けで通知した審尋により、別掲2及び別掲3のとおりの証拠を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答

請求人は、上記第4の審尋に対し、令和7年6月2日に上申書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。

1 本願の指定商品である「家庭用鼻水吸引器」を「鼻吸い」と称している使用例は審尋の3例のみである。インターネットで「鼻吸い」の語が複数使用されているとしても、それは、原則として、「鼻水を吸引すること(行為)」についてのものであり、「鼻水吸引器(器具)」について使用されているわけではない。

2 「鼻水を吸引すること(行為)」を「鼻吸い」と略称や別称することは、主にインターネットにおいて使用例があるにすぎず、それらの多くは、医療現場において、専門的な医療機器を用いて行われる鼻水を吸引する行為についてであり、「鼻吸い」を、「家庭用鼻水吸引器(器具)」について用いたときは、造語として用いられていると解するべきであり、商品の品質や用途を表すとはいえない。

3 商品名(普通名称等)を、欧文字つづりにより表記することは一般的であっても、商品の品質や用途を欧文字つづりで表記することは、実質的にない。

4 請求人は、本願商標を付した商品を約3年間にわたり製造・販売しており、既に、販売・広告出稿・展示会出展・有名賞の受賞など、数々の実績を有している。その結果、本願商標は、本願の指定商品について、請求人の商品の出所を表示する商標として、本願の指定商品の分野において、需要者に、識別力を有する商標として認識されている実情がある。

第6 当審の判断

1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、ややデザイン化された書体で「HANASUI」の欧文字を横書きしてなるところ、一般に、商品に標章等を使用する際に、使用される文字に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、本願商標の構成全体として「HANASUI」の文字を書したものと容易に認識できるものであって、格別特異なものとはいい得ないものであるから、いまだ普通に用いられる方法の範囲内で表してなるものである。

そして、本願商標からは、「ハナスイ」の称呼を生じることは明らかであり、「ハナスイ」の読みを漢字及び平仮名で表した「鼻吸い」の文字(語)は、請求人も認めるとおり「鼻水を吸引すること」を表す文字(語)として広く一般に使用されている。

また、別掲2のウェブサイトによれば、「鼻水吸引器」を表す文字(語)として、「鼻吸い器」や「鼻吸い」の文字(語)が使用されている実情が認められる。

さらに、日本語(漢字、仮名)の読みを欧文字つづりにより表記することはごく普通に行われているところ、本願の指定商品に関連する分野においても、別掲3のウェブサイトのように、商品を表す日本語の名称が欧文字つづりにより表記されている実情が認められる。

そうすると、「鼻吸い」の文字(語)を欧文字つづりにより表記したものと容易に理解させるにとどまる「HANASUI」の欧文字からなる本願商標を、本願の指定商品である「家庭用鼻水吸引器」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「鼻吸い」の文字(語)を欧文字つづりにより表記したものと理解し、当該商品が「鼻水を吸引するための商品」であること、すなわち商品の品質及び用途を表示したものと認識するにとどまるというのが相当である。

このことは、別掲4のとおり、「家庭用鼻水吸引器」においても、「鼻吸い」の文字(語)が商品の説明等に使用されている実情が認められることからも、裏付けられるものである。

してみると、本願商標は、単に商品の品質及び用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められる。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第3条第2項該当性について

請求人は、商標法第3条第2項に該当する旨を明確に主張するものではないが、本願商標の使用の結果、本願商標は本願の指定商品について、請求人の商品の出所を表示する商標として認識されている旨主張しているため、請求人の主張及び同人が提出した証拠を参照し、以下、本願商標の使用による自他商品の識別性(商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否か)について判断する(なお、甲各号証の表記については、「甲○」のように省略して表示する。)。

(1)請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。

ア 請求人は、本願商標と同一の標章が付された家庭用鼻水吸引器(以下「請求人商品」という。)を令和5年7月頃から製造、販売している(甲13、甲15、甲16、甲32)。

イ インターネット検索エンジンのGoogleで「HANASUI」の欧文字を検索すると、検索結果の上位29件中17件は、請求人商品に関連するウェブサイトである(甲17、甲18)。

ウ Amazon.co.jpのウェブサイト(以下「アマゾン」という。)における、家庭用鼻水吸引器についての売れ筋ランキングにおいて、請求人商品は、令和7年5月16日においては、第7位であった(甲28)。

エ 請求人商品は、家庭用鼻水吸引器のランキングサイト、商品の比較サイトなどのウェブサイトにおいて、第三者により紹介された(甲29~甲31)。

オ 請求人は、令和6年7月に、「ベビー&キッズExpo」に出展し、請求人商品を展示した(甲33、甲34)。

カ 請求人商品は、令和5年にキッズデザイン賞の特別賞を受賞した(甲35)。

(2)請求人は、以下のとおり主張する。

ア 請求人商品の売上金額は、令和5年度で約3,029万円、令和6年度で7,956万円、令和7年度(3月まで)で1,711万円であり、通期の合計販売金額は、1億2,696万円であった。

イ 請求人は、上記販売期間において、アマゾン及び楽天市場のウェブサイトに広告出稿し、費用は概算で、令和5年度で約565万円、令和6年度で1,538万円、令和7年度(3月まで)で349万円であり、通期の合計金額は、2,452万円であった。

ウ 市販の家庭用鼻水吸引器を我が国においてインターネットのウェブサイト等で販売する企業は、主に6社が占め、請求人は4位程度に位置する。

エ アマゾンの過去1か月間の販売数量(概数)が表示される機能を用いて、直近1か月間のそれぞれの販売数量を調査した情報(甲22~甲27)に基づいた請求人の試算によれば、「家庭用鼻水吸引器」における、請求人の市場占有率は、約7.5%である。

(3)上記(1)で認定した事実によれば、請求人は、令和5年7月から請求人商品を製造、販売しており、同6年、同商品を展示会に出展し、同5年、キッズデザイン賞の特別賞を受賞するとともに、第三者のウェブサイトにおいて請求人商品が紹介されたことが認められる。

また、上記(2)の請求人の主張によれば、請求人商品は、一定程度の売上げがあり、一定程度の広告がされていることがうかがえる。

しかしながら、その売上金額は必ずしも多いものとはいえず、アマゾンにおける「家庭用鼻水吸引器」の請求人商品の市場占有率についても約7.5%にすぎないものであり、また、広告宣伝についても、アマゾン及び楽天市場に限られたものである。

さらに、本願商標の使用期間も、僅か2年程度と長期にわたるものとはいえない。

そして、別掲2及び別掲3のとおり、「鼻水吸引器」を表す文字(語)として「鼻吸い器」や「鼻吸い」の文字(語)が使用されている実情があり、商品を表す日本語の名称が欧文字つづりにより表記されていることからすると、本願商標が、その指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、「家庭用鼻水吸引器」を「鼻吸い」と称している使用例が少なく、「鼻吸い」の文字(語)が使用されているとしても、「鼻水を吸引すること(行為)」についてのものである旨や、「鼻水を吸引すること(行為)」を「鼻吸い」と略称や別称することは、医療現場において、専門的な医療機器を用いて行われる鼻水を吸引する行為についてであり、「鼻吸い」の文字(語)を、「家庭用鼻水吸引器(器具)」について使用したときは、造語として使用されていると解するべきである旨主張する。

ところで、本願商標が商標法3条1項3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(平成27年(行ケ)第10107号同年10月21日判決)。

そして、たとえ、「鼻吸い」の文字(語)について、「家庭用鼻水吸引器」を表す文字(語)としての使用例が少ないとしても、「鼻水を吸引すること」を表す文字(語)としての使用が多いことからすれば、本願の指定商品との関係においては、商品の品質、用途を表す文字(語)として一般に認識されるというべきである。

また、「鼻水を吸引すること」を表す文字(語)として「鼻吸い」の文字(語)が使用されているのは、請求人の主張するような医療現場で専門的な医療機器を用いた行為に限られるものではないことは、別掲4のウェブサイトにおける記載からも明らかであるから、本願の指定商品である「家庭用鼻水吸引器」の分野でも、「鼻吸い」の文字(語)は「鼻水を吸引すること」を理解させるというのが相当である。

(2)請求人は、商品名(普通名称等)を、欧文字つづりにより表記することは一般的であっても、商品の品質や用途を欧文字つづりで表記することは実質的にない旨主張する。

しかしながら、一般に標章の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で漢字や仮名文字を欧文字表記にしたり、あるいは、その逆にしたりという文字種の変換はごく普通に行われている実情があるところ、上記1で示した別掲2ないし別掲4に記載の取引の実情を踏まえれば、「HANASUI」の文字(語)は、これに接する取引者、需要者において、本願の指定商品の品質及び用途を表す「鼻吸い」の文字(語)を欧文字つづりにより表記されたものと容易に理解されるというのが相当である。

(3)したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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