結論テキスト
登録第6992310号商標の商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 2026900041 |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理 由
本件登録第6992310号商標(以下「本件商標」という。)は、「チェキロク」の文字を標準文字で表してなり、令和7年3月27日に登録出願、第9類「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア,電子計算機用プログラム,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,写真管理用コンピュータソフトウェア」を指定商品として、同年8月15日に登録査定、同年12月2日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものであり、申立人の業務に係るインスタントカメラの愛称として使用し、我が国において広く知られるに至ったとするものである。
(1)登録第4332367号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:チェキ(標準文字)
指定商品:第1類及び第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成10年 7月 7日
設定登録日:平成11年11月 5日
(2)登録第4606176号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲
指定商品:第1類及び第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成13年10月29日
設定登録日:平成14年 9月20日
(3)登録第5713410号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲
指定商品:第1類、第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成26年 4月21日
設定登録日:平成26年10月24日
(4)登録第6751118号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:チェキ(標準文字)
指定商品及び指定役務:第9類、第35類、第38類、第40類~第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:令和4年 9月22日
設定登録日:令和5年11月 6日
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人は、1998年11月に、インスタントカメラ「instaxmini 10」の販売を開始し、当該カメラの愛称として「チェキ」を採用した(甲6及び甲7)。
イ 上記アの同製品シリーズは、2002年には年間販売台数100万台に達するヒット商品となり、その後も申立人は継続して同製品シリーズの製造販売を続け、2014年には全世界での年間販売台数が300万台を超え、2018年には1,000万台に到達した(甲7)。そして、同製品シリーズは、2023年度には世界100か国以上で展開され、累計8,000万台を売り上げ(甲8)、2025年には累計販売台数1億台を突破した(甲9及び甲10)。この販売状況は同種の製品において比類のないものであり、申立人の商品の市場シェアは、他社を大きく引き離してトップである。
ウ 「チェキ」は、商品の包装や広告等において「instax」の商標とともに表示されており(甲6、甲9、甲12~甲15)、単なる愛称にとどまらず、申立人の製品シリーズを代表する商標として認知されている状況にある(甲11~甲13)。
エ 上記アの同製品シリーズには、インスタントカメラだけでなく、デジタルカメラと同等の機能を備えた商品や、写真用プリンター、写真を保存・スキャンする等の機能を有するアプリケーションソフトウェア、インスタントカメラ用のフィルム等を含んでおり、インスタントカメラと同様に需要者に広く知られている。そして、これらの関連商品についても、「チェキ」の愛称が用いられているほか、申立人製品にて撮影された写真について「チェキプリント」が用いられている(甲14~甲17)。
オ 「チェキ」は、国内外で非常に大きな売上げがある申立人の製造販売に係るインスタントカメラにおいて、約30年間の長期にわたり継続的に使用され、かつ、デジタルカメラ及びカメラ用フィルム、写真用プリンターやソフトウェア等のカメラ関連製品においても使用されている。
したがって、「チェキ」の文字からなる引用商標1から引用商標4は、カメラやその関連製品の分野において、申立人の商品を表す周知又は著名な商標である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、「チェキロク」の文字を標準文字で表してなる。
そして、上記(1)のとおり、構成中の「チェキ」の文字は、申立人が製造販売するインスタントカメラの商標として長年使用された結果、申立人の商品を示すものとして需要者間において広く認識されている。
イ 申立人は、インスタントカメラだけでなく、デジタルカメラ及びカメラ用フィルム、写真用プリンター等の関連製品を製造し、そのプリンターに商標「チェキ」を用いて販売しているほか、当該カメラで撮影した写真を管理するためのアプリケーションソフトウェアをリリースし、当該ソフトウェアに関しても「チェキ」の文字を用いている。
ウ 本件商標と、引用商標1から引用商標4の指定商品とは、デジタルカメラや写真用プリンター、アプリケーションソフトウェアの分野で共通するところ、申立人の製造販売するインスタントカメラ等における極めて高い認知度に鑑みると、カメラの関連製品の分野においても、「チェキ」は申立人の周知又は著名な商標として需要者に認知される。
また、本件商標の指定商品であるコンピュータソフトウェアの分野において、「記録」することは一般的な機能の一つであるから、本件商標に接した需要者は、本件商標が、申立人の周知又は著名な商標である「チェキ」と、「記録」を片仮名にした「キロク」との掛け合わせからなるものであると容易に認識し得る。
上記からすると、本件商標中の「チェキ」の文字部分は、独立して商品の出所識別標識として機能し得るものであるから、本件商標から当該文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と対比して商標の類否判断を行うことが許されるというべきである。
エ 本件商標の要部と、引用商標1から引用商標4を対比すると、各商標は「チェキ」の文字部分において共通することから、称呼を同一にし、外観について同一又は類似であり、観念においても相違する要素はない。
したがって、本件商標は、引用商標1から引用商標4と、互いに類似する商標であって、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 上記(1)のとおり、「チェキ」は、申立人の製造販売するインスタントカメラ、デジタルカメラ及びカメラ用フィルム等の商標として長年使用された結果、申立人の商品を示すものとして需要者に広く認識されている。
そして、本件商標は、商標の構成上特に重要である前半部に、申立人の周知又は著名商標である「チェキ」を配してなるから、申立人の周知又は著名商標を容易に想起させるものであり、申立人の業務に係る商品又は出所について混同するおそれがあるものというべきである。
イ 加えて、上記(1)のとおり、申立人は、申立人製品にて撮影された写真に「チェキプリント」の文字を用いていることから、「チェキ」と他の語を結合してなる本件商標に接した需要者は、「チェキプリント」と同じく、申立人の製品に関わるものと誤認することが容易に想起される。
さらに、近年、デジタルカメラ製品について、写真の保存や管理用の専用アプリケーションソフトウェアが付属することは極めて一般的である上、専用品と互換性のあるサードパーティー製のアプリケーションソフトウェアが多数見られる現状にある。かかる現状に鑑みると、本件商標が指定商品「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア」等について使用された場合、本件商標中に「チェキ」の語を見いだした需要者が、申立人との間で何らかのライセンスを許諾された者によって開発された商品である等、申立人と何らかの関係がある者によって開発された商品と誤解するおそれがある。
ウ したがって、本件商標は、需要者において、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認させる結果、商品の出所について混同するおそれがある商標であるから、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する。
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1998年に、インスタントカメラ「instaxmini 10」の販売を開始し、当該カメラの愛称として「チェキ」を採用した(甲6及び甲7)。
(イ)申立人の上記(ア)の同製品シリーズは、世界100か国以上で販売され、2025年までの累計販売台数は1億台である(甲8、甲9及び甲10)。
(ウ)申立人は、「チェキ」の文字及び別掲のとおりの構成からなる商標を「インスタントカメラ」の包装や広告等で使用している(甲6、甲9、甲14及び甲15)。
イ 判断
上記アで認定した事実によれば、申立人は、引用商標を愛称とするインスタントカメラについて、1998年の発売開始から2025年までの約28年にわたり、100か国以上で累計1億台を販売していることが認められる。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、少なくともインスタントカメラの分野においては、申立人の業務に係る「インスタントカメラ」を表示するものとして、我が国における需要者の間に相当程度の認知度を有していたというのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「チェキロク」の文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応して、「チェキロク」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1及び引用商標4は、「チェキ」の文字を標準文字で表してなり、引用商標2及び引用商標3は、別掲のとおり、六角形中に「チェキ」の文字を表してなるところ、当該文字に相応して、いずれも「チェキ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、その構成中に「チェキ」の文字を含むという共通性はあるものの、全体の文字数が3文字と5文字で異なり、語尾の「ロク」の文字の有無のほか、引用商標2及び引用商標3との関係においては六角形の有無の差異を有するものであるから、全体の印象が著しく相違し、外観において、明らかに区別できるものである。
また、称呼においては、本件商標は、その構成文字に相応して、「チェキロク」の称呼が生じるのに対し、引用商標は、その構成文字に相応して、「チェキ」の称呼が生じることから、「ロク」の音の有無という明らかな差異を有するため、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれはなく明瞭に聴別し得るものである。
さらに、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念においては比較できない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念においては比較できないものの、外観において明らかに区別することができ、称呼において明瞭に聴別できるものであるから、これら取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、非類似の商標というべきである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
オ 小括
したがって、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるとしても、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「インスタントカメラ」を表示するものとして需要者の間に相当程度知られているとしても、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標とはいえないから、両商標の類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標の指定商品と「インスタントカメラ」との関連性や需要者の共通性等を考慮したとしても、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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