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Trademark Appeal Case

商品の形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025006507
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年2月19日の商標登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和6年 9月13日付け:拒絶理由通知書

令和6年11月19日 :意見書の提出

令和7年 1月24日付け:拒絶査定

令和7年 4月28日 :審判請求書の提出

令和7年11月10日付け:審尋

2 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの立体的形状よりなり、第30類「グミキャンディ」を指定商品として商標登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、別掲1のとおり、水色のハート型の輪郭に、その内部を「人」の文字のようにかたどった立体的形状よりなるところ、本願の指定商品である「グミキャンディ」は、様々な形状に加工することができる商品であることから、当該商品を取り扱う業界においては、需要者の関心を引き、購買意欲を喚起することなどを目的として、商品の形状を工夫することが広く一般に行われており、様々な立体的形状のグミキャンディが、一般に製造、販売されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の立体的形状を表示したものと認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識として認識することはできないとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審における審尋

当審において、令和7年11月10日付けで通知した審尋により、別掲2から別掲5のとおりの証拠を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、また、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

5 審尋に対する請求人の回答

請求人は、上記4の審尋に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。

6 当審の判断

(1)立体商標における商品の形状について

商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項参照)。

しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。

ア 商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。

イ また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。

ウ さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる。(以上、知的財産高等裁判所、平成18年(行ケ)第10555号同19年6月27日判決、平成19年(行ケ)第10215号同20年5月29日判決及び平成22年(行ケ)第10253号同23年6月29日判決参照。)

(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、水色に着色した立体的形状からなるところ、別掲2と、当審において提出した甲第1号証及び甲第3号証によれば、当該立体的形状は、ドイツのパンや菓子として知られる「プレッツェル」(「細長くのばした生地を、ゆるい結び目の形に成形した焼き菓子。」別掲2(1)。)の形状に酷似したものである。

そして、別掲3のとおり、本願の指定商品「グミキャンディ」に関連する菓子を取り扱う分野において、本願商標の立体的形状と酷似した、プレッツェルの形状の各種の焼き菓子等が、一般に製造、販売されている実情が認められる。

また、原審の拒絶理由通知書の参考情報(1)ないし参考情報(4)に加えて、別掲4のとおり、近年、グミキャンディは、若者を中心に人気が高まり、さまざまな形状のものが、一般に製造、販売されている実情が認められるところ、これらの中には、別掲5のとおり、本願商標の立体的形状と酷似した、プレッツェルの形状のグミキャンディもみられるものである。

上記実情を踏まえて本願商標の立体的形状を考察すると、当該立体的形状は、その指定商品「グミキャンディ」に採用し得る形状の一形態を表したものと容易に認識されるものであり、これに接する取引者、需要者が、食感や食べやすさといった商品の機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるというべきであって、商品の機能又は美感に資することを目的とするために採用されたものといえる。

そうすると、本願商標をその指定商品「グミキャンディ」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品に採用し得る形状の一形態を表したものとして理解するにとどまり、自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(3)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は、本願商標が、仮に商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとしても、同条第2項を適用して登録が認められるべきである旨を主張し、証拠方法として、当審において甲第1号証ないし甲第10号証の94を提出している(なお、証拠の記載にあたっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。また、枝番号をすべて含む場合には、枝番号を省略することがある。)。

しかしながら、以下のア及びイの理由により、請求人の主張及び上記の証拠のみによっては、本願商標の使用状況などに関する事実を十分に把握することができないから、本願商標についての需要者の認識の程度を推定することができない。

ア 本願商標の使用商品の我が国における市場占有率についての客観的な事実がないこと

本願商標を使用した商品(以下、「本願商品」という。)の累計販売枚数は2000万枚以上であり(甲1)、売上高は、例えば、2012年は21,098千円、2024年は1,164,680円とされる(請求人の主張)。

しかしながら、本願商品の我が国における市場占有率については客観的に評価できる証拠は提出されておらず、確認することができない。

したがって、請求人の主張する本願商品の売上数量及び売上額については、本願商品の分野の市場占有率が確認できないから、その売上数量及び売上額の多寡を具体的に評価することはできない。

イ 請求人による広告宣伝の期間・地域及び規模についての客観的な事実、及び、本願商標の立体的形状が独立して需要者に商標として認識されている客観的な事実がないこと

請求人が証拠として提出した、KMCgroup株式会社が提供するクリッピングレポートの写しによると、本願商品は、2020年2月19日から2025年1月9日までに、テレビの全国放送36回、地方局放送12回、その他2回で紹介され(甲7)、2020年2月20日から2025年3月13日までに、専門紙を含む新聞で37回紹介され(甲8)、2020年3月25日から2025年3月24日までに、各種雑誌で15回紹介され(甲9)、2019年8月3日から2025年4月16日までに、WEBメディア(インターネット記事)で94回掲載されたとされる(甲10)。

もっとも、WEBメディア(インターネット記事)については、URLの記載がないため、当該記事の掲載をインターネット上で確認することはできない。

そして、請求人自身による本願商品の広告宣伝を客観的に評価できる証拠は提出されておらず、確認することができない。

また、請求人が提出したいずれの証拠においても、本願商標に係る立体的形状とともに、「カンロ」、「Kanro」、「グミッツェル」あるいは「gummi-tzel」の文字の記載があわせて使用されている。

そうすると、本願商品の広告宣伝において、需要者は、「カンロ」、「Kanro」、「グミッツェル」あるいは「gummi-tzel」の文字によってその商品が識別されているともいえ、また、必ずしも本願商標の立体的形状のみが着目される形で広告宣伝されたとはいえないことから、本願商標の立体的形状が独立して、商品の出所を表示する標章又は自他商品を識別する標識として需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。

(4)小括

以上のとおりであるから、請求人の上記(2)及び(3)の主張は、いずれも採用することができない。

7 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、同法同条第2項の要件を具備するものともいえないから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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