結論テキスト
登録第6943579号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900186 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6943579号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和6年10月16日に登録出願、第25類「ネクタイ,帽子,手袋(被服),メリヤス下着,メリヤス靴下,靴及び運動用特殊靴,履物の底及び運動用特殊靴の底,靴の中敷き,水泳着,防水加工を施した被服,レインコート,フットボール靴,ウェスト用ベルト,げた金具,雨用の帽子,雨着,雨靴」を指定商品として、同7年5月22日に登録査定され、同年7月1日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する標章は、別掲2のとおりの標章であり、2014年12月8日(決定注:「8日」とあるのは、「18日」の誤記であると認める。以下同じ。)にアメリカ合衆国において創作した「クロゴケグモ」と題する申立人の著作物である旨主張するものである(以下「引用標章」という。)。
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
これに対し、引用標章は、別掲2のとおり、2014年12月18日にアメリカ合衆国において創作した「クロゴケグモ」と題する著作物であり、中国において著作権登録がされており、当該著作物には、本件商標と酷似する「クロゴケグモのイラスト」に関する著作物が含まれるものである(甲2~甲7)。
また、引用標章は、アメリカ合衆国において作品完成に至り、著作権が発生したものであるところ、創作地の「アメリカ合衆国」、著作権登録をした「中国」及び本件商標が登録された「日本」は、いずれもベルヌ条約(Berne Convention)及び世界知的所有権機関(WIPO)著作権条約に加盟しているため、加盟国(アメリカ合衆国)で創作された上記著作物は、他の加盟国(中国及び日本)でも自国の法律に従って保護されるものである。
引用標章に関する著作権の内容は以下のとおりである。
(1)著作物性
引用標章は、蜘蛛の一種であるクロゴケグモをモチーフとして、シンプルで生き生きとした線と強い色彩のコントラストを特徴とし、クロゴケグモの壮麗さと敏捷さを際立たせるという独創的な描写手法により創作されたものであり、まさに著作権法第2条第1項第1号に規定する「著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」に該当し、著作物性を有するものである。
(2)創作日
引用標章の作品完成日、すなわち創作日は、2014年12月18日である。
(3)初公開日
引用標章の初公開日は、2014年12月18日である。
(4)創作完成場所
引用標章は、アメリカ合衆国においてその創作が完成したものである。
(5)初公開場所
引用標章は、アメリカ合衆国コロラドにて初公開されたものである。
(6)委託創作者
引用標章の創作者は、申立人より創作の委託を受けたアメリカ合衆国ニューヨーク州10012、ニューヨーク、スプリング ストート75に所在するイエーガー ディパオラ ケンプ デザイン(Jager Dipaola Kemp Design)である。
(7)著作権者
引用標章の著作権者は、申立人自身である。
(8)著作権の有効期限
引用標章に関する著作権は、ベルヌ条約等により、わが国においては、著作権者が団体(法人)のため、公表後70年間、即ち2084年12月18日まで有効に存続するものと考えられる。
本件商標を構成する「蜘蛛をモチーフとするイラスト図形」は、以下の要件をすべて具備するため、申立人の保有にかかる引用標章に関する著作権を侵害するものである。
(1)著作物であること
本件商標は、蜘蛛をモチーフとするイラスト図形からなるものであり、写実的な描写からかけ離れた特徴のある描写の仕方からして、思想または感情を創作的に表現したものであることは明らかであるから、著作権法第2条に規定する「著作物」に該当するものである。
(2)依拠性があること
本件商標と引用標章はともに、蜘蛛から着想を得ているとはいえ、その描写の仕方は写実的な描写とはかなりかけ離れており、高度な独創性に富んだ描写手法により創作された構成となっており、蜘蛛から容易にイメージできるような構成でないことは一目瞭然といえる。そのため、本件商標を構成するイラスト図形が独自創作されたとは到底考え難く、本件商標の出願日と引用標章の創作日(2014年12月18日)の時系列からみても、本件商標は、申立人の引用標章に接し、それを基に創作されたものであると推認されるものである。
(3)類似性があること
上述のとおり、本件商標と引用標章は、細部において微差はあるものの、いずれも蜘蛛をモチーフとするアイデアを共通にするだけでなく、その描写方法までもが、その独創的かつ本質的な特徴が酷似する点においても、外観上相紛らわしいことは誰の目にも一目瞭然であるから、本件商標は引用標章と類似することは明らかである。
(4)無断利用であること
本件商標の登録権者は、申立人の引用標章と酷似する本件商標を、申立人の許諾を得ずに利用して商標出願し商標権を取得したものである。
(5)著作権が有効に存在していること
既述のとおり、申立人保有の引用標章の著作権は、ベルヌ条約等により、わが国でも2014年12月18日に権利が発生し、その後70年間、即ち2084年12月18日までに有効に存続するものであると考えられる。
したがって、本件商標を構成する蜘蛛をモチーフとするイラスト図形は、他人の著作物である引用標章を真似て創作したものと推認されるから、著作権法第21条(複製権)、同法第27条(翻案権)、或いは、第20条(同一性保持権)に基づく著作権侵害が成立するものである。
これまで述べてきた事実を考慮すると、本件商標は、特許庁審査基準の「他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合。」に該当する、つまり、「著作権法によって、当該商標の使用等が禁止される場合」に該当するものである。
また、申立人の知る限り、商標権者による本件商標の登録出願及び使用を正当化する特段の事情も見当たらないものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであると言わざるを得ない。
申立人は、上記第3のとおり、本件商標は、特許庁審査基準の「他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合。」に該当する、つまり、「著作権法によって、当該商標の使用等が禁止される場合」に該当するものであり、商標法第4条第1項第7号に該当すると主張する。
しかしながら、商標法上、他人の著作権と抵触する商標について、商標登録を受けることができない旨を定めた規定は存在しない。
一方で、商標権と著作権が抵触する場合の規定に関し、同法第29条は、商標権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願前に生じた他人の著作権又は著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により使用することができない旨を定めており、同条の規定は、他人の著作権と登録商標が抵触する場合があることを前提とするものであるから、商標法上、他人の著作物について商標登録出願を行うことを禁止するものではないものと解される。
そうすると、先願主義を採用する我が国の商標法において、仮に引用標章について、本件商標の登録出願日前に申立人の著作権が抵触していたとしても、申立人以外の第三者が商標登録出願を行うことの妨げになるものではない。
また、本件商標が引用標章と類似の商標であるとしても、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものとはいえず、本件商標は、その登録出願に関して、現に申告な紛争が生じている等、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせない。
さらに、本件商標は、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。
加えて、本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであって、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかである。その他、本件商標が、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべき証左も見あたらない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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