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Trademark Appeal Case

結合商標の要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号2025900229
審判種別記載はありません。
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

結 論
登録第6960617号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

理 由

1 本件商標

本件登録第6960617号商標(以下「本件商標」という。)は、「SOLE KING」の文字を標準文字で表してなり、令和6年12月17日に登録出願、第28類「ゴルフクラブ,ゴルフ用具,運動用具」(以下「本件指定商品」という。)を指定商品として、同7年8月5日に登録査定、同年8月25日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由に該当するとして引用する登録商標及び標章は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。

(1)登録第5383602号商標(以下「引用商標1」という。)は、「KING」の文字を標準文字で表してなり、平成21年1月19日登録出願、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(別掲1)を指定商品として、同23年1月14日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

(2)国際登録第1494385号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2019年7月31日国際商標登録出願、第18類、第25類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品(別掲3)を指定商品として、令和4年2月25日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

(3)申立人が、本件商標の登録出願日以前に、申立人の取り扱いに係るスポーツシューズを含む各種スポーツ用品及び申立人の子会社であるコブラ ゴルフ インコーポレーテッド(以下「コブラ社」という。)が国内外において製造及び販売するゴルフ用品(以下、これらをまとめて「申立人等商品」という。)に使用し、日本国内における需要者の間に広く認識されていると主張する標章は、「KING」の欧文字からなるもの(以下「申立人等標章」という。)である。

なお、以下、「引用商標1」及び「引用商標2」をまとめていう場合は、「引用商標」といい、「引用商標」と「申立人等標章」をまとめていう場合は「申立人等商標及び標章」という。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第58号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。

以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、標準文字で書された欧文字「SOLE」と「KING」の間に空白を備えた態様からなる。また、本件商品は、第28類「ゴルフクラブ,ゴルフ用具,運動用具」である(甲1、甲2)。

「SOLE」の欧文字部分と「KING」の欧文字部分は、両語の間に備わる空白により、別々の英単語が並んで配置されたものと容易に認識される。

前半の「SOLE」は、『唯一の。ただ1人の。独占的な。足の裏』を意味する(甲7)、我が国の需要者、取引者に馴染みない英単語であるのに対し、後半の「KING」は、我が国の需要者及び取引者に極めて馴染みある基本的な英単語である(甲7)。

「SOLE KING」及び「ソールキング」の文字は、辞書等に掲載された語ではなく(甲7、甲8)、また、たとえ、「SOLE」が辞書掲載の意味合いを有する英単語だとしても、当該語は、我が国の需要者、取引者に馴染みないこと、さらに、「SOLE KING」及び「ソールキング」が業界内において認識されている実情も存在しないことから、本件商標全体としてまとまった意味合いは生じない。

したがって、本願指定商品を取り扱う業界の実情、需要者及び取引者の認識を勘案すると、本件商標からは、「KING」の欧文字部分に相応した称呼及び観念が生じるものと判断されて然るべきである。

本件商標は、2024年12月17日に出願され、2025年8月25日に登録され、2025年9月2日発行の商標公報に掲載された。

イ 引用商標

引用商標1は、標準文字で書された欧文字「KING」からなる(甲3、甲4)。

引用商標2は、別掲2のとおり、左右を切り欠いた横長の楕円の中に、ゴシック体で欧文字「KING」が書された態様からなる(甲5)。

引用商標2の図形部分は、それ自体、左程、特徴のある図形ではなく、中に描かれた欧文字「KING」の外郭線(フレーム)とも看取されることから、引用商標2を目にした本件商品に係る需要者、取引者であれば、欧文字部分に着目して、引用商標2を認識する。

ウ 申立人と「KING」商標

申立人であり、引用商標の商標権者であるドイツ法人Puma SE(以下、「プーマ社」という)は、スポーツシューズ、スポーツウェア、被服、バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業である(甲9~甲12)。

1920年(大正9年)にルドルフ・ダスラー及びアディ・ダスラーの兄弟が靴を販売する「ダスラー兄弟商会」を設立したのがそもそもの始まりであり、その後、兄弟が1948年(昭和23年)にそれぞれ独立し、兄ルドルフがプーマ社を設立した(甲12)。

我が国においては、1972年から、日本国内における代理店としてコサ・リーベルマン株式会社が、申立人の業務に係る商品のうち、靴、バッグ、アクセサリーについて事業を展開し、2003年5月1日に、申立人の日本法人であるプーマジャパンが同事業を承継した。そして、ウェアについては、1972年から国内のライセンシーであるヒットユニオン株式会社が製造・販売していたが、2006年1月に、日本において引用商標を付したアパレル関連商品を生産する、申立人の日本法人であるプーマ・アパレル・ジャパンが設立され、同社がヒットユニオン株式会社から営業権を譲り受けた。2010年に、プーマ・アパレル・ジャパンとプーマジャパンは合併し、現在のプーマジャパンとなった(甲9~甲12)。

ネコ科の哺乳動物、ピューマから命名した「PUmA」の文字及びピューマのシルエット図形を付した申立人のブランド(ハウスマーク)は我が国において長年にわたり人気を得ており、J-PlatPatの「日本国周知著名商標検索」に掲載されていることからも明らかなとおり、周知著名商標と認定されている。

申立人のサッカーシューズは、1958年にスウェーデンで開催されたサッカー・ワールドカップにおいて、唯一のドイツ製サッカーシューズであった(甲12)。1960年代以降、ブラジルのペレ、アルゼンチンのマラドーナ、日本の三浦知良ら著名なサッカー選手、2000年(平成12年)以降には世界的に著名な陸上選手、ジャマイカのウサイン・ボルトなど、各国のサッカーや陸上のトップアスリートがプーマ社のスポーツシューズを着用し(甲12)、多くの需要者に支持されたことで、世界的なスポーツブランドとして不動の地位を確立した。

プーマジャパンの業務に係るスポーツ用品について、「スポーツ産業白書(2003年~2018年版)」(甲10)によると、国内での売上高及び企業別順位は、スポーツ用品メーカー(スポーツ関連売上高10億円以上)として、「プーマジャパン(株)」が9位にランキングされ、該売上高は、約393.2億円(予測)である。2017年は9位、2016年は7位の順位をキープしており、該売上高は、2013年:431億2,100万円(6位)、2014年:425億2,300万円(7位)、2015年(見込):431億2,100万円(7位)、2016年(予測):約442億円と安定して推移しており、国内売上高は毎年ほぼ400億円を超えている。

また、プーマジャパンの業務に係るスポーツジュースについて、「スポーツシューズビジネス(2003年~2018年版)」(甲9)によると、国内での出荷額、企業別順位、市場占有率は、2013年は、179億5,500万円、6位、5.9%、2014年は、177億8,000万円、6位、5.4%、2015年は、184億4,000万円、6位、5.2%であり、出荷額は毎年170億円を超え、5%を超える市場占有率を有している。

さらに、「スポーツアパレル市場動向調査(2015年~2018年版)」(甲11)によると、スポーツアパレルのブランド別国内出荷金額ランキングでは、2012年は第4位、2013年から2017年は第5位であり、2018年は第8位と順位を若干落としているが、2018年出荷金額(見込)は、約231.6億円(市場占有率4.2%)を前年(2017年は約214億円)より金額は増えている。

このように、申立人は、1958年から60年以上にわたり、各種スポーツ用品・アパレル商品を世界各国で販売しており、とりわけ、サッカーシューズにおいて、1966年より、プーマサッカースパイクのモデル名の一つとして「KING」を長年にわたり使用している。甲13は、2008年に、「KING」シリーズの発売40周年を記念し、プーマ社が制作した「KING 1968-2008」と題するパンフレットである。甲14は、1970年以降、プーマ社が制作した「KING」サッカースパイクの広告である。プーマ「KING」サッカーシューズは、ペレやマラドーナといったサッカー界のレジェンドをはじめ各国の数多の名サッカー選手に愛され続け、「ペレキング」、「マラドーナキング」といった特別モデルまで存在する、プレミアムなプーマサッカースパイクの名称として、サッカー界では非常に高い評価を得ている(甲15~甲17)。

今日においては、サッカーシューズのみならず、プーマ社の各種スポーツ用品(ゴールキーパー用グローブ、スポーツバッグ、トレーニングウェア、サッカーボール)に「KING」商標は使用されている(甲18、甲22)。

「KING」サッカー用品の国内売上は、2020年が110百万円(小売価格ベース)、2021年が242百万円となっている。

このように、申立人は、同社のサッカー用品を指称するブランドの一つとして「KING」商標を長年にわたり使用し(甲12~甲22)また、2013年~2017年における申立人の売上高も堅調に推移しており、「スポーツシューズメーカー別国内出荷金額」及び「スポーツアパレルのブランド別国内出荷金額ランキング」においても常に上位に位置していることから(甲9~甲11)、本件商標の出願時及び登録時において、「KING」商標は、申立人の業務に係るサッカー用品等を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されている。

さらに、申立人は、2010年3月10日、世界有数のゴルフクラブメーカーであった米国法人コブラ ゴルフ インコーポレーテッド(1973年創設)を買収し(甲23)、同社の「KING」ブランドを残しつつ、ゴルフ事業に本格的に参入した。大手ゴルフ用品店(甲24、甲25)の店頭やオンラインショップにおいて販売されており、国内での取扱店数は、120店近くある。また、ゴルフ専門店での販売に限らず、アマゾンジャパン(甲26)、楽天市場(甲27)、Yahoo!ショッピング(甲28)といった大手ネット通販サイトやゴルフ用品通販サイト(甲29)においても多数販売されている。

同社のゴルフ用品を代表するブランドの一つが「KING」であり、1990年代後半、グレッグ・ノーマンやプロ転向当初のタイガー・ウッズが使用していたことがゴルフ業界で話題となり、「パワーヒッター御用達」として知られるようになった(甲30)。

甲31は、2016年の同社のゴルフ用品カタログ「KING2016PRODUCT GUIDE」であり、以下のとおり、「KING」の文字が、ドライバーやアイアンのヘッドに目立つ態様で刻印されている。

甲32は、現在の同社の日本語ウェブサイトであり、同様に、「KING」の文字が大きく表示されている。

同社の「KING」ゴルフ用品がゴルフ通の間で人気を博していることから、新たな「KING」モデル商品が発売される度、ゴルフ雑誌等のメディアやプロゴルファーらが、新モデルの性能や特徴を紹介、評価する記事を掲載している(甲33~甲35)。

また、「KING」モデルの販促にも積極的に取り組んでおり、YouTube広告(甲36)や日本最大級のゴルフポータルサイト「GDO」でのバナー広告(甲37)、ゴルフ雑誌「ALBA」への広告(甲38)等を行っている。甲39は、同社の人気モデル「KIN F9」の国内でのプロモーション活動を紹介した資料である。甲40は、2021年1月~2022年3月にかけて、ゴルフ雑誌等に掲載された「KING」に関する記事、掲載内容の一覧である。

これらの営業活動、宣伝広告活動等により、「KING」ゴルフ用品の国内売上は、2020年が864百万円(小売価格ベース)、2021年が493百万円となっている。

上記の国内売上自体は、国内のゴルフ用品市場規模からすると、やや小さい印象は否めないものの、長年の使用実績・評判により、海外の人気ゴルファーが愛用する「パワーヒッター御用達」ゴルフブランドとして、業界内において一定の認知度を獲得していることは、証拠資料(甲24~甲40)から容易に推測される。

以上により、「KING」商標は、申立人のサッカー用品、及び、コブラ社のゴルフ用品を表す出所標識として、特に、サッカー又はゴルフに興味・関心を示す需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得している。

エ 本件商標と引用商標1の対比

本件商標は、標準文字で書された欧文字「SOLE」と「KING」の間に空白を備えた構成からなるところ(甲1、甲2)、たとえ、これらの文字が横並びに配されているとしても、「KING」が我が国の需要者、取引者に馴染みある基本的な英単語である一方で、「SOLE」は、『唯一の。ただ1人の。独占的な。足の裏』等を意味する英単語で(甲7)、我が国の需要者、取引者に馴染みがないことから、全体としてまとまった意味合いが生じない。そうすると、本件商標中、「KING」の文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、『王。国王。君主。』の観念を生ずる。

本件商標構成中の「SOLE」の欧文字部分と「KING」の欧文字部分とは、外観上明瞭に区別して認識される上、観念上及び称呼上の関連性も認められないことから、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。したがって、本件商標中、「KING」の欧文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、『王。国王。君主。』の観念を生ずる。

本件商標の「KING」の欧文字部分と引用商標1を対比してみると、引用商標1から生ずる称呼「キング」、観念『王。国王。君主。』において同一であり、本件商品、とりわけ、ゴルフ用品に本件商標が使用された場合、需要者及び取引者に与える印象は似通っていることから、両商標は類似する。

また、「KING」商標は、申立人のサッカー用品、及び、申立人子会社のゴルフ用品を表す出所標識として、本件商品に係る需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得しているところ、本件商標は、需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合に該当する。そうすると、商標審査基準に照らし、本件商品について需要者の間に広く認識された申立人の引用商標1に他の文字を組み合わせた本件商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、申立人の引用商標1と類似する(甲6)。

したがって、本件商標は、申立人の引用商標1と類似する。

オ 本件商標と引用商標2との対比

引用商標2は、左右を切り欠いた横長の楕円の中に、ゴシック体で欧文字「KING」が書された態様からなる(甲5)。

上述したとおり、本件商標中、「KING」の欧文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、『王。国王。君主。』の観念を生ずる。

本件商標の「KING」の欧文字部分と引用商標2を対比すると、引用商標2の文字部分から生ずる称呼「キング」、観念『王。国王。君主。』において同一であり、本件商標が本件商品、とりわけ、サッカー用品又はゴルフ用品に使用された場合、需要者及び取引者に与える印象は似通っていることから、本件商標と引用商標2とは類似する。

カ 本件商品と引用商標1及び2に係る指定商品との類否

引用商標に係る指定商品中、第25類及び第28類の指定商品は、本件商品と同一又は類似する(甲3~甲5)。

キ 小括

本件商標と引用商標とは類似しており、また、本件商品と引用商標に係る指定商品とは同一又は類似している。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)本件商標を商標法第4条第1項第10号について

ア 申立人及び申立人子会社の使用商標「KING」の認知度

申立人は、同社のサッカー用品を指称するブランドの一つとして「KING」商標を長年にわたり使用し(甲12~甲22)また、2013年ないし2017年における申立人の売上高も堅調に推移しており、「スポーツシューズメーカー別国内出荷金額」及び「スポーツアパレルのブランド別国内出荷金額ランキング」においても常に上位に位置していることから(甲9~甲11)、本件商標の出願時及び登録時において、「KING」商標は、申立人の業務に係るサッカー用品等を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されている。

また、コブラ社が申立人等商品に使用する「KING」商標は、本件商標の出願前より、最終消費者の間とまではいい難いにせよ、とりわけ、国内外のゴルフ業界の関係者やゴルフファンの間で広く認識されている事情が認められる(甲23~甲40)。

イ 本件商標と申立人等商標「KING」との類否

本件商標は、標準文字で書された欧文字「SOLE」と「KING」の間に空白を備えた構成からなるところ(甲1、甲2)、前半の「SOLE」の文字と、後半の「KING」の語を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものとは認められず、したがって、本件商標の「KING」の文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、『王。国王。君主。』の観念を生ずる。

そこで、本件商標の「KING」の欧文字部分と、申立人等使用商標とを対比すると、申立人等使用商標から生ずる称呼「キング」、観念『王。国王。君主。』において同一であることから、両商標は類似する。

また、申立人等使用商標は、コブラ社の申立人等商品を表す出所標識として、本件商品に係る需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得しているところ(甲24~甲40)、本件商標は、需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合に該当する。

商標法第4条第1項第10号の商標審査基準に照らし、指定商品について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。したがって、本件商標は、申立人等使用商標と類似する。

なお、「SOLE KING」の文字は、辞書等に掲載された語ではなく(甲7、甲8)、このため、申立人等使用商標「KING」は既成の語の一部には該当しない。

以上により、両商標は、外観において異なるものの、本件商標の「KING」の欧文字部分から生ずる称呼及び観念が一致しており、また、本件商標の文字部分は、本件商品に係る需要者の間に広く認識された申立人等使用商標に、「SOLE」の文字を組み合わせた商標に該当することから、これらの事情を総合的に勘案すると両商標は類似すると判断されて然るべきである。

ウ 本件商品と申立人等商品との同一又は類似

本件商品のうち、「ゴルフクラブ,ゴルフ用品」は、申立人等商品と同一又はこれに含まれる商品であり、本件商品「運動用具」は、これに類似する。

エ 小括

本件商標と申立人等使用商標とは類似しており、本件商品「ゴルフクラブ,ゴルフ用品,運動用具」と申立人等商品とは同一又は類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(3)本件商標を商標法第4条第1項第15号について

ア 本件商標と引用商標及び申立人等使用商標との類似性の程度

本件商標は、標準文字で書された欧文字「SOLE」と「KING」の間に空白を備えた態様からなることから、たとえ、これらの文字が横並びに配されているとしても、「KING」が我が国の需要者、取引者に馴染みある基本的な英単語である一方で(甲7)、「SOLE」は、『唯一の。ただ1人の。独占的な。足の裏』等を意味する英単語で(甲7)、我が国の需要者、取引者に馴染みがないことから、全体としてまとまった意味合いが生じない。そうすると、本件商標中、「KING」の文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、『王。国王。君主。』の観念を生ずる。

申立人の引用商標1は、標準文字で書された欧文字「KING」からなり(甲3、甲4)、引用商標2は、左右を切り欠いた横長の楕円の中に、ゴシック体で欧文字「KING」が書された態様からなる(甲5)。また、申立人及びその子会社がサッカー用品又はゴルフ用品に使用する申立人等使用商標は、欧文字「KING」からなる(甲12~甲40)。

本件商標の「KING」の欧文字部分と申立人等商標及び標章を対比すると、外観、称呼「キング」、観念『王。国王。君主。』において一致しており、また、本件商標の文字部分は、本件商品、とりわけ、サッカー用品及びゴルフ用品に係る需要者の間に広く認識された申立人等使用商標に、「SOLE」の文字を組み合わせた商標に該当することから、これらの事情を総合的に勘案すると両商標の類似性の程度は比較的高いものといえる。

イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度

「KING」の語は、『王。国王。君主。』を意味する基本的な英単語であるため(甲7)、引用商標の独創性の程度は高いとは言い得ないものの、申立人等使用商標「KING」は、とりわけ、国内外のサッカー業界及びゴルフ業界の関係者や熱狂的なファンの間で広く認識されている事情が認められる(甲12~甲40)。

ウ 本件商品と申立人商品との関連性

本件指定商品「ゴルフクラブ,ゴルフ用品,運動用具」は、申立人等商品であるサッカー用品、ゴルフ用品と同一又は類似する。したがって、本件指定商品と申立人等商品との関連性は極めて高い。

エ 取引者及び需要者の共通性その他取引の実情

本件指定商品と申立人等商品(サッカー用品及びゴルフ用品)とは明らかに同一又は類似しており、また、両商品の主たる需要者は、スポーツの愛好家を始めとして、広く一般の消費者を含むものということができる。そして、このような一般の消費者には、必ずしも商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者も多数含まれているといえ、商品の購入に際し、メーカー名やハウスマークなどについて常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭などで短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくないと考えられることから、商品の選択・購入に際して払う注意力が高いとはいえない一般消費者を需要者とする点で共通する。

オ 混同を生ずるおそれ

上記の事情を総合すると、両商標は外観構成に多少の差異が存在するとしても、本件商標の「KING」の欧文字部分において申立人等使用商標の称呼及び観念と一致しており、そのため、本件商標が申立人等商品と同一又はこれと深く関連する本件商品に付して使用された場合、一般消費者の注意力などをも考慮すると、これに接する取引者、需要者は、本件商標構成中の「KING」の文字部分に着目し、サッカー業界及びゴルフ業界において広く認識された申立人等使用商標を連想、想起して、当該商品が申立人又は申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがあるものというべきである。

したがって、仮に、本件商標と申立人等商標及び標章とが非類似であるとしても、商標「KING」は、申立人等商品を表示するものとして、我が国のサッカー業界及びゴルフ業界の関係者や熱狂的な愛好家の間に広く認識されており(甲12~甲40)、また、上述したとおり、「KING」の文字部分において、本件商標と申立人等商標及び標章とは共通するものであるから、たとえ、外観全体の構成において差異が認められるとしても、本件商標が本件商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、申立人の申立人等商標及び標章を連想、想起し、当該商品が申立人、又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、誤認するおそれがあるものと判断されて然るべきである。

カ 小括

以上を按ずるに、本件商標が本件商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、本件商標の登録出願前から、申立人等の業務に係るサッカー用品、ゴルフ用品を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識された申立人等標章「KING」を連想、想起し、当該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)本件商標を商標法第4条第1項第19号について

ア 本件商標の採択・出願に係る不正の目的

申立人等商標及び標章は、申立人のサッカー用品、及び、申立人の100%子会社であるコブラ社のゴルフ用品を表す出所標識として、日本国内に限らず、とりわけ、サッカー又はゴルフに興味・関心を示す世界各国の需要者、取引者の間で周知又は著名となっているところ(甲12~甲40)、本件商標は、「KING」の文字をその構成中に含むことから、申立人等商標及び標章と極めて類似する。

出願人の企業情報には「ゴルフスクール、ゴルフ練習場、インドアゴルフ練習場」とあり(甲57)、同社の会社HPには、ゴルフスクール事業を営んでいることが掲載されている(甲58)。

そうすると、ゴルフ業界関係者である出願人が、世界有数のゴルフクラブメーカー、コブラ社、及び、そのゴルフクラブ「KING」を知らないはずはなく、申立人等商標及び標章に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する、あるいは、引用商標の出所表示機能を希釈化するなどの目的で本件商標を採択・出願した可能性が否定できず、本件商標の採択、出願において、不正の目的がなかったと捉えることの方が、むしろ不自然と言わざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

(1)申立人等商標及び標章の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人等商標及び標章について、次の事実が認められる。

(ア)申立人は、ドイツ法人であり、スポーツシューズ、スポーツウェア、被服、バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業である(甲9~甲12)。

(イ)申立人は、1966年頃から申立人等商標及び標章が付されたサッカーシューズを販売したこと(甲13、甲14、申立人主張)、2021年~2023年において、申立人等商標及び標章が付されたサッカーシューズ、キーパーグローブ、シャツ、パーカー、スウェットパンツ(以下「「KING」サッカー用品」という。)を販売していたこと(甲17~甲21)が認められる。

(ウ)申立人は、「KING」サッカー用品の国内売上は、2020年が110百万円(小売価格ベース)、2021年が242百万円となっている旨を主張しているが、これらを裏付ける証拠の提出はない。

(エ)1974年12月号の雑誌「サッカーマガジン」において、「キングペレ」と称するサッカーシューズが紹介されたこと(甲15)、2018年4月25日付けのウェブサイトの記事において、「キング」と称するサッカーシューズが紹介されたこと(甲16)から、雑誌等の記事で「KING」サッカー用品が紹介されたことは、推認できるものの、当該雑誌の発行部数は不明である。

(オ)コブラ社の2016年の商品カタログ及び2021年3月時点のウェブサイトにおいて、申立人等商標及び標章が付されたゴルフクラブ(以下「「KING」ゴルフ用品」という。)等が掲載されていること(甲31、甲32)、2016年7月4日付け、2019年3月22日付け、2019年4月25日付け及び2019年11月21日付けのウェブサイトの記事(甲30、甲33~35)並びに2021年1月から2022年3月にかけての各種ゴルフ雑誌において、「KING」ゴルフ用品が掲載されていること(甲40)、2021年3月時点において、オンラインショッピングサイトにおいて「KING」ゴルフ用品が販売されていること(甲24~甲29)、YouTube広告、バナー広告、雑誌広告、国内でのプロモーション活動等でコブラ社の「KING」ゴルフ用品が取り上げられたこと(甲36~甲39)は推認できるものの、コブラ社の商品カタログの発行数や頒布先、当該雑誌の発行部数やその他広告の頻度及びその方法は不明である。

(カ)申立人は、「KING」ゴルフ用品の国内売上は、2020年が864百万円(小売価格ベース)、2021年が493百万円となっている旨を主張しているが、これらを裏付ける証拠の提出はない。

イ 判断

上記(1)によれば、申立人は、スポーツシューズ、スポーツウェア、被服、バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業であり、1966年頃から申立人等商標及び標章が付されたサッカーシューズを販売したこと、プーマ社の「KING」サッカー用品やコブラ社の「KING」ゴルフ用品が販売され、雑誌等の記事で取り上げられていることは推認できる。

しかしながら、申立人等商品の我が国における売上高については、それを裏付ける証拠の提出もない。

また、申立人等商品が紹介されている雑誌又はウェブサイトの掲載例はわずかであり、そのほかに申立人等商品の販売数、宣伝広告の程度等を示す証拠の提出もない。

そうすると、申立人の主張及び同人提出の証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等商標及び標章が、プーマ社及びコブラ社又は申立人等商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

したがって、申立人等商標及び標章は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、プーマ社及びコブラ社又は申立人等商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、「SOLE KING」の文字を標準文字で表してなるところ、「SOLE」の文字と「KING」の文字の間に一文字分の空白があるとしても、これらは同じ大きさ、同じ書体でまとまりよく一体的に表してなるものである。

また、本件商標の構成文字に相応して生じる「ソールキング」の称呼は、よどみなく一連で称呼し得るものである。

そして、本件商標の構成中の「SOLE」の文字は、「たった一人の」、「KING」の文字は、「王。国王。」等を意味する英語(いずれも「新英和中辞典 第7版」研究社)であり、いずれも親しまれた英語であるところ、これらを結合してなる本件商標は、構成全体として「たった一人の王」といった観念が生じ、本件商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有さないと判断するべき特別な事情は見当たらない。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ソールキング」の称呼及び「たった一人の王」の観念が生じるものである。

イ 引用商標について

引用商標1は、上記2(1)のとおり、「KING」の文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応し「キング」の称呼を生じ、「王。国王。」(前掲書)の観念を生じるものである。

引用商標2は、別掲2のとおり、欠損横長楕円中に「KING」の欧文字を表してなり、欠損横長楕円と「KING」の欧文字は、重なることなく配置されていることから、視覚上分離して観察されるものといえ、これらを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものではない。

そして、欠損横長楕円は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。

そうすると、引用商標2は、欠損横長楕円と「KING」の欧文字とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであるから、引用商標2の構成中の「KING」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。

したがって、引用商標2は、「KING」の欧文字に相応して「キング」の称呼が生じ、「王。国王。」(前掲書)の観念を生じるものである。

ウ 本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者の外観は、上記のとおり、その構成文字及び構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。

次に、本件商標から生じる「ソールキング」の称呼と引用商標から生じる「キング」の称呼を比較すると、両者は語尾部における「ソール」の音の有無という差異を有し、聞き誤るおそれのないものである。

さらに、観念においては、本件商標からは「たった一人の王」の観念が生じるのに対し、引用商標は「王」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。

そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

エ 小括

以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似する商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号について

上記(1)のとおり、申立人等標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、プーマ社及びコブラ社又は申立人等商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていると認められないものである。

また、申立人等標章は「KING」の欧文字よりなるものであるから、本件商標と申立人等標章は、上記(2)ウと同様に、非類似の商標及び標章である。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標とは認められないことから、本件商品とコブラ社の取扱いに係るゴルフ用品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号について

上記(1)のとおり、申立人等商標及び標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、プーマ社及びコブラ社又は申立人等商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記(2)及び(3)のとおり、本件商標は、申立人等商標及び標章と非類似の商標であって、別異の商標というべきものであり、さらに、「KING」の語が我が国で親しまれた英単語であることをあわせ考慮すれば、本件商品と申立人等商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標の権利者が、本件商標を本件商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、プーマ社及びコブラ社又は申立人等商標及び標章を連想又は想起させることはなく、その商品が同人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号について

上記(1)のとおり、申立人等商標及び標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標とは認めることができないものである。

また、申立人は、本件商標権者が不正の利益を得るなどの目的のもとに出願し、権利を取得した事実を立証する証拠を何ら提出していないから、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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