結論テキスト
登録第6970836号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2025900264 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6970836号商標(以下「本件商標」という。)は、「CELLATTI」の欧文字を書してなり、令和6年12月20日に登録出願、第9類「コンピュータ周辺機器,指輪型携帯情報端末,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),スマートフォン用のケース,時間記録用装置,顔認識用コンピュータソフトウェア,宝飾品の形状をした電気通信機械器具,録音装置,カメラ,測量器具」を指定商品として、同7年7月2日に登録査定、同年9月25日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものであり、申立人の業務に係る宝飾品のブランドの名称として使用し、我が国及び世界において広く知られるに至ったとするものである。
(1)登録第2050505号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:BUCCELLATI
指定商品:第8類「ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」、第14類「身飾品,宝玉及びその模造品」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」、第25類「バンド,ベルト」及び第26類「衣服用バックル,衣服用ブローチ,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ボタン類」
登録出願日:昭和61年1月24日
設定登録日:昭和63年5月26日
書換登録日:平成21年12月24日
(2)登録第2294061号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:BUCCELLATI
指定商品:第14類「時計」
登録出願日:昭和63年4月21日
設定登録日:平成2年12月26日
書換登録日:平成13年9月26日
(3)登録第2528994号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:BUCCELLATI
指定商品:第14類「貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て」
登録出願日:平成3年5月1日
設定登録日:平成5年4月28日
書換登録日:平成16年8月11日
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第9類「指輪型携帯情報端末,宝飾品の形状をした電気通信機械器具」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、「CELLATTI」の欧文字を大文字で横一連に、同書・同大・等間隔に書してなるところ、当該文字は、一般的な辞書等に掲載されている成語や外来語ではなく、一種の造語であると認められ、他の商標と対比すべき特定の観念を生じるものではない。
また、本件商標は、語尾に「TTI」の文字を有するところ、我が国においては、「SPAGHETTI」(スパゲッティ)に代表されるように、語尾に「TTI」(ッティ)を伴うイタリア語が広く定着しているため、語尾に「TTI」を有する単語は、我が国の取引者、需要者において一般にイタリア語風の語感を想起させやすいものといえる。
よって、本件商標に接した我が国の取引者、需要者は、その構成文字に相応したイタリア語風の音感をもって称呼すると考えるのが自然であるから、本件商標からは「チェラッティ」又は「セラッティ」の称呼が生じ、何ら特定の観念を生じない。
イ 引用商標について
引用商標は、いずれも「BUCCELLATI」の欧文字を大文字で横一連に、同書・同大・等間隔に書してなるところ、当該文字は、一般的な辞書等に掲載されている成語や外来語ではなく、一種の造語であると認められ、他の商標と対比すべき特定の観念を生じるものではない。
また、引用商標は、語尾に「TI」の文字を有するところ、このような「子音+I」で終わる語形は、イタリア語にみられる典型的な音節構造であり、我が国においては、前述した「SPAGHETTI」(スパゲッティ)のほかにも、「PANINI」(パニーニ)や「MARTINI」(マティーニ)など、「子音+I」の語尾を有するイタリア語の単語が広く定着していることから、語尾に「TI」を有する単語は、我が国の取引者、需要者において一般にイタリア語風の語感を想起させやすいものといえる。
よって、引用商標に接した我が国の取引者、需要者は、その構成文字に相応したイタリア語風の音感をもって称呼すると考えるのが自然であるから、引用商標からは「ブチェラッティ」又は「ブセラッティ」の称呼が生じ、何ら特定の観念を生じない。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標及び引用商標の外観は、語頭における「BUC」の欧文字の有無、及び語尾部分の「TTI」と「TI」の綴りにおいて相違する。
しかしながら、本件商標「CELLATTI」と、引用商標の語頭の「BU」を除いた「CCELLATI」の部分とは、「C」と「T」が2つ連続するか否かの差異にすぎず、両者は大部分の文字構成を共通にするものである。
よって、本件商標と引用商標は、日本の取引者・需要者において、外観上、互いに類似するという印象を強く与えるものである。
また、本件商標の称呼である「チェラッティ」又は「セラッティ」と、引用商標の称呼である「ブチェラッティ」又は「ブセラッティ」とは、いずれも語頭の「ブ」の一音の相違にすぎず、「チェラッティ」又は「セラッティ」という本件商標の称呼全体が、引用商標の称呼に含まれている。
さらに、本件商標と引用商標は、いずれも「LL」、「CC」、「TT」といった子音の重複を2回含み、このうち「LL」は共通して含んでいる上、両商標は、イタリア語由来の語に典型的な母音配列、すなわち「e-a-i」を有する点においても共通している。
本件商標と引用商標の称呼におけるこれらの共通点を総合すれば、両商標は、称呼全体の印象においてきわめて近似している。
また、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じない造語であるため、観念上比較することができないが、観念上の相違点によって両者を識別することもできない。
以上を総合すると、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において極めて近似する印象を与えるものであり、観念において互いを識別することができない商標であるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すると、両商標は相互に紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 商品の類似性について
申立てに係る商品と、第14類「身飾品,宝玉及びその模造品」、同類「時計」並びに同類「貴金属製食器類」を始めとする貴金属製商品が含まれる引用商標の指定商品(以下「引用指定商品」という。)とは、以下のとおり類似する。
(ア)生産部門及び販売部門の共通性について
申立てに係る商品「指輪型携帯情報端末」及び「宝飾品の形状をした電気通信機械器具」は、その外観・意匠が宝飾品のデザインを強く反映する商品であり、昨今では宝飾品ブランドが腕時計型携帯情報端末や指輪型携帯情報端末等のウェアラブル機器を製造・販売する例が多数存在する(甲15)。
申立人も、宝飾品に加えて高級腕時計を自社ブランドとして展開しており、宝石装飾や貴金属加工技術を用いた時計類を販売している(甲16)。
指輪や宝飾品、腕時計と、「指輪型携帯情報端末」や「腕時計型携帯情報端末」は、同一店舗(高級宝飾店、百貨店、ブランドブティック等)で取り扱われることが一般化しており、販売チャネルも重複する(甲15)。
よって、両商品の生産部門及び販売部門には高い関連性が認められ、需要者が両商品を同一ブランドの事業領域として理解する蓋然性は高い。
(イ)用途の共通性について
引用指定商品中、「身飾品」及び「時計」は、いずれも身体に装着して使用する装身具であり、機能性と同時にファッション性・外観美を重視する用途を有する。
これに対し、申立てに係る商品も、外観的特徴が宝飾品と深く関連し、身体に装着する点、装飾性が重要視される点において、引用指定商品と用途が重なる。
特に、宝石を用いた指輪型携帯情報端末や宝飾的外観を有する腕時計型携帯情報端末等は近年一般化しており、宝飾品ブランドがこれらの情報通信機器に参入する事例も多数見られる(甲15)。
このように、両者の用途及び機能は密接に連続しており、相互に代替・補完関係に立ち得る。
(ウ)需要者の一致について
申立人の宝飾品ブランドである「BUCCELLATI」の主な顧客は、高級宝飾品及び高級時計を購入する層であり、装飾性・ブランド価値・芸術性を重視する消費者である。
一方、申立てに係る商品も、「指輪型」や「宝飾品の形状をした」との限定が付されているとおり、宝飾品に類似した外観を有し、身体に装着して使用する高付加価値型の電子機器であることから、高級志向の消費者層を対象とすることが想定される。
したがって、両商品の需要者は実質的に一致する。
(エ)品質及び外観・デザインの共通性について
申立てに係る商品は、「指輪型」や「宝飾品の形状をした」と、その形状が具体的に特定されており、外観デザインに宝飾品の要素を取り込むことが当然に予定されている商品である。
一方、申立人の業務に係る宝飾品は、精緻な金細工や彫金技術を特徴とする独自のデザイン様式により国際的に知られている。
よって、宝飾品の形状を有する電子機器は、宝飾ブランドの製品ラインであるとの連想を需要者に強く生じさせるものであり、特に「BUCCELLATI」のように特徴的な意匠を有するブランドにおいては、その印象は強固である。
したがって、両者の品質及び外観・デザインは密接に重なり、出所の同一性又は関連性を誤認させるおそれが高い。
(オ)以上を総合的に勘案すると、申立てに係る商品と引用指定商品の間には、生産・販売部門の共通性、用途の共通性、需要者層の一致、品質及び外観・デザインの共通性が認められるため、申立てに係る商品は、引用指定商品と高度に類似し、出所について混同を生ずる蓋然性が極めて高い商品である。
オ まとめ
本件商標及び引用商標は、前記ウのとおり、外観及び称呼において極めて近似する印象を与えるものであり、観念において比較できないものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すると、両商標は、互いに紛れるおそれのある類似の商標であり、前記エのとおり、申立てに係る商品は、引用指定商品と類似の度合いが極めて高いものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第9類「指輪型携帯情報端末,宝飾品の形状をした電気通信機械器具」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知著名性について
(ア)引用商標「BUCCELLATI」は、申立人により、1919年にイタリア・ミラノにおいて創設された高級宝飾品ブランドの名称に係る商標である(甲5、甲6及び甲10)。
「BUCCELLATI」は、創業者であるマリオ・ブチェラッティ(Mario Buccellati)の姓に由来し、同氏により確立された高度な金細工技法及び独創的なデザインに基づき、創業当初よりイタリア国内における高級宝飾品分野で顕著な評価を得てきた(甲5、甲6及び甲10)。
そして、「BUCCELLATI」は、ミラノ、ローマ、フィレンツェを始めとする国内の主要都市に店舗を展開した後、1950年代にはアメリカ・ニューヨークやフロリダ州パームビーチ等の海外主要都市に進出し、引用商標を付した商品が早期より国際市場において広く流通していた事実を確認することができる(甲5及び甲6)。
また、「BUCCELLATI」には、透かし細工や、布地のような質感を生む金属表面処理など、イタリアの伝統金工技術を基礎とした高度かつ独自性の高い技法が使用されており、これらの技法はブランドの象徴的特徴として国際的に広く認識されている(甲5、甲6及び甲10)。
とりわけ、「BUCCELLATI」の宝飾品は、レース編みや金属刺繍を想起させる繊細な加工により「金細工の魔術師」とも称される高度な芸術性を有し、その製作には長時間の熟練作業を要することから、高級宝飾品分野における卓越性を示す指標として評価されている(甲5及び甲6)。
さらに、「BUCCELLATI」は、欧州王室・貴族層、宗教関係者を含む世界中の顧客から高く支持されており、その作品は歴史的文化人にも愛好されてきた。特に、英国王室及びバチカン関係者へ作品が提供されてきたこともあり、これらの事実は「BUCCELLATI」の商標が、単なる商品出所表示の範囲を超えて国際的な名声を伴う高級宝飾品ブランドとして著名性を確立していることを裏付けるものである(甲5及び甲6)。
(イ)我が国においても、1972年より、老舗デパートである銀座・和光において「BUCCELLATI」製品の取扱いが開始されたのを皮切りに(甲5、甲7及び甲10)、三越伊勢丹(伊勢丹新宿店、名古屋栄三越)、高島屋(日本橋タカシマヤS・C店、大阪高島屋)、阪急うめだ本店といった国内の主要都市に所在する複数の百貨店の店舗及び公式オンラインブティックにおいて取り扱われるようになり(甲8ないし甲10)、2021年9月には東京・銀座に日本初の旗艦店をオープンさせた(甲10)。
このように、「BUCCELLATI」は、我が国の高級宝飾品市場における主要な選択肢の一つとして広く流通している。
(ウ)我が国の雑誌やウェブ媒体における引用商標に係る商品の掲載
「BUCCELLATI」は、その高い芸術性と独自の金細工技法に基づくブランド価値から、我が国におけるファッション雑誌及びウェブ媒体において継続的かつ多数の記事及び広告が掲載されてきた(甲11)。
具体的には、「VERY」、「Precious」、「家庭画報」、「VOGUE」、「Harper’sBAZAAR」等の主要女性誌及び「FASHION PRESS」等のファッション専門ウェブ媒体において、宝飾特集、ブランド紹介、著名人着用紹介、季節のジュエリー企画などの文脈で、引用商標とともに「BUCCELLATI」の製品が頻繁に取り上げられており、これらの掲載は長年にわたり継続している。
かかる多数の媒体露出は、引用商標に係る申立人ブランドの高級宝飾品としての認知及び人気の高さを示すものであり、読者層であるファッション感度の高い需要者に対して、「BUCCELLATI」の名称が広く浸透していることを裏付けるものである。
(エ)引用商標に係る商品の広告宣伝費について
申立人は、少なくとも2022年から2025年にかけて、我が国において紙媒体・デジタル媒体・屋外広告・インフルエンサー施策等を含むプロモーションを実施しており、各年の広告宣伝費の概算額は、2022年約3,333万円、2023年約3,980万円、2024年約4,476万円、2025年約4,794万円である。
(オ)中国における裁判例等における引用商標の周知著名性の認定について
申立人は、各国において模倣的標章に対する係争対応を行っており、その中には、宝飾分野における高い周知性を前提に保護を及ぼした判断もある。
(カ)まとめ
以上のとおり、引用商標「BUCCELLATI」は、1919年の創業以来100年以上の長きにわたり、申立人の業務に係る高級宝飾品ブランドの名称として世界中で一貫して使用された結果、本件商標の出願日である2024年12月20日には、我が国の取引者及び需要者の間において広く知られる周知著名商標としての地位を獲得していた事実は疑いようがないのであり、本件商標の査定時においても継続してその周知著名性を維持していたと優に推認できるものである。
イ 指定商品及び商標の関連性
上記(1)エのとおり、本件指定商品と引用指定商品は関連性が高く、本件商標と引用商標は類似する相紛らわしい商標であるといえる。
ウ 小括
以上述べたように、引用商標「BUCCELLATI」は、1919年の創業以来100年以上の長きにわたり、申立人の業務に係る高級宝飾品ブランドの名称として世界中で使用された結果、申立人の業務に係る宝飾品ブランドの名称として高い周知著名性を有しているものである。
また、申立てに係る商品と引用指定商品は、生産部門及び販売部門に高い関連性が認められることから取引者が共通し、需要者の範囲も一致する。
さらに、近年、多数の高級宝飾品ブランドが、「高級スマートジュエリー」と呼ばれる腕時計型携帯情報端末や指輪型携帯情報端末などのウェアラブル端末を発売し、情報通信端末(ICT機器)分野へ参入している事実を踏まえれば、宝飾品ブランドによる装飾性を備えた電気通信機械器具への事業拡張は十分に想定可能である。
以上を総合的に勘案すると、本件商標がその指定商品中、第9類「指輪型携帯情報端末,宝飾品の形状をした電気通信機械器具」に使用された場合、本件商標に接した取引者・需要者は、申立人又は申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について誤認する可能性が高いものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、イタリアに本社を構える高級宝飾品を取り扱う法人であり、引用商標「BUCCELLATI」は、申立人により、1919年に創設され、「ブチェラッティ」と読まれるブランドである(甲5、甲6及び甲10。以下、引用商標からなる当該ブランドを単に「BUCCELLATI」という。)。
そして、申立人(BUCCELLATI)は、ミラノを始めとするイタリア国内のほか、1950年代にはアメリカのニューヨーク等の海外都市にも進出した(甲5及び甲6)。
また、申立人(BUCCELLATI)の製作による作品は、世界の複数の国の美術館等で展示・紹介された(甲5及び甲6)。
(イ)「BUCCELLATI」に関する商品は、1972年より、我が国においても、和光で取扱いが開始され(甲5、甲7及び甲10)、三越伊勢丹(伊勢丹新宿店、名古屋栄三越)、高島屋(日本橋タカシマヤS・C店、大阪タカシマヤ)、阪急うめだ本店の店舗においても取り扱われ(甲8ないし甲10)、2021年9月には東京・銀座に日本初の当該商品の旗艦店がオープンした(甲10)。
(ウ)我が国におけるファッション雑誌(「Precious」、「家庭画報」及び「VOGUE」等)やファッション専門ウェブ媒体(「FASHION PRESS」等)において、申立人の「BUCCELLATI」(「Buccellati」や「ブチェラッティ」と記載されているものも含む。)に関する紹介記事及び広告が「宝飾品」の写真とともに多数掲載されている(甲11)。
また、申立人は、引用商標を「宝飾品」のほか、「貴金属製の時計」にも使用している(甲16)。
(エ)申立人は、2022年から2025年に、我が国において紙媒体・デジタル媒体・屋外広告・インフルエンサー施策等を含むプロモーションを実施しており、各年の広告宣伝費の概算額は、2022年約3,333万円、2023年約3,980万円、2024年約4,476万円、2025年約4,794万円である(申立人の主張)。
イ 判断
上記アで認定した事実によれば、申立人は、イタリアに本社を構え、創業100年を超える高級宝飾品を取り扱う法人であり、日本及び海外において複数の店舗を有しており、また、引用商標は「ブチェラッティ」と読まれ、申立人により「宝飾品」及び「貴金属製の時計」に使用されており、我が国における女性のファッション雑誌及びファッション専門ウェブ媒体において、当該商品に関する紹介記事及び広告が多数掲載されるなど、申立人は、引用商標を使用した商品についての各種プロモーションを実施していることが認められる。
そうすると、引用商標は、少なくとも女性のファッション分野においては、「ブチェラッティ」と称呼される申立人の商標として相当程度の認知度を有していると判断するのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「CELLATTI」の欧文字を書してなり、当該文字に相応して、「チェラッティ」又は「セラッティ」の称呼を生じ、当該欧文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「BUCCELLATI」の欧文字を書してなり、当該文字に相応して、「ブチェラッティ」、「ブッチェッラッティ」又は「ブセラッティ」の称呼を生じ、当該欧文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じないものである。
また、引用商標は、上記(1)のとおり、女性のファッション分野において、「ブチェラッティ」と称呼される申立人の商標として相当程度の認知度を有しているものである。
そうすると、このように認識される場合には、引用商標は、「ブチェラッティ」の称呼を生じ、「申立人の商標」としての観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、その構成中に「CELLAT」の文字を含むという共通性はあるものの、全体の文字数が8文字と10文字で異なり、語頭の「BUC」の欧文字の有無及び語尾の「TI」と「I」の綴りの差異を有するものであるから、全体の印象が著しく相違し、外観において、明らかに区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標は、「チェラッティ」又は「セラッティ」の称呼が生じるのに対し、引用商標は、「ブチェラッティ」、「ブッチェッラッティ」又は「ブセラッティ」の称呼が生じるところ、最も印象に残りやすい語頭の第1音において、「ブ」の音の有無という差異を有することから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれはなく明瞭に聴別し得るものである。
さらに、両者から特定の観念を生じない場合には、観念において比較できず、また、引用商標から「申立人の商標」としての観念を生じる場合には、特定の観念を生じない本件商標とは、観念において相紛れるおそれはない。
なお、引用商標の構成中の「CELLAT」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できない場合があるものの、引用商標から「申立人の商標」としての観念を生じる場合には、観念において相紛れるおそれはなく、また、外観において明らかに区別し得るものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであるから、これら取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、非類似の商標というべきである。
エ 申立てに係る商品と引用指定商品との類否
(ア)商品の類否の判断は、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断すべきである(平成7年(行ケ)第161号同8年3月21日判決)。
(イ)申立てに係る商品は、上記3のとおり、指輪や宝飾品の形状ではあるものの、「携帯情報端末」及び「電気通信機械器具」であることからすれば、電気機器を取り扱う業者によって製造、販売され、一般の消費者を主な需要者とする商品といえる。
他方、引用指定商品は、上記2のとおり、各種の日用品、時計及び各種の貴金属製品であるから、それぞれの商品を取り扱う業者によって製造、販売され、各種の日用品及び時計は一般の消費者を主な需要者とし、各種の貴金属製品の需要者は高級品を志向する者を主な需要者とする商品といえる。
また、申立てに係る商品と引用指定商品とは、これら商品の性質からして、原材料、品質、用途を異にするものであり、完成品と部品との関係にもない。
そうすると、申立てに係る商品と引用指定商品とは、その生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲を異にし、完成品と部品との関係にもないから、両者は、非類似の商品というべきである。
(ウ)申立人は、上記3(1)エのとおり、宝飾品ブランドが腕時計型携帯情報端末や指輪型携帯情報端末等のウェアラブル機器を製造・販売する例があり、申立人が宝石装飾や貴金属加工技術を用いた時計類を販売している旨、主張している。
申立人の提出に係る証拠によれば、宝飾品ブランドが腕時計型携帯情報端末を取り扱っている例があること(甲15の1ないし甲15の4)、「スマートジュエリー」と呼ばれる分野が注目されていること(甲15の5及び甲15の6)及び申立人が宝飾品を加えた高級腕時計を展開していること(甲16)が認められる。
しかしながら、申立てに係る商品である「指輪型携帯情報端末」が宝飾品ブランドによって取り扱われていることを示す証拠の提出はなく、また、申立てに係る商品である「宝飾品の形状をした電気通信機械器具」については、何ら証拠の提出はない。
そうすると、申立てに係る商品と引用指定商品との類否については、上記(イ)のとおり判断するのが相当である。
(エ)以上により、申立てに係る商品と引用指定商品とは、非類似の商品というべきである。
オ 小括
上記アないしエからすると、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、また、申立てに係る商品と引用指定商品とは、類似する商品とはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するブランドとして、少なくとも女性のファッション分野において、相当程度の認知度を有しているといえる。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記(2)ウのとおり、混同を生じるおそれのない別異の商標であるから、両商標の類似性の程度は低いものである。
また、申立てに係る商品は、第9類に属する「指輪型携帯情報端末,宝飾品の形状をした電気通信機械器具」であるのに対し、引用商標は、女性のファッション分野におけるブランドとして需要者等に認識されているものであるから、生産部門等について一部関連する部分があるとしても(甲15)、両者の業界、販売場所、用途等において相違し、その関連性が高いとはいえない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、需要者等が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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