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Trademark Appeal Case

周知商標と付加語の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900209
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6953551号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

第1 本件商標

本件登録第6953551号商標(以下「本件商標」という。)は、「マフィアモバイル」の文字を標準文字で表してなり、令和7年1月7日に登録出願、第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年6月26日に登録査定、同年7月31日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録第5375408号商標(以下「引用商標」という。)は、「MAFIA」の文字を標準文字で表してなり、平成20年10月17日に登録出願、第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年12月10日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続している。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第82号証を提出した。以下、証拠の記載については、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する場合もある。

1 引用商標の周知・著名性について

(1)申立人について

申立人は、1993年に米国で創業されたゲームソフトメーカーの持ち株会社であって、申立人の関連会社は様々なゲームソフト及びその周辺機器の開発・販売事業を営んでいる。申立人及びその関連会社は、世界各地に開発拠点を有し、申立人及びその関連会社が開発・販売を行っているゲームソフトは、国内外を問わず、取引者及び需要者に広く親しまれており、申立人は世界的ヒットゲームメーカーとして取引者及び需要者に広く知られている。

(2)申立人による引用商標の使用

申立人は、日本を含む全世界でゲームソフト関連事業を展開しており、2002年には、大ヒットゲームシリーズ「MAFIA」の第1作目をリリースし、それ以来、現在に至るまで日本を含む全世界でその事業について「MAFIA」の名称を継続して使用している。引用商標に係る「MAFIA」は、組織犯罪を題材としたクライムアクション・アドベンチャーゲームシリーズであり、傑作として高い評価を受けている。申立人の「MAFIA」シリーズは、PlayStation 5、PlayStation 4、PlayStation 3、PlayStation 2、Xbox Series X/S、XboxOne、Xbox360、PCなどの代表的なハードウェアで提供されており、シリーズを通して、国内外を問わず、高い人気を博している。

第1作目である「MAFIA」は、2002年、チェコ共和国のゲーム製作会社Illusion Softworks,a.s.(現2K Czech,s.r.o.。以下「2K Czech社」という。)により開発され、申立人の子会社であるGathering of Developers,Inc.(以下「Gathering社」という。)により、北米及びヨーロッパにおいて発売された。本作は、2002年当初はWindows版のみが発売されたが、2004年にはPlayStation 2版及びXbox版も発売され、また、日本においては、2003年に株式会社ズーより日本語Windows版が発売された。本作は、世界的なコンピュータゲーム用プラットフォームであるSTEAMにおいて現在も販売がされている(甲3)。

次作である「MAFIA II」は、2010年、申立人の孫会社である2K Czech社により開発され、申立人の子会社である2K Games Inc(以下「2K Games社」という。)により、北米、オーストラリア、ヨーロッパにおいて、PlayStation 3、Windows、Xbox360向けに発売された。日本においては、2010年、申立人の子会社であるテイクツー・インタラクティブ・ジャパン合同会社(以下「テイクツー社」という。)により、PS3、Xbox360、Windows向けに発売された。また、2010年、モバイル版の「Mafia II Mobile」もリリースされた。2011年にはMac OS X版が、2020年にはPlayStation 4、Xbox One版が全世界で発売された。本作は、STEAMにおいて現在も販売がされている(甲4)。

第3作目である「MAFIA III」は、2016年、申立人の孫会社であるHangar 13(以下「Hangar社」という。)により開発され、申立人の子会社である2K Games社により、PlayStation 4、XboxOne、Microsoft Windows向けに日本を含む全世界で発売された。また、2016年、モバイル版の「Mafia III:Rivals」も発売された。2017年にはmacOS版が、2021年にはGoogle Stadia版が発売された。

その後、2020年には、第1作目「MAFIA」のリメイク作品として「Mafia:Definitive Edition」(邦題:マフィア コンプリート・エディション)が、申立人の関連会社であるHangar社により開発され、また、「MAFIA II」のリマスター作品として「Mafia II:Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)が、D3T Ltdにより開発され、どちらも申立人の子会社である2K Games社により、PlayStation4、Windows、Xbox One向けに発売された。また、2020年、「MAFIA」シリーズ全3作の完全版として、「Mafia:Definitive Edition」(邦題:マフィアコンプリート・エディション)、「Mafia II:Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)及び「MAFIA III」のバージョンアップ版「Mafia III:Definitive Edition」(邦題:マフィア III コンプリート・エディション)をまとめた「Mafia:Trilogy」(邦題:マフィア トリロジー)と題されたパック商品のデジタル版の配信及びパッケージ版の販売も開始された。これらの各作品及びパック版は、STEAMにおいて現在も販売されている(甲5~甲8)。

また、2025年8月8日には、最新作である「Mafia:The Old Country」(邦題:マフィア:オリジン ~裏切りの祖国)が、申立人の孫会社であるHangar社により開発され、申立人の子会社である2K Games Incにより、PlayStation 5、Windows、Xbox Series X/S向けに発売された。本作は、STEAM、PlayStation Store、MICROSOFT STOREにおいて現在販売されている(甲9)。

(3)申立人の「MAFIA」商標の著名性

申立人がコンピュータゲームソフト、ビデオゲームソフト等について長年にわたって使用を行ってきた商標「MAFIA」は、その圧倒的な面白さから日本及び外国の需要者及び取引者から熱烈な支持を受けており、日本及び外国において広く知られるに至っている著名商標であって、需要者・取引者の間で広く知られるに至っている。

ア 「MAFIA」の販売状況

第1作目「MAFIA」は、全世界で200万本以上の売上げを達成した(甲10)。「MAFIA III」は、全世界で700万本以上の売上げを達成した(甲11~甲14)。「Mafia:Trilogy」パックは、2020年11月までに全世界で200万セット以上を売上げた(甲15~甲18)。全世界における「MAFIA」シリーズの累計販売本数は、2020年10月までに1,890万本に達している(甲19、甲20)。なお、これに最新作「Mafia:The Old Country」の販売数は含まれない。最新作「Mafia:The Old Country」は、発売から4日で全世界で80万本以上の売上を達成した(甲21)。

2010年以降に日本で販売された「MAFIA」シリーズの本数は、「MAFIA」:23,761本、「MAFIA II」:21,176本、「MAFIA III」:225,348本、「Mafia Trilogy」:23,039本で、合計293,324本であり、30万本近くに達している。なお、これに最新作「Mafia:The Old Country」の販売数は含まれない。

以上より、申立人の「MAFIA」シリーズの存在は、日本及び外国において広く浸透していることが分かる。

イ 「MAFIA」シリーズのランキング等

「MAFIA」シリーズは、日本及び外国において様々なランキングに名を連ねており、その人気の高さがうかがえる。

第1作目「MAFIA」は、米国のマーケットリサーチカンパニーであるThe NPD Group,Inc.が提供するコンピュータゲームの週間売上げランキングにおいて、初週6位を獲得した(甲22、甲23)。また、本作は、米国のテレビゲーム関連のニュースサイトであるGameSpotによる「2002年度ベストアンドワースト」において、コンピュータゲームの部でベストミュージック賞を獲得した(甲24、甲25)。

イギリスでは、本作は合計10万本以上を売上げ、European Leisure Software Publishers Association(ELSPA)(現:The Association for UK Interactive Entertainment)のセールスアワードで銀賞を獲得した(甲26、甲27)。

ドイツにおいては、発売初週に4万本以上を売上げ、また、ドイツ・オーストリア・スイスにおいて10万本以上を売上げたことで、The Verband der Unterhaltungssoftware Deutschland(ドイツ・エンターテインメントソフトウェア協会)によるVUD-SALES-AWARDにおいて金賞を受賞した(甲28、甲29)。

「MAFIA III」は、イギリスにおいて、発売初週のセールスチャートで2位を獲得し(甲30~甲33)、日本においては、発売初週に15,000本以上を売上げ、週間ランキングにおいて9位を獲得した(甲34)。

イギリスの発売初週のセールスランキングにおいて、「Mafia:Definitive Edition」は3位を、「Mafia:Trilogy」は6位を獲得した(甲35~甲38)。

ウ 「MAFIA」シリーズに関する記事

申立人の「MAFIA」シリーズは、その販売当初から現在に至るまで、ウェブサイトや雑誌等に記事として取り上げられている(甲39~甲69)。

エ 「MAFIA」シリーズの広告宣伝

申立人は、世界三大ゲームショウと呼ばれるElectronic Entertainment Expo(E3)、gamescom、東京ゲームショウにおいて、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、「MAFIA」シリーズを市場へ広く浸透させるために大々的な広告宣伝活動を行っている。

(ア)E3におけるブース出展

E3は、米国のコンピューターゲーム産業の業界団体であるEntertainment Software Associationが、米国ロサンゼルスで開催する世界最大のコンピューターゲーム及びその関連製品等の見本市である。申立人は、2010年及び2016年開催のE3において、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、広告宣伝活動を行った(甲70~甲72)。

(イ)gamescomにおけるブース出展

gamescomは、ドイツの業界団体BIU(Bundesverband Interaktive Unterhaltungssoftware)が、ドイツで開催する欧州最大のコンピューターゲーム関連の見本市である。申立人は、2009年及び2016年開催のgamescomにおいて、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、広告宣伝活動を行った(甲73~甲75)。

(ウ)東京ゲームショウにおけるブース出展

東京ゲームショウは、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会が、東京で開催するアジア最大級のコンピュータゲーム及びコンピューターエンタテイメントの総合展示会である。申立人は、2016年の東京ゲームショウにおいて、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、広告宣伝活動を行った(甲76~甲82)。

オ まとめ

上記のとおり、引用商標「MAFIA」は、申立人の継続的な営業努力等の結果、極めて多くのユーザーを獲得するに至り、多数のランキングにランクインし、メディアに紹介されるとともに、自らも積極的な広告宣伝を行うなどすることによって、非常に高い認知度を獲得し、周知著名なものとなっており、「MAFIA」は申立人の業務を表す商標として日本及び外国において広く知られていることは明らかである。

してみると、引用商標は、本件商標の出願時である令和7年(2025年)1月7日当時はもちろんのこと、設定登録時である同年7月31日当時においても、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、日本の取引者及び需要者間において広く認知されるに至っていたものと確信する。

なお、申立人が行った過去の無効審判(無効2023-890058)において、引用商標は、申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識され、周知な商標であることが認められている。

2 本件商標と引用商標の類似性について

本件商標は、「マフィアモバイル」の片仮名を標準文字で書してなるものであるが、「マフィアモバイル」は既成語ではなく、「マフィア」と「モバイル」の文字を組み合わせた結合商標を構成するものである。

そして、本件商標の文字部分の前半部をなす「マフィア」と後半部の「モバイル」は、一連に書されているものの、その意味内容において、なじまれた熟語的意味合いを有しているなど、密接あるいは自然なけん連性は全くなく、その他両者を常に一体のものとして把握されなければならない格別の事情も見当たらない。むしろ、上記1(3)に述べたとおり、「MAFIA」の文字が申立人が長年にわたって使用を継続し、我が国において周知著名なものになっているという取引の実情に鑑みれば、本件商標の構成にあって、「マフィア」の部分こそが本件商標に接する取引者、需要者をして、脳裏に印象付けられるのであり、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。

反対に、その余の「モバイル」の文字部分については、本件商標の指定商品又は指定役務中の例えば、第9類「携帯電話機用コンピュータゲームソフトウェア」、第41類の「オンラインによる携帯電話用ゲームの提供」との関係では、単に商品又は役務の品質又は質を普通に用いられる方法で表す商標というべきものである。

したがって、本件商標の文字部分のうち「モバイル」の部分を除いた「マフィア」の部分が自他商品役務の識別標識としての機能を果たす要部である。

これに対して、引用商標は「MAFIA」の文字から構成されてなるところ、上記1(3)のとおり、「MAFIA」の文字が、申立人によって長年にわたって使用を継続され、我が国において周知著名なものになっているという取引の実情に鑑みれば、引用商標からは構成文字に照応した「マフィア」の称呼とともに、「申立人であるテイクツー インタラクティブ ソフトウェア インク及びその関連会社の提供するゲームソフト又はゲームソフト関連サービス」に関連する商品又は役務を想起、連想する。

そこで本件商標と引用商標とを比較対照して観察すると、まず、本件商標のうち、「マフィア」の部分が需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえるのに対し、「モバイル」部分が本件商標の指定商品又は指定役務との関係で、商品又は役務の品質又は質を表すものであって、自他商品役務の識別機能を有しないことに照らすと、本件商標は「マフィア」との称呼も生じるものといえる。

したがって、本件商標の称呼も、引用商標の称呼「マフィア」と類似する。

また、観念においても、申立人の周知・著名商標を含んでいるところから、「申立人であるテイクツー インタラクティブ ソフトウェア インク及びその関連会社の提供するゲームソフト又はゲームソフト関連サービス」に関連する商品又は役務を想起、連想する点において、観念上も、引用商標と相当程度類似する。

外観については、本件商標の「マフィア」部分は片仮名表記であるのに対し、引用商標は欧文字表記であり、外観において相違はあるものの、文字商標等において、片仮名表記の一部を欧文字表記にすることは一般に行われることであるから、上記の点は、本件における類否を判断するに当たり、重視されるべき要素ではない。

さらに両者は、いずれもゲームソフト又はゲームソフト関連サービス等に関する業務を行うものと考えられるため、取引の実情に照らしても極めて類似性が高いといえ、さらに、その需要者が一般消費者を含むものであって、特別高い注意力をもって常に商標に接するとはいえない点をも考慮すれば、本件商標が引用商標と全体として類似していることは明らかであり、混同を生じさせるおそれが極めて高いものである。

3 商標法第4条第1項第10号について

上記のとおり、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と類似する商標である。

また、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子計算機用ゲームプログラム,コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),記録済みコンピュータプログラム,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),テレビゲーム用プログラムソフトを記憶させたROMカートリッジ,電子計算機,コンピュータ周辺機器,携帯電話機・スマートフォン・携帯情報端末又はコンピュータ用ゲームソフトウェア,ゲーム用ソフトウエア,ビデオゲームプレイ用のダウンロード可能な双方向娯楽用ソフトウエア,コンピュータゲームプレイ用のダウンロード可能な双方向娯楽用ソフトウエア,コンピュータゲームプログラム,娯楽用のコンピュータ用ゲームソフトウエア,ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームソフトウェア,家庭用・業務用・コンピュータ用無線式ゲームソフトウエア,携帯電話機用コンピュータゲームソフトウェア,ビデオゲーム用プログラム」、第41類「オンラインによるゲームの提供,娯楽情報の提供,芸人による演芸の上演,娯楽の提供,教育又は娯楽に関する競技会の企画・運営,会員制による娯楽の提供,会員制による教育の提供,文化又は教育のための展示会の企画・運営,オンラインゲームの提供,ゲームの提供,インターネットによる電子ゲームの提供,オンラインによるコンピュータゲームの提供,オンラインによるコンピュータ用ゲームの提供,オンラインによる携帯電話用ゲームの提供,オンラインによるビデオゲームの提供」は、引用商標が使用される商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと同一又は類似の商品又は役務を指定商品又は指定役務とするものである。

よって、本件商標は、引用商標との関係において、その指定商品又は指定役務中、前記商品及び役務について、商標法第4条第1項第10号に該当する。

4 商標法第4条第1項第11号について

上記のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標である。

また、本件商標の指定商品又は指定役務中、第9類「電子計算機用ゲームプログラム,コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),記録済みコンピュータプログラム,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),テレビゲーム用プログラムソフトを記憶させたROMカートリッジ,電子計算機,コンピュータ周辺機器,携帯電話機・スマートフォン・携帯情報端末又はコンピュータ用ゲームソフトウェア,ゲーム用ソフトウエア,ビデオゲームプレイ用のダウンロード可能な双方向娯楽用ソフトウエア,コンピュータゲームプレイ用のダウンロード可能な双方向娯楽用ソフトウエア,コンピュータゲームプログラム,娯楽用のコンピュータ用ゲームソフトウエア,ダウンロード可能なコンピュータ用ゲームソフトウェア,家庭用・業務用・コンピュータ用無線式ゲームソフトウエア,携帯電話機用コンピュータゲームソフトウェア,ビデオゲーム用プログラム」、第41類「オンラインによるゲームの提供,娯楽情報の提供,芸人による演芸の上演,娯楽の提供,教育又は娯楽に関する競技会の企画・運営,会員制による娯楽の提供,会員制による教育の提供,文化又は教育のための展示会の企画・運営,オンラインゲームの提供,ゲームの提供,インターネットによる電子ゲームの提供,オンラインによるコンピュータゲームの提供,オンラインによるコンピュータ用ゲームの提供,オンラインによる携帯電話用ゲームの提供,オンラインによるビデオゲームの提供」は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似のものである。

よって、本件商標は、引用商標との関係において、その指定商品又は役務中、前記商品及び役務について、商標法第4条第1項第11号に該当する。

5 商標法第4条第1項第15号について

商標法第4条第1項第15号は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標については、商標登録を受けることができない旨規定する。

(1)本件商標と引用商標との類似性の程度について

本件商標は、「マフィアモバイル」の片仮名を標準文字で書してなるものであるが、「マフィア」の文字と「モバイル」の文字は一連に書されているものの、これは既成語ではなく、なじまれた熟語的意味合いを有しないものであり、「マフィア」と「モバイル」との間に、切り離せない密接な関連性があるということはできない。

むしろ、本件商標の構成に含まれる「マフィア」の文字が、上記1(3)のとおり、我が国において周知・著名な商標「MAFIA」を片仮名で記したものであることに鑑みれば、これに接する需要者・取引者をして、本件商標が「マフィア」の文字を顕著に含むことを容易に理解させるだけでなく、これが特に注目されて、強く印象付けられる。

また、本件商標の「マフィア」の部分が需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえるのに対し、その余の「モバイル」部分が本件商標の指定商品又は指定役務との関係で、商品又は役務の品質又は質を表すものであって、自他商品役務の識別機能を有しないことに照らすと、本件商標は「マフィア」の称呼が生じるものといえる。

そうすると、「マフィア」の称呼を共通にするのみならず、そこから「申立人であるテイクツー インタラクティブ ソフトウェア インク及びその関連会社の提供するゲームソフト及びゲームソフト関連サービス」に関連する商品又は役務を想起、連想するので、観念上も、引用商標と類似する。

よって、本件商標と引用商標の類似性は高いといわなければならない。

(2)引用商標の周知著名性及び独創性の程度について

引用商標の著名性については、上記1(3)のとおり、極めて高い。

(3)本件商標と引用商標の指定商品等の性質等における関連性の程度について

上記2のとおり、本件商標の商標権者と申立人は、いずれもゲームソフト及びゲームソフト関連サービス等に関する業務を行うものと考えられる。

よって、上記1(2)に述べた申立人の商品又は役務と実質的に同一の商品又は役務といえるほど、関連性が強い。

(4)需要者・取引者の共通性その他の取引の実情

本件商標の商標権者の取引者・需要者は、紛れもなく、ゲームソフトの利用者やゲームソフト関連サービスの利用者となる。そして申立人もゲームソフトやゲームソフト関連サービス等を提供しておりゲームソフト、ゲームソフトの関連サービスを利用する者をターゲットとしているのであるから、両商標の取引者・需要者は完全に同じとなる。なお、前記したように、本件商標の商標権者の需要者等は、ゲームソフト、ゲームソフト関連サービス等の利用者であり、老若男女を含む一般消費者であって、その注意力の程度は決して高くはない。

申立人が、「MAFIA」、「MAFIA II」、「MAFIA III」、「Mafia:The Old Country」といった「MAFIA」関連のシリーズものを商品展開しているという取引の実情(甲3~甲9)から、本件商標をゲームソフトやゲームソフト関連サービス等に使用した場合には、申立人のマフィアシリーズの商品の1つであると需要者等が誤認するおそれがある。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、その出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

6 商標法第4条第1項第19号について

引用商標が我が国及び外国の需要者間で広く知られた商標であること、さらに、本件商標がその著名な引用商標と類似する商標であることは、上記のとおりである。そこで、本件商標が不正の目的で使用されるものか否かが問題となる。

この点、申立人とは何らの関係を有しない他人が著名な引用商標と類似する本件商標を採択することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、著名商標に化体した信用にただ乗り(フリーライド)することによって得ようとするものであり、同時に、著名商標「MAFIA」に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがある。

してみると、本件商標は不正の目的をもって使用をするものということができる。

以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断

1 引用商標の周知著名性について

(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。

ア 申立人は、1993年に米国で創業されたゲームソフトウェアメーカーの持ち株会社であって、同人の関連会社は、様々なゲームソフトウェア及びその周辺機器の開発・販売事業を営んでいる(申立人の主張)。

イ 申立人は、2002年に、ゲームソフトウェアである「MAFIA」の第1作目を、申立人の子会社(Gathering社)により、北米及びヨーロッパにおいて、Windows版で発売し、2004年にはPlayStation 2版及びXbox版も発売した。我が国においては、2003年に、株式会社ズーから日本語Windows版を発売し、現在もSTEAMにおいて販売している(申立人の主張、甲3)。

ウ 申立人は、2010年に、第2作目の「MAFIA II」を、申立人の子会社(2K Games社)により、北米、オーストラリア、ヨーロッパにおいて、PlayStation 3、Xbox360、Windows向けに発売した。我が国においては、2010年、申立人の子会社(テイクツー社)から発売し、同年にモバイル版も発売した。その後、2011年にはMac OS X版を、2020年にはPlayStation 4、 Xbox One版を全世界で発売し、現在もSTEAMにおいて販売している(申立人の主張、甲4)。

エ 申立人は、2016年に、第3作目の「MAFIA III」を、申立人の子会社(2K Games社)により、我が国を含む全世界において、PlayStation 4、Xbox One、Microsoft Windows向けに発売し、同年には、モバイル版も発売した。その後、2017年にはmacOS版を、2021年にはGoogle Stadia版を発売した(申立人の主張)。

オ 申立人は、2020年に、第1作目「MAFIA」のリメイク作品「Mafia:Definitive Edition」(邦題:マフィア コンプリート・エディション)及び第2作目「MAFIA II」のリマスター作品「Mafia II: Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)を、申立人の子会社(2K Games社)により、PlayStation 4、Windows、Xbox One向けに発売した。また、同年に、第1作目から第3作目までの「MAFIA」全3作の完全版「Mafia:Definitive Edition」(邦題:マフィア コンプリート・エディション)、「Mafia II: Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)及び「MAFIA III」のバージョンアップ版「Mafia III: Definitive Edition」(邦題:マフィアIII コンプリート・エディション)をまとめたパック版「Mafia:Trilogy」(邦題:マフィア トリロジー)のデジタル版の配信及びパッケージ版の販売も開始し、これらの各作品及びパック版は、現在もSTEAMにおいて販売している(甲5~甲8)。

カ 2025年8月8日に最新作の「Mafia:The Old Country」(邦題:マフィア:オリジン~裏切りの祖国)が、申立人の子会社(2K Games社)により、PlayStation 5、Windows、Xbox Series X/S向けに発売された。本作は、STEAM、PlayStation Store、MICROSOFT STOREにおいて販売している(甲9)。

キ 第1作目「MAFIA」の売上げは、全世界で200万本以上(甲10)、第3作目「MAFIA III」の売上げは、2020年5月までに全世界で700万本以上(甲11~甲14)、パック版「Mafia:Trilogy」の売上げは、2020年11月までに全世界で200万セット以上(甲15~甲18)である。全世界における「MAFIA」シリーズの累計販売本数は、2020年10月までに1,890万本である(甲19、甲20)。最新作の「Mafia:The Old Country」は、発売から4日で全世界で80万本以上を売上げた(甲21)。

ク 2010年以降に我が国で販売された「MAFIA」シリーズの本数は、「MAFIA」が23,761本、「MAFIA II」が21,176本、「MAFIA III」が225,348本、「Mafia Trilogy」が23,039本で、合計293,324本である(申立人の主張)。

ケ 第1作目「MAFIA」は、米国のマーケットリサーチカンパニーであるThe NPD Group, Inc.が提供するコンピュータゲームの週間売上げランキングにおいて、2002年9月の発売初週6位であり(甲22、甲23)、本作は、米国のテレビゲーム関連のニュースサイトであるGameSpotによる「2002年度ベストアンドワースト」において、コンピュータゲームの部でベストミュージック賞を受賞した(甲24、甲25)。イギリスでは、本作は合計10万本以上を売上げ、European Leisure Software Publishers Association(ELSPA)(現:The Association for UK Interactive Entertainment)のセールスアワードで銀賞を受賞した(申立人の主張、甲26、甲27)。ドイツにおいては、2002年の発売初週に4万本以上を売上げ、また、ドイツ・オーストリア・スイスで10万本以上を売上げたことで、The Verband der Unterhaltungssoftware Deutschland(ドイツ・エンターテインメントソフトウェア協会)によるVUD-SALES-AWARDにおいて金賞を受賞した(甲28、甲29)。

コ 第3作目「MAFIA III」は、イギリスにおいて、2016年10月の発売初週のセールスチャートで2位であり(甲30~甲33)、我が国においては、同年同月の発売初週に15,000本以上を売上げ、週間ランキングにおいて9位であった(甲34)。

サ 「Mafia:Definitive Edition」は、イギリスにおける2020年9月の発売初週のセールスランキングにおいて3位であり、「Mafia:Trilogy」はイギリスにおける同年同月の発売初週のセールスランキングにおいて6位であった(甲35~甲38)。

シ 「MAFIA」シリーズは、我が国において、ウェブサイトや雑誌等に記事として取り上げられている(甲39~甲69)。

ス 申立人は、広告宣伝活動として、2010年及び2016年のElectronic Entertainment Expo(E3)(米国ロサンゼルス開催)、2009年及び2016年のgamescom(ドイツ開催)及び2016年の東京ゲームショウ(東京開催)において、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、これら出展は、インターネット上の記事に掲載されている(甲70~甲82)。

(2)上記(1)によれば、「MAFIA」の名称を使用したゲームソフトウェアの第1作目「MAFIA」が2002年に発売されて以降、第2作目「MAFIA II」、第3作目「MAFIA III」、これらのリメイク作品、完全版等が発売され、2020年10月までの全世界における「MAFIA」シリーズの累計販売本数は、1,890万本である。なお、最新作の「Mafia:The Old Country」は、本件商標の登録査定後に発売されている。

我が国においては、2010年以降に販売された「MAFIA」シリーズの本数は約29万本あり、2016年に販売された第3作目「MAFIA III」は、発売初週の売上げで週間ランキング9位であった。

また、「MAFIA」シリーズは、我が国において、ウェブサイトや雑誌等に記事として取り上げられていることがうかがえる。

以上を踏まえれば、「MAFIA」の欧文字からなる引用商標は、ゲームソフトウェアに使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして、我が国の需要者の間に一定程度知られていることがうかがえる。

しかしながら、「MAFIA」の名称を使用したゲームソフトウェアの販売本数が一定程度あるとしても、我が国のゲーム業界における、当該販売本数の規模や、市場シェア等は不明であって、また、2016年に販売された第3作目「MAFIA III」の週間ランキングについても、発売初週という限定的な期間のランキングであるから、引用商標が、我が国の需要者の間にどの程度認識されているのか把握することはできない。

したがって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

2 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標

本件商標は、「マフィアモバイル」の文字を標準文字で表してなるところ、同書、同大、等間隔で表されており、全体として外観上まとまりよく一体に表されており、その構成文字から生じる「マフィアモバイル」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものである。

また、本件商標を構成する「マフィア」と「モバイル」の片仮名は、ゲームに関する分野において、前者がゲームの題材を表す語として、また、後者が携帯性のある商品であることを表す語として、それぞれ使用されることがある語といえ、それぞれの意味において軽重の差は見いだせないから、「マフィアモバイル」の構成文字が一体のものと理解、認識されるとみるのが相当である。

さらに、本件商標は、「マフィア」と「モバイル」の語を結合したものであるとしても、これらの2語を結合することにより、親しまれた観念を生じるものではないことから、構成全体をもって、特定の観念を生じることのない造語として認識されるものである。

そうすると、「モバイル」の語が、ゲームに関する分野において自他商品役務の識別標識としての機能が弱いものであるとしても、かかる構成よりなる本件商標にあっては、「マフィアモバイル」の構成文字が一体不可分のものとして理解、認識されるものというべきである。

さらに、本件商標の構成中の「マフィア」の文字部分のみが独立して、自他商品役務の識別標識として認識されるものとみるべき特段の事情は見当たらない。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「マフィアモバイル」の一連の称呼のみを生じるものであって、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標

引用商標は、上記第2のとおり、「MAFIA」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は「マフィア」の意味を有する平易な英語であることから、当該文字に相応して、「マフィア」の称呼及び観念を生じる。

また、上記1(2)のとおり、引用商標が申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして、我が国の需要者の間に一定程度知られていることを考慮すれば、「申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念をも生じる場合がある。

(3)本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標を比較すると、外観については、片仮名と欧文字の相違、「モバイル」の片仮名の有無において、明らかに相違するものであるから、外観において相紛れるおそれはない。

次に、称呼については、本件商標から生じる「マフィアモバイル」の称呼と引用商標から生じる「マフィア」の称呼とは、「モバイル」の音の有無の差異を有し、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、これらをそれぞれ一連に称呼しても聴別でき、称呼上、相紛れるおそれがない。

さらに、観念については、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「マフィア」の観念が生じ、また「申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念を生じる場合があるものであるから、観念においても相紛れるものではない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者は非類似の商標というのが相当である。

(4)小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標ではないから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第10号について

上記1(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして、我が国の需要者の間に一定程度知られているとしても、広く認識されているとはいえず、また、本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第15号について

本件商標の指定商品及び指定役務は、コンピュータゲームに関連する商品又は役務が含まれていることから、申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)との関連性の程度は高く、取引者及び需要者を共通にする場合がある。

しかしながら、引用商標は、申立人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして、我が国の需要者の間に一定程度知られているとしても、上記2(2)のとおり、「マフィア」の意味を有する既成語であるから、その独創性は高いものとはいえず、なにより、本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、非類似の商標である。

そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして申立人の業務に係る商品を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

5 商標法第4条第1項第19号について

本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、非類似の商標である。

また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものということはできないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

6 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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