結論テキスト
登録第6957394号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900213 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6957394号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年5月17日に登録出願、「電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類、第36類、第41類ないし第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同7年7月24日に登録査定され、同年8月14日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1667849号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2022年(令和4年)4月6日に国際商標登録出願、第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、令和5年5月19日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、第35類、第41類及び第42類に属する全指定役務について、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証(以下、証拠の記載にあたっては、甲第○号証を甲○のように記載する。)を提出した。
本件商標と引用商標は、どちらも、直角に交わった2つの直線を組み合わせて構成された四角形の外枠の中に正円が配置された構成となっており、外観が類似する(甲1、甲2)。
また、両商標ともに、一見して、「カメラ」を想起させる図形となっており、観念も類似する。
両商標には文字は含まれないため、称呼は生じないが、外観及び観念が類似することから、本件商標と引用商標は類似する。
このため、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
なお、本件商標と引用商標では背景の色彩が白と黒で異なってはいるが、商標の背景の色を異なった色で使用するといったことは商取引上、一般に広く行われているものであって、当該色彩の差異があることにより、商標の外観の全体的印象が紛らわしくなくなる、といったことは考えられない。
また、本件商標と引用商標とでは、正円の周りに配置された四角形の図形部分について、右上部分と左下部分が曲線となっているかいないか、また左上部と右下部に突出部分があるかないか、といった一定の相違点はあるが、どちらも左上と右下部分に短い断線部(空白)があるといった顕著な特徴は共通しており、商標の全体的な印象といった観点から考えると、その他の差異点は微細な差異にすぎず、本件商標と引用商標の外観は大変に似通っている。
そして、本件商標と引用商標の指定商品(役務)は、第35類「電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」において抵触している。
以上から、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
申立人は、2023年5月19日付けで引用商標について商標登録をしたものであるが、これまでも同引用商標を「InShot-Video Editor」というアプリケーションソフトウェアのダウンロード販売に使用してきており、その累計のダウンロード実績は、「App Store」で2025年9月11日現在、2億2,700万件、「Google Play」で7億1,900万件に及ぶ。
また、アプリケーションソフトのダウンロードランキングでもかなりの上位にあること、アプリケーションソフトの評価も概ね良好であることも分かる(甲5~甲13)。
加えて、評価の良いアプリケーションとしてこれまでも様々な賞の受賞歴があり、また、日本以外の世界各国でも商標権を取得し、国際的にも広く知られているものである(甲14~甲31)。
したがって、本件商標が、本件指定商品(役務)について使用された場合には、当該指定商品(役務)の分野の需要者が、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、外観は大変に似通っており、また、一見して、「カメラ」を想起させる図形となっており、観念も類似する。両商標には文字は含まれないため、称呼は生じないが、外観及び観念の2点が類似することから、本件商標と引用商標は類似する。
また、その指定商品(役務)も「電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」において抵触している。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が本件指定商品(役務)に使用された場合、その商品(役務)の需要者が、申立人の業務に係る商品(役務)と出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、申立人の事業概要(会社紹介、アプリ情報・リンク等)を証する証拠(甲4 印刷日不明、内容には本件商標の登録査定後の事情を含む。)を提出し、同証拠によれば、引用商標は、写真・動画編集分野のモバイルアプリ「InShot-Video Editor」に使用され、当該アプリは、日本のGoogle Playストアにおいて、写真カテゴリーで第4位にランクインし、2025年9月時点で、日本国内のダウンロード数は391万回以上、世界全体で7億1,900万回以上を記録している。そして、当該アプリの日本での評価は、5点満点中、4.8点と高評価を得ている。さらに、日本のApp Storeにおいて、写真カテゴリーでトップ15にランクインし、2025年9月時点で、日本国内のダウンロード数は1,150万回以上、世界全体で2億2,700万回以上を記録している。加えて、日本での評価は、5点満点中、4.75点と高評価を得ているとされる。
イ 申立人は、App Store及びGoogle Playにおいて、引用商標が使用されたアプリケーションソフト(以下「引用アプリ」という。)のダウンロードランキング及びその評価が良好であるとする分析データ(甲5~甲13)を提出している。
ウ 引用アプリは、2016年に「Google Best of 2016」受賞、2020年に「InShot MIDC2020」受賞、そして、ViVOから「InShot」が表彰され、Google Playにおいては、「InShot」が「Editor’s Choice」に選出されている(甲14~甲17、申立人の主張)。
エ 引用商標は、海外の複数の国において商標登録されている(甲18~甲31)。
(2)判断
上記(1)で認定した事実によれば、引用商標は、申立人の「写真・動画編集アプリ」の商品名である「InShot-Video Editor」の文字と併用されている証拠が複数認められる。また、引用商標が使用された引用アプリは、相当数ダウンロードされ高評価を得ていること、また、引用アプリは、複数の賞を受賞し、さらに、引用商標は、各国で商標登録されていることが認められる。
以上のことから、申立人の引用商標は、「InShot-Video Editor」又は「InShot」等(以下、「InShot」という。)の文字とともに使用されている実情がうかがわれ、引用商標のみで使用されているかは明確とはいえない。そして、申立人の事業概要におけるダウンロード数及びその評価(甲4)は、本件商標の登録査定後のものであり、また、分析データ(甲5~甲13)については、提出された各証拠には翻訳がなく、各証拠の詳細な内容について明確とはいえない。
そして、受賞歴については、「InShot」の文字がトロフィーに表示されているものもあり、引用商標との関係において、具体的に何が評価されての受賞なのかが不明である。さらに、海外の複数の国で商標登録されていることは、周知著名性を根拠付ける直接の証拠とはならない。
そうすると、引用商標は、「写真・動画編集アプリ」を表示するものとして、日本国内の需要者の間に一定程度認識されていることはうかがえるとしても、当該アプリの名称である「InShot」の文字とともに使用され、引用商標が単独で使用されているとは限らず、当該アプリ等の市場における申立人のシェア、広告宣伝等の費用、期間、地域及び規模等の証明もないことからすると、日本国内及び外国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
したがって、引用商標の周知著名性の程度は低いといわなければならない。
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、赤色の四角形状の枠及びその枠内中央に赤色の輪郭線からなる円図形を配してなるところ、前記赤色枠内の左上隅及び右下隅の一部が開口した形状となっている。そして、当該図形は一般に親しまれた事物を表したものということはできないから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、黒色に近い灰色の正方形内に、白色の角丸四角形状の枠を基調とし、左上隅と右下隅の枠線が一部開口した形状からなり、当該枠内の中央には白色の輪郭線からなる円図形が配されている。そして、前記角丸四角形状の左上隅と右下隅の枠線は交差しているかのように枠線の一部が外側に伸びた形状からなる図形である。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標を比較すると、両者の外観は、上記(1)及び(2)のとおり、全体として図形の中央部分に、赤色又は白色の輪郭線からなる円図形を配してなるものであるが、本件商標の円図形を取り囲む枠線の左上隅と右下隅の一部が開口し、その枠線の両端は角張っており、右上及び左下の角も直角となっている。一方、引用商標の角丸の枠線は左上隅と右下隅が一部開口し、その枠線の一部が縦横に突起した形状となっていることから、両者は、色彩の差異もあいまって、全体から受ける視覚的印象が異なる。
そうすると、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
また、本件商標と引用商標は、いずれも称呼及び観念は生じないから、これらを比較することはできない。
なお、申立人は、商標の背景色の違いは、商取引の実情では色は変えて使用することは広く一般的であることから、色彩の差異があることにより、商標の外観の全体的印象が紛らわしくなくなるといったことは考えられず、また、引用商標の円図形を取り囲む枠線も左上部と右下部に突出部分があるからといって全体的な印象からすると、微細な差異にすぎない旨主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりであって、全体の構成からすれば、両者の視覚的印象は異なるものというのが相当であるから、申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において比較することができないとしても、外観においてその印象が異なり、相紛れるおそれのないものであるから、その外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考慮すれば、十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
(4)小括
本件商標と引用商標は、上記(3)のとおり、非類似の商標であるから、本件商標の指定役務が、引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含むとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているとはいえない。
そして、本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標の指定役務と申立人の引用商標が使用される商品との関連性及び需要者の共通性等を考慮しても、本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起することはなく、その役務が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、他に本件商標の登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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