結論テキスト
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025300446 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6561093号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和3年11月4日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,傘」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,帽子,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)」を指定商品として、同4年5月25日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年6月13日であり、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、同4年(2022年)6月13日ないし同7年(2025年)6月12日である(以下「要証期間」という。)
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び令和7年7月11日付けの審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月26日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記については、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合があり、また、枝番号の全てを記載する場合は、枝番号を省略する。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 請求人は、答弁書において、本件商標は、被請求人が指定商品中の第25類「洋服,セーター類」に関して、審判請求登録前3年以内に、日本国内で継続的に使用されている旨主張するが、被請求人が提出した証拠によっては上記事実が十分に立証されていない。
(ア)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標がエンブレムとして貼り付けられたベスト及びカーディガンの写真である。経験則上、洋服における出所標識としての商標はタグや下げ札等に表示されるのが通常である。出所標識としてのブランド名やロゴがデザインとして洋服の外観から目立つように表示される場合も確かに存在するが、そのような場合も、タグや下げ札等の出所標識が表示される箇所にも、出所標識としてのブランド名やロゴ等が表示されることが一般的である。この点、乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト及びカーディガンでは、胸元のエンブレムに本件標章が装飾的に表示されているにすぎず、タグや下げ札等には本件商標が付されていないことから見ても、乙第1号証及び乙第2号証に表される本件標章の表示態様は、商標法第2条第3項に掲げられている商標の使用行為に該当するものではない。
さらに、乙第1号証及び乙第2号証の写真は撮影日時が不明である。
したがって、乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標が指定商品について使用されていることを立証するものでも、本件商標が審判請求登録前3年以内に使用されていることを立証するものではない。
(イ)乙第3号証について
乙第3号証は、オンラインショッピングサイトのスクリーンショット及びその管理画面である。ベストやカーディガンの写真が掲載されているが、画像が不鮮明であるため、これらの商品に本件商標が表示されているかが明らかではない。また、電子データは容易に改ざんすることが可能であるため、仮にベストやカーディガンの写真に本件標章が付されていたとしても、その内容の信憑性を立証しきれるものではない。
また、乙第3号証の各資料には商品コードとして「ARCC-1016」及び「ARCV-3016」と記載されている。これらの商品コードは、乙第1号証及び乙第2号証の写真中のカーディガン及びベストに付されたタグに記載されている商品コードと一致するが、乙第1号証及び乙第2号証の写真がいつ撮影されたものであるかは不明のため、乙第5号証の1に示されている商品コードが乙第1号証及び乙第2号証のカーディガン及びベストを指すものかは不明である。さらに、仮にこれらの商品コードが乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンを指すとしても、上述のとおり、乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンにおける本件標章は装飾的に付されたものであって、当該標章が出所標識としての機能を果たすものではなく、本件商標は商標として使用されていることを立証するものではない。
乙第3号証の3は、管理画面のスクリーンショットであり、ウェブサイトの登録日が2022年2月10日であることが窺える。しかし、乙第3号証の3にはURLの表示が添えられているが、乙第3号証の1及び2の画面と乙第3号証の3の管理画面との関連性は立証されておらず、本件商標の使用時期を明確にするものではない。なお、電子データの改ざんは容易であるため、これらの資料が信憑性に欠ける。
乙第3号証の4は、モデル画像の撮影日時が2024年であることを示すが、その写真は不鮮明であり、本件商標が付されているかは不明である。また、画像の改ざんは容易に可能であるため、モデルが撮影時に着用したベストに本件標章が付されていたかは不明である。さらに、ベストの胸元に装飾的に付されたエンブレムは出所識別機能を果たすものではなく、本件標章が付されていたとしても、それは本件商標が商標として使用されていることを立証するものではない。
したがって、乙第3号証は、本件商標が指定商品について使用されていることを立証するものでも、本件商標が審判請求登録前3年以内に使用されていることを立証するものではない。
(ウ)乙第4号証について
乙第4号証は、被請求人の直営店舗で、本件商標を付した商品を陳列販売している様子を表す店舗内写真であるとのことである。証拠説明書によれば、これらの店舗は「CONOMi 原宿店」、「CONOMi 新潟新井店」、「CONOMi 大阪梅田 HEP FIVE店」であるとのことだが、写真からは撮影場所は明らかではないため、商品の取扱主体は不明である。また、撮影日時も不明である。
さらに、もし仮にこれらの写真が被請求人の直営店舗内の様子を表すものであるとするなら、取り扱われている商品はすべて又は大部分が被請求人の商品であると考えるのが自然であり、被請求人の出所識別標識として本件商標が洋服に付されているならば、多くの商品に本件商標が付されているはずであるが、数ある洋服の商品の中で、本件標章がエンブレムとして使用されているのはせいぜい2種類程度と見られる。また、店内の商品陳列棚等にも出所識別標識としての本件商標は表示されていない。これは、本件標章が出所識別標識として洋服に付されているのではなく、単なる装飾として表示されていることを示す証左にほかならない。
したがって、乙第4号証は、被請求人が本件商標を使用していることを立証するものではなく、本件商標が指定商品について使用されていることを立証するものでも、本件商標が審判請求登録前3年以内に使用されていることを立証するものでもない。
(エ)乙第5号証について
乙第5号証の1は、被請求人が導入しているPOSシステムから取得したカーディガン及びベストの販売履歴を表す資料であるとのことである。当該資料からは、「37.5テクノロジーカーディガン(ネイ)」及び「37.5テクノロジーベスト(ネイビー)AF」について売上を処理しようとする様子が窺えるが、当該資料は、広告や取引書類ではなく、経理処理に用いるためのシステムのスクリーンショットであるため、乙第5号証の1は商標の使用を直接的に立証するものではない。
もし当該資料によって実際の売上の計上が確定していることが分かれば、商品を譲渡したことの裏付けとはなり得るものの、乙第5号証の1からは売上が確定しているものかは不明である。また、電子データの改ざんは容易であるため、これらの資料が信憑性に欠けることも付言する。
さらに、売上対象の商品の商品名として「37.5テクノロジーカーディガン(ネイ)」及び「37.5テクノロジーベスト(ネイビー)AF」と表示され、商品コードにそれぞれ「ARCC-1016」及び「ARCV-3016」と記載されている。これらの商品コードは乙第1号証及び乙第2号証の写真中のカーディガン及びベストに付されたタグに記載されている商品コードと一致するが、乙第1号証及び乙第2号証の写真がいつ撮影されたものであるかは不明のため、乙第5号証の1に示されている商品コードが乙第1号証及び乙第2号証のカーディガン及びベストを指すものかは不明である。さらに、仮にこれらの商品コードが乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンを指すとしても、乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンにおける本件標章は装飾的に付されたものであって、当該標章が出所標識としての機能を果たすものではなく、本件商標が商標として使用されていることを立証するものではない。
乙5号証の2及び3は、「CONOMi 原宿店」、「CONOMi 新潟新井店」及び「CONOMi 大阪梅田 HEP FIVE店」のレシートの写しであるとのことである。乙第5号証の1と同様、レシートにはベスト及びカーディガンの品名とともにその商品コード「ARCV-3016」及び「ARCV-3016」が示されており、乙第1号証及び乙第2号証の写真中のカーディガン及びベストに付されたタグに記載されている商品コードと一致するが、乙第1号証及び乙第2号証の撮影日時が不明である以上、乙第5号証の2および3に示されている商品コードが乙第1号証及び乙第2号証のカーディガン及びベストを指すものかは不明である。また、仮にこれらの商品コードが乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンを指すとしても、乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンにおける本件標章は装飾的に付されたものであって、当該標章が出所標識としての機能を果たすものではなく、本件商標は商標として使用されていることを立証するものではない。
したがって、乙第5号証は、本件商標が指定商品について使用されていることを立証するものでも、本件商標が審判請求登録前3年以内に使用されていることを立証するものではない。
(オ)乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人の2022年度の商品カタログ及びその印刷にかかる請求書の写しであるとのことである。乙第6号証の2乃至4には本件商標が付された商品が掲載されているが、写真が不鮮明であり、本件商標が使用されているかは不明である。また、電子データの改ざんは容易であるため、これらの資料が信憑性を立証しきれるものでもない。
さらに、乙第6号証の3には商品コードが示されており、その商品コードは乙第1号証及び乙第2号証の写真中のカーディガン及びベストに付されたタグに記載されている商品コードと一致するが、乙第1号証及び乙第2号証の撮影日時が不明である以上、乙第6号証の3に示されている商品コードが乙第1号証及び乙第2号証のカーディガン及びベストを指すものかは不明である。仮にこれらの商品コードが乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンを指すとしても、乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト又はカーディガンにおける本件標章は装飾的に付されたものであって、当該標章が出所標識としての機能を果たすものではなく、本件商標は商標として使用されていることを立証するものではない。
そして、乙第6号証の4はカタログが2022年1月に作成されたことを示すとのことであるが、乙第6号証の4及び乙第6号証の1乃至3がすべて同じカタログから抜粋したものであることを示すものではなく、これらが2022年度のカタログであるか否かは不明である。また、乙第6号証の5はカタログの印刷に係る請求書であり、品名に「22 ar CONOMi レディースカタログ、レディースカタログロング 53,000部」との記載があるが、印刷を発注したカタログと乙第6号証1乃至4が示すカタログの同一性は示されていない。
加えて、カタログは広告や取引書類に該当するものであり、商標を付した広告や取引書類を作成することは商標の使用には該当せず、これらを展示や頒布等する行為が商標の使用に該当する。乙第6号証は、仮にカタログが2022年に作成され、印刷されたことを示すとしても、そのカタログがいつ頒布されたかを示す根拠はない。
したがって、乙第6号証は、本件商標が指定商品について使用されていることを立証するものでも、本件商標が審判請求登録前3年以内に使用されていることを立証するものではない。
イ まとめ
上記のとおり、被請求人が提出した資料は、継続して3年以上日本国内において商標権者等が指定商品についての登録商標の使用をしていることを立証するものではなく、本件商標は、第50条第1項の取消要件を満たすものである。
したがって、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)理由の要旨
本件商標は、商標権者(被請求人)により、第25類「洋服,セーター類」について、要証期間に日本国内で継続して使用されている。とりわけ、「ベスト」及び「カーディガン」において、本件商標を商品の胸元等にマークとして明確に表示し、販売している。これらの商品は、実際に消費者向けに流通しており、商標としての使用に該当することは明らかである。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第1号証の1ないし3
被請求人が販売するベストの商品に、本件商標が使用されていることを示す写真であり、乙第1号証の1は、ベスト胸元に付けた本件商標、乙第1号証の2は、商品タグ(品番 ARCV-3016、商品名、価格、製造元:株式会社このみ など)、乙第1号証の3は、商品全体(商標の配置位置が分かる)の写真である。
イ 乙第2号証の1ないし3
被請求人が販売するカーディガンの商品に、本件商標が使用されていることを示す写真であり、乙第2号証の1は、胸元に付けた本件商標、乙第2号証の2は、商品タグ(品番 ARCC-1016、商品名、価格、製造元:株式会社このみ など)、乙第2号証の3は、商品全体(商標の配置を含む)の写真である。
ウ 乙第3号証の1ないし4
オンラインショップの商品ページと管理画面であり、被請求人が運営するオフィシャルオンラインストア(URL https://conomi.jp)において、本件商標を付して「ベスト」及び「カーディガン」が販売されている様子を示す商品ページのスクリーンショットである(乙3の1、2)。
また、これらの商品ページが登録された日付を示す管理画面のスクリーンショット(乙3の3)を併せて提出することで、商標使用の継続性を補強している。なお、当該管理画面は、被請求人が自社で運用・管理している非公開の業務用画面であり、管理対象の商品ページは現在も公開中である。
さらに、オフィシャルオンラインストアに掲載されているモデル画像の元データのプロパティ画面(Exif情報)をスクリーンショットとして添付し(乙3の4)、当該画像が2024年(令和6年)8月8日に撮影されたことを示すことにより、被請求人が実際の商品に本件商標を表示していたことを裏付ける資料としている。
エ 乙第4号証の1ないし3
店舗陳列写真(全3店舗)であり、被請求人が全国の直営店舗(「CONOMi 原宿店」、「CONOMi 新潟新井店」、「CONOMi 大阪梅田 HEP FIVE店」)において、実際に本件商標を付した商品を陳列販売している様子を示す店舗内写真である。
オ 乙第5号証の1ないし4
被請求人が導入しているPOSシステムより取得したカーディガン及びベストの販売履歴を示す資料であり、オンラインショップでの販売分については、POSシステムの販売画面のスクリーンショット(乙5の1)を証拠として提出し、また、実店舗である「CONOMi 原宿店」(乙5の2)、「CONOMi 新潟新井店」(乙5の3)、「CONOMi 大阪梅田 HEP FIVE店」(乙5の4)での販売については、POSシステムからレシートの再発行を行い、販売実績を証明している。個人情報(顧客名・住所等)はマスキング処理を行っているが、商品名・販売日・数量・単価・店舗名等は確認でき、本件商標が継続的に使用されていた事実を立証する有力な証拠である。
カ 乙第6号証の1ないし5
被請求人が作成した商品カタログ(2022年度版)の写しであり(乙6の1~3)、ベストやカーディガン等に本件商標が使用されていることが確認できる。また、カタログの作成年(2022年1月11日)を示すファイルプロパティ画面のスクリーンショット(乙6の4)及び印刷業者からの請求書(乙6の5)も併せて提出することで、カタログの作成時期と実際の印刷実績を客観的に証明する資料である。
(3)まとめ
本件商標の使用の事実は、乙第1号証から乙第6号証により立証されており、商標法第50条第1項に基づく不使用取消の要件を満たすものではない。
よって、本件審判請求は理由がなく、棄却されるべきである。
(1)被請求人の主張及び提出証拠並びに職権調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の1ないし3は、被請求人が、本件商標権者が販売する商品「ベスト」(以下「使用商品」という。)の胸元部分、商品タグ及び商品全体の写真の写しと主張するものであり、乙第1号証の1には、使用商品の胸元に付けた別掲2の商標(以下「使用商標」という。)が表示され、乙第1号証の2には、使用商品に取り付けられた商品タグが表示され、当該タグからは、「No.ARCV-3016」、「Col.05キャメル」の品番と「株式会社このみ」の記載が読み取れる。
イ 乙第3号証の1、3及び4は、被請求人が運営するオフィシャルオンラインストアの商品ページと管理画面と主張するものであり、乙第3号証の1の「ベストの商品ページ」には、胸元に使用商標が付され、品番を「ARCV-3016-05」とする使用商品が表示され、乙第3号証の3の「管理画面の登録日スクリーンショット」1葉目には、商品名の項目に「ベスト(キャメル)ARCV-3016-05」の記載とともに、右上に「登録日:2022/02/10」、「更新日:2025/4/16」の日付が表示されている。
そして、乙3号証の1は、被請求人が運営するオフィシャルオンラインストアの商品ページであると主張することから、職権により、当該ホームページ内の「会社概要」を確認したところ、会社名「株式会社このみ」、本社所在地「新潟県妙高市柳井田町3-2-5」と記載されていることが認められる。
また、乙第3号証の4の「モデル画像の元データ撮影日情報プロパティ画面スクリーンショット」には、ベストを着用したモデル画像とともに、「ベスト(キャメル)ARCV-3016-05」が表示されており、モデル着用のベストが使用商品であることが推認できる。
さらに、当該画像ファイルのプロパティ情報には、「撮影日時 2024/08/08 14:39」と表示されていることが確認できる。
ウ 乙第5号証の3は、被請求人が実店舗(CONOMi新潟新井店)での販売実績を証明するレシートと主張するものであり、店舗名として「株式会社このみ」及び「新潟県妙高市柳井田町3-2-5」が、販売日として「2024年4月15日(月)」、その下に「ARCV-3016」及び「ベスト」がそれぞれ表示されている。
(2)上記(1)の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
ア 本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は、別掲1のとおり、グレースケールの濃淡で表された3色からなる欧文字の「C」のような図形の下に、「CONOMi」の欧文字を当該図形の曲線に沿って配置し、これらの図形と文字の形状に合わせて曲線と直線で枠囲みした図形よりなるところ、「CONOMi」の文字部分に相応して「コノミ」の称呼を生じる一方、当該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であることから、特定の観念を生じないものである。
使用商標は、別掲2のとおり、水色、青色、紺色の3色からなる欧文字の「C」のような図形の下に、紺色で表した「CONOMi」の欧文字を当該図形の曲線に沿って配置し、これらの図形と文字の形状に合わせて青色の曲線と直線で枠囲みした図形よりなるところ、「CONOMi」の文字部分に相応して「コノミ」の称呼を生じる一方、当該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であることから、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標と使用商標は、色彩の違いはあるものの、外観において同視される図形及び「CONOMi」の文字構成を共通にするものであって、両者の文字部分より生じる「コノミ」の称呼及び特定の観念を生じない点において共通するものである。
したがって、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標と認められる。
イ 使用商品について
使用商品「ベスト」は、請求に係る指定商品中、第25類「洋服,セーター類」に含まれる商品である。
ウ 使用者について
上記(1)イによれば、乙第3号証の1のオフィシャルオンラインストアのページは、商標権者が運営しているものと認められる。また、上記(1)ウによれば、使用商品と同じく品番を「ARCV-3016」とする商品を販売したレシートには、本件商標権者と同一の名称及び住所の記載が確認できる。してみれば、使用商品のタグに記載された「株式会社このみ」は商標権者であると推認できるから、胸元に使用商標が付された使用商品は、本件商標権者に係る商品であることが推認できる。
そうすると、本件商標権者に係る商品である使用商品を、被請求人が運営すると主張するオフィシャルオンラインストアの商品ページに掲載したのは本件商標権者であると認められる。
エ 使用時期について
乙第1号証の使用商品の商品タグに記載された品番「ARCV-3016」、「Col.05キャメル」と、乙第3号証の1、乙第3号証の3及び4に記載されている品番「ARCV-3016-05」は同じものと認められるから、乙第1号証の胸元に使用商標を付した使用商品は、被請求人が運営するオフィシャルオンラインストアにおいて取引に資されていることがうかがえるところ、当該ストアの商品ページの管理画面における登録日が2022年2月10日、そして、更新日が2025年4月16日であることよりすれば、少なくとも、要証期間を含む2022年2月10日から2025年4月16日の間に、使用商標を付した使用商品が、オフィシャルオンラインストアの商品ページに掲載されていたと認めることができる。
オ 小括
以上によれば、本件商標権者は、要証期間内に、日本国内において、本件審判請求に係る商品、第25類「洋服,セーター類」に含まれる「ベスト」に関する広告を内容とする情報に、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を付して、電磁的方法により提供していたことが認められる。
そして、本件商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、経験則上、洋服における出所標識としての商標はタグや下げ札等に表示されるのが通常であるが、この点、乙第1号証及び乙第2号証の写真のベスト及びカーディガンでは、胸元のエンブレムに本件標章が装飾的に表示されているにすぎず、タグや下げ札等には本件商標が付されていないことから見ても、乙第1号証及び乙第2号証に表される本件標章の表示態様は、当該標章が出所識別標識としての機能を果たすものではない旨主張する。
しかしながら、商標法第2条の規定によれば、「文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」はすべて商標法の規定にいう「標章」にあたり、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をする」標章は「商標」にあたるとされ、どのような目的のもとにどこに表現されているものが「商標」にあたるとする特段の定めもないことから、タグや下げ札等でなく、胸元に配置されているからという理由のみをもって、使用商標が商標として自他商品識別機能を果たしていないということはできない。
したがって、請求人の当該主張は採用することができない。
イ 請求人は、電子データの改ざんは容易であるため、被請求人の提出に係る資料は信憑性に欠ける旨主張する。
しかしながら、上記事実を疑うべき具体的な証拠は提出されていないから、請求人のこの主張は採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者が、本件審判請求に係る指定商品「洋服,セーター類」の範ちゅうに属する「ベスト」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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