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Trademark Appeal Case

複合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025018446
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

理 由

1 手続の経緯

本願は、令和6年11月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和7年 5月16日付け:拒絶理由通知書

令和7年 6月13日 :意見書の提出

令和7年 8月20日付け:拒絶査定

令和7年11月19日 :審判請求書の提出

2 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6813653号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、令和5年6月7日登録出願、第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん」を指定商品として、同6年6月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

商標は、その構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定することは許されないが、他方、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念が生ずることがあるのは、経験則の教えるところであり、複数の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分を他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することができるというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁)。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、中央に大きく筆文字風の書体で縦書きした「真心」の文字を、その右上方、「真心」の「真」の文字の横にやや小さめの筆文字風の書体で縦書きした「駒泉」の文字をそれぞれ配し、「真心」の左側にその読み仮名と認識される「まごころ」の文字を灰色の筆文字風の書体で縦書きし、その下方に「謹醸」と思しき文字を正方形で囲った落款(印影)(以下「落款部分」という。)を配した構成よりなるものである。

そして、その構成中、「真心」の文字は、中央の目立つ位置に、他の文字と比べて大きく顕著に表されており、外観上、強く看者の注意を引きやすい部分ということができ、該文字部分は、取引者、需要者をして、強く支配的な印象を与える部分といえる。

また、当該「真心(まごころ)」の文字は、「誠の心。いつわりのない真実の心。」等を意味する語であり(出典:株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)、本願の指定商品との関係において、商品の品質を表示する等の格別な事情は見いだせず、「駒泉」の文字は、辞書類に載録された既成語ではなく、特定の意味を有する語として広く使用されているといった事情も見当たらないことから、特定の観念を生じることのない造語として理解されるというべきものである。

そのため、これら各文字部分は、観念上のつながりがあるものではなく、さらに、各文字部分と落款部分とは、相互に一定の間隔を空けて、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。

加えて、落款部分に表された「謹醸」の文字は、本願の指定商品分野においては、「謹んで醸造した(酒)」ほどの意味合いで使用されている実情が見られるほか、当該文字を表した落款(印影)が商品ラベルに付されることも少なくないことから、本願商標の落款部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いものであって、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものといえる。

以上のことからすれば、本願商標は、全体として常に一体不可分にのみ捉えられるといい得るほどに強く結合しているものとはいえず、落款部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いものである一方、「真心(まごころ)」及び「駒泉」の文字部分がそれぞれ独立して商品の出所識別標識としての機能を有する要部となり得るものといえるから、簡易迅速を尊ぶ商取引の実情においては、本願商標に接する取引者、需要者が、中央に大きく顕著に表され、強く支配的な印象を与える「真心(まごころ)」の文字部分のみをもって取引に当たる場合もあるものというのが相当である。

そうすると、本願商標は、その構成中の「真心(まごころ)」の文字部分に相応して、「マゴコロ」の称呼をも生じ、「誠の心。いつわりのない真実の心。」ほどの観念を生じるものである。(以下「真心(まごころ)」の文字部分を「本願商標の要部」という。)

イ 引用商標について

引用商標は、別掲2のとおり、筆文字風の書体で縦書きした「真心」の文字と、「真」と「心」の文字の間に筆文字風の書体で横書きした「まごころ」の文字を配置した構成よりなるところ、「まごころ」の文字は、「真心」の読み仮名を表記したものと認められるものであるから、引用商標は、その構成文字に相応して、「マゴコロ」の称呼を生じるものであり、「誠の心。いつわりのない真実の心。」(前掲書)ほどの観念を生じるものである。

ウ 本願商標と引用商標との類否について

本願商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりであるところ、両者は、外観において全体の構成において相違するとしても、本願商標の要部である「真心(まごころ)」の文字と引用商標の「真心(まごころ)」の文字の比較においては、その文字構成を共通にすることから近似するものであり、さらに、両者は、称呼において「マゴコロ」の称呼及び観念において「誠の心。いつわりのない真実の心。」ほどの観念を共通にするものである。

そうすると、本願商標と引用商標とは、本願商標の要部において、称呼及び観念を共通にするものであり、外観においても近似するものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。

エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について

本願の指定商品中の第33類「日本酒」は、引用商標の指定商品である第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん」と同一又は類似の商品である。

オ 小括

上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標について、分離観察がなされて然るべきとしつつ、本願商標の要部としては、「真心」及び「まごころ」の各文字に劣らぬ要部性を備えたものとして「駒泉」の文字列が同時に挙げられるべきところ、この点についての言及が全くなされておらず、「真心」及び「まごころ」のみの分離観察のみをもって商標の類否判断を進めることに妥当性の欠如を認めるものである旨主張する。

しかしながら、上記(1)で述べたとおり、商標の類否判断においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、複数の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分を他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することができるというべきであるところ、本願商標は、全体として常に一体不可分にのみ捉えられるといい得るほどに強く結合しているものとはいえず、「駒泉」の文字部分のほか、「真心(まごころ)」の文字部分が独立して商品の出所識別標識としての機能を有する要部となり得るものである。

その上で、簡易迅速を尊ぶ商取引の実情においては、本願商標に接する取引者、需要者が、中央に大きく顕著に表され、強く支配的な印象を与える「真心(まごころ)」の文字部分のみをもって取引に当たる場合もあるものというべきであるのは、上記(2)アで述べたとおりであり、同人の上記主張によって当該判断が否定されるものではない。

イ 請求人は、過去の併存登録例を挙げ、本願商標と引用商標は非類似である旨主張する。

しかしながら、商標の類否の判断は、出願された商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであり、また、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の具体的構成や指定商品等を異にするものであるから、当該併存登録例によって、本願商標に係る上記判断が左右されるものではない。

ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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