結論テキスト
登録第6906850号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900111 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6906850号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年6月21日に登録出願、第9類、第21類、第25類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同7年2月25日に登録査定され、同年3月12日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
国際商標登録出願日(事後指定):2019年(令和元年)8月20日
設定登録日:令和2年11月13日
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品及び指定役務:第3類、第5類、第8類、第9類、第10類、第11類、第14類、第16類、第18類、第20類ないし第22類、第24類、第25類、第27類ないし第30類、第32類、第35類、第41類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
優先権主張日:2021年(令和3年)2月23日(EUIPO)
国際商標登録出願日:2021年(令和3年)2月24日
設定登録日:令和5年5月19日
商標の構成:別掲4のとおり
指定商品及び指定役務:第28類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:令和5年1月24日
設定登録日:令和5年7月14日
商標の構成:別掲5のとおり(立体商標)
指定商品及び指定役務:第28類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:令和3年8月31日
設定登録日:令和4年2月25日
商標の構成:モルック(標準文字)
指定商品:第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(登録異議の申立てにより、指定商品及び指定役務中第28類「ゲーム用具及びおもちゃ,テレビゲーム機,体操用具及び運動用具」及び第41類「全指定役務」についての商標登録を取り消す旨の異議決定がなされ、令和7年11月27日に、当該決定の確定登録がなされたもの。)
登録出願日:令和3年4月28日
設定登録日:令和5年7月25日
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第18号証(以下「甲○」と記載する。)を提出した。
なお、申立人の主張、各証拠の記載及び商標の構成(別掲参照)における「MOLKKY」又は「molkky」の表記において、「O」又は「o」の文字にウムラウトが付されているが、ウムラウトを省略して記載する。
(1)申立人について
申立人である「タクティック ゲームス オサケユキチュア(Tactic Games Oy)」は、フィンランドを拠点とする会社で、その名称のとおり、戦術的な娯楽ゲームのメーカーとして知られる。現在、申立人商品は世界の70カ国以上に輸出されており、主要商品は、ボードゲームや屋外ゲーム、そして子供向けおもちゃである。その中でも、「MOLKKY(モルック)」という名の投てきゲームは、非常に人気の高い商品の一つである(甲8)。
(2)申立人の投てきゲーム「MOLKKY(モルック)」について
申立人が製造・販売する投てきゲーム「MOLKKY(モルック)」は、プレーヤーが木の棒を投げて、木製のピンを倒して得点を競うゲームである(甲9)。
(3)申立人の投てきゲーム「MOLKKY(モルック)」の歴史
「MOLKKY(モルック)」は、元々は、1996年に「Lahden Paikka」というフィンランドの会社(前身は「Tuoterengas Oy」社)が考案した投てきゲームである。「MOLKKY(モルック)」は、フィンランドのカレリア地方にルーツを持つ「kyykka(キイッカ)」(「a」の文字にはウムラウトが付されている。以下同じ。)と呼ばれる投てきゲームがベースとなっているが、巨大で重いバット程の大きさの棒を投てきする必要がある「kyykka(キイッカ)」とは異なり、プレーをするのにフィジカルの要素が必要とされず(他にもプレーフィールドの広さやルール等その他様々な点で「MOLKKY(モルック)」と「kyykka(キイッカ)」は異なる。)、年齢や身体能力に関係なくプレーできるため、あらゆる人が楽しめるゲームとなっている(甲10~甲12)。
投てきゲーム「MOLKKY(モルック)」が発売された当初は、申立人は、「Lahden Paikka」社の下で、「MOLKKY(モルック)」の販売業者として国内外におけるゲームの販売を担っていたが、2016年に、申立人は、「Lahden Paikka」社から「MOLKKY(モルック)」ゲームの製造販売に係るあらゆる権利を譲り受けた。その中には、「MOLKKY(モルック)」に係る商標権も含まれている。その後、申立人は、現在に至るまで継続して「MOLKKY(モルック)」ゲームの製造販売を行っている(甲10~甲12)。
(4)「MOLKKY(モルック)」という語について
「MOLKKY(モルック)」というゲーム名の由来には諸説ある。例えば、創作者である「Lahden Paikka」社が作った完全な造語であるというものだ。一説には、「木の棒(block of wood)」を意味するフィン語「polkky」(「o」の文字にはウムラウトが付されている。)から創作されたとも言われている(甲11、甲12)。他にも、「MOLKKY(モルック)」ゲームの開発メンバーが、フィンランドに当時多かった英語名のゲームやおもちゃに対抗するため、できるだけくだらない名称をつけようとして、カレリア地方の方言で「子供のお尻」を意味する「molkky」を採用した、という説もある(甲13)。実際、「molkky」の語は、一般のフィン語の辞書には採録されていないが、フィンランドのカレリア地方の方言であるカレリア語の辞書には、「molkky」の語が、「尻」を意味する単語として採録されている(甲14)。
(5)申立人ゲーム「MOLKKY(モルック)」の日本公式サイト及び商品
現在、我が国においては、申立人ゲーム「MOLKKY(モルック)」は、輸入総代理店である「OHSサプライ合同会社」(以下、「OHSサプライ社」という。)が取り扱っており、甲15は、OHSサプライ社が運営する「MOLKKY(モルック)」専用ウェブサイトのトップページの写しである。別のウェブページには、YouTubeによる「MOLKKY(モルック)」ゲームの商品広告や商品案内の他、ゲームの遊び方やルールを説明したプレーガイド等が用意されている(甲9)。
また、当該申立人ウェブサイトでは、オンラインショッピングサイトも用意されており、用途に応じた様々なタイプの「MOLKKY(モルック)」ゲーム(木枠のボックス入りのもの、ボール紙製ボックス入りのもの、ミニタイプのもの等)やそれらの付属品が販売されている(甲16)。これらの商品及びその包装には、「MOLKKY」の語が、非常に顕著で目立つ態様で表示されており、「MOLKKY」の語が、申立人商品の出所識別標識として機能する態様で表示されているものであり、申立人ゲーム「MOLKKY(モルック)」は、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されるところとなっている。
(6)小括
以上のとおり、「MOLKKY(モルック)」の文字は、申立人の投てきゲームの出所識別標識として長年にわたって継続して使用されており、申立人の弛まぬ周知活動、営業努力により、申立人商標「MOLKKY」及び「モルック」は、申立人商品の出所を示すものとして、我が国の取引者及び需要者の間において、広く知られている。
(1)本件商標について
本件商標は、円形図形の内側の最も外周寄りの半径約3分の1の位置に均一の幅で円周状に設けられた赤色帯状の部分に、「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」、「HAKODATE」及び「JAPAN」の文字が白抜き文字で表示され、「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字と、上下二段に表示される「HAKODATE」及び「JAPAN」の文字とは、「・」で区切られており、残りの中央部に該当する、上記円形図形の半径約3分の2の円形部分には、申立人の投てきゲーム「MOLKKY(モルック)」に使用する12本のピンが描かれている。ピンの上部面は白色で表示され、ピンの筐体部分(筒状部分)は、上記赤色帯状部分と同一の赤色となっている。
まず、本件商標は、文字部分とその他の図形部分とを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものではない。したがって、本件商標中、文字部分及び図形部分の両方が分離抽出され、それぞれ商標の要部となり得る。
本件商標の構成要素のうち、文字部分についてみると、構成文字「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」、「HAKODATE」及び「JAPAN」のうち、「HAKODATE」及び「JAPAN」の文字はそれぞれ、地名「函館」及び国名「日本」を意味するローマ字及び英語であるので、出所を表示する識別標識としての機能は有さない。「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字中、先頭の「MOLKKY」の文字は、上述のとおり申立人の登録商標であり、申立人の提供する投てきゲームを意味する語である。一方で、後半の「WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字は、「世界」を意味する「WORLD」と、「選手権」を意味する「CHAMPIONSHIPS」を組み合わせたものであり、それぞれの語義から、まとめて「世界選手権」ほどの意味を想起する(甲17)。「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字全体において、「MOLKKY」は登録商標であり強い識別力を発揮する一方で、「WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字は、申立人の投てきゲームの名称である「MOLKKY」と組み合わさった場合、「申立人の投てきゲームである『MOLKKY(モルック)』の世界選手権」ほどの意味合いを認識・把握させるにとどまり、「WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字自体は、自他商品役務の識別標識としての機能はないか非常に低いといえる。
次に、本件商標の構成要素中、図形部分についてみると、本件商標の外縁を規定する赤色円形部分に識別標識としての機能はなく、商標中央部に表示された12本のピンの図形部分に識別標識としての機能が認められる。上述のとおり、12本のピンは、申立人の投てきゲーム「MOLKKY(モルック)」に使用するものであり、当該ピン図形部分からは、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」ほどの観念が生じ得る。
以上から、本件商標からは、構成文字の要部と考えられる「MOLKKY」又は「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」に相応して、それぞれ「モルック」又は「モルックワールドチャンピオンシップス」との称呼が生じ、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」又は「申立人の投てきゲームである『MOLKKY(モルック)』の世界選手権」ほどの観念が生じる。
(2)引用商標1及び2について
引用商標1及び2は、欧文字「MOLKKY」を横一列に表示してなる。上述のとおり、「MOLKKY」の語は、申立人の投てきゲームの名称であり、これに対応する片仮名表記は「モルック」であることは、我が国において広く知られているところであるから、引用商標1及び2からは、「モルック」との称呼が生じ、また、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」ほどの観念が生じる。
(3)引用商標3について
引用商標3は、二段書きで上段に片仮名「モルック」、下段に欧文字「MOLKKY」を表示してなる。上段の「モルック」及び下段の「MOLKKY」は、申立人の投てきゲームの名称をそれぞれ片仮名及び欧文字で表示したものであり、原語表記及びその読みの関係となっている。したがって、引用商標3からは、構成文字に相応して「モルック」との称呼が生じ、また、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」ほどの観念が生じる。
(4)引用商標4について
引用商標4は、申立人の投てきゲーム「MOLKKY(モルック)」に使用するゲーム用具一式を表した立体商標である。当該ゲーム用具の木箱の正面には、「MOLKKY」の文字が表示してあり、当該文字に相応して引用商標4からは「モルック」との称呼が生じ、また、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」ほどの観念が生じる。
(5)引用商標5について
引用商標5は、片仮名「モルック」を標準文字で横一列に表示してなる。「モルック」の文字は、申立人の投てきゲームの名称「MOLKKY」の片仮名表記であるので、引用商標5からは、構成文字に相応して「モルック」との称呼が生じるとともに、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」ほどの観念が生じる。
(6)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標と引用商標1ないし4の類否
上述のとおり、本件商標は、商標を構成する文字部分と図形部分とに分離して観察することが取引上不自然と認められるほど、文字部分と図形部分とが不可分的に結合しているものではないから、構成要素中、文字部分を分離抽出した場合、当該文字部分のうち、「MOLKKY」又は「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」が要部と認められる。一方、本件商標の構成要素中、図形部分を分離抽出した場合、当該図形部分のうち、12本のピンを表示してなる図形部分が要部と認められる。
ここで、まず外観についてみると、本件商標と引用商標1ないし4とは、全体としては図形要素の有無などにおいて相違するものの、本件商標の要部が「MOLKKY」である場合には、本件商標の要部と、引用商標1及び2並びに引用商標3及び4の要部とは、構成文字「MOLKKY」を共通にするので、本件商標と引用商標1ないし4とは、外観上近似するといえる。
次に、称呼についてみると、本件商標と引用商標1ないし4は、要部観察した場合に、称呼「モルック」を共通にする場合があるので、称呼上相紛れるおそれがある。
最後に、観念についてみると、本件商標と引用商標1ないし4は、要部観察した場合に、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」ほどの観念を共通にする場合があるので、観念上も相紛れるおそれがある。なお、本件商標から「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字を分離抽出し、当該文字を本件商標の要部とした場合にも、当該文字からは「申立人の投てきゲームである『MOLKKY(モルック)』の世界選手権」ほどの観念が生じる。ここで、「世界選手権」の文字の前には、例えば、「モノポリー」の文字がついて「モノポリー世界選手権」になるなど(甲18)、様々なゲーム名(すなわち、自他商品役務識別標識として機能する文字)が付加されることでその大会の種類を示すことになり、「世界選手権」の文字自体は、自他商品役務の識別標識としての機能は弱い。したがって、「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字が本件商標の要部であると仮定した場合でも、申立人ゲームの出所を表示する「MOLKKY」が強い識別力を発揮し、いずれにしても、本件商標と引用商標1ないし4とは、商品役務について出所の誤認混同を生じる。よって、本件商標と引用商標1ないし4は、観念上相紛れるおそれがある。
以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし4は、類似の商標である。
イ 本件商標と引用商標5の類否
まず、外観についてみると、本件商標と引用商標5とは、外観上判然と区別可能である。
次に、称呼についてみると、本件商標の要部と引用商標5は、称呼「モルック」を共通にする場合があるので、称呼上相紛れるおそれがある。
最後に、観念についてみると、本件商標の要部と引用商標5は、「申立人の投てきゲーム『MOLKKY(モルック)』」ほどの観念を共通にする場合があるので、観念上も相紛れるおそれがある。なお、上述アと同様に、本件商標の要部「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」から「申立人の投てきゲームである『MOLKKY(モルック)』の世界選手権」ほどの観念が生じるとした場合でも、「世界選手権」の部分は自他商品役務の識別標識としての機能は弱いので、申立人の出所を表示する「MOLKKY」が強い識別力を発揮し、この場合でも、本件商標と引用商標5とは、商品役務について出所の誤認混同を生じ得るほどに、観念上近似するといえる。
したがって、本件商標と引用商標5とは、外観においては相紛れるおそれはないものの、称呼及び観念において相紛れるおそれがあり、結局、商品役務について出所の混同を生じるおそれがある類似の商標である。
(7)小括
以上より、本件商標は、その登録出願の日前に出願された引用商標に類似する商標であって、その指定商品・役務に類似する商品役務について使用するものであるので、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標を指定商品等に使用したときに、当該商品等が他人の商品等に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ、すなわち、いわゆる広義の混同を生ずるおそれがある商標をも包含する。
また、「混同を生ずるおそれ」の有無は、(ア)当該商標と他人の表示との類似性の程度、(イ)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、(ウ)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきである(最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。
(2)ここで、上記要件について検討すると、上記2で検討したとおり、本件商標と申立人の投てきゲームの名称である「MOLKKY」及び「モルック」は、商品役務の出所について誤認混同を生じるおそれがあるほどに類似する商標である。また、申立人商標「MOLKKY」及び「モルック」は、申立人の投てきゲームの名称として我が国において広く知られており、申立人商標「MOLKKY」の独創性については、上記1(4)のとおりであるから、申立人商標「MOLKKY」の独創性の程度は高い。さらに、本件商標の指定商品・指定役務中、第41類「モルックの競技場の提供,モルック競技会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,モルックに関するイベントの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」などは、申立人の投てきゲームとの間で関連性の程度が高いことは明らかである。そして、上記のような本件商標の指定役務の需要者と、申立人の投てきゲームの需要者が共通することも明白である。
(3)以上を総合的に考察すると、本件商標をその指定商品・指定役務に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、申立人の投てきゲーム「MOLKKY」を自然に連想、想起し、当該役務を申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 「モルック」は、フィンランド発祥の投てき競技(スポーツ、ゲーム)であって、プレーヤーが木の棒を投げて、木製のピンを倒して競うものである(甲9、甲10)。
イ 申立人は、我が国において販売代理店を通じて、上記ゲームに使用する用具を販売している。また、当該用具の販売にあたり、「公式 モルック NEWモデル」、「モルック トーナメントモデル」、「モルック ミニ」等の記載とともに各種商品が掲載され、当該商品又は商品の包装に、「MOLKKY(R)」(決定注:(R)は、○の中に「R」の文字を表す。)の欧文字の表示がある(甲15、甲16)。
ウ 申立人の主張によれば、申立人は、2016年に「Lahden Paikka」社から「MOLKKY(モルック)」ゲームの製造販売に係る権利を譲り受け、現在に至るまで継続して「MOLKKY(モルック)」ゲームの製造販売を行っているとされるが、我が国における当該商品の販売実績、広告宣伝の方法や規模等は不明である。
(2)上記認定事実によれば、「モルック」と称する投てき競技が存在し、「MOLKKY」の文字を当該投てき競技の用具や包装等に付した商品が我が国において販売されている事実があることは把握できるものの、本件商標の登録出願時以前の販売期間、販売数量、売上高及び市場シェアなどの販売実績や広告宣伝の規模等は不明であり、申立人提出の証拠から、「MOLKKY」又は「モルック」の文字が申立人の業務に係る商品を表示する出所識別標識として、我が国の需要者の間に広く知られていると認めることはできない。
本件商標は、別掲1のとおり、えんじ色の二重の円図形の外周帯状の部分に、円図形の左下から右下に向かって円弧状に同じ書体、同じ大きさで「MOLKKY WORLD CHAMPIONSHIPS」の文字を、下側に上下二段で「HAKODATE」及び「JAPAN」の文字並びにその両端に点を、それぞれ白抜きで配し、さらに、円図形の内側に12個の白抜きの楕円を規則的に並べ、当該各楕円から下に向かって楕円の横幅に合わせたえんじ色の矩形図形を下へ伸ばしたものと看取される図形を配した構成からなり、いずれの構成要素も円図形の中にまとまりよく一体的に表されているものである。
そうすると、上記のとおりの本件商標の構成態様から、殊更、「MOLKKY」の文字部分をもって取引に資されるものと認めることはできず、上記1のとおり、「MOLKKY」の文字が申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く知られているとは認められないことをも勘案すれば、本件商標に接する需要者が、「MOLKKY」の文字部分のみに着目するというべき事情は見いだせず、当該文字のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえない。
そのほか、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う分野における取引の実情から、本件商標の構成中、「MOLKKY」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。
以上よりすれば、本件商標の構成中、「MOLKKY」の文字部分を分離抽出し、この部分だけを引用商標と比較して、本件商標と引用商標の類否を判断することは許されないというべきであるから、本件商標の構成中、「MOLKKY」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本件商標と引用商標とが類似するとして、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するという申立人の主張を採用することはできない。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
「MOLKKY」又は「モルック」の文字は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示する出所識別標識として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する需要者が一般的に申立人の業務に係る商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品及び役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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