結論テキスト
登録第6961623号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900226 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6961623号商標(以下「本件商標」という。)は、「OOFOS」の欧文字を標準文字で表してなり、令和6年11月28日に登録出願、第28類「クリスマスツリー用ろうそく立て,積み木(おもちゃ),カーニバル用面,合成材料製クリスマスツリー,ゲーム機用コントローラー,おもちゃ用コントローラー,業務用ゲーム機、ゲームおもちゃ,ジグソーパズル,面(おもちゃ),水泳用プール(おもちゃ)」を指定商品として、同7年7月8日に登録査定、同年8月27日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第5458173号商標(以下「引用商標」という。)は、「OOFOS」の文字を標準文字で表してなり、平成23年6月16日に登録出願、第25類「履物及び運動用特殊靴,履物の底及び運動用特殊靴の底」を指定商品として、同年12月16日に設定登録され、令和3年6月23日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
(1)引用商標の周知性
ア 申立人について
申立人ウーフォス インコーポレイテッド(Oofos,Inc)は、2011年に設立され、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ブレインツリーに本社を置き、リカバリーフットウェアを製造する多国籍企業である(甲3)。
申立人は、関節への負担を軽減することを目的としたリカバリーサンダル、シューズ、スリッパなど、男女を問わず多様なスタイルの商品を開発・製造している。その商品本体に引用商標を付して販売を行っている。
現在、申立人の商品は数多くの国において販売されており、日本においても2017年より販売を開始し、更に2018年2月から現在に至るまで、代理店を通じて全国において販売されている(甲4)。
イ 引用商標の使用状況、使用された商品について
申立人の引用商標は、世界初のリカバリーサンダルブランドである。「リカバリーサンダル」とは、運動等の後に履くことで疲れた足のリカバリー(回復)を促すサンダルのことであり、申立人の独自の技術により、一般的なEVA素材のソールに比べて衝撃を37%抑えることができ、足や関節への負担を軽減することができる(甲5)。
申立人による商品はアメリカ発祥であるが、日本における代理店による発案で、甲高な日本人の足に対応したモデルも製作されている。当初、初年度(2018年)には4万足の販売を目指していたところ、その高い機能性、快適な履き心地により大きな反響を呼び、予想をはるかに超える12.2万足の販売実績を記録した。
申立人はサンダルのみならず、スリッパ、スポーツシューズ、ブーツなど、様々なバリエーションを開発・販売してきたが、これらの商品に引用商標を一貫して使用しており、商品の本体にも「OOFOS」の文字を明確に表示し、需要者に強く訴求している(甲6)。このように、申立人の長年の努力により、引用商標「OOFOS」という名称のもとに統一感のある膨大な商品群が形成され、需要者における認知度が更に高くなり、日本市場におけるブランドが確立されている。
それ以後も、申立人による引用商標が使用された商品の販売実績と売上は順調に伸びている。日本における販売実績(カッコ内は売上)は、2018年の約12.2万足(約3.56億円)から、2021年には約21.5万足(約6.28億円)、2024年に至っては約85万足(約25億円)にも達している。わずか6年間で、販売数も売上額も約700%という驚異的な成長率を記録し、同種商品の分野において他に類を見ない爆発的な実績である(申立人の主張、甲7)。
また、流通経路についても、スポーツ用品ショップ、ファッションショップ、総合小売店、生活雑貨・日用品ショップ、Amazonや楽天市場を含むネット通販サイトのように、多種多様なチャンネルにおいて展開されている。運動に関心の高い需要者はもちろん、広く一般の消費者にとっても「OOFOS」は身近な存在となっており、どこでも気軽に「OOFOS」を入手できるようになっている。
ウ 宣伝やメディアによる取り上げ等について
申立人はホームページのほか、SNSにおいて2017年から継続的に引用商標が使用された商品に関する情報を発信し続けており、2026年1月時点では約4.4万人のフォロワーを獲得している(甲8)。
引用商標は継続的かつ全国規模で使用され、そして申立人の商品自体の高い品質と優れたデザインが人気を博し、主に10代から40代までの男女を読者層とする多くの女性ファッション雑誌、メンズファッション雑誌に取り上げられている(甲9~甲15)。
甲9号証ないし甲15号証はそのうち近年に掲載されているものの一部であるが、少なくとも2021年から現在まで、申立人の商品は複数の雑誌に継続的に取り上げられていることから、少なくとも前記読者層の間には広く知られていると考えられ、現在においてもそのような周知性を失っていないことは明らかである。
エ 小括
以上のことから、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である。
(2)混同を生ずるおそれ
商標法第4条第1項第15号でいう「混同を生ずるおそれ」があるか否かを判断するにあたっては、例えば、本件商標と引用商標との類似の程度、引用商標の周知度、引用商標の独創性、引用商標がハウスマークであるか否か、商品間の関連性、需要者の共通性等を考慮して総合的に判断すべきである。これらの点については、以下のとおり説明する。
ア 本件商標と引用商標との類似の程度
本件商標と引用商標は、いずれも標準文字の「OOFOS」の文字からなり、両商標は完全同一である。
イ 引用商標の周知度
前記「(1)引用商標『OOFOS』の周知性」の節で述べたとおり、引用商標は申立人の商標として需要者の間で広く知られているものである。
ウ 引用商標の独創性
引用商標「OOFOS」は申立人による造語である。「OOFOS」は辞書に掲載されていないばかりか、英単語の一般的な構成や音節構造からしても、かなりユニークな組み合わせとなっており、非常に高い独創性を有する。この点は、本件商標の指定商品に関連する分野においても同様である。
また、インターネット検索する限り、「OOFOS」と完全一致する結果が約5,220,000件ヒットするにも関わらず、申立人以外の者による使用(申立人商品以外の商品についての使用)実績は皆無であり、引用商標「OOFOS」は申立人によって長年独占的に使用されている(甲16)。
エ 引用商標はハウスマークであるか
引用商標は、申立人の名称「ウーフォス インコーポレイテッド」の略称である。また、申立人のほとんどの商品本体には引用商標が付されている(甲6)。そのため、引用商標は申立人のハウスマークであり、重要な出所表示機能を果たすものである。
オ 商品間の関連性と需要者の共通性等
引用商標の指定商品は履物等であるのに対し、本件商標の指定商品はおもちゃ等である。それぞれの指定商品自体は同一ではなく、類似するものでもないとも思われる。
しかしながら、申立人の商品は、その性質上も、デザイン上も、価格帯も、高額で使用場面が限られているフォーマルシューズや、登山用靴などの特殊な用途を持つ履物ではなく、カジュアルで手頃、かつ様々な場面において使用できるサンダル商品である。そのため、広く一般の消費者、その中でも特に10代~40代の男女が主な需要者層となる。
一方、本件商標の指定商品であるおもちゃ等も、10代の学生世代、または子供の親世代に当たる20代~40代が主な需要者層となる。そのため、申立人の商品と本件商標の指定商品の需要者層には共通性があるといえる。
また、同様の理由により、申立人の商品はファッションショップやスポーツ用品の専門店のみならず、雑貨を取り扱う店舗においても販売されている。そのような雑貨店は、同時におもちゃも取り扱うことがあるし、百貨店や総合スーパーマーケット、ショッピングモール等の商業施設において、子供用品店やおもちゃを取り扱う他の店舗と同じフロアに配置されることも少なくない。
例えば、申立人商品の販売店のうち売上1位の「ムラサキスポーツ」は、おもちゃコーナーを備える店舗があるほか、「有明ガーデン店」の店舗のすぐ近傍に、積み木(おもちゃ)等で広く知られている「LEGO」の店舗がある(甲17)。
また、売上2位の「Sunriver」による「SORA大阪商島屋店」も、その近傍におもちゃを取り扱う店舗が複数配置されている(甲18)。
そのため、申立人の商品と本件商標の指定商品の販売場所にも共通性がある。
カ 小括
以上のように、本件商標は独創性の商い申立人の周知・著名な引用商標と全く同一であるうえ、各々の商品の需要者及び販売場所に共通性があるため、本件商標を指定商品に使用すると、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
(3)まとめ
以上により、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(1)引用商標の周知性
前記1(1)の節で述べたとおり、引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標である。
(2)不正の目的
引用商標は申立人が創作した極めて独創性の高い造語である。また、本件商標の出願前後を問わず、引用商標と同一又は類似の商標、もしくは「OOFOS」を一部として含む商標出願は皆無である(甲19)。
なお、「YOOFOOS」の商標出願は存在するが、これは当該出願人の略称であり、ことさら「OOFOS」を意図的に含めるものではない(甲19)。このような状況のなか、「OOFOS」は申立人の周知・著名な商標であるにもかかわらず、本件商標の権利者が本件商標を採択する過程において、申立人の引用商標と偶然に一致することは到底想定できない。
以上のことから、本件商標の権利者が本件商標の出願時に申立人の引用商標の存在を十分に認識していたことは明白であり、引用商標に化体した業務上の信用及び顧客吸引力にフリーライドし、少なくとも不正の利益を得る目的があるといわざるを得ない。
(3)まとめ
以上により、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
申立人ウーフォス インコーポレイテッド(Oofos,Inc)は、2011年に設立され、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ブレインツリーに本社を置き、リカバリーフットウェアを製造する多国籍企業である(甲3)。
申立人は、関節への負担を軽減することを目的としたリカバリーサンダルを中心としたリカバリーフットウェアを開発・製造し、その商品本体に図案化した「OOFOS」の商標を付して販売を行っている。
我が国においては2017年より販売を開始し(甲7)、現在は、代理店を通じて全国において販売され(甲4、甲7)、ECサイトでも販売されている(甲5、甲6)。
しかしながら、申立人は、我が国における申立人商品の販売数量及び販売金額は、2018年の約12.2万足(約3.56億円)から、2021年には約21.5万足(約6.28億円)、2024年は約85万足(約25億円)と主張するが、これを裏付ける証拠は、申立人作成と思われる「日本における申立人商品の販売実績および2024年度の売上上位20位の販売チャンネルの明細」(英語、甲7)の提出のみであり、販売実績を示すものとしては、具体性及び客観性に欠けるといえる。
加えて、広告宣伝の方法、期間、地域及び規模について、申立人はホームページのほか、SNSにおいて2017年から継続的に引用商標「OOFOS」が使用された商品に関する情報を発信し続けており、2026年1月時点ではインスタグラムで約4.4万人のフォロワーを獲得し、7つの女性ファッション雑誌、メンズファッション雑誌に取り上げられている旨主張するが、その証拠は、申立人のホームページ、インスタグラム及び2021年ないし2025年の7つの雑誌のみであり、インスタグラムのフォロワー内容やその数値における他社ブランドとの比較、さらには、当該ファッション雑誌(Web版)の露出の期間、規模、閲覧回数等が必ずしも明らかではないから、この主張のみによっては、周知性の判断を推し量ることはできない。
そうすると、「OOFOS」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(1)引用商標の周知性について
上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者等の間に広く認識されているとは認められないものである。
(2)本件商標と引用商標の類似性及び独創性について
本件商標と引用商標とは同一又は類似の商標であり、また、辞書等に掲載のない語であるから、その独創性の程度は高いものである。
(3)商品間の関連性及び商品等の需要者の共通性について
本件商標の指定商品は、上記第1のとおりであり、その表示からして、おもちゃ類であると認められ、その取引者は、玩具メーカーであり、また、主に子供向けの娯楽又は教育等を目的、用途とした商品であることから、主たる需要者は、子供であるといえる。
他方、引用商標を付した商品は、上記第4の1のとおり、リカバリーサンダルを中心としたリカバリーフットウェアであると認められ、その取引者は、サンダル等の製造メーカーであり、また、主に関節への負担を軽減することを目的、用途とした商品であることから、主たる需要者は、機能性を求める一般消費者といえる。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、需要者の範囲が相違し、その他、取引者、生産部門及び用途等を異にするものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、その類似性及び独創性の程度は高いものであるとしても、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されている商標とはいえない。
また、本件商標の指定商品と引用商標を付した商品とは、上記(3)のとおり、商品間の関連性の程度も低く、さらに、需要者の共通性も低い。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者等が引用商標を連想又は想起することはなく、当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
上記2(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標とは認めることができないものである。
また、申立人は、本件商標権者が不正の利益を得るなどの目的のもとに出願し、権利を取得した事実を立証する証拠を何ら提出していないから、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも該当せず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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