結論テキスト
登録第6957666号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900223 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6957666号商標(以下「本件商標」という。)は、「Emerald Hop」の文字を標準文字で表してなり、令和7年2月18日に登録出願、第32類「ビール」を指定商品として、同年7月28日に登録査定、同年8月14日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標(以下「引用商標」という場合がある。)は、以下の(1)ないし(3)のとおりであり、これらの商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1795139号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「COLOMBIA」及び「EMERALD MOUNTAIN COFFEE」の文字を上下二段に横書きしてなるもの
指定商品:第30類「コロンビア産のコーヒー」及び第32類「コロンビア産のコーヒーシロップ」
登録出願日:昭和46年12月10日
設定登録日:昭和60年 7月29日
書換登録日:平成19年 3月14日
(2)登録第4473885号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「EMERALD MOUNTAIN」の文字を標準文字で表してなるもの
指定商品:第30類「焙煎したコーヒー豆,コーヒー豆をひいて液体状にしたものを濃縮して凍らせたコーヒー,その他のコーヒー及びココア,コーヒー豆,コーヒーゼリー,その他の菓子及びパン,コーヒーゼリーのもと,コーヒーを使用した即席菓子のもと,コーヒーシュガー」及び第32類「コーヒーシロップ,その他の清涼飲料,果実飲料,コーヒー入り乳清飲料」
登録出願日:平成12年 1月25日
設定登録日:平成13年 5月11日
(3)登録第5302830号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲のとおり
指定商品:第30類「代用コーヒー,焙煎して挽いたコーヒー,コーヒー飲料,その他のコーヒー,コーヒー豆,コーヒーを使用してなるペストリー,コーヒーを使用してなるその他の菓子及びパン,コーヒーを使用してなる穀物調整品,コーヒーを使用してなるその他の穀物の加工品,コーヒー香味料(精油のものを除く。)」
登録出願日:平成21年 7月 7日
設定登録日:平成22年 2月19日
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(以下「甲○」(○は数字)という。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の周知著名性
(ア)引用商標の権利者の概要について
引用商標の権利者「フェデラシオン・ナショナル・デ・カフェテロス・デ・コロンビア(Federacion Nacional de Cafeteros de Colombia、以下「FNC」という。なお、「Federacion」の「o」の文字には、アキュート・アクセントが付されている。)」は、スペイン語で「コロンビアコーヒー生産者連合会」を意味し、1927年にコロンビアのコーヒー生産者により設立された民主的な農業関連組織であり、コーヒー品質管理及び輸出を行う団体である。現在、56万以上のコーヒー生産者が加盟しており、コーヒーの安定生産と生産者の生活向上を目的として活動するとともに、コロンビアコーヒーの国際的評価向上に努めている(甲5)。
日本においては、1961年に東京事務局を設立し、以来60年以上にわたりコロンビアコーヒーの品質管理、取引及び消費促進活動を継続して行っている(甲6)。
(イ)引用商標について
「EMERALD MOUNTAIN」は、FNCが1970年に日本市場向けに導入した高品質コーヒーの認定ブランドであり、以後半世紀以上にわたり継続して使用されている。
このブランドは、FNC独自の厳格な品質基準のもと、全コロンビアコーヒーのうち1~3%未満という極めて限定された豆のみが「エメラルドマウンテン」として認定される制度に基づき、その名称は、宝石であるエメラルドの希少性と、産地であるアンデス山脈を象徴して名付けられたものである(甲7)。
(ウ)引用商標の周知・著名性について
「EMERALD MOUNTAIN」コーヒーは、1970年に開催された日本万国博覧会において、初めて日本で紹介・販売され、同博覧会での好評を受け、同ブランドは日本市場におけるコロンビアコーヒーの代表的認定規格として正式に採用され、翌1971年に商標登録出願(甲2)が行われた。
以来、日本市場において継続して「EMERALD MOUNTAIN」が使用され、1989年には三菱商事株式会社の協力のもと、高級ライン「プレミアムエメラルドマウンテンコーヒー」が発売された。当初は、高島屋や伊勢丹などの百貨店で贈答用の高級コーヒーとして販売され、製品発売会見や百貨店や駅でのキャンペーンなど、大規模な広告宣伝活動が行われた(甲8)。
その後、全国の焙煎業者やコーヒーショップが同ブランド豆を取り扱うようになり、現在では47都道府県全てに販売店舗が存在する(甲9)。
さらに、「EMERALD MOUNTAIN」を使用した商品は多岐にわたり、中でも日本コカ・コーラ株式会社の缶コーヒー「ジョージア エメラルドマウンテンブレンド」は1994年の発売以来、累計出荷本数が210億本を超えている(甲10、甲11)。
このように、「EMERALD MOUNTAIN」は、日本国内において、焙煎豆、高級ギフト商品、缶コーヒーなど多様な形態で販売されており、コーヒー取引者及び一般需要者の双方に広く認識された著名商標である。
したがって、「EMERALD MOUNTAIN」は、長年の使用実績及び全国的な販売実態により、日本のコーヒー市場において極めて高い周知・著名性を有する商標である。
イ 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、「Emerald Hop」の標準文字からなり、その構成中の「Emerald」は英語で「エメラルド(宝石の一種)」を意味し、「Hop」はビールの原料として一般に知られる「ホップ」を意味する語である。
一方、引用商標は、構成中の「EMERALD」は同様に宝石のエメラルドを意味し、需要者に強い印象を与える要部である。
両商標は、いずれも構成の前半部分に「EMERALD」の語を共通に有しており、この語が取引者及び需要者にとって最も印象的な部分として支配的に把握される。
したがって、全体としては後半に異なる語(「HOP」/「MOUNTAIN」)が付加されているものの、共通する「EMERALD」部分の共通性により、外観及び観念において共通の印象を与え、全体として相紛らわしい印象を生ずる類似の商標である。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標の業務の関連性
本件商標の指定商品は第32類「ビール」であり、引用商標の指定商品は第30類「コーヒー飲料、焙煎したコーヒー豆」等であって、両者はいずれも飲料又はその原料として取引され、消費目的や用途に共通性を有する。
特に日本では、アルコール飲料とノンアルコール飲料が同一又は関連企業によって製造・販売されることが一般的であり、飲料市場全体が密接に関連している。
したがって、ビールとコーヒー飲料は、商品の性質及び取引分野において一定の関連性を有しており、このような市場構造のもとでは、両商標が同一又は類似する標章を用いて使用された場合、需要者が出所を関連付けて認識する可能性が高い。
エ 取引者又は需要者の共通性
ビール及びコーヒー飲料は、いずれも一般消費者を主要な需要者とし、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、自動販売機等の同一販売経路を通じて広く流通しており、取引者も、飲料卸売業者や小売業者など共通する事業者が多く存在する。
引用商標「EMERALD MOUNTAIN」は、コロンビア産の高品質コーヒーとして長年日本市場で親しまれており、プレミアムラインの飲料ブランドとして確立している。
一方、本件商標「Emerald Hop」がビールに使用された場合、その販売形態や価格帯を問わず、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、飲食店等の一般的な飲料の流通経路を通じて広く一般消費者に接触する。
したがって、本件商標が使用される際には、引用商標が使用されている飲料分野と同一又は近接する市場において、同一の需要者層に認識される。
オ 混同のおそれ
引用商標「EMERALD MOUNTAIN」は、日本において長年使用されてきた著名なコーヒーブランドであり、その顕著な構成要素「EMERALD」は、飲料分野における高品質・信頼性の象徴として広く認識されている。
一方、本件商標「Emerald Hop」は同一の要部「EMERALD」を含み、全体として「EMERALD」ブランドの新たな派生商品を想起させる。
飲料分野では、同一又は関連会社がアルコール飲料とノンアルコール飲料を共通ブランドで展開する事例が一般的であり、需要者はブランドの共通要素から企業グループ間の関係を連想しやすい。
さらに、「EMERALD MOUNTAIN」がプレミアム飲料として広く認知されていることから、同一要部を含む「Emerald Hop」が使用された場合、需要者は「EMERALD MOUNTAIN」ブランドの新たなビール商品又は関連会社による製品と誤認するおそれが高い。
よって、本件商標は引用商標と類似し、商品の関連性及び需要者の共通性を総合的に考慮すれば、出所の混同を生ずるおそれが極めて高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号における「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性
ア 引用商標の国内外での周知著名性
引用商標「EMERALD MOUNTAIN」は、上記(1)アで述べたとおり、日本国内において長年継続して使用され、コーヒー豆、コーヒー飲料等を通じて広く需要者に認識された著名商標である。
さらに、権利者であるFNCは、アムステルダム、東京、北京及びニューヨークに拠点を有し、国際市場においてコロンビアコーヒーの品質管理及び販売促進を行っており(甲5)、また、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、欧州連合、インドネシア、ニュージーランド、英国及びカナダといった複数の国・地域において「EMERALD MOUNTAIN」又はこれに類似する商標を登録している(甲12)。
これらの事実から、引用商標は日本国内における著名性に加え、国際的にも保護対象として認識される周知商標であると評価される。
イ 本件商標と引用商標の類否
前記(1)イで述べたとおり、本件商標「Emerald Hop」と引用商標「EMERALD MOUNTAIN」は、いずれも「EMERALD」の語を共通要素として有し、その共通部分が取引者及び需要者に支配的な印象を与えることから、外観及び観念の点において類似し、全体として相紛らわしい印象を与える。
ウ 不正の目的
引用商標「EMERALD MOUNTAIN」は、日本において長年広く使用され、著名なコーヒーブランドとして一般需要者及び取引者に広く認識されていることから、我が国の飲料業界関係者が上記商標の存在を知らずに「Emerald Hop」を出願したとは考え難い。
本件商標の構成中には、引用商標の顕著な要部である「EMERALD」の語がそのまま採用され、これに飲料分野に関連する語「HOP」が結合されている。
このような構成は、著名ブランド「EMERALD MOUNTAIN」の信用及び顧客吸引力に便乗し、自社商品の販売促進の意図があったものと推認される。
また、引用商標の著名性はコーヒー飲料分野にとどまらず、飲料全般に広く浸透していることから、本件商標の採択が偶然の一致であるとは考え難い。
以上より、本件商標の出願は、他人の著名商標の信用に便乗して不当な利益を得る目的、又は他人の業務に損害を及ぼす目的をもってされたものと推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号における「他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするもの」に該当する。
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。
引用商標の権利者(以下「引用商標権者」という。)FNCは、1927年にコロンビアのコーヒー生産者により設立されたコーヒー輸出を行う団体であり、日本においては、1961年にFNC東京事務局を設置し、以降、60年以上にわたり高品質なコロンビアコーヒーの安定生産、取引及び消費促進活動を継続して行っている(甲5、甲6)。
「EMERALD MOUNTAIN」コーヒーは、全コロンビアコーヒーのうち1%~3%未満(コロンビアのコーヒー生産量と、そのときに収穫された豆の状態によって変化する。)という最高級なコーヒー豆であり、日本において、1970年に開催された日本万国博覧会で紹介・販売され、以降、継続して販売されており、現在では47都道府県全てに販売店舗が存在すること(甲7~甲9)、及び「EMERALD MOUNTAIN」は日本国内において複数の事業者によって販売されているところ、特に「EMERALD MOUNTAIN」を使用した日本コカ・コーラ株式会社の缶コーヒー「ジョージア エメラルドマウンテンブレンド」は1994年の発売以来、累計出荷本数が210億本を超えている(甲10、甲11)ことなどから、「EMERALD MOUNTAIN」の表示は、FNCの生産するコロンビア産コーヒー豆の中でも最高級のコーヒー豆を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に一定程度知られているといえる。
なお、引用商標の権利者であるFNCは、アムステルダム、東京、北京及びニューヨークに拠点を有し、国際市場において高品質なコロンビアコーヒーの安定生産及び販売促進を行っており(甲5)、また、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、欧州連合、インドネシア、ニュージーランド、英国及びカナダといった複数の国・地域において「EMERALD MOUNTAIN」又はこれに類似する商標を登録している(甲12)ことをもって、外国において著名性を有していることを主張する。
しかしながら、日本以外での海外での拠点の数は3カ所のみであり、また、海外での取引量や売上高などの数値が不明であること、複数の国・地域で商標登録していることのみをもって、著名性を有しているとは認められない。
そして、申立人の主張及び同人が提出した証拠のみによっては、「EMERALD」の文字が単独で使用されている事実、及び「EMERALD MOUNTAIN」の表示が、単に「EMERALD」と略称されて使用されている事実は確認できず、また、他に「EMERALD」の文字のみが、引用商標権者の生産するコーヒー豆を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていることが把握できる証拠の提出もない。
したがって、「EMERALD」の文字単独では、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標権者の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
上記(1)のとおり、引用商標を構成する「EMERALD MOUNTAIN」は、引用商標権者の業務に係る商品の需要者の間に一定程度知られていることがうかがえるが、「EMERALD」の文字単独では、引用商標権者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
(ア)本件商標について
本件商標は、「Emerald Hop」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「Emerald」の文字が「エメラルド。翠玉。」等を、「Hop」の文字が「片足跳び。ホップ(ホップの乾燥した球花; ビールの苦味・芳香料などに用いる)」等(いずれも出典は「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)をそれぞれ意味する語であるとしても、その構成文字全体は、同書、同大、同色で、外観上まとまりよく一体的に表されており、また、これより生ずる「エメラルドホップ」の称呼も8音と冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標のかかる構成及び称呼においては、構成全体をもって一体不可分の造語を表したものとして認識、把握され、取引されるとみるのが自然であるから、本件商標は、その構成文字に相応して、「エメラルドホップ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標1について
引用商標1は、「COLOMBIA」及び「EMERALD MOUNTAIN COFFEE」の文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成中「COLOMBIA」の文字は国名の「コロンビア」を、「EMERALD」の文字は「エメラルド。翠玉。」等を、「MOUNTAIN」の文字は「山。...山脈。」等を、「COFFEE」の文字は「コーヒー。コーヒー豆」等(いずれも出典は「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)をそれぞれ意味する語である。
そして、「COLOMBIA」の文字部分は、上記国名を表す語であって、国名は、一般に自己の取扱に係る商品の産地、販売地を表すものとして採択使用されているものであり、また、「COFFEE」の文字部分は、引用商標1の指定商品との関係において、商品の普通名称又はその原材料として一般に用いられているものであるから、「COLOMBIA」及び「COFFEE」の文字部分は出所識別標識としての称呼、観念が生じるということはできない一方で、上述の意味を有する「EMERALD」及び「MOUNTAIN」の文字は、引用商標1の指定商品との関係において、例えば、商品の品質や原材料を表すなど、自他商品識別力を有しないという理由は見いだせない。
そうすると、引用商標1は、これをその指定商品について使用するときは、その構成中「EMERALD MOUNTAIN」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができるから、該文字部分を抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。
してみれば、引用商標1は、その要部である「EMERALD MOUNTAIN」の文字部分に相応して、「エメラルドマウンテン」の称呼を生じるものである。
そして、上記(1)のとおり、「EMERALD MOUNTAIN」は、引用商標権者の業務に係る商品の需要者の間で一定程度知られているブランド名であることから、引用商標1からは「引用商標権者の商品ブランド「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」」ほどの観念が想起されるというのが相当である。
(ウ)引用商標2について
引用商標2は、「EMERALD MOUNTAIN」の文字を標準文字で表してなるところ、上記(イ)のとおり、その構成文字に相応して、「エメラルドマウンテン」の称呼及び「引用商標権者の商品ブランド「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」」ほどの観念を生じるものである。
(エ)引用商標3について
引用商標3は、別掲のとおり、エメラルドの宝石と思しき図形を背景に「EMERALD MOUNTAIN」の文字を横書きしてなるところ、上記(イ)のとおり、その構成文字に相応して、「エメラルドマウンテン」の称呼及び「引用商標権者の商品ブランド「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」」ほどの観念を生じるものである。
(オ)本件商標と引用商標の比較について
本件商標と引用商標を比較すると、本件商標と引用商標は上記(ア)ないし(エ)のとおりの構成よりなるところ、外観について、本件商標と引用商標1とは、全体の外観において相違し、引用商標1の要部との比較においても、「Emerald(EMERALD)」の文字のつづりを共通にするものの、本件商標が「Hop」の文字を有し、引用商標1が「MOUNTAIN」の文字を有することの差異に加え、一部の構成文字について大文字と小文字の差異がある。
本件商標と引用商標2とは、本件商標が「Hop」の文字を有し、引用商標2が「MOUNTAIN」の文字を有することの差異に加え、一部の構成文字について大文字と小文字の差異がある。
本件商標と引用商標3とは、本件商標が「Hop」の文字を有し、引用商標2が「MOUNTAIN」の文字及びエメラルドの宝石と思しき図形を有することの差異に加え、一部の構成文字について大文字と小文字の差異がある。
そうすると、これらの差異が看者に与える影響は、決して小さいものとはいえないから、本件商標と引用商標は、外観上、明確に区別し得るものである。
次に、称呼について、本件商標から生じる「エメラルドホップ」と引用商標から生じる「エメラルドマウンテン」とは、前半の「エメラルド」の音を共通にするものの、後半の「ホップ」及び「マウンテン」の音の差異が相違し、これらを一連に称呼しても語調、語感等が異なり、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念について、本件商標と引用商標とは、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標は、「引用商標権者の商品ブランド「EMERALD MOUNTAIN(エメラルドマウンテン)」」ほどの観念を生じ得るものであるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
以上よりすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低いといえる。
ウ 独創性の程度について
引用商標を構成する「EMERALD MOUNTAIN」の文字は、引用商標権者の商品ブランドといい得るものの、それを構成する「EMERALD」及び「MOUNTAIN」は、本来、「エメラルド。翠玉。」等及び「山。山岳。」等をそれぞれ意味する英語として我が国において一般に知られ、使用されている既成語であって、創作された語ではなく、それらを結合したにすぎないものであるから、独創性が高いとはいえない。
エ 出所の混同のおそれについて
引用商標を構成する「EMERALD MOUNTAIN」の文字は、引用商標権者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間で一定程度知られているものであることがうかがわれ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の関連性の程度及び需要者の共通性を考慮したとしても、「EMERALD」の文字単独では、引用商標権者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとはいえず、本件商標と引用商標の類似性の程度は低く、独創性の程度が高いともいえない。
そうすると、本件商標権者が、本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(引用商標権者)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(2)イ(オ)のとおり、本件商標と引用商標は、類似する商標ではなく、上記(1)のとおり、「EMERALD」の文字単独では、引用商標権者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
そうすると、引用商標を構成する「EMERALD」の文字単独では、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものではなく、また、本件商標は引用商標と類似する商標でもなく、不正の目的をもって使用をするものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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