結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025013056 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本願は、令和6年10月24日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年3月31日付け:拒絶理由通知書
令和7年4月21日受付:意見書、手続補正書
令和7年6月 9日付け:拒絶査定
令和7年8月20日 :審判請求書
令和8年1月22日付け:拒絶理由通知書
令和8年1月22日付け:審尋
令和8年2月28日受付:意見書、手続補正書
本願商標は、「いくらしょうゆ」の文字を標準文字で表してなり、第30類、第35類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、原審及び当審における上記1の手続補正により、最終的には、第30類「いくらのしょうゆ漬けを使用してなる調味料」、第35類「いくらのしょうゆ漬けを使用してなる調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「いくらのしょうゆ漬けを使用してなる調味料を用いた飲食物の提供」に補正されたものである。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について
ア 本願商標は、「いくらしょうゆ」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「いくら」の文字と「しょうゆ」の文字を結合したものと容易に認識させるものであり、その構成中の「いくら」の文字は、「サケ・マスの卵を塩漬けにした食品」の意味を有する語であり、「しょうゆ」の文字は、「大豆と小麦で作った麹と食塩水とを原料として醸造する褐色の液汁」の意味を有する「醤油」を認識させる語である。
そして、食品を取り扱う業界において、例えば「カキ醤油」、「雲丹醤油」、「鮭醤油」というように、海の幸を使用した醤油が「○○醤油(○○は、原材料名等が入る。)」と称され、販売されており、「いくらを使用した醤油」を「いくら醤油」と称している事実もあること、また、「いくら醤油」や「いくらしょうゆ」の文字が「醤油で味付けしたいくら」ほどの意味合いで使用されている実情があることからすると、本願商標は、構成全体として「いくらを使用した醤油(いくら醤油)」又は「醤油で味付けしたいくら」ほどの意味合いを認識させるにすぎないものである。
そうすると、本願商標を、令和7年4月21日受付の手続補正書で補正された指定商品及び指定役務(以下、「原審補正商品役務」という、)中の第30類の商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「いくらを使用した醤油」又は「醤油で味付けしたいくらを原材料として使用した調味料」であることを認識するにとどまり、また、本願商標を原審補正商品役務中の第43類の役務に使用しても、その役務が「いくらを使用した醤油の提供」又は「醤油で味付けしたいくらを原材料として使用した調味料の提供」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、商品の品質、原材料又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
イ さらに、本願商標を原審補正商品役務中の第35類の役務に使用しても、これに接する需要者は、その取扱商品が「いくらを使用した醤油」又は「醤油で味付けしたいくらを原材料として使用した調味料」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
ウ したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当する。
(1)拒絶理由通知について
審判長は、請求人に対し令和8年1月22日付け拒絶理由通知書で、「本願商標の指定役務中、第43類「いくらのしょうゆ漬けを使用してなる調味料の提供」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められないから、商標法第6条第1項及び同条第2項の要件を具備しない。」旨の拒絶の理由を通知した。
(2)審尋について
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するか否かについて、当審の暫定的見解及び職権に基づく証拠調べの結果(別掲1、別掲2)を請求人に通知し、意見を求めた。
(1)拒絶理由通知について
請求人は、上記1のとおり、本願について令和8年2月28日付け手続補正書を提出し、第43類の指定役務を「いくらのしょうゆ漬けを使用してなる調味料を用いた飲食物の提供」に補正した。
(2)審尋について
本願商標は、すべて平仮名で「いくらしょうゆ」と表記されている点に特徴を有する造語であること、また、その構成中の「いくら」の語は、「幾ら」の意味をも有する多義語であるため一義的に食品の品質・原材料を表示するものとはいえないことから、自他商品・役務識別標識として理解する。
また、本願に係る指定商品及び指定役務の取引者、需要者は、広く一般消費者が含まれるところ、商品の購入や役務の提供を受けるにあたって注意深く商品名の意味を理解しないのが通常であり、本願商標について、直接的、具体的に商品の品質、原材料及び役務の質を表示したものと一般に認識することができない。
したがって、本願商標は、これを本願指定商品等に使用しても、十分自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当しない。
(1)商標法第6条第1項及び第2項について
本願は、その指定役務について、上記2のとおり補正された結果、指定商品及び指定役務の内容及び範囲が明確なものになり、政令で定める商品及び役務の区分に従って、商品及び役務を指定したものになったと認められる。
したがって、本願が商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しないとした当審における拒絶の理由は、解消した。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について
ア 本願商標は、「いくらしょうゆ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「いくら」の文字は、本願に係る指定商品及び指定役務との関係から「サケ・マスの卵を塩漬けにした食品。」の意味を、「しょうゆ」の文字は、「調味料。大豆と小麦で作った麹と食塩水とを原料として醸造する褐色の液汁。」の意味を有する語である(いずれも「広辞苑第七版」岩波書店参照)。
そして、食品を取り扱う業界において、別掲1のとおり、海産物や農作物などの食材を原材料に用いたしょうゆが「○○しょうゆ」「○○醤油」(○○には、食材の名称が入る。以下同じ。)の表示の下、広く取引されている実情がある。
また、別掲2のとおり、「しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)」が「いくらしょうゆ」「いくら醤油」の表示の下、広く取引されている実情がある。
そうすると、本願商標は、全体として「いくらを使用したしょうゆ」又は「しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)」の意味合いを認識させるものである。
してみれば、本願商標を第30類の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、別掲1の実情を踏まえれば「いくらを使用したしょうゆ」といった意味合いに、別掲2の実情を踏まえれば「しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)を原材料として使用した調味料」といった意味合いに、すなわち、いずれについても、単に商品の品質、原材料を認識するにとどまるものであり、これをその指定役務中、第43類の役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「いくらを使用したしょうゆや、しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)を原材料として使用した調味料を用いた飲食物の提供」といった意味合い、すなわち、単に役務の質を認識するにとどまるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
イ また、本願商標は、上記のとおり、「いくらを使用したしょうゆ」又は「しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)」の意味合いを認識させるものであるから、これをその指定役務中、第35類の役務に使用してもこれに接する需要者は、その取扱商品が「いくらを使用したしょうゆ」や「しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)を原材料として使用した調味料」であることを認識するにとどまる。
ウ したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、すべて平仮名で「いくらしょうゆ」と表記されている点に特徴を有する造語であること、また、その構成中の「いくら」の語は、「幾ら」の意味をも有する多義語であるため一義的に食品の品質・原材料を表示するものとはいえないことから、自他商品・役務識別標識として理解する旨を主張する。
しかしながら、海産物や農作物などの食材を原材料に用いたしょうゆが「○○しょうゆ」「○○醤油」の表示の下、一般的に取引されていることは、別掲1のとおりであり、中には、「あさりしょうゆ」、「さけしょうゆ」などとすべて平仮名で表記されている事例もある。
また、本願商標の構成中「いくら」の語は、請求人の主張するとおり、他の意味合いを有する語であるとしても、本願に係る指定商品及び指定役務との関係においては、上記(2)のとおり、サケ・マスの卵を塩漬けにした食品である「いくら」の意味合いで認識・理解されるというのが自然である。
さらに、取引の実情として、商品の原材料などを表示する場合に、文字種(平仮名、片仮名、漢字、欧文字等)を変えて表記することはごく一般的に行われており、文字種が異なるとしても、共通する客体を示しているという点に違いはなく、それが自他商品・役務識別標識として機能することの理由には到底なり得ない。
次に、請求人は、本願に係る指定商品及び指定役務の取引者、需要者は、広く一般消費者が含まれるところ、商品の購入や役務の提供を受けるにあたって注意深く商品名の意味を理解しないのが通常であり、本願商標について、直接的、具体的に商品の品質、原材料及び役務の質を表示したものと一般に認識することができない旨を主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、食品を取り扱う業界において、海産物や農作物などの食材を原材料に用いたしょうゆが「○○しょうゆ」「○○醤油」の表示の下、また、「しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)」が「いくらしょうゆ」「いくら醤油」の表示の下、取引されている実情があることからすれば、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用するときは、その主たる需要者である、一般消費者は、「いくらを使用したしょうゆ」又は「しょうゆで味付けしたいくら(いくらのしょうゆ漬け)」の意味合い、即ち、商品の品質、原材料及び役務の質を表示したものと一般に認識するというのが相当である。
したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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